①闇色の月【騎馬隊編】

スンマンが作りたい騎馬隊の章です。

この章からは、スンマン主役でいきます。

スンマンの抱える闇と煌めきを表せたらいいな……(文章力が追いつきませんが)

トンマンとピダム主役では、新しく章を作ります。

ではでは
※※※※※
「では、スンマン。そちが作りたがっている騎馬隊の説明を」
チンピョン王は公主服に身を包んだ美貌の姪に促した。

「はい陛下」

便殿で、王座の前に居並ぶ臣下を集めた会議で王は元より、ミシル宮主もトンマンも、大等達にも臆することなく話し始めるスンマンの玲瓏とした声が響く。

「それは……人馬一体の部隊で、騎乗したまま弓を打ち、戦場を自在に駆け抜けられる機動性も持つような物です」

スンマンの冴え渡る月光のような美貌と、よく通る玲瓏とした声に大等達は見惚れていた。

「……何年かかるか分かりませんが新羅の為、皆様にも賛成して頂きたいと思っております」

王に頭を下げ、後ろに下がったスンマンに代わりトンマンが話そうとした時……

「素晴らしいお話でした。」ミシル宮主が話し出した。

「この様な事を考えるスンマン公主様に私、感服致しております」
小さくスンマンに頭を下げたミシル宮主に、スンマンも微笑みながら頭を下げた。

……ふふっ……どう出る?ミシル……


が、ミシルも騎馬隊に賛同したため、気が抜けるほどあっさりと認められた。

そしてこの日の便殿会議は終了した。

※※※

場所を円卓に移して話し始める王やミシル宮主、トンマン公主とスンマン公主、上大等セジョン、ヨンチュンやソヒョン等が座っていた。

「では騎馬隊の責任者をどうするか」王が言うと。

「陛下、風月主ユシン殿はどうでしょう」トンマンが最も信頼する者の名を出した。

「畏れ多いですが、スンマン公主様に旗頭になっていただければ……」ミシルがやんわりと言い出す。

「私ですか?」
ミシルを真っ向から見つめ優しく公主然と微笑むスンマンに、ミシルも微笑み返した。

「はい、そうです。そして実際に朗徒達を訓練する者は花郎から選ばれたら如何でしょう」

「それは……私としても喜ばしい事ですが……」何を考えてる?古狸……

「担当者はスンマン公主様にお任せしましょうか……」
ミシルの狙いが解らず小首を捻るスンマンだった。

「では風月主ユシン殿と花郎ピダム朗は……如何ですか」
考えていた名前を上げミシルの反応を微笑みながら見るスンマン。

「風月主はお忙しいですし、ピダム朗は花郎になって間もないですね。……心もとないので、補佐にポジョンを置いては如何でしょう」

「……」
スンマンの顔がぴくんと反応したのをミシルは見逃さなかった。

……ポジョンの事を少しは意識しているようだな……ほほっ、善きかな善きかな……
ミシルの顔に笑みが広がる。


王が認め騎馬隊はスンマン公主の指揮のもと、ユシン・ポジョン・ピダムで作る事になった。


「では陛下、認証式は吉日に執り行いましょう」ミシル宮主の言葉で会議は終わった。

※※※

「ポジョン……お前もなかなか……」
ミシルの宮に呼ばれたポジョンは、母が上機嫌で笑っている意味が解らなかった。

「母上?」
父のソルォンは元よりセジョン、ハジョン兄上にミセン叔父まで………にやにやと笑っている。

「スンマン公主がこの度、新羅に騎馬隊を作ることになった」
ミシルが言い出すと、次いでミセンが続ける。

「ユシンとピダムにポジョン、お前達三人がスンマン公主様のもと騎馬隊を作るのだぞ」

「私がお前の名前を出したら……スンマン公主が反応していた」
「女とは男の真心に弱いもの……はぁ~はっはっはっ、やるなぁ~ポジョン」

「お断りします」ポジョンの言葉に皆が驚いた。

「何故だ!」
「もう私はスンマン公主に何の興味もございません。……そんな事に時間を取られるのも迷惑です」

「ポジョン……では、母の命令です! スンマン公主を手伝いなさい! 否やは言わせぬぞ……」
「はい、と御返事するのだポジョン」
ソルォンが焦って息子を見る。

ミシルの性格を熟知している彼は、息子でも容赦なく切り捨てる事を知っている。

ポジョンの身を案じて狼狽える父を見て、諦めたように返事をした。
「……はい、分かりました」

無表情の息子の返事に眉がぴくりと動いたが、畳み込むように次を命じた。

「私の命は前と同じだ……スンマン公主を此方に取り込みなさい」

「……」
「ポジョン!」
また父に急かされ頷かざるおえないポジョンだった。

「はい、分かりました」


母の前を辞した後、深い……深い溜め息を洩らすポジョンだった。

※※※

各花郎の朗徒の中で身体が小さい者を募ると五十人余りが集まった。


「多く集まったな……」
トンマンが傍らのスンマンに言うと、スンマンはまだ増やしたいと言っている。
「最初はこの人数からで、後々は百人の部隊にします」
「倍だな」
「はい、姉上」
「馬の手配はどうだ?」
「騎馬隊の馬を増やすため、新しく馬場と繁殖用の厩舎、それに訓練用の馬場と厩舎を作らせています」
「王宮の近くなのか?」
「訓練用のは王宮の近くに、繁殖用のは郊外に作っております」

トンマンは淀みなく答える従姉妹を称賛の目で見た。

「素晴らしいスンマン」
「ありがとうございます」
「準備にこの頃、忙しかったのだろう……」
「ふふ……やっと事を始められて嬉しくて……」
「うむ、そうだな」
「姉上もたまに馬に乗りませんか?」
「乗りたい……」
「時間を作って下されば私が御一緒いたします」
「分かった」
「ふふ……きっとですよ」

トンマンの宮を辞したスンマンは、騎馬隊の執務室へと向かった。

空いている宮を、そのまま執務室へと替え使っている。


「……誰も居ないか…」
どっか、と椅子に座り長卓に足を乗せ腕を組んでいたら……寝ていた。

明日の認証式や朗徒の手配、あれやこれやの準備に忙しく、この五日ほとんど寝ていない疲れが出ていた。


「失礼します」
ポジョンが入ってきたのは、スンマンがぐっすりと寝込んでからだった。

中に居たスンマンに慌てて出て行こうとしたポジョンだったが、寝込んでいるのを見て部屋に戻った。

「疲れておられるのだな……」

最初、どう顔を会わせていいのか戸惑っていたポジョンだが、スンマンはピダムやユシンと全く同等にポジョンと接していた。

ユシンやピダムの方が、何か思惑があるだろうと探るような目を向けていたが………

余りの忙しさにそんな事を感じる暇さえ無かった。

騎馬隊の準備に忙しく働いていたスンマンが、この五日余り寝ていない事も知っている……

書類を作りながらスンマンの傍らで、番をするか……と持ってきた書類を見直していた。


「……ん……」
体制が苦しいのか、もぞもぞと動くスンマンの顔が椅子の背に仰け反った。

「これでは首を痛めてしまう……」
部屋の中にあった毛布を丸めて、スンマンの首と椅子の間に挟んで………ポジョンの息が止まる。


髪がかかって見えなかった顔が、動かした拍子にあらわになっていた。


「………」
毛布を挟むため、首を触っても起きなかった処を見ると、余程疲れているのだろう。

白く輝く美貌が、ポジョンの目の前にあった……

王宮に戻ってスンマンを見てから日増しに募る想いに……自分でも戸惑い、持て余していた。

しかも今は騎馬隊の準備で、毎日朝から晩まで顔を会わしている。

……嬉しさよりも苦しさが勝つ……


ポジョンの震える手が、スンマンの滑らかな頬に触れたくて伸びた。

《あと…少し》
僅かな隙間を挟んで白い頬に触れられる……

だが……ポジョンは手を引っ込め再び椅子に座った。


……あの方に触れたら最後、正気でいられる自信がない。


無理矢理、書類に没頭して時が過ぎた。

どかどかと誰かの足音が響く。

「ん……」
気配に気づきスンマンが起きた。

まだ寝足りないのか完全に目覚められず、常のスンマンでは考えられないくらい………ぼぅ~っと椅子に座っていた。

しばらくして卓に突っ伏しているスンマンが、また眠りそうで思わずポジョンが話しかけた。


「スンマン様、御自分の宮に帰って眠られたらいかがですか?」
心配そうに言うポジョンを、卓に顔をつけたまま、じっ…と見つめたスンマンの瞳が……閉じられた。


「寝てしまわれたか……」

くすっと笑ってしまったポジョンだった。

先程、丸めた毛布を肩から背中に被せておく。

「おい、スンマンいるか~」
突然、入ってきたのはピダムだった。

「なんだ寝てるのか……疲れたんだな」
スンマンが突っ伏している横に座り、ポンポンと頭を撫でた。

「……ピダムか…」
「全く、だから夜は寝とけって言っただろ」
「ふふ……すまぬ」
「動けそうか?」
「無理だ……もうしばらくこのまま……」
「宮に連れ帰るぞ、スンマン」
「……ん……」

また眠ったスンマンを、ピダムは無造作に担いだ。

「!!!」
「扉を開けてくれ」
ポジョンがぎこちない動作で扉を開けると、ピダムが担ぎ上げたままスンマンと出ていった。

「ったく~…昨日は風呂で溺れそうになってるし。ちゃんと寝台で眠らせないと!」

ピダムの一人言がポジョンの拳を握らせた……

「あの二人、もしや?」
蒼白な顔のまま、ポジョンは執務室を後にした。

※※※

「手間をかけたな、ピダムありがとう」

自らの宮の寝台で眠ったスンマンが、すっきりと目覚めたのは陽が翳り始めた夕方だった。


「明日の朝まで寝てろよ」
「そういう訳にもいかぬのだ……ユシン殿の酒席に誘われていてな」
「ああ……騎馬隊の面子で飲むんだろ?……俺も呼ばれた」
「行くか?」
「いや、俺はいい」
「ふふ……そういう所で繋がりを作ることも大事だぞ」
「ん~……わかってんだけど~」
「まぁ、今宵はユシン殿の屋敷でだからな……ピダムには堅苦しいかな?」
「ああ」
「ならばいいさ」


すっと立ち上がったスンマンは、タンシムの出した服に着替えていく。


「お一人で行かれるのですか?」
心配そうに言うタンシムの頭を撫でながらスンマンは頷いた。

「お前は先に寝てなさい……」
「はい」

着替え終わったスンマンは、どこから見ても貴族の若様だった。

「ピダム、頼まれてくれないか」
「何だ?」
「この中原の書物を姉上に届けてくれ」
「おう!分かった」
「ふふ……物語だから、お前が姉上に読んで聴かせてやれ」
「え!」
「姉上は毎晩遅くまで調べ物やらされているからな……たまには早く休んでもらいたい」
「寝るまで読むのか?」
「ああ……私からの贈り物と伝えてくれ」
「わかったよ」
「では、行ってくる」

すたすたと宮を出たスンマンだが、やはり体調が悪いのか少しふらついた。

「無理をしたかな」

言葉とは裏腹にニヤリと笑ってユシンの屋敷へと向かった。
※※※

「ふぅ~……酔いが早いな……」
ユシンの屋敷からの帰り道……誰かが後をつけていた。

「ふふ……物好きなやつ」

スンマンの足がヨムジョンの賭博場へと向かう。

後をつけている者は殺気も無く、ただ様子を伺っているようだ。


ヨムジョンの店に入るとき、ちらりと後ろを見れば誰もいなかった。

店を通り過ぎ奥にある部屋に入ると、酒を持ったヨムジョンが入ってきた。

「急にお越しで……香酒のいいのがありましたから~~お持ちしました」

「すまぬな、ヨムジョン」
「何を仰いますやら~~」
「私の後に誰か入ってきたか?」
「は?……つけられてたのですか?」
「調べてくれ」
「はい、只今」
ヨムジョンが部屋を出ていった。


「殺気は無かったが……」
香酒の爽やかな薫りを楽しみながら待っていたスンマン。


ヨムジョンが戻ればスンマンが眠っていた。

「やれやれ、そっとしとくか」

ヨムジョンが珍しく静かに部屋を出ていった。

あとには寝台で眠ったスンマンだけが残っていた。

※※※※※

続きま~す(^o^)/
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コメント

りば様へ

えっと……すみませんm(_ _)m
最初に書いたお返事が……操作ミスで消えちゃったんです(涙)

二回目のお返事になります。
おまぬけですが、これからもよろしくお願いします。

りば様のスンマンのイメージが、私が感じてほしかったものなのでガッツポーズ作りました(笑)

ポジョンは私もここまで出てくるとは自分でも不思議です。

子役の時のポジョンと、ソルォンの話はずっと引っ掛かってましたが……(この後トンマンと絶対何かある!と期待して何もなくてガックシでした)


私の善徳女王の世界が、スンマンというキャラでどれだけ変わるか……もう少し確立してから【トンマンとピダムの章】を始めたいです。


なにぶん初心者なので、話がどこに転がるか私も分からないという……

緋翠様のように、書きたいものがキッチリ書けれるよう精進したいです(妄想も)

では、またコメント頂けたら嬉しいです

初めまして。

とはいえ、すーさん様のお名前はよくお見かけしておりますv

遅参のおかげで「月に照らされ陽に焦がれ」を一気読みできました。スンマンがあまりにきらびやかなオーラを放っていて圧倒されました。一人でヒーローとヒロインをこなせる華やかさ。そしてその強さと気性の烈しさ、何よりも女性なのでトンマンに対するライバルにならない事で、ピダムのお友達になってくれた有難いお方v

そんなスンマンに強烈に惹かれていくポジョンの半端ない惚れっぷりに、ポジョンには特に思い入れのなかった私までも応援してましたので、ポジョンが思いを遂げられてよかったです!ですが「月の隠れ家」を読むとスンマンはポジョンに溺れつつも支配はさせない、という訳ですね?あのポジョンにピダムの世話をさせるなんて、スンマンパワーどんだけ?て感じです。

トンマンとピダムについては別に章を作られるとのこと、スンマンのこれからともども楽しみに読ませていただきます。ドラマ最終話にもめげずに、どうか二人を幸せにしてやって下さい~!
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プロフィール

すー※さん

Author:すー※さん
私的妄想世界が広がっております。
イチオシは窪田正孝さんの役柄いろいろ妄想話です♡(その他にも相棒の神戸さん、スネイプ先生や善徳女王など色々でございます)

最近は更新ができてませんが、発作的に投下してます。
8月、9月の試験に受かれば時間ができるので、それまでは見守っていて下さいませ。

合言葉は『シリアスからエロまで』・・・・・楽しんでいただければ幸いです。。。

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