⑤《羽化した蝶は、誰に留まるのだろうか。。。》

ハラハラドキドキで、楽しく読んでいただけたら嬉しいです。



現場である公園に来た僕たちは、辺りにいる人達に聞き込みを開始したんだけど。
ちょうど保育園のお迎えや、遊びに来た小学生たちが帰る時間やらで、陽子ちゃんがいた頃に此処にいた人が、全く居なくて・・・

伊丹さん達もお手上げの状態だった。

「・・・・誰かいねぇーのかよ!」
「鈴木さんが何もせず連れ去られるとは考えにくいと僕は思います。 彼女はきっと何か手がかりを残しているはずです!」
「ってことは、つまり、何なんですか警部殿!」

「公園から連れ出されたのは確かです」
「じゃあ、公園の出入り口から探しましょう!」
四方八方にある公園からの出口に、手分けして走り、探し始める僕達。

スーツ姿の僕達が、必死に公園の中の植え込みや、街路樹、溝やいたる所を探している様子は興味をそそるようで。

4、5人の小学生が僕達に話しかけてきた。

「ねぇねぇ、オジさん達も警察官なの?」
「刑事? ねえ、刑事?」
「何してるの? 植え込みなんかに何かあるの?」
僕達が返事をしないとスーツの裾を持って、つんつん引っ張るもんだから、伊丹さんがキレちゃった。

「だぁぁあああーーー、いまお前らの相手なんか出来ねぇーんだよ!」
植え込みに突っ込んでた頭をあげ、小学生を見た伊丹さん・・・・きっと怖い顔してたんだろうね。

「きゃーー、鬼がいる」
「警官じゃなくて犯人だぁ〜〜〜」
「・・・・・子供だと思ってりゃ、舐めやがって! こい、おりゃ!」
騒がれた伊丹さんが、小学生を捕まえようとして・・・無理でしょ?

ぴゅーーーっと逃げ切ったあたり、子供のパワーってすごいな。

でも中の1人が逃げ遅れたのか、ぽつんとボール抱えて立っててさ・・・
僕と目線があうとトコトコ僕の前までやってきたんだ。

「どうしたのかな? お兄さん達ね、いま忙しいんだ」
「陽子ちゃんの仲間なの?」
不意に、男の子の口から探している君の名前が出たから、僕は驚いたんだ。

「君、陽子ちゃんを知ってるの?」
「うん、僕が家に戻る前まで一緒にいたよ〜」
「そ、その話くわしく聞かせてくれるかな」
「いいよ、あのね僕のボールがぶつかっちゃったの」
「ボールが?」

ヒロキ君の話によれば、陽子ちゃんは被害者のおばあさんの事を、彼に伝えて話をして、彼が家に帰るために公園を離れるまでは、ここにいたんだ。

「他に陽子ちゃんが聞いてきた事はなかった? 何かしてることとか・・・ 」
「う〜〜〜ん・・・あ! 陽子ちゃんね何か機械に話しかけてたよ!」
「どんな感じのかな」

ヒロキ君が身振りで教えてくれた物とは、たぶん・・・・・・

「ボイスレコーダーでしょうか?」
「うわっ! 驚かさないで下さいよ、杉下さん!」
「その他に彼女とどんな話をしたのか、思い出してもらえませんか?」
「陽子ちゃんに聞いたらいいのに。・・・僕は子供だもん、覚えてないよ」

「あのね、陽子ちゃんがね・・・・・・」
弱ったな、何て言えばいいんだ・・・・・・僕が一瞬、躊躇したその間に杉下さんの声が入ってきた。

「陽子さんはヒロキ君と別れた後、何者かに拐われてしまったのです。ですから、何か・・・些細な事でも思い出していただけると陽子さんを探しだす手がかりになるのですがねぇ〜」
「警部っ! 小学生に言っても仕方ないんじゃあ・・・」
「陽子ちゃん、悪い奴に拐われちゃったの?」

ほら、なんだか泣き出しそうな顔してるじゃん!
杉下さんは、妙に芝居がかってヒロキ君の前にしゃがみ込んだ。

「悪者の手から救い出さないといけません。君しか知らないことがあると思います。協力していただけますか?」
「うん、ぼくね陽子ちゃんを助ける!!!」

「ではヒロキ君、陽子さんは君に何を質問しましたか?」
「あのね陽子ちゃんね、爆弾の袋を置いたの見たかどうか、僕に聞いたんだよ」
「・・・・君はなんと答えたのでしょう?」
「ぼく、見たよって答えたよ! それで、ぼくの家の近所の工場に、陽子ちゃんとお散歩に行ったの」
「工場・・・・・ですか?」

なんで工場に?
疑問が浮かぶ僕の耳に、ヒロキ君からとんでもない事が飛び出てきたんだ。


「その工場のお兄ちゃんが、袋を置いたの・・・ぼくね、見たんだもん」




ヒロキ君から、公園からその工場に出る出口を聞いた僕たちは、その道を探したんだ。
男5人で 植木の草むらの中まで探せば、あったんだ、陽子ちゃんがいつも持っているボイスレコーダーが。

杉下さんがボタンを押せば、彼女の声が流れてくる。
ヒロキ君と話しながら公園から工場への道の特徴を話し続け、工場の様子なども細かく入っていた。

「伊丹さん、この工場に応援をお願いします。僕たちはこのまま向かいます」
「わかりました。 行くぞ芹沢!」
「警部殿、嬢ちゃんのこと頼みます!」
「すぐに応援連れて行きますからね〜〜〜」
「行くぞ!」

伊丹さんを筆頭に、三浦さん、芹沢さんが走って車まで戻っていく。
車の無線で応援を呼ぶんだろう。

僕らが工場へ行こうと足を向けた、そのとき。

《プルルル〜〜〜・・・・・・・ プルルル〜〜〜・・・・・・・ 》

「杉下さん!」
「早く出て下さい」
かかってきたのは陽子ちゃんの携帯からで、きっとまたアイツからだ!!!

「もしもし」
『ほら、出た!』

やっぱり、あいつだ! 僕は杉下さんに頷けば、察しの良い上司は分かったと頷いた。

杉下さんが工場に向かう後ろ姿を追いながら、犯人にけどられないよう僕は呼吸に気をつけて歩く。
もう既に自分がいる場所の特定がされてるなんてバレたら、人質になってる陽子ちゃんに危険が及んでしまう。

『神戸さん???』
陽子ちゃんの、驚いたような声で僕を呼ぶ声が聞こえて、少しホッとした。

「陽子ちゃん、大丈夫なのか?」
『はい、なんとか。 って、神戸さんがどうして・・・」
「君が居ないから心配で何度も携帯にかけたんだよ」

『何度もしつこいから、俺が出たってわけ』
憎らしい犯人の声に、カッと、頭が熱くなる。

「お前っ! 早く彼女を解放しろ!!」
『・・・・・するわけないじゃん。あんたには彼女の断末魔でも聞かせてあげようかなって思ったんだ。』

ぱしゃ・・・・・・ぱしゃ・・・・・・・

なんの音だ? 僕の問いかけに陽子ちゃんの声が答えてくれた。

最悪の、答えを。。。

灯油をまいている音だと言う陽子ちゃん、君と証拠を燃やして逃走するだなんて・・・・・なんて奴だ!

「なんだって! おい、止めろ! 止めるんだ!」
『私も、やられっ放しじゃいません!』
「陽子ちゃん!?」
なに? なにをする気なんだ? 僕は携帯に痛いほど耳をつけて、向こうの様子を少しでも知りたかった。

その僕の耳に、バケツか何かをひっくり返したような凄い音が聞こえたんだ。

「陽子ちゃん、陽子ちゃん! どうなったんだ」
『馬鹿だね陽子ちゃんは。 君が気絶してる間に薬を嗅がせてあるからさ、痺れて動けないだろ?』

犯人の人を小馬鹿にした声が、僕の癇に障る!

『腕しか縛ってないのは、どうせ薬が効いてきて歩けなくなるからなんだよ。ははははっ』
「彼女を傷つけるな! もし彼女を傷つけたら・・・・・・・俺がお前を、殺す!」

僕の言葉に前を行く杉下さんが振り向いたけど、何も言わずにまた進み出した。

もう、目の前に迫る工場の壁に身体をつけ隠れる僕らは、応援を待つべきか、それとも踏み込むべきか・・・・

杉下さんは、何かをはかるように工場の壁と、僕の携帯を見比べている。

その間も犯人と話している俺は、壁の上の方を見上げる。

「・・・・・・・・俺は警察官の前に、1人の男だからな。 絶対に、お前を許さないっ!」
陽子に何かあったら、俺はほんとうに犯人を・・・・・ああ、不安だろうな陽子・・・・・・

「陽子、絶対に助けるから!助けるからな!!!」
『神戸さん・・・・・・・神戸さん!!!』

ああ、君が俺を求めて呼んでくれているのに・・・・・ 思わず身体が動いて、工場の中に向かおうとした腕を、杉下さんが強く掴んで、止めた。

「もうじき応援が来ます。 神戸くん待ちましょう」
「しかしっ!!! 犯人は陽子と証拠を燃やそうと灯油をまいているんです!!」
「万が一にも、陽子さんに危害が及ぶことは避けるべきです。 応援を待ちましょう」

「くっ!」
俺は頷き、でも今すぐにも陽子を助けたくて・・・・・上を睨みつけるしかなかった。

『むぅ〜〜〜・・・ぐぅ〜〜〜』
口にガムテープを貼られた陽子の、唸るような声が聴こえる。

「陽子? 陽子どうした? 何があった!」
『くくくく・・・・・・はぁあーーーーはっはっはっ!!! どうしたもなにも、ヨウコちゃんは今からこんがりと焼けちゃうんだよぉぉ〜〜〜』

なんだと・・・・・・・

「・・・・・・止めろ・・・・・止めろ!」
『止めないよぉ〜ん』
「止めてくれ! 俺が代わるからっ!」

・・・・・・・・・・・・陽子!!!

『いらないしぃ〜〜〜・・・・・うひゃうひゃ』

「いけない! 犯人を逃がしてしまいます! 行きましょう! 僕は裏に回ります、君はこのまま 」
「行きます!!!」

俺は工場の扉に手をかけ、中に入った。
素早く見渡せば、吹き抜けの工場の隅に階段と二階があった。

考えるより先に、足がその二階に向かって走りだし、階段の下についたとき、二階のドアが開いた。

「誰だっ!」
「誰って、冷たいな・・・・・・さんざん携帯で話したでしょ?」
「なんでここが分かったんだよ・・・」
「そんなことより、観念しなぁ〜〜〜・・・・・絶対に逃がさないからな!」

今まで小馬鹿にしていた犯人が、血走った目で俺を見ているが、俺が1人だからか階段を駆け下りて来た。

「うおおぉぉぉおおおーーーーーー」
蹴りつけてきた犯人を避け、そのまま逃げようとする背中に肘で打ち付ければ、バランスを崩した犯人が地面に転がる。

ヨロけながらも立ち上がり、出口に向かおうとする犯人なんだけど、逃がすわけないじゃん!

「はぁーい。どこに行くのかな?」
背後から腕を掴んで背中に回し、痛みに低くなる上体に足で圧力をかけ、地面に捩じ伏せる。

「はい、一丁あがり!」
「くそぉー・・・・」
犯人を押さえていれば、伊丹さん達が工場に入ってきたから犯人を渡し、俺は階段を上る。

駆け上がった二階のドアのガラス窓の向こうに、ガムテープを貼られた陽子ちゃんが床に転がっていて。
まだ火の手が遠いのを確認して、彼女を救おうと中へ入る。

1歩、彼女に向かって出した足の先に、大きな火柱が襲ってきた。



《ぼおおおおおおおおおおぉおぉぉぉぉぉぉぉぉぉおお〜〜〜〜〜〜〜 》



「陽子! 陽子、大丈夫か!」
くそっ! こんな事で、君を失うのか? 炎の中、見え隠れする君の姿・・・・・

ガムテープで喋れない君が、ぶんぶんと頭を横に振り俺を見るのは、こっちに来るなという意味なんだろう。
必死な目で、来るなと訴える君・・・・・・・こんな時まで俺の心配して・・・・・

そのとき、俺の心は・・・・・決まった。

俺は何かないかと辺りを見渡し、水の入った2リットルのペットボトルを見つけて、上着や頭、身体にかけた。

「陽子! 今行くからな!」
「むぐぅ〜〜〜」

俺は上着を頭から被って、炎の中を、君に向かって駆けていった。

「おい、警部補! 無茶するな!」
「神戸くん!」
「この炎の中に、はいってっちゃったんすか? 警部補?」
「おい消防はまだかよ!」




・・・・・・・・・べりっ!

「痛い? ごめんね。 まったく女の子の肌にガムテープ貼るなんて、なんて奴だ!」
「どうしてきたんですか、神戸さん!」
「テープの次は、腕の外すね」
彼女の手首の結束バンドを、持ってた万能ナイフで切れば、やっと彼女は自由の身だけど・・・・・

外そうとして付いたんだろう、小さな切り傷から血が滲んでいるし、手首の痣も痛そうだ。

「うわぁ〜・・痛そうだ。 よく頑張ったね、陽子」
「神戸さん! 私まだ歩けそうもないんです。早く神戸さんだけでも、向こうに行ってください!」

「嫌だ」
「嫌だって・・・子供じゃないんですから、大人な男らしく、ハイって言いましょうよ」

「男はね、いつでも少年の心を持ってるんだよ」
「そんなピーターパン症候群みたいなこと、言ってないで、早く!」

「・・・・・・・・・イクときは一緒がいいな☆」
「キラリんってしてもダメです! ・・・・・・・お願いだから、神戸さんっ!!!」

気がついたら陽子の目からポロポロと涙がこぼれてる

「・・・・・・・陽子も連れて行くから。ほら、大人しく俺にオンブされなさい!」
「でも・・・・」
「〜〜〜もうっ! つかまってろ!」
「きゃぁあ」

多少手荒にだけど彼女をオンブすれば、陽子は肩にかけていた俺の上着を脱いで、2人の頭に被せた。

「行くぞ」
「・・・はい」

しっかり肩につかまった彼女の指の感触に、こんな時なんだけど頬が緩んでしまいそうになって、慌てて気を引きしめた。

躊躇するより、飛び込んでしまえ!
俺は炎の中を彼女をおぶって、駆け抜けた。

出口には、炎ギリギリに伊丹さんや杉下さんがいて、出てきた僕らにバケツで水をかけてくれた。

「早く下に行きましょう」
「そうですよ! 崩れちゃいますよ!」
「おい、早く降りてこいって!」

「今行きますよ!」

彼女をおぶった僕が、最後に下についたとき・・・・・事務所の窓が割れ、炎が真横に噴き出したんだ。

「おい、鈴木は大丈夫なのか?」
「陽子?」
伊丹さんが僕の背中に駆け寄って、彼女の様子を確かめるんだけど・・・・・・・

「おい、鈴木? 鈴木!!!」
「〜〜〜きゅうぅぅ〜〜〜」

「気絶してやがる」
「神戸くん、君はこのまま陽子さんと救急車で病院に行ってください。 僕も後から行きますから」

僕は気絶しちゃった彼女を救急隊員とタンカにのせ、一緒に病院に向かったんだ。




スヤスヤ眠る彼女のベットの横の椅子に座って、目覚めるのを待っている。

僕の方の被害は、軽い火傷を手の甲にしたのと、お気に入りのスーツと靴がダメになったくらいなんだ。
あの炎の中で、これくらいですんで奇跡だって言われたよ。

陽子ちゃんの方は、犯人に嗅がされた薬が抜けきれば目が覚めるって先生がいってたんだ。

安心したら、疲れが出たんじゃないかって。。。

「そりゃそうだよね、連日の徹夜に加えて犯人に拉致されて、デッカいたんこぶ、こさえてるんだもん」
彼女の髪を、指で梳いていけば・・・・あらら

「毛先が焦げちゃってる・・・ 髪は女の子にとって大切なのに」

くぅーくぅーと軽い寝息が、僕の心を晴らしてくれる。
無事だったんだ、彼女を、助けることができたんだ。

あの炎の中で、彼女を失うかもしれないと思った時、俺は・・・・・耐えられなかった。
何とかしたいと・・・・・・絶対に助けるんだと、それしか考えられなかった。

・・・・・・・いつも、恋人は大事にする方だと思ってはいるけど、こんなに1人の事しか考えられなくなるのは 、初めてだ。

「う・・・うぅん・・・・・」
「あ、起きた?」

ぼぉーっとした陽子ちゃんが、ムクっとベットから起きて、ぼぉーっとしたまま周りを見渡して。。。
最後に、僕に視線が止まった。

ぼぉーっとした陽子ちゃんの目が、しだいに力強くなって、急に《カッ》と目を瞠はり・・・・僕の両肩をガシッと掴んだんだ。

「え? なに、なに?」
「神戸さん! ご無事ですか? どこも痛い所はないですか?」
「 ・・・・・・・・・君って子は・・・どうして、そう・・・・・僕の心配ばかり・・・・して・・・・」

胸にこみ上げてくる温かな感情に、涙が出そうになった僕は、たまらなくなって彼女を抱きしめた。

「いい、陽子! 俺は男だから、君より頑丈なんだよ! 俺の心配より陽子は自分の事を気遣ってよ」
「でも、心配になっちゃうから・・・仕方ないじゃないですか!」
それってさ、それだけ僕のことを思ってるって・・・・・こと?

つまり、それは・・・・・・・・・

「私、神戸さんが来てくれて嬉しいけど、心配で・・・・・神戸さんに何かあったら」
「陽子・・・・・・・」

「神戸さんに何かあったら・・・・」
「うん、心配してくれてるんだね・・・・・・」

一瞬、陽子からの告白かと思ったけど、陽子は僕のこと何とも思ってないんだったね・・・
なんてったって、僕の恋の応援団なんだもんね。

寂しさが胸を締めつけるけど、今日はいいや・・・
彼女が無事に居る、それだけでいいんだ。

「私・・・まだ神戸さんのことが好きなんです。 ・・・ううん、付き合ってたときより、今の方がずっと、好きなんです」
「ありがとう・・・ もう大丈夫だから・・・・・って、ええええ!!!」

思わず、腕の中の陽子ちゃんを少し離して顔を覗きこめば、真剣な目で僕を見ている君が、居た。

「神戸さんが他の人の事、好きなの知ってます。 応援する気持ちもあります。でも私も・・・・神戸さんが好きな気持ちは、誰にも負けないです!」

真っ赤な陽子ちゃんが、俯いて、でも一生懸命言ってる姿が可愛くて・・・・・・・・
僕は彼女を引き寄せ、抱きしめた。

「あ・・・ あのっ! 知ってもらえればそれでいいんです! ちゃんと神戸さんの恋が成就するように、キューピッド頑張ります! だから、あの・・・・」
「ん? なに?」

初めて腕の中で抱きしめた彼女の、フワリと香る彼女の匂いを感じて、僕は彼女からの告白に胸がいっぱいになったんだ。

「・・・・・・・もう少し、抱きしめてもらってても・・・・・いいですか?」
僕の耳に、恥ずかしそうな君の声が聞こえて・・・抱きしめる腕に、力を込めた。

・・・・・・・・・ちょっと待て、陽子ちゃんは僕のことが好きで、僕も彼女が大好きで。
でも彼女は僕が他の誰かを好きだと思ってる・・・・・・・・・

じゃあ、じゃあさ、陽子ちゃんは僕のことが好きなのに、僕の恋を応援してた?

自分の気持ちを、恋心を押し殺して・・・・・・僕を、自分と同じ辛さから救おうとして・・・・・

ああ、ああ・・・・・・・君って子は、どこまで僕を惹きつければ気がすむんだろう。

「陽子ちゃん、聞いてくれるかな? 僕が好きなのはね・・・・きみな《カラカラカラ。。。》」
抱きしめたまま、僕は君が好きだと言おうとして・・・・・誰かが入って来たんだ。

「目が覚めました? 陽子ちゃんの荷物持って来たんだけど・・・・・・・・うげっ!」

いきなり入って来たのは芹沢君で、陽子ちゃんのカバンを片手に上げてニコやかだった顔が。
抱きあってる僕達を見て固まった。

「あ?うぇ? じゃ、じゃ、邪魔だよね!あのこれ、置いとくから。伊丹先輩からの伝言で『事件も解決したしモグラは家に帰って早く寝ろって!』 陽子ちゃん、女の子なのにモグラはないよねぇ〜〜〜! あのね、だからね、陽子ちゃんはここから直帰でいいんだって!」

パニクる芹沢君が早口で、たぶん思ってること全部口に出してんだろうことは分かるけどさ、出てってくんないかな!

アワアワと僕と陽子ちゃんを交互に見てる芹沢君が、僕の視線に気がついて『ひっ!』とか言ってるし。

「じゃ、じゃあ、僕帰るね。 陽子ちゃん、お大事にね〜〜〜」

やっと、2人になれた・・・・・・ん? 恥ずかしがり屋の陽子ちゃんが、NOリアクションっておかしいな。
腕の中の陽子ちゃんは、また、スヤスヤと眠ってるんだ。

「よく眠るといいよ、そばにいるから・・・・」

陽子ちゃんの寝顔を見ながら、さて、と考える。
僕の片思いの相手が、陽子ちゃん・・・・・・ 君だって、いつ言おうかな?

君の気持ちが分かった今、僕は緩む顔をそのままに・・・頭の中で今夜誘う店をピックアップしておく。
病院から直帰でいいんだし、杉下さんからは陽子ちゃんを無事に家に送り届ければ帰っていいことは聞いてるし。

「ねぇ陽子ちゃん、どんな場所で僕からの告白を聞きたいかな?」
「ん〜〜〜雰囲気のいい店? それとも眺めのいい夜景スポットで? どこがいいだろうか」

可愛いものが好きな君に、小さな、けれど色とりどりの花を集めた花束を、贈ろう。

「好きだよ、陽子ちゃん・・・・・・」

起きるまで待ってるけど、できれば早く起きてね。
彼女の額に、そっと触れながら・・・・・・壊さないよう僕の唇で、触れる。




じゃぁーん! 神戸さんの告白は不発に終わりました。
次回、告白できるのか?

ここで事件は解決できました。
ちょっとシリアスでしたが、楽しんでただけましたでしょうか?

私は楽しかったです(笑)
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プロフィール

すー※さん

Author:すー※さん
私的妄想世界が広がっております。
イチオシは窪田正孝さんの役柄いろいろ妄想話です♡(その他にも相棒の神戸さん、スネイプ先生や善徳女王など色々でございます)

最近は更新ができてませんが、発作的に投下してます。
8月、9月の試験に受かれば時間ができるので、それまでは見守っていて下さいませ。

合言葉は『シリアスからエロまで』・・・・・楽しんでいただければ幸いです。。。

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