③【戦国の薔薇】

信長のシェフin薔子! 第三弾になります。

今回は信長のシェフ、第3話の流れも入ってきます。



「松永、顕如殿の書状にあったのだが、信長に妙な料理人がおるそうじゃなぁ・・・」
甲斐の武田も気にするか、ケンという男について聞かれるまま答えたのじゃが・・・・

「それともう1つ、新しい側室をおいておるそうじゃの信長は」
「ああ・・・薔子という女ですね」
「信長は大層な寵愛だと書状に書いてあったが、どんな女だ」
「奇妙な女です。何処の家の出かも分からないのに、茶にも花にも精通しており、おまけに武道も並以上です」
「女が武道も・・・ 信長が片時も側から離さないとも、聞いたが」
「ええ、ええ、その通りでございます。 おまけに夜も、まぁ毎晩、可愛がっておられるようで・・・まだまだ信長も若いということですかなぁ〜」

「松永、お前はどう思う」
「ただの側室、信玄様が気になさるほどの者ではないと、思いますが」
「そうか・・・」

冗談じゃない、ケンなど攫おうが殺そうが好きにすればよいが、あの女はいかん!
あの女は、儂が手に入れるのじゃから・・・・・信玄の好きにはさせんぞ。

「ケンか・・・」
信玄の関心はもっぱらケンに向かっておるようで、こっそりと儂は、ほくそ笑む。


「欲しい、天下が欲しい・・・」
信玄との会合の後、街を歩きながら思う・・・ 儂はもう年だ、のんびりと武田が動くのを待つ時間など無い。

「欲しい・・・・ あの女が欲しい。 あの女を手に入れれば、儂は天下も手に入る・・・」
「信長の首を取り、あの女を手に入れれば・・・・・儂にも好機がくるはず!」

天下をこの手に掴む、好機が!!!


「松永久秀様、謀反にございます」
楓さんの報告ですぐに武将を差し向けた御館様、そのおかげでこちらの被害が少ないうちに松永は追われ、信貴山城へと逃げこんだ。

「さあ、武田信玄・・・ 動けぇぇ〜〜」
松永の叫び声が、城の中に響くのだった。


その頃、武田方では信玄の命をうけた秋山がケンを殺すために、織田の城に入り込んでいた。
秋山の手の者がケンと間違い夏を攫い、それを追いかけてケンが城を出ていった。

そのままケンも秋山に捕らわれ、夏を人質に甲斐の武田信玄の元まで連れて行かれた後の織田信長。

「御館様、ケン君と夏さんをどうするのですか?」
「お前も濃と同じことを聞く・・・ 聞いてどうする薔子」
「・・・・・助けを行かせたいと、思います」
「・・・・お前が行かぬのか?」
信長の問いに対して薔子は、きっぱりとこう言った。

「行きません。台所まで敵が入り込めた経路を調べ、二度とこのようなことが無いよう警備を強化します。 御館様の近くに何人(なんびと)も敵が来ないようにするのが私の務めですから」
「・・・・・そうじゃ、お前は儂の傍にいるのじゃ」
「ではさっそく調べます」

・・・・・でもちょっと会ってみたかったかな、武田信玄。
戦国時代、最強の軍を作り上げたという武将・・・ 興味は、あるんだけど。

ふっと頭に浮かんだ考えに、信長様の目が私をジッと見つめていた。
ヤバイ! 勘の鋭い信長様のこと・・・ 他の武将に会ってみたいだなんてバレたら、何をされるか。

「薔子・・・」
「はいっ!」
ビクッとした私にニヤリと笑った信長様・・・・ダメだ、バレてる。

「今宵も、儂の閨に来い」
「・・・・はい」
顔が赤くなっちゃう・・・ 閨だなんて。

そのまま退出した私は台所を中心に聞き込みをし、未知らぬ顔の男達が最近出入りしていたことを突き止めた。
料理人の他に雑用をしている者たちの中に、紛れ込まれたんだ。

私は考えていた案を、信長様に聞いてもらおうと見本を懐に入れ向かった。

カラン・・・・・

乾いた音を立てる木札は、それぞれに違う色が塗ってある。

「これは?」
「下働きや、下男、出入りの農民などにこの木札を与え、この木札が無い者は城には入れないようにしたいのです」

「直接顔が分かる者たち・・・例えば主だった武将達には配らなくともいいですが、誰か分からない者・・・下働きなどの者たちと、間者と区別したいんです」
「・・・・・差配いたせ。 ああ、誰でも使うてよい」

お許しが出たので、私は木札を作るよう山田に命じた。
先の1件で私の家来になった山田は、思ったよりもずっと使える者で、この時代のことが分かってない私の良き補佐役になってくれている。

「この木札を何百と作るのですか?」
「ああ、台所の者、下働きの者、出入りの商人や農民、色分けして作りたいんだ・・・隅に通し番号をふってな」
「通し番号?」
「そう、この図柄と一緒にね」

紙に広げた見本には、☆や音符マークなどこの時代では目にしないマークを書いておく。

「渡す時にはどの図柄と番号が誰の手に渡ったのか、名前と処を書いておいていざという時、調べられるようにしておく」
「それなら誰が裏切るか分かりますね」
「番号はいいが図柄の方を細工したいんだが、できそうか?」
「・・・・・大丈夫でしょう。 腕のいい細工師を集めてありますからさっそく取り掛かります」
「お願いします」

「はい、お任せください!」
山田が言うには、偉い人は命じる時に『お願いします』だなんて言わないんだそうだ。

でも私は偉い人ではないのだから、つい言っちゃうんだよね。

「薔子様は偉い人です! 異国語を幾つも操り、武術でも男が勝てないほど強いんですから」
「いやそれは・・・」
「はいはい、薔子様。 私は職人達と打ち合わせしますから、さっさと御館様の所へ行って下さい」
追い出されるように部屋を出た私は、言われるままに御館様の寝所へと向かった。

その途中、何者かの気配を察した私が、空き部屋の中に入れば・・・・幾つもの足音がしてきた。
この頃、こうやって後を追われてる事があるんだけど、どうも家臣や侍女が私を捕まえようとしてるんだよね。

「くそっ、また巻かれたか!」
「何度も何度も巻かれてしまい、私どもも濃姫様にどう言えば良いか・・・」

ん? ってことは私を捕まえたいのは御館様の正室の濃姫様か・・・・・何の用なんだろ?

まだ部屋の外にいた人達に、障子を開けて話しかけてみたら、たいそう驚かれちゃった。

「あの、御用があるのなら私、行きますけど・・・」
「今の今まで気配がしなかったぞ!」
「縄を打て! 縛り上げて連れていけ!」

私に縄をかけようとした男の腕を捻じり上げ、今の言葉にカチンときた私は、怒りのままに周りの男や侍女達を睨みつけた。

「素直について行こうと申し出ているのに、縄を打つのか! それならば気が変わった、私を縛り上げてみろ! 」

「全力で抵抗してやろう・・・ さあ、仕掛けてこい!!!」

懐から警棒を出し、シャキィーーンと伸ばして構える。
男達は刀を抜き、侍女達は薙刀を構え直す。

「くすっ・・・・さあ、どうぞ」
「くそっ! てやぁーー」
狭い廊下で長い刀を振りまわしてるけど・・・気をつけないと鴨居に打ち付けちゃうよ。

私が見切って避け、警棒で腕を打つのに他の男がムキになり、あ〜あ、ほら、言わんこっちゃない。
鴨居に斬りつけて抜けなくなった刀が、無様にぶら下がっている。

薙刀も、同じなんだよね。
柄も刃も長いから・・・・・障子戸を叩き斬っちゃった。

腕を警棒で打ち、皆が丸腰になったのをみて改めて案内して下さいと頼んだ私に、今度は縄を打とうとする者はいなかった。

「さて濃姫様とは、どんなお方かしら」
私は御館様の閨に行くことをすっかり忘れて、初めて会う濃姫様にどんな話があるのかワクワクしていた。




案内された部屋で待つこと暫らく、紫の地に蝶が華やかに舞う打掛を着た人が、目の前にやってきた。

「お前が、薔子か?」
「はい」
濃姫様は私より年上の上品な、美しい人で、知的な女性のようだった。

「この頃、殿の側に侍っておる女は、お前か?」
「侍っているつもりは無いです。 私は殿の護衛をしているんです」
「護衛・・・・ 女がか? そうか、だから若衆の格好をしているのか」
「動きやすい格好となると、男の格好が都合がいいから」

「女は女らしく・・・殿に仕えれば良いものを」
「・・・・・あいにく女らしさは無いもので」
「薔子、そなた・・・殿のこと、どう思う?」
しっかりと目を合わせた濃姫様に、私も真剣に見つめ返し、自分の嘘偽り無く話した。

「愛しています。 この命、果てようとも殿をお護りしたい・・・・側にいたい」
「ぬけぬけと、女子が云う言葉か?」
「正直に申し上げたまで」
「で、そなたの実家はどのような力があり、殿にどのような利益をもたらすのじゃ」

う〜〜〜ん、実家と言われても私は身一つでこの時代に来ちゃったし。
誤魔化そうにも戦国時代の風習に疎い私だと、すぐにボロが出ちゃうし・・・・・

「答えよ!」
仕方ない、正直に答えようかと口を開きかけたとき、一同の気配ではない物を感じた。

「・・・静かに」
口に指を立てて、懐から警棒を出し探る。

もしや濃姫を狙って来たか?

彼女を背に庇い、目を瞑り、気配を探る。

「そこかっ!!!」
私は天井の一角に向かって、小刀を投げた。

「ぐはぁ・・・」
隙間を開けてこちらの様子を伺っていたであろう間者に、その隙間から小刀を投げ入れれば、苦しそうな声が聞こえた。

間者も下には落ちてこないまま、天井裏を伝って逃げて行ったみたいだ。

「・・・・・そなた、なぜ妾を庇う?」
「? ・・・妙なことを・・・」
「妙なこと?」

「我が殿の御正室。 私にとっては殿の次にお護りするお方にございます」
「ほほほ・・・ 漢気ある女子よのぉ〜」

「先程の間者・・・何処の手の者か・・・」
「・・・・・外からの間者は減らすことができました。 もしや中からかも」
「・・・・・松永の手の者か?」
「あの爺さん、間者だけはしこたま仕込んで出てそうですからね」
「困ったものじゃ・・・」
「いま、間者を入り込めないように木札を作っているのです」

それから木札のことを話していれば、濃姫の部屋に場所を移そうと言われついて行った。

「ほぉ・・・面白い仕掛けよの、薔子殿」
「もう少し工夫したいのですが・・・・」
「ならばこの紋様を普段は見えないよう細工を施せばどうじゃ?」
「そんな細工、できる職人がいるかな」
「私に仕えている者に心当たりがある。 薔子殿に引き合わせよう」
「助かります」

薔子が濃姫の部屋から出たのは、連れて行かれてから 小一時間ほど経っていた。
廊下を歩いて戻ってきた薔子は、湯浴みをしようと自分の部屋に向かい侍女に湯の用意を頼んだ。

すでに用意されていた湯を浴びようと、湯殿に向かい、温かな湯に浸かった。

「はぁ〜・・・気持ちイイ」
「湯の加減はどうじゃ?」
「ちょうどいいです」

「え???」
私、誰に答えてるの?

ガラリと湯殿の扉が開かれ現れたのは・・・・・

「お主が遅いからの、迎えにきた」
「お、お、お、御館様」
褌姿の信長様に、慌てて湯舟から出ようとして・・・・先に信長様が入ってきちゃった。

「・・・・・少しぬるいの」
「と・・・とのっ」
私の背中にピッタリとくっついてる信長様に、あたふたしちゃう。

「お前が遅いからの・・・儂が自ら来てやったぞ」
「申し訳ございません」
遅いから来ちゃったのか、信長様。

堂々と湯に浸かる信長と違い、強く見つめられている薔子は、恥ずかしくて居心地が悪い。
どうやって上がろうかと考えているうちに、薔子の胸に後ろから信長の手が伸びて・・・・

ツン、と上を突く真っ白な乳房を鷲掴みにされる薔子は、それから風呂の中で信長に愛されて。

のぼせた薔子がふらふらとするのを信長の力強い腕が支え、寝室へと・・・・・・
閨の中で再び、薔子を喰らった信長は、情事が終わったあと寝込む薔子を抱きしめ眠りについた。

薔子を抱いて眠る信長は、どんなに苛つこうと安眠ができ、翌日にはスッキリした頭で軍議に望めるのだ。

領地を広げるため、子を成すため、実家の勢力が必要なため、ただ単に欲望を吐き出すため。
理由は色々あるが、共に褥を同じにしても・・・いつ寝首をかかれるか・・・そんな疑念も含む側女達。

「こやつは、滅するも共にと儂に誓った。 あの真っ直ぐな目で・・・・だからこそ手放せぬ」
「離さないでください・・・・」
「起きたのか、薔子」
「あなたが地獄に堕ちるなら、私も共に地獄の業火を蹴散らしてみせましょう」
にこり、と微笑む薔子に、信長は激しく口付け・・・・・

「愛い奴じゃ・・・薔子、誓いを違えるでないぞ!」
「はい・・・・あ・・・・は・・い・・・」
「薔子、儂はこの国を変えるのじゃ! よいな、ついて参れ」
「あああ・・・・はい・・・・・・」

そうして2人の絆が、また深まった夜だった。




次の日の朝、台所にやってきた薔子は、料理人達が働く厨房の片隅を借りることにした。
料理頭代理の井上は良い顔はしなかったのだが、そこは薔子の下手に出たお願いに許可したのだった。

「ケン君、借りるわね〜」

鍋に湯を沸かし、野菜をさっと茹で置いておく。
すり鉢でゴマを少量擦っておき、他の入れ物で卵、油、酢を入れ自家製マヨネーズを作り・・・その中に擦ったゴマも入れた薔子。

「ゴママヨ〜・・・うふっ、美味しそう」
薄切りにして茹でた野菜達・・・人参、牛蒡、葱、豌豆などを盛り付け、ゴママヨをかけて御膳にのせた。

「あとは目玉焼きに、味噌汁に、ご飯〜・・・美味しそう!」

鍋などの後始末をして、台所を後にした薔子。
自分の部屋で食べようと思いきや、探しにきた侍女に御膳を取られ、信長の側にとせっつかれた。

「薔子、朝飯か?」
「部屋で食べようと思っていましたが、何か急用ですか?」
「・・・・・・・ここで食べれば良い」
その言葉に、信長の前に薔子の膳を降ろした侍女、中身を見る信長。

「・・・・・取り替えろ」
「へ?」
「そなたのが喰いたいのじゃ!」
「くすっ・・・どうぞ」

井上の作った朝食を見るだけで機嫌の悪くなった信長に、慌てて薔子を呼んでこさせたのはサルこと秀吉で。
ちょうど薔子が自分で朝食を作っているとは思わなかったが、機嫌良く食べている信長に胸を撫で下ろしていた。
代わりに井上の料理を食べている薔子だが、余りのゴママヨをご飯にかけて食べていると家臣達からざわめきが。

「何をかけているのだ薔子様は」
「まるでケンの料理のようだぞ」
「摩訶不思議な御方よ」

「うまかった」
「お粗末様でした」
綺麗に平らげた膳をみて、薔子は嬉しかった。

いままで自分の食べたいものを自分の分だけ作っていたけど、こうやって愛しい人に食べてもらえるのって・・・・・嬉しい。

それからはたまに、信長に料理を出すため台所に立つ薔子がいた。




信長のシェフin薔子! 第3段です。
濃姫とも仲が良くなった薔子です。

これ以降は、濃姫と協力して信長を支えていくんだと思います。

ふと、ケンと一緒に薔子も攫われちゃったら・・・家の信長様は、一体どうするんでしょうね。。。
薔子は自力で帰って来そうだけど、何せ最強ですから(笑)

ではでは ヾ(@⌒ー⌒@)ノ
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コメント

☆鈴寧さんへ☆

こんにちは!
実は神戸さんと同時に書き進めていたのを、今朝仕上げたんです。

信長のシェフも及川さんだと不思議にエロスが(笑)、いえいえ妄想が来ちゃうんで。
もう、頭の中が忙しい・忙しい。

神戸さんの話が湧いたり、信長様の話が湧いたり・・・・

薔子さん、最強ですので、もうちょっとカッコイイ処も書きたいですね。

コメントありがとうございます!

これでしばらくは更新ができないですが、来週から新しい話を書きながら暑さを乗り切ろうと思います。
鈴寧さんも、熱中症には気をつけて下さいね〜 ヾ(@⌒ー⌒@)ノ

朝、何となく来てみたら…なんと!更新されてる!!

と言うことで読んじゃいました笑

もはや、すーさん版信長のシェフにはまっておりますf(^^;

薔子ちゃんの強かっこいいとこも好きです(*´ω`*)
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プロフィール

すー※さん

Author:すー※さん
私的妄想世界が広がっております。
イチオシは窪田正孝さんの役柄いろいろ妄想話です♡(その他にも相棒の神戸さん、スネイプ先生や善徳女王など色々でございます)

最近は更新ができてませんが、発作的に投下してます。
8月、9月の試験に受かれば時間ができるので、それまでは見守っていて下さいませ。

合言葉は『シリアスからエロまで』・・・・・楽しんでいただければ幸いです。。。

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