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祝☆2000打記念 《萩一枝》(はぎひとえだ)

記念リクエスト第一弾!は、うさこ様リクエストの【善徳女王とピダム司量部令】の物語でございます

しっとり感を出そうとして、何故か悲しい系になってしまいましたが、うさこ様これでもよろしいでしょうか?

うさこ様だけお持ち帰り可能です  では・・・

***

「司量部令!」

俺を呼ぶのは異父弟のポジョン・・・何事だ?  執務机で書き物をしていた俺は入口で礼をとるポジョンに顔を向けた

「陛下が御呼びだと内官から伝令がありました」
「分かった!  直ぐに行こう」

司量部にと陛下から賜り造り上げた建物から出た俺は・・・暫くぶりに見る外の景色に目を囚われた

萩の枝から赤紫の花が幾つか見えるが・・・

「もう秋か・・・」

司量部令として軌道にのった今と違い、数年前に就いたこの役職・・・就いたばかりの時は、自分でも笑っちまうほど訳も分からずにいたな

この宮中のことを何一つ知らなかった・・・誰も教えてくれず、誰も俺を必要とせずに生きてきた

俺は・・・誰かを必要としていたのにな・・・

ふふっ・・・だが俺には仕えるべき主ができ、想いをかける女人もでき・・・いや、俺の世界の全てになる人ができた

「陛下・・・」

秋風に飛ばす貴女を呼ぶ俺の言葉を、どうか御許し下さい

もう呼ぶことの叶わぬ・・・呼びたくとも呼べぬ御名を・・・

「・・・・・・」

さ、行かねば・・・  意外に短気な陛下を御待たせするなど畏れ多いことだからな

俺は黒衣を・・・  物思いを絶ちきるようにバサリと翻し仁康殿へと向かった

***

「遅かったな」

声をかければ恭しく頭を下げる黒衣の司量部令・・・  ぴしりと整えられた髪から、黒に銀糸の刺繍を施した衣服

最初の頃の戸惑いも拭い見事なまでに宮中に溶け込んでいる

「・・・陛下?」
「っ!  ああ・・・すまないな呼びつけておいて」

「いえ・・・それよりも陛下、御急ぎでなければ少し外に出てはみませんか?」
「外へか・・・」

「この頃はこの宮で執務に打ち込まれ、外出といえば便殿までの渡り廊下くらい・・・少し気晴らしでも致しましょう」
「・・・少しだけ、ならな」

どうしてそんな気になったのか分からないが、ふと・・・少しだけ・・・時間が欲しくなった私は警護のアルチョンに目配せしていた

そうして私達は初秋の庭を歩くことにしたのだ

***

「ああ・・・夏の暑さも引いて風が心地好いな」
「・・・ようございました」

激務に追われた陛下の顔色が日々、少しづつだが白く・・・青ざめていかれていたからな

穏やかな陽光が美しく整えられた浮橋や池の水面に煌めいている

その光景を見ながら ゆっくりと歩く陛下と私・・・

「昔は朗徒として走り回っていたから季節の移り変わりもよく分かっていたが・・・景色を楽しむなんて思いもしなかったな」
「訓練に明け暮れていたのならそうでしょうね」

くすっ・・・1つ笑いを溢せば陛下の大きな目が釣り上がった

「笑うな!  ・・・仕方がないだろう訓練についていくだけで必死だったんだ」
「失礼致しました」

「夏場はいいが私は砂漠育ちだからな、冬場がキツかった  それでも訓練は休めないからな文句を言いつつ過ごしていた」
「・・・・・・私も冬が嫌いです」

寒さには平気な俺だが・・・冬の孤独は俺の心を凍てつかせる

「ところでお前はどうして散歩をしようだなどと言い出したんだ?」
「簡単です  ・・・昔を思い出し、少しの時を陛下と話してみたかったのです」

「昔か・・・」
「はい  司量部令を拝命した頃のことが思い出されまして・・・」

「あの頃は忙しかったな  全てが・・・」
「はい陛下」

「あの頃・・・ぷーっっっ!!!」

何だ何だ?  陛下が吹き出してしまったぞ

くっくっくっ・・・と笑いを抑えても、抑えきれない物が込み上げるのか陛下の笑いは暫し続いた

「ぷっ・・・くくくっ・・・あはは・・・ぐう・・・」
「何故御笑いになるのかは解りませぬが我慢なさらずに御笑い下さい」

「どぅわっはっはっはっはっはぁあああ~~~」
「これまた盛大で・・・」

俺の言葉に戒めを解かれたように一気に笑い始めた陛下は、ひぃーひぃー言いながら俺を横目で見て・・・・・・また大笑い

「ふむ 察するに我がことで陛下は御笑いなのですね」
「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・  あ゛ーー苦しかった!  その通りだ察しが良いな 司量部令」

手にしていた扇でパチン!と掌に小さな音を作り、チラリと陛下を横目で見やればバツの悪そうな陛下の目と合う

「そう機嫌を損ねるな  ・・・・・・最初の頃のお前の格好を思い出していたのだ」
「私の格好を・・・」

ああ、そりゃ吹き出すわな・・・  今でこそ貴族共が震えあがる黒衣の司量部令だが、最初の頃など花朗の時の髪型に飾りもない真っ黒な服だった

自分でもちぐはぐなのは判っていたが・・・  知らないという事は恐ろしい・・・思い返した俺ですら恥ずかしさに汗が出そうだ

「ポジョンに服や髪など教わったのだったな」
「ええ・・・  ハジョンなどは嘲笑うだけの猿ですからね  教えてくれる者など誰も居なかったので・・・あの時は困りました」

正直、装うことなど興味も無かったからな・・・  ある程度は自分で用意も出来るが宮中においては通用しないことを嫌と言うほど味わった

その時、【司量部令として相応しい装い】を考え手解きしてくれたのが誰あろう・・・  異父弟ポジョンだった

もともと芸術的な感性を持っていたポジョンは、直ぐに服を作り俺に用意してくれた

ポジョンの父であるソルウォン公が率先して俺を擁護してくれたのも、ポジョンを動かしていたんだろう

「・・・・・・ですから我慢せずに御笑い下さい」
「ぷっ・・・いや  すまないな」

全く・・・陛下が楽しげに笑ってくれるなら、幾らでも俺を道化にしてもいいのに・・・  変に我慢してる方が収まらないだろうに

「久しぶりに・・・  これだけ笑ったな」
「恥ずかしい記憶ですが陛下が御笑いになられるなら、良かった過去になりますね」

「ふふっ・・・」

半月の澄んだ目を細め唇が弧を描いて笑う陛下・・・

そんな陛下のあどけなくも思える笑顔などいつ振りだろうか

私は懐に忍ばせていた懐紙を取り出し陛下に見せれば、貴女は子供のように・・・期待に瞳を輝かせて私の手元を見ている

「ピダム!  それは何だ」
「仁康殿に来る途中に摘みました」

懐紙をピダムが広げると中には萩の一枝が入っていた

「美しい色の花弁をしておりますから陛下にも見ていただこうかと・・・」
「萩か・・・花枝の先にしか花びらがないが控えめで好きだな」

「陛下ならそう言われると思っていました」

「私はごてごてとした大輪の花が苦手でな・・・花に負けてしまう気がするんだ」
「その様なこと・・・たかが花ごとき陛下の敵ではありません」

「そうか? ふふっ・・・そんな事を言ってくれるのはお前だけだぞ」
「これを・・・失礼します」

ピダムは懐紙から花枝を取りトンマンの髪に差した

それはピダムにトンマンの肌や髪を眺める時を与え、トンマンは唯一人・・・自分を女として見てくれる男との思い出を与えてくれたのだった

***

《わぁー・・・  わぁー・・・  わぁー・・・》

「うるせーな・・・  へへっ・・・  大人しく待ってろって・・・  今から相手してやんよ!!」

今・・・  ピダムの周りには陛下の兵達が二重にも三重にも囲んで槍を、剣を、向けていた

「へっ!  お前らなんぞ俺の敵じゃないんだよ」

兵を薙ぎ倒し向かう先は・・・・・・愛しき女の天幕

「あと・・・  七十歩・・・」

懐には、あの日の想い出の・・・  萩の一枝を持つピダム

彼がやっとの思いで女王の目前に出たとき・・・・・・

ユシンの太刀に斬られたとき・・・・・・

彼の左手には、赤紫色した花弁を付けた枝が握られていた

・・・・・・彼が、地面に倒れる前に確かに目があった女王に差し出していたものは、一体なんだったろうか

萩の一枝か・・・・・・  はたまた、あの日の想い出の一時か・・・・・・  



それはもう・・・  命の炎が燃え尽き倒れた男にしか分からないものなのだろう・・・・・・

アルチョンが静かに近付きピダムの手から枝を取り、女王へと持ち去った・・・・・・だが、女王は受け取ることもなくピダムと同じように倒れてしまった

「陛下!!!  医師を呼べ!  医師を呼ぶのだ!!!」

駆け寄るアルチョンが女王を天幕の中へと運ばせ、皆が騒然とするなか・・・・・・一陣の風が駆け抜けていく

その風に吹かれ、飛んでいったのは・・・・・・彼の人の想いか・・・・・・萩の一枝が天空へと舞い上がり消えていった今は、誰も、何も、解らぬまま・・・・・・

風よ吹くな・・・・・・  彼の人の想いを・・・・・・  せめて孤独な女王の慰めに・・・・・・

届けてほしい・・・・・・  彼等のかつての日々を・・・・・・


『ぷっ・・・  くくくっ・・・  お前の格好ときたら』
『御笑い下さいとは申しましたが、いつまでそのネタで吹き出すつもりですか?』

『はっはっはっ!  すまぬ、すまぬ』
『はいはい・・・次は伊達者と言われるようにポジョンに命じます』

『お前はそのままが・・・  似合うぞ』
『陛下・・・』

『・・・・・・次の案件はどうなっている』
『はっ!  はい!  此方に』

もう、誰も・・・  分からぬ 日々。。。。。

***

えっと、悲恋系になってしまいましたが久しぶりにトン&ピを書けて楽しかった管理人です
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コメント

☆うさこ様へ☆

うさこ様、おはようございます  そして返事が遅くてごめんなさいです

おおっ!!  ご配慮ありがとうございます!  そうですねリクエストを募集するときは「何がくるかな?」とドキドキしますのものね(それも楽しいのですが)

今回、題名にちなんでパソコンで検索していたら画像と文章にムクムク妄想が膨らみまして・・・ 書き始めて3日で出来上がりました

実は姑の病院や子供のことでバタバタしてまして、携帯でちょこちょこ書いていました(笑)

この頃はパソコンに座る時間も取れずにいるので、携帯が私のSSのツールになっています!

うさこ様リクが1番だったのは実は私も驚いてまして・・・・・・

> 善徳を自ブログ最近UP されてらっしゃらないのに無理矢理なお願いをしてしまって…とか。
↑今年に入って善徳は書いてない歴、半年超えましたから(リレー連載は除きます)少しばかり不安でしたが、なんて言えばいいんでしょうか・・・

会わずにいた時間なんて会ってしまえば関係の無い親友のように、私の中にはトンもピダムもスンマンもポジョンもミシルも・・・  みんな居てくれてました

っていうか、ピダムが「書け書け」煩くて(笑) 「お前の書く俺は子供っぽいから、もっと大人な俺を書け」なんて・・・・・・うるさかったです

> 華やかな大輪の花ではなく萩が ̄(=∵=) ̄っぽくてなんとなくよかったので…

トンも大輪の花よりも萩が好きだろうな・・・と、私は思います!

うさこ様、素敵なリクエストありがとうございました m(_ _)m

> ただ最後でなく最初にお書き頂いたり…恐縮しました(ぺこん)

そんな気にしないでくださいね!  妄想が沸き立った順ですから!(ここ大事です)

> 萩一枝…
> “高く澄んだ青空と舞いあがる風のようなお話”であったと ̄(=∵=) ̄は思います。
>
> 重ねてお礼申し上げます。

喜んで頂けたようで私も、嬉しいです

(o・・o)/~

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

☆うさこ様へ☆

うさこ様、おはようございます!

今回、【お題を頂いてのお話し作り】楽しかったです!

ウィ☆ペディアで萩を調べている中にあった1文・・・ 「昔の日本では髪に飾っていた」この1文からムクムクと沸き上がり一気に書ききった感じです

なので・・・・・ もしかして うさこ様にもっと詳しく聞いた方がよかったかな?と、書いてから気がついたドジっ子です

> この題でお願いしたのには訳がありましたがすーさんは(様をつけませんがお許しください)そんなうさこの思いを豪快に越えるかただと改めて知りました。

今更ですが、訳って? 今度聞かせてくださいね(ほんと考えナシで突っ走るのが得意なもんで・・・汗)

頭に浮かんだ映像を文章にしてる私ですが、最終回の場面は2回ほど視聴しただけなのに、やはり鮮明に浮かんじゃいますね~

> リンクのお誘いを受けたとき嬉しかったですがそれ以上に今喜びがあります。
> すーさんは ̄(=∵=) ̄の考えの
> その先を行かれるかただと…

よ・・・喜んで頂けて良かった! 内心、久々のトン&ピなので可笑しな所はないかと冷や冷やしてましたから
特にピダムの口調が司量部令の時と、戦闘のときとで変わるので気になってたりしてます(笑)

> あの場面と重なりピダムの胸に萩が一枝あった、と本当にそう感じることができました。
> ありがとうございます。

わーい! 褒められて嬉しいです(#^.^#)
リクエストされた うさこ様に満足してもらえるかドキドキでしたが、ほんとホッとしつつ嬉しいです

> 人を惹き付けるお話を書くことのできるすーさんをうさこは尊敬します。

キャーーーーーーーΣ(゚∀゚ノ)ノキャー  畏れ多いことです、陛下! わ、私のような者などを尊敬だなどと・・・・・でも、すっごく嬉しいです!!!

やった! ってガッツポーズをしてるくらいです(恥ずかしい奴ですみません)

>  ̄(=∵=) ̄もすーさんのリンク先に恥じないブログ(SS )たらんと心掛けを新たにしました。

うさこ様、そんな事仰らなくても十二分に立派なブログ(SS)ですよ!

> (すごくマジメな生徒のような ̄(=∵=) ̄←ような…ですが)←(笑)
> お辞儀します(ぺこりん)

こちらこそ(ペコリン) 暫く善徳女王からは遠ざかってる私ですが、これからもよろしくお願いします

ではでは (o・・o)/~

やはり ̄(=∵=) ̄はすーさんを尊敬し続けます!

こんばんは、

とてもドラマ性の高い『萩一枝』うさこ心より御礼申し上げます。
このシーンに織り込んでくださるとは…
まったく予想しておりませんでした。
予想外ということがこれほど素晴らしいことなのだと今回深く知ることが出来ました、重ねてお礼申し上げます。

この題でお願いしたのには訳がありましたがすーさんは(様をつけませんがお許しください)そんなうさこの思いを豪快に越えるかただと改めて知りました。

リンクのお誘いを受けたとき嬉しかったですがそれ以上に今喜びがあります。
すーさんは ̄(=∵=) ̄の考えの
その先を行かれるかただと…


萩一枝…

>それはピダムにトンマンの肌や髪を眺める時 を与え、トンマンは唯一人・・・自分を女と して見てくれる男との思い出を与えてくれた のだった

>彼の左手には、赤紫色した花弁を付けた枝が 握られていた

・・・・・・彼が、地面に倒れる前に確かに 目があった女王に差し出していたものは、一 体なんだったろうか

萩の一枝か・・・・・・ はたまた、あの 日の想い出の一時か・・・・・・

あの場面と重なりピダムの胸に萩が一枝あった、と本当にそう感じることができました。

ありがとうございます。

人を惹き付けるお話を書くことのできるすーさんをうさこは尊敬します。

 ̄(=∵=) ̄もすーさんのリンク先に恥じないブログ(SS )たらんと心掛けを新たにしました。

(すごくマジメな生徒のような ̄(=∵=) ̄←ような…ですが)←(笑)


お辞儀します(ぺこりん)
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すー※さん

Author:すー※さん
私的妄想世界が広がっております。
イチオシは窪田正孝さんの役柄いろいろ妄想話です♡(その他にも相棒の神戸さん、スネイプ先生や善徳女王など色々でございます)

最近は更新ができてませんが、発作的に投下してます。
8月、9月の試験に受かれば時間ができるので、それまでは見守っていて下さいませ。

合言葉は『シリアスからエロまで』・・・・・楽しんでいただければ幸いです。。。

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