《美味しい、彼女・・・ 》

黒崎さんと恋人関係の透子さん。

彼女は統括官のキャップの補佐役なんです。
つまり、皆んなが円滑に仕事できるようにと気を配る、気遣いの人です。

そんな優しくて可愛らしい恋人が、他の人にも優しくてちょっとヤキモキしちゃう黒崎さん。
なんて、可愛いだろうなぁ〜・・・




《 ぐぅぅ〜〜〜・・・ 》

俺と青山しかいない静かなラボの中、盛大に腹が鳴ってしまった。

「なになに? 今の音って黒崎さんの腹の虫なの?」
腹をさすって落ち着かせながら、青山を見てペコッと謝る。

「え? 今何時さ・・・・あ、お昼すんでる・・・」

青山は犯罪心理学の専門家で、犯人のプロファイリングで自分の考えに入り込んでいたからか、時間の感覚がなくなる事がままある。

俺も今まで書類を見て集中していたからか、もう昼時を過ぎた時間になっているなんて、知らなかった。

いつもならラボの世話やきの透子が、声をかけて食事の時間を促してくれるのだが、今日は松戸理事官に呼ばれていて外出中だった。

「うわぁ〜・・・気がついたら僕も腹ペコだぁ〜・・・」
そう言った青山が机の上を掻き分け、何やらゴソゴソと出している。

チラッと俺を見た青山が、何かを持ってきたみたいだ・・・・・・
皿を持って俺のデスクの上に、置いてくれたんだが・・・・・

「・・・・・・???」

真ん丸で、真っ黒なソレを見て、しばし目をパチパチさせる。

《・・・・・・爆弾?》
スマホでメッセージを送れば、青山は吹き出して笑っている。

「いいから、食べてみなよ! 言っとくけどコレは僕の大好物なんだ! わざわざ分けてあげたって事を忘れないで!」
《ありがとう》

メッセージを送ってから、真っ黒なソレを手で掴み、1口齧った。

「!!! ・・・・・・旨い」
「でしょう?」

へへへ〜・・・と得意気に笑う青山を見て、もしやコレを作ったのは?と手に握った大きな “ おにぎり ” と、青山を交互に指をさした。

「へ? 僕じゃないよ! 僕が作るわけないじゃん! ・・・いいから、もっと食べてみなよ!」

最初の一口目は、海苔とご飯だけだった・・・が、いい塩梅に塩が効いてて旨い。

隣を一口齧れば・・・・・・もぐもぐ、これはシャケだ。

腹が鳴るほど空腹だったが、面倒だから抜いてしまうかと思っていた俺は、一口食べて旨いと唸り、もう一口齧れば食欲がわいてきた。

次をもぐもぐ・・・ 次をむしゃむしゃ ・・・ もう一口と夢中で食べれば、あっという間に終わってしまった。

驚いたことに、一口一口、おにぎりの中の具が違っていて、結構な大きさのおにぎりだが面白く食べられた。

「美味しいだろ? タクアン・唐揚げ・シャケ・ツナ・・・卵巻き! ウィンナー! みんな小さく切ってあって食べやすい!」
《 美味しかった、ごちそうさん!》

「僕は秩序恐怖症だからさ、おにぎりって苦手なんだ。 キレイに食べたくないから端を齧って置いとくだろ? でも “ おにぎり ” って大抵真ん中に具が入ってる・・・・どうなると思う?」
「・・・・・」

先に端だけを食べて真ん中だけ残る・・・ 時間が経って米が乾いて固くなる・・・そうすると。

「そう、僕は具を食べないままで終わるんだ」

そうならないよう、表面に無数に具を置いて握れば飽きなく食べられる。

そこまで聞けば作った人が俺でも分かる。
こんな気遣いをするのは・・・・・ 透子だ。

「事件が起こると僕は寝食を忘れちゃうだろ? そんな僕を心配してくれた透子が、作ってくれるんだ」

そう俺に話す青山は笑顔で・・・・・俺は何だか、悔しい。



「黒崎さん、今夜は何が食べたいですか?」

事件が無事に解決し、俺たちは透子の家に来ていた。
いったんバイクで帰ってきた俺たちは、バイクを止めて歩いて近くのスーパーに2人で行こうと話しているんだ。

そして透子の冷蔵庫を覗きながらの『何が食べたいですか?』の声に、彼女を後ろから抱きしめた。

「・・・・・おにぎり」
「おにぎりですか?」
キョトンと首をかしげる彼女を、背後から抱きしめる腕を少し強くした。

「・・・・・爆弾みたいな、おにぎり」
「もしかして青山さん用の?」
「・・・・・うん」
「うふふ、分かりました。具は何が良いですか?」
「・・・・・任せる」
「了解です!」

背後の俺に振り向きながら、嬉しそうな彼女が可愛らしくて・・・その唇にそっと、口付けた。

途端に真っ赤になる彼女は、その表情が俺に火をつけることを知らない。

ドクン!と、鼓動が跳ねる。

初心な反応にたまらなくなった俺は、彼女をギュッと抱きしめ、深く口付けそのまま抱き上げ・・・・・ようとして、彼女に止められた。

「あのっ、あのっ、スーパーに行きたいです」
「・・・・・くすっ、分かった」
真っ赤な彼女をもう1度しっかりと抱きしめてから、俺たちはスーパーに行ったんだ。

恥ずかしがる彼女の手を、しっかりと繋いで・・・・・・


《ごろん。。。》

皿の上に青山にもらった物よりも大きな “ おにぎり ” を見て、俺は満足だった。

「えっと、豚汁も作ったので食べて下さい」
「(こくん)」

一口、豚汁を食べると・・・・・・・旨い!

透子の作るものは、なんでも旨い!

俺は、おにぎりと豚汁をあっという間に食べ、あとは白飯と豚汁をもらった。

「おにぎりのオカズなんですけど、こっちもどうぞ」
並べられたのは、おにぎりの具材・・・シャケや卵巻き、牛肉と牛蒡の煮物などで、どれも旨い。

彼女は白飯のお代わりももらい、全部食べ尽くした俺を見て、微笑んでいる。

「きれいに食べてもらえて、嬉しいです」
俺は親指を立てて、旨かったと示した。

「お茶、淹れますね」
「(こくん)」
ほうじ茶の香ばしい匂いを漂わせ戻ってきた彼女から、俺用の湯呑みをもらって食後のお茶にする。

俺用の黒の湯呑み、俺用の箸、茶碗・・・・少しづつ2人で揃えた俺用の物が、増えていく彼女の部屋。

それについ頬を緩めながら、俺は立ち上がって洗い物をしている彼女を手伝う。

「お風呂入れてありますから・・・・・あの、先に入ってて下さい」
「・・・・・・一緒に、入る?」
耳元で囁けば首まで真っ赤になる彼女が、オタオタと恥ずかしがるのをクツクツと喉を鳴らして、楽しめば彼女の頬がプクゥ〜と膨らんだ。

「もう! そうやってすぐ私のこと、からかうんだから〜」
「・・・・・・・本気」
「え?」

決めた、今夜は一緒に入る!

お姫様抱っこで抱き上げた彼女を、風呂場へと運べば真っ赤なまま俺を見ている。

「あの・・・・一緒って?」
「・・・・・・入ろう」
「・・・でも、恥ずかしいです」
「・・・・・・お願い」

じっと見つめていれば、真っ赤なまま彼女が頷いた。

そっと服を脱がして先に入った彼女を追いかけ、俺も入った。

こうして彼女の初めてを俺は1つ1つ手に入れ、その度に俺の独占欲は満足するんだ。





「透子ちゃんの作るクッキー、甘さが程々で美味しい♡」
「ありがとうございます、翠さん」

透子は今日、クッキーを焼いてきたようだ。

「黒崎さんも、どうぞ」
「(こくん)」
1枚手にとって食べれば、美味しい・・・・・・


彼女が池田管理官に呼ばれてラボを留守にしている間に、結城が感心するように言葉を出した。

「透子ちゃんの作るものって、何でも美味しいのよね〜」
「うん! 僕、透子の作るものって大好き!」
「藤代さんの作られるものって本当に美味しいものばかりで、僕も大好きなんです!」
いつもの様に結城と青山が盛り上がっていると、キャップも加わってきた。

興奮して加わるキャップに悪気はないのは分かる、だが『大好き』なんて俺の前で言い切らないでほしい。

・・・・・・・・彼女は、俺の恋人なんだ。


「確かに藤代の作るものは旨い」
ボソリと赤城さんまでが、そう話すのに俺は赤城さんを見てしまう。

腕組みをして自分の席から2人を見ている俺の視線に、気がつかないのか尚も会話が続く。

「クッキーもそうですが、夜、お腹を空かせた僕にサンドイッチ頂いたんです! 自分の分のお夜食を僕にくれたんですよ! 美味しさもそうですが、その気持ちが嬉しくて!僕、感激しました!!!」

「暑苦しいな、お前は! 藤代の前で『お腹が空いた空いた』と騒いだんだろう、可哀想に人の良い藤代は自分の夜食を差し出すほどお前を哀れんだか、騒ぎまくるお前からの圧力で、差し出さざるおえなくなったんだ!」

「なんですかソレは! 藤代さんは優しいから僕にサンドイッチをくれたんですよ! 圧力とはなんですか、圧力とは!!!」
「上司による圧力でしかないだろう!・・・・・まあ、俺には好意でくれたんだがな!」
「なんですか、なんですか、その言い方は! 僕にだって好意ですよ!」

【 だんっっ!!! 】

透子の優しさを好意と言い争う2人に、思わず机を叩いてしまった。

皆んなの視線が、俺に集まる・・・・・

男らしくないと思うが、透子の優しさを自分への特別なものだと話す2人に、モヤモヤが爆発してしまった。

俺の胸の中に広がるモヤモヤの形が、分かった・・・・・・それは、嫉妬だ。

彼女のSTメンバーへの気遣いや、配慮という・・・・・彼女の心が向かう相手に俺は、子供の独占欲のように我が儘に嫉妬していたんだ。

・・・・・・・メンバーが捜査に集中できるように、心を配る・・・・・それが仕事なのに。

「男の嫉妬は、醜いわよ〜・・・」
結城の言葉に、痛い所を突かれて顎を掴んで考えるが、どうにもモヤモヤは、晴れない。

その時ラボへと帰ってきた透子が、この雰囲気にキョトンとしている。

「藤代さん、聞いて下さい! 赤城さんが〜〜〜」
キャップがさっそく彼女に駆け寄る。

が、俺はキャップよりも早く透子に近づき、抱きしめた。

「ええ?黒崎さん! いくら2人は恋人でも此処は職場ですよ!」
「あららぁ〜〜〜・・・んふっ、やるぅ〜〜〜」
「うおぉ〜〜〜! この無秩序な空間、最高!」

俺は透子を抱きしめ、その耳に話した。

「なんて言ってるんですか? 黒崎さんはなんと?」
キャップが俺の言葉を透子に伝えるよう迫り、透子は俺を見上げて自分が言うの?と問いかける。

「・・・・・言って?」
透子の口から言って? 俺の言葉を、君が・・・・・・ね。


透子を離し、横に並んで彼女を見れば、みるみる真っ赤になりながらも・・・・・

「えっと・・・『透子の作る物は美味しいけど、透子はもっと美味しい』だそうです」

彼女の言葉にラボは、急に静かになった。。。

キャップは真っ赤になり、金魚のように口をパクパク開けているし、結城は『んまっ、アツアツね』と微笑み、青山は声も出せずに喜んでいる。

赤城さんは、口を手で覆ってよろけた様に椅子に座った。
山吹さんは、黙って首を振っていた。

「もうー・・・こんなこと言わせないで下さい! 何の話をしていたんですか?」

1人、状況も分からずに俺の言葉を伝え、恥ずかしさで真っ赤になった彼女が、俺の前に立って睨んでくる。

が、頬を染め、上目遣いに見てくる彼女は、睨んでいても可愛らしくて・・・愛おしい。。。

「・・・・・透子、可愛い」
「状況を説明して下さい・・・・・・何かあったんですか?」

・・・・・ふっと、心配そうな目を俺に向ける彼女。

その耳に俺が、想いを伝えると彼女はもっと真っ赤になった。

「なになに? 黒崎さんなんて言ったの?」
「・・・・・・言えません!」
青山に教えてと迫られた透子は、言えないのかラボを飛び出して行った。


「程々になさいませ。 困るのは藤代さんですよ」
「・・・・・・・」

「そうよ、透子を困らせるのは程々にしておいてね、黒崎さん!」

耳の良い結城のことだ、俺の声もバッチリ聞こえているんだろう。


『・・・・・透子は、俺のだから』

私は真っ平ごめんだけど、恋人の甘い束縛に透子は喜んでるみたいだし、黒崎さんの男共への牽制も上手くいったみたいね!

クスッ・・・ めでたし、めでたし・・・・・かしらね♡




ドーナツばかり食べてる青山さんに、ヒロインが心配して作った “ おにぎり ” からの黒崎さん嫉妬ネタです。

本当はもっとキワドイ事を言ってもらおうかと思ったのですが、グロくなってもお話の雰囲気がこわれるので、ほどほどにしました!

あ〜・・・楽しいです。
関連記事

コメント

Secret

プロフィール

すー※さん

Author:すー※さん
私的妄想世界が広がっております。
イチオシは窪田正孝さんの役柄いろいろ妄想話です♡(その他にも相棒の神戸さん、スネイプ先生や善徳女王など色々でございます)

最近は更新ができてませんが、発作的に投下してます。
8月、9月の試験に受かれば時間ができるので、それまでは見守っていて下さいませ。

合言葉は『シリアスからエロまで』・・・・・楽しんでいただければ幸いです。。。

最新記事

最新コメント

最新トラックバック

月別アーカイブ

カテゴリ

ブロとも一覧


Cat Home

暁の唄

ちび眼鏡日記

月が浮かぶ夜

まきまきまき

うみにふわりふわり

snowdrop

みやびのブログ

よみよみ

SweetBlackな世界

日々のこと

きみと手をつないで

shibushibuuu

ゆめの世界

井の中の蛙

月の舟 星の林

古いおもちゃ箱

検索フォーム

RSSリンクの表示

リンク

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード

QR