相棒 《誰が守るんだ・・・ 》

これはシーズン9の【通報者】というお話に絡めてのお話になります。

裕太君と夢ちゃんという兄妹が出てきますが、神戸さんが熱くなって何とかしようとしている姿が見られます。
そんな2人とのお話です。。。

ネタバレありますから嫌な方はスルーしてください。

では、続きからどうぞ ( ^ω^)_



「初めまして、鈴城薔子と言います。 お兄ちゃんが来るまで私と遊んでくれますか?」
にこやかに微笑む薔子は、しゃがんで夢と同じ目線の姿勢をとって挨拶をした。

夢はまだ入学前の幼児で最初は戸惑っていたものの、薔子の挨拶にニッコリと笑って頷いた。

殺人事件の目撃者になった兄の裕太が部屋の中で刑事から話を聞かれている間、暇な特命係の女性の薔子に夢のお守りが回ってきたのだった。

「あやとりしたい」
「夢ちゃんあやとりできるんだ、私に教えてくれるかな?」
「うん、いいよ!」
ポケットから取り出した毛糸を小さな手で手繰っている夢の手元を薔子は、じぃーーーっと興味深げに見つめているのを逆に夢がキョトンとみている。

「お姉ちゃん、あやとり知らないの?」
「そうなんだ、私は小さな頃は他の国に住んでいたから知らないんだ・・・・・・・面白い」
「夢が教えてあげるね! これはぁ〜・・・田んぼっていうの」
「田んぼ・・・本当だ、四角いね!」
「これはねぇ〜・・・ほうきって言うんだよ」
「ああ、ほうきだ! 夢ちゃん凄いね、いろんなあやとり知ってるね」

「夢ね、お母さんに教えてもらったんだよ〜! 凄いでしょ〜」
「うん、凄いね! 他にも教えてくれる?」
「いいよ! あのねぇ〜〜」

きゃっきゃっ、きゃっきゃっと楽し気な声を上げる夢はやがて、疲れたのかコテンと薔子の膝枕で眠ってしまった。

優しく膝にあるツヤツヤな髪を撫ぜながら薔子は自分の上着を脱いで夢の身体にかけている

「よく寝てるね 」
神戸が小さく囁いてくる

「もう終わったんですか?」
「うん、まあね・・・」
「杉下さんと行ってください。 私は夢ちゃんとお兄さんを送って行きます」

「いいです、夢を起こして帰ります。」
薔子の言葉に構わず裕太がスタスタと近づき寝ている妹を起こそうとする

が、その手を薔子がやんわりと止めて裕太を見上げた。

「今寝たところだから・・・・・・もう暫く寝かせたら? 30分くらいなら夜寝るのにもさわりがないだろうし」
「でも迷惑かけたくないから」
頑なに他人の手を拒もうとする裕太だが・・・・・目の前でニッコリと笑う美貌に中学生では固まるしかなく、顔を赤くして何も言えなくなる。

「迷惑かけてるのはこっちの方だから、遠慮しないでいいよ。 裕太くんだっけ? お兄ちゃんも座ったら?」
「はぁ・・・」
「夢ちゃんの髪、綺麗だね。いつも裕太君が梳いてあげてるの?」
「はい、お母さん体調悪いから僕が・・・」
「偉いね 裕太君。 いいお兄ちゃんだね」
ふわり、何か花の香りがしたと裕太が思った時、薔子の手が裕太の頭をゆっくりと撫ぜていた。

優しく頭を 撫でられる感触は久しぶりで、思わず裕太は涙がでそうになって・・・・・・
必死に込み上げるものを我慢していた。

じっと見つめてくる薔子の瞳に気がついた裕太が反対の方向に顔を背け・・・・・・・こっそりと目を拭う

「夢、起きろ! 帰るぞ、夢」
「お兄ちゃん?」
これ以上ここにいたら僕はきっと叫んでしまうから、何もかも叫んでしまいそうな自分を一生懸命押し込んで、まだ寝ぼけてる妹の手を引いて歩き出す。

「送るよ!」
「結構です!」
「じゃあ・・・・・・ついて行っていい?」
「は?」
歴とした大人な女性がついてくる?  そんなこと言うの?

「薔子ちゃん、手つなごう?」
「つなごう 夢ちゃん」

片手は兄の裕太と、片手は薔子と繋いだ夢が嬉しそうに笑いながら警察署を出ていく

「高い高いしてぇ~~~」
「裕太くん、せーのっ!」
「うわ」
女の人の「それっ」て掛け声に思わず俺も夢を釣り上げて歩けば思いっきり笑う妹の顔が見れた。

屈託なく笑う妹と、楽しそうに笑う女の人・・・・・鈴城さんて言った・・・・・この笑顔のまま家まで歩いて帰った。

鈴城さんは俺達が家に入るのを見届けて帰っていったけど、不思議な人だ。

あの人も刑事なのに何も聞かないんだ・・・・・・
ただ妹と遊びながら、話しながら歩いてるんだ。

夢も懐いたみたいで家についてからもアノ人の話ばかりしてくるんだ。

「薔子ちゃんね、夢くらいの頃は外国にいたんだって!あやとり知らないんだよぉ~」
「夢ね、薔子ちゃんのあやとりの先生になったんだよ!」
「薔子ちゃんね、凄くいい匂いがするの!」

随分気に入ったみたいだけど、あんな大人の女の人が俺達みたいなのいつまでも相手にするわけないって夢には分かんないよな・・・・・・

きっと事件が解決したら、もう・・・俺たちには見向きもしなくなる。

・・・・・・・・夢、傷つくかな?

でも久しぶりに見た妹の楽しそうな様子に、俺は、少しでも長くアノ人が夢と関わって欲しいと願うんだ。

・・・・・・・・叶わない願いなのは分かっているけど。。。




必死に思い出した犯人のことでまた警察署にやってきた俺と夢は、にこやかに手を振る鈴城さんに迎えられた。

俺が話をしている間、夢の相手をしてくれるんだ・・・・夢もそのつもりで「薔子ちゃーん」といって駆け寄って行き・・・・・派手につまづいたんだ。

俺は夢が転んだところを思い描いたんだけど。。。

「夢ちゃん!」
鈴城さんが転ぶ直前の夢を抱きとめて、夢を抱きしめたまま鈴城さんが転んじゃったんだ!

俺でもわかる上等の服が、警察署の廊下の埃で白くなるのもかまわずに夢を立たせどこも怪我してないか見ているなんて・・・
俺は 鈴城さんの優しさにまた、胸が苦しくなってしまう

「あはは・・・私の方が転んじゃった」
「薔子ちゃん、だいじょうぶ? 夢ねイタイイタイの飛んでけーってしてあげる」
「ありがとう、うん、痛くなくなった!」

「ありがとうございます。 夢をかばってくれて・・・」
俺がそう言うと鈴城さんは少し照れたように微笑んでいる。

その笑顔を見たとき、なんだか俺の胸がドキン!と、鳴った・・・・・・なんだろう?

「おかしいなぁ〜・・・もっとカッコよく夢ちゃんを守るつもりだったのに」
「・・・・・・・・カッコよかったです! 俺には充分!」
「ありがとう。 では証言の協力お願いします 」
「はい」
「あ、笑った・・・・・・裕太君、笑うとイケメンだね!」
「えっ・・・あっ・・・俺だって笑います」

ドキドキと早くなる鼓動に、その場を逃げるように部屋の中に入った。

調子狂うんだ、あの人の笑顔・・・・・・・・

刑事さん達と話してるときも夢のはしゃいだ声が、たまに聞こえてくるのになんだか頬が緩む

「機嫌が良さそうだね、裕太君」
「別に・・・・・・もういいですか? これから夕飯作らないといけないから」
この神戸という刑事がいつもいつも俺の困るようなことを言うから嫌いなんだ 。

今朝だって家にまで押しかけてきてさ・・・
洗濯物を持っていたから冷やっとしたけど、やっぱり苦手だ。

夢と帰ろうとしたとき鈴城さんがまた、ついてきてもいいかと言うけど、俺・・・・・ダメだって言ったんだ。
スーパーに行くからって言って、ついて来られたら迷惑だっていえばさすがにそれ以上は言わなかったけど。

・・・・・・・・どうしてこんなに胸が苦しいんだ。
・・・・・・・・どうしてこんなにアノ人に悪いなんて思うんだ。

俺はどうかしてる、俺は夢のことを考えてればいいんだ!

「夢、行くぞ」
「薔子ちゃん、ばいばい」

こんな事したからかな、俺と夢にあんな事が起こるなんて・・・・・

スーパーでカレーの材料を買って帰った俺達だけど、家の前に着いたとき、その男がナイフを手に俺達に襲いかかってきたんだ。

どうしよう・・・どうすればいいんだ・・・
男は夢を人質にしてる!

家の中に入り込んだ男と向き合ってしばらく、玄関のチャイムが鳴り男が俺に出ろと顎をしゃくった。
出てみれば杉下とかいう刑事で、早く帰ろと言っても引き戸に手をかけ閉められないようにしてくる。

「神戸くんからの伝言です。 犯人は必ず捕まえるから安心しろと」
「・・・・・・・」
「神戸くんの伝言、確かに伝えましたよ!」
そのとき電話まで鳴りだして・・・・・・・

俺は夢を守らないと!
早く帰ってくれよ!

「そうそう美里さんが夢ちゃんに用事があるので電話をすると言ってました。夢ちゃーん! 美里叔母さんから電話ですよ」

杉下という刑事が奥の部屋に向かって叫んだ、そのとき、奥の部屋の襖が開く音がしたんだ。

「夢!!!」
俺が奥に行こうとすると杉下という刑事が俺の襟や腕を掴んで止めるんだ。

背が低いくせに何て力なんだ、2、3歩進んだ俺を引き戻して止めている。

「大丈夫! 」
妙に力強いその言葉に僕は杉下さんを見たんだ。




僕の愛車で裕太君の様子をみに家に向えば、明かりのついた家の様子にホッと息を着く

「良かった、無事に帰ってますね」
「先輩、あれを・・・」
薔子ちゃんの言葉と、ガシッと杉下さんに掴まれた肩で2人の視線の先を見直せば・・・・・スーパーの袋が玄関の前の砂利の上に転がっている

カレーの箱なんかもみえるその光景に、異変があったとすぐに分かった。
すぐに捜査一課に電話をして急行してもらう手筈を整え、僕たちも準備する。

杉下さんの考えでは、玄関に注意を引きつけ裏から家の中に入り、犯人を取り押さえるというもので玄関でちゅういを引きつける役どころを杉下さんが買って出た。

薔子ちゃんは無言でポケットから皮の手袋を出し、はめ始めるんだけど・・・・・・
その手袋って指の背から甲に幾つものビスがついてて・・・・・

「ストリートファイターみたいだね、その手袋」
「ええ、一応私、か弱い女性ですからね。 特別仕様で参ります」
あちゃー・・・口調は軽快なんだけど、薔子ちゃんの眼は爛々と物騒な光で輝いちゃってる。

しかも指や肩や首を回してポキポキ云わせながらって・・・・・・怖いよっ!

「鈴城さん、怒ってます? 何か非常に怒ってますか?」
ほら、芹沢くんが怯えちゃってるよ・・・・・

ま、怒ってるのは俺も一緒だし、さ、行こうか!

「伊丹先輩! 鈴城さんも警部補も怒ってますぅぅぅ〜〜」
「おらっ! さっさと行くぞ!」
家の裏に僕達が潜めば杉下さんがチャイムを鳴らして、スタートだ!!!

音をさせずに窓を開け、俺達は部屋の中に入り込み、襖を少し開けて中を見れば・・・・・・

予想通り夢ちゃんを抱えた男がナイフを握り、夢ちゃんにあてている。

「夢ちゃん、美里叔母さんから電話ですよ〜」
その声を合図に一気に襖を開け、犯人に向かっていく僕と薔子ちゃん、それに伊丹さんと芹沢くん

真っ先に夢ちゃんを男から引き離す僕と伊丹さんだけど、男も必死に抵抗し持っているナイフを振りかざす!

その振りかざした男の手首を掴んで止める薔子ちゃん!

よしっ! 夢ちゃんを男からもぎ離したぞ!
芹沢くんに夢ちゃんを渡して男に向き直れば、ナイフを高々と掲げて襲ってくる!

両手で受け止めた男の腕を、素早く肩を支点に回して床に組み伏せた。

後は伊丹さんと芹沢くんに任せて、薔子は夢ちゃんのそばにいる

「夢!無事か!」
「お兄ちゃん」

こうして犯人を逮捕できたけど、まだ、問題は残っている。

この部屋は、生活保護を受けている母親が鬱病で寝たきりになっている部屋のはずなんだけど・・・
母親は、どこにも居なかったんだ。




被害者に脅されていた訳を隠すために、裕太は俺に万引きしたと嘘をついた。
犯人への証言は嘘ではなかったものの・・・・・・隠したかった訳は、母親の失踪だった。

それが知られれば妹の夢ちゃんと2人の生活はできなくなる。
そりゃそうだよな、中学生と幼児の2人暮らしなんて・・・・・それを被害者に知られ脅されていた。

母親がいない、その事実を隠すためにあんな行動をしていたんだ、裕太は。

まだ幼い夢ちゃんのために。。。

でも、だからって! 裕太はまだ中学生だぞ、お前は誰が、守るんだよ!
裕太は頑張った、一人で抱えて・・・・妹のために、ずっとそれだけを護って・・・・・・・

俺は、俺は・・・ 君の助けにはならないだろうか・・・・・

それから2人は施設に入ることになったけど、兄妹が同じ施設に入れることになって俺も安堵した。

そんなある日、俺は薔子ちゃんと登庁前の朝のドライブに出かけたんだ。

施設から少し離れた場所に車を止め、登校する裕太をそっと見守った。

「元気に登校してますね、よかった」
「うん、良かった」

特命係に入ると裕太からハガキが届いていた。
元気にしてる様子が書かれたそのハガキだけど、最後に気になる言葉が書いてあった。

《鈴城さん、夢が会いたいと言ってるから、また会ってくれますか?》

・・・・・・・・・・・薔子ちゃんだけ? 俺は? ねぇ、俺には?
不満顔が分かったんだろう、薔子ちゃんがクスクス笑いながら俺の肩をポンと叩いた。

「先輩、今度の非番一緒に行きませんか? 夢ちゃんと裕太君に会いに」
「ああ、行くよ! 俺も行くかんね! 」
むくれてる俺に、紅茶を飲んでる上司が呟いた。

「君、大人気ないですよ・・・・・」
「・・・・・ははは」

上司の言葉に乾いた笑いを上げる俺。
今日も特命係は暇そうです。




はい、こんな感じになりました。
楽しんでいただけたでしょうか!
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プロフィール

すー※さん

Author:すー※さん
私的妄想世界が広がっております。
イチオシは窪田正孝さんの役柄いろいろ妄想話です♡(その他にも相棒の神戸さん、スネイプ先生や善徳女王など色々でございます)

最近は更新ができてませんが、発作的に投下してます。
8月、9月の試験に受かれば時間ができるので、それまでは見守っていて下さいませ。

合言葉は『シリアスからエロまで』・・・・・楽しんでいただければ幸いです。。。

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