②《花屋のマドンナ》by 柳川隆一

続きになります。

西園寺さんは妖しくて暗く、そして耽美な・・・・映画キャシャーンの内藤役のミッチーをイメージしていただくと嬉しいです。



「桜ちゃん、あの男と何があった?」
寮の中でも怯えてる彼女をソファーに座らせ、俺は訳が聞きたいと彼女を見つめたんだ。

「・・・・・・話を、聞いていただけますか?」

思いつめた彼女は、それでもゆっくりと話し始めたんだ。

「私の父は、私が小さい頃に若い女性と家を出て行ったんです。 それから母と2人で花屋をがんばっていました・・・」

小学2年の頃でした・・・・・学校からすぐに帰って花屋を手伝う毎日は、忙しかったけど楽しかった。
そうして私は将来を考える年になって、迷わずフラワーアレンジメントの専門学校に行く事を選びました。

寮に入ってた3年間で、資格も取れた私はこれで卒業したら母を手伝い一緒に花屋さんを手伝えると思ってました。

でも、帰ってきたら・・・・・母はある男性と、再婚してて・・・・・

母が幸せになるのなら、私は賛成です!
相手の方も良い人で、家庭の専業主婦になった母は私の弟まで産んでくれて・・・・すごく幸せそうで。

でも・・・・実家の花屋は、閉店しました。

母の相手の方は、フラワーチェーン会社の社長さんで・・・・・母が働かなくてもいいほどお金持ちだったんです。

私はアレンジメントの仕事がしたくて、花屋さんでバイトをしました。
そこはアレンジメントを主にしている所で、色々な場所に花を活けに行きました。

個人宅から会社や、会場・・・・本当に色々なところへ。

その中で私はあるお金持ちのお家のアレンジメントを任され、通っていたんです。

そこが西園寺家で・・・昔からの華族の血筋の名家で、会社もたくさん持ってらっしゃるお金持ちなんです。

流星さんは、西園寺家の次男で・・・・・アレンジメントで花を活けている私を見初めたというか、結婚を前提にと父に申し込まれたんです。

父の勧めもあって、お付き合いというより友達から始めてもらいました。

・・・・・・でも、流星さんて何だか私、怖くて・・・・・・いつまでも慣れなくて。

ある時、流星さんは私を自分のマンションに連れて行って・・・・・・・ドレスに着替えてくれと頼まれました。

お人形が着るような、ドレスに着替えて・・・・・・そして、彼は私を眺めるんです。

「は? なにそれ?」
「・・・・一晩中、椅子に座らされて眺められました。 流星さんの私を見る目が、すごく怖くて・・・・・」

「なんだよそれ、異常じゃねぇーか!」
「帰ろうとしたら大きな声で怒鳴られて、手足を縛られました」
「は? し・・・・縛った?」

それじゃあ、監禁じゃねーか・・・・・・・

「ドレスを替えられながら、私は3日間帰れなくて・・・心配した両親が警察に捜索願を出したほどでした」
「な、何もされなかった? 大丈夫だったのか?」
思い出したのか青い顔した彼女に胸が詰まって・・・・・彼女の手を、握った。

「・・・・・・流星さんは、私を見てるだけなんです。 ジッと・・・一晩中、いえ24時間ずっと・・・・・それが怖くて怖くて」

「流星さんが寝ている間に、私は何とか足の紐を解いてそこから逃げる事ができたんです・・・・・でも」
「でも? どうした!」

「・・・・・・私が気に入ったからって、結婚を申し込まれて・・・・・・わたし、私イヤです! お人形のように飾られて蛇みたいに見られて、あんなの・・・・イヤです!」
ブルブルと震える彼女を俺は抱きしめていた。

「怖いの・・・・・・あの人が怖いんです・・・・・」
震えながら俺にしがみついてくる彼女を、俺は力一杯抱きしめていた。

「大丈夫だ! 俺がいるから、桜ちゃんのそばに居るから!」
「私の話を聞いて父が、母の弟の順叔父さんの所に逃げなさいって、言ってくれて・・・ その間に西園寺家と話をすると・・・・・・」

「いい親父さんだな」
「はい! 本当の娘と思ってくれてて、新しい父が、あの人で良かったと思います」

ニコッと笑顔が出てきて、俺は安心したんだ・・・・・



それから俺は店の騒ぎで駆けつけた社長に、話をした。

「桜ちゃんの親父さんは、何て言ってるんですか?」
「それがどんなに話をしても、流星さんは桜を諦めないそうなんだ」

「桜のような清らかな穢れのない女性を待っていたと、僕の妻は彼女しか考えられないと言うばかりでさ・・・・・その執着の強さに義兄さんも、焦ってるよ」
「・・・・・異常でしょう、その執着って!」
「ああ、俺も話を聞いて寒気がするよ!」

「俺、彼女のこと守ります! 絶対あんな奴に彼女を渡さない!」
渡してたまるか! あんな怯えて・・・・・怯えさせる男になんか、渡さない!!!

「皆にも事情を伝えておく・・・・・・迷惑かけるが、頼む! 俺の可愛い姪っ子なんだ」
「社長、水くさいっすよ!」

そこで桜ちゃんと咲人を連れて店に戻った社長は、桜ちゃんの事情を皆にも話したんだ。

昼間、1人になるからって今日から配送に加わる事にして、それはやっぱり俺の隣でしょう!!!

咲人は檜山と組んでもらって、ふへへへ、桜ちゃんと配送デートだぁあああ〜〜〜

「じゃ桜、これ着なさい」
「あ、皆と一緒なツナギだぁ〜! 着替えてきます!」

俺らと同じなツナギを着た桜ちゃん! 可愛いだろうなぁ〜・・・・

「お待たせしました、柳川くん!」
「ううん、柳川くん全然待ってないよぉぉ〜・・・・・・・・・・マジか!!!」

目の前に現れたのは、とても俺と同じツナギを着てるには見えない、可愛らしい桜ちゃんで。
気恥ずかしいのか、頬染めちゃってさぁ〜〜〜

もう柳川くん、心臓バクバクなんですけど!

「えへへ・・・似合うかな?」
「いや、可愛い! こんなしょーもないツナギも桜ちゃんが着ると、違うものに見えるから不思議だね〜」
「柳川くん、それ褒めすぎです!」
「いえいえ、本心ですから! ほんと可愛い!」
「・・・・・・嬉しいです」
「じゃ、配達行こう!」

俺たちはそれから車に乗って、花の配達に!

配達先をナビに入れて車を走らせる俺は、ちょっと視線を横に向ければ見える桜ちゃんに上機嫌なんだ!

こんなに仕事が楽しいなんて、感じたことないわぁ〜〜〜

楽しい楽しい仕事が終わり、社長以下、全員寮に揃って桜ちゃんの事を話し合った。

「伝票の住所でさ、桜ちゃん家は知られちまってるしヤバいよな」
「かといってお前達と住むっていうのもなぁ〜」
「大丈夫ですって、社長! いくら班長が女日照りが激しいからって、桜ちゃんは襲いませんて!」

「おい柳川! 俺がそんな事するわけないだろう!」
・・・・・・ま、おいといて。

「じゃあしばらくここに居るか」
「着替えとか取りに行ってもいいかな?」
桜ちゃんがそう言うのも分かるから、俺と行く事になった。

「んじゃ部屋は鍵のかかる部屋で、桜1人でな。 お前らもすまないな・・・・」
「いいですよ! 桜ちゃんを守るためなんすから!」
「・・・・・あんな良い子がよりにもよって、変態に目をつけられるなんて・・・」
「俺たちで守りますから! 社長は安心してて下さい!」

そうして、この寮の中がまとまったのだが・・・・・


はぁ〜・・・・・これが桜ちゃんの部屋かぁ〜〜〜

可愛いもんがゴロゴロしてて、いかにも女の子の部屋!って感じなんだよなぁ〜
しかもいい匂いがプンプンしてて、あ〜〜〜・・・俺、ここに住みたい!!!

「くぁー、俺ここに住みたいわ〜」

ボストンバッグに着替えや何かを詰めてる桜ちゃんを尻目に、俺は部屋の中を眺め回してた。

いやぁ〜・・・ここで桜ちゃんが、寝てんのかぁ〜・・・ゴクッ。

ベットが見えて変になりそうだから、他の方を見てると・・・・

「柳川くん、用意終わりました」
「ほい! そんなの1つでいいの?」
「・・・・・・足りないかな?」
首をひねる桜ちゃん・・・・・ま、アレだよ、足りないものあったら、また来ればいいから!

「また連れてきてあげるよ、じゃ、戻ろうか」
「はい」
「俺、持つから・・・」
ボストンバッグを俺が持って、2人で歩いていく寮への道のり。

「コンビニ寄っていいかな?」
「私も寄りたいです」
「何買う?」
「・・・・・肉まん食べたくて、あとチョコも!」
「なに、食い物? 肉まん好きなの?」
「そうなんです」

なんて他愛ない話をしながらコンビニ寄って、寮に戻ったんだ。




寮の玄関前の道に黒塗りの高級そうな車が見えた俺は、回れ右してさっきのコンビニまで戻って檜山に電話をかけた。

『・・・・・マズイぞ、こっちに来てる』
「今どうなってる?」
そっと抜け出したのか、檜山の声は抑えてある。

『食堂のソファーに座ってうごかねぇーんだ』
「なあ、近くのコンビニあんだろ? あそこまで車持ってきてくんねぇーか?」
『分かった』

檜山の声が力強かった。

俺は桜ちゃんに檜山に車を持ってきてもらったら、どこか泊まれる所に送ると話したんだ。
ちゃんとしたホテルとかさ・・・・・明日も迎えに来るから、心配しなくていいからね!

「親の所に送ろうか? ほら灯台下暗しでさ、実家の方が分からないとか」
「小さい弟がいるから、騒ぎに巻き込みたくないんです」
「えっと、じゃあ・・・・・どうする?」

その時、檜山が車を届けてくれたからさ、礼を言って乗り込んだんだ。

「・・・・・・・柳川くん、私が行き先決めてもいいですか?」
「いいよ! で、どこ行こうか? どこでもいいよ!」

「ずっと一緒に居るからさ・・・・・・」
「柳川くん・・・・・」

そうして俺たちは桜ちゃんの行き先のまま、車を走らせたんだ。



「・・・・・・逃げられたみたいですね」
「流星様」

僕は仕方がなく立ち上がり、この薄汚い寮から出たんだけど・・・・・本当に賤しい男達ばかりな環境なんだな。

彼女の清純さが彼らの薄汚れた意識に穢されそうで、ゾッとする。

「・・・・・それで、今彼女は?」
「はい、会社の車である場所へ向かっていると報告がありました」
執事からの報告で、僕も跡を追うといい車を出させた。

今度、彼女を見つけたら・・・・・もうこれ以上、何物にも穢されないよう僕の部屋に閉じ込めてしまおう。

そして彼女を戸籍から僕のものにするために、結婚という名の檻に入れてしまおう。

なに、彼女の意思など関係はない。
僕が欲しいのだから・・・・・・僕の、僕だけの美しいお人形。

君はただ綺麗なドレスを着て座っていてくれればいいんだ。

家事などしなくていい、僕の欲で君を穢したくはないからsexもしなくていいよ、欲を吐き出す女など幾らでもいるから。

君はただ、そこに居て僕の目を楽しませてくれればいいんだ。

ああ・・・子供? 子供なら欲を吐き出す女についでに産んでもらうよ。

君はそんな事しなくていいんだ。

子供を産めばスタイルが崩れるし、時間も子供に取られる・・・・・そんな事は、他の普通の女にさせればいいんだ。


君のように清らかで、美しく、慈愛に溢れた存在は、僕を一生・・・・・・楽しませてくれればいいんだ。

先日の様に逃がしはしないよ?

別の君に相応しい家を用意したんだ。

そこはね、外からも鍵をかけられるんだよ?
だから、一生・・・・・君を閉じ込めることができるんだ。

クックックッ・・・・・・・今夜、君をそこに招待するからね・・・・・・楽しみにしておくんだよ。

車は走る、君のところへと僕を運んで行く。

黒い車がやがて、柳川の運転する車に追いつき、その後ろを静かに付いて行っていた。



「・・・・・ここ?」
「はい! 母と住んでいた家です」
「鍵とかあるの?」
「持ってます・・・・・・開いた」

2人で入っていけば、ああ・・・・花屋だなって造りなんだ。
店の奥が茶の間とキッチンで、たぶん2階がそれぞれの部屋になってるっぽい。

「たまにきて掃除してるから、そんなに埃っぽくはないでしょ?」
「全然きれいだよ〜、まだ寮の班長の部屋の方が汚いわ!」
「またまた柳川くん、オーバーなんだから!」
「違うってホントだってば! 班長達の部屋マジで汚いから! それに比べたらここは天国みたいにキレイだよ」

クスクス笑う桜ちゃんにホッとした・・・・・・あんな強張った顔、似合わねぇ〜からさ。

「じゃあ柳川くんの部屋は? キレイなの? それとも汚いの?」
「俺の部屋はぁぁ〜〜〜・・・・・・・あ、これなに?」
「話し逸らした!」
「いいじゃん、俺のなんて! ね、これって弟の写真?」

俺が見つけたのは赤ん坊の写真で、え? 双子? 赤ん坊が2人一緒に写ってるよ?

「そう、私の弟! 双子なんだぁ〜・・・・すごいヤンチャでね、目が離せないんだよ〜」
「今いくつ?」
「3才! ほんと可愛くて、私も赤ちゃん欲しくなっちゃうもん!」
「あ〜赤ん坊はね〜・・・可愛いよね〜」

「私ね、結婚前提にお付き合いして下さいって言われたとき、自分もそんな年になったんだって思ったの」
「うん・・・・」
「ほら流星さんて見た目はスゴい王子様みたいでしょ? お花を活けに行って見かけるうちに、憧れてて・・・・・申し込まれて嬉しかったの」
「・・・・・・・そっか」

体育座りした桜ちゃんは、懐かしむみたいに話してるけどさ、俺にしてみれば複雑なんだよな。
惚れてる彼女の口から「憧れてた」だの、「嬉しかった」だの聞かされてさ〜

それでも俺は、じっと聞いてたんだ・・・・・彼女の話を。

「誰とも付き合った事ない私は、お友達から始めてほしいって頼んで流星さんとデートしたんだけど・・・・・」
デート、したのか・・・・・

「いつも流星さんの部屋で、何をするでもなく・・・ただ部屋で過ごしてた。 流星さんは私をいつもジッと見てて・・・・会話もなく、ずっと見られるだけ・・・・・」
「なにそれ? 変だよ、そんなの変だよ!」

「変なんだよね? せめて会話がないと変だよね? テレビを見る事もないし、雑誌や本を見るわけでもない・・・流星さんの目は、私を見てるだけなの」

変だよ、それ・・・・・そんなの、おかしいよ!
それは・・・・・水槽の中の魚を見てるみたいじゃん!
生身の男がする事じゃねぇーよ。

「・・・・・・・いつの間にかその視線がね、怖くなったの」
「桜ちゃん・・・・」
「ジッと見られるだけ・・・・・まるで水槽で飼われてる熱帯魚になった気がして、全身に鳥肌が立ったの」

「それからはもう、彼から逃げる事しか考えられなくなって・・・用があるからって誘われても行かないようにしてて・・・・・そしたらバイト先で待ってて、無理やり部屋に連れて行かれて・・・・・・」

怯える彼女を俺は、抱きしめていた。

「大丈夫だから・・・・・俺がなんとかすっから! 怖がらなくていいから!」
「柳川くん・・・・・・だからね、遊園地・・・・すごくすごく、嬉しかったの」
「桜ちゃん・・・・・」
「もし普通の人と付き合ってたら、こんなに楽しいのかなって! こんなにお日様の下で過ごせるんだって!」

「私・・・・・・もっと普通の人と付き合いたい。柳川くんみたいに優しい人と、付き合ってみたい!」
「・・・・・・俺に、しないか?」
「え?」
「俺と付き合ってくんない? 俺さ、前からずっと桜ちゃんのこと好きで・・・・・遊園地だって、デートのつもりで誘ったんだ」

「柳川くん・・・・・本気ですか?」
「本気、本気! スゲェー本気!」
「・・・・・・ナンパ行ってるの知ってます。 付き合っても行く気なら、私イヤです」
「誰が話しやがった!!! ・・・・もう行かないから! 桜ちゃんが彼女なら、絶対、絶対、行かないから!」
「・・・・・・もう1度、聞かせて? 私のこと・・・」

「俺、マジだから! 桜ちゃんのこと本気で惚れてるから! だから俺と付き合って欲しい」
彼女の両腕を掴んで、真っ直ぐに顔を見てそう言えば、桜ちゃんがポロポロ泣いちゃってさ、俺もう焦る焦る!

「泣くほど嫌かっ! マジで? 俺そんな・・・・嫌われてたの・・・」

ガァァーーーン・・・・・・・はい、俺の人生これでおしまい、お先真っ暗!!!
あああああ・・・・・・明日っからマジでどうしよう・・・・・彼女に嫌われてて、生きてく気力無くなったわ〜・・・

「違うの! これは・・・ひっく、嬉しくて・・・ 私、柳川くんのこと・・・・・ひっく・・・好きです」
「桜ちゃん・・・・・」

パアアア〜〜〜・・・・・・俺の頭上には嬉しさで天使が舞い踊り、BGMは結婚行進曲が鳴り響く!!!

「よし、ご両親に挨拶に行こう! その前に俺の母ちゃんに会ってもらうか? いやまて、ちょっと待て、落ち着け俺っ!!!」
「・・・・・・・ぷっ! クスクス〜〜・・・・」

焦る俺を見て笑い出した彼女につられて、俺も笑い出した・・・・・

「柳川くん、これからよろしくお願いします」
「はい、柳川くん・・・よろしくされます!」

また笑い出した桜ちゃんに、俺も笑顔でさ・・・・・いいよな、こういうの。

俺さ、彼氏になれたんだよな?
だったら・・・・・したいんだ、桜ちゃん。

俺は片腕で彼女を引き寄せ、もう片方の腕で彼女の顎を持って、俺の方に持ち上げて・・・・・ずっと触れたくて仕方なかった唇に、俺のを・・・・・・重ねたんだ。



「彼女から離れろ! 穢らわしい下賤な男が、彼女に触れるなど言語道断!!!」
「なんでイイとこ邪魔すっかなぁぁ〜〜〜」

彼女の甘い唇を堪能してたのに、湧いて出てきたお邪魔虫が金切り声を出すからさぁ〜・・・・空気読めないかな?

「彼女は僕の花嫁だ、離れろ」
「嫌がってるよ、彼女・・・ 嫌がってるのに結婚なんか出来っこねぇ〜だろうが!」
「出来るさ・・・ 彼女を僕のお気に入りの家に閉じ込めて、愛でてあげれば僕のそばから離れたくないと思うようになる」

「マジで気色悪いんだけど・・・・・そしたらさ、あんたさ彼女を抱きたいとか思わないの?」
「抱きたい? 己の欲で彼女を汚す事などしないさ」
「・・・・・・ぶっちゃけさ、ヤりたい時はどうすんの?」
「他の女で代用する・・・」

「はあ??? 今なんつった??? それって浮気じゃん! じゃそういう事できる女と結婚しろよ!」
「浮気ではない! 彼女を清らかに保つためだ! それが僕の彼女への愛なんだ・・・」

「ケッ! 一生言ってろ。 俺は彼女と付き合うんですぅ〜〜〜」
「黙れ前科者! 桜くん、君は知っているのか? この男は詐欺師だ、言葉巧みに人に近づき金を騙し取る、前科者の詐欺師だ」

くそっ・・・・・それはおいおい自分で桜ちゃんに告白しようと・・・・・・なんでお前が言うかなぁ〜〜・・・

「賤しい輩と、由緒正しきこの僕と、どちらが君を幸せにすると思うかね? さあ、僕のところに・・・・・おいで!」

この男の言う通りかもしんねx〜〜・・・俺みたいな詐欺師、彼女には相応しくねぇーよな〜・・・・


「あそこに勤めてる彼らには事情があるって、順ちゃんに聞いてました。でも、心根は真っ直ぐな奴らばっかだから、安心して来いって言ってくれたんです」

「それでも内心は少し怖かったけど、でも一緒に働いてそんな気持ちもなくなりました。 柳川くんはすごく優しい人です、じゃなかったら咲人さんがあんなに懐いてないです。 詐欺も、きっと事情があったんです!」

「私は私が見たままの柳川くんを信じます。それに、事情も彼の口から聞きたいです」


「西園寺さん、私・・・・柳川くんが好きです。 それにあなたの価値観についていけません」
「馬鹿な女だ・・・・・こんな下賤な男を好きだとは・・・ 見損なったよ、もう君には興味がない、失礼するよ」

そう言って急に出て行ったキザな野郎・・・・・・ん? てことは、解決したってことだよな!


「・・・・・私には興味がないって! もう追いかけられませんよね!」
「おう! 大丈夫じゃないか! 良かったなぁ〜・・・・な、桜ちゃん!」
「・・・・・良かったぁ〜・・・」

ホッとした俺たちは解放感にハシャギながら、社長や檜山にもう大丈夫だと連絡したんだ。
桜ちゃんは親父さんに電話してて、ホッとしたのか泣きながらかけてた。

きっと悩んでたんだろうな・・・・・・・

連絡をおえた俺たちは、さて・・・どうしようか?


「柳川くん・・・」
「ん? どした?」

背後から抱きついてきた桜ちゃんが、俺の腰のあたりのシャツをギュッと握る。
その途端、俺の胸がドキドキし始めて・・・・・俺さ、こんなん初めてなんだ。

ナンパいってさ、たまにうまい事いってさホテルとかでさ、ま・・・・・ゴニョゴニョな事すっけどさ。
こんなドキドキした事ってねぇーんだわ。

ただ背中に彼女がいて、俺のシャツ握ってるだけなんだぜ?
それだけっちゃーーそれだけなのに、もう俺さ、顔や身体が熱いんだわ。

「柳川くん・・・・・あのね」
「ん・・・・・なんだよ」
「さっきの・・・・・」

さっきの? さっきのって俺の告白か? それが何だよ・・・・・ハッ! まさか西園寺って気色悪い奴から逃げられたから、俺もいらないとか???

うそうそうそうそ〜〜〜、マジ勘弁マジ勘弁、マジで勘弁! 俺さ、もう桜ちゃんいないと生きてける気がしないんだわ。

次に彼女が何を言うのかと、違う意味でドキドキしながら待っていた俺。

「・・・・・詐欺とか、皆を騙してお金を巻き上げてたとか・・・・・私ね色々聞いてたの」
「えっ!(誰だよ、くそぉぉ〜〜〜)」
「あいつは詐欺師だから近づかない方がいいって、よく言われてた」
「えっとぉぉ〜〜〜あの〜〜〜、それはですね〜〜〜・・・・・・」

「お母さんの為、なんだよね?」
「桜ちゃん・・・・」
「ごめんなさい、私ね見ちゃったの・・・・この前、お母さんが来られて柳川くんお給料全部渡してたの」

見られてたかぁ〜〜〜・・・・・俺の母親は、親父が女作って家を出て行ってから精神的にちょっと・・・アレでさ。
買い物依存で借金とか作ってたんだ。

俺が金を集めたのも母親に渡すためで・・・まあ、借金もあったからなぁ〜・・・

「私の母も父が女性と出ていったときに、忘れるためなのかお酒を浴びるように飲んだの」
「桜ちゃん・・・」
「救急車で運ばれた事も何度もあった・・・・」
「そんなに・・・」

「順ちゃんがね、母を病院に入れてカウンセリングを確りと受けさせてくれたの・・・」
「カウンセリング・・・・・・」
「そう、父のことや幼い私の世話のこと、そして若い女性に父を取られたことで自分の女性としての魅力が無くなったと思い込んでること・・・・・・色々なものが母の精神を追い詰めたの」
「お母さん、今は幸せなんだな」

「うん! きちんと治療したおかげで、すぐに元の母に戻って私と暮らしてくれたの」

「お母さんと話しあって? 柳川くんは優しい人だから、お金の事を背負ってしまって、前科もついてしまったけど・・・・・でもね、私はそういう優しいところが大好きなの」

俺のこと、考えてくれてたんだな・・・・・

軽い恋愛ならしてきたし、ナンパ好きだし、女の子大好きだし!
でも誰も俺のこと、そんな深くなんて考えてくれてなかった・・・・・当たり前だよな、俺だってその場のノリと男の性ってだけだし。

ぶっちゃけ、ナンパしていい雰囲気になって、ノリの延長でヤっちゃって、その場限りでバイバイ!なのが後腐れなくて良かった。

でもさ、お袋のことまで考えててくれてさ、俺の前科のことも・・・・・全部知っても、俺のこと好きだって言ってくれた彼女。

もう・・・ね、俺さ・・・・いい加減なの辞めるわ。

俺・・・・もう、この子しか見えないし、桜ちゃんしか欲しくないし、幸せにしたいし!

俺なんかで幸せにできるか、わかんねぇーけどさ・・・・・でも俺、彼女とずっとそばにいたい。

「柳川くん・・・・・どうして泣いてるの? 私、何か傷つけたの?」
「ちがう・・・・・違うんだ、俺さ、俺・・・・・・」

涙を流しながら俺は、桜ちゃんを抱きしめて・・・・・・

「俺・・・・あんたが、好きだ・・・・・・桜ちゃんが、好きでたまんねぇーよ」
「私も・・・・・好きです」
「ずっとそばに居てくれねぇーか? 俺のそばにさ、いてくんねぇーか?」
「ずっと、そばにいます」

へへ、かっこ悪りぃなぁ〜・・・・・泣きながら好きだなんて言ってさ。

いつの間にか桜ちゃんも泣いてるし、2人で泣きながら笑ってさ・・・・・ははは。



涙が止まったら、俺たちは寮に戻ったんだ。

心配して起きてた社長と桜ちゃんが、喜び合ってさ・・・・・そこに桜ちゃんの両親と弟達が来てて、抱きあって喜んでた。

夜中だからさ、弟達は寝てたんだけど・・・・・・俺は、決意を持って桜ちゃんの親父さんの前に立ったんだ。


「俺、柳川 隆一と言います。 桜ちゃん・・・いえ、桜さんとお付き合いすることになりました。よろしくお願いします」
深々と頭を下げた俺は、顔を上げて正直に言うんだ。

「俺には詐欺で前科があります。 とてもじゃないけど、桜さんに相応しい男だなんて思ってません。でも・・・・・俺は、彼女の事が好きです。 この気持ちだけは、誰にも負けません」

「俺は彼女を幸せにしたいです・・・・でも幸せにする自信なんてありません。 ・・・・・ただ彼女が俺のそばに居てくれたら、俺はそれだけで幸せなんです。 交際する事を、許して下さい 」

俺がもう1度深々と頭を下げたら、桜ちゃんも横に来て頭を下げたんだ。

「・・・・・・・桜があなたを選んだのなら、私は何もいいません。 ですが桜を泣かせたら、その時はどこに居ようと探し出しますから覚悟して下さいね」

親父さんは俺を認めてくれたんだ。



それから俺は桜ちゃんと母親に会い、よく話し合ったんだ。

お袋は桜ちゃんがお気に入りになってさ、息子より娘が欲しかったのぉ〜なんて言い出す始末でさ、ほんと、そりゃねぇーよな〜・・・


カウンセリングを受けて、徐々に良くなっていったお袋は、今じゃ美魔女をいかして化粧品の販売でバリバリやってるんだ。

渡してた給料も止めて、貯金するようになった俺に、お袋がたまに小遣いくれるようになったんだぜ!

俺さ、ほんと桜に感謝するよ!

2人で給料貯めてさ、桜の実家で2人で花屋をする夢があるんだ。


あと数ヶ月後に、花屋を開いてさ・・・・・・桜が俺と同じ名字に、なるんだ。

俺は寮を出て桜の所に転がり込んでるんだけど、まあ、結婚するし・・・・・いいよな!


俺さ、いま・・・・・スゲェ〜幸せだわ!!!




もうハッピーエンドまで一気に書いちゃいました!

また違う設定で柳川くんは、書くかもしれませんが、今は黒崎さんの話も書いてまして(笑)

しかも今日テレビで『カノジョは嘘を愛しすぎてる』やってますよね!

心也くんまで出てきてます(笑)

もう、妄想が楽しすぎて纏まらない!!!

こんなおバカな管理人に、あたたかなコメントを・・・・・お待ちしてます!

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すー※さん

Author:すー※さん
私的妄想世界が広がっております。
イチオシは窪田正孝さんの役柄いろいろ妄想話です♡(その他にも相棒の神戸さん、スネイプ先生や善徳女王など色々でございます)

最近は更新ができてませんが、発作的に投下してます。
8月、9月の試験に受かれば時間ができるので、それまでは見守っていて下さいませ。

合言葉は『シリアスからエロまで』・・・・・楽しんでいただければ幸いです。。。

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