序章☆唐からの使者・・・・・・

さてさて、ミシルの≪立ち居振る舞い講座≫は続いていますが、トンマンとスンマンはどうなんでしょうか?

***

「 だいぶよくなりましたね、御二人とも 」
「「 そうか! 」」

トンマンとスンマンが並んで公主服で振り返るが、女人(にょにん)らしく優雅に様になる仕種にミシルが満足気に頷いている

「 ほっほっほっ・・・ これでは宮中の男が放ってはおかないでしょうね・・・ 」
「 姉上、わたくしも手を貸した事をお忘れなく・・・ 」

公主らしい上品で清楚な化粧の仕方は2人共にミセン公の直伝だった・・・・・・・何せミセン公はその芸術家肌の才を、類まれなき美貌の二人の公主を前に嬉々として使い彼女達それぞれに似合う化粧の仕方を覚えこませたのだった

「 ゆったりと、気品を保ちつつ艶も出されてくださいね・・・これで私の立ち居振る舞い講座も一段落です 」
「 ・・・・・・終わるのも寂しい気がするな 」
トンマンの言葉にミシルはにっこりと微笑んで、二人の公主に題を与えた

「 もうしばらくすると唐からの使節団が参ります、そこで合格すれば終わりにしますし、不合格ならまだ続けます 」
「 使節団がくるのか・・・ では礼部令のミセン公は忙しかったのだな・・・」

トンマンの言葉にミセンは高笑いで答えた後、孔雀の扇をふりふり にやりと笑っている

「 はぁーはっはっはっ!!!  この礼部令ミセン、手抜かり無く準備をしつつ御二方に化粧を教えておりました・・・私の溢れるほどの才能ならば容易いことであります 」

調子に乗って話し続けるミセンに舌打ちしながらミシルは話題をその使節団へとふり弟を見た

「 それで今はどこにいますか? 使節団は・・・ 」
「 ああ! そうでした! 御報告いたさねばなりませなんだ!  姉上! もう新羅の国境に入ったと連絡がきておりました 」

「 それを早く言いなさい! 」
「 そして嘗て無いほどに商団を連れてきております・・・ 」

ミセンの言葉に大きく頷きながら、ミシルは傍らのミセンを示した

「 使節団のもてなしはこの礼部令ミセンでよろしかったですか? トンマン様 」
「 ああ、頼む 」

この頃は王が寝込む事が多くなり、便殿でトンマンが采配を振るうようになっていたのもあってミシルは聞いていたのだった

王もミシルと和解した事もあり、以前のように具合の悪さを隠しさず医官に治療させ、トンマンと補佐をするスンマンを頼り無理せずにいたが・・・・・・貴族の間では再び「福君」(公主の夫となり王位継承権を持つ者)を求める声もあがっている

ミシルが貴族勢力を抑えているために水面下で囁かれているだけにとどまっており、トンマンはミシルが自分達の頼りになる味方なのだと改めて実感していた。。。

そして、唐からの使節団と商団の訪問・・・・・・それは新羅に、トンマンに、何をもたらすのか・・・・・・

***

数日後、長い長い行列が徐羅伐に到着し、王宮の城門の前ではミセン公がスンマンとチュンチュと共に出迎えていた

「 チュンチュ、お前は唐の王宮には詳しいだろ? ミセン公と使節団の世話を頼むぞ 」
「 スンマンも居たじゃない・・・ あなたも一緒に・・・ 」

男装のスンマンはにやりと笑い、首を横に振る

「 お前は社交的で外交に向いている・・・ まあ、今回はお前に任せる! じゃあな! 」

スンマンがくるりと反対に向き、離れた所で馬を連れて待っていたポジョンの所まで駆けて行く様子を見ていたチュンチュの目に・・・・・・抑えても抑えきれない、赤い嫉妬の炎が僅かに揺らめいた

『 ほぅ・・・これはこれは、チュンチュ公はもしや、もしや・・・・・・ 』

短い瞬間の事で もう黒々とした瞳に戻ったチュンチュだが、色事において素晴らしい嗅覚を持つミセンが見逃す事はなかった
 
「 ミセン公 どうされましたか? 」
「 いえ、何にも・・・さあ! 使節団の方の輿が見えましたよチュンチュ公! 腕がなりますわ はぁ~~~はっはっはっ!!! 」

「 ふぅ・・・ 面倒な 」
扇で口元を隠しながら本音を小さく囁いたチュンチュの言葉は、誰にも届きはしなかった

***

まずは商団の長い列がチュンチュとミセンの前を通りすぎ城門に飲み込まれていくが、ミセンもその長い列には面食らうほどだった

その後には逞しい担ぎ手によって輿が来たが、その奥に仰々しくも豪華な輿が見え・・・・・・その豪勢な造りの輿にミセンが怪訝な目をやった

「 もしや、今回は貴賓の方が参られたのでは・・・・・・あっ大使! こちらでお話を! 」
簡素な輿に乗っていた顔馴染みの大使を一人捕まえたミセンが奥を静々と進む豪華な輿を見やり、情報を求めた・・・・・・その大使は酒好きで新羅に来ては公式ではない接待をミセンに受けている者だからか、口軽く話してくれた

「 ああ・・・あの輿はな・・・ 」
急にミセンの耳元に囁き始めた大使の言葉にミセンの目が徐々に開かれ、しまいには飛び出しそうなほどに見開かれた

「 あ・・・ありがとうございます! このお礼は後ほどちゃんとしますからね!  ええ、ええ、分かってますよコレ(くいっと盃を煽るまね)とコレ!(小指を立てて)ですね・・・大使もお好きだから・・・うぇっへへへーーーーーー 」
ひとしきりミセンの高笑いが響いた後、大使を列に戻したミセンは一変して真面目な顔をして何事か考え始めた

「 ああ!!大変だ!! 大変だぞぉ~~~! こうしちゃおられん! 姉上にお話しせねば!!! 」
「 どうされましたか、ミセン公? 」
「 チュンチュ様! ああ、天の助け! この場をお任せしてもよろしいですか? よろしいですよね? ・・・・・・はい! ありがとうございます 」

強引にチュンチュにこの場を任せて大慌てなミセンがミシル宮に飛び込んだのは、その直ぐ後だった

走りに走ったミセンは口をパクパクとし、侍女に貰った水を飲んで・・・やっと掴んだ情報を姉のミシルに話せたのだ・・・・・・・そして、ミシルは聞いたが早いかすっくと立ち上がり、宮を出て行った。。。

***

仁康殿で養生中の真平王だが、いまは執務室にてマヤ王妃と便殿の報告に来ていたトンマンと共にいた所へミシルが来た

「 ミセンの報告によれば此度の大掛かりな使節団の中に、唐の皇帝の子息のお一人がお忍びで新羅に来られているようです 」
「 なんだと! 皇帝の息子がか? ・・・もし何事かあれば新羅と唐の戦になるやも知れぬ 」

真平王は真っ先に最悪の想定を口に出し、トンマンやマヤ王妃に考えを促す・・・・・・が、トンマンは使いを出したがまだ来ない従姉妹のスンマンを思っていた

「 スンマンはどうした 」
「 トンマン公主様、いま使いを出しましたから直に来られます ・・・・おお、凛々しきあの足音は・・・ 」

たたたっ! っと軽快な足音と共にスンマンがピダムとポジョンを連れて宮の廊下を歩いてきた
ピダムとポジョンは部屋の前に残してスンマンは、王の執務室へと入っていった

「 遅れてしまい申し訳ありません 」

スンマンが席につき唐の皇帝の息子が来ていると話されたとき、ふと首を傾げて思案するような仕種をした

「 何番目の子供だとかは言ってませんでしたか? 」
「 ミセンによれば九番目の子供だとか・・・ 」

聞いた途端、スンマンの目が閉じられ、溜息が赤い唇から漏れて出た

「 それならチュンチュが詳しいでしょう・・・・・・ 」
「 チュンチュが! 何故だスンマン! 」

王も、マヤ王妃もトンマンもミシルも・・・・・・今まで政治には関っていなかったチュンチュの名前が出た事でトンマンは嬉しくもあり、心配でもあった

「 誰か、チュンチュを呼んで参れ 」
王の言葉に内侍官が飛んでいき、ほどなくチュンチュを連れてやってきた

「 お呼びでしょうか? 」

そうしてチュンチュも席に着き、王の声で会議が始まった。。。

***

「 唐の皇帝の九番目の子なら、私も良く知る男ですね・・・ 」
黒いアーモンドのような眼を柔らかく細めて王を見るチュンチュは、その男をよく知っていると話し出した

「 私が中原でお世話になり、兄のように慕っていた李治=リジですね・・・懐かしいなぁ・・・ 」

「 おお、チュンチュが世話に・・・それならば失礼の無いようにチュンチュがお世話しなさい 」
「 よかったですわ、陛下。 親しくしていたチュンチュに任せればおかしな事にはならないでしょう 」

王と王妃が見つめあい、嬉しそうに頷きあうのを見ながらもチュンチュの瞳から、一瞬の事だが・・・・・・笑みが消える

『 功績を残さねば私に王への道は開かれないであろう・・・・・・ならば、ぼやぼやしていられませんね 』

心のうちで算段をつけたチュンチュは、にっこりと女官や貴族の娘達を魅了する微笑を浮かべて・・・・・・王からの命を受けた

「 ああ、そうだ・・・スンマン公主にもお手伝いして欲しいですね・・・ 」
「 私はいい! 」

「 にべもない・・・もう少し考えてくれても良いのではありませんか・・・ 」
「 ・・・・・・手伝いだな、わかった 」

固い表情のスンマンが席を立ち、部屋を出て行くのを何故かチュンチュは楽しそうに見送り・・・トンマンはその二人の様子に引っかかるようだった

同じように探るような眼を向けていたミシルと視線があったトンマンは、小さく頷きあった・・・・・・この二人
、立ち居振る舞い講座を通じて今では師弟のような絆を結んでいるため目と目を合わせると考えている事が通じ合うことができるようになっていた

「 チュンチュ公は中原にお詳しいとか・・・・・・よろしければ私にその・・・リジという御方の事を御教え下さいませ 」
まずはミシルが恭しくチュンチュに話し出すと、チュンチュの瞳が僅かに嫌そうに細められた

「 璽主にはミセン公という方がいらっしゃいます、私などの話よりも確かでしょう・・・ 」
「 そのリジという皇子はどんな人物だ? なぜ、スンマンはあのような顔をしている? 」

ミシルの後はトンマンが引き継いで聞いていると、観念したようにチュンチュが扇で顔を隠した・・・・・・この叔母は疑問があるとスッポンのように食いついて離れないのは経験ずみなチュンチュだった

「 リジは表向きは体が弱く、政治の表舞台からは目立たぬようにしています・・・・・・が、それは仮の姿 」
「 仮の姿??? 」

「 はい、目立てば兄弟達から暗殺されかねないのですよ・・・ 事実、リジの上の皇子が母の違う兄弟に暗殺されてますからね 」
「 ええ、聞いた事があります・・・・・・何でも父である皇帝の覚えがよく、寵愛された皇子だったとか・・・ 」
「 さすがミシル璽主、よく知っていらっしゃる・・・・・・そんな事が多々あるので極力目立たないようにしているのです。 今回のお忍び視察もそういう事も含んでいるんでしょう 」

トンマンは納得したような顔をしていたが、まだ疑問が残る

「 スンマンとは知り合いなのか? 」
チュンチュは大きく頷いて、楽しそうに微笑んでいる

「 ええ、この国に来た目的は他にもあるでしょうね・・・・・・彼はスンマンに御執心で・・・向こうでは婚姻も口にしていました 」
 
「「 スンマン(様)に御執心!!! 」」
 
思わず顔を見合わせる叔母と女傑に、これはもう楽しむしかないか・・・とチュンチュは心の中で呟いた

それも、また乙なもの・・・・・・くすっ。。。

しかし、リジに会って本音を聞きだしたいところだが、はて・・・・・・彼の人は、私同様・・・食えない人物だから骨がおれそうだ・・・・・・やれやれ・・・・・・

「 そのリジ皇子のお好きな物などは、チュンチュ公は知ってらっしゃるのですか? 」
「 ミセン公に手伝っていただきたいので、伯母上の任命がほしいですね 」

「 許可しよう! チュンチュ公の補佐をミセン公に頼みます 」
「 承りました 私、ミシルが云っておきましょう 」

チュンチュは話が済んだとばかりに立ち上がり、ミシルもまた自分の宮へと帰っていった

「 何事もなければよいのだが・・・ 」

トンマンの呟きに王も王妃も頷いていたのだった。。。

***

「 おい! スンマン! どうした? 何で怖い顔してんだ? 」
「 スンマン様、どうされました? 」

自分の宮に帰ってきたスンマンだが、その顔は眉を顰めたままで険しいものだった

ピダムもポジョンも何があったのかと訳が聞きたくて尋ねても、一言も口を開かずに黙ったままのスンマンが急に宮の前で止まった

『 久方ぶりだな・・・スンマン 』
『 ・・・・・・私は一生会わないままでも構わなかったがな・・・ 』

宮の前に佇んでいたのは李治=リジだった・・・・・・おもむろに中原の言葉で話し出す二人を、ピダムは面白そうに・・・ポジョンは心配そうに眺めている

『 少し雰囲気が変わったな・・・肌の艶も・・・  もしや男か? 』
『 愛しい男ができた・・・私の事など忘れろ 』

『 私の気持ちを知っておきながら・・・・・・つれないことよ・・・ 』

構わずに横を通り過ぎようとしたスンマンの腕を掴んだリジが、ピダムやポジョンさえも動く隙も与えずにスンマンの後頭部に手をやり無理やり口付けた

「 ふ・・・うんん・・・やぁ・・・んんん・・・ 」
『 我が妃(きさき) 』

「 離せ!!! 」

唇をこすりつつリジを睨むスンマンの眼には蒼い焔が立ち昇る・・・・・・物騒な殺気を込めて、剣を握り男をみる

『 はは、怖い怖い! 退散するよ 』
「 帰れ! 」

にっこりと微笑みながら立ち去る男は、何事かを含んだ眼でスンマンを、ピダムを、ポジョンを見てからゆっくりと歩いて去っていった

***

さて、一波乱ありそうな男、登場です☆
彼は唐の皇帝の息子で3代目の皇帝になる人です・・・・・・

彼はスンマン女王が崩御した時に唐から絹の反物を300という数字で贈り、死を悼んだといわれてます

その記述を見て、浮かんだのが「 何かあったからこんなたくさんの絹をあげたはず! 」と妄想がムクムク!!!

とはいえ二人は年が離れてるし、彼は病弱で皇帝になっても後見人や王妃に政治を好きにされて名ばかりの皇帝だともかいてありました

そんなの萌えないじゃん!!! ということで、私の世界仕様に変えさせてもらいます(笑)

リジ・・・一癖も二癖もある本音の見えない皇子様。プレイボーイで病弱なふりして夜毎遊びまくってますし、チュンチュに酒や女の嗜み方を教えた人。 スンマンとほぼ同じ年に設定します(実際は違いますよ!)

さてさて、楽しんでいただけたら嬉しいです
関連記事

コメント

Secret

プロフィール

すー※さん

Author:すー※さん
私的妄想世界が広がっております。
イチオシは窪田正孝さんの役柄いろいろ妄想話です♡(その他にも相棒の神戸さん、スネイプ先生や善徳女王など色々でございます)

最近は更新ができてませんが、発作的に投下してます。
8月、9月の試験に受かれば時間ができるので、それまでは見守っていて下さいませ。

合言葉は『シリアスからエロまで』・・・・・楽しんでいただければ幸いです。。。

最新記事

最新コメント

最新トラックバック

月別アーカイブ

カテゴリ

ブロとも一覧


Cat Home

暁の唄

ちび眼鏡日記

月が浮かぶ夜

まきまきまき

うみにふわりふわり

snowdrop

みやびのブログ

よみよみ

SweetBlackな世界

日々のこと

きみと手をつないで

shibushibuuu

ゆめの世界

井の中の蛙

月の舟 星の林

古いおもちゃ箱

検索フォーム

RSSリンクの表示

リンク

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード

QR