⑫月に照らされ、陽に焦がれ……【安康城編】

新章突入です!
いや、ここからが本編かな(笑)
ここからは善徳女王のドラマを観られている事が、前提になってしまうかも知れません。
是非!ドラマを観てほしいです

それとスンマンが絡む分、ドラマとは段々と変わっていきます。

それでもイイゾ!
どんとこい!な方、見てくださいね

※※※※※

「良く晴れた日だ」
宮殿に戻ってきたポジョンがミシルの宮に向かう。

スンマンを助けた罰に宮殿から出て、身心を鍛錬していたポジョンだが……ミシルの使いが来て戻ってきた。

「母上、只今戻りました」
「ポジョン……もういいのか」含みのある視線を、ちらとポジョンに向けたミシルが尋ねた。

「はい、もう跡形も無く……」そう言って、きりりと立っているポジョンには、言葉通りスンマンへの想いが消えたようだった。

じっと見詰めたミシルが、ポジョンの変わりように密かに驚いていた……もちろん、表情には出さずに。

鍛錬のせいなのか……顔も体も余分な肉が削がれ、以前より精悍な印象になった。

……ほほほっ、さてこれで手駒は揃った……事は仕掛けてある、楽しみじゃ……

内心は臆びにも出さず「ソルウォン公を呼んで下さい」と命じるミシル。

一礼してポジョンが出ていった。

※※※

青い空が続く新羅は、いつになく気持ちのいい日だった。

農民達が待ち望んだ刈り入れが始まっている。

穀物を収穫し、税を納め……一年の糧を得る。

恵みの季節が始まっていた………

だが、安康城地域の農民達には暗雲がかかっていた……


宮殿に早馬が着いた、その日。
報せを受けた王はトンマンを呼び、事を話した。

王妃・ソヒョン公・ヨンチュン公・マンノ夫人・トンマン公主……いつも王の力になる忠臣と公主が集まった。

「なんだと! 民が暴動を起こし太守を人質にとっただと」
王が驚愕の声をあげ、皆の顔も変わった。

「どういう事なのだ」
「何でも害虫の被害が多大で粟が五百石しか採れなかったのに、税を例年通りに徴収したのだそうです」

「例年通りだと?」王が訊ねると……
「五百石です」ヨンチュン公が言った。

「何だと、収穫した穀物を全部徴収したのか?」王が驚くのも無理はない。

そもそも害虫の被害などで凶作だった年は、申し出れば税を減らす事ができるのだ。

だが、安康城の領主であるセジョン公は何の申し出もしていなかった。

「どうして……」トンマンが呟き、王にこの件を調べる許可を貰った。

トンマンが宮に戻る前、そのトンマンの宮ではユシンとスンマンとピダムとが居た。

「どういう事だ? なぜ申し出もしないで穀物を全部徴収したんだ」ピダムが不思議そうに言った。
「おそらく、買い占め騒動で煮え湯を飲まされた貴族共の意趣返しだろう……」スンマンが呟き、拳を握り締める。

「弱い者をわざと締め付け、暴動を起こさせた……」ユシンも憤っていた。

「貴族は手を持ちすぎだな……」ピダムの呟きにユシンも頷いていた。

そこにアルチョンが駆け込んできた。

「ユシン、公主様が安康城に行くのだ」
「公主様自らが?」ピダムが驚いた。

「そこでユシン、お主に先に安康城へ行き、村長と話し合いできるようにしてほしいと公主様の命が下った」
「分かった」ユシンが頷くと宮を出ていった。

「姉上の出立の準備をしよう」スンマンが手早く侍女に命じて準備を始めた。

「では私は侍衛府の準備を!」アルチョンも足早に出ていく。

「ピダム……チュンチュを頼む」スンマンが頭を下げ、頼むとピダムが慌てた。

「俺は教育係だからな……心配するな大丈夫さ」
「ふふっ……ピダム、安康城の領主は誰だと思う?」
「ん?」
「セジョン公だ……ミシルの夫の上大等の」
「じゃ、この件の後ろに」
「ああ……ミシルが動き出した」
「くそっ」

「ピダム、チュンチュは武芸はからきしなのだ……身を守ってやってくれ」
「分かった……スンマンはどうする」
「私か?ふふっ……姉上の護衛に着いていくさ」
「じゃな」
「ああ……」

ピダムが宮を出ていった後、スンマンはしばし考えていた。

※※※

「トンマン公主のあの顔ときたら~」ハジョンが猿のように騒いで喜んでいた。
「母上にも見せたかったです~」先程、トンマンと会談した内容をハジョンが逐一ミシルに話して聞かせていた。


突然、ポジョンが部屋に入ってきてミシルの側に立ち報告した。

「何!!公主が直接安康城へ行ったのか?」
「ユシンが先発でたち、トンマン公主も今、出立しました」
「……」

ハジョンがおどけて揶揄するのに、ミシルは一人考えていた。

ポジョンがその表情に気づき、訝しげに見ていたが……ミシルは何も語らなかった。

※※※

アルチョン、スンマンを従えたトンマン公主の一行は、ユシンの待つ安康城そばの天幕まで着いた。

「村長は天幕の中にいます」
「行こう」

トンマンが天幕の中の席につき、ユシン・アルチョン・スンマンが側に立った。

村長の話では……収穫を全て持っていかれ、食べ物は何一つ残っていない。

しかも穀物を運ぶ兵士に飛びかかったといって16才の少年が殺された。

太守に助けを求めに行っても、さらに一人殺された。

もう……他に術がなかったと語る村長にトンマンは。

「徴収した250石の穀物はお前達に返す、そしてお前達全員に一定の荒地と2等級の鉄で作った農具を与える」

「ええー」農民と村長が驚いた。

トンマンは穀物と農具を低利で貸し、来年300石返せばよいと提案した。


「ふふっ……姉上さすがです。だが……」スンマンが小さく呟いた。

横にいたアルチョンが見ると、スンマンの顔が少し陰っていた。

トンマンは自作農を増やしたいと、王宮の武器を作る良い鉄で農具を作り前から準備していた。

「荒地を農地にすれば、お前達のものになる」

話し合いは順調に進んでいる。

「公主として約束する!」トンマンがきっぱりと言った。


一旦アルチョンやユシン達と外に出たトンマンは、二人から暴動を起こした処罰はしないと……と謂われていた。


天幕の中、黙ってスンマンは腕組みをし、村長や農民達が互いに話しているのを聞いていた。

トンマンが戻り、反乱を主導した罪の処罰は猶予すると村長と固く約束をした。

ただし、荒地を開墾し定着するように指導するのが条件であった。

農民達の為に命を投げうって訴えてきた村長を、首をはねて処罰するのが躊躇われたのだった。

※※※

「ユシン殿、少し宜しいか」スンマンが天幕の外にユシンを連れていき、周りに誰もいないのを確かめた。

「どうされました、スンマン公主様」
「……あの農民達に監視を付けて欲しい」
「どういう事ですか?」
「勘なのだがな……あの者達は姉上の言葉が腑に落ちてないのだ……」
「分かっていないと?」
「ああ……」
スンマンの顔が常になく沈んでいる。

「農民達に知られないよう目は離さずに、何かあれば対処できるようにしてほしい」
「分かりました……では、農民達には知られないよう手配しておきます」

「取り越し苦労なら良いのだがな……」
「スンマン公主様……」
ユシンは下を向いて沈んだ顔をしているスンマンを見詰めた。

トンマン公主が傷つかないよう案じている様子が良く分かった。

じっ…とユシンが自分を見ているのに気がついたスンマンが、ちらりと艶やかな目線をやった。

何故かユシンが慌てて目を逸らしていた。

「ふふっ……この格好のときは公主と呼ぶのは無しにしてくれ」
「しかし……」
「動きにくいのだ……そう呼ばれると、色々とな」
「分かりました」
「では、天幕に戻ろう」
振り向いて歩き出そうとしたスンマンをユシンが何か言いたげにしていた。

「ん?……何か私に言いたいことがありそうな顔だな」
面白そうにユシンを見たスンマンの瞳が先程とは変わって輝き始めた。

「あ、いえ、大したことではないのですが……この件が落ち着いたら一度、我が家にて酒席でもいかがですか?」
「ふふっ……どうされた?」
「スンマン……殿と話してみたいのです」律儀なユシンはつい《公主様》と出そうになる。

「分かった。ふふっ……私も姉上の郎徒時代を聞きたいな。叔母上にもお会いしたい」ユシンの母はスンマンの叔母にあたる。

「では、用意ができればお知らせ致します」
「楽しみに待っています」

二人、天幕に戻っていった。

※※※

トンマン一行が周辺の地域を巡回して宮殿に戻ったのは、安康城を出てから十日以上過ぎてからだった。

宮殿に着いた途端、ユシンに安康城に忍ばせていた見張りから早馬が来た。

「何だと!!……安康城の農民が逃げただと!」
スンマン公主の懸念が当たったか……

ユシンは落胆よりも怒りが沸き上がってきた。

「直ぐに全花郎と郎徒を喚び集め安康城に行くのだ!」
ユシンの叫びにも似た命令が直ちに実行された。

「絶対に農民達を全て捕まえるぞ!!」


トンマンが報せを受けた時にはユシンはもう安康城に出立していた。

トンマンは乳母のソファから事態を聞き、王の宮の仁康殿に向かった。


スンマンが傍に付き従う。

「スンマン……」
「大丈夫です姉上……既にユシン殿が捕縛に向かっています」
「とにかく事情を確かめねば」


王の会議の間に付いたとき、上大等のセジョン公をはじめ大等の皆とミシル宮主まで居た。


王に礼をとり、席に着いたトンマンの後ろにスンマンが控えた。

トンマンが席に着いた途端、ハジョンが騒ぎ始めた。

「どうなさるおつもりです」

貸した穀物と農機具を持って逃げた農民達をどうする、どうすると喚いて責めるハジョン。

「陛下、私がしでかした事です。安康城へ行って調べます」
「そうか、頼んだぞ」

※※※

トンマンとミシルが部屋に居た。

トンマンの宮で二人は向かいあって円卓に座っている。

「どうなさるおつもりですか?」
「……」
「民は真実を重荷に感じます。希望は持て余し、話し合いは面倒がり、自由を与えると迷うのです」
「………」
「民は即物的で子供なのです……処罰は断固として厳しく、褒美は少しづつ…ゆっくりと。 それが支配の基本です」
「……」
トンマンはミシルに言われるがまま黙っていたが、その顔は不思議と穏やかだった。

……何故だ? トンマンのあの穏やかな顔は……

得々と話している自分の方が、段々と余裕を失っている……

奇妙な感覚にミシルが……僅だか違和感を覚えていた。

……いつも、かもしれぬ。トンマンと話すとき、私はこの違和感を感じている……

……チンピョン王ともチョンミョン公主とも違う、このトンマンに……

「おまけに、処罰をしない前例までお作りになった……どうなさるおつもりです?」
ミシルがトンマンの言葉を待った。


だが、トンマンの口から紡がれた言葉は、決してミシルが望む言葉ではなかった……

「やっと分かりました……チヌン大帝以降、新羅が発展しなかった訳が!」

「………!!」

ミシルの眉が吊り上がった………

※※※※※

更新が遅れて すみませんm(_ _)m

色々、野暮用が重なってしまいました。

夜は爆睡してしまい……ただ、楽しんで書いてますので読まれる方も楽しんで頂けたら嬉しいです
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Author:すー※さん
私的妄想世界が広がっております。
イチオシは窪田正孝さんの役柄いろいろ妄想話です♡(その他にも相棒の神戸さん、スネイプ先生や善徳女王など色々でございます)

最近は更新ができてませんが、発作的に投下してます。
8月、9月の試験に受かれば時間ができるので、それまでは見守っていて下さいませ。

合言葉は『シリアスからエロまで』・・・・・楽しんでいただければ幸いです。。。

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