②【第二章】☆月に照らされ、陽に焦がれ・・・・・・

ちょっと暗いシリアスですが、良かったら読んでください

*****

「なあ、ピダム  ユシンやアルチョンならば、どうすると思う?」
「あいつらか?」
「ああ・・・」

ふんっ! と馬鹿にしたように笑うピダム

「あいつらなら貴族の事を報告しに徐等伐にさっさか帰るだろうさ 」
「そうだな・・・」
「そうして貴族の間で《なぁなぁ》で話をつけて終わるんだ」
「ああ、その通りだろう・・・  だがな、それも一つの方法なんだ」

「なんだと!」
「いきり立つな、ピダム。  そこで終われば腐った貴族のよくあることだがな。  ずっと監視し、何事かあれば処罰する事ができれば・・・・・・どうだ?」

「処罰・・・できるのか?」

そこで、盃の中の酒を ごくごくと飲み干したスンマンの眼が、爛々と蒼く輝く

「その前に、お前はどうする?」
「俺は・・・・・・剣で斬り、殺してやる」
「私と同じだな  だがな、ピダム」
「ん?」

「その方法だと根本が腐ったままで解決にならない・・・」
「腐ったまま・・・  それは貴族か?」

答えずに盃に酒を入れ、ごくごくと飲み干すスンマン

「答えを見つけるのは己の中の信念だ  ピダム、学べ。 経験し吸収しろ・・・・・・何が必要で何が不必要か・・・  自分の生き様を思い描き、そこに向けて歩むのだ 」
「スンマン・・・ 」

「今まで、お前の世界はムンノ公だった。  ・・・だがムンノ公が亡き今、お前の世界は姉上になった・・・そうだろ?」

「 スンマン!!!  ・・・どうしてそれを・・・」
驚愕のピダムの顔・・・  血の気がなくなるその手を私は握り締める・・・ありったけの力を込めて・・・

しばらくして落ち着いたピダムが、瞬きながら涙が溢れそうな眼で私を見つめる


「・・・どうして師匠のことを? 」
「ヨムジョンを問い詰めた・・・  もし、また私の意思を無視すればヨムジョンは斬る」
「スンマン・・・」
「話してみたかった・・・ムンノ公と」

「なあ、スンマン」
「ん?」
「俺は何を学べばいい? 何を経験して吸収すれば・・・・・・男として、人として公主様に認められる?」

「王室、貴族の関係と昔からの出来事。 騎馬隊を統率し、隊員を惹きつける人心掌握の方法・・・特に今は、騎馬隊員を全員、お前に惹きつけろ」

「そんなこと・・・ 」
「無理ならば、姉上もミシルも新羅も諦めろ!!! 」

「 スン・・・マン・・・」

「人には心がある。 心には機微がある。 機微を知り誠を示せば味方にできる・・・・・・味方を増やせば力になる。  力をもって成さねばならぬ事が、ある」

ふぅ・・・と息を吐き、スンマンはピダムの肩を がしり!!! と音が聞こえるほどに抱きしめた

「私と同じ闇を抱くお前が、昔の私を見るように思えて・・・・・・放ってはおけないのだ  これは理由も何もない。 最初に言っただろ? 性に合うと・・・」

「信じるよ・・・ この世で信じられるものなど何も無いと思ってた。  でも、お前は・・・お前だけは信じる」
「ふふ・・・・・・私もだ。  おかしな話だが色恋抜きの、この感情が何なのか自分でも分からぬ」
「おかしな話だな・・・」

「そういえばさぁ~~ 初めて会ったときに感じたな、スンマン」
「ああ・・・  ソクプムと比才をしてる間中、ずっとお前がどう攻撃するか、どう避けるかわかったな・・・」
「俺もだ  そうして立ち位置を入れ替える瞬間も合図もなくうまくいった」
「ああ・・・  不思議な縁だな」

組んでいた肩を放したスンマンが、ピダムと自分の盃に酒を入れ持ち上げて意気揚々とした朗らかな顔をピダムに向ける

「我が友に!」

盃を受け取ったピダムも高揚した顔をスンマンに向け、盃を高々とあげてから・・・・・・二人は一気に飲み干した

「俺の友! スンマンに!」

その夜・・・二人は酔いつぶれるまで飲み明かし、肩を組んで眠ってしまった

***

「いててぇーーー 」
「騒ぐなピダム、頭に響く・・・  うっ!!!」
「そんな事いったってよぉーーー  うっ!!!」

仲良く青い顔をした二日酔いの二人は、騎馬隊の執務室に入ってきはしたものの・・・・・・どかっ! と椅子に座ったまま動けなくなっている

「スンマン様、いかがされました?」
ユシンが聞けども二人が顔を見合わせ、吹き出して笑っては、また頭痛に「いててっ」と呟いている

「スンマン様、これを・・・」
ポジョンが二日酔いに効くというお茶を煎れスンマンの前に置いて・・・・・・ピダムの前にも置いた

「お前も飲め・・・スンマン様はともかく、酒に弱いのだろう」
「へぇーーー 何か入ってないか?」
「失礼なことを言うな!!!  ならば飲まなくともよい!!!」
「ムキになるなよ、冗談だろ? 飲むよ、飲むから置いてくれ」
「・・・・・・まったく、素直に礼は言えないのか!」


「・・・・・・ありがとよ・・・ 」
照れくさそうに礼をポジョンに言うピダムの様子にスンマンは微笑んで、ポジョンは信じられないと驚愕の顔を向けていた

ピダムが礼を言うなど、公主様の前以外ではありえない・・・・・・ポジョンが固まり、黙ってみていたユシンでさえ、黙ったまま固まっている・・・

「そんな見るなよ、照れるじゃねぇーーか 」
「いや、照れる所ではないだろう」
「ほーか?」
二カッと笑うピダムの、やけに白い歯を見ながらポジョンは呆れ、一緒になって微笑んだ

***

「王宮の書庫には入った事あるんだろ?」
スンマンに連れられて書庫に入ったピダムは頷く

「えーーっと、コレとコレとこれ・・・・・・取りあえずはこれくらいか」
「おい! コレくらいっつっても・・・・・・山になってるぞ」
「ははは! 新羅七百年の歴史が山一つで終わるものか!」
「でもーーー 」

子供のように不満を言うピダムにスンマンが、じろり! と睨みつける

「大の男がこれ位でぶちぶち言うな! 分からなければ教えてやるから」
「・・・わあったよ!」
「今、選んだ物は真興大帝からの時代のものだ。  貴族の動き、ミシルの動き、王宮の弱体化、真興王の業績とそれに続く王の事柄・・・・・・よく読んで頭にいれろ」

「うえーーー 」
言葉とは裏腹に真剣な顔をして読み始めるピダムをしばらく眺めてからスンマンは書庫を出て行った

一心不乱に読むピダムは一冊、また一冊と読み終えていった

***

辺りが暗くなり、読み終えたピダムが伸びをして首をこきこきいわせてる頃、スンマンが書庫に戻ってきた

「ほぉ・・・  一日で全て読み終えたか・・・」
「ああ! 俺が本気になったら ちょろいものさ」
「頭には入ってるのか?」
「・・・はいってる。  王室がいかに弱くなったかも見た」
「貴族達の関係は?」

「入り組んでて分からない・・・・・・こいつらは何でこんな事を?」
本を開き疑問の場所を開けば、スンマンがニヤリと笑った

「結局このあと自作農をしていた農民が小作人に、小作人は奴婢に転落した。  自作農の土地を手に入れた貴族は自分の領土と年貢を増やせ・・・・・・王室は?」
「直接入る年貢を失う・・・・・・」
「そうだ、そして年貢が減れば金も減る、金が減れば? ピダム分かるか?」

「金が減れば・・・・・・力が減る。  貴族はぬくぬくと私服を肥やして王室は痩せ細る・・・」

「そうだ、そうして姉上がやりたい事も金が無いからすぐには出来なかった」
「土地の開墾と、武器用の良い鉄で作った農具・・・」


じっとピダムを見ていたスンマンだが、ふっ・・・と笑い問いかけた

「なあ、ピダム」
「なんだ? スンマン」

「この国を、どう思う?」
「この国・・・新羅か?」
「ああ・・・  どう思う?」

少し考えた俺は慎重に言葉を選びながら、でもスンマンの眼を見て言った

「俺の生まれた国。  色々地方を回ったけど、土地の人達は生きるのが精一杯で・・・でも楽しんで暮らしてる・・・良い時はそうだが・・・」
「・・・それで?」
「租税が増えて、借金して・・・娘を妓房に売る親もいる 」
「そうだな・・・  借金の代わりに妾に差し出す親もいるな 」
「戦になれば男手を戦争に取られて、死んだって幾ばくかの金が王室から出るだけだ」

「その金さえ役人がちょろまかして届かない者もいる」
「はあ??? 本当か?」

「ふふふ・・・ 役人と言う貴族が 目の届かぬ事を良いことに着服するんだ」
「・・・・・・腐ってる」

ピダムの目に、初めて民を思う気持ちが見えてきた・・・  変わり始めたか・・・スンマンの呟きにピダムがスンマンを見た

「あとは明日にしよう」
「あーー 疲れた」
「夕飯は私の宮で食べるか?  タンシムが腕を振るってくれるぞ」
「へへ! 鶏肉出るかな?」
「言ってある。  さあ、行こう」

二人が本を戻して書庫を出ようとしたとき、トンマンが入ってきた

「あ、公主様」
「姉上、夕飯は?」

「お! スンマンとピダムか・・・・・・夕飯はまだだな」
「ならば私の宮で一緒に食べませんか?」

「ん・・・調べ物がしたいのだ。  終わり次第行こう!」

中に入るトンマンにスンマンはピダムの背中を押して手伝うように言い出せと目で合図する

「こ・・・公主様。 お手伝い致します」
「いや、本には興味が無いだろう? ピダム、無理をするな」

「姉上、ピダムは今、本の虫ですよ・・・  ここら辺りは読んでます」
スンマンが指し示す場所を見て、トンマンがピダムを振り返った

「へぇー ピダムが本の虫! 想像しにくいが・・・そうだ!」
「公主様?」
「私が質問して本当に読んだか試してやろう 」

楽しそうに王室や新羅のことを質問するトンマンに、答えるピダムを残して書庫から出ると扉の前には護衛花朗のアルチョンが立っていた

「スンマン公主様はピダムが気に入ったのですか?」
「・・・・・・ふふ  何故そのような事を聞く? アルチョン朗」
「聖骨の公主として、一人に肩入れが過ぎるのではないでしょうか?」

「仕方あるまい、気が合うのだから」
「その様な軽い言葉を!!」

「なんだ? 友としては認められないか?  それでは、ピダムを抱けばよいのか? 色供として扱えば納得するのか?」
「そのような・・・ことは・・・ですが、ピダムは氏素性も分からず礼儀も知らない者です」

答えに詰まるアルチョンが兼ねてより思っていた本音をスンマンにぶつけた

そのときスンマンの瞳に蒼い焔が立ち昇り、アルチョンを鋭く射抜いた

 《  かっ!!!  》

その眼に刺し貫かれたアルチョンは、スンマンの聖骨としての・・・ まごうかたなき王族として威厳と光に押し黙った

「アルチョン、よく聞け。  私は私の意志をもってピダムを友とする」

「姉上が公主と認められたのはひとえに死をも構わずにミシルに対したピダムがあってこそ・・・・・・ではないのか!」

「氏素性・・・はっ! 血が何だ! 王の血でも狂人はいるし、農民でも識者はいる!  ミシルの血があるポジョンとて私の命を救ったのだ・・・ 血筋ではないのだアルチョン、私が認めるものは・・・・・・分かってくれ」

「申し訳ありません。  出過ぎた真似をいたしました」
深々と頭を下げるアルチョンの中で、スンマンの存在が主のトンマンと同じく我が身をとして仕える王族として位置づけられた夜だった。

***

それから十日あまり、時間があればスンマンとピダムは王室の書庫へと入り書物を読み漁り質疑していた

その、濃密な時間のなかでピダムの意識が変化していくことをスンマンは頼もしく思っていた

ただ師匠ムンノと周りの市井のことしか頭になかったかつての無法者のピダムが、政治の事、貴族の事、王室の事、そして民のこと・・・・・・


乾いた砂漠の砂が水を取り込むように吸収していく・・・・・・スンマンは必ず押し付けずにピダムがどう思うかを聞いていく

そうして夜には、トンマンも交じり政治談議に花が咲くほどになっていた

***

「ピダムが変わったな・・・」
スンマンと楼閣の星空を見ながら、トンマンが話していく

「ええ・・・ もともとピダムは飲み込みが早いのです。  ただ、誰にも教えられてなかっただけなのです」
「ムンノ公がいたのだろう?」
「ふふ・・・ 反発したピダムが手こずらせていたでしょうね」
「スンマンには素直なのか?」
驚いたようにトンマンは傍らの従姉妹を見やる

「私に素直・・・というより、学びたい気持に動かされているのです・・・・・・姉上のお役に立ちたくて」
「私のか?」

くすくすと笑いながら、スンマンは柱にもたれた

「ピダムに必要だったのは王室の事柄や貴族のこと、そしてこの二つの仕組み・・・  姉上も砂漠から来られて面食らったでしょう? 新羅という国の風習などに」
「ああ、公主となってからは特にだ!  チョンソには随分助けられた」
「誰にも教われなかった・・・ 興味もなかったピダムが学びたいと思い、必死に学んだのはひとえに姉上のためなのですよ。 ねぎらってやってください」

「そうか、ピダムが・・・」
「ええ・・・」

二人の公主が話し合ったあとトンマンは宮へと帰り、スンマンは・・・・・・ポジョンと待ち合わせている隠れ家へと向かった


そうして、嵐の前の突風がスンマンを襲い、翌朝傷だらけのスンマンが見つからないようポジョンと自分の宮へと帰ってきた

「スンマン!!!」
朝、スンマンを探しに宮に来ていたピダムが青痣や口の端が切れて腫れているスンマンを見て、一緒に来たポジョンに掴みかかった

「ピダム離せ ポジョンは私の男だ、苛めるなよ」
「はあ???」
「くっくっくっ・・・ そう面食らうな」

ピダムとタンシムだけがスンマンとポジョンの事を知り、認めてから幾日かたった ある日、突然にそれは起こった。。。


≪  スンマンに襲う嵐が・・・・・・  ≫


*****

さて、いよいよ【闇色の月】の嵐に入ります

そのあと、ピダムもトンマンもスンマンも・・・ミシルの乱の無かった未来へといきます

あと1回は復習のようになりますが、お付き合いくださいませ
関連記事

コメント

☆げん様へ☆

はじめまして、訪問ありがとうございます

おおっ! 全ての秘め事を見たわけですね!  それは重ねて ありがとうございます

吹き替え版を先に見ていた私はポジョンの声にやられて(笑)

それと、子ポジョンが母の命令で悪事に手を染める時に涙ながらに言ってた台詞が頭から離れなくて。。。

気がついたらこんな事に(笑)

でっかい字は、携帯で打ってるときは出来ませんでしたけどパソコンで打つようになって覚えたという・・・・・・

チャングム! 食客!  見ました♪
面白いドラマでしたが二次創作しようと思ったのは善徳女王が初めてです

これからも よろしくお願いします

No title

すーさん様 はじめまして。げんと申します

本編からお遊び企画、パスワードのお部屋も楽しく拝読させていただいております

すーさん様のお話はオリジナルのキャラが満載で新鮮です!
ポジョンはドラマではピダムが真ん中へといくとともに隅っこに寄せられてしまった感があって、「耐えろ、ユシン」みたいなシーンがもっとあってもよかったですよね
ここでは真ん中にいておもしろいなあと読ませていただいてます

画面から雰囲気がすごく伝わってくるでっかい字の表現も大好きです!

私は、韓流ドラマはチャングムや食客(韓国版おいしんぼ?なドラマです)と食を扱ったものくらいしか観てなくて、善徳はここ最近でしっかりと観たドラマなんです。

これからも楽しみにしております!!
Secret

プロフィール

すー※さん

Author:すー※さん
私的妄想世界が広がっております。
イチオシは窪田正孝さんの役柄いろいろ妄想話です♡(その他にも相棒の神戸さん、スネイプ先生や善徳女王など色々でございます)

最近は更新ができてませんが、発作的に投下してます。
8月、9月の試験に受かれば時間ができるので、それまでは見守っていて下さいませ。

合言葉は『シリアスからエロまで』・・・・・楽しんでいただければ幸いです。。。

最新記事

最新コメント

最新トラックバック

月別アーカイブ

カテゴリ

ブロとも一覧


Cat Home

暁の唄

ちび眼鏡日記

ひとりごと

月が浮かぶ夜

まきまきまき

うみにふわりふわり

snowdrop

みやびのブログ

よみよみ

SweetBlackな世界

日々のこと

きみと手をつないで

shibushibuuu

ゆめの世界

井の中の蛙

月の舟 星の林

古いおもちゃ箱

検索フォーム

RSSリンクの表示

リンク

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード

QR