①《飛んでけ、相棒世界へ☆》

《飛んでけ、矢名家に》の②話めで、もし、もしも・・・ 相棒世界に飛んでしまったら。。。

もし、愛されてなかったと思い込み、心に傷を負ったまま相棒世界に行ってしまったら・・・・・

そんな『もしも』なパラレルワールドのお話です。

そして今回からヒロインの名前を変えます。
どうも同じ名前だとイメージが重なっちゃって・・・では、よろしくお願いします☆



「陽子ちゃん!」
手を伸ばした先に居たはずの女性が、寂しげに微笑みながら涙をこぼした姿のまま、掻き消すように・・・・・居なくなった事にタカシは暫し呆然としていた。

「う・・・嘘だろ? 愛してないって思ったまま? 行っちゃったのか?」
『安心せい、この世界の陽子に関わった者全ての記憶を消してやるからの』
「・・・・・どうして? どうしてさ! 誤解を解く時間くらいくれたっていいじゃないか!!!」

『・・・・・・アヤツの相手は別の者にすると、ワシが決めたんじゃ』
「そんな! そんな!」
『では消そうぞ・・・・・』

白ヒゲの和服の神の手から白い光が珠のように見えたと思えば、それが彼方此方にに飛び散って・・・・・タカシの頭にも1つ吸い込まれていった。

「陽子ちゃんっっ・・・・・・」

糸の切れた人形のように意識がなくなったタカシだが、数秒で起き上がり・・・・・首をひねった。

「僕・・・何で寝てたの?」
彷徨わせた視線の先の時計を見て、慌てて下へと降りて行った。

「お昼食べて仕事行かなきゃ!!!」
「タカシ〜・・・出前一丁できたわよ〜〜〜」
「今行くよ〜」

部屋を出て行くとき、ふっと振り返ったタカシだが・・・・何も思い浮かばずに下へと降りて行ったのだった。



・・・・・・ふわふわ飛んでる。

私の体はふわふわと宙を漂いながら、真っ白な空間の中に居た。

『目覚めたかの?』
「・・・・・それで相棒の世界に連れてってくれるの?」

『ああ、お前の望みならな・・・』
「行きたいな・・・・あ、でもね特命係じゃなくていいんだよ! 隣の組対5課でいいよ!」

『遠慮するでない・・・・おお、そうじゃった! お前さん、名前を変えんかの?」
「名前を? どうして?」

『陽子では辛かろう? ・・・・・そうじゃ、高遠 遙(たかとう・はるか)はどうじゃ? 良い名じゃろう?』

「そうだね、いい名前だね。 私は高遠遙ね! 覚えました!」
返事をすると、あら不思議・・・・・・前の名前の印象が薄くなり、私は生まれてからずっと【 高遠 遙 】で過ごしている気分になった。

『それとな遙・・・ お前さんの身体じゃが、若い頃のお前さんの姿をワシがセクシーに改造しておいたぞい』

「改造? え? 指からビームとか?」
『違うわい! お前さんのコンプレックスだった顎のエラを削り、髪もパサパサの猫っ毛から艶やかな黒髪じゃぞ〜」
「え? やった! ツヤツヤな髪の毛って憧れだったの!」

神様グッジョブ♫

『それに脂肪も取ったり入れたりしといたから、グラマラスなうえに華奢な完璧なスタイルじゃ!』
「え? それは嬉しいような、凹むような・・・・・何だか複雑だわ」

『何を食べても太らんぞ!』
「あ! それは嬉しい! 夢のようだ〜」

『いい女じゃぞ、自信を持って行きなさい・・・』
「ありがとう・・・・・」

そうして急に眠くなった私が次に目覚めれば、そこは・・・・・・相棒の世界だったの!




「えっと、ここが組対5課だよね」
自然と頭の中に浮かんでくる地図で迷う事なく辿り着いた私は、そのまま中へと入るんだけど・・・・・あれれ?

私の席は、組対5課には・・・・・・無い! 記憶が無い!
記憶にあるのは、辞令を受けて向かうよう言われた、組対5課の奥にある小部屋の中で・・・・・・・って、特命係の部屋じゃん!!!

だから、特命係の一員より組対5課でいいって言ったじゃん!
しかも、今日が特命係に異動になった初日!!!

・・・・・・あ、目眩が。。。

『すまんの、その方が面白そうでな(笑)』
「う〜〜〜」
『ま、楽しむがよいぞ・・・・かっかっかっ』
「水戸黄門かよっ!」

仕方ない、心の内で溜め息を吐き、覚悟を決めて特命係の部屋へと入った私でした。。。



あれから2ヶ月が過ぎ、杉下さんと事件を解決したり、暇な時は読書や雑談などしたりと過ごしていたんだけどね。

そろそろ【 彼 】が現れる時期になったんだ・・・・・・そう、神戸さんが、特命係に来る時期に。


それは1枚の細密画から始まった。
特命係へと届いた封筒の中に入っていたその絵は、杉下さんの興味を引きウズウズと行きたそうな杉下さんに私は。

「右京さん、馬頭刈村へ行かれたら如何ですか? お隣から頼まれた仕事は私がしておきますから」
「それはいけませんよ、遙さんにだけ仕事をさせるなんて・・・」

「でも時間が経てば証拠も消されるかもしれませんし・・・口裏を合わせてしまいます」
「それはそうですが・・・」
「これが終わり次第、私も追いかけますから先に行って調べて下さい」

私の言葉に頷いた右京さんが、それでは・・・とコートや帽子をかぶり出て行くのに、私はクスクスと微笑んでしまった。

でも・・・・・馬頭刈村からの細密画って、相棒season7最終回の話じゃん!
ってことは、って事は!!!

【 神戸 尊 】が登場する回じゃない!

あ・・・あと2日あるから、落ち着こう・・・・・はぁ〜

「警部殿が出て行ったけど、どうしたんだ?」
「角田課長・・・私は知りません」
「ふぅ〜ん・・・・・ま、俺は美味いコーヒーが飲めればそれでいいけどさ〜・・・・お、あるある」

「私の好みの豆でいいんですか? 課長の好きな豆を言ってくれれば用意しますよ?」
「いいのよ、俺はこうやって嬢ちゃんの淹れてくれたコーヒーを、飲めればOKなのよ」

さ、もう一踏ん張りで仕上がるからと、私は目の前の仕事を黙々とこなしていた。

「嬢ちゃんは綺麗で気立ても良くて、仕事だってテキパキこなせるし、優秀なのに・・・・なんで特命係に?」
「またその話ですか〜?」
杉下さんには話したんだけど、課長には黙ってた・・・私がここに来た経緯。

それは・・・・・交通課にいた私が間違って、お偉いさんの車に違反切符を切ったからだった。
しかもそのお偉いさんっていうのが、小野田官房長だったの。

違反は違反だけどさ、お偉いさんだし・・・これは警察を辞めることになるだろうと思っていたら、特命係に行けとの辞令が下って・・・・・

「・・・・・・運が悪かったんだな」
「はい・・・・・そうなんです」

「まあ、元気出せよ? そうだ、今度さ飲みに連れてってやるよ!」
「え!? 本当ですか! 嬉しい〜・・・絶対ですよ!」

「そんな喜んでくれると、嬉しいな〜・・・今のヤマが片付いたら行こうぜ! 大木と小松もな」
「楽しみにしています!」

そう言って部屋を出て行った角田課長の、嬉しい飲みに行く約束でウキウキした私は、仕事をこなしていった。
その日の夕方には仕上がった物を、課長に渡し・・・・・私も帰ったんだけど。

次の日、他の課から舞い込んだ仕事に右京さんを追いかけれなくなって、資料整理という作業をその日はひたすらにしていました。

1日がかりでも少し残ってしまった資料整理。。。
仕方ない、明日も頑張ろうっと!!!

そうして、私は仕事をいかに早く正確に仕上げるか!って事に神経を集中させていて、うっかりしてたの。
今日は【 彼 】が来る日だと、思いっきり忘れていたの・・・・・・

「よし、あと少しだ! 今日も1日頑張ろうっと!」

気合を入れて作業にかかった私は、集中してたんだろうな・・・・・隣の組対5課の人達が急に静かになり、そしてザワザワとし始めた事に、全然気がついてなかったの。

ちょうど角田課長がコーヒーを愛用のパンダのカップに入れている時に、【 彼 】が来たみたい・・・

部屋の奥の机が私の居場所だから、見えないし・・・集中してるしね。

「おはよう」
「おはようございます」
「机はソレを使えばいい」
「はい」

返事した彼が言われた机にカバンを置いて、すぐに課長の前に戻り自己紹介しようとして、課長が自分は隣の人間だと言っているのとか。

何をしでかして特命係に来たのか、なんてDVDなら何十回、何百回と見たやり取りの声に、私はやっと下から2人の居る方に見上げたんだけど。

ちなみに私の席は右京さんの向かいの席で、窓際なの。
それは置いといて、バチっと神戸さんと視線が合った私は、胸が・・・・・ズキンと痛んで、一瞬息ができないほどで。。。

「タカシくん・・・・・・」

大好きな人に愛されてないと分かった瞬間の、胸の・・・心の・・・痛みが、昨日のように鮮やかに蘇ってきちゃった。

自分の顔がブサイクに歪んでいくのが、自覚できて・・・・・必死に涙を堪えて・・・・・誤魔化すように俯いた。

顔にかかる髪で、私の表情は見えないはず・・・・・深く息を吸って、感情を散らして、笑顔を浮かべて顔を上げなきゃ・・・・・・

うまく・・・・・笑顔に、見えるかな?



その人は上司の席だろう机の仕切り、磨りガラスの向こうに居たらしく、僕は気がつかなかったんだ。

僕の上司の杉下警部が今日も、昨日も来ていないと聞いたけど、隣の課長がいうには。

「警部殿はいないが、嬢ちゃんはいるぞ」
「・・・・・・・誰ですか?」
僕が聞いてるのは杉下警部だけ、特命係に他の人物が居たんだ・・・・どんな人なんだろう。

「嬢ちゃん! 嬢ちゃん! 気がつかねぇーな」
「あの磨りガラスの向こうですか?」
僕は回り込んで相手を見ようと動いたんだけど、その間にこちらに気がついたその人が、顔を上げたんだ。

真正面から視線が合ったんだけどさ・・・・・・・なんだ?

僕を見た途端、目を大きく見開いたその人は、まるで息が出来ないように凍りついた顔をした。

そして瞳が潤んできて、苦しそうに可愛い顔を歪ませて・・・・・・

「タカシくん・・・・・」

え? タカシくんて? 彼女の瞳が苦しそうなのに僕を見た一瞬、切ないような、愛しいような、そんな複雑な目をしている。

でも、それのどれもが・・・・・・悲しみに覆われていて。

今にも泣きそうな彼女の顔に、初対面なのに慰めたくて堪らなくなった。

・・・・・誤魔化そうと俯く彼女を、抱きしめてしまいたい。

なんて、僕はどうかしているよ・・・ 初対面だぜ?
しかも、どうやら彼女は僕に似た男に失恋したらしい・・・・

「おいおい、アンタ嬢ちゃんに何かしたのか? 嬢ちゃん、大丈夫か?」
課長が面白いくらい焦ってるけど、僕をジロリと見始めるのはやめてくれないかな。

そうすると彼女は深呼吸してから、笑顔になるんだ・・・・・無理をしてるのが、有り有りだけど・・・

「課長、大木さんと小松さんが・・・・・・・見てますよ」
「うえ? じゃ、俺は行くけど神戸だっけ? 嬢ちゃんに手は出すなよ!!!」

バタバタと出て行く課長を見送って、僕は彼女の前に立って自己紹介をする。

「神戸 尊警部補です」
「高遠 遙巡査です」
「よろしく」
「こちらこそ・・・」
そう言って握手を求めれば、気さくにしてくれたんだ。

「でさ、杉下警部はどこに行ったのかな?」
「神戸警部補、推理してみたら如何ですか?」
えっと、疑問に疑問で返されても困るんだけどな・・・・・

「それは杉下警部からの宿題かな? 高遠さんからの問題?」
「うふふ・・・ どちらともお好きに取ってください、警部補殿」

「高遠さんはどうするの?」
「私はこの資料整理を仕上げないと! あと少しなので警部補はお好きに過ごして下さい」
「・・・・・・・じゃあ、お好きにさせてもらおうかな」

そう言って僕は関係各所に挨拶にでも行こうと、刑事部長室へと向かったんだ。



「はぁ・・・」
神戸さんが出て行って、私は詰めていた息を吐き出した。

ダメだ・・・・・・タカシくんとは違うのに、頭では分かっていても・・・心が、張り裂けそうで・・・苦しい。
こんなんじゃ此処に居るのが無理になる・・・・・

慣れなきゃ、あの人は神戸さん! 神戸さん! タカシくんじゃない!

・・・・・・・・泣きそう。。。

私は滲んだ目元を拭って、資料整理を再開し・・・・・終わらせた。
ソレを頼まれた課に持って行って、私の仕事は終了!

杉下さんに電話をして新しい人が来た事と、杉下さんの行方を内緒にして自力で向かえるかテストしている事を話した。

『遙さん・・・・・・何かありましたか?』
ドキッ!!! 電話の声で分かるのかな?

「・・・・・・お帰りになられたら話します」
『分かりました。 遙さんは此方には?』
「私は遠慮します。 お2人のお邪魔になりたくありませんから」

『そうですか残念ですね〜・・・いつでも気が変われば来て下さいね』
「はい」
優しい上司の声に返事をして電話を切ったんだけど、そろそろ神戸さんが向こうに向かう頃かな?

私は組対5課から特命係を伺うと、神戸さんはパソコンに向かって何事か書いてるみたい。
画面しか見てないのに書いていくって、ブラインドタッチが完璧だわ・・・・・・凄い!

大木さんと小松さんの間から見てたんだけど、打ち終わった神戸さんがパソコンをしまい部屋を出て行くのを、隠れて見いたの。

・・・・・・・これから事件現場に行って捜査一課のトリオと挨拶して、米沢さんから聞くんだよね。

馬頭刈村の事を・・・・・・・そして右京さんと会うためにそのまま行くんだよね。

私は右京さん達が帰ってくるまでに、心の整理をしておかなきゃ・・・・・・
毎日顔を合わせる事になる神戸さんに、タカシくんを重ねちゃいけないって、ちゃんと整理しなきゃ。

特命係にかかってきた電話を取れば神戸さんからで。


『杉下さんの居場所が分かりましたのでこれから向かいます。 高遠さんは如何しますか? 一緒に乗って行きます?』
「私は今回は遠慮します。 お2人で親交を深めるお邪魔になりそうですから」
『そうですか、では僕は行きますね』

「行ってらっしゃい! 道中、気をつけて下さいね」
『・・・・・・はい』

彼女の人柄なんだろうな・・・・・・《行ってらっしゃい》とか《気をつけて下さいね》とか。
声にある暖かな雰囲気は、ホッとさせてくれる。

あ・・・ しまった!
高遠さんの携番やメアド聞いてないや!

まあ、今さら電話かけて聞くのも何かあれだし、戻ってからでいいか!
僕はそのまま杉下警部が居るという、馬頭刈村に向かったんだ。




馬頭刈村の事件を終えて、神戸さんが先に特命係に戻って来ました。

「戻りました」
「お帰りなさい、警部補! そこの木札を引っくり返して下さいね」
私がそう言うと神戸さんのキレイな指先が、木札を返した。

机にカバンを置いた神戸さんが、コートを脱いで椅子の背もたれにかけるのを見て、右京さんの所にあるハンガーを教えた。

「ありがとう」
スッとコートをかける姿もキレイな人だなぁ〜・・・なんて、見ていたら課長が入ってきたんだ。

「戻ってきたんだ、警部殿はどしたの? 神戸が先に戻ってきたのか?」
「杉下警部は後から戻ると言われたので」
「ふぅ〜ん・・・」

あれ? もう興味はないのかしら?
角田課長がコーヒーを美味しそうに飲みながら、私の方に来て・・・・・

「なぁ嬢ちゃん! 昨日で俺らのとこのヤマがケリついたんだけど、今夜飲みに行くか?」
「行く行く! わぁ〜・・・楽しみです!」

「面子はさ、大木に小松に俺でしょ? 場所は赤提灯だけど、いいか?」
「赤提灯! 行ってみたかったんです! 今夜何時に行きます? うふふ、楽しみ〜」

「今時の若い娘って赤提灯なんか嫌がるかと思ったのに、こんな喜んでくれるなんて嬉しいねぇ〜」
「え〜、私は楽しみですよ! ビールをジョッキで頼んじゃいます!」
「おぅおぅ、頼んじゃいな!」

こうやって盛り上がってたんだけど、何か視線を感じて・・・・・・・振り返れば、警部補がジッと私と課長を見ていて。

えっと、何か不機嫌そうなのは・・・どうしてでしょうか?



「楽しそうですね」
そう声をかけた僕に高遠さんは不思議そうな顔をしてる。

それはそうだろうな、自分でも分からない胸のモヤモヤに眉が険しくなるのを見られたから。
一瞬でいつもの愛想笑いを貼り付けて、2人の側にいけば課長が鼻高々に自慢してくるんだ。

「いいだろう〜〜〜! 前から飲みに行く約束してたんだよなっ、嬢ちゃん!」
「そうです! 私、大木さんと小松さんに話してきます」
「あ・・・」

パタパタと隣に行っちゃった高遠さん。
あれ? 何か違和感を感じるんですけど・・・・・

「嬢ちゃん、可愛いだろ? 性格もいいし最高なんだぜ」
「そうですね、確かに・・・可愛らしい方ですね」

「手は出すなよ! くれぐれも手は出すなよ!!!」
「分かってますよ」
自分の同僚は、後の事を考えたら気軽に手なんか出しませんよ!

付き合ってる時はいいけど、別れた途端、女性は豹変して・・・下手をしたらベットでの写真なんて上司に送られてさ・・・失脚していった男を見てるからね。

だから俺は、遊ぶのも恋人も外部の人って決めてるから。

高遠さんか・・・・・・目が大きくて、少し垂れてる瞳が人の良さと可愛さを感じる。
緩くカールがかかった長めのボブが、ふわふわと柔らかそうでさ・・・小さな輪郭に、白い頬にかかって触れたくなるほどだよね。

首が細くてさ、スッと伸びてるのは・・・うん、俺好み。
スーツ姿に隠れてるけど、肩の華奢さに比べて豊かな膨らみも・・・・うん、俺好み。

手足は長くてさ、160ちょいかな? その身長とのバランスが凄く良いんだ。

だけど何より良いのは、その笑顔でさ・・・・・・

さっきの課長に向ける笑顔が眩しくて、思わずジッと見てしまった。

本当に楽しそうに、嬉しそうに笑う高遠さん。
目なんかクシャッと無くなっちゃってさ、その後はキラキラとした目で課長を見てたっけ。

今は特命の部屋の前で2人の刑事と話をして、あ! ほら! ・・・・あの無邪気で人懐こい笑顔を見せてるよ。
俺の態とらしい愛想笑いじゃなく、ちゃんと気持ちのこもった笑顔で2人と話をしてる。

そんな高遠さんを見つめていたら、課長がコーヒーをズズズッと啜りながらさ、また自慢だよ。

「こうやって俺が好きな時にここに来てさ、コーヒーを貰えるのも嬢ちゃんが切らさないように作ってくれてるからなんだよね」
「へぇ〜・・・良かったですね」

「嬢ちゃん、可愛いだろ? 美人な顔なのに気さくな笑顔でさ〜、あの笑顔にいつも癒されてんだよ、俺は!」
「・・・そうですね、顔の作りは美人系なのに愛嬌のある可愛らしい方ですよね」

「モテるんだよ、あの娘! でも男がいる様子はないからさ〜・・・・・今夜、俺が見所あるのを2、3人集めて紹介しようと思ってるんだ!」
「紹介するんですか?」

俺には手を出すなとか言って、なんでそこで紹介するんだよ!
途端にモヤモヤする胸に、気分が悪い。

「おう! 全員、真剣に嫁探ししてる奴等だからな、嬢ちゃんに紹介しても恥ずかしくないのを厳選したんだ」
「僕も連れてってくれますよね?」

「は? 何でアンタを?」
「やだなぁ〜・・冷たいじゃないですか、僕の歓迎会して下さいよ!」

「なんで俺が他所の部署の特命係の歓迎会を? おかしいだろ?」
「・・・・・・じゃないと高遠さんに言いますよん☆ 飲み会にかこつけてのお見合いですよって!」
「うっ!!!」

「いいんですか? そんな事聞いたら彼女きっと、行きませんよ!」
「ううっ!!!」

ニッコリと微笑んだ僕に、汗が出そうな課長が・・・・・渋々頷いた。

「連れてくけどさ、邪魔しないでよね?」
「・・・・・・分かってますよ」

「うふふ・・・楽しみだなぁ〜」
「俺は楽しみが半分になっちまったよ」

ちょうど戻ってきた高遠さんに、僕も行くんですよと伝えたら・・・・あれ? 何か嫌がってないか?



「僕もその飲み会に、参加することになりました」
「え?」

え? 嘘でしょう? 隣の課長を見たら神戸さんの歓迎会も兼ねることになったとか、何とかブツブツ言って急かされるように戻っていった。

・・・・・・・どうしよう、お酒が入っても私・・・普通に振る舞えるのかな?

普通に接しようと思ってる私は、神戸さんが帰ってきてから愛想笑いを続けてて、普段そんな事してないから顔は引き攣るし、背中には嫌な汗が流れるしで、1時間でも疲労のピークに達してるのに・・・・

食事やお酒なんて、無理だよっ!!!
今からでも抜けられないかな?

・・・・・・ダメだ、大木さんや小松さんと飲み会のことで盛り上がったのに、今更・・・・・無理だ、抜けられない。

ああ、どうしよう・・・・・どうしよう・・・・・


「もしかして僕が行くので、困ってる?」
「う・・・あ・・・いえ・・・・・えっと・・・・・」
不意に言われた神戸さんの言葉に、何も言えなくて詰まっちゃう・・・・・本音だってバレちゃうよ。

クスッ・・・・・

「警部補?」
口に拳を当てて微笑む神戸さんは、何事か含みのある艶やかな微笑みを浮かべてる・・・・・

ああ、タカシくんにこんな顔は出来ないよ・・・・・

企みなんて出来ない素直な人だから・・・・・・子供みたいに拗ねて、膨れて、癇癪おこして・・・・でも。

でも・・・・・たまらなく可愛くて、愛しい人。

目の前の警部補は、タイトなスーツを見事に着こなして、自分の魅せ方を心得ている人。
何事も回転の早い頭脳で瞬時に考え、そつなくこなしていく事が出来る人。

自分の夢を捨てられず、会社を辞めちゃった彼とは違うの・・・・・・違いすぎるの。

そう、彼と警部補は違う・・・・・・違うんだ。

これなら、警部補を警部補として見られるなら、大丈夫かな?

大丈夫です、一緒に参加しましょう・・・と、私が言う前に警部補は。

「じゃあ、今回、僕は参加しないから・・・・・・今度2人で食事に行きましょう? それで、決まり☆」
「あ、あのっ! 私なら・・・」
「決まり! じゃあ、今夜は楽しんでね☆」

そう言ってサッサと自分のデスクに座った警部補は、パソコンで何やらしだして・・・・・・私は何も言えなくて。。。

その日の飲み会に参加したんです。



馬頭刈村から戻った時から違和感はあった。

高遠さんは、あの人懐こい笑顔を僕には向けないんだな・・・
代わりに少し困った顔して、それでも笑顔になろうとする・・・そんな顔ばかり。

飲み会に僕が参加すると言った時の顔っていったら、もう、困ったなぁ〜って眉を下げて・・・
でも僕に悪いなぁ〜とかも思って、百面相してるんだもん!

・・・・・・思ってることがそのまんま顔に出るなんて、素直な可愛い人だな。

そんな事を思っている僕は、彼女とお近づきになりたいと自然と思ってて。
それには、その他大勢より2人で食事したいな・・・・なんて閃いたんだ。

「じゃあ、今回僕は参加しないから・・・ 今度2人で食事に行きましょう? それで、決まり☆」
「あ、あのっ!」
「決まり、ね☆」
「はぁ〜・・・」

いくら僕に似た男に失恋したからってさ、俺はその男とは違うって彼女に分からせればいいよな。
一緒に食事に行くのも、その始めの一歩!

そうやって少しづつ距離を縮めればさ、俺とソイツの違いなんて幾らでも分かるさ。

・・・・・・・そうしたら、あの人懐こい無邪気な笑顔を、俺にも向けてくれるだろうか?

・・・・・・・腹の中では色んな企みを抱えてる俺なんかには、到底出来ない・・・・・あの眩しい笑顔を、俺にも向けてくれるだろうか?

少しづつ、少しづつね・・・・・・・

君との距離を、心の距離を・・・・・・近づけていこう。

なぜ彼女のことが、気になって仕方ないのか・・・・・・その時には分からなかったんだ。

同じ部署の同僚と親しくなれば、変人の上司から受けるストレスも軽減出来るかな?なんて、理由つけてたな・・・・


まさか、その時から・・・・・・僕は君を・・・・・・





神戸さんと遙さん、新しい組み合わせで始めちゃいました。
楽しんでいただけたら嬉しいです。
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コメント

☆鈴寧さんへ☆

こんばんは( ´ ▽ ` )ノ

> 他人事な感想に感じると思いますが、主婦の役の方の待遇がなんと酷いか!
あんな酷いのは、あんまりないとは思いますが、無いとは残念ながら言えないですね。
私より上の年代の方だと旦那の親が【舅サマ、姑サマ】な家もあるんですよね。
特に田舎だと。。

> 主婦ってそんなに大変なの!?見たいに……(/_;)/~~
お気楽なようで大変で、大変なようでお気楽なんです(笑)
私も義両親が茶の間に朝から寝るまでいるから、昼間は二階に避難してましたしね。

> 最近祖母に将来は結婚してくれだの子供生んで平凡に暮らしてくれだの………うんざりです(T_T)
お年寄りはねぇ〜、そう言わなきゃいけない義務だから(笑)
いずれはね〜とか、将来はね〜とか曖昧に流しときましょう ( ^ω^ )v

> まだ十代ですよ!?(笑)
> 早くありません??
早い早い!
私なんて30超えても結婚願望なんて、皆無でしたし、母親には結婚しないと宣言してましたからね〜
将来は小料理屋で働いて、いずれ自分の店を持ちたいと思ってました。

> それに“私は”あくまで私は、ですよ(笑)
> もっと刺激的な人生を送りたい(笑)
若い時はね、それが普通ですよ!
20代になり、30代になり、だんだん考えも覚悟も決まっていくものです。

> きっと主婦じゃ刺激が少なすぎて不審死とかしてそうです(T_T)
意外にママさん同士の交流って、刺激が(笑)
私のように趣味満喫なのやら、イベントを開催してる精力的なママさんや、色々ありますから。
刺激が無いとは言い切れませんよ〜( ̄▽ ̄)

> 今日はミッチー誕生企画の正式には明日?の更新ですね~♡!!
午前0時に更新されてるはず!
お返事を書き終わりしだい確かめます。

> スタンバります(*≧∀≦*)
ありがとうございます( ´ ▽ ` )ノ

> ミッチー、意外と仮面ライダーとかガンダムとか好きで父に似ているのです………(ノ_・。)
この年代は皆んなですよ!
と言っても私はヤマト派なんで、最後までガンダム見たことないんです。
リアルタイムで見てたとき、アムロのウダウダにキレちゃって見なくなりました。
ルパンとか他ので盛り上がってましたね。
仮面ライダーなんて私、親にベルト買ってもらってました!
風呂敷のマントをなびかせて、タンスの天辺から飛び降りてライダーキックしてましたよ!

> んまぁ!だからといって性格が似てるハズは……!(涙)
時代ですから、ほんと今と違って見るアニメが少ないから、みんな見てました!
マジンガーZや、仮面ライダーシリーズ、ヤマトに怪傑ライオン丸、赤胴鈴之助、一休さん、装甲騎兵ボトムズ、マクロス、ルパン三世、ベルバラ、花の子ルンルン、サリーちゃん、アトムなどなど。
見るものないからみんな見てた時代なんですよ。

だから、同じアニメ見てても性格は違いますよ。
昔のアニメ書いてて懐かしいわ〜〜
まだまだありますけどね(笑)

私のテレビの初めての記憶は怪傑ライオン丸が空を飛ぶ場面です。
古い、古すぎるよ、私 \(//∇//)\

こんばんは~(*≧∀≦*)

今週の相棒、早速見ました~♡

他人事な感想に感じると思いますが、主婦の役の方の待遇がなんと酷いか!

主婦ってそんなに大変なの!?見たいに……(/_;)/~~

最近祖母に将来は結婚してくれだの子供生んで平凡に暮らしてくれだの………うんざりです(T_T)

まだ十代ですよ!?(笑)
早くありません??

それに“私は”あくまで私は、ですよ(笑)
もっと刺激的な人生を送りたい(笑)

きっと主婦じゃ刺激が少なすぎて不審死とかしてそうです(T_T)

いやいや話がずれました(^^;
今日はミッチー誕生企画の正式には明日?の更新ですね~♡!!

スタンバります(*≧∀≦*)

そしてそして……

仮面ライダー!!
私もYahooの急上昇で知りました(^o^ゞ

ミッチー、意外と仮面ライダーとかガンダムとか好きで父に似ているのです………(ノ_・。)

んまぁ!だからといって性格が似てるハズは……!(涙)

では!また

☆鈴寧さんへ☆

ようこそ♡

> この頃は寒さからかなんなのか……
> だるいからだを叩き起こして朝の6時に起きているのに夜も睡魔が襲います……(;´д`)
私も毎朝6時起きなんですがね、起きれません。。。
暖かな布団から離れられません、まるで神戸さんに甘く誘われているように・・・(なんちって☆)

もう1月も終わりですね、明後日は2月1日! ちゃんとお話を予約してあるので、午前0時にアップ予定です(笑)

早く休みが始まるといいですね!
少しはのんびりしないと・・・(^o^)/

そうそう知ってますか?
3月21日から公開の仮面ライダーの映画に、なんと!!! 及川さんがご出演されますよ〜♡
幻の仮面ライダー3号として出演されます!
それに記者会見の様子がYouTubeとかでアップされてます。

> また暇人なので相手してください(^w^)
ウェルカムです! 私でよければいつでもOKです!

> いや~最近は浮腫みも凄いわ疲労感が半端ないわで………持病が悪化してないことを願いたいのですがね~(>_<)
それは大変ですね、大事にならないように気をつけて下さい。。。

> あ、今週の相棒見れてなくて、今夜見まぁす♡
今週の相棒、ちょっと変わってて面白かったですよ!
なんと言うか、主婦なら分かる部分があり、誰かのファンなら共感できて・・・・・うん、良かったです!
女性の脚本家さんなのかな?
やはりツボる場所があるのは、女性の脚本家さんですね〜

来週は太田愛さんの脚本なので、今からすごく楽しみです!!

ご無沙汰です~♡!!

この頃は寒さからかなんなのか……
だるいからだを叩き起こして朝の6時に起きているのに夜も睡魔が襲います……(;´д`)

そういえば気づけば1月も月末…
2月は一、二週間行って休校になり三月は二回だけ……(^^;

もはやその2回まとめちゃって3月3日で春休みにすれば良いじゃん…とも思うのですが。

また暇人なので相手してください(^w^)

いや~最近は浮腫みも凄いわ疲労感が半端ないわで………持病が悪化してないことを願いたいのですがね~(>_<)

あ、今週の相棒見れてなくて、今夜見まぁす♡

☆鈴寧さんへ☆

こんはんは(^o^)/

誕生日ネタ、大変助かります!
今のパラレルのお話と並行して、明日からでも手をつけないとと思っています!
恥ずかしくて他の人に見せたらと、心配になる事・・・・・・色々と考えますね〜!

> こないだの記事に引っ越しの件、書かれてましたよね~(>_<)
> 引っ越し作業にその後しばらくの片付け……
今日はベットとタンスの移動を父として来ました!
なんだか腰が痛いかも?
明日はマッサージ受けに行ったりして、午後からはゆっくりできる・・・はず!?

水曜は段ボールの中身をしまう手伝いに行ってくる予定です。
父親は父親で風呂やトイレの掃除に、片付け、色々な買い出しなどなどで、ばててます(笑)
休み休みしようと話してました。

> たまには息抜きを。。。。♪
ええ、息抜きにパラレル書いてます。

> 0時になった瞬間のUPは私もいつか忘れたけどしようとしたことあります(*≧∀≦*)
過去にはしたこともあるんですが、今年はまた挑戦しようとしています。
さてうまくいくのやら・・・・・(笑)

> 神戸さんをデロデロにしよう会(笑)
> はい!結成です!(笑)

そう、神戸さんはデロデロな蕩けそうな笑顔にしてあげたいんですよね!
なんか寂しそうなんだよね、神戸さんは・・・・・そこが萌えなんですが。
明るくて亀ちゃんタイプなら、そもそもここまで好きでもハマることもしてない気がします。
どこか影があって、モテるのに本命にはフラれてそうで、寂しく笑う・・・みたいな感じがキュンって♡

神戸さんが、好きダァーーー もちろん、演じてる人も好きダァー☆☆☆
夜中に叫んじゃいました、すみません。

こんばんは☆

誕生日ネタ、お役に立てて良かったです(*≧∀≦*)

アレンジとかテキトーに入れちゃってください♡
こないだの記事に引っ越しの件、書かれてましたよね~(>_<)

引っ越し作業にその後しばらくの片付け……

大変だと思います(>_<)

たまには息抜きを。。。。♪

0時になった瞬間のUPは私もいつか忘れたけどしようとしたことあります(*≧∀≦*)

神戸さんをデロデロにしよう会(笑)
はい!結成です!(笑)

☆鈴寧さんへ☆

こんばんは〜(^ー^)ノ

> ついに新ヒロインですか~!!(゜ロ゜ノ)ノ
> と、思いきや、パラレルワールドというカテゴリーを作ったんですね~(^w^)
そうなんです。 吾輩で楽しくなってしまい、このまま相棒世界に行ったらどうかと思いまして。
神戸さん誕生日話もまだ手付かずなのに、妄想が膨れてしまって。。。
結局は神戸さんなんですがね、相手は(笑)

並行して書き始めなきゃ・・・・・鈴寧さんの、ネタですごく過保護で甘々で可愛いお話が書きたくなりました!
提供ありがとうございます!
もう、神戸さんがデレデレな感じで書きたいな〜

カテゴリーも整理しなきゃと、思いつつ・・・・・パラレルでまとめちゃいました!

私も他の方の作品とかでパラレルは好物でして、いつか書くだろうと思ってました(笑)

> すーさんは平日の方が書きやすいとは羨ましいです~(T_T)
明日は父の部屋にお掃除サービスに行かなきゃいけないので、バタバタですがそれ以降なら・・・・
ぶっちゃけ今週中に書き上げて、2月1日になった瞬間(午前0時になった瞬間とか)アップしたいと思います。

> 書けそうにない私に代わって使って頂けたら……っあ!もちろんオリジナルが浮かんだらそっち使ってください♡
いえいえ、路線が決まると浮かんできたりしますので、助かります!
良い頂き物を、ありがとうございます♡

神戸さんをデロデロにしよう会、結成ですね(笑)

では、おやすみなさい (^o^)/

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すー※さん

Author:すー※さん
私的妄想世界が広がっております。
イチオシは窪田正孝さんの役柄いろいろ妄想話です♡(その他にも相棒の神戸さん、スネイプ先生や善徳女王など色々でございます)

最近は更新ができてませんが、発作的に投下してます。
8月、9月の試験に受かれば時間ができるので、それまでは見守っていて下さいませ。

合言葉は『シリアスからエロまで』・・・・・楽しんでいただければ幸いです。。。

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