《 メゲるな、私!》

ST〜赤と白の捜査ファイル〜からの、妄想話です。

ヒロインが黒崎さんに片思い中! でも彼も実はヒロインに恋してるんです。

黒崎さんに恋するヒロインは、一生懸命アピールします。
朝の挨拶に、ランチのお誘い、仕事終わりにもお誘いします。

その様子が可愛くてたまらない黒崎さんは、S気も混じって、好きなのにスルリとかわしています。

でもそんなかわされてばかりだと、諦めちゃいそうになりますよね。




私は科学捜査班、通称STのキャップ百合根さんの補佐の藤代 透子です。

実は私、STメンバーの黒崎さんのことが、好きなんです! 初恋なんです!

男の人と付き合った事もない私ですが、やはりアピールが大事ですよね?

なので私は、黒崎さんに毎日アピールしているんです!


朝、早めに来られる黒崎さんに挨拶する時も、身だしなみを整えてから笑顔で!

「おはようございます、黒崎さん!」
「・・・・・(親指を立てる)」

「あの・・・今日、ランチ食べませんか?」
「・・・・・・(首を振る)」
ダメか・・・仕方ないよね黒崎さんも予定があるんだろうし、私は笑顔で「また誘わせて下さい」といって彼から離れた。

私はコーヒーメーカーにセットして、用意しながらササッと掃除をして昨日の書類の続きをしようとパソコンに電源を入れた。

もちろん、黒崎さんに1番にコーヒーを淹れてデスクに持っていくの。

「どうぞ」
「・・・・・(親指を立てる)」
精悍な黒崎さんが笑顔で反応してくれて、私は朝から嬉しくて・・・ニッコリと微笑み返していました。

この頃分かってきたのはね、黒崎さんて黙ってるとカッコよくて、笑うと可愛くて・・・・・ このギャップに私はクラクラしちゃうんです。

いつからだっけ、私が黒崎さんを意識したのって・・・・・・あ、あの時だ。

百合根警部の補佐としてSTに来たばかりの時、赤城さんに言われた事を調べていた私だけど、需要な事柄がスッポリ抜けてて・・・・・・叱られたんです。

それはもう罵詈雑言を浴びせられた私は、落ち込んで・・・もう明日のお日様は見られないと思うほどでした。

どうしてこんな重要なことが抜けたのか、自分のミスに腹が立って腹が立って!
赤城さんが怒るのも、当然です!

それだけのミスを私はしちゃったんです!

自分が嫌で嫌で、休憩スペースの自販機横の壁に頭をぶつけていると、突然、壁が柔らかくなってぶつける痛みが無くなった・・・・・

「???」
おかしいと思って目を開けると、私の頭がぶつかる場所に誰かの手の平があった。

手の平から腕、そのまま後ろを向いていけば・・・・・・・黒崎さんが居た。

私と目が合うと怒ったような顔して首を振る黒崎さんに、心配して来てくれたんだって感じたの。

スッと指先が前髪を流して、きっと赤くなってる額に・・・・・・彼の指先が、そっと触れてくれて。

その時、見上げる黒崎さんの精悍な顔と綺麗な黒い瞳に、胸がドキドキ煩いくらいで、きっと顔が真っ赤になってるな・・・・・って思ったの。


私は、そのとき恋に落ちたの。。。




「またあなたはそういう事をぉぉ〜〜〜」
「何度でも言ってやる! キャップは、バカだ!」

あはは、また言い合いが始まっちゃった。。。

捜査会議してるラボの中では仲が良いキャップと赤城さんが、またあーだこーだとケンカしながらイチャイチャしてるのを、コーヒー飲みましょう!と強引に終わらせた。

「今日はキリマンジャロです」
そう言って皆んなのマグカップにコーヒーを注いで、手渡して行く。

コーヒー片手に情報を分析した結果を話し合っていけば、犯人像が浮かんでくる。
この瞬間、本当に皆んなが凄いな〜って思って、私は誇らしくなるの。

被害者の無念を、遺族の悲しみを晴らすのはやはり、事件の解決が1番だと思うの。
その事件の解決には彼等の力が大切で・・・私は微力ながら彼等を支えたいと常々思っているんです。

赤城さんによって事件が解決し、皆んながラボに戻ってきたの。

い・・・今ならいいかな?

1人、また1人と帰るラボの中、黒崎さんと私だけになったから、勇気を出して誘ってみたんです。

「あの黒崎さん・・・ 今夜、あの、ご飯行きませんか?」

ドキドキドキドキ・・・・・・・ どうだろう? また断られるかな? じぃぃ〜っと黒崎さんを見上げていると、コクンと1つ彼が頷いて・・・・・・

へ? あの? 今・・・・頷いてくれました?

「あのっ、ご飯・・・・・行ってくれるって意味ですか?」
「(こくん)」
「あ・・・嬉しい・・・あの、どこに行きましょうか? 黒崎さん何が食べたいですか?」

そう言った私に彼はスマホを出して、入力してくれた。
ピコン! 軽快な音に自分のスマホを出して見てみれば、黒崎さんからのメッセージが!

《この店で先に待ってて、少し用事をしてから行くから 》
「はい! 分かりました」

私も知っていた近くの居酒屋で、先に行って待っていたら彼は来てくれたの。


・・・・・・・・山吹さんと、一緒に。


「私も御一緒して、本当に良ろしかったのでしょうか?」
呆然としている私から感じたんだろう山吹さんに、気を使わせちゃダメだ!

「もちろんです! 皆んなと一緒に食べると美味しいじゃないですか!」

山吹さん、付き合わせてしまって、ごめんなさい・・・・・・

これが黒崎さんの、答えなんだ。

私と2人でなんて、彼は嫌だったんだよね?

・・・・・それで山吹さんを連れてきたって事だよね。

私は無理にはしゃいだ様に明るく、その時間を過ごした。

いくら鈍い私でも、分かるよ・・・・・・これが黒崎さんの断りなんだって、分かるよ。

「私が誘ったのに、ご馳走になってもいいんですか?」
「お気になさらずに」
「ご馳走様でした! では、また明日」
「また、明日お会いしましょう 藤代さん」
「・・・・・・」

まだだ、まだ我慢しなきゃ・・・・・ツーンとする鼻の奥を感じて、私は 精一杯我慢した。

せり上がってくる熱いものを必死に我慢してる私は、あの角を曲がるまではと堪えていて、角をまがってすぐ、私の我慢は決壊した。

止めどなく涙が溢れて、頬を伝い、服にポタポタと落ちていった。



くるりと振り向いて去っていく彼女の背中を見ながら、俺は山吹さんから脇を小突かれた。

「いい加減にしなさいよ。 酷いことをして、きっと後悔しますよ黒崎さん」
「・・・・・・」
「彼女のことが、お好きなのでしょう? いい加減素直におなりなさい」
「・・・・・・」

山吹さんの言う通り、俺は彼女の事が好きなんだ。

じゃあ何で誘われても断るかといえば、誘う彼女が余りにも可愛いのが原因だった。

緊張と照れの混じった赤い頬に、はにかんだ笑顔、しかもキラキラと潤んだ瞳で俺を、俺だけを熱心に見上げてくる彼女が、嬉しすぎて1度ではOKできなかった。

もう1度、あの彼女に見つめられたい・・・・・・・・もう1度、もう1度。

頭の中を俺の事だけで埋めている彼女が、嬉しくて・・・・・もっと、もっと俺に夢中になって欲しくてかわしていたんだ。


・・・・・でも、今夜はやり過ぎてしまった。

ふわりと届いた彼女の残り香に、涙の匂いも混じっている事を俺の鼻が感じた。

泣かせてしまった!?

俺は思わず彼女を追いかけたが、俺が彼女の曲がった角を曲がれば、そこにはタクシーに乗り込む彼女の姿があった。

慌てて駆け出したが間に合わず、彼女の乗ったタクシーは走り出していた。

彼女の良い匂いに涙の匂いが混じった香りだけを、その場に残して。





次の日、俺は彼女に謝ろうと朝早くにラボに居た。

しかし彼女はその日、いつもの時間には来なかったんだ。

仕方なく山吹さんと研究室に籠もり、調べ物をしていたのだが・・・・・・ラボに戻れば、彼女がいた。

彼女が居たが、明らかに様子がおかしかった。。。



はぁ〜・・・思いっきり泣いたから、目が腫れてる。

翠さんに突っ込まれそうだな・・・・・・青山さんにも。

なんとかメイクで誤魔化せないかな?と、朝から鏡と睨めっこしてるけど、上手くできないや。

黒崎さんと顔を合わせにくくて、少し遅い時間になっちゃった。

そろそろとドアを開けて中を見れば、居るのは翠さんだけでホッとしながら入った。

「今朝は遅いじゃない、透子ちゃん・・・・・・どうしたの?」
私を見た翠さんが、そばに来て私の顔を覗き込んできた。

「目が赤いし、腫れてるわ・・・一晩中泣いてたのね」
「お見通しですね・・・」
「訳を聞かせて?」
「僕にもね!」

翔ちゃんが入ってきたから、そのまま会議用のテーブルについて話を始めた私を。2人はジッと見ていた。

「・・・・・それでどうしたいのさ、透子としては」
「そうね、透子ちゃんの気持ちしだいよね・・・・・」
「・・・・・・」

「黒崎さんは仲間だけどさ、透子にあんまりな事してるんだ、それ相応の罰はしないとね」
「そうね、処女仲間の透子の恋を応援しようと思ってたけど、私もちょっと、腹が立っちゃったわね」

熱心に言ってくれる2人には嬉しいけど、私は・・・・・もう、諦めることにしたと伝えるの。

「諦めるの?」
「うん! 嫌がられてるのにしつこくしても、せっかく好きになった人の迷惑には、なりたくないんだもん」

「「透子(ちゃん)・・・」

「ねぇ透子ちゃん、事件が起こらなかったら今夜、パァーっとしない?」
「いいねぇ、僕もまぜてよ!」
「・・・・・・パァーっと、したいです!」
「決まりね♡ じゃ、行き先は私に任せてね〜」
「お願いします、コーヒー淹れますね」

私は朝のコーヒーをセットしに、コーヒーメーカーを用意しに給湯室に向かったの。


「透子はさ、ああ言ったけど・・・・・翠さん、許せる?」
「ん〜ん、許せなぁ〜い・・・・」

「じゃあさ、こういうのはどう?」
「んふっ、いいんじゃなぁ〜い」

2人の顔がニヤリと、笑った。



10時を過ぎた頃、山吹さんと黒崎さんがラボへと入って来た。
私は『平常心、平常心・・・』と呟きながら、キャップに頼まれた事をパソコンで纏めていた。

私はもう黒崎さんを諦めるの・・・・・もう誘わないし、仕事以外は自分から話さないって決めたの。

私は目の前の仕事に集中して、まとめた書類をキャップに届けようとラボを出て探しに行った。

ジッとキャップが来るまでラボで待ってるなんて、今の私にはどうしても出来ないから・・・・・

廊下を探してると池田管理官が居て、百合根キャップを見なかったか聞いてみたんだけど知らないって。

「・・・・・・どうした、目が赤いぞ」
「あ・・・・えっと、寝不足です」
「・・・・・仕事、キツイか?」

メガネの奥の大きな目が、心配そうに細められて私を見る池田管理官を、私は見つめ返してしまった。

「池田管理官・・・」
「先輩でいい・・・・お前からは管理官とか呼ばれたくないな」
「え? あ・・・・池田先輩、心配させてごめんなさい。本を夢中で読んでたら寝不足になっちゃっただけです」
「そうか、ならいいが・・・」

「何かあったら俺に言えよ」
そんな暖かな言葉に、目頭が熱くなってくる私は、きっと昨日から涙もろくなってるんだ。

でも管理官という激務をこなしてる先輩に、甘えるのも違うと思って必死に平気なふりをして別れたの。

キャップにどこにいるのか携帯にメッセージを入れればすぐに返信があって、ラボに戻っているとのこと。

これ以上すれ違いは嫌だから、『そこに居てください』と返信に返信してラボへと向かった。



山吹さんと廊下を歩いていれば、先ほどラボから出て行った彼女が向こうから歩いてくる。

一言、昨日の事を謝ろうと思い、彼女を見つめていたが・・・ 彼女からは会釈されたのみ。

素早く横を通り過ぎて行く君は、まるで素知らぬふりで、他人のような冷たさだ。

いつもなら、一言二言話しかけてくれるのに・・・・・・・昨日、俺はそれほど君を傷つけたのか。

振り返って君の背中を見送っていると、山吹さんの意味ありげな視線が、痛い。

「それみなさい・・・ 藤代さんは魅力的な方ですよ、分かってらっしゃるでしょうが」
「・・・・・・」

山吹さんの言葉が、胸に染みた。



「ねぇ、透子ちゃん、今夜ステキな場所へ案内してあげるわね」
「楽しみです!」
「ああ、僕も行くからパァーっとやろっ!」

ラボの中で女性陣が盛り上がっているが、どこへ行くというんだろう?
俺と同じように疑問に思ったキャップが、「教えてくださいよ〜」と強請っている。

「教えないわよ、私達の秘密♡」
「透子に、恋のプレゼントをするんだ〜・・・」

「恋!!! 何ですかそれ! もっと詳しく教えてくださいよ〜」

「「ダメ〜〜〜」」

恋? 恋のプレゼント? あの2人は彼女に一体、何をするつもりなんだ。

どこに連れて行こうとしているんだ!?

「あら、黒崎さん・・・ 顔色が悪いんじゃなくて?」
「あれあれ〜・・・ホントだ〜・・・でも心配しないでいいから、透子には辛い恋を忘れて新しい恋をして欲しいだけだから!」

「「ねぇ〜〜〜」」

新しい・・・・・恋? 俺を忘れて? 新しい恋・・・・・・・

透子のあのキラキラした瞳も、可愛らしい仕草も、はにかんだ笑顔も全部、俺以外の男のものになるのか!!!

「透子って美人なのに愛嬌のある顔立ちしてるだろ? きっと、モテモテになるぞぉ〜・・・」
「あら透子ちゃんは、もうモテモテよ? さっきだって意外な人が優しく言葉をかけてたし・・・」
「みっ!翠さん! 聴いてました?」

「んふっ、私を誰だと思っているの? でも意外だったわ〜・・・」

誰だ! 彼女に優しい声をかけただと? いったい誰なんだ!

「教えて、あ・げ・な・い♡」
勢いあまって結城さんの前まで行ってしまったが、悪戯っ子のように笑った彼女には教えてはもらえなかった。

「まあ、分かるな〜・・・透子はさ、綺麗で可愛くて優しいしさ、狙ってる男はウジャウジャいるんだな!」
「おまけに処女でしょ? 男なら自分のものにして、自分色に染め上げたいんじゃないの?」
「そんなっ! 私、モテませんから」

焦る彼女がジタバタしてる、それが小さな動物のようで・・・・・・・可愛い。

「提出しなきゃいけない書類があるので、私ちょっと出ますね」
そう言って作成してた書類を抱えて、ラボを出て行った彼女を見送っている俺の耳に結城の声が聞こえた。

「今夜のすてきな場所で、もしかすると・・・・・脱☆処女!しちゃうかもね、透子ちゃん♡」
「盛り上げていこう! 楽しくなってきたなぁ〜〜〜」

だ・・・・・脱☆処女・・・・・・・

彼女の身体を、俺じゃない他の男が抱く?

【 ベキッ!!! 】
手の中のボールペンが、真っ二つに折れた。

もう俺は居ても立ってもおられなくて、ラボを飛び出した。


「クスクス、やっと腰を上げたわね〜・・・」
「ほーんと、さっさと素直になればいいのにね」
「合掌・・・・・」

3人が3人とも焦れったい2人が、うまくいくようにと思っているのだった。


俺は彼女の匂いを手掛かりに廊下を探している。

見つけた・・・・・廊下の奥に見えた背中は、確かに彼女のもので俺は早く謝ろうと、足を早めたんだ。

「・・・!!!」
でも彼女は、1人ではなかった・・・ 親しげに笑いかけているのは、クン! この匂いは池田。。。

管理官の池田の前で緊張していない彼女・・・ということは、2人は知りあいか?

こんな時、聴覚が鋭い結城の能力が欲しいと思ってしまう。

何を話しているんだろう? 足を止めずに近づけば、見える彼女の微笑み・・・・

今日は1度も見ていない、彼女の微笑み・・・・・ それが俺以外の男に向けられている。

そう思った途端、俺はもう・・・・・・止まれなくなった。




「そうだ、お前がそんなに夢中になる本、今度貸してくれ」
「あは、池田先輩は本が好きですものね〜・・・ジャンルも問わずに色んな本を読まれてますよね」
「ああ!」
「明日、持ってきます! 今、ハマってる作者がいてたくさん買い込んだんです」
「おう、期待してる・・・・・・・なんだ?」

池田先輩と廊下であって、さっきついた嘘・・・・・私の目が赤いのは読書してたから、というのを突っ込まれたんです。

池田先輩は大の読書好きで、ジャンルも問わず片っ端から読んじゃうんですよね。
私も読書好きだから、ほんとに最近ハマってる作者さんの事をいえば池田先輩と盛り上がっちゃって!

本を貸す事も約束したんです。

池田先輩からは、ミステリーで面白かった本を貸してもらう話をしてる途中で、誰かに腕を掴まれた。

「え?」
「・・・・・」

掴まれた腕の先を見たら、黒崎さん? どうしたんですか? 何かご用ですか?

そう問いかけても彼は黙ったままで、私の腕を掴んだままで・・・・・・

「STの黒崎だな、藤代の腕を離さないか!」
「・・・・・・」
「おい!」
「先輩、黒崎さん私に何か用があるんですよ。 明日、本を届けますね・・・・・では失礼します」

声を荒げる池田先輩から離れようと、話を終わらせた私は黒崎さんを引っ張って池田先輩から離れたの。

管理官に目をつけられたら、黒崎さんの立場が悪くなっちゃうよ!
黒崎さんは、きっとそんなこと気にしてないだろうけど・・・・・

私は空いた会議室を見つけて、そこに黒崎さんと入った。

「私に何かご用ですか?」
「・・・・・・」
「あ、山吹さんと一緒の方がいいですよね、ラボに戻りましょう」

私も黒崎さんと2人だと、胸が苦しいから・・・・・・山吹さんの慈愛に満ちた存在に、縋りたいです。

ラボに戻ろうと歩き出そうとしても、黒崎さんが腕を掴んだまま動かないから私も動けない。

ほんとにどうしたんだろう・・・

「あの・・・黒崎さん? きゃっ!」
目の前の黒崎さんを見上げていると、いきなり抱きしめられてしまいました。

「・・・・・・すまない」
「え?」

黒崎さんの声が、私の耳に聞こえた・・・・・・ 彼の声は素敵で、私はうっとりとしてしまう。

「??? ・・・・・すまないって、何がですか? あ、昨日のことですか?」
「・・・・・(こくん)」
「・・・・・・私の方がすみませんでした。 黒崎さんの迷惑も気がつかずに突っ走っちゃって」

・・・・・なぜ彼女が謝るのだろう。

「あのっ! ちゃんと分かりましたから私、もう迷惑はおかけしませんから!」

それは・・・・・それはもう、俺のこと???
彼女を抱きしめている俺の腕の中で、彼女は少し緊張し始めた匂いがする。

「もう、諦めます。 しばらく時間下さい・・・普通の同僚として振る舞いますから」

それは俺のこと、好きじゃなくなるって意味?

「・・・・・・イヤだ」
「え?」
「透子は、俺のこと好きでいて」
「くろ・・・さきさん?」

「俺のこと、好きでいて」
「・・・・・なんで?」

腕の中から涙の匂いがする・・・・・・

「なんでそんな事言うの? ・・・・・諦めるって決めたのに・・・・・」
とたんにジタバタと暴れ始めた彼女を、俺はもっと強く抱きしめた。

「離して・・・・・お願いです、離して下さい・・・・」
「離さない」

「諦めるの・・・・私は黒崎さんを、諦めるの」

ああ・・・ 俺のせいだ・・・・

彼女の気持ちを知りながら、弄ぶような事をしていたんだ、俺が悪い。

「ひっく・・・・ひっく・・・・」
「・・・・・ごめん」

ごめん、ごめんなさい・・・・・俺はその想いで彼女を抱きしめる力を強くした。

「透子・・・好き」
俺の言葉にビクリと身体が跳ねる彼女。

「透子・・・大好き」
「・・・・・ほんとに?」

腕の中で見上げてくる彼女の、涙に濡れた瞳も、プルンとした唇も、優しい声も、俺は大好きだ。

「ほんと」
「ほんとに、ほんとう? 黒崎さんが私のこと好きなの?」

ギュッと抱きしめて、耳に唇を寄せて・・・・・正直に言おう。

「・・・・・ほんとに、大好き」
「・・・ふぇ・・・うぇぇん・・・・」

ぶわぁああ・・・っと彼女の瞳から涙が流れてくるのを至近距離で見て、俺は焦った。

何十人の敵に囲まれようと、焦ることなんか全くないが・・・ 彼女の涙の意味が分からず俺は、オロオロとしてしまう。

「・・・・・泣かないで」

「お願い、泣かないで・・・・」

目を見開いたまま涙だけが生き物のように溢れてくる、そんな彼女が・・・・・・綺麗だと、心の底から想う。

抱きしめたまま彼女の涙を、唇で吸いとる。

チュッ・・・チュッ・・・・チュッ・・・・・

何度も、何度も、何度でも・・・ 目の端、頬、幾つも唇を寄せて涙を吸いとった。

「・・・・・泣かないで」
「これは・・・・嬉しいから・・・・・なんです」

しゃくりあげながら言う、辿々しい言い方も・・・・・・可愛い。

「俺と、付き合ってほしい」
「・・・・・・はい」

「もう、泣かないで・・・」

俺はそう言って、今度は彼女の唇に・・・ 自分の唇を、重ねたんだ。

柔らかで、湿ってる唇は、すごく気持ちよくて・・・・・・重ねるだけの口付けから、深く、深く・・・

「んっ・・・んっ・・・」
「可愛い・・・・」

俺は彼女を、手に入れることができたんだ。



「今夜の、行かないで・・・」
「あ、翠さんと翔ちゃんとの女子会ですか?」
「???」

女子会? きょとんとする俺を見て、クスクス笑う透子・・・・・可愛い。

「翠さんが夜景の綺麗なホテルで美味しいもの食べましょうって、誘って下さったんです」
「・・・・・・ホテル、ダメ」

「え? あ? もちろん部屋じゃないですよ? レストランに食事しに行くだけなんです」
「・・・・・今夜、お詫びする」

「黒崎さん?」
「・・・・・2人で、ご飯、しよう」

俺がそう言えば、透子は嬉しそうに笑ってくれて・・・ たまらなくなって俺は彼女を抱きしめた。

「・・・・・黒崎さん、大好き」
「・・・・・俺も」

そうして見つめあった俺たちは、もう1度・・・・・・・・ キスをする前に、俺のスマホがメッセージが来たと鳴った。

『おめでとう〜・・・でももう泣かせちゃダメよ』
『仕方ない、今夜は譲ってあげるよ』
『良かったですね、合掌』

皆んなのメッセージに、心が暖まる。

ピコン! 今度は透子のスマホにメッセージが来た。

『藤代さん、どこですか? 頼んでた書類、提出していただけました?』
『早く戻ってこい!』

「大変、キャップと赤城さんに呼ばれてます!」

スルリと俺の腕の中から抜け出た彼女は、慌てて出口へ向かって、クルリと振り向いた。

「・・・・・早く仕事終わらせますね、2人になりたいから・・・」

真っ赤な彼女が言い逃げして行った出口を見つめながら、俺は真っ赤になった顔を冷ますまで、ラボには戻らないと決めた。

そして、こんな可愛い台詞を言った彼女にも・・・・・・

「今夜、覚えておいて」

・・・・・・・・・俺色に、透子を染めてみせるから。。。

そう、胸の中で誓った。。。





このお話、自分で書いておいて何なんですが・・・・・お気に入りです。

楽しんでいただけるといいのですが、最後まで読んでいただき、ありがとうございます!

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プロフィール

すー※さん

Author:すー※さん
私的妄想世界が広がっております。
イチオシは窪田正孝さんの役柄いろいろ妄想話です♡(その他にも相棒の神戸さん、スネイプ先生や善徳女王など色々でございます)

最近は更新ができてませんが、発作的に投下してます。
8月、9月の試験に受かれば時間ができるので、それまでは見守っていて下さいませ。

合言葉は『シリアスからエロまで』・・・・・楽しんでいただければ幸いです。。。

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