15《麗☆花萌ゆる皇子たち》

ドラマが始まる2年後に、こちらも追いつきました。

正胤が皇帝に即位して恵宗と名前が変わって、2年。。。

そろそろ陰謀が始まります。

余談ですが、ソ皇子様のお母さん役の女優さん、私より2ヶ月ほど年下な同じ年と知って、愕然としました。

自分より幾つも上だと思ってたから、ビックリしました!!!






私がいる世界と、ドラマとは大きく変わってきた。

まず陛下は毒に侵されることなく、すこぶる健康だし、アトピーも長年の手当てと精神状態の安定で良くなりました。

ドラマでは策士として色々やらかしてくれるウク様が、私への執着を捨てた事で悪巧みしなくなったの。
だから陛下へ毒を盛る話も、ウォン皇子を煙に巻いて無しになりました。

今はミョン姉様と仲の良い夫婦にもどり、ソ皇子様の参謀になってます(ただし表向きは二人は仲悪いのを装ってます)


そして私はチェリョンと話し合いました。
毒を陛下に盛るつもりだった事も、ウォン皇子に恩があり恋してるのも知ってる私に、チェリョンは全てを話してくれました。

さんざん利用された後、チェリョンは茶美園で袋叩きにあい死んでしまうのを、夢で見たから遠ざけていたと私は話しました。

チェリョンは驚きながらも、このままだとまた利用されるだけだと説得した私に、茶美園から去る事を受け入れてくれました。

寂しいけれど、ウォン皇子は私の側にいる限りチェリョンを利用する。
チェリョンが、死んだって何とも思わなかった。

それならチェリョンには、離れてもらうしかないじゃない!
死なせたくないもの・・・・・・できれば他の人と恋をして、お嫁さんになってほしいもの。


「大丈夫ですよ! チェリョンさん、わかってます・・・ヘス様のお気持ち」
「スジン・・・ありがとう」

チェリョンはミョン姉様の屋敷に戻り、たまにミョン姉様と茶美園やソ皇子の屋敷に来てくれて、女子会してます。


そうして一年が過ぎた、恵宗二年。。。

私はいよいよだと、気を引きしめた。



「いよいよとは?」
ウク様の穏やかな目に警戒する光が見えた。

「お前は何を見たのだ?」
ソ皇子様の心配そうな目が、私に向けられる。

「・・・・・」
躊躇う私を二人が優しく見守ってくれてる・・・ だから、私は正直に話し出したの。


ある日、死んだと思われてるヨ皇子が現れること。 ウク様を仲間に引き込むこと。

そして、茶美園を襲撃し・・・・・・陛下を亡き者にすること。

「ただこのとき、夢では陛下は毒に侵され、毒で亡くなるのです」
「ヘスのおかげで陛下は健康だ・・・夢と違ってきているのだな」

ウク様が険しい顔で、指摘してくれる。 さすが、頭いい!!

「はい。 そこが怖いのです。夢とは状況が違ってきてる事で私が見た夢とも、違ってきてるかもしれません」

「茶美園には剣を持つ兵がおりません。いきなり踏み込まれれば、ひとたまりもないでしょう」
「いつ来るのか、分からないとは厄介だな」

私はコクンと頷いた。

「ではこうしよう。 先ず私の所にヨ兄上が来たら、報せるというのはどうだろう」
「お前はヨに組すると見せかけ、報せを寄こせ」

ソ皇子とウク様が話されてます。

色々あったけど、二人が対立しなくて良かった・・・・・・きっと、ドラマとは違ってくるはず。


兄弟が殺しあう事は、きっと、なくなるはずよ。。。





でもそれは、この国の歴史が変わる事を、意味する。

タイムスリップで、その時代の歴史を変えてはならない・・・ 分かってる! だけど、それでも私は!


私は・・・・・・いずれ四代皇帝・光宗になるソ皇子様を【血の皇帝】に、ならないで欲しかったの。

何より、ヨ皇子を傷つけ、死なせたと泣いてたソ皇子様に、これ以上・・・兄弟を手にかけて欲しくなかったの。


歴史的に見れば私のしてる事は、間違ってるのかもしれないけど・・・・・・でも、それでも、私は あなたを・・・・・・



だけど、その時は刻一刻と、迫っていた。

ウク様を仲間に引き込むはずのヨ皇子は、いきなり茶美園に現れてしまった。

剣を持った兵士が、茶美園にいる文官達を押しのけ、女官達が悲鳴をあげて逃げ惑う。


遠くからの悲鳴で事を察した私は、スジンにソ皇子様を呼びにいくよう命じたの。

「陛下が茶美園に居る間は、ソ皇子様は私の化粧部屋に待機してるはずだから!」
「呼んできます! ヘス様、御無事で!」

「陛下、こちらへ」
「ヘス、剣はあるか? 私は戦う」

「はい」
階段の下に作った物置に、私は剣を入れていた。 それを陛下に渡した私は、指にナックルを嵌めた。

「すぐにソ皇子様が来ます。それまで何としても持ちこたえなければ」
「ヘスは背後にいなさい」

そんな・・・ たった一人では、無理です!

「私はジモンに皇帝の星を持つと言われたが、時間は短いとも言われていた。 覚悟は、している」
「陛下・・・」

「ヘスよ、お前が私を必死に守ってくれていた事は知っている。 毒に侵されず健やかにこれたのも、みなヘスのおかげだ」

そんな陛下! あなたはもう、ここで死ぬ事を覚悟されているのですか?

「そんな顔をするな・・・これも天命であろう。 だが、ヘスは違うぞ! そなたは生きろ、妹よ」
「陛下?」

「父上の娘なら私の妹だろう? そなたはソの全てだ、生きろよ」
「陛下・・・」



「では、ヘスは私の妹とも言えるのだな」 その声は・・・ヨ皇子!!!

キッと睨みつける私にヨ皇子は、面白そうに見ていた。

「ヨよ、ここでそなたに命奪われるのも仕方あるまい。だが・・・・・・もし、ヘスに危害を加えれば黙ってはいないぞ」
「ふん! 今から死ぬ身で何が出来ると言うのだ? ははは」

嘲笑うヨ皇子に、落ち着いた陛下がニコリと微笑んだ。

「ヘスを傷つければ、ヨは二度と安らかに眠る事はないであろう・・・」
「なんだと?」

「私が毎夜、化けて出てやるからな・・・はははっ! その時はきっとヘスを可愛がっていた父上も、共に出るだろうからな」
「ふん! 世迷言を!」

剣を抜いた二人が激しく打ち合う! 私はただ、見ているだけしかできなくて・・・ああ! 早く来てくださいソ皇子様!






陛下の入浴の時間、俺は化粧部屋に詰めることにしていた。

ここならば湯殿にも近く、騒ぎが起こればすぐに駆けつけられるからな。

ウクからは、まだヨが来たという報せはなかった。
遅い気がする、ヘスの言葉を聞いてから母であるユ皇后を探っているのだが。

最近、しきりに拝殿にこもって祈祷しているらしい。

はっ! 神にも仏にも噛みつくような母が、拝殿にこもって祈祷だと? 誰かを呪詛していると言われた方が、しっくりとくる。

おかしい、ヘスの夢とは違ってきているのか?
俺は、考えこんでいた。


「こちらでしたか」
「ジモンか、どうした?」

不意にジモンが来たが、その顔が深刻なのが気になった。

「・・・・・・昨日の夜、陛下の星が、消えたのです」
「なんだと?」

「悪い予感がします」
「・・・湯殿に行くぞ、ジモン!」

化粧部屋から出ようとして、聞こえたのは女官達の悲鳴だった。


ザザザッ〜〜〜!!!

「ちっ、囲まれたか!」
「皇子!」

化粧部屋の出口には兵が十人、俺の道を塞いでいた。

手に手に剣を抜いて、俺に向けている。

俺も剣を抜いたが、その俺を見て兵達が驚いていた。

それはそうだろう、皇宮では剣を持てない・・・ 皇宮の中にある茶美園も、そうだ。


ゆっくりと剣を抜いた私は、兵達の中に突っ込んでいった。

ここで手間取れば、湯殿の陛下が危ない!!! ヘスが!!!


「どけぃ! 邪魔する者は、斬り捨てる! 覚悟しろ」

向かってくる十本の剣に、俺は、容赦無く殺していった。



「くそっ、手間取った!」
返り血を浴びたまま、俺はジモンを連れ湯殿に向かった。

途中スジンと会い、すでに陛下の元にヨが来ている事を知った俺は、全力で走った。



「どけぃ! 邪魔をするな!」
湯殿に近づけば近づくほど、兵が向かってくる。

「陛下ぁ〜〜!」
兄上、私はあなたを守りたい。



《 ガシッ! カンカンカン! キィィーン 》

陛下とヨ皇子が、戦っている。

私はウォン皇子に剣を向けられて、身動きできなくなってる。

「あっ!」
陛下が背中を向けたとき、ウォン皇子が兵に斬りつけるよう合図した。

背後から斬りつけるって、卑怯者!!!

私は手にしていたナックルを兵に投げつけた。 命中したナックルは床に転がってしまったけど、陛下が周りに気づいた。

でもその隙に、ヨ皇子が背後から陛下を!!!
二度、三度と斬られた陛下は、血を吐きながら湯の中に倒れていって・・・ 湯が、血で赤く染まった。


「陛下ぁぁ〜〜〜〜〜〜!」
私の叫びが、湯殿に響き渡った・・・・・・そのとき、扉が【 バァァーーン! 】と、開いた。



「どけぃ〜〜〜〜〜〜!」
湯殿の扉を蹴り破った俺は、手当たりしだいに兵を薙ぎ倒し、道を開いた。


俺が湯殿で見たものは、真っ赤な湯の中に浮かぶ陛下、だった。。。

大きく背中を斬られた陛下は、うつ伏せで湯に浮かんで、すでに息をしていない事がわかる。


ヨが、血濡れた剣を手に、立っている。

「貴様〜〜〜〜〜〜!」
俺は兵を斬り、ヨに向かっていった。


ヨと向きあったとき、あいつはヘスを示した。
ウォンと、兵とに刃を向けられたヘスは、湯に浮かぶ陛下を見ながら床に座り込んでいた。

静かに涙を流すヘスが、陛下を慕っていたと皆が知っていた。


「選ぶがいい、死んだ皇帝のために、私に剣を向け・・・・・ヘスを殺すか」
「なんだと!」

「私に降って、ヘスと二人高麗を去るか」
「スを離せ! 早く!」

ヨと剣を交え、ぶつかり合う。

「狼という獣はな、1匹の雌に執着する。 お前も同じ獣だ、ウォン!!」
ヨの声にウォンの剣がヘスを狙い、首にあてられた。



「いいえ、ソ皇子様はあなたになんか降りません」

ヘス? ウォンの剣がお前の首にあるのに、何故お前は・・・そんな穏やかに微笑むのだ?

「私の愛するソ皇子様・・・ あなたの足手纏いには、なりません」
そう言ったヘスが、微笑んだままウォンの剣に自分から・・・・・・・


「やめろ〜〜〜〜!」
ぐらり、と身体ごと剣に首を差し出すヘスに、俺は声の限りに叫んだ!

何故、微笑むのだ? 何故、微笑んだまま死のうとするのだ、ヘス!!!



《 キィィーン・・・・・・カラカラカラカラ・・・・・・ 》

ヘスの細い首が触れる直前に、ウォンの剣は叩き落とされ、床に転がった。


ウォンの剣を叩き落としたのは、ヨの剣だった。

「・・・・・お前が、何故ヘスを救う?」
俺の問いかけにも答えないヨは、しばし呆然とヘスを見ている。

「・・・・・・笑いながら、自分から死のうとするとは・・・・・信じられぬ」

それは俺も、思うぞヘスよ。 なぜ躊躇いもなく死のうとする?

「お前は私の人だ! 私の許しなく死ぬな!」
「・・・ですが、私はあなたの足手纏いには、なりたくないのです!」

横の兵士の剣に向かうヘスを止めるため、俺はそばに駆け寄り抱いて、止めた。

「死んではならぬ! 勝手に死ぬな!」
「ソ皇子様・・・」

でも、それでは 貴方は・・・あんな奴に降ることになります!
背後から斬りつける卑怯者に、あなたが降ることが、私には我慢できません!

「堪えよ、俺だとてコイツに頭を下げるなど我慢ならん」

「だが、お前を失う方が我慢ならぬ! ・・・・・生きていけぬ」
「ソ皇子様・・・」

「ヘス、良いか? お前は俺の人だ。 俺の、全てだ・・・」
そう言って私を抱きしめてる腕に、力がこもった。

「ごめんなさい・・・」

ごめんなさい、ソ皇子様。 私はそれほど、あなたに愛されていたのね。
心の何処かで、ドラマのヘスのように愛されているのか、不安だった。

だってドラマではヘスを庇うため、毒まで飲んで隠そうとしたもの。

私は、あなたに毒なんて飲んで欲しくないから、無かったことにしたけど・・・・・・



「一体お前らは、ここが何処で、いまどういう状況か分かってるのか?」
見つめ合う私達に水を差したのは、ヨだった。


「陛下を湯殿からお上げしなくちゃ!」
あのままは、陛下が無惨すぎるわ。

「ジモンが上げた。 二人は昔からの友だから・・・」
私は床に寝かせられている陛下に、服を上からかけた。



それからソ皇子様は、ヨに臣下の礼をとり・・・・・・跪いた。

「・・・新皇帝陛下に御挨拶します。・・・万歳、万歳、万々歳・・・」

ああ、ソ皇子様! ごめんなさい、ごめんなさい・・・・・・これから私は、あなたの足枷となるのですね。
ヨは、事あるごとに私を餌に、ソ皇子様を使うから。

「泣くな・・・このくらい、どうという事はない。・・・お前を失うことより、俺が恐れる事はないからな」
「ソ皇子様・・・・」


〜〜〜〜〜〜〜〜絶対、許さない!!! あんたの思う通りになんか、させないから!!!

ことごとく、邪魔しちゃる!!!


私は、心に誓ったの。


絶対、邪魔しちゃる〜〜〜〜〜〜!!!






ヨは自分の謀反を、あろうことか第十皇子のウン様に罪をかぶせた。

【ワン・ギュの乱】・・・・・でっち上げた逆賊を討ち、皇帝に成ろうとしてるヨは、第十皇子を探していた。。。



煌びやかな皇帝の服に身を包み、母であるユ皇太后とワン・ギュ一族の処刑を見て、喜んでいる母子に私は。

「ヘドが出る」
「どうした、ヘス? ああ、心優しきお前には、少々刺激が強かったな」

っていうか、なんで私はアンタの側に控えてなきゃいけないんすか!?
私は茶美園の女官ではなく、ソ皇子の妻です!

「皇帝陛下が代わられたのを機に、私は茶美園を辞めようと思います」
「ならん! お前は薬師だ、私が健やかに過ごせるよう力を尽くせ」

「やなこった! これで失礼いたします」
クルッと踵を返して帰ろうとした廊下の先から、ソ皇子様が・・・なんで?

「旦那様・・・」
「来たか、ソよ。 お前にウン討伐を命じる。ウンを、殺せ」

「そんな! 兄を殺しただけでは足りないのですか? 兄弟殺しの罪を、旦那様に被せる気ですか? どこまで卑怯者なのよ!」
私はヨに噛みついたけど、背後からユ皇太后に髪を掴まれた。

「無礼者! そなた如きが、気安く口をきいてよい相手ではない!」
「痛い!」

ユ皇太后の腕を掴み離してくれたのはソ皇子様だった。

「私の妻に乱暴はやめていただこう」

「大丈夫か? ヘスよ」
「ええ」

「ふはははっ! 良いか二人共、お前達は互いに互いが足枷なのだ! ヘスよ、お前が私の意に反したら、ソを罰しよう。 ソが反すればヘス、お前を罰しよう」
「おお、良い考えじゃ! これで二人は陛下の思うままだな」

「ほほほ・・・愉快じゃ!」
「ふははは・・・楽しいですな」


・・・・・・このクソ野郎〜〜〜〜〜〜!!! 分かった、分かったよ! 旦那様と高麗を出ようと思ってたけど、気が変わったわ!


コイツを、滅ぼしてやる! 私のやり方で・・・・・・


「ヘス?」
ヘスの、眼が変わった。

大切な物を、人を、踏みにじられたヘスは、何かを決意したようだ。 俺には、分かる。

ならば俺は、お前を守る事に徹しよう。


お前のやりたいように、すればいい。。。



私は、私のやり方で・・・・・・私を妹と呼んでくれた大切な人の、仇を取る。。。

ヨは皇帝の座にすわり、偉そうに鼻息荒く 踏ん反り返ってる。

【ワン・ギュの乱】として自分の罪をかぶせ、一族を処刑させたヨに豪族達は恐れ黙っている。


私はヨ陛下にお茶を淹れるため、日に何度も陛下の側にいる。

その時に私は、何もない空間をしばらく見上げる事をしていた。

日が経つにつれ私は、何もない空間を見つめ微笑む事をしている。

「どこを見ている」
「・・・何でもありません」

「・・・お前はよく、そうやって何もない所を見ているな、なぜだ」
「・・・皇帝陛下が気になさる事ではございません」

私は淹れ終わった茶器を持って、退出した。



茶美園に戻り廊下を歩いていると、一人の女官とぶつかった。

え? 私の前に出てきた女官は・・・・・・スンドクさん? ウン皇子の妻の!

「助けてくれ、スよ」
「ウン様! ・・・こちらへ!」

私は近くの空き部屋に二人を連れてきた。

ここは誰も使ってないし、新しい薬を考えるからって人払いすればいいわ!


話を聞けばウン様の祖父ワン・ギュ様の屋敷に隠れていたけど、皆が捕まってしまった。

二人は逃げ出し、五日後の船の手配をすませ茶美園に来たという。

「五日・・・・・・まだだいぶ日がありますね」
ドラマでは、二人は・・・五日目に茶美園から出た庭で、ヨに殺される。

何とか旦那様に連絡を! きっと逃してくれるはず!


「ウン様、旦那様に相談しましょう! きっと逃してくれます」
「そうだろうか? ソ皇子は今の陛下から私達を捕まえるよう命じられてないか?」

さすがスンドクさん、大将軍の娘だけあって鋭い読みね!

「ええ、命じられてます」
「なら、知らせるな! 私達を売るつもりか?」

「いいえ、旦那様はウン様とスンドクさんを逃がすおつもりです。 心配ありません」
「それでは、ソ皇子が罰を受けるのでは?」

私は二人に、ある作戦を話した。



とりあえず今は、茶美園の方が二人は安全だわ。 早く旦那様に連絡を!!!

「ヘス様、陛下にお茶を」
よく飲むね、ヨ陛下は! こんなときに面倒だわ!

しぶしぶ淹れて持ってった私を、面白そうに見ているヨ。
なに? まさか、そんなにいらないけど私を呼びつけるために、茶を淹れさせた?

「ふふふ、皇帝陛下に茶を淹れるなど名誉なことを、お前だけだろうな、嫌々してるのは」
「私で御不満なら、次からは別な人に淹れてもらいますね」

「いいや、不満など感じぬぞ。 面白いからヘスで良い」
「・・・・・チッ」

私はふと横を見た。

「あ・・・」

そこには確かに亡くなった前の陛下が、立っていた。

「陛下・・・」
「なんだ?」

「あんたじゃない・・・」
「???」

「もう苦しくはないのですね? 穏やかな顔をされて・・・」
「誰と話している? ・・・陛下?」


ヘスに茶を持ってこさせるのは、見張りのためでもある。

ソに言うことを聞かせるためには、コイツが必要なんだ。

・・・・・・・だが、露骨に嫌な顔して淹れてくる茶だが、その味は美味い。 文句を言いながらも丁寧に淹れてある茶は、慌ただしい毎日で、いつしか私の休息になった。


それに・・・・・・顔色が良くないと、茶の配合を変えてくるコイツは、きっとどんなに私を嫌がっても毒など入れはしない。。。


ただコイツは、何もない場所をジッと見ていることがあった。
聞いても「何でもない」とばかり言っていたが、今日は違った。

「陛下」・・・・・・確かにコイツはそう言った。 それに嬉しそうに笑っている、どういうことだ???



・・・・・・・・・・・まさか、兄上が出てきてるのか? 死ぬ間際にも妹と呼び、私に傷つけられるかと心配していた。


もしや、私がヘスに何かするかと、見張りに???

では、もしヘスを私が傷つければ・・・・・・・・・アレは、私を・・・・・・・・・






全身に寒気が走った。。。


もしアレが私を襲えば、私は、どうなるのだ?

剣など通じぬ相手だぞ? いくら兵を置いても、意味をなさぬ・・・・・・・・


いや、まさか! その様なこと、あるわけがない!!!


前皇帝が、化けて出るなど・・・・・・・・あるわけがない!!!


「失礼します」
急に考え込んだヨ陛下を放っておいて、私はさっさと茶器を片付けて退室した。

その帰り道、誰もいない庭で旦那様が、私を待っててくれた。


「旦那様!」
「ヘス・・・・・大丈夫か?」

「私は大丈夫です。 今のところ私は茶美園の中では今まで通り過ごせます」
「・・・・・・良かった」

ギュッと抱きしめられる・・・・・・・ああ、あなたの逞ましい腕の中にいるなんて、本当に久しぶりです。。。



「ウンが茶美園に?」
「はい、今は私の権限で部屋を人払いし、匿っていますが早いうちに皇宮を抜け出さないと大変な事になります」

「もしや、夢で見たのか?」
「はい」

そこで私は夢で見た( 事にしたドラマのストーリー )を話した。

いずれヨナ皇女にウン様たちが茶美園にいることがバレて、ヨ陛下に報告されると・・・・・・・そして、弓でヨ陛下がウン様を射る。

スンドクさんはウン様を庇って兵に斬られてしまう。

「・・・・・・・変えなければ」
「はい」

「船の予約はしてあるのだな?」
「ウン様がそう言ってました」

「あと三日・・・・・・早い方がいいなら明日、ここを出そう」
「旦那様はウン様を追うフリをして、港から兵を引いてください」

「ああ、分かった」
「ペガ様やウク様にも連絡を・・・何か他にいい案があるかもしれません」

「・・・・・・・今夜、ウクの屋敷に行ってくる」
「旦那様、お気をつけて・・・」

ああ、陛下・・・・・兄と呼ばせていただけるのなら、どうか、お願いです。 旦那様をお守り下さい。

私は、旦那様に抱きついた。。。

しっかりと回された腕に抱きしめられ、私も抱きしめて、しばらくの間私達は、そのままでいたの。



それからは、あっという間だった。。。

まずウク様からの案でミョン姉様やチェリョンが茶美園に来た・・・・・・私に土産だと風呂敷に包んだ物を持ち込んで。


「・・・・・・私より可愛いです、旦那様」
「馬鹿を言うな! どこの世界に妻より可愛い夫がいるのだ!」

「声がデカイ! 静かにしなさい」

そう、茶美園や皇宮を出る案としてウク様が考えたのが、ウン様を女装させるってことです!

・・・・・・もともと可愛らしい顔をされてるから、これがまあ似合うこと、似合うこと!

私が化粧をすれば、本物のお嬢様にしか見えません!
スンドクさんは逆に男装してもらいました。


「ではウク様と私と屋敷の者で港までお送りしよう。 私の実家へ氏のいる土地までの通り道だ。誰も疑わぬ」
「お願いします」

えっとミョン姉様? すっごいイキイキしてらっしゃいますね! でも、くれぐれもご無事で・・・・・・

「大丈夫だ、ミョンは意外にお転婆だが、思慮深いからな。 私もついていくから心配するな、ヘス」
「はい! ウク様とミョン姉様がいれば、私も安心です!」

そうだ、これを!

私が差し出したのは太祖ワン・ゴン様からいただいた許可証。これがあれば門もフリーパスで通れます!!!

「もし必要があればコレを見せて下さい。必ず通れますから」

ウク様もミョン姉様も一緒にいるなら必要ないでしょうが、念のためにお持ちください。


「では俺は兵を率いて港を調べ、すぐに他の場所に行く。 一度も見周らないと変に思うだろうが、逆に一度見ておけばその後は調べなくともいいだろう」

まず最初に出立したのはソ皇子様でした。
真っしぐらに港に向かって調査するため、半日は時間差が必要・・・・・・今日の夕方、ウク様と一緒にウン様を皇宮から逃す。

門が閉まる時間の少し前に逃げれば、大丈夫だと・・・・・・そして夜のうちに港に向けて屋敷を発つ。

「では私は港で口の硬い宿屋を手配しに、ソ兄上の後に出立しよう」
ペガ様はよく旅人のお世話をして人脈がある方だから、港にも知った人がいると、宿屋の手配をしてもらいます。


「皆さま、ご無事で・・・・・・」

私も手伝いたいけど、ここを離れられない・・・・・・だから全身全霊で祈るの。。。

『・・・・・私も、手を貸すぞ・・・・・』
「え? 陛下・・・・・」

優しい声が、聞こえた気がした。。。




数日が経った・・・・・・あの日、無事に皇宮を脱出したウン様とスンドクさんは、無事に船に乗れたのかな。

船が発った日の翌日、ソ皇子様が皇宮に戻ってきた、そして・・・・・・・・



「おお、ソよ、よく戻ったな。 で? 土産は? ウクの首か?」
「・・・・・・・これを」

ソ皇子様が布の被った盆を陛下に差し出した。


・・・・・・・・覆っていた布を取れば、そこには、血のついた髪の毛の束が2つ、並んでいた。

「ウクとその妻の遺髪です」
「!!!」

私は茶器を滑らせ、音を立ててしまったが・・・必死に平気なフリを続けた。

「ふん! ヘスがこれほど驚いているところを見れば、それは本物なのだろうな」
そう、ジッと反応を見ていたヨ陛下は昔から疑い深くて、執拗な方だった。


私が驚きながらも動揺を見せまいとすれば、信じるはず・・・・・・・読みが当たった!

「・・・・・・失礼します」
私はその場を離れた・・・・・・ヨ陛下は嬉しそうに自分の言いなりのソ皇子様と話してた。



・・・・・・・・良かった。 作戦はうまくいったのね! あの遺髪も作戦のうちだったの。

ちなみに髪の毛は二人からもらった本物だけど、血は鳥の血をつけたものです。


その日、屋敷に戻れた私は旦那様と、皇宮を脱出したウン様達の話を聞いたの。

「無事にタムナ行きの船にのったぞ」
「あ、スンドクさんは大将軍と会えたのですか?」

「ああ、港に潜んでもらってたからな、ペガが会わせたはずだ」
「良かった・・・・・本当に良かった」



でも、これで歴史を変えてしまった。 その歪みが、怖いけど・・・・・だからって後悔なんかしない!!!

「ヘス! お前のおかげだ・・・・・・ヘス」
「あ・・・・・旦那様」


その夜は、旦那様と仲良しで過ごしました。。。





どんどんドラマとは変わっていきますが、楽しんでいただければ嬉しいです!


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すー※さん

Author:すー※さん
私的妄想世界が広がっております。
イチオシは窪田正孝さんの役柄いろいろ妄想話です♡(その他にも相棒の神戸さん、スネイプ先生や善徳女王など色々でございます)

最近は更新ができてませんが、発作的に投下してます。
8月、9月の試験に受かれば時間ができるので、それまでは見守っていて下さいませ。

合言葉は『シリアスからエロまで』・・・・・楽しんでいただければ幸いです。。。

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