③【君が僕に、愛を教えてくれたんだ】

神戸さぁ〜〜ん!!!
元カノの事件を解明しようと、熱心なのはいいんだけど・・・

いいんだけど・・・・大変なことになってるよ〜!
早く気がついて!

ここからはドラマを離れ、陽子ちゃんを中心に書いていきます。



私は東京に帰ってきた。

桜木さんに送ってもらって、自宅に帰ってきた私は、お風呂を沸かしてゆっくり浸かることにした。

「・・・・携帯、返してもらってないや・・・」

もう、どうでもいい・・・・・どうせ鳴らないし、どうでもいい・・・・・・

お風呂から上がった私は、ひどく疲れていて・・・すぐに寝ようとしたんだけど、部屋のモニターのチャイムが鳴った。

「誰よ・・・ え?大河内さん?」
モニターの画面に映ってたのは大河内さんで、私はマンションの入り口のロックを解除した。

時刻はすでに夜の8時を回っていて、何の用かと思ったら私の携帯を持って来てくれた。

「・・・・・・それと、これを」
何かいい匂いがする・・・中を覗けばお弁当?

「今日はお疲れでしょう。しっかりと休んでください」
そう言って帰った大河内さんを見送ってから、私は包みを開いて中をみた。

デパートで買ってくれたんだ・・・・あ、これ・・・・私の好きなお店のだ。

煮物の美味しいお店のお弁当を、有り難くいただき、私は眠りについた。

戻ってきた携帯の着信やメールを見ても、神戸さんからの物はなく・・・・・私は電源を落として部屋の隅の充電器にさした。



「あれっ? おかしいな・・・」
唯子と別れた後、刑事部長の呼び出しにあって東京に戻ってきた僕と杉下さん。

陽子ちゃんが何処にいるのか分らなけど、電話をかけた僕・・・・・電源が入ってなくて通じないや。

また明日には京都に行くから、まあ、仕方ないか。。。

事件はやはり京都に解明の糸口があるんだ。
今度は懲戒免職になるかもしれない・・・ その危険を重々分かっていても、杉下さんも僕も、京都へ行くんだ。

事件の謎を解明するために・・・・

僕の足は花の里に向かい、そこで杉下さんと女将のたまきさんに昔話をした。

唯子と、どうして別れたのか・・・・・

京都で、たまきさんに聞かれたけれど・・・正直、どう答えればいいのか分らなかったんだ。

当時、大学4年・・・僕は公務員試験にパスして警視庁への入庁も決まってました。
唯子も、大学院に残る予定でした。

そのまま付き合い続ければ、まあ、いずれは結婚も・・・・・そんな予想図も描いてたんです。

でも突然、唯子は僕の目の前から姿を消したんです。

大学院への願書も取り下げ、マンションも引き払って京都に帰ってしまいました。

・・・・・・・連絡も一切取れなくなって、結局・・・何も分からないまま。

思い出したんです・・・・彼女と再会してから。
彼女は何かを言いたいのに、言えずに心に封じている・・・・そんな顔してるんです。

学生時代、最後にあったときもそんな顔してたんです。

何が彼女を縛っているのか、何が彼女を苦しめているのか・・・・・
俺は、そんな彼女の・・・力になりたいんです。

「誤解しないでくださいね。彼女の力にはなりたいですが、ただ刑事として・・・2つの事件の真相を明らかにしたい、それだけです」

それだけなんだ。。。




次の日、私は元気に登庁し事件の事を芹沢先輩から聞いた。
まだ何か見落としがないかと、事件の書類を見ていると・・・・・杉下さんと神戸さんが捜査一課に入ってきた。

高村という被害者の当日の動きを知りたいという彼等に、伊丹さんが情報を教えた。

・・・・・・珍しい。

私はパソコンの影から見てたんだけど、何故か芹沢先輩と伊丹さんが私を隠すように並んで立ってて・・・・
特命の2人が去ったあと、ニヤニヤして見てたら伊丹さんに頭をガシガシやられてしまった。

「きゃぁ〜ボサボサになります!」
「てめぇがニヤついてるからだろうが!」
「だって案外あっさり教えてあげたなぁーって思って!」

「立ってるものは特命係だってなんだって、使ってやる!・・・それだけだ」
「へぇ〜〜〜」
「てめぇは休んでた分、こき使ってやらぁ〜」
「きゃぁ〜〜〜上司の横暴!」
「なんだとぉ〜」

「嬢ちゃん、大丈夫そうだな」
「ええ! 今日しょげかえってるんじゃないかと思って、ドキドキでした」
三浦と芹沢がこっそり話している間も、伊丹に髪をガシガシとやられ、ボサボサになった陽子がトイレに逃げ込んだ。

「先輩、やり過ぎっすよ!陽子ちゃんの髪の毛、ぼさぼさじゃないですか」
「伊丹、やり過ぎるなよ!」
三浦と芹沢が伊丹にそう言うと、伊丹は眉を寄せ少し苦しそうに入り口をみやった。

「・・・・・・・泣きそうな目、してんだよ」
「え?」
「あいつ、泣きそうなの必死に我慢してる目・・・してんだよ」
「・・・・・そうか」

「罪なことしやがるぜ、あの警部補は・・・」


「もう〜・・・ボサボサだし!」
トイレの鏡で髪をといだ私は、鏡に映る自分を見た。

子供っぽい顔・・・・京都で見た、あの人とはえらい違いだな・・・・
こんなんじゃ・・・神戸さんの隣にいても、保護された子供みたい。

ガッカリした自分を暫く眺めてから 、私はトイレを出た。

さっき遠目だったけど久しぶりに見た神戸さん、かっこ良かったな・・・・

捜査一課に戻った私に、特命の2人が京都に行ったことが、分かった。

私はポケットに入れてる携帯が、なんの着信も伝えないことに溜息がでてしまう。

・・・・・・・もう、終わりにした方がいい。
神戸さんの心は、あの綺麗な人の・・・・細野さんでいっぱいなんだから。

定時で帰っていいと言われた私は、紙バックを持って神戸さんのマンションにやって来た。

何度も使った合鍵で中に入った私は、置きっ放しの自分の物を紙バックに入れていく。

専門書や、少しの下着と洋服、そんなもの・・・・・バック1つで十分な量。

私はドアに鍵をかけ、ドアの新聞受けの中に鍵を落とした。

チャリン・・・

金属が擦れた乾いた音、それが神戸さんと私を繋いだものの・・・・・・切れた音だった。




わたしはその足で携帯ショップに行き、新しい携帯を買った。
番号も新しくして、メアドも新しく設定して・・・・・皆に知らせた。

あっ、神戸さん以外の皆って意味です。
それと、杉下さんと角田課長さん・・・・・神戸さんに知られる危険があるから教えませんでした。

前の携帯は電源をオフにしたまま部屋の隅に転がってる。

解約しようかとも思ったけど、なんだかできなくて・・・・
電源は入れないけど、まだ解約は・・・・本当に彼との細い細い繋がりが切れるようで、できなかった。

次の日、京都で犯人を逮捕したとの伊丹さんからの電話に、お祝いを言っておく。
この事件が、神戸さんから私が離れるきっかけになるなんて、人生って分らないなぁ〜・・・

それから数日、事件の後処理で忙しくしている私は、わざと仕事を抱え込んで・・・他のことが考えられないようにしてるんだ。

ブブブッ・・・ブブブッ・・・

「あ、大河内さんからだ」
震える携帯の画面には大河内さんの名前があって、すぐにでた。

「もしもし・・・・今夜ですか?大丈夫だと思います。はい、じゃあ・・・そこで待ち合わせで」
今夜もご飯を食べに行きませんかと誘われて・・・・一人のご飯が嫌で約束しちゃった。

忙しいのに・・・・・きっと私が落ち込んでるからって、気にしてくれてるんだよね。

無愛想で堅苦しくて、でも・・・・優しい人。
お兄ちゃんがいたら、こんな感じなのかな?

再び携帯が震えるから画面を見れば・・・・・・うげっ!小野田さんだ・・・・

知らん顔しようかとも思ったけど、出て見れば・・・・・ランチに、今から?

「お昼、まだでしょ?」
「ええ、まだですけど」
「じゃ、決まりね〜・・・玄関に回るから出て来てね」
強引だなぁ〜〜〜・・・

仕方ないからお昼に行きますと芹沢先輩や伊丹さんに声をかけて、バックを持って玄関に出て見れば・・・・・公用車が横付けしているのが、恥ずかしい。

私を見たのか中から小野田さんが出て来て、私に車のドアを開けてくれる。
・・・・・この頃、いつもこんななんだよね、この人。

「お詫びのしるしだよ、いいじゃないの!僕がしたいんだから」
「はぁ・・・」
「今日は陽子ちゃん、何が食べたい?」
「えーっと・・・・・・美味しいもの」
適当に答えるのは毎度のことで、小野田さんも一応聞いてるけど、きっと行き先は決まってるんだよね。

だって車はもう発車してるし・・・・・・ああ、銀杏が綺麗だなぁ〜

車の窓から外を見てた私は、銀杏並木が綺麗などこかの公園を見ていた。

「・・・・・止めて!」
「どうしたの?」
私は、見なければいいのに・・・・・見つけてしまった。

止まった車から降りて、公園まで戻って・・・ 植木の影からそっと、中を伺う。

・・・・・・神戸さんだ。

恋する乙女の執念か、ペットの嗅覚か、私は人混みでも神戸さんだけは見つける自信があった。

銀杏が綺麗に黄色に染まる中、絨毯みたいな黄色い道で神戸さんは細野さんと話をしていて・・・・・

そして2人が、抱きしめあって・・・・・映画の1シーンみたいだな。

2人の向こうに立ってる杉下さんと、目があった気がした。

「お似合いの2人だよね・・・・」
「陽子ちゃんの方が可愛いよ」
「大人な美人だね・・・」
「ん〜・・・ああいう儚げなタイプって僕は好きじゃないな」
「・・・・・」
「僕が好きなのは陽子ちゃんだからね」

小野田さんが後ろから同じように覗き込んでるけど、見つかっちゃうでしょ!

「いいじゃない! あっちはあっちで楽しんでるんだから」
「・・・・・・会いたくないから。行きますよ!」
「そう?じゃ、車に戻ろっか」

私達は車に戻り、すぐに走り出した車の中で・・・・・・私は、溜め息を1つついた。


「神戸くん、鈴木さんと連絡は取れてますか?」
特命の部屋に戻った僕に、ふいに杉下さんが聞くんだけど・・・陽子と連絡?

「取れてますよ」
「そうですか、それならばいいのですが」
何か奥歯に挟まった物の言い方をする上司に、怪訝な顔をしてみせた。

「陽子は僕にベタ惚れですから、心配御無用ですよ!」
「・・・・・・・・自信は時として慢心になり、それが過ぎれば傲慢になる」
「何がおっしゃりたいんですか?いくら上司といえど部下の恋愛に口を挟むのもどうかと思いますが」
「そうですか」

そういって、ふっつりと無言になる杉下さんが、ちょっと不気味だ。

陽子ねぇ〜・・・そう言えば小野田から解放されたかな?

杉下さんの言葉が頭をよぎった僕は携帯を出して、、陽子の番号にかけた。

『この電話は電源が切られているため・・・・』
「電源が切れてる・・・・・」

あれ? この前も電源が切れてたな・・・・・・

「鈴木さんは出ましたか?」
「いえ、電源が切れてて・・・・きっと充電切れか、何かですよ」
「神戸くん、君がちゃんと鈴木さんの声を聞いた、もしくは顔をあわせたのは、いつですか?」
「いつって、この間ですよ・・・・・・・あれ?」

そういえば、ちゃんと陽子と話が出来たのは・・・・・・・・・・いつだ?

僕が京都に行ったり、陽子が小野田に連れてかれたりしてバタバタしてたけど・・・・・・最後に話したのは。

ああ、最初に京都に着いた日に電話をかけて ・・・・・・すぐに小野田が携帯に出ちゃったけど。

それから東京に戻った夜に電話をかけても、電源が切れてて・・・・・・
僕も唯子のことで頭がいっぱいで、すぐに忘れてて・・・・・・

ちゃんと陽子と話せてたのって、唯子の事件が起こる前じゃ・・・・・ってことは、2週間は経ってる。

え?ええ? ・・・・嘘、そんなに日が経ってるなんて思ってもなかった。

事件のことが気になってメールも送ってないし、Xmasも済んでしまった。

・・・・・・・・まあ、僕が忙しかったのは分かってくれてるだろうし。

陽子なら、少しくらい放って置いても・・・・・・ま、僕に夢中だし大丈夫さ!

「そうでしょうか? なんの気遣いもされない女性が、そんなに寛大でしょうか?」
「嫌なこと言わないでくださいよ」
杉下さんの言葉にギョッとした僕が、言い返すと角田課長が入って来て。。。

「暇かっ?・・・・・今日は神戸に謝りに来たんだ」
「課長が謝るって、何かしたんですか?僕には覚えがないですが」

「お前の彼女にだよ! あの美人の元カノの話をさ、しちゃったんだよ・・・」
「え?唯子の話を?」

「ああ、米沢しかいないと思ったから話したんだけどさ、奥の部屋に居てさ・・・全部、丸聞こえ!」
「何てことしてくれたんですか!」
「ごめんって! 俺もガサ入れ抱えててよ、やっと昨日カタがついたから嬢ちゃんに謝ろうとしたんだよ!けど携帯の電源が切れててさ、繋がらないんだ」

「昨日から、電源が切れてた?」
「ああ、何度もかけたんだぜ?でも今になっても繋がらないんだ。彼氏のお前さんから謝っといてよ、ね!」

昨日から電源が切れっぱなし?
幾ら何でも、おかしいだろ!!!

「課長! 陽子が唯子の事を聞いたのって、いつですか?」
「事件が起こった日だよ!ここでどういった関係か聞いただろ?あの日さ」
「そんな前から?」

僕はもう1度陽子の番号にかけてみても、さっきと同じ・・・・・電源が切られてる。

「杉下さん、ちょっと出てきます」
僕は慌てて陽子を捕まえようと、捜査一課に向かった。




捜査一課についた僕が中を伺おうとしたら、ガタイの良い刑事が僕の前を塞ぐ。
ああ、ここを通るのか・・・そう思った僕が横にずれたら、別のガタイの良いオジさんが前を塞ぐ。

そうすると入り口は一杯になっちゃって、入ることも覗くこともスペースがなくて出来ない。
しかも2人の刑事は通り過ぎることもせずに、入り口を塞いだまま・・・・・怖い顔してるし。

仕方なく僕はもう1つの入り口に回れば、そこにも別のガタイの良い刑事が居て・・・・・・なんだよ、これは!!!

「おい、邪魔だろうが! 出れねぇーっつーの!」
すると、中から伊丹さんが出てきた。

「あ、あんたか・・・・じゃ、仕方ないな」
「仕方ないって、これはあんまりじゃないんですか?」
「こいつらの意思表示って奴ですよ! 神戸警部補、あんたはこの部屋には入れないんだよ!」

「じゃあ、鈴木さんは中に居ますか?」
「・・・・・・・・答える義務はないと思いますが」
「ちょっと伊丹さん! そんな意地悪しないで下さいよ!」
へらりと笑って、中を伺おうとする僕に、伊丹さんの手が肩にかかり、押し戻される。

「あのさ、警部補さんよぉ〜・・・綺麗な元カノと依りが戻ったんでしょ?それならもうモグラには構わないで下さいませんかねぇ〜〜〜」
「は? 唯子と依りが戻る? ・・・・何のことですか?」
「トボけても無駄ですよ! さあ、どっか行って下さい!」

「ちょっと、ちょっ・・・・待ってください!伊丹さん!」
グイグイ伊丹さんに押されて、 どんどん捜査一課から遠ざかっていくのに待って下さいと言っても彼は聞いてくれなくて。

とうとうエレベーターの前まで連れて来られてしまった。

「モグラ・・・いや、鈴木はもうあんたには会わせません。どうぞ気兼ねなく元カノでもナンパでもお好きに、どうぞ!」
「ちょっと!陽子は?陽子はそれでいいと言ってるんですか!」
「あいつは今・・・・闘ってますよ。あんたを諦めようと必死に闘ってんですよ・・・・邪魔しないで下さいね!」

エレベーターに押し込まれた僕は、そのまま扉がしまるのを呆然と見ていた。


しばらくして、目眩のしてきた頭を振りつつ・・・・・・階数のボタンを押して次に向かったのは、大河内さんのところ。

あんなしつこく陽子の事を心配していたんだもの、きっと知ってるよね・・・・・陽子の事。

そうして辿り着いた主席監察官室の扉を、ノックしようとして・・・・・声が聞こえる。

「いえ、昨日の店がお口にあって良かったです」
ああ、電話中なんだ。

それにしても珍しい・・・・こんな大河内さんの弾んだ声なんて、初めて聞いた。

漏れ聞こえた会話だと、大河内さんは僕以外の誰かと食事をして、美味しいお酒も飲んだみたい。
これにもビックリ!!!

大河内さんに僕以外の友達がいるなんて、初めて聞いたよ!

監察官で、しかもあの無愛想な人柄で、友達なんて・・・・嘘みたい。

「それでですね・・・今夜も、とお誘いするのはご迷惑でしょうか?」

うわぁ〜〜もしかして大河内さんに彼女が!!!
電話の相手がきっと女性だとふんだ僕は、そのまま耳をすませて中の声を聞いていて・・・・・

「よろしいですか! いえ私は、負担になど思ってはいません。ええ、迷惑だなどとも・・・・ええ、ええ・・・


あはっ!大河内さん、きっと遠慮してる彼女に『迷惑なんじゃ・・・』とか言われたんだ〜〜。
でも、返事はOKもらえたみたいだね、待ち合わせの事を話してるし・・・・

大河内さんに彼女かぁ〜・・・お赤飯でも炊いた方が良いんじゃないの?

「では今夜、お会いするのを楽しみにしています ・・・・鈴木さん」

は? 鈴木さん? ・・・・・・・・・まさか、陽子のこと???

「入りますよ!」
俺は声をかけるのと同時に、ドアを開けた。

見れば大河内さんが携帯を胸ポケットにしまうところで・・・・・・・携帯で陽子と話をしていたのか?

「大河内さんが女性と食事だなんて、珍しいですね!」
「・・・・・聞いてたのか」
「僕にも紹介してほしいな・・・でも案外、僕の知ってる人だったりして」
「・・・・・・」

「否定しないんだ。女性で僕の知ってる人で・・・・・・鈴木って、1人しかいないんですけど!!!」
「・・・神戸」
「どういうことですか?大河内さんが人の恋人を奪うような人だなんて、知りませんでしたっ!!!」

「落ち着け神戸」
「落ち着けますか! 陽子は俺の恋人ですよ?正気ですか?」

「恋人が行方不明なのに他の女性の事しか考えられなくなったお前に、言われたくはないな」
「なんですか?」
「言葉の通りだ。お前は私にはっきりと言ったはずだ・・・鈴木さんの事より細野唯子の方が大事だと」
「それは、言葉のあやで・・・」

「ほぉ〜・・ずいぶん調子の良い言い訳だな」
「大河内さんには関係ないでしょ? 陽子と食事に行くのは止めていただきます!」
「お前にそんな事を言われる覚えはない。鈴木さんが良いと言っている」

「・・・・・・・まさか、食事以上のことはしていないでしょうね?」
「お前は馬鹿か! 鈴木さんがそんな事するわけがないだろう!」
「僕に放っておかれてつい、なんて珍しい事じゃないですからね」

僕の言葉に大河内さんが怒りの顔で僕を睨んでいる。

「そんな人ではないと、お前が一番知ってるはずだろう!」
「陽子に会わせて下さい。待ち合わせ場所はどこですか? 時間は?」
「・・・・・・・・お前が自分のした事を反省するまで、私は何も教えん!」

「僕のした事???・・・・なんです? 僕が何かしましたか?」
思い当たることがなくて、キョトンと首を傾げる僕に、大河内さんが大きな溜息をついた。

「目眩がしてきた。事がここまでになっているのに、当の本人が、コレでは・・・・心底、同情する」
「僕にですか?」

「鈴木さんにだ!ええい、出て行け神戸!!!」

大河内さんに追い出された僕は、廊下を歩きながら考える。

「僕が・・・・・・・なんなんだよ!!!」
考えても分らなくて、イライラしながら特命の部屋に戻った。




「鈴木さんには、会えなかったようですね」
「ええ!会えませんでした!それどころか行く場所、行く場所で邪魔されて・・・散々でした」
苛つきを抑えることなく、ペットボトルの水を呷った。

「僕は先程、鈴木さんを見ました。 ちょうど君と細野唯子さんが別れを惜しんでいた公園で、君を見ていた彼女を見ました」
「は?」

「その前は京都府警の廊下で。 細野さんが取り調べを受けたあと、無実だとわかり釈放された時に廊下の奥から君を見つけ駆け寄ってきていましたが、君は・・・・電話の相手に声を荒げていて、驚いた鈴木さんが歩みを止めていました」
「な・・・なんですって?・・・・え?」

あの時、俺は・・・・・なんて言った?

確か、陽子の事より今は、唯子の事が大事だって・・・・・・
陽子なら子供じゃないんだから、平気だって・・・・

それを、陽子が・・・聞いてた?

人見知りが激しくて、傷つきやすくて・・・・・・殻にこもってしまう 陽子。
人を責めるより、自分を責めて・・・・・・人の痛みにも敏感な陽子。

でも僕を・・・僕だけを一途に愛してくれる陽子。

「神戸君、ちゃんと君の口から細野さんの事を話しているんですか?」
「話して・・・・・・いません」
「角田課長の話では、だいぶ前に細野さんのことを知ってしまったようですねぇ〜」
「でもっ!・・・・それなら、陽子からも僕に聞いたっていいいじゃないですか?」
そうだよ・・・俺ばかり責められるけど、陽子の方から俺に電話をかけたっていいじゃないか!

僕が言い返すと杉下さんは、ふっ・・・と、息を吐いた。

「君、お忘れですか? 最初に君達が付き合った時、君は彼女の情報が欲しかっただけで、彼女から電話をかけることを禁じてましたね」
「あ・・・」
「彼女は今でもよっぽどの事がない限り、自分から電話をかけないと君は確かに言っていましたが・・・・」

「メールを送るのが彼女には精一杯だと、君自身から僕は聞いたのですがねぇ〜」
「・・・・忘れてました」

そうだ、そうだった・・・・・唯子の事件で頭がいっぱいで・・・・・陽子にまで気が回らなくて。
いや、事件でじゃない・・・・・唯子と会ってから、僕は彼女が気になってしまったんだ。

僕に一途な陽子は、少しくらい僕が構わなくても、じっと待っていてくれるって自信があって。
だから唯子を優先して・・・・・

それは遠い昔、力になれなかった後悔もあって・・・
今度こそ、唯子を助けたくて・・・・・でも、そこには恋とか愛とかは無いんだ。

唯子と依りを戻したいとかは、これっぽっちも思ってないんだ!

早く、誤解を解かなきゃ!
僕が愛してるのは、君だって事を・・・・教えたいんだ。

僕は帰る時間になると特命の部屋を出て地下の駐車場に行く。
そこで大河内さんの車を見張るため、自分の愛車を移動させた。

だけど・・・・・・待てどくらせど大河内さんが来ない。

監察官室に電話をすれば大河内さんは、帰った後で・・・・・くそっ!!!

大河内さんの後をつけて陽子と会おうとしたのに、見破られたか!

諦めて車のエンジンをかけ、大人しく自分のマンションに帰ったんだ。


「はぁ〜・・・」
家に帰った僕はシャワーを浴びて、冷蔵庫から水のペットボトルを出してゴクゴクと飲む。

そのままリビングを通り過ぎベランダに出ようとして、ふと何かが違うと感じて立ち止まる。

「???」
何が違うんだろ? ん〜・・・分らない、気のせいかな?

「違う、気のせいなんかじゃない!陽子の本が、無いんだ・・・・」
僕は慌ててクローゼットを開いて中の洋服を見る。

「はっ!ビックリした・・・・・あるじゃん、陽子の服!」
そこには綺麗に並んだ陽子の服がある・・・・これはあの店で買ってあげたんだっけ・・・

ああ・・・これも、これも・・・・陽子に似合うだろうと、全部あの店で買った服・・・・

「え?」

全部、俺が・・・・・・買ったものが、置いてある?

洋服を1つ1つ調べれば、陽子が持ってきた洋服は無くなっていたんだ。
俺は引き出しを開けて陽子の下着を見れば・・・・・・・・ない。

それからは家じゅうの中を調べて回れば、陽子の私物が全て、なくなっていた。

「陽子・・・・・・・・どうして?」

俺は身体中の力が抜けてしまって、その場に、ヘナヘナと座り込んでしまった。

俺は、このまま・・・・・陽子を、失ってしまうのだろうか・・・・・・

シャワーを浴びて暖まったはずなのに、背筋に悪寒が走って、僕は・・・・・震えていたんだ。

陽子・・・・暖めてよ

ねぇ、お願いだから・・・・・君の暖かな身体と心で、暖めてよ




神戸さん、やっと気がついたけど・・・・・
これからどうなるの?

神戸さん、頑張れ!
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コメント

☆鈴寧さんへ☆

1話丸々神戸さんの反省会!!
私も初めて書いてます(笑)

ボリューミーですよ~(o≧▽゜)o

しかも陽子ちゃんとは、会えない!

周りから上がってくるのは、自分の悪行ですから~。

色々と反省しての、それでも陽子ちゃんに謝りたくて会いに行くか。

反省しすぎて、身を引こうとするか!?

さてさて、お楽しみでございます(ゝω・´★)

神戸さんの反省会…(^w^)

今から楽しみです(笑)

一話まるまる反省しているとのことでかなりボリューミーになりますよね!!

切甘が強めに出てて嬉しいっ!!

甘に爆進…(^^)

神戸さんも陽子ちゃんの大事さがさぞ実感したことでしょう!!(笑)

☆鈴寧さんへ☆

キリリク、長くなりそうですか♪
嬉しいです♪

楽しく書いていただいて、こちらもリクエストした甲斐があります(笑)

明日は神戸さん反省会(回)を仕上げて、アップしたいです。

あともう少し、書いておきたいので…

それからは、ハッピーエンドに向けて爆進したいですね~(*^▽^*)

10000hitは皆さんのお陰です(>_<)

こちらこそありがとうございますですよ!!

そして…キリリクのお品が着々と進んでおります(^w^)

楽し~~~~!!!(笑)

結構長くなりそうです。
やっぱりすれ違いが必要な内容なので二人ともの心情の変化を入れたいのでね♡

☆鈴寧さんへ☆

10000hitおめでとうございます(^-^)/
これも鈴寧さんのお話と人柄が魅力的だからですね♪

キリ番、楽しみにお待ちしてます~(///∇///)

> 私にお仕置きエッチを頼むだなんて…♡
> なかなかの勇者ですねっ(笑)
> 凄いことになりますよ(笑)
んもうっ!! お気にせず大胆にいっちゃってくださいっ~(///∇///)

お仕置きエッチ…リクエストしてる私がドキドキです(*≧∀≦*)

きっと何度もリピ読みして参考にさせていただきますね♪

キリバンありがとうございます♪

喜んで書かせて頂きます!!♡

10000hit企画をしない~みたいなmemoを残してしまって、勘違いさせてしまってはいけないと思い、ここでご報告をさせて頂きました♪普通のキリリクは書きます♪

私にお仕置きエッチを頼むだなんて…♡
なかなかの勇者ですねっ(笑)

凄いことになりますよ(笑)

☆鈴寧さんへ☆

土日はどうしても、時間がとれなくて…
仕方ないですよね~

それまでに話を考えて…

月曜にバッと書けるといいです。

お互い無理せず頑張りましょうね~(*^▽^*)

片方キューピット良いですよね♪

月曜日までお忙しいんですね!!(゜ロ゜ノ)ノ

実は私も、明日はお出かけするつもりです♡

お互い妄想が募るばかりですね♪

☆鈴寧さんへ☆

そうなんです、片方がキューピット♪
まだそこまで書いてはいませんが、頭の中ではイメージができてます♪

さて1話丸々神戸さんでの大反省会!!
彼はどうするでしょうか~(笑)

月曜まで書けそうもないので、ゆっくり考えます。

鈴寧さんも、頑張ってらっしゃいますね~(*^▽^*)

新連載、楽しみにしています♪

お!片方キューピットですかっ(^w^)

それは楽しみ楽しみ♪

一話まるまる神戸さんの反省とか贅沢過ぎます(>_<)♡

悶々とする神戸さんを堪能しますね( ´∀`)


では!私も、続きを作成します!!

☆鈴寧さんへ☆

私が考えてるのは、ネタバレになっちゃうから詳しくは言えませんが…

片方が守って、片方がキューピットになります。

どっちがどっちか、まあ、想像できるでしょうが(笑)

それと次回は陽子ちゃん、出番は最後にチョロッとくらいです。

ほとんど神戸さんが、考えてる話になってますね~

とことん反省して、それから…です!

陽子ちゃんも、神戸さんしか愛せないって気がつくでしょうし。

これは次回のそのまた次の話かな?

さっき読み返してました(笑)

神戸さん色々反省ですかぁ(>_<)

普通に考えて今まで愛されてると思ってたのに、それがペットみたいなものと分かったらなかなか立ち直れませんよね…

神戸さんには陽子ちゃんに与えた影響をよくよーく、考えて欲しいものです(`р´)ゞ

小野田さんか大河内さん……

どっちにするかで、流れも大きく変わりますね…(>_<)

私の勝手な提案としては…

どっちかを陽子ちゃんとくっつける←ここまではすーさんも仰ってましたね♪

で、片方を神戸さんが陽子ちゃんと元に戻れるお手伝いをするキューピットにするとか!?


って考えたら二人とも活躍出きるなぁ…みたいな( ´∀`)

☆鈴寧さんへ☆

今、踏ん張ってます(笑)

神戸さんが色々反省してますが、陽子ちゃんが自分はペットのようにしか愛されなかったって思ったのを知ってショック受けてます…

しかも、会えてないし…

さて、ここから仲直りまでどうしましょうかね~
小野田か、大河内さんと陽子ちゃんくっ付けちゃおうかしら!

また母の病院に行かなきゃなので、続きを妄想しつつドライブに行ってきます♪

半分は出来ましたね(笑)
後半が、着地点を何処にするかで迷ってます。

では、(^-^)/

良いですね♪

簡単には元サヤに戻れないの(^w^)


私も、読者側の時は切甘大好きですけど、書いてるときは早く甘い展開にしたくてしたくて…(汗)


すーさんも今が踏ん張り時ですか??f(^_^;

☆鈴寧さんへ☆

神戸さんにはもう少し、反省してもらいましょう!!

簡単には元サヤに戻れませんよ~(笑)

とか言いつつ…早く甘い話にしたくて仕方ない私です。

そこは後のお楽しみにして、今は切ない系で頑張りますね~(*^▽^*)



確かに神戸さん、クールに見えて実は熱い部分があったりしますよね!!

頭のなかは陽子ちゃんのことでいっぱい…

あぁ…その切甘要素もマニアには堪らないのです♡

今、青くなってますかf(^_^;

もう暫く…ね、罰を受けないと!

神戸さんは何度も陽子ちゃんを泣かせてるんですからね(/。\)

☆鈴寧さんへ☆

神戸さんは周りの気を感じる事ができる人だと思うんです。
基本的に気配り上手な人ですからね!

ただ、熱くなっちゃうと見えなくなってみたいな…

今、ちょうど自分のしたことを自覚して青くなってます(笑)

頭の中は陽子ちゃんに謝りたくて、会いたくて…で、いっぱいになった神戸さん。

まだまだ会えませんよ~
お兄ちゃんズが、陽子ちゃんを囲んでますからね。

> なんか、近づきたいのに、罪悪感からガンガン行けない~みたいなのがあって心が揺れますね

その展開もいいですね!
メモします…φ(..)
さて、明日は少し時間が取れそうなので、書き進めたいな~(*^▽^*)

神戸さんのジレンマ…良いですね~!!

本当は陽子ちゃんのこと誰よりも好きだし、必死になっちゃうけど、京都であったこと…あの電話とか…は神戸さん自身が自分のこと許せなくなりそう…


なんか、近づきたいのに、罪悪感からガンガン行けない~みたいなのがあって心が揺れますね

☆鈴寧さんへ☆

神戸さんのジレンマ。
うまく書けたらいいんですが…

少しづつ自分のしたことを自覚して、青くなる神戸さんを書いてます。

今日は病院に行ってきたので、なかなか書く時間がとれなくて。

早く甘い展開に持っていきたいな~(///∇///)

あ~!!!

私もそういうとこが好きなんです♡!!!

今までは愛とかわからなくてテキトーにしてきたのに、今は大好きな陽子ちゃんに愛されたくてたまらない…みたいな( ´∀`)

まぁ、暫くは陽子ちゃんに逃げられた神戸さんを堪能しますね(^w^)

☆鈴寧さんへ☆

そうそう!クールな神戸さんは、去る者追わず・・・・なはずなのに、陽子ちゃんには追いすがる。
もう、そこらへんが大好物なんです!

愛を知ってしまったから、もう・・・手放したくない。

そんな神戸さんが切なく書けたら、いいなぁ〜って、思います。

あぁ~、私もです!!

普段は愛なんて、みたいなふりしてるのにいざとなったら寂しがりやなとことか好きなんです♡

だから3話目の最後!最高でした♪


またゆっくり待ってます♪

☆鈴寧さんへ☆

プレゼントしたものが全部、置いてあったことに愕然とする神戸さんが、好きです(笑)

私も凹んでる神戸さんが、大好きなんです♪

クールに決めてる神戸さんが、愛が欲しいとのたうち回るの…いいですよね~(///∇///)

そんな彼を書いてるのは私なんですがね(笑)

好きだから書いちゃう!

> じゃ、今日は新しい長編の作成に入ります♪
楽しみにお待ちしてます♪

そうですよね…陽子ちゃんのこと考えて、プレゼントしたもの全部押し返されたも同然ですから…(/。\)

でも、凹む神戸さん、特にここのお話内の凹む神戸さんがめっちゃツボなんです( ´∀`)

なんか、神戸さん自身は悲しいってなってて可哀想かも知れないですけど、そこに陽子ちゃんのこと本当に愛してるってのが溢れてて好きなんです♡

だからもう暫く神戸さんが凹んでて欲しいのは同じです(笑)

じゃ、今日は新しい長編の作成に入ります♪

☆鈴寧さんへ☆

神戸さん、ようやく陽子ちゃんの本気を感じましたね。
だって自分が買ってあげた物を全部、置いていったんですから…

さて、しばらく神戸さんには凹んでもらって反省してもらいましょう♪

次回はまだ妄想できてないので、少し時間をいただいて…

5話目くらいから徐々に甘いお話に、していきたいです。
意外に長くなりそうです(笑)

うわー!!!

予想以上に完成度が高い…(゜ロ゜;ノ)ノ

陽子ちゃんの神戸さんの言葉を聞いてからの心情の変化が…

ペット…そんな風に思い込んじゃって…(/。\)


またもや殻が分厚く逆戻りですね(涙)

神戸さんも漸く気づいたみたいで…

最後ヘナヘナなってたのでまだましですが神戸さん、陽子ちゃんからの愛に自信ありすぎて酷い男になってましたね~(笑)

神戸さん、後悔してるだろうなぁ(>_<)


すでに続き妄想してしまいますf(^_^;
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すー※さん

Author:すー※さん
私的妄想世界が広がっております。
イチオシは窪田正孝さんの役柄いろいろ妄想話です♡(その他にも相棒の神戸さん、スネイプ先生や善徳女王など色々でございます)

最近は更新ができてませんが、発作的に投下してます。
8月、9月の試験に受かれば時間ができるので、それまでは見守っていて下さいませ。

合言葉は『シリアスからエロまで』・・・・・楽しんでいただければ幸いです。。。

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