①《花の同期!?》by 黒崎勇治

今回のお話は、百合根キャップと池田管理官と同期の女性とのお話です。

キャップが少し性格変わっちゃってますが、ちょっと僻みっぽい子になってますが、お許しくださいませ。

もちろん、私のお話なのでヒロインの相手は黒崎さんです。

それでは楽しんでいただけたら幸いです。。。






「おい、百合根!」
「なんだい、池田・・・・・・管理官」

後ろから声をかけたのは僕の同期の池田だけど、つい敬称付けるの忘れちゃうんだ。

「2人のときは池田でいい・・・・・それより、お前知ってるのか?」
「なにを?」

「統括官のお前の補佐に、誰が来るのか知ってるのか?!」
「え? 誰か来てくれるんだ〜〜! 僕1人じゃSTのメンバーを抑えきれないから前から頼んでたんだ! あ〜〜良かった、誰か来てくれるんだぁ〜〜」

「お前・・・・・はぁ〜〜〜」

??? 池田が、僕を見て深い深い溜め息をついてるのは、なんでだろう???

「金堂(こんどう)、覚えてるか?」
「覚えてるよ〜〜、我らが同期のクールビューティー! 冷静沈着、質実剛健、眉目秀麗! 凄すぎて僕なんか近寄れないほどだったけど・・・え? まさか?」

まさか・・・・補佐官に金堂が? え? 嘘だろ?

ヘラヘラしてる僕とは違って、いつもキリリとしてる金堂は、警察学校の同期だけど・・・・・僕が唯一、話しかけにくい・・・・・・いや正直に言えば、 “ 苦手 ” な人物なんだ。

「お前が唯一、話せなかった人物だったな・・・・・ちなみにアイツは警視だ」
「え? 警視? 僕、警部だよ? おかしくない? 部下の方が階級が上だなんて、おかしいよ!」

「俺もそう思うが、上がそのままの階級でお前の補佐へと決めたらしい。 ま、しっかりな!」
そう言い残して去って行った池田だけど、僕はガックリと廊下に膝をついた。


僕の補佐に金堂だなんて・・・・・・優秀すぎて僕なんかが、彼女を部下になんて・・・・・部下になんて・・・・

「嘘だろぉぉぉ〜〜〜・・・・・」

誰か、お願いだ! 嘘だと言ってくれぇぇ〜〜〜!!!



そして誰も嘘だとは言ってくれないまま、翌日、辞令がおりた。

三枝参事官の部屋に呼ばれて入れば、そこにはスラリと立つ金堂の姿があった。

・・・・・・ほんっと、目の覚める様な美人だよな。

真っ直ぐで真っ黒な髪は顎の辺りで切り揃えられたボブ、その黒に縁取られた顔は真っ白な肌に黒目の大きな瞳がキリリと強い意志を見せてるし、細い首は長いし、女性にしては高い身長に、モデルみたいな体型。

STにも翠さんみたいなセクシーな美女はいるけど、金堂はなんて言うんだろ・・・・・もっと男っぽい感じなんだよね。

女性なんだけど、頼りになるっていうか頼り甲斐があるっていうか、頼りたいって感じでさ。
同じ年なのに、頼りないって言われる僕とは雲泥の差なんだよなぁ〜〜


三枝参事官の部屋をあとにしてラボに金堂を連れて行く間も、真っ直ぐ前を見て進んでる金堂に、僕は気後れしてて・・・・・これから毎日、金堂を部下として使うなんて僕にできるんだろうか?

不安しかない僕の胸中は置いとかれたまま、ラボへと着いた僕は先に中に入ったんだ。

「皆さん聞いてください、今日から僕の補佐官として新しい方が、STに来られました!」

金堂・・・・・そのポーカーフェースは、いつか柔らかいものに変わるんだろうか?

僕はすでに白旗あげて、完敗だよ・・・・・・



もうぅ〜〜〜・・・ 同期の百合根くん、いつになったら私とまともに会話してくれるんだろうか?

池田くんに聞いたら昨日、私が部下になる事で廊下で黄昏てたみたいだし・・・・もう、失礼しちゃうわ!

警察学校の頃からそうだったわよね・・・・・私を見れば脱兎のごとく逃げていく彼。

まあ、ウサギみたいにふわふわな髪と、可愛らしい顔立ちと、他の男には無い優しさと素直な真っ直ぐな性格は、私・・・・・気に入ってるんだけどなぁ〜〜

私の方に問題あるのかもしれないわよね・・・・・・だって、彼と出会ったとき、あんまり可愛いから無言で近づき壁に背をつけた彼のこと、 “ 壁ドン ” しちゃったんだよね〜


私さ、女としては無駄に大柄で迫力あるらしいのよ。

しかも、この美貌! ま、自分で言うのも何だけど、キリリとした切れ長の瞳に通った鼻すじ、勉強ばかりじゃなく武道にも頑張った私の腕は、小柄な女性なら楽々抱き上げる事も可能!

頭脳明晰な私は、東大を現役合格し、興味のあった法学部を納めた才女。

そこからくる自信なのかオーラがあるらしいんだけど、百合根くんはソレが苦手だそうよ・・・・

池田くんの分析なんだけど、あってるんだろうなぁ〜〜・・・・・くすん。

私は仲良くなりたいんだけど・・・・・・これから毎日顔を合わせるんだし、すぐに仲良く出来るわよね!

ね!?


そして、私の興味をそそる部署にせっかく配置換えになったんだもん!

これから、楽しくなるわぁ〜〜〜!!!




「・・・・・キャップ、女連れだわ」
耳の良い翠さんが、呟いた。

「へぇ〜〜・・・あのヘタレのキャップが女連れ!? 恋人? ・・・・・ま、たぶんソレは無いけどね〜〜」

ニヤニヤと楽しそうな青山は置いといて、山吹さんも俺も、興味を持ってドアを見つめていたんだ。


「皆さん聞いてください、今日から僕の補佐官として、新しい方がSTに来られました!」
キャップが言ったあと、 “ 彼女 ” は、現れたんだ。


・・・・・・・くん! 何だろう、花の匂いがする。


爽やかな柑橘系を母体に、甘いフローラルな香りを絶妙に混ぜ合わせたその香りは、俺が嗅いだことのない香りだった。

・・・・・・・その香りが “ 彼女 ” の香りだった。


カツカツとヒール音をさせて入ってきたのは、目の覚めるような美女だった。

グレーのタイトなスーツを着こなし、スラリとしたその美女は切れ長の瞳が印象的だ。

ぐるりと俺たちを見回した彼女は、ニッコリと笑った。

「金堂 椿、よろしくね♡」


ドキッ!!!

パチン!と音が鳴りそうな長い睫毛を閉じて、ウィンクする彼女に俺の胸がドクドクと鼓動をはじめるのは、いったいどういうことなんだ!?


・・・・・・・今にして思えば、俺は彼女を一目見て恋をしたんだと思う。


「まずは自己紹介ね! 金堂椿26才、こちらの百合根くんや池田くんと同期の桜で、今回補佐官に任命されました。階級は警視でキャップより上なんだけど、補佐官として百合根くんを支えていこうと思ってます!」

「へぇ〜〜キャップより階級うえなんだぁ〜〜・・・・使い難いだろうね〜〜キャップは! 僕はそんなこと気にしないからOKだよ! じゃあさ、補佐官としてどう呼ばれたいかな? チーフ? 椿ッチ? 」
「ん〜〜チーフかな? 百合根くんがキャップだし・・・」

「じゃ、椿ッチに決定! 僕は青山翔、よろしく」
「よろしくね」

青山と椿さんが握手をすれば・・・・・・なんだ? 青山と繋がった手を引いて、彼女が青山を抱きしめたんだ。

身長差のある2人だから、青山は彼女の胸に顔を埋めるような格好に!? ・・・・・・羨ましい。

「黒崎くん、ヨダレは出さないよう お気をつけて」
「・・・・・・・」

「なっ! 何するんだよっ! いきなり!」
「だって、可愛かったんだもん! 私ね、可愛い人に目がなくて・・・・・怒んないで、よしよし」

プリプリ怒る青山に、彼女はヨシヨシと頭を撫でている。

「でも胸デッカいんだなぁ〜〜・・・ふかふかだったぁ〜〜」

青山・・・・・・・羨ましいが、その手つきは止めたほうがいいと思う。




「・・・・・その靴、ルブタンね♡ ヒールの音で分かったわ・・・」
「あなたは結城 翠さんね! そうよ、ルブタンの新作〜〜♡」

る? るぶた・・ん? 何だろう、ソレは? 俺は聞きなれない単語に首を傾げていた。

翠さんと彼女はしばらく靴の話で盛り上がってキャイキャイ騒いでたが、気が合うのか初対面なのに、昔からの親友みたいに見えた。


「それにしても、警察でルブタン履いてるなんていい度胸してるわね〜〜・・・・・・何か言われないの?」
「ふふふ・・・上層部のジジイにはルブタンだろうが、普通の皮のパンプスだろうが区別なんてつきっこないわよ! しかも私、キャリアだし、現場出ないし、バレないの」

「でも女性のお偉いさんもいるでしょう?」
「くす・・・ 女性キャリアの苦労は皆、味わってるから・・・・・『理不尽にジジイに叱られて、謝るふりして流してるときに、私・・・自分の靴を見てるんです。お気に入りの靴を見てると、ジジイの説教も受け流せます』って言ったらね・・・・・・・・いいアイディアだって、真似してるの!」


「やるわねぇ〜〜・・・・やだ、私ったら椿ちゃん、気に入っちゃったわ♡」
「私も翠さん、好きになっちゃった♡」

翠さんの露出の激しいセクシーさと、見ずにはいられないほど存在感のある美女と、2人が2人とも互いを気に入ったと手を取り合う姿は、どこか倒錯的で・・・・・・ゴクッと、俺の喉がなってしまった。




次いで彼女は部屋の隅から彼女を見ている俺たちのリーダー、赤城左門へと歩いて行った。

「リーダーの赤城左門さんね! これからよろしくお願いします」
「・・・・・なっ、なんの企みだ!」

「???」
「聞いた事があるぞ、金堂椿! 東大法学部を出た才女の噂くらい俺は聞いたことがある! お前がここに来たのは何が目的だ? どんな目的があるんだ! STを潰すのか?」

「企みとかではないですよ? むしろ私の事を気に食わない人が、私をここへ左遷したんです」
「・・・・・・お前ならうまく回避出来たんじゃないのか?」

「ええ、私がその気なら・・・・・・・回避できますし、私を狙った人物を潰す事も出来ますけど・・・・・」

キラン☆ 彼女の瞳が妖しく光はじめ・・・・・その妖艶な迫力に圧倒される。

「調べたらSTが気に入っちゃって、来たくなったの♡」
「来たくなったの! ・・・・じゃない! あ、遊び半分なら迷惑だ!」

「遊び半分じゃないって事は、これからの私のこと見てて下さいね。 赤城リーダー♡」
「はっ、はっ、ハートマークつけた様な話し方をするな!」

「ごめんなさい、イイ男を見るとつい・・・・・私の悪いクセですね、これからは気をつけます」
「イイ男・・・・・・まあ、俺がイイ男なのは事実だな、仕方ないこれから気をつけろ」


・・・・・・・・驚いた。。。

赤城さん、彼女がここにいる事を認めた・・・・・・いや、彼女が認めさせたのか?

すごい手腕だな・・・・・・・


「私は山吹、こちらは黒崎くんです。 我々はあなたを歓迎しますよ、椿さん」
「・・・・・・コクン」

「よろしくお願いします」

これが彼女、金堂椿さんと俺たちの出会いの日だった。






「おい椿! 調べ物は出来たのか?」
「そこにファイルしてあります! はい、これです!」

「赤城さん! 僕だって調べ物くらいできます! 僕に言って下さい!」


「ねぇねぇ椿ッチ〜〜・・・僕もう帰ってもいい?」
「ん〜〜 翔ちゃんのプロファイリングの力が必要なのよね〜〜・・・・他の人じゃなくて、翔ちゃんが! このドーナツ食べてもうひと踏ん張りしよう?」

「〜〜〜仕方ないなぁ! ドーナツうまっ! これってどこの?」
「青山さん、ドーナツに釣られるんですかっ!」


「キャップうるっさい! ギャーギャー騒がないでよ!」
「翠さん、解析終わった? 早くリーダーに事件解決してもらって、今夜は飲み行きたいわ、私」

「いいわねぇ〜・・・私も飲みに行きたいっ! 解析はもう少しよ♡」
「さすが翠さん♡」


「あああああー〜〜〜もう!!! 」


彼女は補佐官として俺たちの仲間になったんだ。
赤城さんなんかは命じれば打てば響くように返ってくる彼女とのやり取りが面白いのか、ワザと難しい専門分野も調べろと命じている。

そして驚いた事に彼女は、やすやすとその命令をこなしているんだ。

書類作成の手際の良さ、事件の資料をまとめホワイトボードに貼り付けていくのも、分かりやすいんだ。

青山が考え事しているとき、彼女は容疑者のミニチュアを作ってコトン・・・と、青山のデスクの上に置いたんだ。

もちろん青山は大喜びでソレを使い始め、これ以降、彼女がミニチュアを作るのが恒例になっている。


要するに彼女は、人と上手く付き合えない俺たちに、短時間で馴染み、好かれ、仲間と認められたんだ。


・・・・・・・まさか、それがキャップには面白くなかったなんて。。。



事件が解決した夜、俺はキャップに呼び出された。

居酒屋で飯を注文してキャップの話に付き合うが・・・・・・キャップの愚痴が始まった。


「黒崎さぁぁ〜〜ん、聞いてくださいよぉぉ〜〜! 金堂の奴、三枝参事官にも可愛がられてて、僕の立つ瀬がないんですぅ〜〜〜〜」

オイオイと泣きながらビールを飲むけど、キャップ? まだ最初の1杯の・・・・・・・2口目だよね?

「黒崎さぁぁ〜〜〜ん・・・ 僕ってそんなに頼りないですか? 僕って、僕って・・・・・情けないよぉぉ〜〜」

キャップがビールをちびちび飲めば飲むほど、愚痴は多くなって・・・・・しまいにはただの悪口になっていた。


ここではっきり言って置きたいが、俺は彼女の事が好きだ。

キャップは僕をバカにしてるんだぁ〜〜と言ってるが、俺はそうは思わない。

見た目が派手で有能で美人な彼女だけど、ちゃんとキャップを立てて行動をしているって事に、キャップは気がつかないのか?

裏方を一手に引き受け、キャップを赤城さんと一緒に行動できるようにしてくれているのに・・・・・本当に気がついてないんだろうか?

赤城さんは法医学者だ。
その赤城さんが調べろというモノは、彼女のような速さで応えられるモノじゃないんだ。

俺が山吹さんとラボの近くの研究室で証拠品を調べているとき、ここの機材ではできなくて困っていたら・・・・・

彼女は専門の研究施設で調べられるよう、頼んでくれたんだ。
大急ぎで俺と山吹さんが向かえば、出迎えた研究員が心良く対応してくれた。


なんでもこの研究施設に資金提供している会社から、頼まれたそうだ。

その事を聞いてみたら

「使える物は使わせてもらう主義なの! それに御二方の頼み事ですもの、頑張っちゃいました♡」
「ありがとうございます」
「・・・・ぐっ!!!(親指を立てて見せてる)」

気さくで明るく頼りになる、俺たちみたいに・・・・・心の何処かが歪んでいるのでも、普通に・・・・いや、好ましく接してくれる。

彼女の言葉は暖かく、どこにも棘がないんだ。



「黒崎さぁ〜ん、聞いてますかぁ〜〜・・・・お願いしますよぉぉ〜〜〜・・・・・」

・・・・・・・聞いてなかったが、まあ、いいか。

俺は話を聞いていなかったが、適当に頷いておいたんだ。


居酒屋を出てキャップをタクシーに放り込んだ俺は、そのまま歩き出した。

酒を飲んでいない俺は、腹ごなしに警視庁に歩いて帰り、愛車のバイクで帰ろうと思ってたんだ。


路地を曲がると・・・・・・くん! くんくん! ・・・・・緊張したときの匂いに、彼女の香りがする。

俺は匂いを頼りに走り出したんだ。



事件解決後、翠さんと飲みに行ってホロ酔いな私は、纏めなきゃいけない資料を忘れた事を思い出したの。

「ま、酔い覚ましに歩くか!」

ふんふん〜〜・・・・・ 鼻唄気分で歩いていく私の耳に、女の悲鳴が聞こえた気がした。


その方向に走り出した私は、居酒屋の裏で嫌がる女の子の腕を掴んで歩く男達を、見つけた。

男4人で、1人の女の子を囲んでる。

「いやっ! 離して!」
「うるさいなぁ〜〜誰が離すかよ! これから俺たちで可愛がってやるんだからよ!」

「おい! さっさとそこのラブホに連れ込もうぜ! そしたらどんだけ悲鳴あげても見つかんないって!」
「へへへ・・・・楽しませてくれよぉ〜・・・・・・ウサギちゃん!」


「・・・・・・クズがっ!!!」
私は女の子の腕を掴んでいる男へと、突っ込んで行った。

「うわぁあああ」

飛び蹴りで突っ込んで行った私は、狙い違わず男の胸にルブタンをお見舞いし、他の男達が怯んだ隙に女の子の腕を掴んで走り出した。


・・・・・・走り出そうとして、女の子が恐怖で動けなくなっている事に気づいたの。

「へへへ・・・・・お姉さんも飛び入り参加ぁーー? 俺たち、歓迎するよ〜〜」
「あら、ご冗談でしょ? 私と彼女みたいなイイ女が、あんた達みたいなレイプ犯を相手にするわけないでしょ?」

「でもさ、その子・・・腰抜かしたのか、動けなさそう・・・・・逃げらんないねぇ〜〜」
「じゃあ、君達を・・・・・倒すしかないわねっ!」

私は男達に向かって行ったの。




俺がその場所に着いたとき、女性が1人うずくまりガタガタと震えていた。

その女性を背にして、もう1人の女性が男4人相手に立ち回ってるなんて、見た事ない光景だった。

だがその動きは、武道を鍛錬している俺が見ても素晴らしい動きで、まるで舞を舞っているようにも見えた。

しばし見惚れていたが、俺も加勢しようと男達の中へと入って行ったんだ。


「黒崎さん! どうしてここに?」
「話はあとで・・・・・今は、こっちだ」

頷きあった俺たちは、互いを背にして敵と戦った。
だが男の手にナイフが見えたとき、その切っ先が自分に向けられたとき、俺は身体が竦んで・・・ 身動きできなくなったんだ。

「へへへ・・・・・どうした急に大人しくなってよ・・・」

男の手の先のナイフの切っ先が、俺に襲いかかった・・・・・・・もうダメか。。。


そう思った俺だけど、目の前に迫るナイフを黒いハイヒールが蹴り飛ばしてた。

それで隙ができた彼女が後ろから男に羽交い締めにされてしまった。

残り3人の男が俺に一気に向かってくるのを殴り倒して、彼女を見た!


・・・・・・・彼女は肘で背後の相手の腹を打ちながら、細いピンヒールで思いっきり足の甲を踏んづけていた。


そうして騒ぎを聞きつけた警察官が来て、男達は御用となったが、女の子は未だガタガタと震えてて動けないらしい。

じゃあ・・・俺が抱き上げようと近づいたが、彼女がビクッと恐怖で引き攣った顔をして見上げてくるんだ。

「大丈夫よ・・・・・ごめんなさいね、事情を話して欲しいの。 近くの交番まで来れるかな?」
「ふるふる(首を振る)」

「・・・・・・捕まって?」
「え?」


驚いた事に彼女が、うずくまった女性を・・・・・・・抱き上げたんだ。

俺はそのまま、2人の後ろを歩き出した。






「でも良かったぁ〜〜・・・彼女が無事で!」
「ああ・・・」

交番からの帰り道、俺は椿さんと並んで歩いてるんだ。

男達は所轄の刑事に連行されて行ったし、簡単に話を聞いた女の子はショックが強いため明日、改めて話を聞く事になった。

被害者の女の子は、駆けつけた両親が家に連れ帰ったし、俺はバイクを取りに、椿さんは忘れ物を取りに行くから、並んで警視庁まで歩いている。


「そうだ、黒崎さん! 助けてくれて、ありがとうございます!」
「俺は、何も・・・・・」

「いいえ、男4人相手にケガも負ってないのは、黒崎さんが助けてくれたおかげなんです!」
「・・・・・・俺も、ありがとう」

「私・・・何かしましたか?」
「ナイフ・・・・・蹴ってくれた」

「・・・・・ふふっ、それじゃあ・・・・・お互いが助け合ってますね!」
「ああ・・・・・・そうだな」

ふふふ・・・・・楽しそうに笑う椿さんが、可愛い・・・・・・


「あ、やだ・・・・・破けて伝線してる〜〜・・・」
「・・・・・・ゴクッ」

黒いストッキングのスカートの裾の辺りに、大きく円を描いて破けていて、その下を一直線に伝線が入ってきた。
椿さんは、俺という男が側にいるのに、スカートを少し摘んでその形のいい脚を全開にしてる。


黒いストッキングが破けた処から、真っ白な肌が見え、伝線し足首までソレが続いて・・・・・俺は、身体がカァ〜〜っと熱くなっていく。

「黒崎さん、先に行って下さい。私、コンビニに寄ってから行きますから」
「・・・・・・・俺もコンビニに、寄るから構わない」

コンビニに用なんかないが、彼女と離れがたくて思わずそう言っていた。

近くのコンビニに着いて彼女は、早速ストッキングを買ってトイレに替えにいく。

俺は・・・・・・もともと用がないから、缶コーヒーでも買おうかとレジ近くに居たんだ。

「おい! 今の人、めちゃくちゃ綺麗な人だな〜〜」
「ストッキング買ったって事は、伝線したのかな?」

「・・・・・・・なあ、今履いてたやつ、捨ててくよなぁ?」
「そりゃ捨てるだろ? ・・・・・・・え? 何? お前なに考えてんの?」

「あれだけの美女の脱ぎたてストッキングって、拾ってお宝にしてもいいかなぁ〜〜って」

《 バキッ・・・・パキポキ・・・・ 》

彼女のストッキングで不埒な事を考えてる店員を、俺は睨みつけ、指を鳴らして立っていた。

「「ひぃえええええ〜〜〜」」

ムカムカムカムカムカムカ・・・・・・・・


「どうしました?」
「・・・・・行こう」

トイレから出てきた彼女を店から連れ出した俺に、彼女はキョトンと見ているから、さっきの店員の話をしたんだ。

「大丈夫です、持ってきてますから!」
「それなら、いい・・・・・」

俺は買っておいた缶コーヒーを1つ、彼女に渡したんだ。
夜は冷えるから、温かな缶コーヒーをカイロ代わりにと思って。

「あったかいです・・・・・黒崎さんは、優しいですね」
「・・・・・」

「それにすごく強いし・・・・・カッコイイ♡」
「・・・・・・そんなこと、ない」

「そんな事ありますよ? さっきの動き、つい見惚れそうになってましたもん!」
「・・・・・・俺は、話せない」

満足に自分の思ってる事すら話せない俺が、カッコイイだなんて・・・・・椿さんの買いかぶりだ。

「・・・・・・こうやって私とは話してくれてますよ? 実は先程から黒崎さんが話してくれて、嬉しくて感動してるんです」

あ・・・・・・俺は・・・・・・ そうだ、さっきの乱闘から少しだが、彼女と話せている。


「STに来て日が浅い私が言うのも何ですが、黒崎さんはさり気なく重い荷物を持って下さったり、まだラボの中に何があるのか覚えてない私に教えて下さったり・・・・・すごく、優しい方だって事は、分かってますよ!」
「・・・・・・・・」

「・・・・・話せないってこと、気にされてますよね?」
「コクン」

「・・・・・実は私、お喋りな男性は苦手なんです。 だから寡黙な黒崎さんの側は、ホッとできるんですよ」

ドキン!!! 悪戯っ子のように笑う椿さんだが、彼女の言葉はいつも心に引っかかっている・・・・・ 俺のコンプレックスを優しく励ましてくれるもので。。。


ああ・・・・・もう・・・・・・・ダメだ!


俺は夜の道なのも忘れて彼女の腕を掴んだ。

そのまま俺をキョトンと見つめる彼女を、ジッと見つめて・・・・・・目で君に告白するつもりで、熱く見つめる。


「く・・・黒崎さん?」

街灯の明かりで、椿さんの頬がみるみる真っ赤になるのは、何故?
少しは異性として、俺を意識してくれるの?


「・・・・・・・・あなたが、好きだ」

ヒュッと息を飲んだ彼女は、大きな瞳で俺を見つめてて・・・・・・彼女の瞳も、頭の中も、今は俺でいっぱいだろう。
それに密かに満足を感じている俺は、彼女に返事は焦らなくていいと、伝えたんだ。

「・・・・・・俺を見て? 俺を好きになって? ・・・・・待ってる」
「黒崎さん・・・・・・」

驚きと戸惑いが浮かぶ瞳の中、でもそこには嫌悪感は無かったことに、胸を撫で下ろした。

もう1度、答えは焦らなくていいと伝えた俺は、いつもの才媛らしくなく惚けている彼女の手を掴んで、警視庁まで歩き出したんだ。


彼女は子供が手を引かれて歩くように、素直に俺と歩いてくれた。


「あのっ! 黒崎さん!」
「・・・・・・ん?」

「あのっ! と、友達から始めてもいいですか? 2人でご飯行ったり、飲みに行ったりして・・・」
「・・・・・・何故?」

俺は君と恋人になりたいんだ・・・・・・友達も悪くはないが、俺の気持ちはそれ以上君にあるのに。


「・・・・・もっと、黒崎さんのこと知りたいです、だから・・・・・ 」
「・・・・うっ!」

いつもの威風堂々とした彼女は鳴りを潜め、恥じらって真っ赤な彼女がそう言っているのは、俺の胸の真ん中に “ ズキュン!!! ” と矢を突き立てるんだ。


“ 愛しい ”

“ 可愛らしい ”

“ 潤んだ瞳で俺を見上げている、ああ・・・その赤い頬は俺を意識しているから? ”

“ 街灯の明かりを反射する、その唇に触れたい ”


俺はそっと、彼女の唇に、自分の唇を重ねた。。。




「・・・・・んっ・・・・・」

黒崎さんの顔がアップになったと思ったら、唇に感触が・・・・・あ、私、今・・・・・キスされてる。

ギュッと抱きしめられて、キスをしていた黒崎さんの顔が離れたから、私は目を開けたの・・・・・そうしたら、真っ直ぐに私を覗き込む彼の黒い瞳が綺麗で、私は目を逸らせなくなったの。


「俺は、椿さんが、好きだ」
「黒崎さん・・・・」

彼の大きな手が私の頬を包み、そのまま顔を寄せられ・・・・・・・キス。


「俺のこと、知って? そして・・・・・・俺を好きになって?」

派手な外見とは裏腹に、私は小・中・高校通して女子校で過ごしたの。

大学は勉強や武道で忙しなく動いてたから、恋愛する時間も興味もなくて、全て断ったの。



恥ずかしい話、26才になる今の今まで、私は “ 恋 ” をした事が無かった。。。



ドキドキと鼓動が跳ねてるこの胸の高鳴りは何?

黒崎さんの黒い瞳が私を見つめている・・・・・それを意識してしまった私の顔に、血が昇り熱くなっていくのは、何故?

もしかして、これが・・・・・???

これが、恋なんだろうか?


戸惑う私の手を引いて歩き出した黒崎さん。

その大きな男らしい手の、温かなぬくもりが・・・・・・・・心地いい。。。


ああ、本当にもしかして・・・・・・・これが、恋なのかな?

私の心は、感じた事のない緊張に震えはじめていたの。。。





ここまではヒロインちゃんの紹介と、くろさきさんの恋なのですが、次回は恋し始めのトキメキと、黒崎さんの猛アタックをテーマにします。




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すー※さん

Author:すー※さん
私的妄想世界が広がっております。
イチオシは窪田正孝さんの役柄いろいろ妄想話です♡(その他にも相棒の神戸さん、スネイプ先生や善徳女王など色々でございます)

最近は更新ができてませんが、発作的に投下してます。
8月、9月の試験に受かれば時間ができるので、それまでは見守っていて下さいませ。

合言葉は『シリアスからエロまで』・・・・・楽しんでいただければ幸いです。。。

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