【月の嘆き】

これは【黒獅子と月…】の別バージョンで、暗い物語です。

【黒獅子と月…】の《下》のときにスンマンとピダムが別れ、何年も後にトンマンの元で再び出会ったら……という暗い話です。

ちなみにピダムはトンマンに恋し始めていてスンマンは過去の話というスンマン虐めみたいな設定です。

※※※

「……」
「!」

再び出会った元恋人達は……二人共に言葉が出なかった。

「ピダム!私の従姉妹のスンマン公主だ」
「……初めまして」
「スンマンだ……よろしく」
あの時……そう言うのがやっとだった……

「スンマンもピダムも私の大事な者達だ」
無邪気に笑う姉上に微笑むことしかできなかった。


平静を装い続けて何日……いや二月は経ったろうか……

「もう……限界だ」

15の年で兄と慕うピダムと抱き合い……たった四日で別れた……あれから何年も経ったのに……私は忘れられなかったのだろうか……


自分の宮で酒を飲み……胸が苦しくて……息がつまる……

ふらふらと王宮の中をあてどなく歩いていた。

「スンマン!」
肩を掴まれ振り替えれば………ピダム…が…いた…
あの頃よりも精悍な顔をして……

「何用だ?……」
必死に平静を装うが苦しくて拳を握りしめる
「あのさ……あの時の事、黙ってて欲しいんだ」
「分かった」
すたすたと歩き出す私に不安なのかまた肩を掴まれた。

「トンマン公主様にだぞ」
「…分かっている……心配するな…」
「ならいいけど……俺さ、トンマンが好きなんだ」

《《ズキン!!》》

「……よかったな」
「お前も好きな奴できたら教えろよ!……じゃなっ」
走り去るピダムを見るともなく見送り、暗闇に消えた事を確認して……無我夢中に走り出した。


「私は……忘れられなかったのだな……」
何処をどれだけ走ったのか分からないが、人影も無く灯りも少ない……そんな場所で私は止まっていた。

「はっはっはっ……はぁ~はっはっはっ……あはははっ……あいつはとうに忘れているのに……姉上が好きだと私に言うくらい……なのに……はっはっはっ……あっはっはっ」
可笑しくて笑いが止まらない……可笑しいのに何故かな? 涙も止まらない……

「どうされましたスンマン様」
聞いたことのある声がした。

「スンマン様?」
近づく足音に警戒し剣に手をかけた。
「来るな!それ以上近づけば斬る……ポジョン殿……来ないでくれ」
「……もしや…泣いておられるのか?」

すらりと剣を抜きポジョンを見た……まだ涙は止まらない……
「ミシルが宮で受けた恩義もある……何も見なかった事にして立ち去れ!」
私の眼に殺気が蒼い焔となりて浮かんでいるだろう。

「……化物が愛されるなど……思う方がおかしいな……」
「スンマン様……」

剣を鞘に収めふらふらと歩き出した。

今度はチョンミョン姉上の霊廟へ向かう。

ポジョンがそっと後をつけていくのも知らずに……

※※※

「姉上……」

霊廟には元々、護衛兵くらいしか居なかったが金をやり人払いした。

「姉上……苦しいのです」
誰にも聞こえないように……でも黙っていると胸が苦しくて押し潰されそうで辛い。

私は姉上に囁いていく……
「ピダムがトンマン姉上の側近にいました」

「15の年で兄と慕うピダムと抱き合い……四日で別れた……」

「あいつはトンマン姉上を好きになり……私との事は無かった事にしてほしいと」

「私は忘れられなかったのでしょうか?……胸が苦しくて息ができないのです……」

「あの時……ピダムに選ばせた人生だ……男ならば歴史に名を遺す方を選んで当然だ……だが……私と共に来て欲しいと……すがりつけばよかったのかな?」

「姉上……姉上……姉上……」

泣き声を隠すため手を噛んで泣いている私が……何故かな無性に何もかも嫌になった。

「姉上の処に行きたい……この新羅で優しかった姉上の側に……逝ってもいいですか?」

すらりと抜いた剣の白銀に光る刃をじっと眺め………首に当てた。

「姉上……お側に逝っても怒らないで下さいね」
力を込めて引こうとした腕を掴まれた。

「ポジョン……邪魔するな」
「いいえ止めます」
「離せ!」
「死なせはしない」
剣をもぎ取られ鞘ごと向こうに放られた。
「胸が苦しくて息ができない……だから」

「ピダムがお好きですか?」

……聞かれた……

瞠目し、凍りついたように動けないまま……唇を噛んだ。

※※※

様子がおかしいスンマン様の後をつけ霊廟へと忍び込む

囁く声に耳を澄ませば……ピダムと恋仲だったと聞こえた……

たった四日で別れた……?
スンマン様は今は亡きチョンミョン公主の為に色々と昔から動かれていたと聞いた……言わば礎だ、歴史に名など遺せはしない。

ピダムに選ばせ……あやつはスンマン様を捨てたのか!!

気性が烈しい分、情の深い方だから……再び会ったピダムに苦しいのか……な!剣を抜いた!

自分の首にあてている……考える間もなく飛び出して剣をもぎ取った。

「ピダムがお好きですか?」

弾かれたように私を見ている白い美貌が涙に濡れている。

ふと、手を見れば噛み痕が……泣き声を出さないよう自分の手を噛むのか、この方は……いつからそんな泣き方をしているのだ

なんと……哀しい方だ。
私の想い人は……どれほどの悲しみを背負っているのだ。

……もう…想いを止められない……

抱きしめた身体は……しばらくして抗い始めた。

「やめろ!離せ!」
「離さない……貴女を私のものにする」
「な……何を!正気か!」
「はい……貴女は今、死のうとした。いらない命ならば私がもらう」

鳩尾に一撃を入れ気絶した貴女を抱き上げ霊廟を後にした。

※※※

「んっ…こくっ……」
何かを飲まされ、気がつけば……霊廟ではない場所に……ここは?

「気がつかれましたか?」
ポジョンが寝間着に着替えて酒を飲んで私を眺めている……

「ここは?」
身体を動かせばさらさらとした衣擦れの音……布団から出た私は紗の薄い透けた服だけを着せられていて……慌てて布団に潜り込んだ。

「何をした」
「服を着替えさせただけ……まだ何もしてません」
「何がしたい」
「貴女が欲しい……全てが欲しい」

布団を捲りポジョンが覆い被さるとスンマンは……諦めたように抵抗もしない

「好きにすればよい」
「スンマン様?」
「どうせ、今止めたとて明日には姉上の側に逝くと決めた……好きに抱けばよい」
「……嫌だ…貴女を…逝かせたくない……愛しています貴女を」
「嘘だ……こんな私を愛する者などいやしない……」
「何故そう思われる?」

ぷぃっと横を向いた貴女……白い頬に口付けた
「化物が愛されるなど……ありえない……多少は見た目が綺麗だろうが中身を知れば……お前も同じだ……」
「賭博場で見た貴女の事ですか?」

図星だったのか……組み敷いて密着している身体が震えている
「あの時の私と居て生きていたのはお前くらいのものだ……」
「あの時の貴女にも同じ事を言いました」
「?」
訝しげに眉を寄せ私を見上げる貴女に微笑んでる私がいる

「愛しています……スンマン様」
「ば!馬鹿か!?……お前は……」
「最初は貴女の瞳に魅せられた……今は貴女の心が愛しい……貴女の命令ならば今ここで死ぬのも本望だ」

「では死んでみせよ」
蒼い焔が立ち昇る眼に頷くと寝台を下り短剣を取る。

スンマン様の前で服の前を広げ短剣を腹にあて、勢いをつけ刺す!!

スンマン様の腕が私を邪魔した
「本気で刺す気か?」
「貴女が命じたから……殉じられれば本望だ」
微笑む私の手から短剣を抜き私の首に宛てる貴女は……綺麗だ

「では聞くが……私の為なら命は要らぬのか?」
「はい、スンマン様」
「母や父を裏切り、もし私が命じれば……殺せるか?」
「……はい、スンマン様」
「お前……正気か!」
「貴女に魅せられ……貴女しか見えなくなり……狂ったのかもしれません……」
「私が……欲しいか……」
「はい、スンマン様……貴女がたまらなく欲しい……貴女を得られるならば他には何も要りません」

……からん…から…から……
スンマン様の手から短剣が落ちて乾いた音をたてた。

「スンマン様……」
胸に飛び込んできた躯を抱きしめ……抱き上げ寝台に寝かせた。
透けた紗の衣から覗く躯が艶かしく……震えるさまが可愛らしく……優しく口付け、服を広げ……掌に吸い付くような滑らかな肌に酔いしれた……

「愛しています……私には貴女…だけだ…」
「あっ…あっ……ポジ…ョン……私は……」

ゆっくりと……時間をかけ指や舌で溶きほぐした躯と一つになりながら……熱く囁く私に……貴女の涙が煌めいていた。

「無理は……しないで……身代わりでもいいのです……貴女の心が……求める者の名を呼べば……いい……」

そう言ってから激しく動き、何も考えられないように責めたて、貴女が達するとき……

「あ゛あ゛……ぴ……だむ……あ゛~~」
私ではなくピダムの幻影に抱かれた貴女が……美しく…愛しく…哀しかった。

貴女がぐったりと眠ったあと……私はピダムを殺しに行きたいほど憎かった。

「貴女が命じれば必ずや殺ってみせるのに……」

※※※

目覚めれば……隣でポジョンが眠っていた。
私をその腕でしっかりと抱え込んで……逃がさないとしがみつくように……

「ふふ……」

そっと腕の中から抜けでて私の服に着替えた。
脱いだ赤い紗の服を椅子の背にかけ……部屋を出ようとしたら……抱きしめられる。

「離さないと言いました」
「ポジョン…殿…」
「目を離せば逝ってしまわれそうで怖いのです」
「ふふ……お前に救われたようだな」
「え?」
「もう馬鹿な考えはないから安心しろ」
「大丈夫ですか?」
「ああ……」

ポジョンの腕から解放され部屋を出ていこうとして……躊躇われた。
「スンマン様?……どうされました?」
「……分からない」
「スンマン様?」
「ただ…このまま…お前と離れたくなくて……」
振り向いたスンマンの頬が染まり照れくさいのか、そっぽを向いていた。

ポジョンが駆け寄り嬉しげに抱きしめ口付けた。


再び寝台に寝かせられたスンマンが…歓喜し夢中になったポジョンにその夜の間中、愛されて……ようやく眠りについたのは朝日が昇り始め辺りが明るくなってからだった。

※※※

「ピダム朗、少し話がしたい」
「あ?……いいけど」

騎馬隊の執務室で二人きりになったピダムの胸ぐらを掴み壁に押しつけた!

「なにすんだよ」
「昨夜、スンマン様に何を言った!」
「はぁ~?……お前に関係ないだろ」
「いいから何を言ったのだ!」
怒りに燃える眼がピダムの口を開かせた……

「黙っててほしい……だと!」
「ああ……俺はトンマンが好きだからな……」
「それも言ったのか?」
「ああ!…もう離せ!」
「……スンマン様は…お前にとって…」
「俺には関係ない、終わった事だ。俺は新羅の王になる」

……その為にトンマンが好きなのか?……だがピダム、お前は新羅の王家に詳しくないのだな……

「お前は……馬鹿だな」
「何だと!」
「いや、もういい」

部屋を立ち去り様、馬鹿なピダムを見て笑みがこぼれた。

この新羅で既に王位継承権がある聖骨がトンマンとスンマン様しかいない事を知らないピダムがおかしかった……

いくらチュンチュが頑張ろうと骨品制が新羅の根源なのだ……王位には遠いだろう

トンマンが死ねば次の王位はスンマン様だ……

ピダム…権力にとりつかれ…愛を棄てたお前が…気がついた時には遅いと思い知らせてやる

あの方は私が貰う

私の命より大事な方を棄てた罰は、いずれ受けろ……

私の命より大事な方を傷つけた………罪は大きいぞ

そろそろ目覚められているかな……

スンマンを隠したミシルの宮の地下室にポジョンは急いだ。

※※※

ピダム悪う~~
このピダムはいつものピダムとは別物と考えて下さいね

どっちかってーと、ノベライズのピダムに近いです。
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すー※さん

Author:すー※さん
私的妄想世界が広がっております。
イチオシは窪田正孝さんの役柄いろいろ妄想話です♡(その他にも相棒の神戸さん、スネイプ先生や善徳女王など色々でございます)

最近は更新ができてませんが、発作的に投下してます。
8月、9月の試験に受かれば時間ができるので、それまでは見守っていて下さいませ。

合言葉は『シリアスからエロまで』・・・・・楽しんでいただければ幸いです。。。

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