《 幼馴染の王子様 》

現代編のスタートです! 基本1話完結を目指してます!

今回は《 幼馴染 》をモチーフにしますが、ネタ元は【 ファーストキスだけ7回目 】というウェブ・ドラマからです。

7人のイケメンがそれぞれヒロインとラブロマンス?を繰り広げるというドラマなのですが、ジュンギさんは2話目で出てきます。


その設定をネタにしながら、3話目のエピソードを混ぜながら、遊んじゃおう!

そんなお話です(笑)


ものすごく好きに書きます。。。


そうだ、お知らせが! お話の中の名前なんですが、基本は《 麗 》での役名になります。

その方がわかり易いと思うので、よろしくお願いします。





あ〜あ、私もとうとう25歳か・・・・・・ この年まで彼氏いないって、どうなのよ。。。


「ちょっと朝からそんな顔しないでよ!」
「あ、ごめん・・・」

「また彼氏いないこと気にしてるの?」
「うん」

「大丈夫よ、ここに来たんだからすぐにできるわよ!」
同僚のスジンは、同期入社の研修で意気投合してすぐに友達になったの。

私は化粧品の販売員。 お客様を美しく、笑顔にする事が生きがいです!

今まで街のお店で販売していた私だけど、この前からデパートの中の直営店に移ったんです。

スジンともこの店で再開して、毎日楽しく仕事してるんです。


「ここは韓国でも1番のデパートよ! きっと良い出会いがあるわよ!」
「そうね・・・ さ、お仕事しましょ! いらっしゃいませ・・・ 」



「あ、メールだ・・・・ソ兄さんからだ」
お昼休みに携帯をチェックしたら、ソ兄さんからメールがきてた。

兄さん・・・といっても本当の兄ではなく、小さな頃から親しくしてる人なの。

いわゆる幼馴染っていうのかな・・・・・出会いは近所の教会だったっけ・・・・・・・


初めてソ兄さんを見たのは私が5歳、ソ兄さんが10歳の頃だった。

教会のお泊まり会で、大勢の子供が集まった中に兄さんがいて・・・・・・私は5歳だったけど、ソ兄さんを一目見て “ 恋 ” したの。。。


・・・・・・まさか、その初恋を20年も引きずるなんて思いもしなかったけど。。。

そう・・・ 私の男性を見る基準が、ソ兄さんになったのが、そもそもの不幸の始まりなのよ。


「メールは・・・・・・あ! 今夜ご飯一緒に食べてくれるんだ!」
メールの内容は、今夜、夕食を奢ってくれるって書いてあった。

誕生日に彼氏じゃなくてソ兄さんなのは、幸せなのか不幸なのか・・・・・悩むところだけど、美味しいご飯を驕ってもらえるんだから、幸せよね!!!


その話をスジンにしたら・・・・・
「ちょっと、誕生日に幼馴染の兄さんと食事? そんなの彼氏できなくて当然じゃないの!」
「でも・・・」

「でもじゃない! 分かった、コンパセッティングするから! その兄さんとの食事はキャンセルしなさい」
「約束は今日よ? キャンセルなんてできないよ・・・ 兄さんも忙しいのに時間作ってくれたんだもん」

「そうね、今日いきなりコンパは無理ね・・・・・じゃあ、後で必ずセッティングするから!」
「ありがとう・・・スジン」

そろそろ退勤時間になるころ、急にお客様がザワザワとし始めたの。

皆、背後を見ては騒いでる・・・・・・何だろう???


「きゃっ♡ あの人ってワン・ソじゃない? あの若さでIT業界で大成功した!」
「そうよ、新財閥に加えられたって記事になってたわ!」
「しかも独身!!! 今1番会いたい成功者シングル人気ナンバー1よ!!!」


スラリとした長身に、女より美しいと言われる美貌、スマートな身のこなしに、優しい笑顔満載でこっちに近づいてくるのが・・・・・・・

「ヘス! もうすぐ終わりだろ? 迎えにきたよ」
「ソ兄さん・・・」

「下で待ってるから、終わったらおいで」

そう言って離れてったソ兄さんだけど、周りの女性客は目がハートで、兄さんの後をついていった。


「あの人が、兄さん・・・・・・」
「そうなの」

「ヘス、かわいそうだけど・・・・・・アンタに彼氏は無理ね。 あんな完璧な男が周りをウロチョロしてたら、普通の男は手が出せないわよ」
「やっぱり、そう?」

「・・・・・・・諦めなさい」

スジンが宣言するみたいに言った。




ヘスと出会ったのは、彼女が5歳のときで・・・・・・俺が10歳だったな。

近くの教会では年長の子供が小さな子の世話をして、心を成長させるってのがあってさ、自分も親に参加させられてた。


すごく嫌だった・・・・・・・俺にはどういう訳か、顔に痣があって・・・・・興奮すると浮きあがって出てくる痣が、同じ年頃の子供にからかわれて嫌だったんだ。

緊張したり、照れたりしたら顔の左側の頬と額に出てくる痣は、医者に診せても原因不明と言われた。

からかわれるから俺は、学校以外はなるだけ外には出ないようにしてた。

そんな俺を心配した親が教会に連れてったんだ・・・・・・・けど、そこでも俺は、からかわれてた。


「おいワン・ソ! 珍しいなお前が教会に来るなんて! 醜い痣を気にしてる引きこもりのくせに!」
「少しくらい成績が良くたって、引きこもりの痣お化けだろ! 帰れよ!!!」

ワイワイと囃し立てる同級生に嫌気がさした・・・・・・そのとき、クラスでも可愛いと評判のヨナが、俺を見て・・・・・・・笑ったんだ。


「ワン・ソ君て成績いいし、見た目もいいけど・・・・・・引きこもりだし、それに・・・・・ねえ」
「ヨナは? 彼、こっち見てるわよ! ヨナに気があるんじゃない! ヨナは? どうなのよ?」
取り巻きに聞かれたヨナは。。。

「いやよ! いくら成績が良くても性格が暗いんじゃ〜私と合わないわよ! それに・・・・・・顔に痣が出てくるのも、気味が悪いわ」


・・・・・・・ショックだった。 ちょっといいな・・・と思ってた女の子に、そう言われたことは思いのほか、あの年頃にはこたえたっけ。


もう、帰ろう・・・・・そう思ったとき、小さな子供らが教会に入って来たんだ。


ゾロゾロと入って来た子供たちの中で、ヘスが輝いて見えた。


「ちょ・・・・・あの子、可愛い!」
「ほんとだ・・・・・チョー可愛い子がいる!」

周りからもそんな声が聞こえてくる。

「俺さ、あの子なら世話してあげてもいいな!」
「俺も、俺も〜〜!」

さっき俺をからかってた同級生が、あの子の世話をしたいとか話してるのを聞いた俺は、やっぱり帰ろうと思った。

小さな子からも、この痣を嫌がられて泣かれでもしたら・・・・・・その子に申し訳ないからね。


からかわれてから出てるだろう顔の痣を手で隠しながら、俺は出口に向かったんだけど・・・・・・・・


「帰っちゃうの?」
背後からかけられた可愛い声に振り返ると、彼女が、後ろに立ってたんだ。

「ああ・・・」
「どうして?」
小首を傾げて聞いてくる彼女は、天使のように愛らしく、可愛い・・・・・・

「・・・・・・お兄ちゃんにはね、ここに痣があるから。 小さな君達を怖がらせるといけないから帰るんだ」
彼女の前に座って目線を合わせると、ニッコリと笑うんだ。

「大丈夫よ、私は怖くなんてないよ?」
そう言って小さな手が痣を隠してる俺の手に重なった。

そうーーっと俺の手を退かせた彼女は、またニッコリと笑うんだ・・・・・・俺の痣を見てるのに!

「私、お兄ちゃんと一緒にいていい?」
「え?」

「お兄ちゃんは、私の理想の王子様なの!」

そう言って彼女は、俺の顔の痣に・・・・・ちゅっ♡とキスをしたんだ。






デパートを出てしばらく歩いた道に、真っ赤なスポーツカーが・・・・・・もしかして?と窓を覗くと。。。

「遅かったな、ヘス!」
「車、変えたの?」

「ああ・・・・・気に入ったか?」
「カッコイイね! ソ兄さんに似合ってる!」

運転席から出てきたのは、やっぱりソ兄さん! 紫のスーツもビシッと決まってて、本当に素敵なの!


あ〜〜あ、やっぱり私・・・・・・初恋からバイバイできそうにないわ!!!


「頭ぶつけるなよ!」
そう言ってそっと頭を押さえて助手席に乗せてくれたソ兄さんの運転で、今、風みたいに街を走ってます!

「あれ? ね、ソ兄さん・・・・・レストランは? 街を離れちゃうよ?」
「今夜はスの誕生日だからな・・・ “ 特別な場所 ” に招待するよ」

「え〜〜特別な場所? どこだろう、ワクワクしちゃう〜〜!!!」
期待の膨らむ私は、ニッコニコで流れる景色を楽しんでるの。



車は郊外の閑静な山の方に向かって走り、ある建物の中に入って止まったの。

「ふわぁ〜〜・・・素敵なレストランね! もしかして会員制クラブとか? ソ兄さん、私そんな高い所じゃなくてもいいのに!」
「クスクス・・・・・違うよ! 中に入れば分かるから、さ、行こう」

兄さんの手がスルリと私の手を握って・・・・・・2人で手を繋いで中へと入ったの。

兄さんは私の手が好きみたいで、昔からすぐ手を繋いでくれるんだ。


・・・・・・・・私は、手だけじゃなくて、心まで掴まれてるんだけどね。

「ねえ、ここは?」
「俺の家だよ・・・・・着替えてくる、ちょっと待ってて」


・・・・・・・俺の家? 俺の家・・・・・・・はあああ??? ここ、兄さんの家なの???

実家暮らしの私と違い、兄さんは大学の頃から一人暮らしを始めたの。

在学中に起業・・・IT事業を始めた兄さんは、成功して大学卒業後はそのまま会社に力を入れてった。
事業は成功に成功を重ねて、どんどん大きくなっていった。

のは新聞やニュースで知ってたけど、こんな大きくて素敵な家を持てるほどなんて、想像もしてなかった。


・・・・・・・これで、ますます兄さんとの距離・・・・・・離れちゃうな。


兄さんが大学生の頃、私はやっと中学生! 事業を始めた頃も中3でさ、ニュースや新聞に出るたび誇らしくて、嬉しかったっけ。


でも、高校生の頃だったかな・・・・・・単純に誇らしくて嬉しいだけじゃなくて、週刊誌にも載るようになった兄さんに、寂しくもあったっけ・・・・・・

セクシーな成功者! 女性より美しい企業人! なんて言葉を見て、自分の平凡な世界とは、かけ離れた存在になったんだなぁ〜〜って思って落ち込んだっけ。


兄さんの周りではイメージキャラクターの女優さんや、秘書さん、兄さんの会社の人、取引先の社長さんの娘さんとか、綺麗な人がわんさか取り巻いてて、一時期ちかづけなかったもんな〜〜


あるときパーティーにお呼ばれしたんだけどね、ドレスもヘアメイクも兄さんが用意してくれてたし、会場へのエスコートももちろんソ兄さんで 私はお姫様気分で上機嫌だったの。


・・・・・・・でもね、会場では目をハートにした女性達がいっせいに兄さんを囲んで、私は弾かれて1人ぼっち。

いわゆる “ 壁の花 ” になった・・・・・・遠くから兄さんを見てると、私なんかより大人な女性が隣に立つ方が、よっぽど似合ってた。


着慣れないドレスは借り物で・・・・・ヘアメイクで大人っぽくはなってても、本当の大人じゃない私は何だか滑稽で・・・・・・逃げ出すように、帰ったっけ・・・・・・・


そのときから・・・・・私は兄さんと、少し距離を置いたの。


あ、でも連絡はしたりされたりで、してたんだよ! 月1は必ず会ってた!

それからパーティーに誘われても、行かなかったけどね・・・・・・


「うわわ! プールまであるんだ・・・・・すごい!」

長い廊下には企業人としてや、モデルみたいにカッコよく載った本の表紙が飾られてる・・・・・うん、全部持ってる!



「お待たせ、おいで」
「はぁーい!」

白いニットのカーディガンに着替えた兄さんに呼ばれて、私はかけて行った。


「ふわぁ〜〜・・・」
「さ、座って!」

テーブルの上には料理がセッティングされてて、またビックリ!!!

「誕生日おめでとう!」
「ありがとう」

近況なんかを話しながら食べる食事は美味しくて・・・ 兄さんと笑いあって食べたの。


「こっちに」
食事を終えた私は、兄さんに手を引かれてプールのそばのベンチに座ったの。

何かリモコンを操作すると・・・・・・あ! あれって・・・・・・


「私の写真・・・・・小さい頃の・・・・・・」
「そ!」

スクリーンに映し出されたのは、私の5歳の頃からの写真で・・・・・・あは、あの頃だよね、兄さんに会ったの!

「ああ・・・教会で会ったな・・・・・・懐かしいだろ?」
「うん! でもよく持ってたね〜〜 私の写真なんて」

「スのだから持ってたんだ」
「あ・・・・・これは小学生の頃の・・・・・・・あ、あれは中学生・・・・高校生・・・・・大学生の・・・・・・・」

「兄さん、何枚持ってるの?」
「いっぱい! スが可愛いから、撮りたくなるんだ」

でもこれってカメラに目線があってないよね? 兄さん???

「ごめん、盗撮は謝る・・・ 前を通るたび撮ってたんだ」
「んもう〜〜ヘタしたらストーカーじゃない! ・・・・・あ!」


思い出した・・・・・・デパートの直営店に勤めるようになって3ヶ月、最近変なことがおきてるの。


「変な事? ス、話して?」

あ・・・・・ヤバい、ソ兄さんの目付きが変わっちゃった。

普段の柔和な表情が引っ込んで、獲物を狙う黒豹のように鋭い目になってる・・・・・・こういう時のソ兄さんには、逆らわない方がいい。。。



「相談したかったのは、コレなの・・・・・」

スがバックから取り出したのは、封筒だった。 開いてみると、何枚もの写真が・・・・・・・それはスの隠し撮りの写真だった。

ん? 中から便箋が・・・・・・なんだと!!!


【 僕の可愛いヘスへ、キレイに撮れてるだろ? 記念に贈るよ 】


「まだあるの・・・」
「見せて?」


ふぅ〜〜〜・・・全部で3通か。 それぞれに便箋がついてて、その内容は。


【 愛しのヘスへ、笑顔が素敵だね。 もう少ししたら迎えに行くよ 】

【 愛するヘスへ、君と2人で過ごすのが、待ち遠しいよ 】


「だんだんね、距離を縮めてくるようで、怖いの」
「ヘス・・・・・大丈夫か? 俺がついてる、絶対に守るから」

隣同士で座るヘスを抱き寄せ、抱きしめた。

「うん、ソ兄さんが守ってくれるなら、大丈夫だよね!」
「ああ・・・ 守ってやる、絶対に・・・・・」

華奢な身体を抱きしめて、少しでもお前が安心できるよう・・・・・・俺は声をかけ続けた。


お前は、笑ってる方がいいからな・・・・・・






「ヘス!」
「あ、ソ兄さん!」

「もう直ぐ終わるから!」
「分かった」

兄さんは次の日から私の帰りを送ってくれるようになったの。
スジンには私に写真が送られてくる事も話してあるから、安心だって喜んでくれた。

「あれ? スジンは上がらないの? 一緒の時間だったよね?」
「ああ、これだけ片付けてくから、すぐに追いつくわ! 先に帰ってていいわよ!」

「手伝おうか?」
「ああ、いいわよ〜〜・・・これだけだし!」

スジンより先に更衣室へ向かった私は、着替えを終えて待ってたんだけど・・・・・・なかなか来ない。

「スジン、ごめんね! 兄さん待たせてるから先に行くね」

メールを打った私は、地下のエレベーターへと向かった。。。



「あれ? ワン・ソさん? どうしたんですか?」
「君は・・・ヘスの同期の・・・・ミョン・スジンさん!」

「ヘスはどこですか?」
「・・・・・・来てないけど」

「え? 私より先に出てるはずなのに? おかしいな・・・・・」
「・・・・・どういうこと?」

スジンさんから見せてもらったメールには、確かに先に出ると書いてあった。

「出入り口はここだけだ、でもヘスは出て来てない! という事はまだ中にいる可能性が高い・・・スジンさん、中に入るにはどうしたらいい!」
「私が案内します!」


俺はスジンさんと一緒にデパートの従業員用の出入り口から中へと入った。

「ス・・・・・兄さんがいるからな! 絶対に助けてやる!」




「エレベーター・・・・・遅い」
そうだ、兄さんにメールしよっと!!!

「今、エレベーター待ってるの。 すぐに行くから・・・・・《ピンポーーン♪》 あ、きちゃった」

ガーっとエレベーターの扉が開いてく・・・・・・あ、中に誰かいたのね、降りやすいように避けなきゃ・・・・・・・


避けようとした私だけど、扉の中から現れたのは・・・・・・一眼レフのカメラを構えた男性だった。

「え? え? なに?」
《 カシャ! カシャ!・・・・・カシャ! カシャ! 》

「キレイに撮ってあげるよ! さ、笑顔になるんだ! 笑顔に!」
「やめてください!」

どんどん近づいてくる男性に、撮られるのも嫌で顔を両手で覆った私は後ずさり・・・・・・後ろの壁に身体がついてしまった。


《 カシャ! カシャ! カシャ! カシャ! 》

「いいよぉ〜〜、いつも可愛いな〜〜・・・・キレイに撮ってやるからなぁ〜〜」
「やめてください! あなた誰なんですか? どこから入って来たんですか!」

《 カシャ! カシャ! カシャ! 》

「ふぅーー!!! 可愛いなぁ〜〜」
コートを着てた男性が、カメラで撮りながら器用に脱いだ・・・・・・・下は緑のジャージ姿だった。


私の頭の中はハテナでいっぱい!!!

この人は誰で、どうして今もカメラのシャッターを切り続けてるの!!!



キャァァァ〜〜〜・・・・・どうして、ジャージのズボンを脱ぐのよ〜〜〜!!!

パンツ丸見えよ〜〜〜〜〜!!!!!


「ズボンなんて脱がないで下さい!!! イヤーーー!!!」

興奮した男性がどんどん近寄るから、カメラのレンズが覆った手の甲に当たるの!!!


「いいだろ? 僕と君は恋人同士なんだから・・・・いいだろ? いいよな!」

そうして男性の手が今度は、パンツにかけられた・・・・・・


「イヤァァァァ〜〜〜! ソ兄さん、助けて〜〜〜」

何をされるか分からない恐怖に、私はその場でしゃがんでしまった。




スジンさんの案内でデパートの裏側を走る。

階段を駆け下り、更衣室まで行き中をスジンさんに確認してもらったが、ヘスはいなかった。


「エレベーターは、どこだ?」
「こっちです」

ヘスはいつもエレベーターで、帰ってるって言ってた。

「あ! 誰かいる!」

俺の目に飛び込んできたのは、カメラを構えながらズボンを脱ぐ男と、そいつに迫られ壁にくっつくヘスだった。

「警察呼んで!」
スジンさんにそう言うと俺は、その男に飛びかかり首と腕を締め上げた!!!

そいつ、パンツに手をかけてたぞ!!!


ギリギリと締め上げながらヘスを見れば、青い顔してうずくまってる。

騒ぎを聞きつけた警備員に男を渡し、俺はヘスに駆け寄った。


「ヘス・・・ 大丈夫か? 何かされたか?」
「ソ・・兄さん・・・・・怖かったぁぁ〜〜〜!!!」

飛びつくように俺の腕の中に来たヘスを、俺はしっかりと受けとめ、抱きしめた。。。


男は「愛してるんだ〜〜ー」と喚き散らしながら、警官に連れてかれた。



「俺と彼女は愛しあってるんだ!」
そう叫びながらパトカーに押し込まれた男は、警察に連行されていった。

それを見ながら、少しフラつくヘスと手を繋ぎデパートの外のベンチに座った。

「コーヒーでも買ってくるか?」
「ううん、ここにいて?」

怯えているな・・・・無理もない、あんな男に襲われたんだ。

くそっ・・・・・もう少し遅かったら、ヘスはどうなってた? あんな男に好きにされていたのか?

それを考えると腹わたが煮えくり返ってくる!!!

俺が大事に思う人を、あんな男に・・・・・・そう考えるとゾッとした。

いや、男の俺よりも女性のヘスの方がショックだっただろう。


「帰ろう、ヘス」
「ソ兄さん・・・・」

俺はヘスと手を繋いで、俺の家へと帰ったんだ。



「今日は疲れただろう? 美味しいもの食べて、ゆっくりしよう」
「うん・・・」

・・・・・・・今夜はヘスの誕生日のやり直しをしようと、夕食の用意はしてもらってあったんだ。

ヘス・・・ゆっくりしてくれ。


「ここがゲストルームなんだ・・・・・今夜は泊まっていけ、おばさんには連絡しとくから」
「うん、そうする・・・」

昔から付き合ってるからヘスの両親とも知ってるし、お母さんからは信頼してもらってる。
だから今回のことも話せば、今夜は俺の側にいさせてくれって言われたんだ。

『あの子、あなたのそばの方が安心するでしょうし・・・・・よろしくね』
「ありがとうございます」

『ついでに、お嫁にもらってくれてもいいのよ!』
電話の向こうでウィンクしてるお母さんの顔が浮かぶよ。

「僕はスが良ければいつでも歓迎します」
『くすくす・・・・・・じゃあ、よろしくね』

電話を切った俺は、ヘスの様子を見に行ったんだけど・・・・・ん? 部屋着きたんだな、可愛いぞ♡

「これ、着ちゃったけど良かった?」
「お前のために買ったんだ、この部屋の中の服は、全部お前のだ・・・・・・よく似合ってる」

いま女性に人気のブランドで、俺の好みの服を選んで置いといたからな・・・・・ヘスによく似合ってる。


「さ、食べよう」
「うん! ・・・・・・うわぁ・・・・すごい ご馳走!」

「今夜は早く終わるって聞いてたからさ、この前の誕生日のディナー、やり直そうと思ってたんだ」
「・・・・・・・ありがと」

「さ、ワインも召し上がれ」
「うん!」

2人で和やかに食事を終えて、俺はヘスをスクリーンの見えるプールサイドに誘ったんだ。



この前はストーカーが心配で話せる雰囲気じゃなかったから、今夜はリベンジなんだ・・・・・・


長い幼馴染の関係から、俺の恋人になって欲しい・・・・・・ヘス、愛しているんだ。



無邪気にスクリーンの幼い頃の写真を見てる彼女を、俺は愛しく見つめる。








「あ!」
スクリーンの画面には《 25歳の誕生日、おめでとう 》って文字が浮かんだ。

そういえばこの前はストーカーの相談した時に、兄さん画面を消したっけ・・・・・

キョロキョロ・・・・・・少し前に「ちょっと、待ってて」と言って席を外した兄さん。

早く戻って来ないかなぁ〜〜〜・・・・・・・


あの男に襲われた時、助けて欲しいと頭の中に浮かんでたのは・・・・・・ソ兄さんだった。

それで自覚したの・・・・・・・私の初恋は、終わってなんかなかった。

・・・・・・・ずっと、兄さんだけを見てたんだなぁ〜〜


手の届かない人になったとか、自分で諦める理由を探してたのはきっと・・・・・・自信がなかったから。

あんな素敵な男性を、振り向かせる自信が・・・・・・私にはなかったから。


それは兄さんを、1人の男性としてみたら完璧で・・・・・1人の女性として自分を見ると・・・・・彼に相応しくないんだって思うからだったの。


でも今夜、はっきりと分かったの・・・・・私は兄さんを・・・・いえ、ワン・ソさんを、1人の男性として・・・・・


“ 愛してる ” ・・・・・・長い時間かかったけど、この想いは間違えようがないわ。



「何を考えてるんだ、スよ」
「あのね・・・・・わっ!!!」

ニュッと目の前に突き出されたのは、真っ赤な薔薇の花束・・・・・まるで花嫁のブーケみたいにセンスのいい花束を、兄さんは持っていて。。。



プールサイドのベンチに座ってる私の前に、片膝をついた兄さんは、プールの水面の光がキラキラと反射して、本物の王子様に見えたの。


「ずっと、言いたかったんだ・・・・・ヘス、お前を・・・・・愛してる」
「え?」

私の聞き間違い??? 兄さんが、私をずっと・・・・愛してる???

「驚くのも無理はないよな、お前が5歳の頃からの付き合いだし・・・・・」
「でも兄さん・・・有名になって女優さんでも秘書さんでも、綺麗な人に囲まれてて・・・・・私なんか、そばに寄れないって・・・・・」

「・・・・・お前が戸惑うのも分かってた。 近所の幼馴染のオッパ(兄さん)がこうなったんだ、気まずかったのもわかる。 あのパーティーで途中で帰っただろ?」
「うん・・・」

「ごめんな、お前を傷つけたな・・・・・でも俺はあのとき、会社の皆にお前を紹介したかったんだ」
「え? なんて?」


「俺の1番、大事な人だって・・・・・・」
「兄さん・・・・・」

真っ直ぐに見つめてくる兄さんの目に、私はどんな風に映ってるんだろう?

兄さんはまるで宝物を見るように見つめてくれる・・・・・・愛しいものを慈しむ目で・・・・・私を・・・・・・


「初めて会った教会で5歳のお前にキスされてから、俺は変わったんだ・・・ いつも痣のせいでオドオドしてたけど、お前のキスと笑顔で自信が持てた」

「だからだろうな、勉強もスポーツもどんどん自分から向かえるようになって、起業もできたんだ」
「違うよ! それは兄さんが優秀だから! 私なんか・・・そんな・・・」

俯いた私の頭を、兄さんの手がコツン!と叩いた。

「こら! 私なんか・・・なんて言うんじゃない。 お前は自分でも知らない間に、人を励ませる・・・素敵な女性なんだぞ!」
「兄さん・・・・・」



「ヘス・・・・・お前が好きだ、愛してる・・・・・俺と付き合ってくれないか?」
「・・・・・・・」


5歳の小さな頃から 好きで、好きで、大好きな人からの告白に、私の胸はいっぱいで・・・・・・言葉が、うまく、出てこないよ・・・・・


「こら、返事は? “ yes ” しか認めないけどな!」
「ぷっ・・・・・」

茶目っ気たっぷりに言う兄さんに、思わず吹き出しちゃった。

「ほら、早く〜〜! “ yes ” って!」
「・・・・・・yes 」

私が返事をしたら途端にホォ〜〜っと力を抜いた兄さん・・・・・緊張してたの???


「そりゃするさ! ・・・初恋は実らないって、よく言うだろ? だから身近な “ オッパ(兄さん) ” で関係を続けようと悩んだ事もあったんだ」
「初めて・・・聞いた」

「毎年、お前の誕生日に告白するかどうかで悩んでたんだ」
「兄さん・・・」

私の隣に座りなおした兄さんが、そっと顔を近づけてくる・・・・・・


「ヘス・・・・・愛してる」

優しい声と言葉が、私の耳を通って心を捉える。。。


頬に触れる兄さんの指や手が、宝物のように優しくて・・・・・私はそっと、目を閉じた。。。








「えっと・・・」
「綺麗だよ」

「ありがと、兄さん」

兄さんからの告白から1ヶ月、私は今、控え室でドレスやヘアメイクをしています。

「あのね、兄さん?」
「うん? くすくす・・・・・どうした?」

スッと側に立った兄さんも、タキシードが決まってて、素敵だわ。

「緊張してるのか? 大丈夫・・・俺がいるから・・・・・絶対に離れない」
「そうじゃなくて・・・・・・ほんと?」


「ん? 何か不満そうだったのは俺が離れるかも?って心配してたのか?」
「うん・・・・・だって兄さん素敵だから、他の人に取られるんじゃないかって心配なの」

「バカだな・・・ガキの頃からお前に夢中なの、知らなかったのか?」

「可愛いやつ・・・・・・」

そう言って私の唇を奪う兄さんは、蕩けそうな目で私を見てる・・・・・・うん、キスも蕩けちゃう♡♡♡


「式も、早くしような! 誰かに取られるんじゃないかって心配なのは、俺の方だよ・・・・・ヘス、もう1度・・・・・」
「兄さん? ・・・・・・んん♡」

それから何度も「もう1度・・・」ってキスされた私は、口紅がすっかり取れちゃった。


今日は私と兄さんの婚約式なんです。


ウェディングドレスじゃないけど、白の素敵なドレスに身を包み、両親や親族、会社関係などの方々をお招きしています。


そして結婚式も、着々と準備中なのです。


兄さんの様子なら、半年先の式も早まりそうです♡


「ヘス・・・ よそ見するな・・・・・俺だけを見て?」
「見てるよ♡ 小さな頃からずっと、兄さんだけを・・・・・」

「・・・・・・・式まで、待てるか自信ない」
「え?」

「ヘス・・・・・もう1度♡」
「兄さん・・・・・」


私達、幸せです♡♡♡






甘々な2人が書きたかったんです!

最後まで見て下さり、ありがとうございます!


ではまた。。。 ٩( 'ω' )و
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コメント

☆あさみ様へ☆

あさみ様、はじめまして! すーさんです。

私もワン・ソ様にどハマりした1人です。 お仲間がいて嬉しいです。
私も最後のスレ違いの2人が辛くて辛くて・・・・・・孤独にして逝く者と、孤独にさせて逝かせる者と、どちらが辛いのかと。

私はどちらも辛く思って、切なくて・・・・・・(T ^ T)

書いている間中、夢中で楽しくて熱中してました。

最後の最後、息をひきとる瞬間も、2人でいさせたくて頑張りました!!!

> それを、私が思っていたようにヘ・スの最期もワン・ソの腕の中で、
> ホントに嬉しくて、涙が出ました。

きゃーー! 嬉しいです! あまり拍手やコメントがないので、需要がないのだろうと寂しく思ってたんです。
あさみ様にそう言っていただけて、書いた甲斐がありました〜〜!

> もし、許していただけるのなら、現世で出会った二人も読んでみたいです。
> これからも、更新楽しみにしています。
> ファイティン!!

現世でのお話も頭の中にはあるのですが、ちょっと忙しくて書けてなかったです。
また連載になると思いますが、少しづつ更新していきます、楽しみにしてて下さいませ。

いつでも遊びに来て下さいね♡

( ^ω^ )v

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プロフィール

すー※さん

Author:すー※さん
私的妄想世界が広がっております。
イチオシは窪田正孝さんの役柄いろいろ妄想話です♡(その他にも相棒の神戸さん、スネイプ先生や善徳女王など色々でございます)

最近は更新ができてませんが、発作的に投下してます。
8月、9月の試験に受かれば時間ができるので、それまでは見守っていて下さいませ。

合言葉は『シリアスからエロまで』・・・・・楽しんでいただければ幸いです。。。

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