専務と秘書企画:【1ヶ月の恋人】

自分に自信の無いスンマンと自信家なポジョン……いつもと反対ですね(笑)

※※※

「専務……いけません」
「どうして?君に似合うよ」
「こんな高価な物!頂けません」

あるファッションビルのブティックの中、スンマンを連れたポジョンが服を次々店員に指示していく

店員は大喜びの笑顔でスンマンは次第に青ざめていった

ワンピースやスーツ一着で自分の1ヶ月の給料が飛んでいく金額に、嬉しいよりも怖くなっていた

「私がしたいのだ……黙って受け取りなさい」
「……嫌です」
スンマンの声が固いものに変わった

ポジョンにとっては『あの服が欲しい、鞄が欲しい、指輪が欲しい~』とねだられる癖が付いていたからか買い与えて当然と思っていた

「必要なものは自分で買ってますし……正直こういう服を着て出掛ける所も知りません……」

ワンピースを指差し恥ずかしそうに俯く……

「ならこれから1ヶ月の間、私と出かける時に着てほしいな」
「ではお気持ちを頂いて少しだけ……専務選んで頂けますか?」
「可愛いい事を……私の趣味でいいのかな?」

「申し訳ございません……私、何が似合うのか分からなくて……」

《自分の魅力に気がつかず……というより無意識に避けているのかもしれん。女性らしさを……》

「分かった、選ぼう……君の美しさを引き立たせる服を」

あれと、それと……と手際よく選ぶポジョンに気づかれないようにスンマンは溜め息を一つ……ついた

《違いすぎるのよ……専務が付き合う女性と私は……》

不思議だった……

恋人が居ないとは言え、専務なら女性は選り取りみどりだろう……私なぞを構わなくてもいいのに

でも……憧れ、募らせていた想い人と少しの間でも付き合えるなら自分は幸運だと思った

アルバートと同じ人種と知っても……想いは変わらなかった

「アルバートと同じって……どういう意味かな」
場所が上品なレストランに変わり、ワインを飲みながら唐突に言われたスンマンは咄嗟には言葉が出なかった

「……モテる男性という意味です」
「ふぅ……ん、てっきり私は取っ替え引っ替え女性と付き合える男って意味かと思った」
「ん゛っ……ごほっ」
喉を詰まらせたスンマンを面白そうに見つめたポジョンの眼が確信していた

「その通りみたいだね……ま、いいけど」

二人は仕事終わりに毎晩夕食を共にしていた

女性の扱いも上手く、気さくで話題も豊富なポジョンにスンマンは惹き込まれていった

一週間が経つまでには緊張も解けたスンマンはポジョンの話しにコロコロと朗らかに笑うようになっていた

二週間が経つ頃にはポジョンのアドバイスに従い着せられていた感のある服も着こなし、それに併せて化粧も立ち居振舞いも変わっていった

おどおどと対していたスンマンは影を潜め……蛹から蝶が羽化するように新たなスンマンが生まれていた

ポジョンはそんなスンマンに満足した

当初の目的:スンマンを女性として花開かせる……ことに上手くいってポジョンは上機嫌だった

《足長おじさんもそろそろ終わっていいかな……》

もとよりポジョンはスンマンとベットを共にする様な付き合いをするつもりはなかった

それより男達を倒した凛々しきスンマンと、それ以外のおどおどと顔を伏せてばかりのスンマンとの溝を埋めたかった

《1ヶ月かからなかったな》

堂々と仕事するスンマンを見ていて……美しいと思った

凛々しく優雅な立ち居振舞いもトラウマが無ければ元々スンマンに備わっていたものだろうからな……満足そうに頷くポジョンはスンマンにコーヒーを頼んだ

※※※

「この頃スンマン君は綺麗になったよな……何があった?」

秘書課のコーヒーやお茶が無くなり総務課に取りに行ったスンマンに馴れ馴れしく話しかけた男がいた

総務課の木田 真司……取引先の息子で仕方なく採用した男だが、仕事せずに女性社員を追いかけ回しているから総務課の厄介者になっていた

「前と変わりませんが……ではこれだけ貰っていきますね」
両手にコーヒーやお茶っ葉を抱えてエレベーターに乗ると、木田まで乗ってきた

運ぶのを手伝うわけでもなくジロジロとスンマンの体を眺めていた木田がエレベーターの扉が閉まったとたんスンマンに抱きついてきた

「何をするんです」
「急に綺麗になったのって俺がこの前誘ったからだろ」
「違います!……断ったじゃないですか」
「本当のこと言えよ」
「勘違いしないで!!!」

落としそうなコーヒーを抱えて避けていたスンマンがエレベーターの扉が開いた時に飛び出して給湯室に逃げ込んだ

「びっくりした……何なのあれ」

気をとり直して棚にしまっていたとき……最後に背伸びして一番上の棚に置こうと台に登ったスンマンの無防備な体に手が伸びた

「きゃあ゛~」
「私だよ」
見ればポジョンが不安定なスンマンを支えていた

「あ・専務……」
「危ないじゃないか」
「何か御用でしたか?」
固く強張った体が自分だと分かった途端、体中の緊張が消えた……鋭いポジョンが掌から感じとっていた

コーヒーを頼むと違う秘書が煎れてきて……一口飲んで止めた後、スンマンに煎れて貰おうと聞けば総務課に取りに行ったと言うからエレベーターの前を見ていた

ガラス張りのエレベーターが到着したとき、中の光景にポジョンの拳が握られた

男がスンマンを触ろうと襲っていたからだが……ひらり、ひらりと交わすスンマンはさすがだった

飛び出して行ったスンマンの後を追う木田の前に立ち塞がると、すごすごと帰っていった

※※※

「明日は休みだろう……デートしよう」
夕食を共にしながら……今夜は料亭だった……ポジョンが言い出した

「何処に行きたいかな?」
「……何処でも良いですか?」
「ああ」
「遊園地に行きたいです」
真っ赤になったスンマンが箸を置いて言った

「遊園地? ……いいよ、行こう」
「私、行ったことなくて……小さな頃から行ってみたくて」
「小さな頃から?」
訝しげなポジョンだが無理に聞き出さずに明日の打ち合わせを二人で楽しんで食事を終わらせた

スンマンの家は昔ながらの日本家屋で大きく立派だった

送ってきたポジョンが車の中にスンマンの忘れ物を見つけ運転手に待つよう言い置いて玄関に立った

チャイムが付いていない玄関の扉を開けると……

バシッ!!!
スンマンが中年の女性に頬を叩かれていた

「スンマンさん、くれぐれも結城の名を汚さないように行動しなさい」
「はい……」
「毎日外で男性と食事するなんて!はしたない……貴女の母親そっくりね!」
「申し訳ございません……お義母様」

「ふん!今まで我慢して育ててやったんですから家の役に立つような所に嫁に行きなさいよ」
「分かっております」

呆然とするポジョンの側に誰かが立った
「此方へ」
ポジョンが呆気にとられていると着物を着た老婦人が手招きした

「みっともない所をお見せしました……私はスンマンの祖母です」
「私は……」
「【1ヶ月の恋人】の専務さんですね」
「御存じでしたか」
「あの娘は辛抱強い良い娘なんですよ」
スンマンの祖母の部屋で事情を聞いたポジョンはやっと自信の無さすぎる事を理解した

スンマンは父=結城 真充(ゆうき・まさみつ)が妻ではない女性を愛し成した子供だった

産後、母が死んでこの家に来たスンマンは当然のように歓迎されず祖父や祖母に育てられていた

大きくなり本妻の子供達より武芸の才に秀でたスンマンを疎ましく思った本妻が何かにつけて辛く当たること……我慢強いスンマンは誰にも言えずにいることを祖母から聞いた

「あの娘がね……貴方のことを頬を桜色に染めて報告したんですよ」
「何と?」
「憧れてた人と1ヶ月、恋人になれたって……そりゃ~嬉しそうに」
「憧れ?」
「貴方の仕事に打ち込む姿勢に前から憧れていたそうです」
「初耳です」

ポジョンに祖母が頭を下げた

「お願いがあります……この家に居たら今にあの娘は壊れてしまう……この家から出る勇気を与えてやって下さい」
「それでいいのですか?」
「私の望みは……あの娘が、あの娘らしく生きていくことなんです」
「わかりました」

スンマンの忘れ物を預けてポジョンは帰っていった

「貴方には戯れでも……スンマンには一度の恋でしょう……精一杯、燃やしてやりたいと願う愚かな婆の願いを……お頼み申します」
ポジョンが去った方向に頭を下げる祖母がいた

※※※

翌日の朝、ポジョンはスンマンの家の玄関まで迎えに来ていた

出てきた女中からスンマンを迎えに来たと聞き、義母が興奮してどんな男か見に出てきたのに対しポジョンは……

「朝早くから申し訳ありません。美室財団専務のポジョンと申します……」
「あの美室財団の……」
「スンマンさんをお借りします」

にっこりと笑い出てきたスンマンの肩を抱いて車に向かった

「あの!専務!……迎えに来てもらわなくても大丈夫ですから」
「余計なことだったかな?」
「あ……」
「大丈夫だから……今日を楽しもう」
「はい」

※※※

二人で遊園地での楽しい時間を過ごした帰りの車の中……

くぅーくぅーと寝息をたて始めたスンマンを抱き寄せ肩に頭を持たせかける

「無邪気な寝顔だな……」

思えば、毎日のように付き合っていてキスもせずに過ごした女性は彼女が初めてだな……

最初にして以来、触れずにきた唇に…… そっと指で触れてみれば柔らかく……髪から香る匂いにも刺激され……

【どくん!】と脈打つ鼓動の大きさに体が跳ねた

《触れたい……柔らかな唇を、胸を……匂いたつ肌を……私の肌と併せて……甘い声を出させたい……》

突然に沸き上がった欲望はポジョンを慌てさせるのに十分だった

それと同時に喉がひりつくほどの乾き……餓えが襲う……

抱くのは簡単だ……だが、と自問自答してしまう

純情な娘を自分が汚していいのだろうか……男を知らない彼女を……

無邪気に寄せられる信頼を裏切ってもいいのだろうか……

棚に置こうと不安定な姿勢のスンマンの腰を支えたとき……緊張の解けた体はポジョンへの信頼を示していた


だが、欲しい……

一度自覚してしまえば気づかぬふりなど……もう出来ない

彼女が欲しい……欲しくて堪らない……

身体中の血が彼女を欲して沸騰するような感覚など味わったことなど無かった。

「帰りに女を引っかけて抱くか……」
だが、そう考えた途端ポジョンの体は冷静な静けさに戻ってしまった

「はっ……なんてことだ」
彼女しか要らない、欲しくない……なんてことだ……


プレイボーイを自認していたのに……捕まってしまったか……

彼女しか欲しくない……ならば!!!

運転手にホテルに行くよう指示し、電話でスィートを取り、ルームサービスも頼み電話を切った

「眠り姫は……起きたら逃げてしまうかな……」

ちょうど三週間たった今日に賭けてみた

「逃げればいいかもな……私のような酷い男に捕まるよりも……」

言葉とは裏腹にスンマンを抱き寄せる腕に力を込めているポジョンの顔は……

本人も気がつかないほど真剣で哀しそうな顔だった

「スンマン……」
ホテルに着くまで額にそっと唇をつけて……何かを耐えるように、何かに怯えるように……

ポジョンは動かないままだった

※※※※※

一気にポジョンがその気に!!!

次回はパスワード付きな展開ですので(笑)
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すー※さん

Author:すー※さん
私的妄想世界が広がっております。
イチオシは窪田正孝さんの役柄いろいろ妄想話です♡(その他にも相棒の神戸さん、スネイプ先生や善徳女王など色々でございます)

最近は更新ができてませんが、発作的に投下してます。
8月、9月の試験に受かれば時間ができるので、それまでは見守っていて下さいませ。

合言葉は『シリアスからエロまで』・・・・・楽しんでいただければ幸いです。。。

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