《キープ》by 柳川くん。

アルジャーノンに花束を。の短編です。

柳川くんの恋人のヒロインですが、普通の大学生です。

女の子大好き! 賑やかなの大好き!な彼と、思わぬ所で会っちゃいました!なお話です。




「あ、舞からメッセージだ・・・・・って、なによコレ」
携帯に届いていた親友からのメッセージは、合コンを約束した女の子にドタキャンされ困っているというもので。

《お願い! ほんと困ってんの〜 頼めるの陽子しかいないから〜》

切羽詰まってるなぁ〜〜〜 ・・・っていうか私に彼氏いるの知ってるくせに。
ま、それだけ困ってるってことか・・・・・

今日は彼氏の隆一くんも仕事あるとかで、ウチに来ないし・・・・・いいか。

私は行くと返事をし場所や詳しい事を聞いて、出かける用意を始めた。


駅前のカラオケ店に行き聞いていた名前の部屋を教えてもらった私は、エレベーターで5階へと上がった。

「ここね」
ドアをノックしようとして中からの『イェーイ!』『きゃはは〜』とかの盛り上がっている様子に、私が必要なのかは首を傾げるところだけど。

コンコン! ノックをしたら中から勢いよくドアを開けてくれた。



「ねぇ〜舞ちゃんさぁ〜・・・女の子まだ来ないの?」
「言っとくけど、彼女は私の親友で彼氏持ちだからね! 人数が半端だから頼み込んで来てもらうけど、手出したらダメだかんね!」

もともと来るはずだった子が風邪で寝込んじゃったから、男5人に女の子3人はさすがにバランスが悪いかなって声をかけまくったんだけど。

1人は誘えたけど、皆急には来てくれなくてさ・・・・・・困ったときの親友頼みで陽子に電話しちゃったんだけど。

この柳川って人、軽いんだよね〜・・・ まあ、盛り上げ役にはいいけどね。

確か彼女いるって言ってなかった?
それでも女の子大好きで、盛り上げ役もできるイケメンってことで呼ばれるらしい。

・・・・・・・・この人の彼女に、同情するよ。

さっきっから可愛い女子を口説きまくりだし、彼女の事はキープとかって言ってるし・・・彼が陽子に目をつけないことを祈ろう。

「可愛い子?」
「めっちゃ可愛い! でも彼氏に一途だから口説いちゃダメだよ!」
「ほぉ〜い!」

その時ガチャっとドアが開いて急に呼び出した子が、来てくれたんだ。

「ありがと〜!!! ここ、座って! 楽しもうね!」
「うん」

この子も可愛いからさっそく男共が群がってるし、先頭は柳川くんだし。

「陽子のことは私が守るっきゃないか!」

そろそろ陽子もつく頃だよね・・・・・コンコン! あは、律儀にノックするのって陽子だわ。

「ほいほい、いらっしゃーい!」

フットワーク軽っ!!! 柳川くんがドアに飛びついて開けてるし・・・・あ、やっぱり陽子だ!

綺麗で可愛くて、なにより性格がめちゃめちゃイイ!私の大親友が、来てくれた!



ドアを開けてくれた人の顔を見て、私は固まった。。。

隆一くん・・・・・・私の彼氏の隆一くんが、どうしてここにいるの???

「陽子! 来てくれてありがとう〜・・・ささ、こっち座って!」
「う・・・うん」

舞に手を引かれて座った私は、とにかく落ち着こうと烏龍茶を頼んだ。

えっと、隆一くんも私みたいに誰かの代わり?・・・・・・じゃないみたいだね。

私同様固まってる隆一くんが女の子に呼ばれて、ソファーに座ったけど両隣を女の子に囲まれてモテモテなんだね。

舞が言ってたバランスが悪いって、隆一くんが女の子にモテて他の男性がつまらないからって意味なのかな?

舞は仕切ってるから忙しそう〜・・・飲み物や食べ物が足りてるか、場の雰囲気はどうかとか気を配ってて、さすが舞ちゃんだね!

私もテーブルを少し片付けたりしてお手伝い・・・・・ そんな私の耳に、隆一くんと女の子の会話が入ってきた。


「ねぇねぇ隆一くん、隆一くんってカッコイイよね〜・・・キープしてる彼女なんて止めて私と付き合わない?」

・・・・・・・キープ?

「こうやって遊べない時にも、使えるようにキープしてるんでしょ?」
「きゃはは! 可哀そう〜・・・キープなんて彼氏に呼ばれてるなんて、その女ものすごく間抜けだよね〜」

・・・・・・キープって、私の事? 私って彼女じゃなくて、キープだったんだ。

こうやって隠れて女の子と遊んでるのもショックだけど、私の事を・・・・・キープって話してることに、すごくショックを受けた。


隆一くんの休日に、私の部屋で穏やかに過ごす時間は、私の大切な時間だった。
2人でテレビ見たり、2人で笑いあったり、2人で私の作ったものを食べて・・・・・美味しいねって・・・・・大切な時間、大切な隆一くん・・・・・・

そう思ってたのは、私だけだったんだ。

なんでかな、あんまりショック受けすぎて頭の中真っ白で・・・・・・・涙も出ないや。

「席替えターイム!」
誰かの声に合わせて、皆んなが移動して・・・・・・気がついたら私は隆一くんと他の男性の間に座ってた。

「あのさ・・・」
私に話しかけてきた隆一くんは、真顔で・・・・・

「・・・初めまして、陽子です」
「あ・・・隆一です」
「俺、神田勇樹って言うんだ! 陽子ちゃん、可愛いね〜 ね、いくつ?」

反対側からの声に振り向いた私は、隆一くんに背を向けた。

・・・・・・・見たくない、隆一くんは見たくない。

「勇樹くんもカッコイイね! 私は22歳です」
「俺、1こ上! 年近いじゃん!・・・・そうだ陽子ちゃんて彼氏とかいるの?」

勇樹くんの質問に、胸がズキン!て痛くなった。
彼氏、彼女だと思ってたのは、私だけ・・・・・・・私はただのキープなんだよね・・・・・・

「彼氏・・・ 一応いるんだけどね、もう別れるつもりなんだ〜」
背中の方から息を飲む音が聞こえた。

「え、そうなの! じゃあ、じゃあさ、俺・・・立候補しちゃおうかな〜」
「勇樹くん、カッコイイし、お肌もキレイだし、そう言ってくれると嬉しいかも〜」
「陽子ちゃん可愛いから、俺さ本気だよ!」

「・・・・・・私ね、可愛くないよ? だって私の彼さ、私のことキープにして他の女の子と遊んでるんだもん」

「つまり私は、その程度にしか思ってもらえてないんだよね? 彼氏に・・・その程度にしか・・・思われてない・・・だよね・・・・」
「陽子ちゃん・・・・・」

ポロポロと涙が出ちゃうから、カバンからハンカチを出して席を立った私は、勇樹くんに化粧室に行くって伝えて部屋を出たの。

トイレに駆け込んで泣いてるなんて、私ってほんとダメダメだよね。

一頻り泣いて、トイレも済ませて、あ! 化粧ポーチ忘れちゃった・・・・・あ〜あ、涙でお化粧も落ちちゃった。

・・・・・・・何やってるんだろ、私。

来なきゃよかったな・・・・・・そうしたら私、まだもう少し隆一くんの彼女でいられたかな?

まだもう少し、あの大切な時間を・・・・・・過ごせたかな・・・・・



トイレを出たらそこに、隆一くんが立っていた。

「陽子・・・・・」
「隆一くん、こうやって女の子と遊んでたんだね。 私もう無理だから・・・・・別れて」
「陽子、話し聞けよ!」

隆一くんの手が私の腕を掴もうとするのを、後ろに後退りして避けた。
避けた私に青い顔した隆一くんが、見つめてくるけどね・・・・・・もう無理だよ。

「さわらないで・・・・・他の人に触った手で、私にさわらないで!」
「陽子・・・」
「これで隆一くんも満足よね? もう気兼ねなく女の子と遊べるよ? ・・・・・良かったね」

私は隆一くんに捕まる前に部屋に戻って、勇樹くんの横に座った。

すぐにポケットに入れてる携帯が震えて、出してみたら隆一くんからの着信だった。

《 ピッ!》
・・・・・・・今は何も聞きたくないし、話したくない私は、着信を無視して切った。

ついでに電源も落とした携帯をポケットにしまう。


・・・・・・・もう、何もかも どうでもいい。。。

「ね、カクテル飲みたい! 舞ちゃん、ソルティードッグ注文して!」
「分かった! 」

お酒に弱い私だけど、今は飲んで酔っぱらいたい。。。

「陽子ちゃんソルティードッグ好きなんだ〜」
「うん! 柑橘系のカクテルが好きなの。 ビールとかは苦手です」
「なんか嫌な事あったんだろ? 飲んじゃおう! ね、飲んで忘れよう!」
「・・・・・うん!」

私はそれから飲めもしないのに、カクテルを注文して2杯、3杯と空けていった。




くそっ! なんでこうなったんだ!

廊下で陽子を待ってた俺は、中から聴こえる抑えた泣き声に・・・胸を締めつけられていた。

俺の陽子・・・大事な大事なお前。

休みの日、お前の部屋で過ごす時間はスゲェー暖かくて、俺にとっては大事な時間なんだ。

お前の部屋で雑誌読んだり、他愛もない話しをして笑いあって過ごす・・・・・そんな何でもない時間が、ゆっくりと流れていくのが何より好きだ。

お前の作る料理は、レストランみたいに小洒落たもんじゃねぇ〜けどさ、どれもホッとできるもので。

飯を口いっぱい頬張るクセのある俺をさ、汚いとか思わずいつも笑っててくれるお前が・・・・・・スゲェ〜大事なんだ。

女の子と騒ぐの大好きな俺が、いつもは言わないのにポロっと「彼女いる」なんて出ちゃってさ。
照れくさくて思わず『キープ』なんて言っちまったけど、そんなこと思ったこともねぇーよ!

だけどまあ、陽子が居るわけじゃないし、キープ・キープとバカにして話してたんだ。

まさかそこに、お前が来るなんて・・・・・想像もできね〜し!

コンコン、なんてノックする音でドアを開けた俺は・・・・・・目の前の陽子に固まった。

どうしてここに? あの舞ってコの親友って陽子のことなのか!

陽子は舞ちゃんに席に座らされ、俺も女の子に呼ばれて元の席に座ったけど・・・・・陽子が気になってしかたない。

舞ってコが忙しそうにしてるからか、陽子がツマミとか食い散らかしてるテーブルをそっと片していく。

他の女はやらねぇー事でも、黙ってやっちゃうんだよな・・・・・そういう気遣いのできる奴なんだよな。

そうしたら横の女が、あろう事かさっきまでの俺の彼女の話をぶり返しやがったんだ!

キープって言葉に固まる陽子の顔色が、見るみるうちに蒼白になっていく。

席替えして隣になった陽子に、話しかけると「初めまして」とか言われた俺が、次の言葉が出てこなくなる。

口から先に生まれたって口達者な俺がだよ、何も言えないんだ。

その隙に神田が陽子に話しかけやがって、彼氏がいるかどうか聞いてやがんの!

陽子には俺という彼氏がいるんだよ!

俺は陽子がそう答えると思ってた。


「彼氏・・・一応いるんだけどね、もう別れるつもりなんだ〜」

陽子の言葉に、俺は信じられない気持ちで息を飲んだ。

別れる・・・・・・俺と、別れるつもりか?

陽子の言葉に呆然として隣の会話が分からなかったが、陽子の大きな目から涙が溢れてくるのに我に返った。

ポロポロと涙が溢れてくる陽子が、ハンカチで押さえながらトイレに行くのを何もできずに見送ってしまう。

「・・・・・・辛そうだよ、彼女」
神田の言葉に胸が詰まる・・・・・・・陽子を悲しませているのは、俺なんだから。

「あんな可愛い子と付き合ってるくせに、なんで大事にしてあげないんだろう・・・」

「俺なら・・・・・泣かせないのに」

俺は陽子と話をしようと席を立ち、トイレの前で待ったんだ。


くそっ! なんでこうなった!

俺の手を拒んだ陽子に、俺は・・・・・・・くそ! 壁に拳を打ちつけても、あいつを悲しませた自分にムカつく。

しばらくして部屋に戻った俺は、そこでカクテルをあおる陽子を見つけたんだ。



「ぷはぁ〜〜・・・・あー・・・美味しい」
「陽子ちゃん、いい飲みっぷりだね〜」
「んふふ〜・・・」

ふわふわと身体が浮いてるような感じがする・・・・・・ここまで飲んだの、初めてかも〜・・・

顔が熱い・・・・・きっと真っ赤なんだろうな〜・・・・・

「勇樹くん! 勇樹くんて彼女を大事にする人ですか?」
「え? 俺? 俺は大事にするよ!」

「勇樹くんはぁ〜、彼女が居てもこうやって遊びますか?」
「遊ばないよ! 俺は彼女がいたら他の女はいらないから!」

「・・・・・・・勇樹くんの彼女さんは、幸せですね〜」

「私は大好きな彼がいたけど・・・・・キープでした! あはは・・・1人で大事に思ってた私って、間抜けでバカなんですね〜」
「俺にしなよ! 俺、陽子ちゃん大事にするから! 絶対、絶対、大切にするから!」

「お酒飲みたいれす!」
お代わりぃ〜って掲げたコップを、横から骨ばった大きな手に取られちゃった。

「飲み過ぎ!」
その手は隆一くんの手で・・・・・・私がヤケ酒してる原因でもある。

「取らないで下さい!」
「もう飲みすぎでしょ〜・・・こっちにしときな」
お酒の代わりに渡されたのは、ウーロン茶・・・・・・・口もつけずにソレを置いて、私は隣の勇樹くんのグラスを欲しがった。

「勇樹くんの、ちょーだい♡」
「うわ、可愛い〜・・・・飲んでいいよ!」
「おい、止めろ! あんま飲ませんなよ!」


必死で止める俺に、陽子は酒で据わった目で見つめて・・・・・

「あなたには関係ない! 私の事は放っておいて!」
そう言って陽子は・・・・・・神田の胸に擦りよって、抱きついて・・・・・・マジか???

「〜〜良い匂い! 陽子ちゃん、めっちゃ良い匂いする!」
「・・・・・・ねえ、勇樹くん!」

陽子は神田の腕の中から俺を見つめて・・・・・・・

「勇樹くん、私のこと・・・大事にしてくれる?」
「する! 絶対大事にするから! 俺と付き合おうよ〜」

「他の子と遊ばない?」
「ああ、遊ばない! 浮気しないよ!」

「じゃあ・・・・・わたし・・・ 勇樹くんと・・・・・・キャッ!!!」

耐えられない! 俺は陽子を肩に担いで部屋を出た。

陽子の荷物を片手に持って担いだ俺は、そのまま陽子の部屋へと行こうと思ったんだ。
話がしたくて・・・・・謝りたくて・・・・・・

「放して! 降ろしてよぉ〜!」
「ダメだ! お前ん家行くぞ!」
「ヤダヤダ! 放せ、人さらい〜〜」

ジタバタ暴れてた陽子が、諦めたのかピタッと大人しくなった。

「〜〜〜気持ち悪いっ・・・・・吐いちゃう! 降ろして、トイレ!」
慌てて陽子を降ろした俺は、トイレに連れて行こうと腕を掴んだ。

「カバン!」
カバンを渡してやったらそのまま陽子がトイレに駆け込んだ。

あれだけ飲んでたのに、肩に担いだのが悪かったんだろう・・・・・・出てきたら優しくしよう。
口直しに冷たい水でも、なんて考えてた俺は。


俺は、甘かった。


トイレの前に立っていると舞ちゃんが来て、そろそろお開きにしたいから男側の会計をして欲しいと言われた。

総額から男の方を高めに値段を出してって、色々と話をしていたんだ。

値段が決まった所で、舞ちゃんの顔が変わった。

「柳川さんだっけ? 私知らなかったわ・・・・・・あなたに彼女がいたなんて」
「あれ、言ってなかったっけ? 俺に彼女いるって・・・」

「キープしてる彼女が、まさか陽子だったなんて・・・・・知らなかったわ」
「え?」

「私も聞いてたのよ、あなたが自慢たらしく俺にはキープが居るって、話してたの・・・・」

「私の大事な親友が、まさかアンタみたいな男にキープ扱いされてたなんてね・・・・・・許せないわ!」

俺は、後ろを振り向いてトイレの中に入って陽子を探したんだ。


・・・・・・でも女子トイレの中には、誰もいなかった。。。

エレベーター・・・・・ここは5階だ、エレベーターを使うに決まってる!

俺はエレベーターまで走って行った。

エレベーターの扉が閉まっていく、数センチの隙間から・・・・・・陽子が、見えた。

「くそっ!」
俺は階段を飛ぶように駆け下りて1階に着いた・・・・・はぁ、はぁ、よしっ! まだエレベーターはついてない!

ポーン!
間の抜けた音と共に開いた扉の向こう、陽子を捕まえて2人っきりになれる場所で謝ろう。

誠心誠意謝れば、きっと陽子も許してくれる・・・・・・許してくれた陽子を、もっと、もっと大事にしよう!


・・・・・・俺の目の前で開いていくエレベーターの扉の奥には、誰も乗ってはいなかったんだ。

「え? なんで? 陽子は・・・・・・どこだよ・・・・・」
呆然としている俺は、やがて探しに来た檜山に連れられて部屋に戻るんだけど・・・・・・陽子は?


陽子は、どこに行ったんだ???



柳川がエレベーターへと走って行ったのを見計らい舞は、親友へと電話をかけた。

彼女がトイレから自分に柳川を引き止めておくように頼んできたのは、数分前で。

訳はと問えば・・・・・震える声で彼の彼女が自分だと、告白してきた親友に舞は胸がつまった。

舞も聞いていたのだ・・・・・柳川の『彼女はキープ』発言を。

「これからどうするの?」
『2階で降りて待ってる・・・・・今夜、舞の家に泊めてもらっていい?』
「いいわよ! じゃあ、会計したら電話するから」
『ごめんね』
「謝るのは私の方よ・・・」

電話を切った舞が、部屋に戻り会計を集めているなか、呆然とした柳川が檜山に連れられ戻ってきた。

1階でお金を支払った舞は、檜山に男性陣を連れ帰るよう頼み、そのまま皆んなが帰るのを見送った。

フラフラとする柳川を檜山が引っ張って帰って行くのを、見送り・・・・・・舞は陽子と合流し自分のマンションへと連れて帰るのだった。






あれから1週間が過ぎた。。。


陽子は柳川が仕事に行ってる昼間に一度マンショに帰り、荷物をまとめ実家に戻っていた。

実家からだと通学には遠いが、柳川には知られていない。

「あ、しまった! あの文献の載った本は、マンションだった・・・」
私は仕方なく1週間ぶりにマンションへと戻ろうと、実家を出かけた。

昼間であれば彼は働いているから・・・・・・見つからない。

それに・・・ もう私達はダメだから、そんな心配もいらないかもしれないな・・・・・

最初の夜とか着信やメールなどが頻繁にあり過ぎたけど、3日もすればポツポツとしか来なくなり、昨日なんて着信もメールも0だった。

「きっと、私より良い人、見つけたんだね」
来週あたりから戻っても大丈夫かもしれない。

もともとモテる人だから、私なんかに固執するより新しく恋人を作った方が彼も楽しいだろう。

そう、追いかけてくれるほど彼は、私を思ってなどいないんだから・・・・・・

ジワリ・・・まだ泣き足りないのか、目が熱くなり、雫が溢れる。

「やだ私・・・・・未練たらしいや」
マンションに着いてドアを開けた私は、ベランダを開けて空気の入れ替えをする。

そのままベランダから、ぼうっと景色を眺めて・・・・・・目当ての本を探しに部屋に戻った。

本をカバンに入れ、掃除機をかけて・・・・・冷蔵庫の整理を始めた。

1週間留守にしたんだもん、ちょっとしておかないと・・・・・なんて言い訳。。。

ここに居たら、隆一くんが気づいて来てくれるかもなんて、あはっ、未練たらしい。。。


私は、彼にとってキープだったんだもん。
追いかけてくれるほど、思ってなんてないよね・・・・・


2人のアルバムを出して、少ない写真を眺める私。

デートらしいデートって、した事あったっけ?

映画館も、遊園地も、水族館も、動物園も、オシャレなカフェも、隆一くんとは行ったことない。


いつも、この部屋で・・・・・・他愛もない話をして、笑いあって、ご飯食べて・・・・・・愛し合って。

いつも、この部屋で・・・・・・そりゃ合コンばっかりマメに行ってたんなら、お金、ないよね・・・・・

つまり、安上がりなんだよね、私だと。

待ち合わせも家で、ご飯も家で、スーパーには私1人で行って、彼はお酒もご飯もタダだし。

いつもお金がない彼には、絶好の場所だったんだ。


溢れてくる涙に負けて、また・・・・・泣いちゃった。

あ〜あ、ほんとダメダメだぁ〜〜〜・・・・・・泣いてばっかりいるよ。

さ、帰ろうかな・・・・・・もう日が傾き始めたから。


違う場所に、引っ越した方がいいかもしれないな。

うん、明日から不動産屋さん回ろうっと!

私は涙を拭いて無理やり明るい方へと考えを向けて、立ち上がった。


帰ろうと玄関で靴を履いていると、急にドアノブがガチャガチャと鳴って・・・・・・開いた。

「え? なんで開いてんだよ」
「あ・・・」

ヤバい・・・・・・開けたドアから、こんにちわ!したのは隆一くんで。

「陽子・・・・」
「違います」
とっさにそんなこと言って脇から逃げようとしたけど、無理だよね、うん、自分でも無理だなぁ〜とは思った。

ガッ!!!と掴まれた腕を眺めて、私はどうしようかと思ったんだけど。


・・・・・・・ケリをつける良いチャンスかなって思い直した。

「あ・・・あのさ・・・陽子」
「・・・・・話しようか」

2人で部屋に上がって、リビングに座る。

ガバッと隆一くんがいきなり土下座しちゃって、私もビックリしちゃった。

「ごめん、ほんと、ごめん・・・何でもするから俺と別れないで下さい」
「え?」

私はてっきりもう、新しい彼女でも作って私の事なんて忘れてると思ってたのに・・・・・

「忘れるわけないだろう! 俺さ、陽子とのこと本気なんだ」
「・・・・・・キープって」
「嘘! あれは大嘘なの! つい彼女いるって口から出てきちゃって、照れくさくてつい・・・」

「・・・・・・キープって!」
私はポロポロと涙を流しながら、隆一くんの胸をポカポカと叩きながら泣いたんです。

「・・・女の子と・・・遊ぶのも・・・ショックだけど・・・・キープって言葉が・・・・私・・・・・私」
「ごめん! 俺が悪かった・・・・キープなんて思ってない! 」
「知らない!・・・・知らないもん!」

「ごめん・・・いくらでも叩いていいから、だから別れないで」

「好きなんだ・・・・大好きなんだ・・・・・」
「うわぁぁ〜〜ん・・・・・」

子供みたいに泣き出した私を隆一くんは、ずっと抱きしめてくれてて。

ずっと、ごめんって言ってくれてた。

泣き疲れて意識が薄れていく前に、許してもいいと思ってた私です。


だって、私も彼が・・・・・大好きだから!!!

「次はないからね!」

そうして、嬉しそうに叫んだり飛び跳ねたりした隆一くんが、私を抱きしめ・・・・・キスして、仲直りしたんです。




長くなりましたが、いかがでしょうか?
短編なので、名前を考える気がなく陽子ちゃんになりましたが、他の連載とは無関係の陽子ちゃんです。






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コメント

☆ほっちさんへ☆

ほっちさん、おはようございます!

アンフィシアター・・・・・・楽しかったです!
でも2時間しか寝てなくて、体調はちょっと問題ありでしたが、気持ちが張ってるからか持ちました(笑)

初めて入ったアンフィで前から7列目、近くてドキドキでした!
とはいえステージ真ん中に立つミッチーを、囲んでる男子&ベイベー達・・・・・ミッチーが「囲まれてる」って言ってました〜(笑)

迫力満点! どっちにも(笑)


> 私も昼間ですが舞浜にいましたよ。(アンバとボンヴォに少しだけ)
おおっ! 今回、新幹線で行ったので舞浜駅からランドへと向かう途中で、ボンヴォに入ってました!
もしかしたら、すれ違っていたかも!?

しかし都会はスゴイっす!
駅もどこに行けばいいのか、田舎者にはドキドキでした!

> ライブ満喫してたら一緒に揺れちゃうから地震わからないかな~ヾ( ´▽`)
> と、…ライブが昨日だと思ってコメントしてマス。
そうなんです! ライブ中に地震があったみたいなのですが、私もミッチーも、会場のほとんどの人が気がついてなかったです!
ミッチーが着替えから戻って「今ね、地震あったんだってぇ〜」の報告に会場は「ええ!」でした!

踊ってるから分からない、分からない。

楽しくて熱い夜でした。

私の場合、帰りはホテルなので影響は全く無かったです。

出待ちまでの体力がなく、すぐに帰っちゃいました。

楽しい夜でしたか?

すーさん、こんにちは~!ほっちです。
アンフィシアターは会場が半円形だから
アーティストが近く感じられるのではないでしょうか…v
及川さんはベイベーに囲まれる感じかな~フフ♪♪
私も昼間ですが舞浜にいましたよ。(アンバとボンヴォに少しだけ)
今日も昨日も暑いですよね~。
昨日の地震の影響は大丈夫でしたか?最近、こちらは地震が多いです。
ライブ満喫してたら一緒に揺れちゃうから地震わからないかな~ヾ( ´▽`)
と、…ライブが昨日だと思ってコメントしてマス。
日程が今日でしたらスミマセン。お楽しみくださいね~!
ほっち

☆ほっちさんへ☆

ほっちさん、こんばんは〜!

まず最初に、陽子でもいいですよ〜! 大丈夫です!

お久しぶりです!
この頃、書くものが変わってきちゃってる、すーさんです!

アルジャーノンに花束を。は、毎週見てますがちょっと5話から挫けそうになりました。
が、窪田さん演じる柳川くんがいい味出してきてるので、見れました。

今週からはストーリーが気になるので、ワクワクしながら(ちょっと悲しい思いもしながら)楽しみにしています。

撮り溜めて最終回まで録画してから、一気見っていうのもアリですよね!!!

で、当初は柳川くんのお話、もっと書くつもりだったんですが。。。
興味があって見てしまった《ガチバンシリーズ 》に見事に、どハマりしてしまいました。

妄想も《ガチバン》の勇人(はやと)くんばかりで・・・・・・・他のお話が書けない状態です。

柳川くんも短編が1つだけで、書いては気に入らず消してしまって・・・・・・う〜ん。。。

こうなったら最凶ヤンキーの純情一直線な話をアップしていこうと、今日から連続アップです。
《カノジョは嘘を愛しすぎてる》もまだ書きたいのがあるし、でも今は勇人だし・・・・・

不器用な自分が、たまに嫌になります。


> 窪田さんと多部未華子ちゃんは大奥共演がきっかけなのかな~?
そうみたいですよ! ああ、《大奥》でも書きかけが・・・・8割がた書いてて、長くなりすぎて2話か3話になりそうで止まってます。

アップは停滞しているのですが、書いては置いてあるのが溜まっていくという状態です。
愛すべきキャラの捨蔵くんは、ガチバンが落ち着いたら続きを書いてアップします。

> あ!すーさん、舞浜イベは週末でしょうか?ぜひ楽しんで来てくださいね(^-^)!
そうなんです、今度の土曜に新幹線に初めて乗って、行ってまいります!!!

ライブ後は燃え尽きてそうですが、ノリノリで楽しんできますね〜!!!

ミスりました~…

訂正です。「別な陽子なんですねー!」 ←などと書いてました(滝汗)
陽子ちゃんを呼び捨てにしてごめんなさ~いっ!!

ほっち

すーさんへ

すーさん、こんばんは~!ほっちです。

『アルジャーノンに花束を』は最近録りだめしちゃってるんですが…(汗)
すーさんのお話の柳川隆一はスッと入り込めます~!
陽子ちゃんはあの陽子ちゃん?と思っちゃったんですが、別な陽子なんですねー!
隆一君の不用意な発言で傷ついちゃったけど、
ドラマ上の柳川君ならやっちゃいそうですよね~!仲直り出来てヨカッタ♪

窪田さんと多部未華子ちゃんは大奥共演がきっかけなのかな~?
将軍役の未華子ちゃんとお楽(捨蔵@窪田くん)お似合いでしたよ!
彼は愛される役ではなかったけど…。
お楽の見事な演技、「平清盛」の平重盛と真逆なの役を窪田さんは見事にこなしてました。
いい役者さんでこれからも楽しみです。
重厚なイメージもチャラい役もピッタリとハマる!どのドラマでも期待大な俳優さんですね♪
あ!すーさん、舞浜イベは週末でしょうか?ぜひ楽しんで来てくださいね(^-^)!
ほっち
Secret

プロフィール

すー※さん

Author:すー※さん
私的妄想世界が広がっております。
イチオシは窪田正孝さんの役柄いろいろ妄想話です♡(その他にも相棒の神戸さん、スネイプ先生や善徳女王など色々でございます)

最近は更新ができてませんが、発作的に投下してます。
8月、9月の試験に受かれば時間ができるので、それまでは見守っていて下さいませ。

合言葉は『シリアスからエロまで』・・・・・楽しんでいただければ幸いです。。。

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