③ 紅 【ウロボロス】

事件のない世界で、事件ものを書いてる管理人です。

今回は咲耶と美月ちゃんが攫われちゃいました!

竜哉、荒れます。。。
イクオ、覚醒します。。。

そんな2人を楽しんで下さいませ。。。





はぁ・・はぁ・・・・はぁ・・・・

澄ました耳に、男の息遣いが聞こえる。

ベットに寝ている女性は、未だ目を覚まさない・・・・・その機械音しかしない部屋の中に、滑り込むように入ってきた男が緊張のあまり荒い呼吸を抑えられないでいた。

「これで、一思いに・・・・・」
懐から取り出したナイフで女性を見た男は、次には大きく振りかぶったナイフの切っ先をベットへと力一杯振り下ろした。

「確保〜〜〜」
グサリとベットに突き立てたナイフを持った男の手首を、捻り上げナイフを離させ、そのまま背中へと捻り上げ・・・・

男はあっさりと、刑事に確保された。

ナイフが刺さったベットには、女性のウィッグと毛布を丸めてそれらしく偽装してあり、本物の女性は違う部屋に移動されていた。

犯人の確保に刑事達にはホッとした空気が流れていたが、中の一人の携帯が鳴り・・・・・・事態は、それで終わりではない事を、伝えた。


「何だとぉ〜! 目撃者と日比野が連れ去られただとぉ〜〜〜! どういう事だ!!!」
「え、咲耶ちゃんと日比野さんが!?」
「とにかく現場の宝石店に行くぞ!」

犯人を連行する者達以外は、慌ただしく銀座の宝石店に向かった。


「うちの刑事とあちらさんの雇ったボディーガードとで、ホテルに向かうため外に出た直ぐに、運転手のボディーガードが撃たれたんだ」
「大丈夫なんですか?」
「ああ、肩を撃ち抜かれてっから入院だろうが、命に別状はないんだそうだ。 そんでよ、犯人は2人その車に乗り込んで目撃者と日比野ちゃんを連れて走り去ったそうだ」

事情を聞きながら僕は、咲耶ちゃんの笑顔と真面目な日比野さんの顔を 思い出していた。

「おい龍崎、真っ青だぞ! お前大丈夫か?」
「僕は、大丈夫です」

胸の中に沸く熱くてドロドロした感情は、しばらくして僕の身体の震えも止めてくれた。

「龍崎・・・」
僕の顔を見た課長が何か言いたそうにしてるけど、そのまま黙っていた。

宝石店に課長について中へと入れば、その場にいた刑事達が事情を話してくれた。
そこへ、出かけていたタッちゃんが戻って来たんだけど・・・・・

自分が雇ったボディーガード達が何かを言う前に、彼らを見たタッちゃんの眼が怒りに燃え盛る炎のようだった。
その眼に、ボディーガード達が何も言えなくなると靴音を響かせて、エレベーターへと向かって上の階へと上がって行ってしまった。

「すげぇ〜迫力だな、あの副社長・・・・・本当に堅気か?」
課長の呟きが聞こえたが、僕は答えるよりもタッちゃんの跡を追ったんだ。

「タッちゃん・・・・・」
副社長室に入れば、立ったままのタッちゃんと深町さんがいて、来客用のガラスのテーブルが真っ二つに割られていた。

タッちゃんが怒りを抑えられなくて、割っちゃったんだろう・・・

タッちゃんは無言で手を動かし、机の中に入っているモノを取り出しボタンを押した。

「タッちゃん、それは?」
「・・・・・・GPS追跡装置」
「咲耶ちゃんの居場所が分かるの?」

「もしもの時のために、咲耶に持たせてあったんだ」
その機械を手にタッちゃんは、ギリギリと歯軋りを上げながら拳を握りしめていた。

「追うぞ、イクオ。 深町、車まわせ!」
「はい」
「うん!」

そうして車に乗り込んだ僕達は、深町さんの運転でGPSの示す場所へと向かうんだ。

途中、課長から電話があったからGPS追跡装置で後を追っていると話した。

『おい、なんで素人がそんなもん持たせてるんだよ!』
「課長、後で話しますから今は、跡をついてきて下さい!」
『おう、分かった! パトカー引き連れて向かってやるよ!』
「あの、課長? 静かにお願いします!」

『はっはっはっ! 遠慮するな、久しぶりにド派手にやるぜぇ〜・・・プツッ』
「あの、課長! 課長〜〜〜!!!」

あの人、何考えてんだよ・・・・・・なんであんなに楽しそうなんだよ!

「どうしたイクオ・・・」
「あのね、タッちゃん・・・・・課長がさ、パトカー引き連れて後を追ってくるよ。しかもド派手に・・・」
「はっ! 面白ぇ〜じゃないか! ・・・・・こっちもド派手にやらかすぞ!」

ニヤリ・・・・口元だけが吊り上がった皮肉な笑顔は、僕の背中をゾクゾクとさせていく。

だってタッちゃん、目が笑ってないんだよ!
男の僕から見ても整った顔してるタッちゃんがさ、目だけを爛々と光らせて口だけで笑ってるのは迫力すぎて、怖いよぉ〜

こうなったタッちゃんは、手負いの獣と一緒で変な動きしたら最後ボコボコにされちゃうんだ!

スタイルの良いタッちゃんは一見優男に見えるけどね、スーツの下は鍛えられててさ 強いんだよ!

あの分厚いガラスのテーブルを、素手で真っ二つにできるくらいなんだもん強いでしょ!

そのタッちゃんが、冷静な態度のままギラギラした眼と、背中から噴き出すような怒気で隣の僕は息苦しいくらいだ。

GPS追跡装置の示す場所を細かく深町さんに伝えるタッちゃん。

それを電話で課長に伝える僕。

『龍崎、病院で捕まえたのは半田組の下っ端だ。自分が畑野恵を襲ったと白状したぞ!』
「それじゃ、ウロボロスで咲耶ちゃんと日比野さんを襲ったのは、半田組ですか!」
『ああ、若頭の滝川の指示だそうだ』
「あっ、そろそろこっちは埠頭に着きます!」
『・・・・・10分だ! 10分だけ持ち堪えろ! 俺たちが着くまで見張るだけにしておけよ!』
「え? あ、でも・・・・」

タッちゃんのこの状態で、見張りだけなんて・・・・・・檻にでも入れないと無理です、課長。

『そんな怖えのか、宝石屋の副社長・・・』
はい・・・、僕には無理です。

『とにかくだな、民間人に怪我をさせないようお前が止めとけ!』
「そんな、それじゃ僕がタッちゃんにボコボコにされますぅぅ〜〜〜」
『健闘を、祈る! ははは』

そんな無責任な〜〜〜・・・10分て結構な時間だよ!?
カップラーメンなら3個作れるもん!

「イクオ・・・・着くぞ」
「うん」

僕はタッちゃんの言葉にスイッチを入れるんだ。

許せないのはタッちゃんだけじゃない、僕だって一緒だよ?

大事な咲耶ちゃんと、大事な相棒の日比野さんが攫われるなんてさ。

ヘラヘラしてるように見えてもさ、頭が怒りで爆発しそうだから誤魔化してたんだ。

「さ、行こう・・・・・タッちゃん」
「行くか・・・・・イクオ」

車から降り立った僕達は、目の前の港の倉庫を見つめて歩き出すんだ。


「「 俺たちの大事な人を、奪わせやしない・・・」」

僕達の後ろにスッと立ったのは深町さんで。
「私もお供させていただきます」
「お前は裏から入り込んで咲耶を助けろ・・・ 俺たちがアイツらを引きつけるからよ」
「分かりました。 御武運を・・・」

深町さんが差し出した木刀を受け取ったタッちゃんが、軽く振るだけで空気を裂く音がした。

「行くぞ・・・・」

タッちゃんの静かな声を合図に、僕達は倉庫に向かった。




私と美月ちゃんを乗せた車は、埠頭の倉庫に着いた。
重いドアが開いて、中へと車は入っていく・・・・・・でも荷物が無いからガランとして広いんだね。

倉庫の真ん中で止まった車から2人が降りていった。

「うぅ・・・ん」
「美月ちゃん、気がついた?」
私の膝の上でパッチリ目を開けた美月ちゃんは、何で???って顔してて・・・すぐにハッと気がついた顔になった。

「咲耶さん、私達は今どうなっていますか?」
「今ね埠頭の倉庫に車ごと入って止まったところなの。 それでねGPSで私の場所は竜哉に分かるから、すぐに助けが来るはずよ」
「GPS? どうしてそんな物を?」

「竜哉がね、心配性なの・・・・だからよ」

だから、2人で無事に・・・・・竜哉とイクオの元に、戻りましょうね?
私がそう言うと、美月ちゃんは「はい」って確りと頷いたの。

・・・・・・・良い笑顔ね。

2人で微笑んでいたら車のドアが開いて、私達は外に出されたんだけど・・・目の前に立ってるスキンヘッドな男が、リーダーかしら。。。

「あんた達、さっさとコイツら殺っちゃいな!」
「若頭! もう無理です! 警察だって馬鹿じゃないんですから!」
「うるさいうるさい! いいから殺しなさいよ!」

ヒステリックに叫ぶスキンヘッドの男に、私達を連れてきた男が食い下がってるわ。

「それより逃げましょう! 今まで貯めた金持って、俺の親・・・沖縄で漁師やってるんです、ですから若頭も一緒に!」
「はあああ??? 今まで幾らつぎ込んだと思ってるの! ここで引いたら全部ムダよ!」
「命には変えられないでしょう!」

良い手下じゃないの・・・・・・・必死に、助かる別の道を示してくれてるのに、あのスキンヘッド・・・ 聞く耳ないのね。

状況を冷静に見据えて、分析できないようじゃ・・・・・ヤクザでも先がないわね。

でもね、こんな単細胞って・・・・・・付け込む隙があるのよね。

私は、竜哉が来るまでの時間稼ぎをしようと、口を開いたんだけど。


「逃げられませんよ! 警察はそんな馬鹿じゃありませんから」
先に美月ちゃんが、口火を切っちゃったの・・・・・でもね美月ちゃん、そんな煽っちゃダメよ?

「諦めて自首しなさい」
するわけないと思うんだけど・・・・・・あのスキンヘッド。。。

それより・・・・・・ほら、単細胞が銃なんて出しちゃった。
美月ちゃん、私を背に庇って立って自分も銃を出したけどね、それだとよくて相討じゃないかしら。

私は美月ちゃんの背後から、首に一発入れて悪いけど気絶してもらったの!

「ごめんね、美月ちゃん・・・・ねぇ、彼女車に乗せておいてもらえます?」
「はい!」
運転してた人に彼女を頼んで、私はスキンヘッドに向き直った。

「ねぇ、滝川さん・・・ ウロボロスって意味、知ってますか?」
「はぁ??? 何だオメェーは! 」
「知らないの? ・・・・・ウロボロス」
「ウロボロスってのは、銀座の宝石店だろうが!」

「若頭! 俺、噂に聞いたことあるんす! 関東で最大の情報組織がウロボロスって名前だって!」
「あら、そちらのお兄さんは知ってるみたいね・・・・じゃあ、もう1つ」

ニッコリと微笑む私に訝しげな顔をするスキンヘッド。

「ウロボロスの女帝と、我孫子会会長の仲は、ご存知かしら?」
「はぁ??? たかが情報屋の元締めと、本家の会長が繋がるわけないだろうが!!!」

「若頭! 噂では会長はその女帝に惚れてて、自分の嫁にと望んでらっしゃるとか!」
「うるさい! 何で俺の知らない事をお前が知ってるんだよ!」

痛そうぉ〜・・・ スキンヘッド、いえ滝川に忠言してる人、殴られちゃったわ。

「で! その女帝がどうなんだよ! 関係ねぇ〜だろうが!」
「関係なくはないわよ? ・・・・・・その女帝が、私の母だもの」

「は?」
「え?」
滝川も殴られた人も、呆気に取られたポカンとした顔して、私を見ているから・・・・・ふふ、なんだか可笑しいわね。

「私を殺せば母が怒り狂うわよ・・・・日本中、いえ海外に飛んでも必ず母は探し出して、あなた達を殺すわ」

「きっと私を溺愛している母なら、嬲りに嬲って・・・いっそ一思いに殺してくれってほど嬲り尽くして殺すわよ?」

「それに母を女神の様に崇拝している栄のおじ様も、私を可愛がって下さってたから、あら大変!!!」

「あなた達、情報組織とヤクザ組織にタッグを組まれて追われる羽目に、なるわねぇ〜・・・・・・楽しそう♡」

私はニッコリと微笑んだまま、コロコロと笑っているの。

「あんた・・・・怖くないのか? 銃を突きつけられて、殺されるんだぞ? なんで笑えるんだ?」
「私が子供の頃から何度、攫われてると思って? いい加減、度胸もつくわよ」

「私とそのお嬢さんを、車に乗せて何もせずに見送ってくれたら、無かった事にしてあげるわ・・・・いかがかしら?」
「無かったことに?」
「ええ、無かったことにしてあげる・・・・・・いい取引でしょ?」

私の提案に殴られた人が考えてる顔をしているけど、ああ、ダメね・・・・・スキンヘッドの頭じゃ考える範疇を超えちゃったみたいね。

闇雲に殺してしまえって顔、してる・・・・・・ふぅ〜、もう少しオツムが良いとよかったのにね。


「面倒よ、殺してしまえばいいわよ!」
「若頭、このまま逃がしましょう! じゃないと殺されますよ、俺ら! この人の言うこと、嘘じゃないです!」
「なんでそんな事、分かるのよ!」
「若頭! 少しはアンテナ張っといて下さい! 裏社会でも裏の裏、極秘で廻ってる話があるんす!」

「なんだよ、そりゃ」
「《ウロボロス》を支配しようと女帝の娘を誘拐した者は、必ず斬り刻まれて魚の餌になっちまうって・・・」

「そうよ、どんなに逃げても居場所を見つけられ、捕らえられ、女帝の気の済むまで斬り刻まれるのよ・・・思い出すわ、返り血を浴びて真っ赤に染まる母が、誇らしげに笑っているの・・・・・・」


「『咲耶! 可愛いお前を傷つける者は、私が許さないよ! これは見せしめだ、目立つ様に置いておいで』そう言った母は、銀座のど真ん中にそいつを置いといたのは、私が16の頃だったかしら?」

「そ、そんな事聞いたこともない! ニュースにもなってないなら、お前の嘘だろう!?」
「クスクス・・・・・母の崇拝者は何もヤクザだけじゃないの。 警察が事件にしなければ、事件など起きないのよ?」

その言葉に私を見るスキンヘッドも、殴られた男も、運転手の男も・・・・・周りに立っている男達の目が、怯えたものに変わった。

「さっきの言葉に付け加えるなら、あなた達・・・私と彼女を無事に戻さなければ・・・・・情報組織とヤクザ、それに警察も必死に追うわよ?」

私は殴られた男の前に立ち、地面に座り込んでる男の顎を持ち、顔を私に向けた。

「あなた、見所あるわね・・・・・私の処に来ない?」
「え?」
「ああ、あなたを兄貴と呼んでた子も一緒に来ていいわよ」
「・・・・・・」

考えるためかフィッと視線をずらした彼が、顎を掴んでいた私の手を握り引き寄せた・・・・・・

【 バァーーン!!! 】


私の立っていた場所を通り抜け、銃弾が走って行った。

地面に転がる寸前、男の腕の中で守られた私は無事だった。




俺はイクオと2人、倉庫の中へと入って様子を伺えば、滝川がヒステリックに喚いているところだった。

遠くで深町が見えた・・・・・やっぱ、アイツの仕事は確かだわ。

そろそろと近づいていく俺達に、興奮した滝川は気がついていない・・・・・ん? 咲耶は俺に気がついたみてぇーだな、ニッコリ笑ってやがる。

ん? なんだ? 咲耶が地面に座り込んでる男の顎を指先でクイッと・・・・・顎クイか?

・・・・・・・何で他の男に顎クイしてるんだ。

・・・・・・・そのまま見つめ合ってるんじゃねぇ〜。


・・・・・・・・・俺にも顎クイした事ねぇ〜くせに、そんな男にするのかよ。

「タッちゃん!!!」
「くそ」

見れば滝川が咲耶に銃口向けてやがる!
俺は手の中の木刀を滝川の馬鹿に投げつけ、咲耶は・・・・・・顎クイしてた男に抱きしめられていた。

〈〈〈 ぶちぃぃぃぃぃ〜〜〜 〉〉〉

「俺の女に、触るんじゃねぇ〜〜〜」
「あ、タッちゃん!!!」

俺は物陰から飛び出して、咲耶目掛けて走り出した。

滝川の手下が俺の前に出てくるのを、拳で殴り倒して進む。

えーい、うじゃうじゃと出てくるな!
俺が殴りたいのは、咲耶を抱いてるあの男だ!!!

「どけぇ〜〜〜、邪魔すんな、ゴラァ!!!」

真ん中で偉そうにしてるスキンヘッドを、通り過ぎざま殴って地面に沈めた俺は、咲耶の前に立つ。

「咲耶、いつまで他所の男に抱かれてる・・・・・・立てよ!」
「だって・・・」
「だってって、なんだ! 俺よりソイツの方が良いとでも言うのか?」

カッ!!!とくるまま咲耶を見下ろせば、薄っすら涙の膜を瞳に張らして俺を見上げる咲耶。

「だって、足が痛いの・・・捻っちゃったみたい」
「え? 捻ったのか? 大丈夫か?」
「竜哉・・・・・」

甘えた声で俺を呼ぶ咲耶は、両手を俺に伸ばしてくる・・・・・・歩けねぇ〜なら、仕方ないな。

俺は咲耶をお姫様抱っこして、 男の腕の中から取り返したんだ。



あーあ、死屍累々だぁ〜・・・・・・ 怒ってるタッちゃんは、最強だからなぁ〜


少し前、倉庫の中に入って中の様子を伺ってると、僕の隣にいるタッちゃんが・・・・・炎の塊みたいになっちゃった。

何を見てるのかと思えば咲耶ちゃんが見知らぬ人に、綺麗に微笑んだまま顎クイしてる。

ギリギリ・・・・・うわっ! タッちゃんの歯軋りの音が聞こえるよ!

「・・・・・・・俺にも顎クイした事ねぇ〜くせに、そんな男にするのかよ」
タッちゃんの地の底を這う様な恐ろしい呟きが聞こえたと思ったら、滝川が咲耶ちゃんに銃を向けるのを見た。

「タッちゃん!!!」
僕が銃を出すより早く、タッちゃんは木刀を投げて滝川のツルツルな頭と腕に、命中させた。

すごいやタッちゃん!
隣を向いた僕は、怒りに燃え狂うタッちゃんを見つけて、ヤバい!とアッチを向いた。

その視線の先には、地面に座り込んでる男の腕の中にいる咲耶ちゃんが見えた。

・・・・・・・・ヤバいっ!
声にならないほど、ヤバいって思った僕が、タッちゃんの隣から抜け出ようとしたんだけど・・・・・・あ、やっぱダメなのね、腕を掴まれちゃった。

〈〈〈 ぶちぃぃぃぃぃ〜〜〜 〉〉〉

なになになになに??? ぶっといロープが切れたみたいな音がしたんだけど!!!

「俺の女に、触るんじゃねぇ〜〜〜・・・」
「あ、タッちゃん! やり過ぎないでよ・・・・って、聞いてないし」

飛び出してったタッちゃんの後を追う僕の目の前で、出てくる滝川の手下を1発で次々KOしていくタッちゃん。

タッちゃんが通った後には、地面に転がる男達が死屍累々と転がってるや・・・・

「あ、あんた達、何者だよ!」
「うるせぇ!!!」
「ピギャ!!!」

あ〜あ、スキンヘッドの滝川も銃を向けてるのに、タッちゃんの1発で地面に転がってる。

僕は楽でいいんだけどね〜・・・でも、課長になんて言い訳しよう。。。

タッちゃんは、見知らぬ男に抱かれてる咲耶ちゃんの前に立って怒った口調のまま話してる。

・・・珍しっ! タッちゃんが咲耶ちゃんにあんな口調で話すのって、滅多にないんだよね。

なんやかや言ってタッちゃん、咲耶ちゃんにベタ惚れだから!


あははっ、咲耶ちゃんが足が痛いって言った途端タッちゃんたら、もう心配そうに咲耶ちゃんを見つめてさ。

あんだけ怒りまくってたのに、咲耶ちゃんの涙目と抱っこのおねだりに許しちゃってるし!

あ〜あ、咲耶ちゃんをお姫様抱っこしてるタッちゃんの、あのドヤ顔・・・・・・どんだけ夢中なんだよ、タッちゃんてば!

「イクオさん、相棒の彼女はそこの車の後部座席に寝かされてます」
「あ、深町さん。 分かりました」
「竜哉さんは、このまま帰られると思います」
「え? それは困るよ! 警察で事情聴取とかさ、色々あるんだけど・・・」
「失礼します」

「あ、ちょっ、ちょっと深町さん!」
タッちゃんに忠実な深町さんが、僕の言うこと聞くわけないけどさ・・・・・立ち止まってくれても良いと思うんだけど。


日比野さんの処に行きながら、その時、パトカーのサイレンの音が、僕の耳に聞こえ始めたんだ。




「・・・・・・何があったんだ?」
「課長、あの・・・」
「竜崎、説明してくれるよな? な?」
「私も聞きたいです」

課長と日比野さんに迫られて、僕はタジタジなんだけど・・・・・・あの、えっと。

「「竜崎(さん)」」
2人の恫喝に、僕は飛び上がっていた。

「俺がコイツら、殴りました」
ボソッと低い声が僕の隣から聞こえたと思えば、タッちゃんが咲耶ちゃんをお姫様抱っこしたまま立っていた。

「俺の女を攫われた、銃で撃たれそうだった。 ・・・・それ見たらカッとして」
「・・・・・なかなか良いパンチしてんだな、副社長さんは」
「事情聴取には応じますが、今はコイツの怪我を手当てしたいんで、行っていいですかね」
「怪我しちゃったの、その美人さん、そりゃ大変だ! ・・・・・後で署の方に来ていただきます。 御二方ともね」

それで2人は深町さんの運転で帰って行ったんだけど。

「かぁ〜〜〜っ! あんな美人を抱えてよ、俺の女を攫われた・・・・なんて俺も言いたいよ!」
「課長、独身ですもんね・・・・・うっ!!!」

課長の拳が腹にっ!!!
課長はそれで満足したのか、笑いながらあっちに行ったんだけど。。。

「一言多いんです、龍崎さんは」
「まだ痛い・・・」

署に戻った僕達は逮捕した1人、1人を取り調べるんだ。

ただ、それでマズイことが起こってさ・・・・・・滝川がおかしな事を言い出してるって事でさ、ちょっとマズイんだ。

「日本最大の情報組織ウロボロス・・・・・・てか? 滝川の妄想じゃないのか?」
「課長もそう思います? 具体的に言ってるのは滝川だけなんですよ。 あとは近くに居た沢渡も知らないって言ってますし」
「まあ日比野ちゃんさ、被害者に話聞いておいてくんない?」

という事で、次の日署に来てくれた咲耶ちゃんとタッちゃんに事情聴取するんだけどね。

それぞれ呼び出す時間は別なんだけどね・・・・・タッちゃん、ムクれそう!
どうして咲耶と一緒じゃダメなんだよ!とか、言われそうだから僕は咲耶ちゃんの取り調べを買ってでたんだ。

そうして玄関まで迎えに来た僕は、足首に包帯巻いた咲耶ちゃんが松葉杖をついてるのを見て駆け寄って支えるんだ。

「大丈夫!? 無理しないで咲耶ちゃん! 僕が抱っこしてあげようか?」
「大丈夫よ、心配しないで? ちょっと松葉杖が使いにくいだけだから・・・」
「そうだ、車椅子は? 車椅子の方がいいんじゃない? 僕、取ってくるよ!」
確か署には数台の車椅子が置いてあったはず・・・・・・・あ、あった!

車椅子に座ってもらった咲耶ちゃんを、僕が押して歩いてると・・・・・・あれ? 第一署の蝶野さんだ。

僕達、第二署をバカにしてる蝶野さんが来るなんて、珍しいなぁ〜・・・・・

「・・・・・・どうして僕を押しのけて蝶野さんが咲耶ちゃんの車椅子を押すんですか?」
「ああ、俺が直々にこの美しい女性の事情聴取をする事に決まったからだ!」
「ええ???」

僕が驚いてると横から東海林さんが、こっそり手を合わせて謝ってくるんだ。

「ごめんな、蝶野さん・・・・・この人ともっと話したいんだって、無理やりゴリ押ししちゃったんだ」
「ええ???」

「ま、そういうことだぁーな!」
「ほんと、ごめんな」

そうして咲耶ちゃんを連れて部屋に入ってっちゃったよ、蝶野さん。。。

嘘だろう・・・・・・

僕は慌てて3人が入った隣のドアを開けたんだ。
壁のカーテンを開けばそこにはマジックミラーの窓があって、向こうの様子は丸分かりだった。

スピーカーのスイッチを入れれば、息遣いまで聞こえてくる。

そこで僕は、咲耶ちゃんの言葉に耳をすますんだ。



「大変な目にあいましたねぇ〜・・・咲耶さん」
「ええ、一晩たってもまだ、思い出すと少し怖いです」

ニッコリと笑顔が眩しい目の前の女は、少しも怖いとは思ってねぇーんだろうな。。。

滝川っていうアホなヤクザの調書を見たとき、俺はきになる単語が目に付いた。

【 ウロボロス 】・・・・・・新宿の街に、まことしやかに流れる噂に確かにあるんだ。

そいつが気になった俺は直接聞こうと、この第二署へと出向いてやったんだ。

「なあ、あんた・・・ウロボロスって話、聞いたことねぇーか?」
「ウロボロスはうちの店の名前ですけど・・・」
「ま、そりゃそうだが・・・・・・他のウロボロスのことだ」
「他の?」

スッとぼける顔も、ま〜綺麗だな。

「あんたが滝川に言った話だよ、日本最大の情報組織・・・・・その王国の女帝とかなんとかだよ」
「ああ・・・そういえば、助かりたくて咄嗟についた私の嘘ですわ」
「嘘!?!?!?」

「ええ、いくらGPSで助けが向かっているとはいえ、銃を向けられてましたから・・・時間稼ぎにとついた嘘です」
「へぇ〜〜・・・日比野も一緒にいたんだろ? あいつはどうしてたんだ」
「・・・・・しばらく休んで頂いてました」
「は???」

「本当に申し訳ないんですが、あのツルッパゲの男と銃を向かい合わせて、挑発なさってるので身の危険を感じて・・・・・・こう」
咲耶ちゃんの手が、斜めに振り下ろされてて・・・・日比野さんに手刀をかましたのは分かった。

「現役の警察官への暴行で、私・・・・・逮捕されますか?」
「いや、しねぇーだろう。 確かにあのお嬢ちゃんだと滝川を煽りまくって撃たれてたな、気が強ぇーからな・・・あのロイヤルストレート2世は」
「クスクス・・・何ですか、それ? ポーカー?」

笑った顔も、イイ!!!

「それに美月ちゃんより客商売の私の方が、交渉には向いてると思って・・・嘘八百の話で相手を引きつけ、少しでも時間を稼ぐ、それしか考えてませんでした」

素晴らしい! そうやって結果、自分だけでなく日比野も無事に助かったのはひとえに貴女のお陰です!

「ありがとうございます」
「それではこれで事情聴取を終わります。 お好きな所にお送りしますね」
「では玄関まで・・・家の者が車で待っていますから」
「それは・・・・・・・残念だ」

ちぇっ、送る途中で飯でもとか・・・・・・

部屋を車椅子を押して出れば、龍崎が自分が押すと奪っちまった。

あ〜あ、高嶺の花かよ〜〜〜

「東海林! 調書、纏めとけよ!」
「蝶野さん! ・・・・・・分かりましたぁ〜」

昼飯でも、行くか・・・・・・あ〜あ、良い女いねぇかな〜!

今回は、逃してやるよ・・・・・・ウロボロスの咲耶ちゃん!

だが、あの男と一緒に・・・・・・いずれ暴いてやるよ、そのスッとぼけた顔の裏をな。



タッちゃんは課長と僕で事情聴取したんだけど、タッちゃん? 弁護士同伴なの?

「すっげーな、このガタイ・・・本当に弁護士なのか? プロレスラーじゃなくて?」
「課長!」
「佐藤ダグラス健太郎です」

ほんと凄いガタイだなぁ〜・・・・でも名刺には確かに弁護士って書いてある。

そうしてプロレスラーみたいな弁護士さん同伴で、事情聴取を取った課長と僕。

タッちゃんは犯人達を殴ったけど、正当防衛が認められてるし、そもそも相手は銃を持ってるんだし、お咎め無しってことで直ぐに終わったんだ。


タッちゃんを見送りながら課長が・・・

「惜しいなぁ〜・・・宝石屋より警察に入んねぇかな、あの人」
なんて言ってるけど、それは無理だと思います。

「そうだな、あの綺麗な恋人しか目に入ってないんだもんな」
「そうなんです」
「俺も・・・・・あの人が恋人なら、警察辞めてもいいなぁ〜」
「え? 課長?」

「今度、宝石見に行ってこようかな〜・・・・・・」
「課長!!!」

それから暫くは、あちこちから咲耶ちゃんファンが現れて、幼馴染だと聞きつけたのか僕に紹介してくれと声がかかって困っちゃった!


婦警さんからは、タッちゃんを紹介してほしいって言われるから、僕は逃げ回る日々が続いたんだ。





これで事件は一応解決です。

最後まで読んで下さって、感謝します!

できれば温かいコメントなど、拍手など・・・・・・お待ちしてます♡
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コメント

☆トナンさんへ 2☆

> 面白かったです!
キャーー、嬉しいです! ☆*:.。. o(≧▽≦)o .。.:*☆
自分の頭の中の物語を、他の方が面白いって感じてくれるのって、本当に嬉しくて次への励みになります!

咲耶ちゃん、護身術を齧るくらいはしてるんですが、本格的にしようとすると竜哉が止めるので格闘は無理なんです。
竜「俺がいるだろ? 他の男に触らせるかよ」
なんて、言われてみたいなぁ〜・・・(笑)

咲耶ちゃんは女帝の娘ですから・・・でも、竜哉は強くてバリバリ副社長として仕事もできて、しかもクールビューティーなのですが。

咲耶ちゃんの愛を欲しがり続け、不安になっちゃう繊細さもあって・・・咲耶ちゃんはそんな脆さのある竜哉にゾッコンなんです。

> 女優さんならばとなたに当てはまるかなぁ(*^^*)
誰でしょう〜〜〜???
大抵ヒロインのイメージは書いてるうちに浮かんでくるんですが、咲耶ちゃんは・・・・・アニメみたいな絵が浮かんでくるだけで、女優さんではイメージがないです。

トナンさんが浮かんだら、教えて下さいませ。

はっ!!! そうでした・・・早く解決しようと焦るあまり、すっ飛んでしまいました。
実は竜哉&咲耶で、直後の話を書いてるので(エロいのを)イクオと美月さんで小さな恋の物語を書いてみたいです。

ドラマでもあったのですが、イクオの鼻の良さに食事を当てられて「嗅ぐな!」と言うやり取りが好きです。

まだウロボロス熱は、冷めないみたいです(笑)

お付き合いくださると、嬉しいです!

☆落ち葉サクサクさんへ☆

落ち葉サクサクさん、初めまして! &コメントありがとうございます!

> なんだかファンになっちゃいましたo(^-^)o
恐縮です。。。
ありがとうございます!
自分の好きな物語を書いているだけなので、照れちゃいます。

ついてない・・・・私もです。
ご飯食べてて歯が折れるなんて、ほんとついてないです!
昨日、やっと治療が終わったのですが、真っ二つになった歯を抜くのと、その後が酷かったです。
それからも色々と(息子のことや、体調など)問題が出てきて、私も凹み中なんです。

私のブログが目に止まって、少しでも気晴らしになれたら、嬉しいです。

色々と胸に溜まっていることなど、コメントにてやり取りさせていただければ、私も応えることができます。
コメントは鍵をかける事も出来ますし、私からのお返事も直接他の方に分からないような内容にします。

それでは物足りないでしょうか?

やはり初めましての方と、すぐにメールのやり取りというのは考えさせていただきたいのです。
ネットの世界は楽しく気軽な面もありますが、怖い面もありますので。

コメントいただければ、遅くなっても必ずお返事はします!

決して迷惑ではないのですよ?

良かったらまたコメントお待ちしております。。。

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はつよろです♪

なんだかファンになっちゃいましたo(^-^)o

わたしですね…このところついてなくて(汗)
すべり台を滑っても滑ってもゴールが無い感じなんて言えば少しは伝わりますか?
ものすごい急降下中なんです。。

そんなこんなで色んなブログ読み漁ってたらここで足が止まりましたヾ(≧∇≦)ゞ不思議と心惹かれたんです。
すー※さんさんも色んな時間を過ごされてるんですよね。きっと。。

急なお願いで戸惑わせてしまうかもしれませんが
話し込んでみたいというか話しを聞いてもらえたらって気持ちを持たずにはいられなかったんです(o゚▽゚)o

連絡してくれたら有難いです。
もしも迷惑であればコメントごと私のこと消してください。
Secret

プロフィール

すー※さん

Author:すー※さん
私的妄想世界が広がっております。
イチオシは窪田正孝さんの役柄いろいろ妄想話です♡(その他にも相棒の神戸さん、スネイプ先生や善徳女王など色々でございます)

最近は更新ができてませんが、発作的に投下してます。
8月、9月の試験に受かれば時間ができるので、それまでは見守っていて下さいませ。

合言葉は『シリアスからエロまで』・・・・・楽しんでいただければ幸いです。。。

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