2012.03.22(木)
⑦≪闇と月光≫~疲れるんだが・・・~
やはり、皆で賑やかなのがいいですよね! そして、ヴォルデモードですが・・・
私が考える彼の身の振り方です(笑)
*****
「・・・・・・・はぁ」
自分の小さな掌を見て、なんだか ため息がでた
「起きたのか、レイ」
「・・・・しぇぶ」
静かに寝室に入ってきたセブが、私の横に座るとベットが沈み・・・ 小さな身体は、コテンと彼の身体に傾く
「くくっ 幼くなると舌っ足らずになるのだな」
「・・・・げんき だった?」
楽しそうに笑いながら私を抱き上げたセブは、隣の部屋へと連れていきソファーに座る
何故かソファーに座ったセブルスの、膝の上に座らされている私
「ホットミルクだ 何も食べてはいないのだろう?」
「ありあと」
うまく喋れない私の言葉に、またもや笑い出すセブルス
ふぅーー・・・ ふぅーー・・・ カップに息を吹きかけて、ゆっくりと飲む
「あちゅっ・・・」
「まだ熱かったか、すまぬ」
セブルスが私の手からカップを取り上げ、ふーふーと息を吹きかけてくれる
背中をもたれさせれば、セブの胸の中で・・・・・・ 私は、体中の力が抜けていくのを感じる
戻って・・・ 来れたのだな・・・ この様に小さな身体になっているとはいえ、戻れた安心感に不意に眼から零れたものがあった
ぽたっ・・・・・・ぽたっ・・・ぽと・・・
丁度カップを持ち息をかけていたセブの手にかかったモノは、私の涙で・・・・
カップをテーブルに置いたセブが、私の頬に触れ顔を自分の方へと向かせれば・・・・・・その黒い瞳が涙に驚き、次いで優しく細められた
「レイ、よく戻ってきた 待っていた・・・ 待っていたのだ」
「しぇぶ・・・ ちゃだいま」
小さな身体の両腕を広げてセブに抱きついた私は,、彼の大きな身体にすっぽりと包まれて抱きしめられた・・・・・・
「おかえり、レイ」
あの頃とは違う低い大人の声の彼に、その低く、甘い声の囁きに・・・ 胸の奥がトクンと高鳴っていた
***
「ん~と、これをきるの?」
セブ曰く、私が寝ている間にお爺様から届けられた洋服は・・・・・・・う~~ん、可愛すぎて着れないのだが
何しろサイズがサイズだからな、これしかないのだから仕方がないか・・・・・・
私は合っているのか分からないなりに、ソレを着ていった
驚いたことに洋服は元より、靴のサイズもピッタリなのだから・・・・・・さすがお爺様だな
セブの寝室にある姿見に写して、着方が間違っていないか確認し隣の部屋へと歩いていったのだが
「しぇぶ きれたよ」
どうしたんだろう? セブが私を見た途端、口を開けたまま呆然としている
ああ、紅茶を煎れていたんだな
動きの止まったセブの手元のカップからは紅茶が溢れてテーブルどころか床まで垂れてしまう
「しぇぶ・・・こうちゃ」
ああ、話しにくい・・・ 単語しか言えない自分の言葉に、苛立ちそうだ
≪姫様! クマをお使いになられたら如何ですか?≫
「くぅま?」
ああ! 分かったぞ 私のクマを取り出してリョクに術をかけてもらえば、クマから私の声が聞こえるようになった
私の思念をクマの腹から【声】として出しているから、舌っ足らずにならずに言いたいことが伝えられる
「ありがとうリョク、これで思うまま話せるぞ」
≪姫様がどこかを触っておられればクマから御声がでます 御不自由でしょうが、少しの間の御辛抱です≫
「ふふ・・・分かった」
「では、行きますかな」
ふわり・・・・・・と、セブに抱き上げられた私は、彼に片手で支えられ、首に抱きついていた
「セブ、逞しくなったな」
「あれから何年経ったと思っている、我輩も学生時代とは違う」
「我輩? いつからセブって我輩って言ってるんだ?」
校長室までの道すがら聞き慣れないセブの一人称に、聞いてしまった
「ここで教授職に就いた時から・・・・・・ですかな」
・・・・・・生徒に舐められるのは敵わんからな、そんなセブの呟きが聞こえた
「教授? セブ教授なの? ええ! 何の?何の?」
「ふん、お前が言っていたであろう? 魔法薬学以外に何がある・・・ 我輩はDADA(闇の魔術の防衛術)がいいのだがな」
「えーーー セブが薬学の教授! うわ! 見せろ、セブの姿が見たい!」
「こら。暴れるな! レイ・・・分かったから、分かったから大人しくしろ」
校長室の前の廊下で私はセブの腕からピョンと降りて、彼をまじまじと見つめた
全身真っ黒な洋服で最初は笑いそうになったけど・・・・・・ セブが僅かだけど照れてるような顔してたから笑いは堪えた!
釦のいっぱい付いたフロックコートは詰襟と袖口から白いブラウスが覗いてるし、裾にも釦が並んだズボンに、手触りのいいローブで全体的にシンプルな格好・・・・・・
ちゃんと見るのは戻ってきてから初めてだね、セブ
眉間の皺はあの頃よりも深くなってるような気がするけど、あの頃のまま成長して【大人の男】になってるセブは・・・・・・ //////
だめだ、顔が熱いよ カッコイイから・・・ 胸の奥に封じたはずの恋が、切なく痛む。。。
とりあえずこれ以上は考えないように胸の痛みは頭の隅に押しやり、私はセブに抱き上げられ校長室へと向かったのだった・・・
*****
「きゃぁぁあーーー 可愛い!可愛い!可愛い! お持ち帰りする!」
校長室へと入った我輩とレイを襲ったのは、耳がつんざくような声だった
「リリー」
「レイ!」
我輩の腕からレイを取り上げ、抱きしめるのはリリーだった・・・・・・どういうことかな? 何故、校長室にリリーが居るのだ
「ふぉ ふぉ ふぉ レイが会いたいじゃろうと思うてのぉ・・・ それにしても儂が贈った洋服のよう似合うこと・・・さすがはレイじゃ!!!」
レイはこの狸に贈られた深緑色のサテン生地のドレスを着ていた
ビスクドールに着せてあるような格好と言えば、分かるだろうか?
背中まである黒髪に艷やかな深緑色が良く映えている
スカートの中には、我輩には名称などは知らぬが白いレースが幾重にも重なったモノ(ペニエです)に、その下にはこれまたレースの膝上まであるズボンを履いている(ドロワーズという下履きです)
胸には黒のベルベットのリボンが幾つも並び、腰は同じ生地で結ばれている
膝まである長い靴下は白色で、履き口にはリボンが付き、緑のエナメルの靴へと続いている
まぁ・・・なんというか・・・・・・ 物凄く、可愛い生き物が、ちょこまかと動いている様子は我輩の保護欲を煽っている
それが唯一の存在であるレイなのだから、我輩の目が片時たりとも外れないのは仕方がないと、我輩は思う
「うわっ・・ちっせいなーー、おい!」
「本当だね、聞いたときはまさかと思ったけど・・・このままならハリーのお嫁さんに丁度良いんじゃないかな」
「それは失礼じゃないかな、ジェームス 見た目は子供だけど中身はレイだろ?」
・・・・・・・・あの狸爺!!! リリーだけじゃなくてポッターやブラック、ルーピンまで呼んだのか!
それにポッターの息子のハリーまで父親に抱っこされながらも、視線はレイを食い入るように見つめている
我輩は舌打ちした後、早々にリリーからレイを取り上げ抱っこした
「セブ? どうしたんだ」
「お前は我輩の傍に居ればいい」
「でもセブはリリーと居ないと・・・・・・」
「は?」
何か おかしい言葉を聞いたような気がするが・・・・・・そう思ったときにはダンブルドアがレイに一連の出来事の説明を求めていた
「ヴォルデモードを浄化するのに霊力を使い果たしたそうじゃが、レイよ 何故じゃ?」
「お爺様、私は時の狭間でヴォルデモードの思念を感じながらと・・・ 直接会ったときと、彼と接して感じたことがありました」
「ほぉ・・・それは何じゃろうのぉ・・・ 言うてくれるか」
「はい・・・・・・ヴォルデモードは生まれてから愛を知らないままでいました 分かるのは自分の力が人を支配できるということだけ」
自分の容姿、頭脳、そして魔法の力・・・ 孤児院で育った彼は、他の子供に虐められているさなかに力に目覚め、それを・・・・・・攻撃に使うことに何の恐れも躊躇いも感じなかった
父にも母にも捨てられた自分が、頼れるのは己の力のみと考え、貪欲に知識を求めた
知識も力になるという事を分かっていたのでしょう・・・
ここホグワーツで優秀な生徒として過ごしながらも、彼は世界を手に入れようと考えていた
私が彼の事を感じたとき、僅かなものでしたが・・・・・・彼の心の奥の奥、底の底では、愛を求める彼もいたのです
大海に1本の針を落としたようなモノでしたが、私は感じた・・・・・・そのとき、私は賭けようと思いました
彼の魂を浄化し、無垢なる者へと戻し・・・・・・ この世に生まれさせようと思ったのです
*****
「浄化にも色々あり、昔シリウスに恋焦がれた女生徒を刀で斬りましたが、それも浄化になります 今回は私の霊力から【癒しの光り】で心の傷を癒やし、【聖情なる光り】で悪しき考えを消して、【始源の光】で魂の全てを焼き清めました」
それが、これです・・・・・・レイが掌に乗せ我々に見せたのは、真っ白な小さな玉だった
「生まれさせるとは、どうやるのかの?」
ダンブルドアの声に、レイはその玉を飲み込むようなぞぶりを見せた
「飲み込めばよいだけです 女性が飲み込めば、暫くして妊娠し、月満ちれば生まれてくる」
「ほぉーー そうかの では記憶はどうなのじゃ? 力は?」
「力も記憶も【始源のひかり】で燃え尽きたはず・・・ 必要が無いときは戻りませんが、彼が必要と思えばもしかしたら甦えるかもしれません」
「それでレイはこの玉を誰に飲ませようと思うとる?」
「・・・・・・自分が 身体が元に戻れば飲もうと思っています」
「自分でかの?」
「・・・・・・生まれてくる赤ん坊は愛を求めています 母親の温かな愛情に餓えているんです 彼が満足いくまで出来るかわかりませんが、頑張ろうと思います」
レイが説明している間、我輩はソファーにレイを座らせていた・・・ もちろん、我輩はその隣に座った
リリーは我輩とは反対の方の隣に座っていたのだが・・・・・・レイの小さな掌に乗っていた、白く発光した玉をいきなり摘むと飲み込んでしまった
「りりぃ なにをしゅる」
「あら、結婚していないレイが母親にってよりは私の方がいいんじゃない?」
「あいちゃなければ・・・ふたたび あくにそまりゅかも ちれないのだ」
慌ててるのだろう、レイの手からクマが離れていた
「もちろん、自分の子として愛していくわ! お腹を痛めて生むんですもの当然よ」
「レイ、こうなったらリリーは止まらないし、既に飲みこんでしまってるからね・・・」
向かいのソファーからポッターが、にこにことアホ面下げて言っているが・・・・・・それは、お前がリリーの尻に敷かれているだけではないのか?
「ジェームス、あなた反対なんてしないわよね?」
「もちろんさ! マイ・スィート・ハニー!!! 僕が君の決定に逆らったことあるかい?」
「貴方と結婚して良かったわ!」
「ああ、リリー・・・それは僕の言葉だよ 愛してるよ、リリー」
昔と同じように向かいのソファーからリリーに向けて飛びついてくるジェームスに、リリーはハリセンで応戦しておとなしくさせている
「他の人が居る時は抱きつかない!!!」
「はい!」
学生時代と似通っているようで、違うやり取りにレイはキョトンと首を傾げて見つめている
前のソファーに座るブラックが口をポカンと開けて凝視し、その横のルーピンが掌で口を覆い天井を眺めている
どうしたのだ、こやつらは・・・・・・ とうとう頭がイカれたか? ルーピンはともかくブラックは学生の頃からイカれていたな、うむ。。。
「しぇぶ・・・りりぃは・・・だれと・・・けっこんしたの?」
「リリーはポッターと結婚している ハリーはポッターの息子だ」
「しぇぶ・・・は?」
「我輩か? 我輩は誰ともそうなってはおらぬ お前を待っていたのだ」
「ふぇ?」
「分からぬか? 我輩は、レイ・・・ お前を・・・」
「ちょっと待てーー」
「ちっ!!! 突然大声を出すなブラック! レイが驚くであろうが! ルーピン、この駄犬の躾は貴様の役割であろう」
「なっ・・・んだとう このスニベルス!!! 生意気な口ききやがって」
≪ スパァァーーン! ≫
「ごめんね、レイ・・・ビックリしたかな? 昔からシリウスは成長しないんだよ、ほんと手間がかかって仕方ないんだ、ごめんねー」
「リーマス、お前スリッパで叩くことないじゃないか!」
「だから五月蝿いと言っておろうが!」
「だぁーー! そもそもお前だって怒鳴ってるじゃねぇかよ! 不公平だ!!!」
ワイワイ・ガヤガヤ と、まるで学生時代に戻ったような賑やかさのなか、レイは顔を俯かせて必死に見られないようにしていた
真っ赤になった自分の顔を見られないように・・・・・・
セブルスが今だ一人で、しかも先程の・・・・・・ 自分を待っていたという言葉に、ドキドキと胸をときめかせていたのだった
*****
「お爺様、気になることがあるんですが」
「なんじゃ? レイ」
「この世界に魂を分けるような魔法があるのでしょうか?」
その言葉にダンブルドアの瞳が鋭く光り、他のメンバーも言い争いをピタリと止めた
「何故そう思ったのじゃ?」
「リリーが襲撃されたときに対峙したヴォルデモードを、私は封じました・・・・・・が、僅かばかりの気配が霧のように逃げて行くのも感じ・・・・・・それに」
「それに、何じゃ?」
「・・・・・・それに、封じた魂にも闇の魔術を使った痕がありました」
「ふ・・・む、分かった騎士団で調べよう」
「今は僅かばかりの力しかないのですが、いずれ・・・・・・何か動きがあるように思います」
「まだまだヴォルデモードの脅威からは逃れられんということかの・・・」
「ええ、そのようです」
ダンブルドアは髭を撫でて何事か考えるような素振りだったのだが、何かを思いついた様に急ににこやかに笑い始めた
「それはそれとしてのぉ・・・ レイ、今は夏休みなのじゃ! レイも休養をかねて儂が用意した別荘に行かんかの?」
「別荘・・・ですか?」
「そうじゃ、田舎の街でゆっくりと日々を過ごすのはどうじゃの? ああ、もちろん一人で行かせるような事などさせんぞぃ!」
「我輩が同道します」
「あっ! ずりぃーーぞスニベルス! 俺がレイの面倒見てやるよ」
「シリウスは面倒見れないでしょ? 私は料理も得意だからね! 校長、私が一緒にいます」
ダンブルドアの言葉にサッと自分が行くと言ったスネイプに、狡い狡いと騒ぎ立てるシリウス、のんびりと参戦しながらも自分の方が世話が出来ると主張するリーマス
「儂の孫はモテモテじゃのぉーー さすが、我が孫じゃ! ふぉ ふぉ ふぉ・・・」
ダンブルドアの笑い声が、楽しそうに聞こえていた
*****
はい、ヴォル君はリリーの子供に生まれ直します・・・・・・が、分霊箱とかもあるので後々キーマンとして登場する予定です
此処で今の話の時点での格キャラの年齢は・・・※シリウスは誕生日が不明ですが同じ学年ということで同じ年にカウントしました!
セブ 24才 (リリー・ジェームス・シリウス・リーマスなども同じ年)
レイ 16才(見た目は3~4才くらいで、身長は100cm弱です)
ハリー 4才(誕生日前だから正確には3才と11ヶ月ってとこですね(笑))
若いときの教授を想像したら、可愛くて顔がニヤける管理人です(ええ、変態ですね)
生徒にナメられたくなくて、常に不機嫌なため眉間の皺はすくすくと成長中(笑)
ウチの魔法界は、こういう感じでございます 楽しんでいただけましたら拍手をポチりと押して頂ければ励みになります!
では(o・・o)/~
私が考える彼の身の振り方です(笑)
*****
「・・・・・・・はぁ」
自分の小さな掌を見て、なんだか ため息がでた
「起きたのか、レイ」
「・・・・しぇぶ」
静かに寝室に入ってきたセブが、私の横に座るとベットが沈み・・・ 小さな身体は、コテンと彼の身体に傾く
「くくっ 幼くなると舌っ足らずになるのだな」
「・・・・げんき だった?」
楽しそうに笑いながら私を抱き上げたセブは、隣の部屋へと連れていきソファーに座る
何故かソファーに座ったセブルスの、膝の上に座らされている私
「ホットミルクだ 何も食べてはいないのだろう?」
「ありあと」
うまく喋れない私の言葉に、またもや笑い出すセブルス
ふぅーー・・・ ふぅーー・・・ カップに息を吹きかけて、ゆっくりと飲む
「あちゅっ・・・」
「まだ熱かったか、すまぬ」
セブルスが私の手からカップを取り上げ、ふーふーと息を吹きかけてくれる
背中をもたれさせれば、セブの胸の中で・・・・・・ 私は、体中の力が抜けていくのを感じる
戻って・・・ 来れたのだな・・・ この様に小さな身体になっているとはいえ、戻れた安心感に不意に眼から零れたものがあった
ぽたっ・・・・・・ぽたっ・・・ぽと・・・
丁度カップを持ち息をかけていたセブの手にかかったモノは、私の涙で・・・・
カップをテーブルに置いたセブが、私の頬に触れ顔を自分の方へと向かせれば・・・・・・その黒い瞳が涙に驚き、次いで優しく細められた
「レイ、よく戻ってきた 待っていた・・・ 待っていたのだ」
「しぇぶ・・・ ちゃだいま」
小さな身体の両腕を広げてセブに抱きついた私は,、彼の大きな身体にすっぽりと包まれて抱きしめられた・・・・・・
「おかえり、レイ」
あの頃とは違う低い大人の声の彼に、その低く、甘い声の囁きに・・・ 胸の奥がトクンと高鳴っていた
***
「ん~と、これをきるの?」
セブ曰く、私が寝ている間にお爺様から届けられた洋服は・・・・・・・う~~ん、可愛すぎて着れないのだが
何しろサイズがサイズだからな、これしかないのだから仕方がないか・・・・・・
私は合っているのか分からないなりに、ソレを着ていった
驚いたことに洋服は元より、靴のサイズもピッタリなのだから・・・・・・さすがお爺様だな
セブの寝室にある姿見に写して、着方が間違っていないか確認し隣の部屋へと歩いていったのだが
「しぇぶ きれたよ」
どうしたんだろう? セブが私を見た途端、口を開けたまま呆然としている
ああ、紅茶を煎れていたんだな
動きの止まったセブの手元のカップからは紅茶が溢れてテーブルどころか床まで垂れてしまう
「しぇぶ・・・こうちゃ」
ああ、話しにくい・・・ 単語しか言えない自分の言葉に、苛立ちそうだ
≪姫様! クマをお使いになられたら如何ですか?≫
「くぅま?」
ああ! 分かったぞ 私のクマを取り出してリョクに術をかけてもらえば、クマから私の声が聞こえるようになった
私の思念をクマの腹から【声】として出しているから、舌っ足らずにならずに言いたいことが伝えられる
「ありがとうリョク、これで思うまま話せるぞ」
≪姫様がどこかを触っておられればクマから御声がでます 御不自由でしょうが、少しの間の御辛抱です≫
「ふふ・・・分かった」
「では、行きますかな」
ふわり・・・・・・と、セブに抱き上げられた私は、彼に片手で支えられ、首に抱きついていた
「セブ、逞しくなったな」
「あれから何年経ったと思っている、我輩も学生時代とは違う」
「我輩? いつからセブって我輩って言ってるんだ?」
校長室までの道すがら聞き慣れないセブの一人称に、聞いてしまった
「ここで教授職に就いた時から・・・・・・ですかな」
・・・・・・生徒に舐められるのは敵わんからな、そんなセブの呟きが聞こえた
「教授? セブ教授なの? ええ! 何の?何の?」
「ふん、お前が言っていたであろう? 魔法薬学以外に何がある・・・ 我輩はDADA(闇の魔術の防衛術)がいいのだがな」
「えーーー セブが薬学の教授! うわ! 見せろ、セブの姿が見たい!」
「こら。暴れるな! レイ・・・分かったから、分かったから大人しくしろ」
校長室の前の廊下で私はセブの腕からピョンと降りて、彼をまじまじと見つめた
全身真っ黒な洋服で最初は笑いそうになったけど・・・・・・ セブが僅かだけど照れてるような顔してたから笑いは堪えた!
釦のいっぱい付いたフロックコートは詰襟と袖口から白いブラウスが覗いてるし、裾にも釦が並んだズボンに、手触りのいいローブで全体的にシンプルな格好・・・・・・
ちゃんと見るのは戻ってきてから初めてだね、セブ
眉間の皺はあの頃よりも深くなってるような気がするけど、あの頃のまま成長して【大人の男】になってるセブは・・・・・・ //////
だめだ、顔が熱いよ カッコイイから・・・ 胸の奥に封じたはずの恋が、切なく痛む。。。
とりあえずこれ以上は考えないように胸の痛みは頭の隅に押しやり、私はセブに抱き上げられ校長室へと向かったのだった・・・
*****
「きゃぁぁあーーー 可愛い!可愛い!可愛い! お持ち帰りする!」
校長室へと入った我輩とレイを襲ったのは、耳がつんざくような声だった
「リリー」
「レイ!」
我輩の腕からレイを取り上げ、抱きしめるのはリリーだった・・・・・・どういうことかな? 何故、校長室にリリーが居るのだ
「ふぉ ふぉ ふぉ レイが会いたいじゃろうと思うてのぉ・・・ それにしても儂が贈った洋服のよう似合うこと・・・さすがはレイじゃ!!!」
レイはこの狸に贈られた深緑色のサテン生地のドレスを着ていた
ビスクドールに着せてあるような格好と言えば、分かるだろうか?
背中まである黒髪に艷やかな深緑色が良く映えている
スカートの中には、我輩には名称などは知らぬが白いレースが幾重にも重なったモノ(ペニエです)に、その下にはこれまたレースの膝上まであるズボンを履いている(ドロワーズという下履きです)
胸には黒のベルベットのリボンが幾つも並び、腰は同じ生地で結ばれている
膝まである長い靴下は白色で、履き口にはリボンが付き、緑のエナメルの靴へと続いている
まぁ・・・なんというか・・・・・・ 物凄く、可愛い生き物が、ちょこまかと動いている様子は我輩の保護欲を煽っている
それが唯一の存在であるレイなのだから、我輩の目が片時たりとも外れないのは仕方がないと、我輩は思う
「うわっ・・ちっせいなーー、おい!」
「本当だね、聞いたときはまさかと思ったけど・・・このままならハリーのお嫁さんに丁度良いんじゃないかな」
「それは失礼じゃないかな、ジェームス 見た目は子供だけど中身はレイだろ?」
・・・・・・・・あの狸爺!!! リリーだけじゃなくてポッターやブラック、ルーピンまで呼んだのか!
それにポッターの息子のハリーまで父親に抱っこされながらも、視線はレイを食い入るように見つめている
我輩は舌打ちした後、早々にリリーからレイを取り上げ抱っこした
「セブ? どうしたんだ」
「お前は我輩の傍に居ればいい」
「でもセブはリリーと居ないと・・・・・・」
「は?」
何か おかしい言葉を聞いたような気がするが・・・・・・そう思ったときにはダンブルドアがレイに一連の出来事の説明を求めていた
「ヴォルデモードを浄化するのに霊力を使い果たしたそうじゃが、レイよ 何故じゃ?」
「お爺様、私は時の狭間でヴォルデモードの思念を感じながらと・・・ 直接会ったときと、彼と接して感じたことがありました」
「ほぉ・・・それは何じゃろうのぉ・・・ 言うてくれるか」
「はい・・・・・・ヴォルデモードは生まれてから愛を知らないままでいました 分かるのは自分の力が人を支配できるということだけ」
自分の容姿、頭脳、そして魔法の力・・・ 孤児院で育った彼は、他の子供に虐められているさなかに力に目覚め、それを・・・・・・攻撃に使うことに何の恐れも躊躇いも感じなかった
父にも母にも捨てられた自分が、頼れるのは己の力のみと考え、貪欲に知識を求めた
知識も力になるという事を分かっていたのでしょう・・・
ここホグワーツで優秀な生徒として過ごしながらも、彼は世界を手に入れようと考えていた
私が彼の事を感じたとき、僅かなものでしたが・・・・・・彼の心の奥の奥、底の底では、愛を求める彼もいたのです
大海に1本の針を落としたようなモノでしたが、私は感じた・・・・・・そのとき、私は賭けようと思いました
彼の魂を浄化し、無垢なる者へと戻し・・・・・・ この世に生まれさせようと思ったのです
*****
「浄化にも色々あり、昔シリウスに恋焦がれた女生徒を刀で斬りましたが、それも浄化になります 今回は私の霊力から【癒しの光り】で心の傷を癒やし、【聖情なる光り】で悪しき考えを消して、【始源の光】で魂の全てを焼き清めました」
それが、これです・・・・・・レイが掌に乗せ我々に見せたのは、真っ白な小さな玉だった
「生まれさせるとは、どうやるのかの?」
ダンブルドアの声に、レイはその玉を飲み込むようなぞぶりを見せた
「飲み込めばよいだけです 女性が飲み込めば、暫くして妊娠し、月満ちれば生まれてくる」
「ほぉーー そうかの では記憶はどうなのじゃ? 力は?」
「力も記憶も【始源のひかり】で燃え尽きたはず・・・ 必要が無いときは戻りませんが、彼が必要と思えばもしかしたら甦えるかもしれません」
「それでレイはこの玉を誰に飲ませようと思うとる?」
「・・・・・・自分が 身体が元に戻れば飲もうと思っています」
「自分でかの?」
「・・・・・・生まれてくる赤ん坊は愛を求めています 母親の温かな愛情に餓えているんです 彼が満足いくまで出来るかわかりませんが、頑張ろうと思います」
レイが説明している間、我輩はソファーにレイを座らせていた・・・ もちろん、我輩はその隣に座った
リリーは我輩とは反対の方の隣に座っていたのだが・・・・・・レイの小さな掌に乗っていた、白く発光した玉をいきなり摘むと飲み込んでしまった
「りりぃ なにをしゅる」
「あら、結婚していないレイが母親にってよりは私の方がいいんじゃない?」
「あいちゃなければ・・・ふたたび あくにそまりゅかも ちれないのだ」
慌ててるのだろう、レイの手からクマが離れていた
「もちろん、自分の子として愛していくわ! お腹を痛めて生むんですもの当然よ」
「レイ、こうなったらリリーは止まらないし、既に飲みこんでしまってるからね・・・」
向かいのソファーからポッターが、にこにことアホ面下げて言っているが・・・・・・それは、お前がリリーの尻に敷かれているだけではないのか?
「ジェームス、あなた反対なんてしないわよね?」
「もちろんさ! マイ・スィート・ハニー!!! 僕が君の決定に逆らったことあるかい?」
「貴方と結婚して良かったわ!」
「ああ、リリー・・・それは僕の言葉だよ 愛してるよ、リリー」
昔と同じように向かいのソファーからリリーに向けて飛びついてくるジェームスに、リリーはハリセンで応戦しておとなしくさせている
「他の人が居る時は抱きつかない!!!」
「はい!」
学生時代と似通っているようで、違うやり取りにレイはキョトンと首を傾げて見つめている
前のソファーに座るブラックが口をポカンと開けて凝視し、その横のルーピンが掌で口を覆い天井を眺めている
どうしたのだ、こやつらは・・・・・・ とうとう頭がイカれたか? ルーピンはともかくブラックは学生の頃からイカれていたな、うむ。。。
「しぇぶ・・・りりぃは・・・だれと・・・けっこんしたの?」
「リリーはポッターと結婚している ハリーはポッターの息子だ」
「しぇぶ・・・は?」
「我輩か? 我輩は誰ともそうなってはおらぬ お前を待っていたのだ」
「ふぇ?」
「分からぬか? 我輩は、レイ・・・ お前を・・・」
「ちょっと待てーー」
「ちっ!!! 突然大声を出すなブラック! レイが驚くであろうが! ルーピン、この駄犬の躾は貴様の役割であろう」
「なっ・・・んだとう このスニベルス!!! 生意気な口ききやがって」
≪ スパァァーーン! ≫
「ごめんね、レイ・・・ビックリしたかな? 昔からシリウスは成長しないんだよ、ほんと手間がかかって仕方ないんだ、ごめんねー」
「リーマス、お前スリッパで叩くことないじゃないか!」
「だから五月蝿いと言っておろうが!」
「だぁーー! そもそもお前だって怒鳴ってるじゃねぇかよ! 不公平だ!!!」
ワイワイ・ガヤガヤ と、まるで学生時代に戻ったような賑やかさのなか、レイは顔を俯かせて必死に見られないようにしていた
真っ赤になった自分の顔を見られないように・・・・・・
セブルスが今だ一人で、しかも先程の・・・・・・ 自分を待っていたという言葉に、ドキドキと胸をときめかせていたのだった
*****
「お爺様、気になることがあるんですが」
「なんじゃ? レイ」
「この世界に魂を分けるような魔法があるのでしょうか?」
その言葉にダンブルドアの瞳が鋭く光り、他のメンバーも言い争いをピタリと止めた
「何故そう思ったのじゃ?」
「リリーが襲撃されたときに対峙したヴォルデモードを、私は封じました・・・・・・が、僅かばかりの気配が霧のように逃げて行くのも感じ・・・・・・それに」
「それに、何じゃ?」
「・・・・・・それに、封じた魂にも闇の魔術を使った痕がありました」
「ふ・・・む、分かった騎士団で調べよう」
「今は僅かばかりの力しかないのですが、いずれ・・・・・・何か動きがあるように思います」
「まだまだヴォルデモードの脅威からは逃れられんということかの・・・」
「ええ、そのようです」
ダンブルドアは髭を撫でて何事か考えるような素振りだったのだが、何かを思いついた様に急ににこやかに笑い始めた
「それはそれとしてのぉ・・・ レイ、今は夏休みなのじゃ! レイも休養をかねて儂が用意した別荘に行かんかの?」
「別荘・・・ですか?」
「そうじゃ、田舎の街でゆっくりと日々を過ごすのはどうじゃの? ああ、もちろん一人で行かせるような事などさせんぞぃ!」
「我輩が同道します」
「あっ! ずりぃーーぞスニベルス! 俺がレイの面倒見てやるよ」
「シリウスは面倒見れないでしょ? 私は料理も得意だからね! 校長、私が一緒にいます」
ダンブルドアの言葉にサッと自分が行くと言ったスネイプに、狡い狡いと騒ぎ立てるシリウス、のんびりと参戦しながらも自分の方が世話が出来ると主張するリーマス
「儂の孫はモテモテじゃのぉーー さすが、我が孫じゃ! ふぉ ふぉ ふぉ・・・」
ダンブルドアの笑い声が、楽しそうに聞こえていた
*****
はい、ヴォル君はリリーの子供に生まれ直します・・・・・・が、分霊箱とかもあるので後々キーマンとして登場する予定です
此処で今の話の時点での格キャラの年齢は・・・※シリウスは誕生日が不明ですが同じ学年ということで同じ年にカウントしました!
セブ 24才 (リリー・ジェームス・シリウス・リーマスなども同じ年)
レイ 16才(見た目は3~4才くらいで、身長は100cm弱です)
ハリー 4才(誕生日前だから正確には3才と11ヶ月ってとこですね(笑))
若いときの教授を想像したら、可愛くて顔がニヤける管理人です(ええ、変態ですね)
生徒にナメられたくなくて、常に不機嫌なため眉間の皺はすくすくと成長中(笑)
ウチの魔法界は、こういう感じでございます 楽しんでいただけましたら拍手をポチりと押して頂ければ励みになります!
では(o・・o)/~
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