☆ある若き日の思い出。前編

管理人の若き日の苦い思い出を、相棒メンバーでフィクション&ノンフィクションを交えてお送りします




「いいか、保険とは基本的にこういう構造になっている。 この基本のものを組み合わせて色々な種類があるんだ」
「はい、支部長!」

私はこの間入社した新人生保レディーの野間 茉莉(のま・まつり)、営業なんて始めてだけど胸は希望に燃えているんだ!!!

目の前の・・・メガネとオールバックがお似合いの方は、この支部の支部長の大河内さん。
偶然なんだけど、私の入社と支部長がこの支部に配属になったのが同じ日で・・・・・・それのせいかは分からないけど可愛がっていただいてます。

金融監督庁の試験に合格した人しか入社できないんだけど・・・・・・試験に合格したからって保険が分かるかといえば・・・・・・・

正直、さっぱり☆

そんな様子に見兼ねた支部長が業務が終わった夜に毎日、保険とは・・・と教えてくれるんです。
腕まくりして白板に授業よろしく書いて行く様子はまさに先生です。

でもね、赴任したての支部長は前任者からの引き継ぎやらなんやらで机に山のように書類があって、教えていただけるのは嬉しいけど、それが心苦しいというか・・・・・・

ノートに書いて必死についてこうとする私は、今思えばこの頃にはもう・・・・・・苦しくも苦い恋に足を突っ込んでたと思うの。。。




「で? 入社祝いに飲みに連れてけって電話をかけてきて・・・ 恋の相談してくるなよ」
「いいじゃん! こんな話、タケちゃんしか言えないし! 聞いてくれるくらいしてよ・・・幼馴染のよしみでさ」
「あ〜〜・・・はいはい」

「でもタケちゃん・・・豪華なところに連れてきてくれたね。 ・・・・・私、お金無いよ」
「お前にたかろうとは思わないよ! ま、入社祝いだし・・・今夜は俺の お・ご・り!」
「やった! 酒が飲める酒が飲める酒が飲めるぞぉぉ〜〜〜」
「こら! 女の子がはしたない! そんな歌を歌わないの!」

カウンターで並んで飲んでいる、隣の男性
細身の仕立てのよさそうなスーツをサラリと着こなし、色ものシャツも上品に身に纏う・・・
ネクタイも時計も持ち物は全て1級品なのに、嫌味なんて感じない笑顔の素敵な男性は・・・・・・私の5コ上の幼馴染

神戸・尊(かんべ・たける)さん、呼び名はタケちゃん!!!

彼は一流商社に勤めてて、エリートコースを歩んでるっていう頭の切れるイケメン!
そんな彼の隣には、私みたいな地味なのは不釣り合いなんだけどね・・・・・・だって、店の女性客がタケちゃんを見て目をハートにした後、私を見て『何でこんな子と???』って顔してるのよね

昔からだから、慣れたけどね・・・・・・

モテる彼を呼び出したのは、入社以来・・・・・・日々、傾いていく私に喝!を入れて欲しくてなんだ
1ヶ月立つ頃には、嫌でも自覚症状がでちゃってさ・・・・・・何だかな

「何でさ? 奥手の茉莉がやっと男に興味がでたんだ! 応援するよ!」
「・・・・・支部長には奥さんも小学生のお子さんもいるんだよ。 私は・・・・・・」
「本当に好きならさ・・・・・・」

タケちゃんが綺麗な顔を私に寄せて、こっそりと爆弾を落とした

「奪っちゃえば?」
「な・・・な・・・何を言ってんの!!! そんなの・・・ダメだよ!!!」
「どうして? 本気で好きなんだろ? それともちょっと好きってくらいなの?」

タケちゃんの眼が鋭く、近年見たこともないほど真面目に私を見てくるから冗談で返せない・・・よね

「茉莉・・・・・・俺には正直に言ってごらん」

「・・・・・・・私ね、綺麗事いうなって言われるかもしれないけどさ。 大好きな人だから・・・家庭を壊したくないんだ」
「うん、それで?」

「小学生のお子さんもパパが大好きなんだって・・・ 子供の話をしてる支部長の顔見てたら、こんな不純な気持ちを持ってる私がさ、自分で情けないんだよね・・・」
「うん、」

「自分の山ずみの仕事を置いといても私を一人前にしようと教えてくれる・・・・・・ 子供の話で幸せそうな顔してる支部長に・・・ こんな気持ち抱いちゃいけないんだよ!!!」
「うん、茉莉ならそういうと思った。・・・・・でも諦められるか?」

「・・・・・・諦めてみせる! 自分の恋心・・・潰してみせる!」
「辛いな・・・ 辛い時、いつでも相談してこいよ! 愚痴くらいいつでも聞いてやるから」
「ありがとタケちゃん」
「・・・・・今夜は飲めよ。 家に送ってやるから」

「んじゃーねぇー・・・ 片っ端から持ってこぉぉーーーい! 《パコッ》」
「調子にのるな! 」
「ごめーん」

あははっ・・・ってタケちゃんと笑いあって、美味しいカクテル飲んで、ほろ酔いで送ってもらって・・・
私は自分で自分の恋心を抑えることに決めたんだ




あれから1年が過ぎた。

大河内支部長との授業は、いつの間にか日々の『お疲れ会』になっちゃってるんだ
『お疲れ会』ってね、皆が帰った夜の支部で2人っきりでの飲み会なんだけど・・・・・・
そんな飲まないよ? ビールで350㎖缶を1本、お疲れ〜〜って言って飲みながら話をするだけ!

話の内容は仕事のことばっかり! あはは、見事なくらい仕事の話なんだよね・・・でも、理想を語る大河内支部長は、すごく素敵で・・・・・・胸が苦しくなってしまうんだ

「いいか野間! これからの生保レディーは設計書を隅から隅までお客に説明できないといけないんだ」
「分かってますって! 耳にタコです、支部長」
「今までのような営業じゃダメなんだよ! いいか野間! 短いスカートなんて履くなよ! 頭で勝負しろよ!」
「そ・れ・も・耳タコです! 支部長に仕込まれましたからね、大丈夫ですよ」

・・・・・・・それに男の人が苦手な私に短いスカートなんて無理だし
そう、男性でここまで親しく話せるのは父親を除けばタケちゃんと支部長しかいない私は、彼氏いない歴=生まれた年なんだよね(とほほ・・・)

高校も女子高で、大学もエスカレーター式にそのまま女子大に入った私は・・・・・・・男性が苦手です

正直、30目前でどうかと自分でも思うんだけどね・・・・・・ あれだ! 幼馴染のタケちゃんのレベルの高さがいけないんだよ、きっと。。。
ここに入社するまで勤めてた所で男性に誘われても、仕草とか性格とか・・・・・・ついつい悪いと思いながらもタケちゃんと比べちゃってさ・・・

あんな美形がそうそういるわけないし、気配り上手で優しくて・・・でも漢気(おとこぎ)もあるなんて人、そうザラにいるわけないよ!!!
オシメしている頃から私のこと面倒みてくれてたタケちゃん・・・・・・もうね、刷り込みだよ!
『男性の基準』がこんなレベル高いし、そういう私は地味で不細工なんだから・・・男性と縁がないのも当然だよね

お父さん・お母さん・・・ 私、お嫁にはいけないかもしれない

「え〜〜〜・・・俺のせいなの?」
「そうだよ! ちっさい頃から優しくて綺麗なタケちゃんに慣れちゃってさ・・・ 他の男子の乱暴さに拒絶反応起こしたんだもん! 小学生の頃なんて男子に虐められたし・・・・・・そんなのが重なっちゃったの 」
「・・・・・・そっか」
「それに・・・ ちっさい頃からタケちゃんのハンサムに慣れちゃってて・・・ それなのに私は地味で不細工で、相手にされるわけないじゃん!」

カラカラと笑いながらカクテルを飲んでいると、あれ? あれれ? タケちゃんが顔を寄せてくる?

「茉莉は可愛いよ! 磨けば光るダイヤの原石みたいだよ・・・」
この美形め!!! 見慣れた私でさえこの距離だと赤くなっちゃうじゃないかっ!!!

「くぅ〜〜〜〜・・・・・不意打ちは卑怯なり!」
「あはは! 茉莉ってば真っ赤! 」
「もう! タケちゃんは殺人的に美形なんだから・・・ いつもそうやって女の子口説くんでしょ?」
「ひっどい! 俺はそんなに節操なしじゃありません!」

「じゃあ私相手に冗談してないで、ちゃんとした彼女さん作りなよ?」
「俺のことはいいから・・・ 茉莉は、その後どうなの?」

なんやかやいいながらタケちゃん、心配してくれてるんだもんね。
2週間に1回は飲みに連れてってくれるし、メールとかにも答えてくれるし・・・・・・感謝しなきゃいけないわ

「ん?私は変わらないよ・・・ ちゃんと抑えてる、大丈夫」
「そ? それならいいけど・・・」
「それより困ったことがあって・・・」
「なになに? タケちゃんに 言うてみなさい!」

そう、この頃とくに・・・・・・ 支部の先輩なんだけどね
私がトイレに行って出てくると、必ずその人がいるんだ・・・・・・そして。。。

「野間さんって、皆が挨拶するから羨ましいわ〜〜・・・私なんて皆に嫌われてるから、誰も挨拶してくんないし」
「野間さん・・・・・・優等生だよねーーー あの妖怪みたいな先輩方にも可愛がられて・・・いいねぇーーー」
「野間さん、私ね あなたのことが羨ましいのよ」

毎日こんな風に言われてさ・・・・・・正直、しんどいよ

「何が言いたいんだろ?」
「・・・・・・・・わかんない。 入社して3ヶ月くらいの頃からずっとなんだけど・・・・・・今でも分からない」
「まあ、言ってる内容は褒めてるんだし・・・ 気にしないようにしたらいいんじゃないかな?」
「でも、昨日は・・・『野間さんって、支部長のこと好きでしょ?』なんて言われたよ」

「・・・・・・気をつけろよ」
「私よりずっと先輩だし、もう受け流してることしかできないよね」

タケちゃんに愚痴って、スッキリした私は美味しいお酒を飲んで帰ったのでした!




私は、気持ちを押し潰す変わりに・・・・・・大河内支部長の役に立てる部下でありたいと、頑張る日々が続いた

仕事はもちろんですが、支部での催し物・・・例えばバーベキューにバスで行くとか、バス遠足で遊園地に行くとか、温泉旅館で皆で1泊とかの時、私は支部長から【宴会部長】に任命されて皆を楽しませるために色々としていたの

温泉の時なんて皆が食事している中、クイズやビンゴ大会で盛り上げ自分はほとんど食事ができない状態でさ
片付ける中居さん達が「美味しそうなものだけ食べなさい。このお膳は最後に片付けるから」と言われて焦って食べたことを覚えてます

「こんなに盛り上がった宴会も久しぶりだわ。頑張ったね〜〜」
嬉しいお言葉を頂きました!

・・・・・・・・でも、こういう風に言われる私が嫌な人が、確かに居たんです

入社して1年が過ぎて、私は支部長から《チームリーダー》というものに抜擢され、胃が痛い日々を送るようになりました。
だって私を入れて8名のチームの中には、生保レディー歴30年とかの超ベテランさんもいるんですよ!!!
私なんかより、その方の方がリーダーに相応しいじゃないですか? ねえ? ねえ〜〜〜!!!

毎日の朝礼での成績発表に始まり、チームのメンバーの成績やメンタルに気を配り、ついて来て欲しいといわれればお客様への説明にもついて行き援護射撃をする毎日。。。

1年しか経ってないペーペーには荷が重すぎますよ、支部長!!!

「野間なら出来る!!!」

んな訳あるかっ!!! もう重圧で・・・・・・胃に穴が開きそうです

そんな毎日の中で、やりがいと重圧に挟まれながら過ごした・・・ある日

保険会社には保険月というものがあり、ノルマも倍な月があるんです。
8月の保険月のとき、支部長が檄(げき)を飛ばす日々の中、私のいる支部の中から成績優秀者が出て表彰式&パーティーに呼ばれることになりました。

・・・・・・・私もその中に入ったのです

会場でのパーティーがすんだ後、二次会、三次会と続く中私は二次会で失礼して・・・一度支部に戻った私は明日の用意をしてました。
事務の方も帰った中、私が残っていると支部長が鍵を閉めに戻って来ました。

「野間、帰るぞ!」
「はい」
「それにしても、良くやった!!! 俺も嬉しいぞ」

パーティーでもらった大きな花束を抱えてエレベーターを待っているとき、私は誰もいないことを確認して一生に一度の勇気を振り絞り・・・・・・

「・・・・・・お願いがあります」
「何だ?」
「一度だけ・・・抱きしめてもらえますか?」

一度だけ・・・・・・一度だけでいいんです・・・ この恋の思い出に・・・・・・
私の必死の願いが伝わったのか、支部長は黙って私を抱き寄せて・・・ 両腕を回して抱きしめてくれました。

エレベーターが来るまでの ほんの何十秒かの抱擁。。。

「ご褒美だからな・・・ 」
「・・・・・・はい」

背中を・・・ 子供をあやすように撫でられていたのを覚えています。

エレベーターが着いてチン!と軽い音が聴こえて、私達は離れ・・・・・・私は思い出を1つ、もらえたんです。
それだけで満足でした。
部下としてのやりがいも、仕事の責任も、お客様との触れ合いも大好きで・・・・・・このまま、続けていけると思ってました。

そう、あの時までは。。。

何も望んでいませんでした。
もともと美人が好きだと宣言する支部長の『嫁は本社で受付してて、一目惚れで口説き落とした』と言っていたので、私のような地味なのは無理だと分かってました

家庭が円満で、仲の良い親子で、仕事も充実して・・・・・・それの何1つ、壊すことのない様にとだけ願ってました。

この恋が、辛いけど本気だった恋が・・・・・・ 壊れる、あの時までは。。。




はい、管理人のすーさんです! このお話は何を隠そう管理人の10ウン年前の実話を元に書いております。
思い返すこともできずに忘れてしまえたら・・・・・・そう、思ってましたが・・・不意に書きたくなって。。。

吐き出すことも心の癒しになるだろうと思い、書いてます

作中の名前などもこういう名前ならいいなぁーという管理人の妄想なので、実際とはまるっきり違います

タケちゃんのようなハンサムな幼馴染みは管理人にはいません! (残念ですが)
ただ、救いが欲しくて・・・・・・あの頃の私に救いをあげたくて、神戸さんを出してしまいました。

支部長もメガネとオールバックだけは大河内さんに似てますが、大河内さんほどイケメンではありません(笑)

後半、ドロドロなのでお気をつけあそばせ・・・・・・
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すー※さん

Author:すー※さん
私的妄想世界が広がっております。
イチオシは窪田正孝さんの役柄いろいろ妄想話です♡(その他にも相棒の神戸さん、スネイプ先生や善徳女王など色々でございます)

最近は更新ができてませんが、発作的に投下してます。
8月、9月の試験に受かれば時間ができるので、それまでは見守っていて下さいませ。

合言葉は『シリアスからエロまで』・・・・・楽しんでいただければ幸いです。。。

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