《黒崎 vs 龍崎!?》

臭い対決!?

黒崎さんとイクオ君の嗅覚対決なんて、楽しそう〜・・・な所から妄想したお話です。
ヒロインの香りに夢中になるイクオ君。

匂いから惹かれる気持ちに、立ち塞がる黒崎さん・・・・・なんて(笑)

すごく長くなりました。
それでも良ければ、読んで下さいませ。。。




STのラボにかかった1本の電話が、事件を告げた。

現場に急行した百合根警部と赤城さん、私はその間に捜査会議の場所などをサーチしておく。
だってSTだけ嘘の時間や場所を教えられちゃうから・・・・・

とくに百合根さんは、キャップとして矢面に立っちゃって・・・イヤがらせの対象になっちゃってるの。

キャップの補佐官としては色々、手回ししとかないとね!

「ほんと、透子ってよくやるよね〜」
「よくキャップを支えてるわよ〜・・・」
青山さんと結城さんが言ってくれるから、私はまた頑張れます!

「それにしても透子もSTのメンバーなのに、よく情報教えてもらえるわね」
結城・翠さんが綺麗な黒髪を指で梳きながら、言うのに私はニッコリと微笑んだ。

「人脈はかねてから広げておいたので。 捜査本部が新宿第二署に立てられるそうですよ」
まあ、事件の概要を赤城さんに聞いてから皆さんは動くのでしょうが・・・

あまり遅れないでくださいね。。。

「透子は僕たちと行く?」
「いいえ、私はキャップと先乗りしてます」

噂をしていたらキャップと赤城さんが戻ってきて、事件の話を聞いてました。
朝方、2件の事件が起こり、そのうちの被害者の1人が死亡確認後に生き返り立ち上がったという。

さっそく山吹さんと黒崎さんの化学コンビが、何やら研究室にこもって調査している。
赤城さんとキャップは、第1の事件の被害者を検査するために出て行った。

私はホワイトボードに分かっている事実を貼り付ける資料を集めたり、印刷したりと作ったりしていく。

やがて時間になり戻ってきたキャップと、捜査本部の立てられた新宿第二署へとむかった。

「皆さん、来てくれますかね〜・・・」
「赤城さんが出ると言われたから、出るんじゃないですか? それに・・・」
「それに?」
「何か化学コンビが作ってましたし・・・・・来るとは思います」
「はぁ〜・・・僕は藤代さんが居てくれて、本当に良かったです! 僕1人だと、どうなっていたか! 感謝しています!」

もう、そんなに言われると照れちゃいます!
私もキャップを支えられるよう、頑張りますね!

感激屋さんのキャップの運転で、新宿第二署についた私達は玄関で警察手帳を見せて中に入る。

・・・・・ 中に入ると青いダウンを着た若い方が、私達に寄って来た。

「あの本庁の方ですよね! 捜査本部の会場は3階の会議室になります。あ、そちらのエレベーターを出た右手になります」
場所を教えてくれてるんだと、分かり私は「ありがとうございます」とお礼を言った。

その男性が、クン!と鼻を鳴らしたと思えば、急に1歩寄って来て、クンクン!!と・・・私の顎のあたりを嗅いでいる・・・・のかな?

「あの・・・・何か?」
初対面の方だけど、その動作はなんだか私には馴染みのあるもので・・・・・彼を思い出す仕草に、クスって笑ってしまった。

「あ・・・すみません!」
「いいえ、何か嗅げました? ・・・・・もしかして変な臭いしました?」
自分でも服をクンクンしてみるけど、分からないなぁ〜・・・

「いえ、変な臭いなんてしません! いい匂いだなぁ〜って何かフラフラと嗅ぎたくなって」
「それなら良かったです!」
「あ、でも・・・朝食はフレンチトーストとカフェオレ・・・ミルク多めですね」

あら、ビックリ! その通りのメニューを食べた私は、目を真ん丸にして目の前の方を見てしまいました。

「ああ! すみません、すみませ・・・・???」
「ふふふ・・・・すご〜い!(パチパチ拍手)正解です! 歯磨きもしてるのに当てられるなんて、優れた嗅覚ですね!」

ペコペコと頭を下げて謝るその方が、私の言葉に顔を上げて照れたように、キャップみたいにクルクルとした髪をかいた。

「・・・・・・褒められたの初めてだ」
「すごい特技ですよ! うちのチームにも嗅覚の素晴らしい方がいて、捜査の役にたててらっしゃいます」
「え、そうなんですか?」
「はい! あ、申し遅れました私、化学特捜班STの藤代と申します」
「僕、新宿第二署の龍崎イクオです! いや、あの・・・あ、会場までご案内します」

「大丈夫です、本日はお世話になります。 キャップ、行きましょう」
「菊川さんが、いましたよ〜」

私が龍崎さんと話している間、キャップは菊川さんと筒井さんと話してたみたい。

その2人と私達とでエレベーターに乗って、会場へむかったの。

エレベーターのドアが閉まる前に龍崎さんがペコリと会釈してくれたので、私も会釈を返しておいた。


「・・・・・いい匂いだなぁ〜」
閉じられたエレベーターから残り香が流れてくるのに、鼻をクン!と反応させた。

香水なんかの人工的な匂いじゃなく、彼女の身体から香ってくるこの匂いは、癖になるほど魅力的で惹きつけられてしまう。

それに僕の鼻の良さを素直に褒めてくれた・・・・・うん、良い人!

なんか、会議が楽しみになっちゃったな〜〜〜・・・

「龍崎さん、なにボーっとしてるんですか。他の方に会場の場所を言って下さい!」
「はいはい!!!」

僕は相棒の日比野さんに叱られながら、続々来る本庁の方への案内に戻ったんだ。



「案内は他の方に任せて、私達もそろそろ会場に行きましょうか」
「はい!」
僕と日比野さんが会場について中を見回した。

「・・・・・第二署は、やっぱり第二署ですね。 場所の設定、資料のコピーに配布、お茶やお茶菓子の用意などなど雑用ばっかり!」
「日比野さん・・・」

日比野さんもイラついてるなぁ〜・・・無理もないけどな〜
第二署、第二署って馬鹿にされるし、この会場だって第一署が本庁の方の世話が面倒だから僕達に回ってきたんだし・・・・・

ん? あれ? ・・・・・・あの人!?

会場の中で僕ら第二署の職員じゃない女性がお茶を配ってる・・・・・・でもあの人、さっきの人だよね?
彼女も本庁の人なんじゃ???

しかも彼女からお茶をもらってる強面の猛者刑事達が、何だか嬉しそう〜〜〜
前の列に座ってる偉い人も、彼女からお茶を受け取る時だけ口角が上がってるし。

しかも彼女、僕らの様な所轄の刑事にも変わらずお茶を淹れてくれてる。

そのあと会議の邪魔になるからと、飲み干した茶碗を集めてちゃんと洗って拭いて、戸棚にしまってたんだ。
僕は不思議に思って、給湯室で茶碗をしまう彼女に聞いてみたんだ!

「お茶汲み誰かに言われたんですか?」
「いいえ」
「え? じゃあ・・・あなたは自分からわざわざお茶汲みなんてしていたんですか?」
おおっと、日比野さんが乱入してきた!

「はい、自分からしています」
「それは何故ですか? お茶汲みなんて、女だからと押し付けられて、嫌でもさせられるじゃないですか 」
日比野さん、ヒートアップしてるなぁ〜・・・・・詰め寄ってるよ、藤代さんに。

でも藤代さんは、ふんわりと微笑んで日比野さんを見ている。

「STの噂、知りませんか?」
・・・・・噂? 僕はSTという部署があるのも今日知ったから、首を横に振ったけど日比野さんは何か思い出したみたいな顔してる。

「私はお茶汲みもコミュニケーション・ツールだと思っています。 1人1人の顔を見て、言葉をかけて手渡せば相手も悪い気はしないと思いませんか?」
「まあ・・・・・そうですね」

「STに反感があっても、私にはその反感が弱まる・・・・・それが狙い目なんです」
「狙い目?」
「うちのキャップ・・・STへの反感をモロに受けてて、捜査会議の時間や場所なんて嘘を言われるし、資料も渡されないなんて日常茶飯事なんですよ」

「ええ??? そんな小学生みたいな事されるんですか?」
「その時に補佐官として私は、正しい時間や場所など知りたいときに、普段からコミュニケーションを取っていれば聞けるじゃないですか」

「そこまで考えて・・・?」
日比野さんの言葉に藤代さんは、ニッコリと笑った。

「私は私の持てる全てで、彼等を支える事が仕事であり、誇りなんです」

・・・・・・・すごい人だなぁ〜

「・・・・・・素晴らしいです! 私、感動しました!」
「うふ・・・そんな大袈裟なことじゃないですよ。 でも、褒めてくれてありがとうございます」

うふふ・・・なんて、ふんわりと笑ってる藤代さんに日比野さんが、友達になって下さいと食い付いていた。
彼女は「嬉しいです」とか答えて、携番やメアドを交換していた。

クンクン・・・・・やっぱり、いい匂いだなぁ〜・・・・

嗅いでると安心するっていうか、和むというか、心を持ってかれるっていうか・・・・・・自分のものにして、ずっと嗅いでいたい気分になる。

匂いから、恋するなんて・・・・・・あるんだろうか。。。




捜査会議が始まってから来たSTのメンバーは、“ ゾンビパウダー ” を仲間の1人に実際に飲ませ蘇生を見せた。

違う1人がゾンビパウダーの説明をし、また違う1人が大っぴらに刑事達を『バカ』呼ばわりしている。

そして用が済んだとばかりに勝手に帰ってしまった・・・・・なんだよ、この傍若無人ぶりは!


「あちゃ〜・・・これか〜」
「コレですね」

STのメンバーが捜査会議から締め出された。
ざわめく刑事達からは、反感がハンパない・・・・・これじゃ、色々と嫌がらせがあっても無理ないと思う。

「いつもこんななんですかね」
「私が聞いた噂では、基本は捜査会議に来ない、来たら必ず遅れてきて派手にパフォーマンスするそうです」
「へぇ〜〜・・・」

「1人、1人の能力はトリプルAだそうですが、こんな発言を繰り返していては組織として、排除されても仕方ありません。・・・それなのに今も存続しているのは、藤代さんの努力の賜物のような気がします」

「クン・・・藤代さんの匂いがする・・・・・あ、いた」
「ほんとですね」

キャップとかいう男性はSTの人と締め出されたのに、藤代さんて空いた席にケロンと座ってる。

そのまま捜査会議の様子をメモし、終わるまで居続けられたっていうのも彼女だからなんだな。

捜査会議が終わったとたん、新しい理事官に呼ばれた彼女はもしかして叱られるのかなって、僕・・・ヒヤヒヤしてたんだ。

「あの松戸理事官は本庁でも厳しい事で有名ですよ」
日比野さんからの情報で、ドキドキしながら松戸理事官の前に立つ彼女を見ていると・・・・・え???

松戸理事官が急ににこやかになってて・・・・・・え?え?え?

何か・・・・・知り合いっぽいよ?

いったい彼女って、どれだけ知り合いがいるんだろう???

でも決まってるのは、彼女を見る相手は皆んな・・・・・・笑顔なんだ。

それって、凄いことだよね! 僕も見習いたいな!

見ていると、少し2人は話をして・・・最後、松戸理事官が一瞬、笑ったような気がした。

僕の気のせいかと思ったんだけど、隣に居た池田管理官って僕とあまり変わらない様な若さの偉い人がさ。

ものすごくギョッとした顔して、見てたから・・・・・・見間違いじゃないと思うんだ。

・・・・・その後、興味が湧いた僕は、会場を出た彼女の後をついて行ったんだ。


〜〜〜松戸理事官と透子との会話〜〜〜

「久しぶりね、透子」
「お変わりないようで何よりです、松戸理事官」
「ねえ・・・戻ってこない? あなた以上の事務官が見つからないわ」
「ありがとうございます。ですが、今は全力でSTをサポートさせて下さい」

「そう・・・ 残念ね。 あなたらしいけど・・・」

隣に座っていた池田管理官が、ふと声音が変わった上司を見れば口角が上がっていて・・・・・・ギョッと椅子の上で身体が跳ねた。

何とか顔には出さないよう、驚きは一瞬で消したが・・・・・・それをイクオに見られていたとは、思わなかった。



「えっと、藤代さん!」
会場から出る直前、後ろから聞こえたのは・・・・・龍崎さんの声。

「はい、どうかしましたか?」
「えっと・・・あの、お昼どうですか? 近くに美味しい店知ってるんです!」
「お昼・・・ああ、もうそんな時間ですね」
「はい! ですからどうかな〜と・・・・・・あのっ、日比野さんも一緒に3人で食べませんか?」

そう話しながら会場を出ると、廊下に1人の黒尽くめの男が立っていた。

少し廊下の壁に寄っかかりながら、こちらをジッと見つめる彼は・・・・・・さっきゾンビパウダーを飲んで蘇生した彼だった。

藤代さんを見ている彼が、隣に立つ僕に視線を移動させたけど・・・・・・僕、睨まれてるね。

「あ、黒崎さん」
彼女が声をかけるとスッと歩いてくる彼は、まるで黒豹みたいにしなやかな動きだ。

ただ歩いているだけなのに、どこにも隙がない・・・・・・この人、きっと凄く強い!!!

歩いてきた彼は、藤代さんの事をそのまま抱きしめちゃってますけど・・・・・・ええ??

「迎えに、来た」
「もしかしてキャップ、行っちゃいました?」
「(こくん)」

小柄な彼女を背後から抱きしめた黒崎さんは、僕を睨んだままで・・・・・えっと、あの? もしもし? ここは職場だと思うのですが・・・・・

クン! 彼女の匂いを嗅いだ彼が、眉を顰めて僕を見る。

「黒崎さん、ここは警察署です。 離れて下さい」
「・・・・・やだ」

やだって、拗ねたように言ってるけど・・・ ここは職場ですよ!?

「透子は、俺と帰る・・・」
「はい、分かってます! 情報も集めましたしラボに戻って纏めないと・・・・黒崎さん、後ろ乗っけて下さいね」
「・・・(嬉しそうに笑う)」
「ごめんなさい、お昼はまた今度でもよろしいですか ?」

え〜っと、やっと藤代さんを解放した彼は、でも彼女の後ろに立っていて・・・・・ 彼の睨みがハンパないんですけど〜〜〜
まさか、僕・・・ ボコられないよね???

「はい、また今度・・・お待ちしてます」
こう言うしかないじゃないのぉ〜〜〜・・・・・・

クン・・・・・・やっぱり、彼女の残り香はいい匂いだ。。。



キャップが赤城さんに呼ばれて出て行った。
当然、車で行くだろう・・・・・俺は透子と一緒に帰ると山吹さん経由で言い、会議が終わるのをドアの前で待った。

ガヤガヤとした騒音と刑事達が吐き出されてくるなか、透子が近づいてくるのが匂いで分かった。

そして、透子の匂いの近くに男の匂いを感じて、胸の中が真っ黒に塗り込められていきそうになった。

透子は魅力的だ・・・・・・

STは刑事達からも上層部からも嫌われているが、透子は別だ。
だからキャップと捜査一課との橋渡しになっている。

それは優しい心遣いや、ふんわりとした癒し系の雰囲気でもあり、そして匂いだ。

彼女の匂いは普通の嗅覚でも好ましく感じるくらい、いい匂いなんだ。

バラの香りとかそういうのではなく、なんと言えばいいのだろうか。

香りで癒されるんだ。

安心感、爽快感、信頼感といったもの・・・そう、まるで母親の無償の愛に包まれるような匂い。
それとは別に1人の女性に、男として惹きよせられるものも感じるんだ。

だからか透子は、関わった相手から好意をよせられる。
男女の色恋ではなく、信頼を寄せられるんだ・・・・・普通の嗅覚にはだ。

俺が彼女と初めて会ったとき、初めて彼女の匂いを嗅いだとき、身体中がざわめいた。

彼女と恋人関係になるまでは、必死に身体のざわめきを感じないようにし理性で壁を作った

・・・・・・・慣れるまで時間がかかったが、それで彼女から遠ざかろうとは思わなかった。

愛らしい顔、華奢だが出る所は出ている肢体、皆の事を考え少しでも力になろうと全力でサポートする強い意志、そして・・・・・匂いの通り、包んでくれる細やかな愛情。。。

どれか1つでも手に入れたいと切望するほど、俺は彼女を・・・・・愛してる。

こんなろくに会話も出来ない男を、彼女は恋人に選んでくれた。

どれほど嬉しかったか、分かるか?
本当に天にも昇るような気持ちで・・・・・・彼女の身体を愛した時も、初めての男が俺だと知ってどれほど嬉しかったか。

もう俺は、彼女がいないと生きていけないと思っている。

・・・・・・だから、少しでも男が近づくと俺は、その男を跡形も無く消し去りたくなる。
・・・・・・身体の中の猛獣が目覚めて、相手の喉に喰らいつき、噛みちぎりたくなるんだ。

そんな狂暴な獣に気づいているのか透子は、職場で急に抱きつく俺を無下に振り払わないんだ。

そうして、自分は俺のものだと示してくれる。
・・・・・それに俺の中の獣は、大人しくなるんだ。

俺の鼻が告げている、さっきの男・・・・・・透子に、想いを寄せている。

「透子・・・さっきの、誰?」
「さっきの・・・新宿第二署の龍崎さんのことかな?」
「・・・・・龍崎」
「そうだ、かれもね鼻が良いんだよ! 朝食、当てられちゃったんだよ〜・・・凄いよね」

・・・・・・気に入らない。

龍崎・・・ 透子は、渡さない。




捜査本部の立った新宿第二署では、捜査一課の方々が泊まり込みで事件の解決に当たっているんだ。

で、雑用仕事ばかりな第二署は布団のレンタルや食事のお弁当の手配などなど、雑多な事を職員総出で当たっているんだ。

もちろん僕も、捜査に向かう警視庁の方々の運転手とか、使いっ走りとかしてる。

日比野さんなんてブチ切れ寸前で、課長以下、僕達はいつ彼女がキレちゃうかと毎日ヒヤヒヤしてるんだ。

あ〜あ、藤代さん来てくれないかなぁ〜〜〜・・・・・・・クン!? この匂いは!!!

ちょうど昼に出かけようとして1階のロビーにいた僕の鼻に、彼女の匂いがした。
慌てて玄関の方を向けば、彼女が入ってくるところだった。

僕は彼女に駆け寄って、話しかけようとしたら・・・・・・・あらら、あの人も一緒に来ていたんだ。

ジロリ・・・僕のこと一瞬で睨んでくる彼は、まるでそこに僕がいた事を知ってるみたいで・・・???

クン! あれ? 彼が鼻をヒクつかせたあと、指でシュッとこすった・・・

「黒崎さん、私は新しい情報がないかあたってみます。 ・・・黒崎さんはどうしますか?」
「・・・・・ついて行く」
「じゃあ、行きましょう」

エレベーターに乗っていく藤代さんと、黒崎さん?を追いかけて僕は階段を登った。

そっと、様子を覗けば黒崎さんは中には入らずに、廊下で待ってるみたい・・・でも、その視線は藤代さんに注がれていて、見守っている事が分かった。

クン・・・・・まただ。

黒崎さんが嗅ぐと、次には隠れてる僕を見つけられた。

やっぱり、彼も鼻が良いんだ!

見つけられてたら仕方ないよね、僕は黒崎さんの前にニコッと笑顔で進みでた。

「黒崎さん・・・でしたね、僕、新宿第二署の龍崎です」
「・・・・・」
「藤代さんが言ってた、 “ 嗅覚が素晴らしい人 ” って黒崎さんの事なんですね」
「(こくり)」

えっと、この人黙りなんだけど・・・・・確か藤代さんには話してたよね?ね?

「えっと・・・藤代さんて、いい匂いですよね? 香水みたいに花のような・・・癖になる匂い」
「・・・・(ジッとイクオを見る)」
「どこかで嗅いだことある様な、懐かしい匂い・・・」

そうなんだ、彼女の匂いは懐かしくて・・・・・大事な人と似ている匂い。
脳裏によぎる大事な人に、子供の頃、抱きしめられた時に感じた色々な想いが蘇ってくる。

大切な、記憶。。。

その記憶の中の笑顔な人と、藤代さんが・・・・・似ているんだ。

黒崎さんの横に並んで立った僕は、彼と同じ様に藤代さんを見つめていた。


しばらくして人垣で彼女の姿が見えなくなったけど、雑多な臭いが混じり合う中でも彼女の匂いは間違えない。

ん? 何か、変わった・・・・・かな?

不意に彼女の匂いが微かに変わった様に感じた僕だけど、横の黒崎さんが壁に寄りかかって腕を組んでいた体勢から、ガバッと身体を起こした。

そのままの勢いで、スタスタと中に入って行った彼の、その突然な行動に驚きながら後ろをついて行く僕。

「あの、黒崎さん!?」
彼はスタスタと刑事達がいる中を迷わず進んでいき、入口の側では見えなかった場所へと向かっているみたいだ。

彼が進んでいくのは、会議室の奥の給湯室のドアの向こうだった。

黒崎さんがダッシュしてドアを開けて、誰かの腕を掴んでいた。

「え? ・・・・・・何かあったんですか?」
僕がその場に立つと、1人の刑事が黒崎さんに腕を掴まれていて、男の前には藤代さんが・・・・・・涙目で立っていた。

藤代さんは胸元をギュッと掴んで、俯いてて・・・・・・なに? その雰囲気って男が藤代さんに、乱暴でもしたような感じで・・・・・えええ!!!

「・・・・・・彼女に、触れるな!」
ギリギリと男の腕を握りしめる黒崎さんの、その低い声に僕までゾクリとしてきた。

「離せよ! STのくせにここで情報をもらおうと浅ましく動いてる女に、情報と引き換えに少し触っただけだろう!」
「さ、さ、さ、触ったぁ〜〜〜! あんた、それでも警察官か!」
「折れる! 離せよ!」
「・・・・・・」

ますます力がこもった黒崎さんの腕に、藤代さんがそっと手をかけた。

「黒崎さん、放してあげて下さい」
「・・・・・・・いいのか?」
コクンと頷く藤代さんを見て、黒崎さんの腕が男から離れた。

「ふん! 女のくせに出しゃばるなら、これくらい平気になるんだな!」
「なんだ、あんた!」

あたふたと戻って行った男の後ろ姿に、追いかけようとする黒崎さんを止めたのも、彼女だった。

「私は平気です・・・ 気まずくなれば情報を得られません、だから・・・・・止めて?」
「・・・・・透子が、そう言うなら」

うわぁ〜・・・怒ってる、怒ってる、怒ってる〜〜〜!!!

藤代さんが止めたから動かないけど、その腕の筋肉に力が入ってるし、体全体も怒りのオーラで・・・・・タッちゃんがキレたときと同じだよぉぉ〜〜〜

「帰ろう?」
そっと黒崎さんの腕に触れた彼女を、彼も見つめ返して頷いた。

「あの、どうして藤代さんのこと、分かったんですか? 教えてください」
質問した僕を見て、藤代さんの耳元で囁く彼・・・・・って、通訳いるんですか???

「自分で言ったらいいのに・・・ 匂いが変わったからだって黒崎さんが」
「匂い・・・・あ、そういえば何となく僕も変わったと感じました」
「人って緊張するとアドレナリンが出て、その匂いが臭いらしの・・・きっとその匂いで分かったんじゃないかな」

「緊張する匂い・・・すごいな、ドアが閉まってたのに気がついたんだ」
「・・・・・・・透子の匂いは、分かる」
「僕も鼻が良い方だと思ってたけど、黒崎さんの方がスゴいですね! さすがSTですね!」

ん? 何だろう黒崎さん・・・・・・横にいる藤代さんの肩を抱いて、彼女を甘く見つめたあと僕を見て。。。


「STだからじゃない、透子だから・・・・・愛があるから、分かった」
「黒崎さんっ!」

ふん!て感じで胸を張る黒崎さんの、言ってやった!って顔が・・・・・無口だけど、表情が語ってるんですね。

「・・・・愛があるから、ですか。 なんか素敵ですね!」
心からそう思うなぁ〜・・・想い合ってる2人が、素敵だなぁ〜・・・・

いいなぁ〜・・・ってニコニコして2人を見ていたら、黒崎さんが少し笑ってくれた。

「それにしても・・・女性をバカにしてますよね、さっきの人・・・・・ああ!ごめんなさい!!!」
無理やり女性に触ろうとするなんて、同じ男として腹が立って思わず言っちゃったけど、藤代さんが思い出したのかビクッと肩が跳ねて・・・・

黒崎さんがギュッと彼女を抱きしめるから、僕はそのまま給湯室のドアを閉めて、その前に立った。

藤代さんが落ち着くまで、誰にも邪魔されないようにするんだ。




僕が番犬よろしくドアの前に立っていると、三島課長が聞いてきたからさ・・・・全部、話しちゃった☆

「なぁ〜にぃ〜!!! 透子ちゃんを手篭めにしようとしただとぉぉ〜・・・許せんな!!!」
「課長も藤代さん知ってるんですか?」
「おうよ! あの子はああ見えてキャリアなんだぞ。でもちっとも偉ぶらないし、昔、俺の首が飛ぶ所を繋げてくれたんだ・・・・・おし、俺に任せとけ!」

うわぁ〜・・・課長が腕まくりしながら何事か囁いて回ってる〜〜〜・・・・・何で???

課長が囁いてる相手がギョッとした顔したと思ったら、次には課長と同じで怒り顔になっちゃってく。

それが見る見るうちに他の人へと耳打ちで連鎖していって、警視庁、所轄関係なく席を立ってさっきの男の周りを囲んでいく様子は、映画のようだ。

「え?何ですか?」
「お前、透子ちゃんを襲ったそうだな・・・」

「はぁ? あんなの、ちょっと触っただけじゃないですか! しかもSTの一員ですよ? 嫌われ者のSTに何したっていいんじゃないですか?」
「何だと? 腐ってんな、お前の性根!」

「俺の方が階級が上なんですよ! あんたらが俺に手は出せないでしょ〜 巡査や巡査部長クラスが、警部の俺に何が言えるんすか?」

はっはっはっ・・・と嘲笑う男に、周りの刑事達が悔しい顔しているけど、警察って階級だからなぁ〜
上の階級の人に下っ端が文句なんて言えないし、階級が同じでも所轄の課長が警視庁の捜査一課の人に意見するなんてもってのほかだし。。。

「では、私なら文句も手出しも出来ますね」
女性にしては低めの堂々とした声が、この場に響いた。

「あなたは警部、私は警視・・・ あなたは捜査員で、私は理事官ですものね」
「あ・・・あの。松戸理事官?」
ポカンとしている男の前に立った松戸理事官は、腕を組んで男に冷たい目を向ける。

「あなたの婦警に対する問題行動は処罰の対象になりえます。 捜査員の任を解きます」
「ま・・・松戸理事官!? 私はキャリアですよ? その私を処分だなどと・・・」

オタオタと弁解しようとする男に松戸理事官は、冷たく見つめて・・・・・

「見苦しい・・・ キャリアならキャリアらしく身を正しなさい! 処分はおって沙汰します、以上!!!」
「おら! さっさと帰りなキャリアさんよ!」

呆然とした男は、三島課長と他の刑事さん達に小突かれながら 会場から出されて・・・・消えていった。


「これで、スッキリしたわ・・・ 」

松戸理事官は、ニッコリと笑うんだけど・・・・・・うん、この人・・・・怖い!

くわばら、くわばら・・・・・さて、藤代さんは落ち着いたかな?

耳を澄ませば・・・・・・

『黒崎さん・・・・』
『チュッ・・・・・消毒、完了』

『今夜、もっと、消毒してあげる』
『・・・・・勇治さんの、エッチ』

あはっ! 甘い甘い!


・・・・・・・羨ましいな。。。

あ〜あ、僕にも可愛い恋人ができないかなぁ〜・・・・・

僕はあの真っ黒な彼には、勝てないみたいだけど・・・でも、恋人はこれから見つけよう!

えっと、そろそろ出てこないかな〜・・・
2人の甘いやり取りに、番犬するのも辛くなってきちゃったよ。

くすん、独り身には堪えるなぁ〜・・・・・





イクオくん、ごめんね。
君には日比野さんがいるから! ガンバレ!

すごく長くなったので申し訳ないです。

分けようかと思いつつ、書いちゃって☆

最後まで見てくださった方、感謝です!!!
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コメント

☆トナンさんへ 2 ☆

おはようございます、パート2です☆

コメントありがとうございます!
コメントいただくと嬉しくて、できるだけすぐにお返事書きたいんです。
喜んでいただけて、嬉しいです。

ソンドク女王、5月にありますよね!
また放送があると、ファンになられる方が出てきて盛り上がるかな?なんて楽しみです。

ピダム、魅力的な役柄だし、ナムギルさんも素敵ですよね!

ソンドク女王のお話は、更新してないので申し訳ないですが、色々あるので楽しんでくださると嬉しいです。

私もいつか生のナムギルさんに、会ってみたいです!

時代劇といえば、私は鬼平犯科帳とかリアルタイムで見てました。
私が若い時はもっと時代劇が多くて、色々なの見てました。

殺陣もその俳優さんそれぞれで、面白いですよね。
窪田さんが出ている時代劇の映画で、久しぶりに松方弘樹さんの殺陣を見て、やはりさすが!と思いました。

遠山の金さん、健在!と嬉しくなりました。

こちらこそ、お返事を返すの私も楽しいのでコメントいただけると嬉しいです☆
あ、夜中とかは気にしないで下さいね!
寝てて気付きませんから(笑)
その場合は、次の日にはお返事書きますので、よろしくお願いします。

ではでは、また遊びに来てくださいね〜 ( ´ ▽ ` )ノ

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☆トナンさんへ☆

お久しぶりです、ようこそお出で下さいました〜 ☆*:.。. o(≧▽≦)o .。.:*☆

> ですが、私はSTを見た事なくて、良かったら配役を教えて下さい(^ ^)
申し訳ないです! 一番先に書かなきゃいけないのに、お返事をアップしてから私の解説つきで記事あげますね!

STのメンバーは名前に色が入ってるんですが、それに見習い考えました。
でも名前の透子は、透明・・・澄んだ透明感を与えたくて名前にしました。

透きとおった水晶のように凛としつつ、皆を守る光で包むような性格にしたくて・・・・・・・

でも人のために思える人は、素敵な人ですよね!
私も見習わなければ・・・・・

> 私の職場も1人辞めてしまった事で、少ない人数で仕事量は変わらないものですから、疲れが溜まってきちゃって、愚痴が多くなってたんですが、彼女のような考え方ができたら、疲れ方も違いますよね。

疲れが溜まると心が疲れちゃいますから!
配役記事、早くアップしますので俳優の方々を思い浮かべて、お話を楽しんで下さい。
わずかでもトナンさんの気分転換に、なれると嬉しいです。

いい匂いの女性に、私もなりたいです。
今からは汗っかきの私には、少し辛い季節になっていきます〜(´Д` )
いい匂いの制汗剤を買わなきゃ!!!

> それから早くイクオくんにもかわいい彼女お願いします(笑)
イクオくんの彼女といえば、日比野さんしかいないですね!
思いつきませんから(笑)
2人のやり取りを、書こうと目論んでます!

また、遊びに来てくださいね〜( ^ω^ )v

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プロフィール

すー※さん

Author:すー※さん
私的妄想世界が広がっております。
イチオシは窪田正孝さんの役柄いろいろ妄想話です♡(その他にも相棒の神戸さん、スネイプ先生や善徳女王など色々でございます)

最近は更新ができてませんが、発作的に投下してます。
8月、9月の試験に受かれば時間ができるので、それまでは見守っていて下さいませ。

合言葉は『シリアスからエロまで』・・・・・楽しんでいただければ幸いです。。。

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