②【月の嘆き】

【月の嘆き】の続きです。

【黒獅子と月…】の《下》のときにスンマンとピダムが別れ、何年も後にトンマンの元で再び出会ったら……という暗い話です。

ちなみにピダムはトンマンに恋し始めていてスンマンは過去の話というスンマン虐めみたいな設定です。

※※※

目覚めればポジョンがいなかった……

裸のまま布団の中にいた私は……滑らかな絹の肌触りに手足を伸ばした。

「ん~~~」
伸びをしていると扉が開きポジョンが入ってきて……笑っている。
「お目覚めでしたか」
「今、起きたのだ」
「何か欲しい物はございますか?」
「茶が飲みたいな」
「では御用意して参ります」

茶器を手に持ち再び部屋に入ればスンマンは服を着て椅子に座っていた。

茶器を受け取り優雅に煎れたスンマンはポジョンと二人、ゆっくりと飲む。

「昨夜は……すまなかった」
「……スンマン様?」
「だがポジョン…殿のお陰で吹っ切れた!…ありがとう」
「……どういう意味でしょうか?」

「……一夜の夢と……思ってくれないか?」

その言葉にポジョンが固まった。
「一夜の……夢ですか?」
……二度と私に抱かれるつもりは無い、ということなのか?……

強張る口をやっと開いてお聞きした。
「何故ですか?」

「……怖いのだ……お前の腕の中は暖かく…甘く、幸せで…もう一度味わえば……二度と離したくなくなる……離れられなくなる……」
「スンマン様?」

寂しげな瞳にうっすらと微笑まれたスンマン様が、真っ直ぐに私を見ていた。
「お前もいなくなったら私はきっと…壊れるだろう……今ならまだ大丈夫だ……離れられる、今ならば」

……私が貴女から離れたらと……捨てられる心配をしているのか!!

「貴女は……」
愛される事に哀しいほど慣れていない貴女に……絶句した私に微笑み部屋を出ていった。

慌てて後を追い、腕を掴み部屋に引き戻すと扉に錠をかける。
からくりになっている錠は知らない者には開けられぬ仕組みになっていた。

「何をする?」
「無理です……無理なのです」
「ポジョン殿」
「私も最初は一夜だけでいいと……貴女が逝ってしまわないようにと、それしか考えておりませんでした」

スンマン様の前に跪いた私は…貴女を見上げ…その躯にすがりついた

「だが私は……貴女を抱いて思い知りました……もう貴女から離れられないと……」

「貴女が誰を思っていてもいい……誰かの身代わりでもいい……母への手駒でも何でもいい……貴女をこの腕に抱けるなら……何でもいい……私は……貴女しか要らない……」

「躯だけでも……よいのか」
「私などが貴女に愛されるなどと思ってもいません……私が愛しています……お側に置いて下さい」

「それほど私に魅入られたのか……」
「はい、スンマン様……」

「二度と私から離れる事は許さぬ……それを破れば斬って捨てるぞ、それでもよいのだな」
「はい、スンマン様……私は決して貴女から離れない」

「ならばポジョン……今からお前は私の男だ」
「はい、スンマン様……嬉しいです」

スンマン様が屈まれて唇を重ねて……私は口付けながら立ち上がり抱きしめた。
「今宵……私の宮に来い……よいな」
「はい、スンマン様」

名残惜しく抱きしめたがスンマン様には騎馬隊の任務がある……腕から解放し扉を開けた。

「一緒に行かないか?」
「はい」

二人で母の宮を出て騎馬隊の執務室に向かった。

※※※

「よぉ~!」
「……おはようピダム」

へらへらと笑いながら執務室にはピダムだけがいた。
ポジョンは書類をまとめに王宮の書庫に行くと途中で別れていた。

「今日はピダムが訓練してくれ……私は新しい訓練を考える」
「わかった」


なかなか部屋を出ていかないピダムが、私の横に立った
「スンマン…お前さ…もしかして俺の事まだ……」
「!!」

覗き込むピダムから顔を背け立ち上がった私の……腕を掴み壁に押しつけるピダムの顔が……近い。

「図星か?」
「ちがう……昔の話だろ?」
「そうさ……俺はいまトンマン公主が好きだからな」
「ならば放せ……」
「ポジョンがお前の事を聞いてきた……どんな関係なんだ」
鋭く私を見るピダムに可笑しくて……棄てた女でも気になるのか?

「ふふ……お前に関係ないだろう」
「なんだと」
「昨日、言ったな私に……無かったことにしてくれと」
「ああ……」
「ではお前と私は徐羅伐で初めて会った事になる……そんな者に答える義理はない」
「な……なに」

部屋の扉が開くと足音も荒く近づいたポジョンがピダムをスンマンから引き剥がした。
「スンマン様に無礼だ……大丈夫ですか?」
「ああ……」

ピダムが部屋を出ていき……ポジョンはスンマンの手首に残る痕を心配していた。

「冷やした方が良いのではないですか?」
「ポジョン……」
「はい、スンマン様」
「私をここから連れ出せ……夜まで待てない」
「わかりました」

二人で馬に乗り徐羅伐の町に向かった。

心当たりの宿屋で部屋をとった私達はスンマン様がまず湯を使われていた。

※※※

湯上がりの紅潮した頬や匂いが私を微笑ませていた。

「美しい……」
拐うように抱き上げ寝台に寝かせれば貴女は笑っていた。

「くっくっくっ……」
「どうされました?」
「昔、自らが言った言葉を思い出したのだ」

《私の為に死さえも喜びになる男を探しましょう……その男に私を与え、愛されてみます》

「お前が…私の……いや、今はよい……今はお前を感じたい……ポジョン、お前を感じたい」
「はい、スンマン様」

覆い被さる私を貴女は昨日よりも熱く受け入れ……感じて……私は貴女の反応に我を忘れて求めていく……

「あ゛あ゛~~~……ポ…ョン……」

「あっ!…ああ……ポジョン…んっ…んっ…いい…はぁ~……」

名を呼ばれる度に私の躯を歓喜が廻り貴女を激しく抱いてしまう……

それすらも受け入れる貴女が愛しくて………
終わった後、腕の中にいる貴女の汗に濡れて光る額に口付ける。

まだ荒い呼吸の貴女を抱きしめ背を撫で……幸せに酔いしれる……

「……ポジョン……」
「スンマン様……」
もぞもぞと動き私の躯に腕を回した貴女が胸に顔を乗せて……私の躯に触れていた。

掌で胸と腹を撫で続ける貴女の手が、こそばゆく……つい止めてしまった。

「ああ……すまない、何故か触りたくて……」
「くすぐったくて、申し訳ありません」
「ポジョン……」
「スンマン様……」

スンマン様が私の胸に唇をつけ、強く吸われ……
「ふふ……私の印だ……お前は私のもの……」
子供のように無邪気に笑う貴女が可愛らしくて……口付けながら躯を反転させ、また……求めていく……真っ白な躯を拓かせ赤い痕を散らして………再び、貴方と一つに交わり……ああ……夢のような甘い貴女の声が私を熱くする……


二人で湯に浸かり身支度を整え部屋を出た。

※※※

執務室に戻ったスンマンを残しポジョンは他の用で外に出た。

「ふふ……」
つい、微笑みが漏れたその時……扉が開くとピダムが入ってきた。

「訓練は終えたぜ!スンマン公主様」
椅子に座り私を見つめるピダムをチラリと見た

「ご苦労」
もう……ピダムを見ても苦しくない自分が不思議だった。

現金なものだ……ポジョンに愛されて……満たされたか……

「ふふ……」
訓練内容を考えながら……髪をかきあげた私の手をピダムが掴んだ。
「スンマン……誰に抱かれた」
「………」
「誰かに抱かれたろう……首に痕が……」

「こう見えても聖骨の公主だ……気安く触れるな」
冷たく睨まれたピダムが慌てて手を放し……自分の手を見つめていた。

「その……聖骨の公主様が……男に抱かれてもいいのか?」
何故かピダムの声が掠れていた。

「唯一の男にならば抱かれるさ」
「唯一の男?」
「お前には関係ないな……」
ニヤリと笑い……立ち上がり部屋を出ようとしたスンマンを捕まえたくて伸ばしたピダムの手を……スンマンが冷たく振り払った。

「スンマン……」
「気安く呼ぶな」

今までに無い冷たい声がピダムに浴びせられる……
「ピダム朗、余り無礼を振る舞うと騎馬隊から抜けてもらう……姉上にも進言しなければならなくなる……それを踏まえて行動されよ」

冷たい刃で斬られたような錯覚を起こすほどに……冷たい視線と声だった。

「スンマン…様、失礼をお詫びします」
「……」
くるりと踵を返して返事も返さず部屋を出ていくスンマンと、入ろうとしたポジョンが扉を開けたのとが同時だった。

「あ…」
「申し訳ありません」
さっと横に避けたポジョンだが……わざとよろめいたスンマンを抱き止めた。
「大丈夫ですか?スンマン様」
「ああ…」
ニヤリと笑った貴女が私の腕を掴み部屋に入り……口付けた。

貴女の躯を抱きしめ口付けに夢中になる私に……部屋に居るピダムなど気がつかなかった。
「んっ…」
「スンマン様……」
唇を這わせ耳の後ろを吸うと躯が跳ねる……可愛い…スンマン様…

「お前ら……」
低く唸るような声が聞こえ初めてピダムに気がついた。

「私の男だ……」
鮮やかに艶やかに……私の腕の中で、咲き誇る牡丹のように微笑まれたスンマン様にピダムの眼が鋭く私を睨んでいた。

「なんで俺に教える?」
「知りたがっただろ?……ポジョン行くぞ」
「何処に行く!」
ピダムの声を背中に聞いて答えないスンマン様と執務室を出た。

「ポジョン……さて、何処に行こう」
朗らかに笑う貴女の瞳が悪戯っ子のように煌めいて……なんだか私も楽しくなる。

「何処にでも……スンマン様がお行きになりたい所へ私もお供致します」
「ふふ……馬を思いきり駆けさせたいな」
「では西の草原にでも参りましょうか?」

馬屋の方へ歩き出しながら二人で話していた。

※※※

翌日、一人で執務室に居た私は溜まった書類を片付けていた。

すっ……と音もなく入ってきた者にも気がつかぬほど仕事に熱中していた。

その私の首が……ぐっ!と絞められ息がつまった。
「ぐぅ~……」
「スンマンがなぜお前などに抱かれた」
「ふぐっ!」

「答えろ!」
少し弛んだ腕に息をつき後ろを見れば……ピダムだった。
「……なぜ?私にも分からぬ事を答えようがない!」
肘で脇腹を打ち込み怯んだピダムから離れた私を睨み付ける……その眼が、お前の気持ちを表しているのか?

「ピダム……お前に聞きたい。お前こそスンマン様を忘れたのか?」
「ああ!スンマンなど過去の女だ!」
「そうか……」

「良かっただろ?あいつの躯は……」
「な……なんと」
「へへっ、三日三晩抱いても飽きなかったからな……」
にやにやと笑うピダムにポジョンが黙っていると、不意に二人の男の後ろから声がかかる……


「ほぉ~私の躯はそんなに良いのか?」
訓練を終えたスンマンが執務室に入ってきていた。
額に汗が光っている。

さっさと奥の部屋に入り、屏風の向こうで衣擦れの音がしているのは服を脱ぎ汗を拭いているかららしい。

「ピダム朗、訓練の仕方が甘いな……もっと隊員達の手本として見せないと理解してない者が大勢いたぞ」

「今後の隊列の教え方を考えて後で私に報告を……ポジョンは此方に来い」
「はい、スンマン様」
側に寄ったポジョンの肩に手を置いてピダムを見たスンマンが……ニヤリと笑った。

「ピダム朗、少しは察して部屋から出ていってくれないか?」
「………」
ばたん!と閉じられた扉を見ながらスンマンは溜め息を吐いた。

「嫌な思いをさせたな……許してくれ」
「いえ」
「ピダムは昔から『自分のもの』への執着が強くてな……いざ、私の心が離れたら面白くないのだろう」
「子供ではあるまいに……」
「いや、執着の仕方は子供より質が悪い」

「心が離れたと……」
「ふふ……不思議だな、あれほどピダムを見て苦しかったのに……今は動かない」
「スンマン様……」
「お前のお陰だな……」
艶やかに微笑む貴女が眩しい……

※※※

続けてしまいました(笑)
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Author:すー※さん
私的妄想世界が広がっております。
イチオシは窪田正孝さんの役柄いろいろ妄想話です♡(その他にも相棒の神戸さん、スネイプ先生や善徳女王など色々でございます)

最近は更新ができてませんが、発作的に投下してます。
8月、9月の試験に受かれば時間ができるので、それまでは見守っていて下さいませ。

合言葉は『シリアスからエロまで』・・・・・楽しんでいただければ幸いです。。。

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