⑤番外《羽化した蝶は、誰に留まるのだろうか 。。。》

番外編として、病院の2人を。。。

そして、神戸さんの告白なるか!?



「う〜〜〜ん、よく寝た!」
私が目覚めたとき、部屋の中は暗くてよく見えない。

窓からの月明かりが差し込んで、ああ・・・ここって病院なんだ。

・・・・・・・ でも私なんで病院に?


あ、そうだ、私・・・・・・犯人に捕まって、監禁されて、火をつけられたんだ。
薬も嗅がされて、足が痺れて動けなくされてて・・・・・

逃げ出せない部屋の中、迫る炎のなかから・・・・・・・・神戸さんが、助けに来てくれた。

神戸さんが、助けてくれたんだ・・・・・・

ううん、それだけじゃない。
犯人との電話でのやりとりでも、神戸さんの声が私を励ましてくれた。

私、犯人といても、神戸さんの声を聞いて、心強かった。
私、あの炎の中で・・・・神戸さんを見て、嬉しかった。

でも、いくらなんでも、あの炎の中を走って来るなんて・・・・・

「危険すぎます!」
「うぅ〜ん・・・・・」

え? なに? 誰?

よく見たらベットの端に突っ伏してる後頭部が・・・・・ワイン色のシャツは、神戸さんのだ。
シーツの白さに対照的な真っ黒な髪は、やわらかいのかな? 硬いのかな?

・・・・・・・・・さわっても、いいかな?

私は包帯の巻かれた手を伸ばして、恐る恐るその髪にふれてみようと・・・・・・寸前で動いた神戸さんに慌てて手を引っ込めた。

「んう? 陽子ちゃん・・・・」
「はい!」
か・・・掠れた声にドキドキします。

ゆっくりと起き上がる神戸さんに、ドキドキしながら見つめていると、クシャっと神戸さんが笑った。

「そんなに見られると、恥ずかしいな」
「あ! ごめんなさい」
「明かりつけるね」

スッと立った神戸さんが明かりをつけると、眩しくて、反射的に目をつぶってしまう。
すると、ふわりと、身体を包み込むような温かさが・・・・・・って、私!

神戸さんに抱きしめられてるぅぅ〜〜〜

「陽子ちゃん、このまま・・・僕の話しを聞いて?」

バクバクいってる心臓がうるさくて、でも、神戸さんの声が近くですることにドキドキもして、私・・・いつから心臓が2つあるんだろう?

・・・・・でも、既視感(デジャブ)? 私は、つい最近こうやって抱きしめられたことが、あるような。

・・・・・・・・ある、なんかだんだん思い出してきたんだけど。

『神戸さんが好きな気持ちは、誰にも負けないです!』

あわわわわわ・・・・・・・・・
そうだ、私! 好きって言っちゃったんだ!

どどどどど、どうしよう!
確かに犯人に拉致されたときの電話での神戸さんの声に、言葉に、ここを無事に出られたら言うんだ!
自分の気持ちを知ってもらうだけでもいいからって、勢いのままに言っちゃったけど・・・・・・

けど、私・・・・・・・神戸さんのこと考えてなかった。

神戸さんの迷惑・・・・・・考えてなかったなんて、私はバカだ。

勝手に盛り上がっちゃって、勝手に告白して、私・・・・・・・穴があったら埋まりたい。。。

色々と思い出して、恥ずかしくてモゾモゾ動いてた私を包む神戸さんの腕が、グッと締まるのが分かった。




つい、陽子ちゃんが起きるのを待つ間に、僕も寝ちゃったんだ。
ベットの端に突っ伏して寝ちゃったんだな、ちょっと身体が痛いや。

崩れた前髪を指でさっと梳いて整えれば、ベットに起き上がってる陽子ちゃんが僕をじっと見つめているのに気がついたんだ。

君の大きな瞳が、僕を真っ直ぐに見つめているのに、ガラにもなくドキドキしてきちゃった。

前髪が隠していた瞳が、こんなに大きくて澄んでるなんて、僕は知らなかったよ。

「そんなに見られると、恥ずかしいな」
僕の言葉に慌てて視線を外す陽子ちゃんに、くすりと笑いながら部屋の明かりをつけた。

君のそばに戻ろうと振り返ったら、あらら・・・まぶしいのかな?
君が目を閉じて首をすくめているのが、猫っぽくて何だか可愛い。

可愛い・・・ そう思った途端、彼女を抱きしめていた。

「陽子ちゃん、このまま・・・僕の話しを聞いて?」
さっきは邪魔が入って中断しちゃったけど、僕の気持ちを君に言いたいんだ。

お洒落なレストランも、ロマンチックな夜景も無いけど・・・・・・君に、言うよ。

ドッドッドッ ドッドッドッ ドッドッドッ・・・・・・

ああ、こんなに鼓動を煩くして告白するなんて、一体何年ぶりだろうか?
警察に入ってからは、無いし・・・・じゃあ、学生時代か・・・ ハッ! 何十年ぶりだよ!

いや、若いときよりも年齢がいってる分、羞恥はハンパ無いし、プライドなんかも邪魔をする。
だってさ、俺ももうイイ年でしょ?

職業柄、派手に遊ぶことはないけれど、女性と付き合わないなんてことは無いしね。
フィーリングのあった娘と、まあ・・・そういう関係になったりしたこともあるし。

同僚からもモテますけど、庁内恋愛は面倒だから避けてたし・・・・・

あ、警察関係じゃ、陽子ちゃんが初めてなんだ。

あれだけ避けてたのになぁ・・・・・
絶対に本気にはならないって前提で、彼女を利用したのに、今じゃ、炎の中に飛び込んでいけるくらい本気になっちゃった。

君に本気な分だけ、僕の心臓はMAXで動いちゃうんだ。

もぞもぞ・・・・・・・・・・・・ん?

僕の腕の中で彼女が動いてるんだけど、どうしたんだろう?

僕から抜け出そうとしてるのかと思ったから、もっと彼女を強く抱きしめた。
・・・逃がさないよ! もう、観念するんだよ!

「じっとしてて・・・・・僕の話しを、聞いて?」
「神戸さん」
「あのね、僕が好きなのはね・・・・・・よう《からからから。。。。。》」


「誰か来て! 陽子が襲われてるわ!」


「また邪魔が・・・・・」
「ちょっと、陽子から離れなさい! 婦女暴行の現行犯で警察に突き出すわよ!」
ドアから入ってきた女性が、自分の履いていたピンヒールを両手に掴んで僕に迫って来たのに慌てて陽子ちゃんから離れた。

女性は陽子ちゃんを背に庇い、ピンヒールを僕に見せて威嚇してくるんだけど。

「華月(カヅキ)お姉ちゃん! 落ち着いてよ!」
「陽子、大丈夫? 何かされたんなら言いなさい。絶対に刑務所に送ってやるわよ!」

「お姉ちゃん、この人も警察官なの! なんにもされてないどころか、焼死体になるところを助けてくれた人なの!」
「え? そうなの? ・・・・・さっき聞いた、炎の中に陽子を助けに飛び込んだって人?」
「そうなの、その人なの!」

陽子ちゃんの言葉に、その女性は腕組をして僕を上から下まで胡散臭そうに見てるし。
僕は・・・・・仕方がないから大人しく、見られるままにしてたんだけど・・・・・

まあ、女性に対して失礼な態度なんてとらない僕ですから、少し、微笑んでおいたんだけど。。。

「・・・・・・・・・ふ〜〜〜ん? 確かに身だしなみにはキッチリしてそうなタイプなのに、靴はぼろぼろ、そこに置いてある上衣には焼け焦げ、着ているシャツは・・・・・くんくん」
「うわっ」

急に1歩踏みだしたお姉さんが、僕の肩とか嗅いでくるからビックリしたよ。

「焦げ臭い・・・・・・状況証拠的には彼が陽子の恩人だと示してはいるんだけど・・・・」

「なんかキャラじゃないから、信じられないわぁ〜〜〜・・・」
カラカラと笑うお姉さん、笑顔で失礼なんだけど。

艶やかなボブの髪を揺らして笑う華月さん、だっけ?
よく見ればなかなかの美人・・・ タイトなスーツ姿がスタイルの良さを魅せてるし、ピンヒールを履き直した脚はスラリと長く、足首は細い。

「失礼しました。私は陽子の姉で鈴木華月と申します。 病院から連絡が来たので来て見たら、安静にしてる妹が何処かの誰かに捕まってるじゃないですか、ビックリしました」

訂正するよ、なかなかの美人じゃなくて、すこぶる美人だ。
しかもテキパキと話しては、コロコロとよく笑ってる彼女は、頭が切れる印象が強い。

「あなたは?」
「僕は、警視庁の神戸といいます。 お姉様には突然のことで、さぞ驚かれたと思います」
「聞いてもよろしいかしら、神戸さん」
「はい」

キロッと僕を見る華月さんの大きな瞳が、妙に迫力があって、彼女が刑事なら落としの名人になれそうだ。

「妹とは、どういった関係ですか」
きたか・・・・ベットの上で妹を抱きしめてたんだから、姉として聞きたくもなるよなぁ〜。

陽子ちゃんに告白する前に、お姉さんに気持ちを言うことになるのは・・・・なんだか、違うよね。
じゃあ、どう言おうかと少し考えた僕は、こう答えた。

「彼女のためなら、炎の中に飛び込める・・・・・そんな 関係です」
「・・・・・陽子にはハッキリとおっしゃったの?」
「お恥ずかしいですが、先程言おうとして・・・・・言えませんでした」

「もしかして邪魔しちゃったの?」
肝心な事は言葉にしないけど、華月さんには十分察してもらえた様で。

罰の悪そうな顔する華月さんに、僕はニッコリと微笑んで・・・・・

「その通りです。 もし僕にチャンスをいただけるのなら、今夜中には・・・」
「そう、じゃあ・・・・チャンスをあげちゃう! 」

「ごめんね陽子、私さ会社を抜けて来たのよ。後のことは神戸さんにお任せして、私会社に戻ってもいいかしら?」
「私、1人でもだいじょ・・・「お任せください、華月さん。美味しい夕食を食べてから、ちゃんとご自宅に送り届けます」ええ?」

「じゃあ、お願いします」
来たときと同じ様に、風の様に去って行った華月さん。

「お願いされちゃったね」
「あのっ・・・でも・・・」
「目が覚めたら帰宅してもいいって、先生も言ってたからさ・・・もう、帰ろうか?」
「はい」
「ちょっと待っててくれる? ナースステーションに行ってくるから」

退院の手続きなんかは彼女が眠っている間にしといたんだけど、黙っては行けないからね。
僕はナースステーションに行って、彼女と帰る旨を伝えたんだ。

「先生からの伝言で、少しでも目眩や頭痛などあったら来てくださいね」
「分かりました」

そうか、頭を打ったんだもんな・・・・・お酒は控えた方がいいな。

「お待たせ陽子ちゃん」
「・・・・・ひっく・ ・・神戸さん」
「ど、どうしたの? なんで泣いてるの?」

病室のドアの横にある、小さな洗面所・・・ そこにある小さな鏡を見て、陽子ちゃんが今にも泣き出しそうで。

「髪の毛が・・・・ 」
「あ・・・」

実は陽子ちゃんの毛先が焦げてると思ったのは間違いで、所々ひどく短く・・・・・・燃え切れてたんだ。

・・・・・ 不揃いな髪の毛を、鏡で見たんだね。

僕は陽子ちゃんの頭を撫ぜながら、こう言うんだ。

「大丈夫☆ ディナーの前に美容院に行こう? キレイに切り揃えれば元通りだよ」
「・・・・・・ひっく」
「ほら、連れてってあげるから! 綺麗にしてもらおうね!」

目に涙を溜めながら、コクンと頷く君と手を繋いで行こう。
僕の愛車で懇意にしている美容院に向かい、陽子ちゃんの髪を切ってもらう。

前より少し短くなったかな? シャギーを入れて全体のバランスを整えて、はい、綺麗になった。

傷んだ髪をケアしてもらったら、ほぉーらツヤツヤだよ。

「綺麗になったよ、陽子ちゃん」
鏡越しに彼女に言えば、すぐにポッと頬が色づく・・・・・ああ、可愛いなぁ〜

支払いを済ませて彼女の手を繋いで、さて、ディナーはどこにしようかな・・・・・
彼女が髪を切っているときに、美容院の近くの花屋で花束を買ってトランクに入れておいたんだ。

伊丹さんなんかはキザだの何だの言うかもしれないけど、一世一代の告白なんだもん。
記念すべき日にしたいじゃない?

「あの神戸さん、私ちゃんとお礼言ってなくて・・・」
「お礼は、ディナーの時に言ってもらってもいいかな? 僕からも話しがあるし」
「・・・・はい」
「じゃあ、行くね」

僕は愛車を走らせ、夜景の素敵な・・・・・ほら、初めて君と食事したあのレストランに向かうんだ。

ハンドルを握る手に、力が入りすぎてるんだけど・・・・・緊張してるんだ、俺。

君の気持ちは分かってはいるけど、それでも緊張してしまう自分が、何だか可笑しくて。
紛らわすために、少しアクセルを踏み込んだ。




「やっぱり、ここのお肉美味しいです」
「・・・良かった、やっと陽子ちゃんが笑顔になった」
ニコニコしてお肉を頬張る陽子ちゃん、ほんといつも見てるこっちが幸せになっちゃうほどイイ笑顔するんだよな〜

「ご心配おかけして、申し訳ありません」
「んんっ、そんな敬語なんていいよ!」
食事もメインを食べ終わって、デザートと珈琲が運ばれたころを見計らって、君がすまなそうに話し出した。

「あの火の中で、正直・・・助かるなんて思ってませんでした。でも神戸さんが来てくれたから・・・・私」

「ありがとうございます」
深々と頭を下げる陽子ちゃん・・・・・・僕は向かい側から君の横に移動して、肩に手を置く。

「陽子ちゃんが無事でよかった・・・・・・ 僕も話していいかな」
「はい」
きょとん、と僕を見上げる陽子ちゃん。

テーブルの下に置いておいた花束を出した僕は、君に贈るよ。

「あのっ・・・ これは?」
「僕は、陽子ちゃんが・・・・・・君が、好きだ」

「は? あのっ・・・神戸さんには好きな人が・・・」
「君なんだ・・・ 僕が好きなのは・・・」

「ちょっ、ちょっと、待ってください! 神戸さんが好きなのは、私じゃない誰かで・・・」
「違う、違うんだ。俺が好きなのは、君なんだ!!!」

「でも私なんか・・・ モグラなんか・・・ 神戸さんには相応しくないから・・・」
「陽子ちゃんは素敵だよ! 相応しくないのは、酷い男なのは俺の方だ!」

俯いた君の肩が、触れている手に揺れているのが分かる・・・・・もしかして、泣いてるの?

君の顔が見たくて床に膝まづく俺が見たのは、やっぱり泣いてた・・・・・

俯く君の顎に指をかけてこちらを向かせると、大きな瞳から、大粒の涙があふれてくる。

「酷い男なのは俺の方なんだ。 君を利用して、用がなくなったら終わりにして・・・終わらせたのは俺の方なのに、君のことが忘れられなくて・・・・」
「え?」
「お弁当、食べてるときのこと思い出すんだ。 小さなことでも君は『ありがとう』って言ってくれたし、いつも俺のことに気を配ってくれてた」


「俺は馬鹿だね。 別れてから・・・・・君に恋してたことに、気がついたんだ」
「・・・・・本当なんですか?」

「うん。 俺は陽子が、大好きなんだ。 ・・・・・・陽子は俺のこと、どう思ってる?」
「 私は・・・・・わたし・・は、神戸さんが・・・好きです。 まっ・・・ひっく・・・前よりもっと・・・・好きです」
ポロポロと涙を流す陽子の頬に触れて、涙を拭おうとしても・・・・あらら、後から後から溢れてくる。

ハンカチで彼女の頬を拭っていても、俺と視線が合うたびにまた涙が・・・・・

「陽子、どうしたの? そんなに泣いたら目が溶けちゃうよ」
「ひっく・・・あのっ・・・嬉しくて・・・・なみだ・・・止まらっ・・・・・止まらないです」
「嬉しい? 俺も嬉しいよ! だから、ほら・・・・・おいで!」

もう嬉しくて泣いてる君が可愛くて、両腕を広げて呼ぶんだ。
もじもじしてる彼女の腕を掴んで引き寄せて、僕の胸に閉じ込める。

しばらくすると、じんわり温かく湿った感触が胸に広がるんだけど、彼女が愛しくて・・・
やっと落ち着いた陽子ちゃんが、顔を上げるんだけど・・・・・・

「うっ!!!」
「・・・・・どうされました、神戸さん」
「陽子、泣くのは僕の前でだけにしてね! 他の男に見せちゃダメだよ」

潤んで赤くなった目で上目遣いに見上げられたら、どんな男もイチコロだよ。

・・・・・・もしかして僕って、けっこう嫉妬深かったりするのかな?

「陽子ちゃん、僕ともう1度、付き合ってくれませんか」
「・・・・・はい」

やった! この返事が聞きたかった!!!

「これから、よろしくね陽子ちゃん」
「はい! こちらこそよろしくお願いします」

「あのね、1つお願いしたいことがあるんだ、陽子ちゃんに」
「? なんでしょうか」

「あのね・・・・・」




「モグラ〜〜・・・ 飯食いにいくぞぉ〜〜」
「先輩? 陽子ちゃんなら今、何か抱えて出てっちゃいましたよ!」
「おう、そうだ。 何か大事そうに抱えてたなぁ〜」

「何を? まあ、いないんじゃ仕方ねぇーな! 芹沢、昼飯に付き合え!」
「まぁーた、ラーメン屋 翔ですか? 好きですね〜先輩も!」
「行くのか、行かねぇーのか?」
「行きますよ!」

伊丹と芹沢が昼食をとりに一課を出るとき、陽子はエレベーターで下へと向かっていた。

その手にはしっかりと2人分のお弁当箱が入ったカバンが、握られていて・・・陽子は少し頬を赤くしていた。

前と同じ様にエレベーターで1階まで降りた陽子は、人目につかないよう裏道から警視庁の近くの公園へと歩いていった。

待ち合わせのベンチに腰掛け、恋しい恋しい神戸を待っているのだが・・・・・・さっぱりくる気配がない。

「・・・・・もしかして、神戸さんが告白してくれたのって・・・・・・夢だったとか?」

「妄想して、とうとう現実と区別ができなくなったとか? ・・・・・・ブルブル。 あり得そうで怖い」

10分たち、20分たち・・・・・いよいよ自分の頭の心配をし始め、それよりも神戸とのあの時が、夢幻だったのかと落胆し始めた陽子。

お弁当の入ったカバンを握る手の甲に、ぽたり、大きな涙の粒が・・・・・落ちた。

「・・・・・やっぱり! 先に来てたんだ」
「・・・・・きゃんべさん!!!」
「はぁはぁ・・・・ちょっと、待ってね・・・・・はぁ・・・・ふぅ〜・・・年かな、息がキレる」

はぁはぁと息を切らした神戸は、膝に手をつき地面に顔を向けて呼吸を整えようとしている。
とはいえ現役の警察官、すぐに顔を上げ 待ち合わせをした恋人の方を見れば・・・・

「陽子、泣いてたの?」
「あ・・あのっ・・・」
「俺の来るのが遅かったから? もしかして昨日のこと夢だとでも思ったの?」

コクンと頷く君の隣に座って、乱れた前髪を指でスッと整える。

「ねぇ陽子ちゃん、今日はさ僕が一課に迎えにいくって言ってなかったかな?」
「あ! ・・・・つい癖で、誰にも見つからないように、公園まで来ちゃってました」
「一課に行っても陽子ちゃんはいないし、食堂とかにも行ったんだけどいないし」
「・・・・・ごめんなさい」

謝る陽子ちゃんの手を握って、謝るのは僕の方だと彼女に言う。

「ごめんね陽子ちゃん。 君がつい、そうやって行動するのも、前に僕がそうさせてたから・・・・ほんと、酷い男だ・・・僕は」
「そんな神戸さんは悪くないです。私が・・・」
「ううん、僕が悪いんだ。 でもね、今度は君と堂々と付き合うつもりなんだ。・・・・・本気なんだ」

キリリと、真剣な神戸さんの目に私は引き込まれそうなほど、魅了されて・・・・・気がつけば、唇に彼の・・・・・

「もう不安にさせはしないから・・・・・僕を、信じて」
「・・・・はい」

信じよう。
神戸さんの気持ちを・・・・・

本気だと、繰り返し言ってくれる彼のことを。
信じよう。

「・・・・・・そうだ、ご要望のナポリタンです! 下手くそですが、私ので良かったんですか?」

照れ臭そうな笑顔で渡してくれた弁当箱を、僕はワクワクしながら開けると・・・・ナポリタンがたくさん入ってた。

急いでお箸をだし、一口食べると・・・・・ああ、これこれ!

「これが食べたかったんだ〜」
「喜んでもらえて私も嬉しいです」

赤いタコさんウィンナー、黄色い卵巻き、小松菜のお浸し・・・・・どれも美味しい!

「美味しいよ陽子ちゃん! 」
「良かった」

僕は久しぶりに食べる君のお弁当に、舌鼓をうってキレイに食べ終えた。

「このお弁当箱・・・神戸さんが持ってたなんて思ってもいませんでした」

1度はゴミ箱に捨てたんだけど、次の日の朝、拾って洗っておいたんだ。
今にして思えば、君との繋がりだからね・・・・・捨てられないよね。

昨日、一旦僕の家に寄ってお弁当箱を陽子ちゃんに渡して、お弁当を作って欲しいってお願いしたんだ。

「陽子ちゃん、仕事が忙しい時とかは、無理して作らなくてもいいんだよ。 無理は厳禁だからね」
「はい、わかりました!」
ニコニコと嬉しそうな笑顔の彼女に、僕は魅せられてしまう。

そのまま、顔を寄せて・・・・・・・唇を重ねた。

男に慣れていない陽子ちゃんの、不器用なキスが新鮮で、ついつい夢中になってしまう。

「ごちそうさまでした☆」
「お粗末さまでした」
「いえいえ、甘いデザートもいただけて僕は満足です」

「??? ・・・・・・・デザートなんて入れてました?」
きょとんとする彼女に、自分の唇を指でさしてニッコリ笑えば、意味がわかった陽子ちゃんが真っ赤になった。

「昼休みが終わっちゃうね、そろそろ行こうか?」
「はい」
空になった弁当箱をカバンにしまって、立ち上がった君と手を繋いで僕達は歩こう!

半歩、後ろからついてくる君を見れば、頬を染めているから・・・・・・困ったな、またキスしたくなっちゃう。
でも、今はこうして歩いていこう!



・・・・・・・・・・手を繋いで歩く僕達の後ろに、ラーメン屋の帰り道の大木さんと小松さんが見ていたなんて、あとから知ったんだけどね。

角田課長にも知られて、散々からかわれるのは、後のお話し。。。




神戸さん、告白しました!
もうちょっと伸ばそうかとも思いましたが、書いてるうちの勢いでハッピーエンドに持ってっちゃいました☆

よければ感想など、コメントいただけると嬉しいです。

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すー※さん

Author:すー※さん
私的妄想世界が広がっております。
イチオシは窪田正孝さんの役柄いろいろ妄想話です♡(その他にも相棒の神戸さん、スネイプ先生や善徳女王など色々でございます)

最近は更新ができてませんが、発作的に投下してます。
8月、9月の試験に受かれば時間ができるので、それまでは見守っていて下さいませ。

合言葉は『シリアスからエロまで』・・・・・楽しんでいただければ幸いです。。。

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