【ウロボロス】in イクオ編

今回からカテゴリーに【ウロボロス】作りました!
よろしくお願いします!

そして、イクオ編になります。

タッちゃんを、ずっと見ていたイクオ視点の、お話になります。




僕には大切な人が、いる。


お母さんかお姉さんみたいな結子先生、お兄ちゃんの様に頼りになるタッちゃん・・・・・・・そして。。。


綺麗で、いい匂いのする咲耶ちゃん。


僕には大切な人が、いる。



「タッちゃんがぁぁ〜〜〜・・・・・結子先生〜・・・咲耶ちゃ〜ん・・・・・」
8才の僕は子供の頃から頭の良いタッちゃんには、敵わなくて・・・・・・施設に来た当初はよく泣かされてた。

その時にタッちゃんを叱ってくれるのは結子先生。

「竜哉〜〜!!! あんたまたイクオを泣かせて〜・・・・・何があったのよ!」
「だってイクオの奴が悪ぃんだゼ! いつまでもグズグズしてっから!!!」
「あんたが手伝ってやればいいでしょう? イクオはまだ慣れてないんだから!」
「結子がやってやればいいだろ! 俺には関係ない!」

「関係なくないよ 竜哉、ここに居る皆んなは家族よ! ・・・・違う!?」
「・・・・・・・・」

叱られてるタッちゃんの横で、泣きじゃくる僕の頭を優しく撫でてくれるのはいつも決まって咲耶ちゃんだった。

屈んで僕の目線に合わせてくれる咲耶ちゃんは、ハンカチで僕の涙を拭ってまたヨシヨシと頭を撫でてくれるんだ。

「咲耶ちゃ〜ん・・・」
抱きついてく僕を抱きしめてくれる咲耶ちゃんは、すごくいい匂いがするんだ。

施設で一緒に暮らしてるんだから、服の洗剤も、シャンプーも、石鹸も同じなはずなのに・・・咲耶ちゃんはいつも花の匂いがするんだ。

「咲耶ちゃん、いい匂いするぅ〜〜〜」
「そう? イクオは鼻が良いんだね。 ほら、泣きやんで? ・・・・・・お口開けて?」
「???・・・・・・・あ〜〜ん」

キョトンとしながらも咲耶ちゃんの言うまま、口を開けた僕に、ニコッと微笑んだ咲耶ちゃんがポイッと入れてくれたのは・・・・・・甘ぁ〜〜〜い、飴だ!

途端にニコニコしだす僕に、咲耶ちゃんもニコニコしてくれる。

「なんだよ、イクオにばっかり・・・・・」
結子先生と話しながらもタッちゃんは、僕達を見ていたようで文句を言ってる。

そうしたら咲耶ちゃんは、タッちゃんの頭も撫でて、飴玉を手の上にのせてあげてるんだ。

・・・・・・・その飴玉、昨日のオヤツに出てたのだよね?
咲耶ちゃん、もしかしてオヤツを食べないで取っておくの?

・・・・・・そういえば、よく泣いてる子の口に何かを入れてるよね。

・・・・・・僕もよく泣いてるから、咲耶ちゃんに入れてもらうんだ!

飴とか〜・・・チョコとか〜・・・クッキーとか!
それで僕がニコニコしたら、咲耶ちゃんもニコニコしてくれるの!

綺麗で、いい匂いで、優しい咲耶ちゃんは、僕の大事な人なんだ!



擦り傷と泥だらけな僕とタッちゃんが、まほろばの先にある海岸で流木に座って泣いてたんだ。
あ、泣いてるのは僕だけだよ? タッちゃんが泣いてるところなんて、めったに見ないもん!

慌てて駆けてくる結子先生と、咲耶ちゃんにタッちゃんが訳を話してるのを聞きながら、僕は大泣きしていた。

公園でタッちゃんと遊んでたら、ボールを取り上げられて、そして・・・・・・こう言われた。

「お前らは、親に捨てられた子だって言われた・・・・うぇ〜ん・・・・ 」
その心無い言葉に、僕は悲しくて・・・・・泣いてしまうんだ。

でも、その時の結子先生はいつもと違ってた。

「あんた達にはどうしようもない事じゃない!・・・・・・・イクオ、今度そいつらが殴ってきたら、きっちり殴り返してやんなよ!」
「え?」
「結子・・・」
ほら、タッちゃんも呆気にとられてる。

「こんな風に人を傷つけてくる奴は最低だよ。 そういう奴らには、きっちり拳骨返してやんなきゃ」

そんな事を言われたのは、初めてだった。


次の日、僕とタッちゃんが公園でボール遊びをしてると、また来たアイツら・・・・・僕らよりも上級生が、ずらりと並ぶんだ。

「お前らみたいな親に捨てられた奴が、ボールで遊んでんじゃねーよ!」
「貸せよ!」
「ボール、返してよ!」
「触んな!」

タッちゃんと僕はボールを取られないようにするんだけど、周りを囲まれて奪われそうになったんだ。

「・・・・・・上級生が下級生に乱暴してるなんて、どういう事かしら?」
凛とした声がその場に響いて、その子達の動きが止まった。

サラリとした長い黒髪を風に靡かせて、まほろばじゃ見たことない顔をした咲耶ちゃんがそこに立っていた。

大きな切れ長の目がキラリと光って、僕らを取り囲んでる上級生を1人、1人、見つめてる。

「田中君、佐藤君、鈴木君、早坂君・・・・・あなた達、自分よりも年下の子に恥ずかしくないの?」
「お前には関係ないだろう!」
「そうだよ、女の出る幕じゃないんだ! あっち行けよ!」
「そうだ、そうだ! 女のくせに生意気なんだ!」

「ふぅ〜ん・・・・・・女のくせに、ねぇ〜・・・」

ツカツカと歩いてくる咲耶ちゃんが、急に大人びて見えた。
僕とタッちゃんを背中に庇うように立った咲耶ちゃん、さっと髪を払って・・・・・

「・・・・・・男のくせにグダグダ言うんじゃないよ! だいたい自分より年下のボールを取り上げようだなんて、どういう了見してんだい! 女のくせにとか言う奴に限って、男のくせに腐った事してんだよ! 何なら出るとこ出てもいいんだよ!」
「な・・・なんだよ、出るとこって・・・・」

「学校に報告するんだよ! すでに上級生が公園で下級生の遊び道具を奪って泣かせてるって職員室で問題になってるんだから、話は簡単だよ! 正々堂々、あんた達のやってる事を話せばいいだけさ!」

グィッと咲耶ちゃんが目の前の男子に近づいて、睨みつけている。

「この子らの事を 親がいないと罵るんじゃなくてさ、自分達に親がいる有り難さを感じなよ・・・ それに私達は家族だ! 家族を守る為なら私は何でもするから覚えておきな!」

こんなに激しい口調の咲耶ちゃんを見たことなくて、僕もタッちゃんも見つめることしか出来なかった。
だっていつもニコニコしてる咲耶ちゃんしか、知らなかったから・・・・・こんな激しさ、見たことなかったんだ。

上級生が去った後の公園で、咲耶ちゃんは僕らに飴玉をくれて・・・・・・3人で手を繋いで、僕らの家に帰ったんだ。

その後、僕らが上級生にいじめられることもなく公園で遊べるようになったんだ。

・・・・・・・咲耶ちゃんが突然、いなくなった後も。。。




タッちゃんが結子先生の目を盗んで見た咲耶ちゃんの里親は、まるっきりのデタラメだった。
結子先生に相談して調べてもらったけど、住所も電話番号も、そこに居る人達も咲耶ちゃんとは関係なくて。

咲耶ちゃんは、行方が分からなくなったんだ。
結子先生が手を尽くして調べていたけど、何も分からなかった。

あの頃、タッちゃん荒れてたなぁ〜〜・・・・・・しばらくしてだっけ、自分の手で咲耶ちゃんを探し出すんだって言い出したの。

それからタッちゃんは、表向きは静かに過ごしていたけど、僕は知ってるんだ。

あらゆる事を貪欲に吸収するため、タッちゃんは本をよく読んでるんだ。
身体も鍛えてて、空手部や柔道部、剣道部、テコンドー部などなど格闘技系の部には顔を出して習ってた。

僕も付き合わされて色々な格闘技系の部に所属してる。

もともと運動は好きだから、自分で言うのもなんだけど僕ね・・・・・・強いと思うんだ。

そうして僕達は高校3年になって、将来を考えなきゃならなくなった。

「タッちゃんはどうするの? タッちゃん頭良いからさ、大学行った方がいいよ!」
「お前は何になるんだ、イクオ」
「僕はね、警察官になろうと思うんだ。 刑事になって、咲耶ちゃん探すんだ!」

僕、タッちゃんみたいに頭良くないから・・・・・・なれるか分からないけどね。

「俺は・・・・・」
タッちゃんが何か言いかけた時、横から女子が側に来てタッちゃんを見上げて目配せしている。

「ねぇ、段野君・・・・・話があるの、ちょっといいかな」
「・・・・・・イクオ、先に帰っててくれ」

あ、またか。。。

タッちゃんは何かとモテるんだけど、決まった彼女は作らないんだ。
だけど、それでもいい! 遊びでいいから!って女の子とは、気が向いたら・・・・・シてるみたいなんだ。

1回きりの関係・・・・・・どうしてそんな事するのか聞いたんだけど、タッちゃんは「何でもねぇ〜」っていうだけでさ。

僕もそれ以上は聞けなくて、今まできたんだ。


タッちゃん、ねぇ・・・タッちゃん。
タッちゃんは咲耶ちゃんが好きなんだよね?

なら他の人とシちゃいけないと思うんだよね!
だからもう止めなよ!



咲耶ちゃんが、見つかった・・・ それはもう呆気なく。

テレビに出ていた咲耶ちゃんは、白いブラウスに黒のベストにズボンという出で立ちだった。
宝石の鑑定士として外国に留学している時、コンテストか何かで優勝したんだって!

それで咲耶ちゃんがいるのは銀座の宝石店で・・・・・・すぐにタッちゃんが電話したけど。。。

「ダメだ、冷やかしとかと同じにされて咲耶を出さねぇ〜」
「どうするのタッちゃん!」

何事か考えていたタッちゃんは、やがて腹が決まったって顔して僕を見た。

「俺は、あの店に行ってくる」
2階の僕らの部屋に行って戻ってきたタッちゃんは、お金をポケットに入れている。

チラリと見えた1万円札が何枚もって、タッちゃん! そのお金どうしたの?

「小遣いを貯めた」
「え? お小遣い? そんなの貰ってたっけ? バイトは部活でしてないし・・・・・ええ?」
どうやって手に入れたお金なんだろう?

その時、僕にしては珍しくピン!ときたんだ。
タッちゃん、女子から色々とプレゼントもらってたっけ・・・・・参考書や時計とか、何か色々。

でも同じ部屋で寝泊まりしてる僕、そんなの見たことないんだ。
つまり、それらをお金に変えてたんだねタッちゃん。

さすがタッちゃん・・・・・でもある意味、ひどいよね。


そうして咲耶ちゃんに会いに行ったタッちゃんが、その夜、帰ってこなかった・・・・・


次の日の夕方に帰ってきたタッちゃんだけど・・・・・・ああ、咲耶ちゃんに会ったんだね。

タッちゃんからは懐かしい、花の香りがしたんだから。。。

2人がうまくいった事は、それでもう分かっちゃった!
だって移り香がタッちゃんからするほど、咲耶ちゃんが側にいたって事でしょ?

僕ね、咲耶ちゃんがタッちゃんの事好きなの、昔から知ってるんだ〜・・・

だから、だからね・・・・・・僕、嬉しいよ。


大切な人と大切な人が、幸せになってくれるんだもん!

僕、嬉しいよ・・・・・・・


「俺、咲耶と付き合う事になったんだ・・・」
「うん、分かってる! 良かったねタッちゃん!」
「お前は・・・・・いいのか?」
「うん、僕はいいんだ! でも今度、咲耶ちゃん連れてきてね! 僕も会いたいから」
「ああ・・・・」

タッちゃんと交わした会話は、少し胸の中が痛くなったけど、僕は気がつかないフリをするんだ。

それからのタッちゃんは、何でも咲耶ちゃんの養母に条件を出されたとか何とかで、必死に勉強してるんだ。

あのタッちゃんがだよ! いつも平然としてて余裕のあるタッちゃんが、ガリ勉してるんだ。

もともと成績の良いタッちゃんが、本気で勉強したらそりゃもう大騒ぎさ!!!

全国模試とかでいきなり1位を取っちゃうし、その成績で学校中が・・・特に先生方が大慌てでさ。
担任の先生がタッちゃんの進路が変わった事に喜んでたけど。


そんな大騒ぎのなか、女子達がタッちゃんにまた・・・・・・近づいて来るんだ。

「ね、段野君・・・・・話があるんだけど〜」
「ああ、俺も話があるんだ・・・・・・俺、好きな女がいるからもうデキねぇーわ」
「え?」
「その女以外、もう勃たねぇ〜から。 他の奴にも言っといてくんないかな」
「うそっ! そんなぁ〜・・・」

そうしてタッちゃんは、全ての女子を遠ざけたんだ。

良かった・・・・・・じゃなくて!!!

タッちゃんに相手にされなくなった女子達が、訳を教えろと僕を取り囲んでるんですけどぉぉ〜〜〜

「段野君の相手って、誰よ!」
「言いなさいよ!」
「あんた、知ってるんでしょ!」
「さあ、教えなさいよ!」


タッちゃん・・・・・・・助けてぇぇ〜〜〜・・・・・ 怖いよぉ〜〜〜・・・・・・


今でも思い出すとゾッとするよ、女子に囲まれたの。

タッちゃんが助け出してくれたけど、その時もさ・・・ タッちゃんが現れたら女子の顔も態度もコロッと変わっちゃって、驚いたなぁ〜・・・・・・

そのときにタッちゃんが、キツく言ったから囲まれたのは後にも先にもその1回だけど・・・・・・でも、怖かった。



まほろばの庭でチビ達と遊んでると、1台の車がやって来た。
お客さんなんて珍しいから、チビ達と「誰だろね〜」って言ってたら、中から降りてきたのは・・・・・・

「・・・・・懐かしいな」

艶やかな黒髪を靡かせて降りたったのは、あの人は・・・・・・・・

「イクオ兄ちゃん、どうしたの?」
「う・・・うん、うん・・・・・」

ふわり・・・・・風が運んできたこの香りは・・・・・・・・

「咲耶ちゃん!!!」
「・・・・・イクオ? イクオ!」

ニッコリと微笑む咲耶ちゃんに、昔と同じように抱きついて・・・・・咲耶ちゃんの方が小さいから、僕が抱きしめてる形になったけど、でも僕が抱きついてるんだ。

「イクオ・・・・・心配かけて、ごめんね」
抱きしめ返してくれる咲耶ちゃんの、腕の中で僕はグスグスと鼻をすすっちゃうんだ。

「ふふ・・・イクオ、相変わらずだね!」
ポンポンと、僕の頭を撫でてた咲耶ちゃんが口を開けるように言うんだ。

「イクオ、口開けて? ・・・・・あ〜ん」
「あ・・・あ〜ん・・・」

白くて細い指先が、金色の飴を僕の口に入れてくれて・・・・・・ん! 甘〜〜〜い!!!

「これね、私のお気に入りの飴なの。 ・・・・・美味しい?」
「うん! 甘くておいしいね、咲耶ちゃん」

ああ、咲耶ちゃんだ・・・・・・ あの頃のままの咲耶ちゃんだぁ〜・・・・・

ガバッと、また抱きついた僕に周りのチビ達が騒ぎ始めるけど、僕は咲耶ちゃんの良い匂いと、温かな身体に縋りついていた。

「・・・・・イクオ」
「咲耶ちゃん・・・・・・《パカン!》・・・・イテッ!」

後頭部に衝撃がっ!!! ・・・・あ、タッちゃんだ。

「いつまで抱きついてんだよ・・・・・いい加減にしろ」
「いいじゃない竜哉、イクオとは10年ぶりなんだもの」
「・・・・・・・・ふん、咲耶は昔からイクオに甘いもんな」

タッちゃん、拗ねちゃった。。。

「だってイクオ、可愛いんだもの〜」
「咲耶ちゃん・・・・大好き!」
「私もよ、イクオ! でも結子先生にも会いたいから・・・・・こうしようか」

そう言って咲耶ちゃんは、僕の手を握って歩き始めたんだ。

まほろばへ・・・・・・僕達の家に。






「咲耶! ・・・・・あんた今まで何処に・・・・・」
そう言って結子先生は咲耶ちゃんを抱きしめたんだ。

「心配かけてごめんなさい、結子先生・・・・・・」
「訳はきっちり、話してもらうよ!」
涙目で咲耶ちゃんを睨んでる結子先生だけど、咲耶ちゃんも涙を滲ませながら頷いてるんだ。

咲耶ちゃんの話は、こうだった。。。

中学になればお金がかかる・・・ ずっと気がかりだった咲耶ちゃんは、舞い込んできた里親話から自分で選んで決めようと思ったんだって。

幾つかの候補の中から、ふと見た住所に違和感を覚えた咲耶ちゃん。

その近くにあった施設に数年間いたから土地勘があったんだって・・・・・・で、その住所に住んでる夫婦が、記憶の中の人達と書類の写真とが違っていたんだ。

確認するためにその住所に行ってみた咲耶ちゃんが見たのは、記憶の中にいた夫婦だったんだ。

「じゃあ、この人達は誰? どうして私を?」
そう思ってたとき、咲耶ちゃんに声をかけた女性がいたんだ・・・・・それが今の養母、桐乃さんだった。

「・・・・・・・咲耶」
そっと囁かれた声に、自分を見つめる瞳に、咲耶ちゃんは悟ったんだって・・・・・この人は私のお母さんだって。

「え? 咲耶の実の母親なの?」
「・・・・・・私を産んだのは15才だったそうです」
「15才!?」

桐乃さんは、15才で出産・・・・・・資産家で名家な桐乃さんの家では娘の破廉恥な妊娠を、家の恥としてもみ消す事にして、信じられない行動に出たんだ。

それが・・・・・自宅で出産させた赤ん坊を、捨てるという行動だった。

「母は家庭教師だった男性と真剣に愛し合ったそうです。 そして私を授かった・・・・・でも恋愛関係にあった事が家にバレて、恋人とは別れさせられたそうです」

そして不幸にも別れた相手が交通事故で、還らぬ人に。。。

「それから母は私を取り戻すために力を欲したんです。 まずは最高学府に入学し、首席で卒業しあるネットワークを手に入れました。 そして母は宝石店を切り盛りしつつ、情報を集めて私を探したそうです」

赤ん坊の咲耶ちゃんを、桐乃さんが出産の疲れで寝ている間に連れ出した助産師は、大きな病院の桜の木の根元に捨てたんだ。

桐乃さんが生まれる前に考えていた《咲耶》という名前だけを赤ん坊に添えて。。。


「母は誰とも結婚していなかったから、里親にはなれない・・・・。だからこそ身代わりを立てたんです」

咲耶ちゃんは母と暮らす事を選んで、僕らや結子先生にも何も言わずに養女になった。
書類はいつの間にか桐乃さんが養母としての物に変わってるし、結子先生が調べたくらいじゃ桐乃さんには辿りつけなかったんだ。


「それで? これは何なの?」
結子先生が楽しそうに咲耶ちゃんを見てるけど、僕も思う・・・・・これって、なんだろうね?

僕と手を繋いでソファーに座る咲耶ちゃん・・・・・その横に不貞腐れた顔して座ってるタッちゃん。
タッちゃん、そっぽ向いて向こうを見てるんだけどその手は・・・・・咲耶ちゃんの手を握ってるんだ。

「ふふ・・・・・両手に花ですね〜」
「ほんと! まあ、咲耶に1番懐いてた2人だもんね・・・・・」
「夕食、作ろうと思って材料持ってきました! スパゲッティでいいですか?」
「うわぉ! 助かる〜・・・・咲耶様々!!!」

結子先生、咲耶ちゃんのこと拝んでるし・・・・・昔から結子先生って料理苦手だもんね。

「結子の飯は、オムライス以外食えねーもんな」
「でもオムライスは美味しいよ!」

「明太子クリームパスタと子供達にはナポリタンでいいですか?」

ソファーから立ち上がってキッチンに立つ咲耶ちゃん、自前のエプロンをつけるけど・・・・何か似合うなぁ〜
まるで新妻みたいで、少しドキドキしちゃうよ。

「・・・・・・手伝う」

ボソッとそう言って咲耶ちゃんの隣に並ぶタッちゃん。

「なんかほんとに新婚さんみたいだ」
「いいの〜・・・イクオは? 咲耶、取られちゃうよ?」
「ああ、もう咲耶ちゃんはタッちゃんのですから」
「え? そうなの? いつ! いついついつ!!!」

あ、ヤバい・・・・・・結子先生に喋っちゃった。

「ねぇねぇねぇ、咲耶! あんた竜哉と付き合ってるの? ってかいつから!?」
大騒ぎで笑いながらキッチンに向かっていく結子先生を見て、僕はタッちゃんに殴られると確信した。

「〜〜〜〜〜〜イクオ!!!」

わああああ〜〜〜・・・タッちゃんが来た〜〜〜!!!
僕はダッシュで外へと飛び出したんだ!

「待てコラッ! イクオっ!!!」

うわああああ〜〜〜・・・・・・追いかけてくる〜〜〜

タッちゃんがマジな顔して追いかけて来るよぅぅ〜〜〜

「イク兄ちゃん、鬼ごっこなの?」
「がんばれぇー・・・」

チビ達の声援の中、俺は必死で逃げ回ったんだ。。。


何分逃げ回ったんだろう? ・・・・・・・・もしかして何十分かな?

ヘトヘトになって地面に尻餅ついてる僕のそばで、タッちゃんも同じように地面に座ってる。

「・・・・・・イクオの・・・・バァーカ!」
「はぁ・・・はぁ・・・・ゴメンって、タッちゃん」

「あ〝〜〜〜・・・クソみてぇ〜に走ったな・・・・」
「タッちゃん、ずっと追いかけてくるんだもん」
「お前が逃げるからだろ?」

「「ははは・・・・・」」

僕達が笑いあってると、家から結子先生の呼び声が聞こえる。

「竜哉〜・・・イクオ〜・・・ご飯だよ〜、戻っておいで〜」

あ、咲耶ちゃんの声も・・・・・・

「イクオ〜・・・竜哉〜・・・ご飯だよ〜・・・・・・」


ああ、こんな時に思うんだよね・・・・・・


僕は、幸せだなぁ〜・・・・・って。。。



僕には大切な人がいる。

お母さんやお姉さんみたいな結子先生、お兄ちゃんみたいに頼りになるタッちゃん、そして・・・・・・・


花の香りのする、優しい咲耶ちゃん・・・・・・・・・


大切で、大事な人達が、そばにいて僕を見て笑ってくれるのって、幸せなんだなぁ〜・・・・・・

ずっと、ずっと、ず〜〜〜っと、笑いあっていられたら僕は・・・・・・・


幸せなんだ。。。




事件が起きなければ、小さな幸せがあればそれで良かった。

大好きな人と笑いあって暮らしていけたら、それで良かった。

そんなイクオの気持ちを書けれて、良かったです。

で、次回からですが・・・・・(続くのかよ)

刑事になったイクオ君と美月ちゃんの、新宿第二署での物語を書きたいですね。

竜哉と咲耶も絡ませて・・・・・実は、三島さんや蝶野さんも好きなですよね〜

配役はドラマで、話はオリジナルで書きたいです!

感想などお待ちしています。
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コメント

☆トナンさんへ☆

おはようございます、トナンさん。
コメントありがとうございます!

イクオ編読んでいただけましたか!
私の中のイクオって何となく犬っぽくて、好きなように書いちゃいました(笑)

自分も咲耶を好きなんだけど、竜哉も大好きだから、咲耶と両想いなのも知ってるから。
自分は、少し離れて見てるんですよね・・・

でも、咲耶が大好きだから嬉しいとワンちゃんみたいに抱きついてくという(笑)

結子先生にもと思うのですが、思い当たらなくて。
まさかの深町か蝶野さん???
う〜ん、考え中ということでご勘弁くださいませ。。。

竜哉は自分に恋人が居ても小姑よろしく文句言いそう(笑)
しかも、結子に相応しいか俺が試してやるとか、言い出しそう!!!
イクオはタッちゃんを宥めつつ、ジッと観察してるとか。。。

次回は事件編を書いてるので、その中でまだまだ同僚の枠を超えられないイクオと美月さんを、焦れったく書いてきたいですね!

甘エロ部分は竜哉&咲耶コンビで(笑)

これからも、よろしくお願いします (^o^)/

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プロフィール

すー※さん

Author:すー※さん
私的妄想世界が広がっております。
イチオシは窪田正孝さんの役柄いろいろ妄想話です♡(その他にも相棒の神戸さん、スネイプ先生や善徳女王など色々でございます)

最近は更新ができてませんが、発作的に投下してます。
8月、9月の試験に受かれば時間ができるので、それまでは見守っていて下さいませ。

合言葉は『シリアスからエロまで』・・・・・楽しんでいただければ幸いです。。。

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