《あの日、僕は上にいこうと誓った》キャシャーン

これはキャシャーンの映画からのお話になります
及川さんは日興ハイラルという会社の社員、内藤薫という役柄です

ネタバレになりますので未視聴の方はご注意くださいませ。。。
でも、妄想のお話なのでそんなネタバレにはならないと思いますが・・・ 映画とは別の内藤薫の物語になります。

最近、ふとキャシャーンを見たら・・・・・・やられちまった私です。

もうね、キャシャーンの内藤薫の及川さんは最強に色っぽくて、妖しくて綺麗で・・・・・・・そして最後のエンディングでの映像に妄想のタネが・・・

副音声での解説を聴いたり、それから改めて本編を見たりと楽しんでいます!

内藤薫の過去捏造話からの映画本編前の時期のお話になります

そんなこんなの妄想話です、許せる方だけ、どうぞお入りください。。。




「お兄・・・たん・・・・・」
風の中に今も、あの子の声が・・・・・・聞こえる気がする・・・・・




この国には最下層と呼ばれる人が数多くいる。
貧しくて貧しくて・・・ 明日どころか今日、今、食べる物もない生活が続く毎日。

僕は母親が働く店の片隅で、母親の仕事が終わるのを待っているんだ・・・・・・3才の妹と一緒に。。。

妹は僕の母が産んだんじゃなく、他の娼婦が産んだんだけど・・・ 彼女が 仕事中は僕と一緒にいて、ミルクも僕があげて大きくなったんだよ

そのうち昼間も僕が面倒見るようになって・・・・・・だから僕の妹なんだ

この店は軍人を相手に酒を飲ます店・・・・・というのは表向きで、男が女を買い・・・自由に、欲望を果たすところ

そう、売春宿なんだ

母もその内の1人で・・・ 夕方になると綺麗に化粧をし、男に・・・いや、軍部の偉い人に媚を売り、その身体を与えて金をもらっている

酒浸りで男に抱かれるしか能のない母親だけど、少なくとも僕と妹は寝る場所があり、飢え死にしない程度には食事を与えられていた。

僕は物好きな客が与えてくれたり、街で拾った本を読んで勉強して、いつかこの最下層から脱出したいと思っている

そんな矢先、僕と妹は・・・・・・・・軍部の偉い人に身請けされた母親に、邪魔だからと・・・・・捨てられたんだ



母親の稼ぎで暮らせていた店を追い出された僕達は、街を彷徨い・・・・・・ガラクタだらけの街の片隅で何とか寝床を作り、生きていこうと・・・・・・したんだ

屑鉄を拾い集め、わずかな金に変え・・・ 食べ物に交換する

8才の僕にはそんなことしか出来なくて、でも出来ることを毎日必死にやっていた
3才の妹も一緒に屑鉄を拾いに回ったりしたいと言っていたが、連れて歩くこともできないから大人しく寝ぐらにいるようにと話して聞かせていた

朝から夕暮れまで屑鉄を拾って、やっと手にするわずかな金・・・・・・これを食い物に変え妹とともに食べる

「おいしいね、お兄たん」
「そうか? 僕の分もお食べ・・・ それだけじゃお腹がへるだろ?」
「ううん、だいじょぶだよ! 」
夜は汚れた毛布で妹と寝る・・・・・・暖かな妹の身体を抱きしめて、僕は疲れた体を丸めて寝るんだ

「お兄たん・・・ あったかいね」
「そうだね・・・ あったかいね」

妹がいれば母に捨てられても悲しくはなかった ・・・いや、愛された記憶もない僕には妹が僕の全てなんだ

腕の中で眠る、小さな小さな妹・・・・・・2人、寄り添って生きていられれば・・・・・ 僕の人生は変わってたんだろうか?


あの子の笑った顔を見ていられたら・・・・・・ あの子の小さな手の温もりを感じていたら・・・・・・

僕は・・・ 僕は・・・・・・・・ 僕は!!!




《ザッ! ザッ! ザッ! 》

ある日いつものように街を屑鉄拾いに歩いていると、軍部の行進にかちあってしまい僕は足を止める 。
メイン通りの広い道路いっぱいに軍隊が行進していく様は,売春宿から出たことのなかった僕には圧巻で・・・

いつ果てるとも分からない行進に諦めて寝ぐらに戻ろうと向きを変え歩いていく

「お兄たん!」

僕に気づいた妹が、寂しかったんだろう・・・ 笑顔で寝ぐらから飛び出してきたんだ
小さな手をブンブンふって、嬉しそうに僕に笑っている妹に僕も小さく手を振り応えていた ・・・・・・

「邪魔だっ!!!」
《 ガツッ!!! 》

行進する兵士の横を駆けてた妹が、兵士の1人に蹴られ・・・・・・宙を飛んで泥の道に落ちた

なに? 何が起こった?

僕は妹の体を泥の水たまりの中から抱き上げたけど、妹は・・・ 妹は・・・・ ピクリとも動かなくて、口から紅い血が垂れて・・・・・・

「ウロウロと邪魔なんだよ!」
「おい、行進を乱すな! 戻れ!」

「・・・・・あ・・・・おきろ・・・・おきろよ・・・・あ・・・ 」
ぐったりと目を開けない妹・・・・・・・ 僕の頭の中が、真っ赤な怒りに塗りつぶされた瞬間。。。

「う・・・うわぁぁああああああああああ〜〜〜」

僕はその兵士にがむしゃらに向かっていった

「何だコイツは!」
「妹を・・・妹をどうして蹴ったんだ!」
「煩いな!」

「妹を〜〜 うわぁああああ・・・・・・・ 」

叫びながら兵士に向かっていった僕は銃で殴られ、道に転がって・・・・・意識を失った

次に目が覚めた時、僕は見知らぬ部屋の中のベットに寝ていて・・・・・何が起こったのか分からなかった

あとから説明されたのは、此処は軍部の偉い人の奥方が身寄りのない子を育てている施設で・・・
あの騒ぎを見かけた誰かがここに運んでくれたらしいんだ

「妹は! 妹はどこですか?」
「あの子は・・・・・・ 手遅れで、死んだの」

「死んだ・・・・・ 妹が・・・・・」
あの子が、死んだ・・・・・・・ あの子・・・・・名前も母親からつけてもらえなかった、あの子・・・・・

僕が、こっそりつけてあげた名前に嬉しそうに笑っていたのに・・・・・・

『お兄たん・・・』
僕を呼んでくれる あの子の声が・・・・・・聞こえる気が、する のに


アノコハ テオクレデ シンダノ


「ぐぅぅうううう・・・・・・・うわぁああああ・・・・・・・」

僕等が何をした! この街の片隅でひっそりと生きていた、それだけなのに!
僕等が何をした! 2人で生きていければ ・・・・・それで よかったんだ・・・・・なのに



アノコハ シンダノ



僕は誓う、僕からあの子を奪ったものに・・・・・・・・・復讐を。。。

下層階級だから簡単に奪われた命なら、僕は上層階級に行ってやる!
煮えたぎるこの想いを胸に秘めて、僕は・・・・・・生きていくんだ




僕の幸運はこの施設に来たことだろう
僕は必死に勉強し、ある会社に入ることができた

日興ハイラル社・・・ この国の全てを握っている軍部寄りの会社に入った僕は、会社での立場を確かにするため何でもした

バカな上司から情報を引き出し、出し抜き、業績を上げ、軍部に食い込むためには何でもした

足掛かりにした軍人を用がなくなれば切り捨て、更に上の人物に媚びへつらう

・・・・・・僕の容姿も、大いなる武器になった

老いぼれの軍部の要人が欲しがれば、女を用意したり・・・・・僕自身を望めば躊躇いもなく身を与えた

老いぼれの、かさつき骨ばった手が僕の肌を這うのにも、吐き気を堪え誘うような笑顔を見せてやった

そうして僕はいつしか、上条将軍の隣に座るほど軍部でも地位が上がってきたんだ
この国は軍部が全ての権利を持っているから、軍部での立ち位置が上がると会社での僕の評価が上がる

僕は日興ハイラル社でも幹部に登りつめていた

そんなある日、上条将軍に報告に来た僕は執務室に向かった

コンコン!とノックをすれば扉が開き目に入った光景は、車椅子に乗った上条将軍の横で1人の女性が穏やかに笑っている様子で・・・

軍部のパーティーなどで目にする特権階級の娘達の、情の薄い冷たく無表情な顔とは違い将軍に微笑んでいる笑顔が・・・・・・・なぜか気になった

「お父さま、ちゃんとお休みになられてるの? 屋敷にもたまにしか帰って来られないし・・・ 私、心配なんです」
「今夜は帰ろう・・・ 先に帰っていなさい 」
「うふふ・・・ お兄様のお顔を見てから帰ります。 今夜、本当に本当よ! 帰ってらしてね」

にっこりと笑顔なその女性が僕に会釈してドアを出て行くのを見送りつつ、将軍に向き報告をする
2、3指示をもらい部屋を出たのは30分も経っていただろうか?

迷路じみた陸軍の建物のなかを歩いて行けば先程の女性がウロウロと歩いているのを見つけた

「どう・・・されましたか?」
「先程の・・・ それが兄の執務室に行く道が分からなくて」
「よろしければ御案内いたしましょうか? 申し遅れました、内藤 薫と申します」
「私は上条薫子・・・・・あら、貴方と同じ名前ですわね」

「・・・・・・薫子・・・・・・」
「私の名前がなにか?」

「・・・・・・いえ、御案内します」

胸の中にしまった名前を、何十年ぶりかで聞いてしまい・・・動揺する自分を隠して彼女を案内した

・・・・・・・僕がつけてあげた、あの子の名前・・・・・・

「僕が薫だから、薫子ね! 僕と一緒の名前だよ」
「お兄たんといっしょ! かおるこ・・・・・かおるこ・・・・・」
「一緒だよ 薫子・・・ ずっと僕たちは一緒なんだよ」
「お兄たんといっしょ〜〜〜・・・・・・いっしょねぇーー」

・・・・・・・・胸にしまった想い出が鮮明に蘇って、僕の足を止めたみたいだ
気がつけば誰かの手が僕の腕に触れている

「・・・・・どうかされました? 大丈夫ですか?」
「! ・・・・・・あ、だい・・・じょうぶ・・・です」

腕を控えめに掴んでいる彼女の温かな掌が、冷えきった体には熱く感じられる
だが、彼女もまた特権階級・・・・・・僕の味わった辛酸を想像にもしたことのない人間なんだ

そんな事を考えた途端、カッ!と胸に、心にマグマのように熱い怒りがこみあげて爆発しそうに膨らんでくる

・・・・・・・この温室育ちの特権階級の娘を、僕に夢中にさせたら・・・・・・この怒りは無くなるのだろうか?

夢中にさせてから捨てたら、僕の怒りも薄まるんだろうか?

「失礼しました。 行きましょう」
「ええ・・・でも内藤さんは・・・いえ、お願いします」
「優しい方ですね、薫子さんは・・・」

腕にかけられていた彼女の手を掴んで、指先に唇を押し当てて・・・・・・
ピクンと肩が跳ねる彼女の反応に笑みがこぼれる

「何をしている」
突然かけられた声の方を見れば上条将軍の息子である上条中佐が立っていた

「来なさい」
まるで僕は此処にいないように彼の視界にはいないようで・・・ 彼の視線は薫子という彼女に向かっている

「お兄さま、この方は私を案内して下さってたの」
「・・・行くぞ」
「ありがとうございました」

引っぱられていく彼女が最後に僕に呟いていった声が、なんだかあの子を思い出させたんだ

また、会えるだろうか・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・また、会いたい




「もうお兄さまったら失礼だわ」
「・・・・・・・なにが?」
「せっかく案内してくださっていたのに・・・ いいわ、今度謝りに行くから!」
「ダメだ」

執務室に連れてきた薫子は何故かプリプリと怒っている
先程の男・・・たしか日興ハイラルの社員だったはずだが、その男に失礼な態度をとったと怒っているらしい

私が見たとき、あの男は薫子の指先に図々しくも触れていたのだ
腰に帯刀している日本刀で切り捨てなかっただけマシだと思うのだが・・・・・・

「何てことおっしゃるの、お兄さま! そんな事で人を斬ってはいけないの」
『ミキオ・・・・ 人とは尊いものなのですよ・・・』

「お兄さまはいずれお父さまの跡を継がれる身です。 もっと人の命を大事にしてください」
『ミキオ、お前はお父さまの跡取りです。 誇り高く、慈悲を持つのですよ』

『この子はあなたの妹です。 いつまでも2人仲良く暮らすのですよ』

ああ、母上・・・ 薫子は、あなたの化身は・・・ 今日も元気です

私の母は、昔、僕の妹を産んだ
だが、その子が3才になろうかという時、病気で亡くしてしまった・・・

母は精神を病み始めたのだが、ある日、泥だらけの小さな子を抱きかかえて帰ってきてこう言ったのだ・・・

『この子はミキオの妹ですよ・・・』
医者を呼び小さなその子の手当てをさせ、つきっきりで看病しているうちに母の精神は穏やかになり、それと同時にその子のことを自分の産んだ子だと思い込んでしまった

珍しく何も言わず、母の行動を黙認していた父は医師にその子の腕の下層階級の印を消すように命じていた

その子が目を覚ました時、自分の名前以外何もかもを忘れていたことも手伝って、あっという間にその子は上条家の娘になったんだ

母は娘を慈しみ、薫子も母に応え・・・ 仲睦まじい母娘は毎日よく笑っていた

私はそんな2人の側にいて見守ることが、子供心にも幸せだった

そんな幸せも何年か後、薫子が8才になる頃に崩れてしまった・・・・・母がテロリスト達の手によって殺められてしまった のだ

母を喪った悲しみと、母を見殺しにした父への怒り、もちろんテロリスト共への憎悪・・・
引きちぎられそうな私を、救ってくれたのが薫子で・・・・・今もそうだ

私を思って紡がれる言葉に、母が宿っている・・・・・・

権力に媚びるのではなく、私自身を見てくれている薫子が・・・・・・愛しい。。。

この荒んだ世界で唯一の・・・・・・・・・・

私は、お前を・・・・・・・・・・・

「お兄さま! どうなさったの? ぼォーっとして・・・・・お風邪でも引いたのかしら?」
「なんでもない」
「くすくす・・・ 変なお兄さま・・・」

屈託なく笑う薫子を、目で愛でている・・・・・・昔も今も。。。

・・・・・・内藤 薫とかいったな、調べてみるか

お偉方のジジィどもが、くだらん延命にやっきになっているそうだからな
部下に探らせておくか・・・




さっきは悪いことをしてしまったわ・・・ お兄さまったら私に過保護なんだから。。。
私は屋敷に帰ってから、内藤さんの男の人にしては中性的で妖しく美しい顔を思い出していた

何を考えてらっしゃったのか・・・ 私の指先に押し当てられた冷たい唇に私の鼓動は早くなってしまう・・・

並んで立っていた場所より1歩、2歩、近づいた分だけ彼が側にいて・・・
その分だけ大きく見える綺麗な人・・・・・・早くなる鼓動・・・・・ 顔が赤くなって、熱を持つ。。。

思い出すだけでドキドキしちゃう・・・・・・でも、私・・・・・・どこかであの方と会っているような・・・・・・

《ズキッ!》

痛いっ! え? なに・・・・・・ 頭が痛い・・・・・・あ・・・・・・お兄さま、助けて・・・・

『お兄たん! ずっといっしょね〜〜〜』
『そうだよ、薫子と僕はずっと一緒だよ』

かすかな影が・・・ セピア色した風景の中で・・・・・私は誰といるの?

あたまが・・・・・・・痛い・・・・・・・

痛みに耐えられなかった私は、部屋の中で倒れてしまっていた

「薫子!」
お兄さまの声が聞こえたかと思えば、私の身体はフワリと浮いて・・・・・・お兄さまが抱き上げてくれたのだと、わずかに残った意識で考え・・・・・やがて私は意識が遠のいていった


「医者だ! 医者を呼べ、すぐに!!!」
私の怒号で家の者が慌ただしく動いて行く

たまに薫子は こうなることがある、原因不明の頭痛
医者が云うのは、昔の記憶が蘇りそうになるからだとか言っているが・・・本当はどうだかわからない

頭痛は分かるが意識が無くなるのはどうなのかと詰め寄っても、明確に答えられる医者などいなかった

何か胸騒ぎがして珍しく早く帰ってきたのだが、正解だったようだ
私は薫子の部屋のソファーで書類を読みながら、起きるのを待っていた

「おにぃ・・・・さ・・・・ おに・・・さま・・・」
薫子の声が聞こえてベットの横に立てば、私を呼んでいたようだ

「薫子、私はここにいる」
「うう・・・・・ん・・・・」

立膝をつき顔のそばに寄ると、苦しそうに息をする薫子の汗が額から頬へ流れるのが見えた
首にも汗をかいている薫子の肌の艶やかさに、不意に私の雄が身体の中を駆け巡る

「うう・・んんん・・・・・おにい・・・たん」
薫子は未だかつて私の事を『お兄たん』と呼んだことはない

「薫子、誰のことを思い出そうとしている・・・ 思い出さなくていい! このままでいいんだ!」
「おにいたん・・・」
「呼ぶなと言っている!」

私は薫子の唇に、自分のを重ねて・・・・・・薄く開いていた唇の中に侵入し、舌で思う存分蹂躙し始める
初めての薫子との口づけは、お前の意識のないときに合わせたものになったな・・・

眠る薫子を見つめる私は、頬に触れ・・・・・・

「私はお前を・・・・・・愛している」
囁くように告白した私は、もう1度・・・・・お前の柔らかな唇を求めたのだった

だが私は その様子を、黙って父が見ていたとは・・・・・・気がつかなかった




「内藤・・・ アレをお前にやろう」
「・・・・・・将軍?」
「薫子をお前にやろう・・・ 」

将軍の思いもかけない言葉に僕の動きが止まるが、平静を装い言葉を理解すれば将軍の娘婿の座は・・・・・・魅力的だ

「よろしいのですか? 私のような者がお嬢様をいただいても」
将軍はとっくに知っているだろうが・・・・・・左手首の刺青を見せる

下層階級の印・・・・・・赤子のときに入れられる忌まわしい印・・・
それを将軍の暗い瞳がちろりと見るが、興味もなさそうに視線が外される

「アレも元はお前と同じだ・・・ 屋敷から連れ出し好きにするがいい」
「・・・・・はい」

「閉じ込めて二度と人目に晒さないこと・・・ 」
・・・・・・どういうことだ 娘なんだろう?

だが将軍に質問は許されない・・・・・・僕は黙って頷いていた

将軍の執務室から出て廊下を進んで行けば曲がり角で一瞬、スカートの裾が見えた気がした
その影を追いかけて角を曲がれば、さきほど僕にと将軍から言われた娘が立っていた

ひどく青い顔を見れば、話を聞いていたのだと分かった

「少し、お話があります。 よろしいですか?」
コクリ、頷いた彼女の前を歩いて中庭にあるベンチに座るよう促せば彼女は素直に座った

「話を聞いていましたね・・・」
コクリ・・・ まるで話せなくなったように頷いている彼女の指先が 細かく震えてる

「どういうことでしょうか? 上条家のお嬢様を僕になど・・・」
「・・・・・・・私はお母様の本当の娘ではないんです」
「え?」
「小さな頃、死にかけていた私を救ってくれたのが上条夫人です。 そのときに刺青も消したと聞きました」

「将軍の娘ではない・・・」
「・・・・・・ごめんなさい。 貴方にとって私は何も利用価値がないんです」
「・・・・・それはそれは」

利用価値のない者など邪魔なだけ・・・・・・面倒なことを命じられたものだ
やれやれ・・・ しかし将軍の命令は絶対だ・・・ 連れ帰るしかないか

「では僕の家に行きますか。 とんだお荷物だが仕方がない」
「行く前に荷物を纏めたいので屋敷に寄ってください、お願いします」
「・・・・・・いいでしょう」

あまり帰ることのない家に、僕は彼女を連れていった。。。

それから彼女との奇妙な同居生活が始まった




「薫子を何処へやったのですか、父上!」
扉が壊れるかと思うほど乱暴に開けたのは将軍の息子の上条中佐だった。

「もう1週間になります。 薫子を捜索する許可を下さい!」
焦燥にかられる私は目の前の父に訴えるが、父は何も応えない・・・

「薫子は自分からいなくなった・・・ もう忘れろ」
「忘れろ? 妹を忘れる兄がいますか! テロリストに拉致されたのかもしれないんです、捜索隊を出す許可を!」

「お前達は兄妹ではない・・・ それはミキオ、お前自身が知っているだろう 」
「ですが薫子は私にとって大事な存在なんです!」

「ミキオ、お前には縁談がある。 その娘と結婚しろ」
「嫌です!」

「私が妻にと望むのは薫子だけです!」
「許さん」

「あなたの許可などいらない! 失礼する」

あの父は、私から大切な存在をまたもや取り上げるのか!

1度目は母を見殺しにし、2度目は薫子を・・・・・・どこかに隠した!!!

「うぉぉおおおおおおおおおーーーーーー」
腰に帯びた日本刀で扉を叩き斬り部屋を出た私は、部下に薫子捜索の報告を聞く

絶対に探し出してみせる・・・
薫子は私の・・・・・・私が想うただ一人の・・・・・・・

足早に廊下をすすむ中佐の様子を影から覗いていたものが、1人・・・・・・にやりと、妖しい笑みをこぼす

「あの上条中佐が、妹をねぇ〜〜・・・ まあ血が繋がっていないのだから妹ではないんだろうけど・・・」

「面白いことになってきた・・・・・・くくく、利用価値が生まれたじゃないか、あの子に・・・ くくく 」

僕の家にいる彼女に・・・・・・ さて、どんな状況であの中佐に教えてやろうかな・・・
どんな条件で・・・ 1番高く売れるのは、さて・・・ いつだろうかな

「くくく・・・・・・ むふっ・・・・・・・」

僕は笑いを堪えながらも、軽やかな足取りで行くのさ
手の中のカードの使い方を、考えながら・・・・・・




長くなるのでここで切ります
最初に考えていたお話から変わってしまっちゃいましたが、このまま突っ走っていこうと思います。

内藤さんの恋バナになるはずがミキオ中佐まで入ってきちゃって・・・さてどうなることやら(笑)


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すー※さん

Author:すー※さん
私的妄想世界が広がっております。
イチオシは窪田正孝さんの役柄いろいろ妄想話です♡(その他にも相棒の神戸さん、スネイプ先生や善徳女王など色々でございます)

最近は更新ができてませんが、発作的に投下してます。
8月、9月の試験に受かれば時間ができるので、それまでは見守っていて下さいませ。

合言葉は『シリアスからエロまで』・・・・・楽しんでいただければ幸いです。。。

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