②《飛んでけ、矢名家に!》by吾輩は主婦である。

引き続き、吾輩は主婦である、パラレルワールド妄想話です。

ほんと好き勝手書いてますので、優しく見守っていただけると嬉しいです!

そして中に出てくる《タクミくん》はオリジナル・キャラです☆



「あ・・・・・痛っ」
目覚めたら家の寝室で、昨日の服を着たまま寝ていたみたい。

ズキズキする頭に顔をしかめて頭を両手で覆うけど、私なんでこんな頭痛いの???

『私は・・・・・記憶喪失なのぉぉ〜〜〜』

あ!!! 私ったら酔っ払って・・・・・とんでもない事言っちゃってる!!!
ズキズキ・・・・・ズキズキ・・・・・い、い、痛い!!!

下に行けばお母さんしかいなくて・・・・あ、もうこんな時間だ! 子供達もタカシくんも学校や仕事に行ってるよね。

「お母さん、私・・・昨日なにをしたんでしょうか???」
「私も知らないから何も言えないけど・・・」

そうだよね、お母さんは知らないよね・・・・・・ああ、私ったら一体何をしでかしたんだろう。
記憶がないから、全然分かんない!!!

蒼白になりながら必死に思い出そうとしていたら、向かいの奥さん・・・つまり、やすこさんが少しビクつきながら私を見ていた。

「昨日は、どうもすいませんでした!!!」
「いえ、あの、こちらこそ・・・」
「夕べのことは決して口外は致しませんので、どうか、お許しください」
「お許しください???」

やすこさんがどうしてこんな、丁寧な言葉を選んで話すのか・・・・・私は意味が分からなかった

「これはそちらで処分して下さい」
脇から出したのは1本のビデオテープ・・・それをテーブルに乗せてるけど、やすこさんはどうして腕と首にギプスはめてるの???

「昨日撮ったビデオ! 編集して音楽もつけといたから・・・・・それにしても驚いたわ、まさか陽子さんが」

なになになに??? 私がなに?

「酒乱だったとはね〜〜〜」
それだけ言い残して帰った、やすこさん・・・・・彼女の残していったビデオテープを見て見ることにした私とお母さん。

題名が【陽子さん、ハンパしちゃってゴメン!】て・・・・・何したのよ、本当に!!!
でもビデオを見て納得した・・・・・・何これ? なんなんのよぉ〜〜〜

『私は記憶喪失なのぉ〜〜〜』
そう叫んだ私は、スナックの1人用の椅子をつかんで投げ飛ばし、ソファーに座っていた魚屋、総菜屋、豆腐屋の奥さん達に次々と頭突きを食らわせ。。。

2人組の女性達を押して床に転がし、その上にドスン!と乗って酒瓶から直接飲んでいた。
やすこさんをドアに追い詰め、こめかみをグーでグリグリとして、最後は頭突きしてる。

止めに入ったタカシくんに後ろから羽交い締めされて・・・・・・ああ、肘でタカシくんの腹を打ってるし。
その間、酒瓶から直接口をつけて飲んでるし・・・・・もう、なんなのよ!!!

ビデオテープから流れる香港映画みたいな軽快な曲が、恨めしく思うわ。
暴れるだけ暴れたら寝てるし・・・・・・はぁ〜〜〜

「なんかアレみたいね、ジャッキーチェンの映画のNG集・・・」
「・・・・・」
「でも良かったじゃない、記憶喪失とかはバレてないみたいだし」
「・・・・・」

「陽子さん? どうしたの?」
フラフラと立ち上がった私は、2階へ行って部屋でコロンと寝転がっていた。

「・・・・・・これじゃあ《陽子さん》の顔に泥を塗っちゃうよ」

「これじゃあ・・・こんなんじゃあ・・・とても《陽子さん》の代わりなんて出来ないよ・・・」

「代わりも出来ないなんて、私が存在する意味が無いじゃん・・・・・・」

「私が・・・ 存在する・・・・・・意味は・・・・・・無いんだよね」
横になったまま、流れる涙が私を決意させた。

「ねぇ、神様さ・・・いるんでしょ? 話がしたいから出て来てくんないかな」
『ワシを呼んだかの?』
「あのさ・・・」

私を・・・・・・・この世界から、消してほしいんだ。。。



「ねぇ、陽子ちゃんは? 大丈夫だった?」
「あらタカシ・・・ もうお昼の時間? 出前一丁でいい?」
「いいけど、陽子ちゃんは? 2階? そう」

トントントンっと、2階へと上がって行けば・・・何か話し声がする???
陽子ちゃんの声と、お、お、お、男の声!? 陽子ちゃん!? 間男!?

襖の外から中を伺えば、聞こえる内容は・・・・・仰天するものだった。



「私さ、あんたの手違いでもと居た世界で死んじゃったんでしょ?」
『そうじゃ、すまんことしたな』
「で、この世界に飛ばされた私の魂が、陽子さんに入っちゃった・・・・そうだよね」
『お前の好きな世界じゃろ?』

「じゃ、元々ここに居た陽子さんは、どうなったの?」
『彼女は台所で倒れたときが寿命じゃったんじゃ・・・今では、あの世じゃ』
「・・・・・・・じゃあさ、私の寿命を陽子さんにあげて、この体に戻すことは出来ないの?」
『それではお前は、お前の魂は消えてしまうぞ? 泡のようにな』

「いいよ、それでも・・・ 私は消えていいから、陽子さんに私の寿命をあげて戻してほしいの!」
『お主・・・ 何か辛い事があったのか?』
「私じゃダメなんだよ。 やっぱり本人じゃないと・・・皆が求めてるのはタカシくんと15年連れ添った陽子さんで、ぽっと出の私じゃダメなんだよ」

「記憶がないんじゃない、別人なんだもん・・・ 仕方ないよね? でもね、そんな私を受け入れてくれた家族に、恩返しがしたいんだ」
『それだけでは、あるまい・・・タカシとかいう男が原因じゃろう?』

「私がさ、タカシくんのそばに置いてもらえるのは、手軽にエッチさせてくれるからで・・・・・私を好きだからじゃないんだもん」

「でもね、それでもね・・・・それでもいいって思ってた。 だって好きなんだもん! タカシくんの事、大好きだから・・・・」
『ならばこのまま居れば良いじゃろう?』

「・・・・・苦しいの。 鉛を飲み込んだみたいに、苦しくて・・・・自分の居場所が無いのが、悲しいんだ」
『しかし、自分の寿命を陽子にやればお前はそのまま消滅するのじゃぞ?』
「・・・・・だから、いいんだよ」

「皆は暖かく私を受け入れてくれたし、大好きな人に愛されてると思えた・・・・・もう、十分だよ」
『それでいいのか? タカシ・・・』
「え?」

誰も触らないのに襖が開いて、そこに居たタカシくんを見つけた。

「タカシくん・・・」
「え? 誰? なに?」
「うん、パニックになるのは分かるけど冷静にね」
オロオロするタカシくんを座らせて、自己紹介・・・

「こちら神様、こちらタカシくんです」
「あ、どうも・・・矢名タカシです」
『ワシは神様じゃ』

「で、出来るの? 出来ないの?」
「ちょっと、ちょっと待ってよ! 陽子ちゃん」
タカシくんが私の肩を掴んでるけど、どうして止めるんだろう? キョトンとして見てしまう。

「どうして止めるの? 陽子さんが帰ってくるんだよ、良かったじゃない」
「それは良いことだけど、そのために陽子ちゃんが消えるって何?」

「陽子さんは台所で倒れた時に亡くなったの。 だから私の寿命を彼女にあげて、この体に戻ってもらう・・・素晴らしい考えでしょ?」
「・・・・・寿命をあげた陽子ちゃんは、どうなるの?」

『消える、泡の如く跡形もなくな・・・』
「でもそれじゃ〜・・・何か違うんじゃないのかな!」
「私が良いと言ってるんだから、いいの」

「でも・・・」
「タカシくんは下に行ってて、すぐに終わらせるから・・・・・」
「陽子ちゃん!!!」

「私は手軽にエッチ出来るから、都合がいいから置いておいたんでしょ? そうだよね、私・・・タカシくんに求められたら拒めないもん」

「でも好きなのは本物の陽子さんでしょ? 子供達にも本物の母親の方がいいでしょ?」
「それは、戻れるなら戻れた方がいいとは思うけど・・・・・」
「それじゃ決まりじゃない・・・・ほら、下に行ってて」
「でも・・・」

『出来んぞ・・・ 1度あの世に行った魂は浄化され新しく生まれ変わるまで、あの世からは出られん』

「それじゃ・・・・・・どうすればいいの?」
『辛いのか・・・ ならば他の世界に飛ばしてやろうか?』
「他の世界に?」
『そうじゃ、お主の好きな相棒とやらの誰じゃったかの・・・・神戸、そう神戸とかはどうじゃ!」

「・・・・・・それもいいかも」
こんなに苦しいのも、もう嫌だし・・・・・神戸さんと新しい恋とか!

「よくないよ!!!」
「・・・・・どうして? この世界に居場所がないんだもん、新しい場所に行ってもいいじゃない」
「僕はどうなるんだよ!」
「他の人と再婚したら?」
「嫌だよ、陽子ちゃんじゃないと嫌なんだ!」

ガッと抱きしめられた私は、そのままギュウギュウとタカシくんに抱きしめられてて・・・・・

「・・・好きなんだ、陽子ちゃんが好きなんだよ!」
「嘘・・・」
「嘘じゃないよ、そりゃ長年連れ添った陽子も好きだけど、いま目の前の陽子ちゃんも好きなんだ」
「中身は別人なんだよ?」

「僕に一目惚れした君が頬染めて可愛いし、初々しい反応も可愛いし、可愛い所を見つける度に僕もドキドキしてきて・・・・・恋しちゃったんだ」

え? 本当に? 私のことを? そう尋ねれば「うん」と答えてくれるタカシくんに、涙が溢れてきて・・・

「好きでもない相手を抱きたいなんて思わないよ! 週3なんて・・・」
「だって言ってくれないじゃない・・・・・言われないと分かんないよ〜〜〜」
「こういう所が可愛いんだから♡」

泣き出した私を、抱きしめて・・・・・キスをしてくれる。

『この様子じゃ他の世界は必要ないようじゃの〜』

フッと神様が消えて去ったのと、下から お母さんが叫ぶのが同時だった。

「ラーメン出来たわよ〜〜〜」

「タカシ・・・くんっ! ラーメン・・・のびちゃうよ・・・・あ・・・・」
「そんなのどうでもいいよ・・・・・陽子ちゃん!!!」
「私・・・ 拒めないの・・・知ってるくせにぃ〜〜〜」
「可愛い・・・・・」

手短に終わらせた情事のあと、伸びきって汁も無くなったラーメンを2人で食べたのは・・・子供達には内緒です。

タカシくんが仕事に戻ったあと、お母さんには私の事情を始めから話しました。
台所で倒れていたとき、お母さんは陽子さんに触ってて、心臓が動いてない事を知っていたらしいです。

「もしかして・・・陽子さんが自分の代わりに子供達やタカシを任せたいと、あなたを呼んだのかもしれないわね」
「ええ・・・なんだか私もそう思えてきてるんです」

コホン、わざとらしく咳をしたお母さんが、正座して私を真っ直ぐに見て、頭を深々と下げた。

「お願いします。何処にも行かずに私達の家族になって下さい」
「お母さん・・・」
「子供達もあなたに懐いてますし、あなたも子供達を可愛がってくれてます。それはそばで見ている私が1番分かってます」

「しかも自分の命をあげてまで、陽子さんを戻そうとしてくれて・・・ そこまで私達の事を考えてくれてるなんて、なかなか出来ることじゃありません!」

「不甲斐ない息子ですが、子供達ともども愛してやって下さい。そばに居てやって下さい」
「お母さん・・・私こそ不束者ですが、よろしくお願いします」

「陽子さん」
「お母さん」

ヒシっと抱き合った私達は、絆を感じていたんです。

「それで神様って、イケメンなの?」
「ジジイでしたよ」
「なぁーんだ」
「お母さん・・・(笑)」

はははっと笑いあった私達は、前とは違う嫁と姑になったのだった。




それはある日の出来事だった。。。

いつも まゆみを送ってくれる五十嵐を家に上げたときだった。

ちよこと やすこがエステへと出かけ、その前に陽子も出かけていた午後、店番を頼まれた まゆみが五十嵐を家に上げたのは、中学2年というお年頃の興味からもあった。

キス・・・ ファースト・キスを夢みる少女は、いつも優しい五十嵐ならいいかな?なんて軽く考えていたのだった。

まゆみの部屋に興味がある五十嵐に、店番を放って部屋へと案内した直後、陽子が夕飯の買い物から戻ったのだった。

「あら、まゆみの靴・・・帰ってきてるんだ。 ・・・これは誰の靴???」
もしかして? もしかして五十嵐君? うふふ・・・淡い恋心を応援する気持ちで、でも年頃の女の子の母親として心配もあるし・・・・・

「うふふ、お菓子でも持っていってあげようっと!」
手にお菓子の盆を持ち2階に上がった私は、まゆみの部屋からの【どん!】という音に訝しみながら、ドアを開ければ・・・・

ドアを開けた光景に、私は菓子盆を放り投げて、飛びかかった。

「私の大事な娘に、何しとるんじゃ〜ボケッ!!!」

五十嵐が、まゆみに覆いかぶさり無理矢理キスしようとしている所に、頭に血が昇った私は。

五十嵐の襟首を後ろから思いきり掴んで持ち上げた。
すると前が締まって、首が締まり、息苦しくなるのだ。

「うっ・・・苦しい・・・」
「うっさいわ、ボケッ!!!」

まゆみから引き剥がした五十嵐を横に放り投げ、その上に体重もろとも馬乗りになった私は、胸ぐらを掴んで・・・・・・頭突きしていた。

「ううっ!」
「ただいまぁ〜〜〜」
下からお母さんの声が聞こえたかと思って、手元が緩んだ隙をついて脱出した五十嵐が、自分のカバンを持って下へと降りていく。

「あっ、しまった! 待てぇぇ〜〜〜」
慌てて追いかけたんだけど、そこは高校生の若さには勝てず・・・悔しいから私は台所から塩を持ってきて、玄関から勢いよく撒いたのだった。

「一昨日来やがれ、こんちくしょう!!!」
「うわぁああ〜〜〜」
1度じゃ気が済まなかった私は、2度目の塩を盛大に撒いた先に、タカシくんが立っていたの!

「うっぷ!!!」
「きゃぁ〜〜〜 タカシくん、ごめんなさい! ごめんなさい」

塩まみれになったタカシくんを手で払ってるんだけど、ごめんね。

「それはいいけど、何があったの?」
「あ、まゆみ!!!」
私は玄関から2階へと走っていき、後ろにタカシくんもついてきていた。

「なに? ねぇ、何があったの?」
「実はね、五十嵐が まゆみにキスしようとしててね。 私が五十嵐を引っ剥がして・・・・」
「引っ剥がして? ねえ陽子ちゃん、それからどうしたの?」
「頭突きしちゃった・・・・てへ♡」

「頭突きって・・・ 陽子ちゃん!」
「お母さんだけ入って! お父さんは嫌っ!」
まゆみの言葉にタカシくんがショックで崩れ落ちそうになってる・・・・・

「私が入るね」
「うん、頼んだよ陽子ちゃん!」
ドアをそぉ〜っと開けて、私だよって声をかけながら入って行けば、まゆみはベットに居て周りを囲んだカーテンをぴっちりと閉めていた。

「まゆみ、お母さんだよ」
カーテンに声を掛けると、泣きそうな顔の まゆみが出てきて・・・・・思わずしっかりと抱きしめていた。

「お母さん! お母さん!」
「大丈夫、もう大丈夫だよ・・・ 怖かったね」
ワンワン泣く まゆみを長い間、抱きしめていた。

ようやく泣き止んだ まゆみが、恥ずかしそうに離れていくのに安心した私は、ベットに並んで腰掛け・・・まゆみから話すのを待っていた。

「お母さん、助けてくれてありがとう・・・」
「いいのよ」
「お母さん、あのとき・・・『私の大事な娘になにするの』って言ってたよね」
そうだった、咄嗟に本音が出ちゃったんだ。

「あっ、ごめんね。 つい本音が出ちゃったけど、私に言われても嫌だよね」
「ううん、すごい嬉しかった! それに強いし!」
「あっ! アレ? アレは必死だったから! あはは〜〜〜」

笑ってごまかす私にポスンと、まゆみが抱きついてきてくれた。

「私ね、お母さんの中に居るのが、陽子ちゃんで良かった!」
「まゆみ・・・あのね、まゆみと じゅんのお母さんはもちろん、陽子さんだよ! でもね、私のこともよければ相談役とか思ってくれたら嬉しいな・・・ 」
「相談役?」
「そう、それにボディーガードとか!」

「何でもいいんだけどね、相談したくなったら言ってね!」
「うん! お母さん♡」
「まゆみ・・・・・ありがと」
涙ぐむ私につられてか、まゆみもウルッとして・・・・・照れ臭くて2人で笑ったの。

「それと、お父さんのこと・・・あんまり嫌わないで? まゆみの事、私以上に大事に思ってるよ」
「それは・・・まあ、置いといて。お母さんのお父さんてどんな人?」
「私の父はねタクシーの運転手でね、中学の頃は番長だったの! でも生徒がね、他の中学の不良にカツアゲされてるのを助けて回ってたんだよ」

「へぇ〜〜〜、正義の味方じゃん!」
「私ね、お父さんが大好きで子供の頃から映画とか一緒に行ってたなぁ〜」
「えー、何見るの? お父さんと映画なんて考えられない!」

「私の友達もそう言って父親とは出かけないって言ってたな」
「初めて聞いた〜・・・お父さんと一緒に、2人で出かけるなんて、信じられない!」
「え〜! 私は映画も買い物も飲みに行くのも一緒に行ってたなぁ〜・・・お酒の飲み方も習ったし」
「そうなんだぁ〜・・・」

「そうだよ〜! だって一緒に行けば父親がお金払ってくれるし、飲み屋とか行っても変なのから守ってくれるし、便利だよ〜」
「便利って・・・お母さん、面白い!」

無邪気に笑う まゆみに、ホッとしたら・・・え?って顔された。

「・・・・・まゆみが笑ってくれて、ホッとしたの」
「・・・・・お母さん、大好き♡」
「私も大好きよ」

「で、お父さんのことは?」
「無理!」

ドアの外で聞き耳を立ててるタカシくんが、悔しそうに地団駄を踏んでるのは・・・・・後から知りました。


子供達が寝た後の夫婦の寝室で、まゆみとの話しをタカシくんに話していると・・・

「え〜〜〜、襲ったのは五十嵐なのにどうして僕も嫌われるの〜」
「どうしてなのかな? 」
「・・・・・・くすん、まゆみぃぃ〜〜〜」
唇を尖らせてるタカシくんが、可愛くて頭をナデナデ・・・・・

「陽子ちゃん・・・」
「うふっ、タカシくん可愛い♡」
「・・・・・・陽子ちゅわん、可哀想な僕を慰めて〜・・・ね、ね、ね」
体育座りのタカシくんの頭を私の膝に寝かせて、膝枕して髪を優しく撫でてあげるの。

「タカシくん♡ よしよし」
「んふっ! 陽子ちゅわん、僕ね悲しいの〜・・・もっとナデナデして〜〜〜」
「はい、なでなで〜〜〜」
「んふっ、癒されちゃうなぁ・・・でもね、もっと陽子ちゃんに癒して欲しいな・・・僕」

そう言ったタカシくんが私を押し倒して・・・・・

「陽子ちゃん・・・いい?」
「タカシくん・・・・・好き」
「僕も、大好きだよ・・・」

今夜も、薔薇色の夜になっちゃいました。

「んっ・・・んんっ・・・あんっ・・・もう・・・だめぇ・・・・」
「陽子ちゃん・・・・・陽子ちゃん・・・・・ああ!」




「ねえタカシくん・・・連れてってほしい所があるの」
「ん、何処に?」
「ミウ研時代に通ってたっていう喫茶店!」
朝食を皆で囲みながら、思いきって切り出した私はね、向こうの世界でDVD見て喫茶店ジャンバルジャンに行きたかったんだ。

「じゃ、明日の土曜に行ってみようか?」
「ありがとう」
「私達のことはいいからさ、2人でデートしてきなよ〜」

まゆみに言われて何だか赤面してしまう・・・・・デートだなんて、あはん、やだぁ〜。。。

「お母さん、真っ赤! 可愛いぃ〜・・・」
「まゆみ、からかわないでよ・・・」
「ほんと、可愛い・・・陽子ちゃん」

「やだ、厭らしい・・・」
タカシくんが言うと嫌そうに顔をしかめる、まゆみ・・・・・早く仲直りしてね。


ということで、土曜日。。。

「ここがジャンバルジャン! 俺はミウ研のOBで、君達の先輩! って、何で陽子ちゃんに自己紹介しなきゃいけないのさ、ホワァーイ!!!」
「この暑苦しいのがユキオさん」
「・・・・・・わぁ、ハンサムだね」

「サンキュー陽子ちゃん!」
バチッ☆と音がしそうなほどのウィンク、いただきました!

「で、この子が・・・」
「まだまだ蕾のツボミです!」
「あはっ! 太陽サンサン、陽子です!」

「すごいです陽子さん! ツボミの挨拶に返してくれたの陽子さんだけですよぉぉ〜」
「ツボミちゃん、お人形さんみたいに可愛いね」
「マスター・・・私、陽子さん好きです〜」

あ〜・・可愛い♡ 私もメイド服着て一緒に働きたいなぁ〜・・・・・・ん? この音楽は・・・・まさか!

♫ ちゃーちゃちゃっちゃ、ちゃんちゃちゃん ♫

え? あれ? 身体がっ・・・・・身体が自動で動いてくぅ〜〜〜
しかも、しかも、しぃ〜かぁ〜もぉ〜〜〜・・・・・・

「♫ あ〜あ、美しき〜 その日暮らしよぉ〜〜〜 ♫ 」

歌ってるしぃぃ〜〜〜・・・・コレって身体が覚えてるって事? でも勝手に身体が動くのって・・・
気持ち悪いぃぃ〜〜〜!!!

「陽子ちゃん!? ねえ、どうしたの? 楽しそうに歌って踊ってる割に、顔色がどんどん悪くなってるよ!」
「タカシくん・・・・・身体がね、勝手に動いてるの。 気持ち悪いよぉ〜〜〜」
「ユキオさん、音楽止めて! 止めろっ!!!」

音楽が止まって、私はその場で床に座り込んでしまったけど・・・・・
ビックリしたのと、勝手に身体が動く気持ち悪さに泣きそうになっちゃう。

「陽子ちゃん、大丈夫? 陽子ちゃん!?」
「た・・・タカシくん・・・・身体がね、勝手に動いて気持ち悪かったの」
「大丈夫だよ、曲は止めたからね。・・・・・涙眼の陽子ちゃん、、可愛い♡」

タカシくんに支えられて椅子に座った私に、タカシくんが横に座って支えてくれた。

「・・・震えてるね、陽子ちゃん。 今日はもう帰ろうか?」
「うん」
ジャンバルジャンを出た私達だけど、まだ身体がフラつく私をタカシくんが・・・

「どこかで休んでこうか、陽子ちゃん!」
「タカシくん? でも、なんか横になりたい・・・・・」
「でしょでしょ? じゃ、入ろっか」

なんでラブホにいるんだろう? しかもお風呂に入ってるし・・・・・ジャグジーが楽しい♡

「陽子ちゃん、僕も入るね〜〜〜」
「え? やだ! 一緒に入るなんて・・・恥ずかしい」
「恥ずかしくなんてないよう、僕たち夫婦なんだし・・・ね」
「でも・・・」
入ってきちゃったタカシくんが、大きな湯船に浸かって・・・・・私をお湯の中で抱き寄せて・・・・・

「入ってきちゃうし・・・・」
「いいじゃん! 気持ち悪いの治った?」
そういえば・・・温かいお湯と解放感で気分は良くなってきてた。

「うん、治ったみたい・・・・」
「大きい湯船だし、スッキリしたんだね・・・・・じゃあ、こっちも」
「こっちも?」
タカシくんが妖しく微笑むんだけど、ゾクリとするほど・・・・・・・カッコイイ♡

「ここならさ、どんなに声出してもいいんだよ♡」
「・・・・・・思いきり?」
「そ、思いきり出してもいいんだって!」

「・・・・・・じゃあ、タカシくん♡」
「陽子ちゃん♡」

キスを交わした私達はベットに移動して・・・・・・

「あああんっ・・タカシくんっ!・・あっ・・ふぅ・・んんっ・・イイの・・あっ・・・そこイイっ・・」
「陽子ちゃん・・・そんな煽られたら、僕・・・もう・・・・ああっ」
「あんあん・・・ぁぅんん・・・タカシくん・・・・好き・・・大好き・・・はぁああっっ!!!」
「あ・・・陽子ちゃん・・・・・好きだよ、ううっ!」
仰け反ってイっちゃう私をタカシくんが強く抱きしめて・・・・・私の奥でタカシくんが弾けた。

「声出すとこんなに乱れるんだ・・・・陽子ちゃん」
「やだ・・・恥ずかしいよ・・・・」
「んふふ〜〜〜・・・いっぱい声出ちゃったね」
「・・・・・」
恥ずかしくてシーツに潜った私をタカシくんが追いかけてきて・・・大きなベットの上を逃げてしまうの。

「捕まえた!」
「やん・・・」
「ねぇ、たまに来ようよ・・・ラブホ」
「え?」
「いいじゃん、んねっ♡」
「・・・たまになら」

それから買い物して家に帰ったんだけど、タカシくんが・・・スーパーでもベタベタしてくるから、困っちゃって。。。

「家についたら離れてよ? 子供達や、お母さんの目があるんだし」
「だって、だって・・・くっつきたいんだもん! ・・・さっきさ、スゴく良かったよね」
「・・・・・・・(真っ赤)」
「可愛い♡」

そんな幸せな毎日の中、ジャンバルジャンにもたまに行ってみてます。

「♫ あ〜あ、美しき〜その日暮らしよぉ〜 ♫ 」
相変わらず音楽がかかると身体が反応して、踊って歌ってるんですが・・・・・・

「だんだん楽しくなってきた! っていうか、スゴく楽しい!」
「陽子さん、綺麗な声ですね〜! いつ聴いても、うっとりします!」
「おだてないでよ、ツボミちゃん! 何にも出ないわよ」

「私、そろそろここのバイトを辞めようと思うんです。 それで、陽子さんここで働きませんか?」
「そんなの聞いてないよ、なんで?なんでなんでなんでなんで???」
騒ぐユキオさんを置いといて、私はジャンバルジャンで働くことにしたんです。

もちろん家族の許しは貰いました。
週3日、帰りはタカシくんが迎えに来て一緒に帰るんです。

・・・歩いて帰るとき、少しデート気分でトキメイてるのは秘密です。

「ねぇ陽子ちゃん、こうやって2人で帰ってるのって、何かデートみたいでいいね!」
「あ、私もそう思ってた! タカシくんとだと歩いてるだけでもドキドキしちゃう♡」
「・・・んもう、陽子ちゃんたら可愛いんだから」

このユキオさんの喫茶店は、メイド服を着るんだけど・・・・・着てみたかったから、嬉しいんだ。

「陽子さん、仕事覚えるの早いです。ツボミ、することないです〜」
「あら、ツボミちゃんの教え方が上手なのよ! いつもありがと♡」
「ツボミ、陽子さんと働けて嬉しいです〜」

素直な可愛い子だよね。
顔も小さいし身長は高いしスタイルいいし・・・・・・羨ましいな。

【 カラン♫ 】

「いらっしゃいませ〜」

お客様に声をかけて、お席に案内して冷たいお水を持っていく。
しばらくして注文を聞いてユキオさんに、伝えて、品物を持っていく。

「アイスコーヒーです」
そっと置いて、ガムシロップやミルクを置いて一礼してテーブルを離れる。

「・・・ ねぇ、お姉さん」
「ツボミちゃん、お客様が呼んでるよ」
若くて可愛いツボミちゃんのファンなのかな?

「はぁ〜い」とお客様のテーブルに行ったツボミちゃんが、すぐに私の所に戻ってきて・・・

「私じゃなくて陽子さんを呼ばれてますよ」
「え? 私を???」
キョトンとして呼ばれた方を見れば、若くてイケメンなお客様が『おいでおいで』していた。

とりあえずお客様のそばに立って、何の用かと聞いてみれば・・・

「ね、座って?」
「はい」
ニコニコと笑う目の前のイケメン・・・・・何かの勧誘かしら?

「お姉さん、年はいくつ?」
「37歳です」
「結婚してるんだ、子供とか居るの?」
「ええ、2人いますよ〜。 2人とも自慢の娘と息子です」

子供達のことを話すとニコニコしちゃうんだよね、私。

「いい笑顔だね・・・ 結婚して何年なの?」
「14年ですけど・・・・あの、勧誘ならお断りしますよ」
「旦那さんとは、どう? セックスしてる?」
「・・・・・・・(真っ赤)」

急になんてこと聞くの! 恥ずかしくて真っ赤になっちゃったじゃないの!
っていうか、彼の意図は何なんだろうか?

「あれ、真っ赤っか・・・・・反応が可愛いよね」
「か、からかわないで下さい! こんなオバちゃん、からかって面白いですか?」
「オバちゃんじゃないよ、陽子さんは・・・」
「えへ、そうですか? 若い人にそう言われると、嬉しいです! そろそろ仕事に戻りたいんですが・・・」

「マスター、陽子さん口説かれてませんか?」
「ヤバイな、でも常連だし・・・様子を見るか」

「俺さ、ホストしてんだけど・・・毎晩、脂ぎったオバちゃんの相手してるんだ。 たまに寝たりもしてる」
「???」
「この前、駅前のラブホで客の相手してたんだけどさ、隣の部屋から凄い声が聞こえてね」
「???」
「艶っぽくて、こっちも煽られちゃったくらい良い声でさ〜。 隣の人が部屋を出るとき、後つけたんだよ」
「まさか? もしかして?」

「そ、歩いて帰る後ろ姿もラブラブでさ〜・・・陽子さんの恥ずかしそうな笑顔が忘れられなくて」
「やだ、あのとき後ろに居たんですか? やだやだ何か、とっても・・・恥ずかしぃ〜」

あのときはタカシくんがベタベタしてきて、2人で年甲斐もなく若いカップルみたいに手を恋人繋ぎにしてたっけ。
私もノッちゃって・・・イチャイチャしちゃってたぁぁ〜〜〜! きゃぁ〜〜〜!!!

「う〜ん、この笑顔がイイんだよね」
「恥ずかしいです。 もうヤダ〜〜〜」
パタパタと席を離れた私は、更衣室へと逃げ込んで顔の火照りが覚めるまで鏡を見ていた。

「陽子さん、あのお客さん帰りましたよ〜」
「ありがとツボミちゃん」
戻ってテーブルを拭きに行けば、何だろ・・・これ。

手帳から切った用紙に、番号が書いてある。

「タクミ。 090・20☆☆・◎△◎✳︎・・・・・なんだろ?」
「連絡してほしいんじゃないんですか?」
「えっと、でも連絡しちゃいけないよね。私は人妻なんだし」
「俺がかけようか?」

「ユキオさんがかけて、どうするんですか?」
「え、あ、いや・・・いつもありがとうございます・・・とか?」
「じゃ、ユキオさんに預けますね」

「でも、カッコイイですよね〜・・・あのお客さん!」
「でも・・・私はタカシくんの方がいいな」
「うわぁ、陽子さんに惚気られちゃいました」

ツボミちゃんとキャイキャイ騒いでいると、タカシくんが来たので私は着替えに更衣室に行ったんだけど、その間にユキオさんとタカシくんで何か話しがあったみたい。。。



「おいタカシ! 陽子ちゃんが男に狙われてるぞ! っていうか、陽子ちゃんがパートに来てから売上が上がってんだよな〜」
「陽子さんて何かこじんまりして可愛いじゃないですか! お客さんにも笑顔で出迎えて、皆さん癒されるって好評なんです」
「ツボミちゃんの笑顔では癒されないからね」
「マスターひどいです!」

ユキオさん、急に腹から声出さないでよ! ビックリしちゃうじゃない!

「それでよ、タカシ・・・これ見てくれよ」

ってユキオさんが差し出したのは、手帳から破り取ったような紙に名前と数字が並んでいた。

「何コレ、タクミ? 携番? ・・・・・えええ、コレって」

「そのタクミってのはな、ホストクラブのNo.1でさ、ウチの常連なんだけどよ・・・前は週1くらいだったのが陽子ちゃんが来てから週3、来てんだよ」
「ええ?」

「さっきは陽子ちゃんを席に呼んで何か話してたし・・・気をつけろよ」
「でも陽子さんなら大丈夫ですよ、さっきのお客さんよりタカシさんの方がカッコイイって、私に惚気てましたよ〜」

んふっ、そうなんだよね! 陽子ちゃんってば僕にベタ惚れだから〜〜〜

「おいおいタカシ〜・・・そうやって高を括ってると、足元すくわれるぞ!」
「え? そうなの? ユキオさん、どうしよう」
「ちゃんと感謝の言葉を言ってるのか? 陽子ちゃんに」
「え?」
「当たり前だと思って過ごしてると不満が溜まって、いつか爆発するぞぉぉ〜〜〜」
「お、おどかさないでよ、ユキオさん!!!」
オロオロしてると陽子ちゃんの着替えが終わって出て来たんだけど。。。


「お待たせタカシくん! 帰ろ〜」
「ん? あ、ああ・・・」

その日の帰り道、なぜか浮かない顔のタカシくん。
私は気になってタカシくんに聞くんだけど、

「ああ・・・なんでもない」
って事しか言わないし・・・・・何でもない顔じゃないよね、タカシくん。

子供達が寝た夜、寝室でタカシくんにもう1度聞いたんだけど。
急に私の肩を掴んで、真剣な顔してるから私も正座して、見つめ返したの。

「いつも ありがとう、陽子ちゃん」
「タカシくん?」
「食事や洗濯とか、子供達の世話とか、母さんの相手とか、もちろん僕の事も全部、全部・・・・感謝してる」

「ユキオさんに言われて目が覚めたよ。 心の中で感謝はしてるけど、それを陽子ちゃんにしっかり伝えてなきゃ意味がないって・・・」

優しく抱きしめられて、耳元でタカシくんの声が聞こえる・・・

「いつも ありがとう・・・・愛してるよ、陽子ちゃん」
「タカシくん・・・・・」
「今の、僕の前にいる陽子ちゃんを・・・・・愛してる」
「私も、愛してる・・・・・」

「うん、知ってるよ。 だって自分の命を譲ってまで陽子を戻そうとしてくれただろ? そんなの愛がなきゃ出来ないよ」

ぎゅう・・・と抱きしめられて、タカシくんの温かい身体に包まれて、すごく安心する。

タカシくんと見つめあって、いつもならこのまま・・・・・な展開なのに、タカシくんが黙ってる。
・・・・・・・・どうしたんだろ?

「あのさ、エッチも・・・君の都合も考えないでシちゃってるだろ? これからは君の気持ちを優先しようと思うんだ」
「・・・・・じゃ、今夜はもう寝ようか?」
「え?」
途端に情けない顔して私を見るタカシくんに、ぷっと笑っちゃった。

「もう1度抱っこしてタカシくん」
「おいで・・・」
ギュッと抱きしめられた私は、タカシくんの肩に顔を寄せて・・・・・

「・・・・ね、タカシくん仲良くしよっか」
「いいの?」
「うん♡ ・・・きゃっ」
押し倒された私は、そのままタカシくんと・・・・・ うふふ。


ジャンバルジャンでのパートの日。

【 カラン♫ 】
「いらっしゃいませ〜」

あ、タクミさんだ。
彼はあれからも私と話しをしたがって、私も少しならと相手をしていた。

そこで何となくだけど、彼の目が私を懐かしそうに見ていることに気がついたんだけど、なんでだろう・・・

「陽子さんさ、俺と出かけない? デートしようよ」
「私みたいなオバさん誘わないで若い人と行ったほうがいいよ」
「37ならオバさんじゃないよ! 俺の7つ上なだけ」
さすがホスト、微笑んで心をくすぐるような事をサラッと言ってるし。

ここは思いきって話してみようか?
ユキオさんには1度、じっくり話してみたいと言ってたんです。

「あのお客様・・・いえ、タクミさん。 どうして私に構うんですか?」
「陽子さんを口説きたいから」
「私、お金ないですよ? ですからパートしてるんですし、ホストクラブに遊びになんて行けません」

「違うよ、お客にしようなんて思ってないよ」
「じゃ、なんで私なんかを?」
「・・・・・・似てるんだ陽子さん、俺の母親に」
「お母さんに?」

「そ!・・・って言ってもさ、子供の頃のイメージだけではっきりとは覚えてないんだけどね・・・」

「小学校に入る前に父親が追い出したんだ。自分は若いのを後妻にしてさ、俺がその後妻に懐かないからって母親の写真を全部捨てたんだ」

「だからもう、母親の顔も覚えてなくてさ・・・・・でも、何か陽子さん見てると、懐かしいんだ」
「それだけなの?」
「・・・本当は旦那さんから奪っちゃおうかと思ってた。 あん時の声もそそられるし・・・でも」

「でも、陽子さん旦那さんにラブラブじゃん! 付け入る隙がなくてさ〜・・・残念だよ」

強がってるけど、表情からは何も伺えなくて・・・・・なんだか、精一杯背伸びしてる小さな男の子みたい。
いつものハンサムな笑顔だけど、本音の見えない顔をしてるタクミくんだけど・・・

今は、小さな子供が母親に縋るような目をしてる・・・・・・・そう思った時、私はタクミくんの頭を撫でていた。

「偉い偉い・・・・」
「陽子さん? ・・・・・・何してるの」

頭を撫でてる私の事をキョトンと見ているタクミくんは、初めて見る幼い表情で・・・・・・・私の目には、じゅんと同じくらいの男の子に見えてきたの。

「頭撫でてるんだよ? タクミくんはいつも頑張ってるから、偉いね」
「俺・・・偉くないよ? 客を色仕掛けで騙して金出させて、そんでNo.1とか言われてるんだぜ」
「・・・・・無理に悪ぶらなくていいよ!」
私はゆっくりとタクミくんの頭を撫で続けてる。


「どんな世界でもNo.1になるなんて凄いよ。 なればなったでプレッシャーはハンパないだろうし、妬みも受けるだろうし、敵も多くなる・・・・・服やアクセサリー、体型やその他諸々、維持をしていくのも大変でしょ?」
「それは、そうだけど・・・」

「頑張ってるじゃん! タクミくんは凄く頑張ってるよ」
「・・・・・・こんなこと、されたこと・・・・・ねぇよ・・・・」
頭を撫でているうちに、ポロポロと涙をこぼすタクミくんを抱きしめた。

「うっ・・・うううっ・・・・ぐぅ・・・・・」
椅子に座った私の膝に顔を埋めて、床に膝をついたタクミくんはまるで、お母さんの膝に縋りつく子供のようで。

私は膝にあるタクミくんの頭を、ゆっくりと撫で続けたのだった。



「ね、アレは何をしてるの?」
陽子ちゃんを迎えに来た僕の目に映ったのは、彼女に縋りついて泣いてるデカイ男の姿だった。

しかも周りのテーブルに居る他の客達も、ユキオさんも、ツボミちゃんもウルウルと感激して涙ぐんでるし。
あっちの人なんて泣いてるじゃん!

「なに? 何があったの? 何で僕の奥さんの膝で見知らぬ男が泣いてるのよ!」
「タカシ黙れよ! ・・・・・・・・いま、良いとこなんだ」

え〜〜〜!!! 誰も事情を教えてくれないのぉぉ〜〜〜!!!
仕方なく僕はカウンターに座って、そのまま様子を見ることにしたんだ。



「・・・・・・」
恥ずかしそうに無言で顔を上げたタクミくんを、冷たいオシボリで拭いちゃった・・・じゅんにするみたいに!

タクミくんも嫌がってないし、綺麗に拭いて新しい冷たいオシボリで目を覆った。
泣いちゃったから少し腫れてるの。

「ふふ・・・じゅんみたいだよ、タクミくん。 あ、じゅんはね小3の私の息子」
「・・・・・羨ましいな、じゅん君が。 陽子さんが母親ならきっと、いっぱい愛されてるよね」
「私の息子になる?」
「え?」

「ウチにはね中2の娘もいるから、タクミくんは長男だね」
「えっと、それマジなの?」
「本当のお母さんに会えるまで、寂しくなったら会いにおいでよ! うちね5人いるから賑やかだよ〜」
「陽子さん・・・」

「一緒にご飯食べたり、何かあれば相談にのるよ? あ、でもごめん! お金は無いんだわ」
「そんなのいいよ!・・・でも、飯食いに行っても、いいかな?」
「いいよ〜 その代わり、豪華なものは出せないよ!」
「そんなん平気! どうせいつもコンビニ飯だし」

「あはは! そっちの方が豪華だったりして〜。 ウチ、晩御飯が出前一丁なときもあるから!」
「・・・・・・その笑顔があれば、なんでもご馳走だよ」
「これウチの住所ね。 私のメアドと、携番ね」
「・・・・・・ OK、登録した。 じゃ、俺もう行くわ」

晴れ晴れとした顔をしたタクミくんを見送っていたら、周りからなぜか拍手が・・・・・・なんで?

「陽子ちゃん、スゴイよ! 下町の母だね! 俺、感動したよ!」
「陽子さん素敵です! ツボミも感動しました!」

「陽子ちゃん、説明して?」

帰り道タカシくんに話しをしたら、こう言ったの。

「そうか・・・複雑なんだね。 よし、今度ウチのご飯に招待しよう!」
「賑やかなのは負けないしね!」
「ああ、賑やかだけは自慢できるな。 5人家族なのに気がついたら増えてるもんな」
「皆で食べるご飯は、美味しいもんね」

その後、タクミくんはウチでご飯を食べるのが気に入ったのか、度々顔を出すようになった。
そしてホストをきっぱりと辞め、今は自分の進路を模索中・・・・・だそうです 。





出来上がってるお話は、この回までです。
新年だし、子供も冬休みだし、これ以降は更新は子供の冬休み明けになります。

では、あけましておめでとうございます!

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Author:すー※さん
私的妄想世界が広がっております。
イチオシは窪田正孝さんの役柄いろいろ妄想話です♡(その他にも相棒の神戸さん、スネイプ先生や善徳女王など色々でございます)

最近は更新ができてませんが、発作的に投下してます。
8月、9月の試験に受かれば時間ができるので、それまでは見守っていて下さいませ。

合言葉は『シリアスからエロまで』・・・・・楽しんでいただければ幸いです。。。

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