《彼が好きなもの・・・ 》by 柳川隆一

少し切ないお話を・・・・とはいえ、最後はハッピーエンドにしたい・・・です。

恋人同士でも不安だったり、相手の事を思っての行動だったりするのに、すれ違ったり・・・・・そんなお話を。。。




私の彼はハンサムで、社交的で、賑やかなことが大好きで、そして・・・・・・・女のコが大好き。。。


夏に出会った彼とは、秋になっても続いてて・・・ 金色に色づいた街路樹を見ながら、仕事が早く終わった私は、彼の働くバーガー屋さんへと向かっているの。

ある公園の中で移動ワゴンでバーガー屋さんをしている彼等に、久しぶりに会えると弾む足取りで歩いていく私は、 “ いい年 ” をしているのにハシャイでたの。


「檜山くんや咲ちゃん、元気かなぁ〜・・・ふふ」

公園の入口に着いた私は、金色の銀杏の木々や、すっかり秋模様な公園の風景にしばし見惚れてたの。


「あれ・・・・・?」
視界の端に入った数人の男女・・・・・ううん、女のコが数人に男性が1人のグループを、何の気なしに見たんだけど・・・・・・



「キャハハハ! 柳川さん、すっごい面白い〜〜!」
「ねぇねぇ、ハンバーガーじゃなくてさ〜〜カラオケとか行きません?」

「え? 俺と? 嬉しいねぇ〜〜・・・カラオケとか久しぶりだわ!」
「じゃあ、行こうよぉ〜〜・・・」

女のコの1人が隆一くんの腕に、絡みつくみたいに腕を組めば、反対側も同じように女のコが、ぶら下がった。

あぶれたもう1人が、前にまわって可愛らしく首を傾げながら、カラオケに行こうと誘っていた。

「君達みたいな可愛い子に誘われたら、断れないなぁ〜〜」
「行こう、行こう!」

「んじゃああ〜〜〜・・・・・行っちゃうか!!!」
「ヤッター!」


ワイワイ・キャワキャワと賑やかに、隆一くんは女のコと公園を出て行った。。。


彼女達は高校生? 大学生? 弾けるような若さが、三十路の私には眩しすぎる。

隆一くんは26才・・・・・・4つ上の私より、年下がいいに決まってるか。

さっきの彼女達はどう見ても20才そこそこ・・・・・・下手したら私より10こも下になっちゃう。。。


・・・・・・・・女のコ大好きな彼は、ナンパ大好きで・・・・・年下の可愛い子が大好きで・・・・・・


他の事は器用だけど、優しさだけは不器用な人で・・・・・・たまに冷たいような態度をとるから誤解されるけど、誰より優しい人。。。

きっと、私より若い方がいいに決まってるのに、私の事を切り捨てられないんだろうな・・・・・


もうじき、別れる事になりそう・・・・・・


私がなんでそう思うかっていうとね、この頃・・・・・・シてくれないの。

なにって・・・・・・・ナニなんだけどね。

いつもなら彼の方から求めてくれていたのに、最近・・・・・キスも無い・・・・・・


私も新しく仕事が決まって忙しくしてたけど、出来るだけ彼と一緒にいたいから食事を作って部屋に呼んだりしてたの。

だけど、テレビ見たりしてくつろいでる時、何か考え込んでて・・・・・・話しかけても上の空で。


そんな事が続いてて・・・・・・やっぱり私は、もう飽きられちゃったかな?なんて感じてたの。


・・・・・・・たくさん、愛してもらえた。

・・・・・・・たくさん、彼の胸で泣かせてもらえた。

・・・・・・・たくさん、笑わせてもらえた。


もう、十分だよ。。。

親にも放置された子だった私がさ、あんなに愛されたんだもん・・・・・・もう、十分だよ。

だから、もし彼から別れを切り出されたら・・・・・・笑顔で、彼を解放してあげたい。


そんな事を考えていたの。。。






「お久しぶりぃ〜〜〜」
「あーーー! 桜お姉ちゃんだ!」

熱烈歓迎してくれる咲ちゃんと、話したいけど・・・・・・混んでるね、お店。

「手伝うね! エプロンあるかな?」
「すまない」

1人でテンテコ舞いしてる檜山くんに申し出て、私は店員に早変わり!

檜山くんがバーガーを作って、私がジュースやポテトをセットして、持ち帰りや食べていく様に仕分けて、お客様に渡してレジ!

「ありがとうございましたぁ〜〜」
「ありがとうございましたぁ〜〜」

ふぅ〜〜・・・ひと段落した〜〜・・・

「すまないな、せっかく遊びに来てくれたのに手伝わせて」
「いいの、いいの! 久しぶりに楽しかったー!」

「食べてくか?」
「いいの? 欲しい! あいきょでしょバーガー美味しいから」

そうして今度は暇になったお店の前で、バーガーに齧りついた私は、咲ちゃんや檜山くんと話してたんだ。

「それにしても、柳川のヤツ・・・・・・どこまで客引きに行ってんだよ」

・・・・・・カラオケだからな〜〜、1時間で戻ってくるかな???

「せっかく柳川を迎えに来たのに、残念だったな」
「今日は咲ちゃんや、檜山くんの顔見にきたからいいの!」

もう少しでお店は終わるだろうから、私はそろそろ帰るね〜〜!

そう言って帰った私は、いつも通りだったかな?

2人の前で悲しい顔とかしてなかったよね? 大丈夫だよね?

お客さんで忙しかったのは、良かったんだ。

お店に来る直前に見た彼の様子に、きっと変な顔してただろうから・・・・・忙しいって気がまぎれるから!


家に帰って、お風呂に入って、疲れたからすぐにベットに入ったけど・・・・・・彼からは何も連絡が無かった。。。

「タイミング悪かった」って、送った LINEには既読さえつかなかった・・・・・・・

突然、店に来た私のこと・・・・・・檜山くんから聞いてるよね?

それでも、何もないってことは・・・・・・あは・・あはは・・・・・も、本当に終わりなんだね。


私はその夜、ベットの中で思いきり泣いたの。

もうすぐそこにある、彼との別れに・・・・・・・・

思いきり泣いて、泣いて、泣いて・・・・・・・泣きながら寝てしまった私は、次の日、見事に瞼を腫らせて、見られたものじゃなくなっていた。



「はぁ・・・・・」

会社、休んじゃった・・・・・・

モコモコの部屋着のまま、リビングのソファーの上でブランケットに包まってジッとしてる私は、情けないよね。


初めての恋人との別れが、こんなにもダメージがあるなんて・・・・・思ってなかったな・・・・・・

何もする気がない・・・・・ただ、ジッとしてたいだなんて。。。


はぁ・・・・・


ズルズルズル・・・・・・ソファーの上で座ってられなくて、寝ころぶ私はブランケットに包まれて、そっと目を閉じた。。。




「おい柳川! 桜さんに連絡したのか?」
「ああ? ・・・・・・まぁ、な」

「昨日わざわざ来たんだ、なんかあったんじゃないのか?」
「・・・・・・」

「お前、このごろ変だぞ?」
「・・・・・・ん、分かってる」

「・・・・・・どうしたんだ?」

檜山が心配そうに見てるけど、俺は・・・・・俺は・・・・・・黙るしかなかった。

「・・・・・言いたくなったら、言えよ」
「・・・・・・ああ」



事の起こりは2週間ほど前の、ある昼下がりだった。。。


スーツ姿にメガネの、いかにもエリート臭をさせた男が俺らのワゴンにやって来た事だった。

「はい、あいきょでしょバーガーセットです、ありがとうございました」
「柳川さん、ですね」

バーガーを渡した俺に問いかけてきたその男と、ワゴンから離れて話をしたんだ。

「申し遅れました、私は高城部長の秘書をしております」
「あ、桜の・・・・・」

桜は俺の古巣の会社の経営難を救ったあと、三國っていう人の会社の新しい部署の部長になったんだ。

なんでも手広く会社を経営している三國さんの、会社の中の経営見直しとか、コンサルティングするとかで、毎日忙しそうに過ごしてるよ。

生き生きしてる桜がさ、俺も嬉しくてさ・・・・・なかなか逢えないけど、そこはグッと我慢してんだぜ!!!

・・・・・・で、その桜の秘書さんが俺に、何の用なんだ?


「高城部長は素晴らしい方ですね。 仕事の仕方が暖かい方です」
「はあ・・・」

「自分の利益より相手の利益を第一に考え、素晴らしいアイディアを出されていく。私は部長の秘書になれて誇りに思っています」
「あの、要件は・・・・・・何でしょうか?」


「単刀直入に申し上げます。 柳川さん、部長と別れてくれませんか?」
「へ?」

「新しい部署も部長をリーダーに纏まりつつある現在、スキャンダルは困るのです」
「スキャンダル?」

「ええ・・・・・前科者の恋人がいるなど、 “ 天下の三國 ” の部長には相応わしくないのです」
「・・・・・・・」

「あの方は社長である三國に気に入られています。きっと数年後には三國の後継者となる事でしょう」
「・・・・・・・俺が、スキャンダル・・・・・・」


「ええ、前科者の恋人など足枷以外の何物でもないですよね? それは自覚、ありますよね?」
「・・・・・・・・・」

「今すぐなど酷でしょうから、そうですね・・・・・1ヶ月の猶予期間を設けますから、その間に別れてください」
「・・・・・・・・・」

「別れたら連絡下さい、手切金としてそれなりのお金を用立てております」
「・・・・・・・・金?」

「ええ、あなたが部長にしがみついているのは、部長の年収や貯金などが目当てなのでしょう? これが私の番号です。では、失敬」

言うだけ言って帰った秘書は、冷めたバーガーに触れもせずに置いていったんだ。

俺らのバーガーは、食べるつもりもないんだろうけどさ・・・・・・・・


俺は、桜の足枷にしかならないのか?

なあ・・・・・・・桜・・・・・・・


俺は、お日様みたいにピカピカの・・・・・お前にまとわりつく、ハエみたいなもんか?

煩わしい・・・・・・嫌な・・・・・・・そんな存在なんか?


学歴もない、育ちも悪い、前科持ち・・・・・・確かにそんな俺が、ピカピカのお前の隣に立つなんて無理があるよな?

大好きな桜のために、俺に何ができるんだろう?


日本を代表する “ 天下の三國 ” は、飲食から貿易まで様々な事をしている日本でも有数の財閥なんだ。

桜はその社長の三國さんから、自分の持つ大小様々な会社の経営コンサルタントになってほしいと話を持ちかけられたんだ。

内部監査も兼ねて、経営陣の腐敗や癒着、それに経費の無駄など多岐にわたって調査する部署を新設し、その上に立って指揮をとってほしいと言われたんだ。

悩んだみたいだけど俺も応援するから、思いきりやって来い!なんて言っちゃったんだけどなぁ〜〜。


バリバリ仕事して結果を出してる桜にとって、俺は・・・・・・・・身を引いた方が、いいのかな?


だってよ〜〜、桜ちゃんね生き生きしてんだわ!
水を得た魚のように、仕事をしてるんだわ!


・・・・・・・俺が側にいる事で、もしその仕事を手放す事になったら?

・・・・・・・俺っていう存在がさ、桜のお荷物なら・・・・・・俺、俺・・・・・・・・


そんな事をずっと考えてるから、桜の家に行っても苦しくてさ・・・・・すぐに帰っちゃうんだ。

慣れない料理をさ、指に絆創膏はって頑張って作ってくれてんのにさ・・・・・それが、苦しくてよ。


本当は桜に触れたい・・・・・・絆創膏の指に触れて、熱いキスしてさ、その身体を抱きしめたいよ。。。


何度触れようと思ったか分かんねぇーよ!
でもさ、でも・・・・・・俺が、触れていいのか???

なあ、誰か教えてくれよ・・・・・・・俺、桜から離れた方がいいのか?

なあ、誰か応えてくれよ・・・・・・・桜から離れるって考えるだけでさ、胸が苦しいんだ、痛いんだ、息が出来なくなるんだ。


なあ・・・・・俺さ、どうすりゃいいんだよ?

桜と別れて・・・・・・・本気で愛してる女を手放して、俺・・・・・・まともでいられんのか?


だけど、桜のためだもんな! 俺の苦しみなんか小さい問題だよ・・・・・アイツが仕事に頑張れれば、それで・・・・・・俺は、耐えられる。



「・・・・・・そろそろ、話しなきゃな・・・・・・」

別れを言い出さなきゃな・・・・・なんて思うのに、実際はそれをしたくなくて、桜からの連絡さえ無視してしまう。

何やってんだよ、俺は・・・・・・・

スマホの画面のなか、新着のラインが桜からのだと表示されてて・・・・・・読めないでいたんだ。

俺は次の日意を決して、桜に電話で別れを言おうと・・・・・・・かけたんだ。






「はあ・・・はあ・・・うぅ・・・・・寒い・・・・・」

ゲホッ・・・・・・あれ? 私・・・・・ソファーで寝てたのか。

ブルッと身震いした私は、明らかに熱が出ていた。

「マジ? うわ〜〜弱ってるときに風邪かぁ〜〜」

はぁーー・・・・・しんどい。
アイスノン出して、ちゃんとベットで寝て、解熱剤飲んで・・・・・・ああ・・・・何か食べなきゃ、薬飲めないなぁーー・・・・・

頭では分かってても身体が怠くて動けない・・・・・・・・動きたくない・・・・・・・

私は側に置いてあったスマホで、隆一くんの番号を表示したんだけど・・・・・・・かけれないな。。。

手の中のソレが鳴って着信があった・・・・・・うわ、隆一くんだ。

「・・・・・・もしもし」
『あ・・・・・俺だけど・・・・・いま、いいか?』

隆一くんの声だ・・・・・・少し緊張してるみたいな、低い声だけど久しぶりに聞いた彼の声に、胸がトクン!て動いた。

「・・・大丈夫。 久しぶりだね」
『ああ・・・そうだな』

いつもと違う話し方や声のトーンで、不意に分かってしまった・・・・・・隆一くんは、今から別れ話をしようとしてるんだって。

「どうしたの? 何か用事あった?」
『ん? まあ、用事っちゃー用事なんだけど・・・・・・なあ、桜』

「うん」
隆一くん、隆一くん、お願い・・・・・別れるなんて言わないで!
あなたの側にいさせてよ・・・・・・お願いだから・・・・・・・大好きなの・・・・・・

『俺さ・・・ 』
「・・・・・・・・うん」

隆一くん・・・・隆一くん・・・・・りゅう・・・いち・・・・くん・・・・・・

「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・・・」
『・・・・・どうした桜? なんか変じゃねぇーか、声?』

「はぁ・・はぁ・・・りゅう・・・いち・・・・くん・・・・・・」
『桜? おい、どうした! 桜? 桜、なあ答えろよ!』

私は急に意識が遠くなって・・・・・・スマホを握りしめたまま、ソファーに突っ伏した。



「桜? おい、桜!? どうした! 返事しろよ!」
『はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・』

「すぐ行くからな、待ってろよ!」

桜が、桜が・・・・・俺は返答のないスマホを握りしめ、焦ってアパートから飛び出したんだ。

助手席にスマホを置いて、桜のマンションまで飛ばした俺が、合鍵で入った部屋には・・・・・・・嘘だろ?

ぐったりとソファーに寝ている桜が、苦しそうに息を荒くしていた。



「おい、桜! ・・・・・・アツッ!!! なんだよ、この熱・・・・・」
「はぁ・・はぁ・・・」

汗だらけの額に乗せた手は、信じられないほど熱くて、赤い顔の桜の頬に触れても熱くて沸騰してるみたいなんだ。

「桜・・・・・桜・・・・・」
俺が呼んでも何も反応しない桜に、その苦しそうな様子に俺の頭が真っ白になっていく。

「すぐに病院に運んでやっからな! 保険証はこの引き出しに・・・・あった!」
俺は桜を抱き上げ、お姫様抱っこで車に運んで病院に運んだんだ。

近くの総合病院に運び込んだ桜は、すぐにストレッチャーに乗せられて運ばれていく。

「桜・・・分かるか? 病院だぞ? もう大丈夫だからな・・・・お願いします」
「患者さんのお名前は?」

「高城 桜です」
「ご家族の方はこちらでお待ちください。 高城さん? 分かりますか? 」

カラカラと部屋に運ばれていった桜を見送って、俺は廊下のソファーにすわりこんだ。


「なんだ? ・・・・・・手が震えてら・・・・・へへっ、カッコ悪りいな〜〜」


桜がぐったりと・・・・・苦しそうに息が荒くて、汗がいっぱい出てて、そして・・・・呼びかけても返事もしない・・・・目を開けることもない、そんな桜を見て、俺・・・・・俺は・・・・・・


息が止まった。。。

頭のなか真っ白になって、そんで・・・・・・怖かった。。。

このまま目を覚まさなかったら、どうしようって・・・・・不安で不安で、パニックになりそうだった。

ようやく病院に連れて行くことを思いついた俺だけど、あのとき本当にどうすればいいのか分かんなくて、吐き気がするほど気持ち悪かった。

車の助手席に乗せた桜が、小さく俺の名前を呼ぶのを聞いて、俺さ・・・・・・俺さぁ〜〜・・・・たまんなかったんだ。


俺・・・・・・我が儘いってもいいか?


俺・・・俺さ・・・・・・・・・・



「高城 桜さんのご家族の方〜〜・・・・・先生からのお話があります」
「はい!」
俺は呼ばれるまま、先生と話をしたんだ。

先生の話によるとさ、ストレス性の発熱なんだって。

「ここ2、3週間の間に急激にストレスがかかった、などはありませんか?」
「えっと・・・・・」

「それと高城さんは、しばらく何も食べてなかったんじゃないですか? もしくは極端に食事を減らしたとか・・・・・・水分と栄養を点滴で補給して、熱が下がれば大丈夫です」
「ありがとうございます・・・・」

俺は先生に、今晩は桜に付き添ってやりたいとお願いしたんだ。






点滴が効いてるのか、どんどん楽そうな顔になってきてる桜に安心した。



「お〜〜い、桜ちゃ〜ん・・・ どうしたんだよ? いきなり電話で話さなくなったからビックリしたんだぞ〜〜」
寝ている桜に話しかける俺は、やっとホッとできた気軽さからか、応えのないまま話しかけていた。

「ほんと、ビックリしたんだからな・・・・・・お前が呼びかけても応えないって、ほんと、マジ勘弁して・・・・・」
「りゅう・・・いちく・・・・・ん・・・・」

「気がついたか? ・・・・・・なんだよ、寝言かよっ!」

でもよ、寝言で俺の名前呼んでるなんて、なんか・・・・・・・いいな。
夢の中にも俺が出てきてるって事だろ? ・・・・・っへへ!

「りゅう・・・いちくん・・・・・・」
「はいよ! そう何度も呼ぶなよ、照れんじゃねぇーか・・・・・・・えっ!」

へへへって照れくさくて笑いながら桜の顔を見た俺は、意識のないまま 俺の名を呼びながら涙を流す桜を見たんだ。

「え? なんで? なんで泣いてんだよ、桜っ! なあ、どうした?」
「りゅう・・・いちくん・・・・・・・・捨てないで・・・・・・・」

・・・・・・桜? お前、もしかして俺がお前と別れようと思ってたの、知ってたのか?

「捨てないでぇ・・・・・・そばに・・・・・いさせて・・・・・」
小さな声で、俺に呼びかける桜・・・・・・・・

目尻から溢れてくる涙はそのまま耳に流れて、やがてシーツに消えていく・・・・・・

不意に先生の言葉が頭の中に蘇ってくるけど、お前が熱出したのってもしかして、俺が別れるとか考えてたの感じたからか???


・・・・・・・・・ 俺が、お前を捨てると思ったから???

だからメシも食えなくなったのか? 目の下のクマは、眠れなかったのか? おまけにこんな熱まで出して・・・・・

・・・・・・・捨てられると、怯えてたのか?

俺は・・・・・・俺は・・・・・・


「ははっ・・・・・・馬鹿野郎だ、俺って・・・・・」

お前にそんなこと思わせちまってたなんて、ほんと馬鹿野郎だわ!!!



父親が女作って家を出て行ったとき、小さな女の子の桜はきっと・・・・・・・捨てられたと、思っただろう。。。


母親は出て行った父親を忘れられず、小さな自分の娘の世話も忘れて悲しみに浸ってたんだろう。

酒浸りで食事さえ作ってもらえなくなった桜は、母親からも・・・・・・捨てられたと、思ったはず。。。


そして今度は俺が・・・・・・・俺がお前にそんな思いをさせちまったんだな・・・・・・


「ごめん! すまねぇ〜〜桜っ! 俺って、ほんと大バカ野郎なっ! ごめんな! ごめん・・・・・ 」

俺は桜の頭を撫でながら、そう囁くように謝り続けたんだ。


まだ熱い手を握って、俺は一晩中 桜を見ていた・・・・・・


夜中、フッと目を開けた桜が俺を見て・・・・・・驚いたと思ったら、嬉しそうに微笑んでるんだ。

「隆一くん・・・・・」
「まだ寝てろ? ここは病院だ・・・」

「え? あ・・・・私、熱が出てた」
「そ! 電話の途中で何も言わなくなったから、焦ったぁぁ〜〜〜・・・慌てて部屋に行ったんだぞ?」

「ごめんなさい、迷惑かけちゃったね・・・・・」
クシュンと申し訳なさそうな顔する桜の手を握った俺を、桜がベットに寝ながら見上げてくる。

「桜ちゃん、ごめんなさいじゃないでしょ? こういう時は、ありがとうでしょ?」
少しおどけて言う俺を、ジッと見つめてる桜の目が・・・・・悲しそうに揺れてるんだ。

「・・・・・・・隆一くん、もう・・・・いいよ?」
「ん? 何が?」

「・・・・・別れたいでしょ? だからもう別れよう? 」

やっぱり・・・・・頭のいい桜の事だ、とっくに俺の態度の違いに気がついて、バレてると思ってたさ。

でもよ、そんな悲しそうに俺を見てさ、うるうるした目してさ、俺の負担にならないよう自分から言いだしてさ・・・・・・



意識のないときには、捨てないでって泣いてたくせに・・・・・・・・・・



ああ・・・・・・

ああ〜〜〜・・・・・・もう!!!


止めた! 別れてやんねぇ〜〜! 俺が身を引いたらお前が幸せになるって思ってたけど・・・・・


ああああああああ〜〜〜〜〜〜・・・・・・・ちくしょう! ちくしょう!!!



離せねぇーよ! 離れねぇーよ! 桜が不幸になっても俺は、コイツを離したくねぇーーー!!!


「別れねぇーーかんな! 俺は桜を愛してんだからな! 絶対、絶対、別れねぇーかんな!!!」
「隆一くん?」

「もし前科持ちの俺が側にいるから桜が不幸になっても、離れてやんねぇーから!」
「りゅう・・・いち・・・・くん・・・・」


「桜は? 俺と別れたほうがいいか? どうだ? ・・・・・・・今なら、お前が望めば俺は・・・・」

そんな俺の問いかけにベットから起き上がった桜は、熱でまだ熱い身体でぶつかる様に抱きついてきた。

「いや! 隆一くんと別れたくない! ずっと、ずっと、お爺さんやお婆さんになっても一緒にいたいの!」
「・・・・・・・俺もだ」

ギュッと桜を抱きしめて、俺もそう応えて・・・・・・・俺たちは互いを熱く見ながら、唇を重ねたんだ。

何日ぶりかのキスは、激しくて・・・・・・・桜が口の中まで熱くてさ、舌が火傷しそうなほど熱く感じるんだ。

でも・・・・・・ようやっと触れられた桜に俺は夢中になって、けっこう長い間キスをしてたんだ。

そうして俺たちは仲直りしたんだけどさ、そもそも俺が桜から離れようとした原因が知りたいって彼女に言われて、あの “ 秘書さん ” の事を話したんだよ。



「・・・・・・秘書?」
「ああ・・・ 桜ちゃんの秘書さんにさ、言われたんだわ! 俺みたいな前科持ちが側にいたらスキャンダルになるって」

「だから、私と別れようと思ってたの?」
「うん・・・・・・ごめんな?」

「ねえ、隆一くん・・・・・・秘書は名刺を置いてかなかった?」
「うん? ああ、もらったけど・・・・・・どしたん?」

「隆一くん、私に秘書はいないんだよ?」
「え??? うっそ!!! 何それ?」


「名刺、見せてくれる?」
「あ、ああ・・・コレだ!」

財布に入れといた秘書さんの名刺を桜に渡せば、コイツの顔が怒りで固まった。


「え?え? 桜ちゃん? ちょーっと、お顔が怖いんだけど、どうしちゃったのかなぁ〜〜???」
「この人、私の秘書でもなんでもないし、他部署でエースって言われてる人なんだけど、三國さんに抜擢された私のこと面白くないの」

「この人?」
「そう・・・仕事でも邪魔してきてたけど、まさかプライベートまで手を出してくるとはね・・・・・」

「なんだよ、そりゃ・・・・・エリートのくせに汚ねぇー奴だな!」
「・・・・・・・・ほんとにね。。。」

「えっと・・・桜ちゃん? まだ夜中だからね、そんな怖い顔してないで寝んねしよっか?」

キラン☆と目を光らせてる桜に、俺はソイツが何らかの報いを受けると確信したんだけどさ、今は養生しなきゃだからな!

点滴だってしてんだし、さ、さ、さ、グッスリと寝んねしなさい!

俺がベットに横にさせようとしたら、桜・・・・・・イヤイヤって首を振るんだ、だから何で?って聞いたんだ、そしたら。。。


「・・・・・・隆一くん、抱っこして?」
「ん〜〜? 甘えん坊さんだね、桜ちゃんは〜〜・・・・・」

それだけ寂しい思いをさせちまったんだな・・・・・・捨てられるって思うくらい。

俺は桜の腕に刺さってる点滴に気をつけながら、桜をぎゅ〜〜〜っと抱きしめた。

「ごめんな、俺が簡単に騙されたから・・・・・・桜に寂しい思いさせちゃったな」
「ううん、隆一くんは私の為に別れようと考えたんでしょ?」

「もう何があっても別れるなんて思わねぇーかんな! 離さねぇーから・・・・・桜っ!」
「隆一くん、嬉しい・・・・・・」

ぎゅうぎゅう桜を安心させるため、抱きしめてたら・・・・・ホッとしたんだな、コトンと寝ちまった桜をベットに寝かせたんだ。

「・・・・・・もう、離さないからな。 それでいいんだよな? 俺が桜の側に居ても、いいんだよな?」

桜の手を握り、おでこや髪を撫でて俺は、それから朝まで側に付いてたんだ。

檜山に桜の事をメールで説明したら、こっちはいいから確り看病してこい!なんて返事が来てさ。

持つべきものはダチだなぁ〜〜って、有り難かったよ。


朝方にはすっかり熱が下がった桜は、その日の午前中に退院できたんだ。



できたんだけどさ、桜ちゃん???

部屋でスーツに着替えた桜ちゃんに、俺はお目々が点なのよ???

「えっと、桜ちゃん? できれば安静にしてないといけないって、先生が言ってたよね? 一緒に聞いてたよね? ね?ね?」
「・・・・・・・・隆一くんも一緒に来て!」

「何する気なのかなぁ〜〜・・・・・また怖いお顔になってますよ?」
「・・・・・何日、悩んだと思う? この精神的苦痛を、ぶつけにいくわ!」

「ちょ、ちょ、ちょっと、待って! 桜ちゃんタンマ!」


俺もさ、腹が立つよ? でも報復してもさ、ソイツが逆恨みしたりするじゃん!?

今の世の中さ、逆恨みでブッスリ刺されるとかあるじゃん! だから止めとこーぜ?

「止めとこーぜ? 俺はそんな卑怯な奴より、桜の身体の方が心配だからさ・・・・・」
「隆一くん・・・・・」

とにかく桜を止めて、俺は彼女をベットに寝かせてさ、お粥とか作って食わせてたんだ。

それから少し寝た桜は・・・・・・・



見事に復活して「ステーキが食べたい!」とか、吠えてんの(笑)

これなら、心配いらないかな???


俺はその晩、桜のマンションに泊まって・・・・・ って、エッチはしてないかんね!

さすがに病み上がりは襲えないっしょ!

食事を作って2人で食べて、一緒のベットで抱きしめあって寝たんだ。

それから俺たちは話し合ってさ、一緒に住むことにしたんだ・・・・・・






元気になった桜が、バリバリ仕事してるなか・・・・・・俺たちのバーガー屋に、あの偽物の秘書さんが来たんだけど。。。

何を言われたのか、何をされたのか知らねぇーけど、ソイツは平謝りに謝ってきて土下座までしそうになってたんだ。

慌てて止めたけど、真っ青でさ、ブルブル震えながら俺が許してくれないと大変な目にあうんだと怯えてるソイツ。。。


ねえ、桜ちゃん?

君はいったい何をしたんだね?

仕方ないから「許しますよ〜〜」って言ったら、帰って行ったけど。


桜に会って聞いてみても、ニコッと笑ってキスで誤魔化されちゃうし・・・・・へへっ、まあ熱い夜を過ごせたから、俺はいいんだけどね〜〜〜

あの夜は、桜ちゃんが積極的でさぁ〜〜・・・・・もう、エロくて色っぽくて、僕ちゃん大変だったんだもんね〜〜

一度じゃ治んなくて、何度も求めちゃったんだよなぁ〜・・・・・へへへっ!


そんなこんなで色々あったけどさ、雨降って地固まるっつーの?


相変わらずラブラブですぅ〜〜〜!!!

ご心配おかけしました! じゃ、今から桜と風呂だから・・・・・バイバイ〜〜!





最後はハーピーエンドがいいですよね!

柳川君は大好きなキャラなので、細々と続けていきたいです!

感想や拍手など、お待ちしてます!


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すー※さん

Author:すー※さん
私的妄想世界が広がっております。
イチオシは窪田正孝さんの役柄いろいろ妄想話です♡(その他にも相棒の神戸さん、スネイプ先生や善徳女王など色々でございます)

最近は更新ができてませんが、発作的に投下してます。
8月、9月の試験に受かれば時間ができるので、それまでは見守っていて下さいませ。

合言葉は『シリアスからエロまで』・・・・・楽しんでいただければ幸いです。。。

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