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14 《麗☆花萌ゆる皇子たち》

前回からの続きです。

ウクとミョンさんの物語です。 私、前半のウク好きですよ!

爽やかで、フェロモンダダ漏れな熱視線に、ヒロインばかりかポーっとしますって!!!


1番はジュンギさんですけどね♡♡♡






「ヘス!」
「ウク皇子様」

最近、茶美園にいる私に、度々ウク様が呼び止める事が多くなった。

「何か御用ですか?」
「・・・用というほどではないのだが」

ほら、また・・・・ 私に用があって呼び止めるのに、いざ言うとなると途端に歯切れが悪くなる。

「その・・・ ミョンは元気であろうか?」
「姉様なら元気にお過ごしです」

そして聞いてくるのは決まって、ミョン姉様のこと!

「そうか・・・ 」

返事も、そうか・・・だけ。
ミョン姉様が離縁されてから、一年が過ぎたけど・・・ウク様、どうしたんだろ?

こうやって私にミョン姉様のこと尋ねてくるようになってから、ウク様の私に対する視線が、変わった気がするの。
前みたいに、ゾッとするほどの視線が、だんだん影を潜めていったの。


ん?・・・・・・まさか? まさかだよね? ちょっと、カマかけてみようかな?


私から離れようとしたウク様を見て、私は「あ! そう言えば・・・・・」と、さも思い出したように話した。

「ん? どうした?」
「実家のヘ氏が、姉様に再嫁を勧めてて・・・」

「何だと! 相手は? どの様な相手なのだ!?」
え? え? 顔色が変わったし、焦ってるし、ウク様? もしかしてミョン姉様のこと、別れてから好きになった?

「ヘス、教えてくれないか? ミョンは、どうなのだ? 再嫁の話に、乗り気なのか?」
「ミョン姉様は、嫌がってます。今のままがいいと言われてます」

「・・・そうか」
ホッとした顔してる〜〜! これはつまり? アレってことよね!

私はウク様と別れ、化粧部屋に向かった。



「・・・・・・アレとは、何だ?」
きょとん!とするソ皇子様に、溜め息が出た。 この方は、こと恋愛に関しては驚くほど知識がない。丸っきり分からないの。

私は頼りにならないソ皇子から、視線をペガ様に向けた。

「ヘスの読み通りだろう、私もそう思う」
「でしょ?」

スジンはどう?
「絶対、そうですよ!」

そうよね〜〜〜!!!

「だから何なのだ!」
私やペガ様、それにスジンまで分かってる事に焦れたソ皇子が、大きな声を出した。

「ウクが何なのだ! 私に分かるように言わないか!」
「旦那様、大きな声を出さないで下さい、ちゃんと教えますから」


拗ねてプンプンな顔した旦那様が、可愛い♡♡♡

「つまりウク様が私を度々呼び止めるのは、ミョン姉様の様子が知りたいからなんです」
「・・・それで?」

「それでですね、私がミョン姉様の再嫁・・・再婚を実家から勧められているって聞いて、ウク様が焦ったんです!」
「・・・だから?」

「だから・・・ これでも本当に分かりませんか?」
「・・・分からん!」


「兄上、こう考えれば分かります。 兄上が気になる女性とは?」
「ヘスだ」

「なぜ気になりますか?」
見かねたペガ様が、助け舟を出して旦那様にも分かりやすく説明を始めたの。

「好きだからに決まっておろう・・・ヘスは俺のだからな」
「ではウク兄上が気になさるのは?」

「・・・・・・まさか、ウクはミョン殿を好きなのか?」
私、ペガ様、スジンの3人で一斉に頷いた事で、やっと理解した旦那様。


「・・・・・・はああ〜〜???」
その呆れ返った様な顔と、反応はなぜでしょうか旦那様。。。

「今まで妻だったのだぞ? なぜその時に気づかない? 離縁して一年が過ぎて・・・今さら?」
軽く笑いながら話すソ皇子様。

「・・・近すぎて、気づかなかったのだと思います」
「私はすぐに気づいたぞ! ヘスが私の物だと」

「ぷっ!」
ドヤ顔のソ皇子に、スジンが吹き出したけど相手は皇子・・・慌てて口を押さえた。

「ぷっ!」
今度はペガ様が吹き出した・・・

「な、な、何だ! 何が可笑しい!」
2人に吹き出され御立腹なソ皇子様・・・ そんな剣呑な眼で睨むから、2人がビビってますよ(笑)


「考えてみれば、これだけ色恋には疎いソ兄上が、ヘスの事には早かったですね。いや〜〜流石です」
「そうですよね! 流石ソ皇子様です!」

「ヘス様は薬師として早くから茶美園で一目置かれ、前陛下からも可愛がられてましたから、狙ってる豪族とかいっぱいいましたのに、よく射止められましたよね〜〜」
「スジン?」

「よく息子を連れた豪族が、ヘス様を呼び出して欲しいって茶美園に押しかけてましたもん! オ尚宮が追い払ってましたけど・・・」
「スジン、ちょっと!」

「高麗でも美形って評判の息子達が、茶美園から帰るヘス様を待ち伏せしてたり・・・・・あわわ、わたし、何かいけない事言いました?」
「・・・スジン〜〜!」

「あ! 私、呼ばれてたんでした。失礼します」
「私も用があったのを思い出しました。 兄上、失礼いたします」

スジンとペガ様が慌てて部屋を出て行ったけど、眉間にシワを寄せて睨んでるソ皇子を、残してかないでよ〜〜!

「ヘス・・・どの豪族の息子だ? 名を言え」
「名前を言って、どうするのですか?」

「決まってる」
「そんな怖い顔しないで下さい! それに、覚えていませんか? 待ち伏せされた私が茶美園から出れなくて困っていると、あなたが必ず来て下さいました」

「あなたの馬に乗せてもらってる私に、誰も声なんてかけられませんよ?」
「あの頃か・・・ お前と話がしたくてな、帰りそうな頃を待っていた」

「待ってて下さったんですか? 私、偶然だと思ってました」
「馬鹿者、私はそれほど暇ではない」

そうなんだ・・・ あの頃、男の人に待ち伏せされて怖かった。 あなたに送ってもらえて安心だし、好きな人と居られる時間が、嬉しかったなぁ〜〜・・・

「私はそういう事に疎いし、よく分からん! 特に人の事にはな・・・だが、お前の事は別だ。 ヘスは、私の特別だからな」
「嬉しいです」


ポッと頬を染めたヘスが、嬉しそうに私を見つめる。
その可愛らしい様子に、顔を寄せていく・・・・・・ちゅっ、と口付けすれば真っ赤になった。

「旦那様、茶美園の中でキスはダメです」
「別に構わんではないか、私達は夫婦(めおと)だ、何の問題もない」

「大ありです〜〜! 誰かに見られたら、不謹慎だと問題になります」
「ふん! そのときは、私が黙らせてやる」

自信たっぷりに笑う旦那様に、目が♡になる私。。。

「ふっ・・・お前が悪いのだ、その様な顔をするから」
「顔ですか? どんなです?」

「私をうっとりと見つめておる。 愛しいと、顔に書いてあるような」
「仕方ないですよ、本当にそう思ってるんですから」

「ヘス、お前はっ!!」
「???」

こやつ、自覚もなく何て事を言うのだ。 いや、言葉だけではない・・・ヘスはその目で、表情で、私を愛しいと言っている。

その様に想われるなど、今までなかったのだ。

ヘスよ、私の人よ・・・・・・私の愛する妻よ。。。


「ヘス・・・」
近づく旦那様を避けようとしたけど、あまりに切ない目をして私を見つめるから・・・・・私は、そっと目をつぶったの。






茶美園のヘスから忘れ物をしたと言伝があったので、久しぶりに皇宮に来た。
準備の良いヘスには、初めての事だった。

「これで良かったか?」
「助かりました、ミョン姉様」

「お茶でも飲んで行って下さいね」
「喉が渇いておった、ありがたい」

ヘスの化粧部屋に通された私は、茶をいただき、しばしヘスと話していた。

「ヘス・・・ ミョン」
「・・・ウク様」

部屋に入って来たのは、旦那様・・・・・いいや、ウク様だった。

離縁の話し合いに会って以来だったが、ん? あの頃より少し、表情が明るくなられた。



特に用はなかったが、ヘスの化粧部屋に寄った私はそこで、思いがけない人を見つけた。

ミョンだった。

妻の頃と違って髪を下ろした姿は、出会ったころを思い出した。


・・・・・・美しい、素直にそう思った。 婚姻していた頃には感じなかった思いに、胸が急に動悸を刻みだす。

「め、珍しいな・・・ そなたが茶美園にいるとは」
「ヘスが忘れ物をしたので、届けに来たのです。皇子様はヘスに御用がおありでしょう? 私はもう帰ります」

「い、いや・・・別に急がなくても良いのではないか? 私が失礼しよう」
「いいえ、皇子様を帰らすわけには・・・私が帰りますから」

「皆でお茶にしましょう! スジン、お茶とお菓子を、ウク様はそちらに座って! ミョン姉様も、立ってないで座って?」
「そうしよう」

ミョンを帰らせたくなくて、私はヘスの申し出を快諾した。


とはいえ、何を話せば良いのか。

「・・・・・」
「・・・・・」

おかしい、普段の私なら差し障りのない話をするなど、平気なのだが。
どうにも、口が重くなる。

「・・・お元気そうで、良かった」
「あ、ああ・・・そなたも、頬に赤みが出ていて元気そうだ」

そして会話が途切れる。 私は縋る思いでヘスを見た。

そのとき、ふらりとソが入ってきた。

「ふっ・・・ウクよ、いつになく口が重いようだな」
「・・・」

「ミョン殿、屋敷に帰るなら送っていこう」
「・・・いえ、皇子様のお手を煩わせるのも申し訳ないですし・・・」

立ち上がったミョンは、そのまま帰ろうとする・・・・・ま、て。

「待ってくれミョン! もう少し話がしたい・・・」


いつも冷静沈着なウク様が、あんなに慌ててミョン姉様を引き止めたから、私も協力しますっっ!!

まずはソ皇子に、『余計なこと言うなや、ああ!』と睨みをきかせ、スジンには部屋を出るよう眼で合図した。

「お二人とも、御自分の正直な思いを、話されたらいかがですか? 私達は失礼します」
スジンを先頭に部屋を出ようとして、椅子に座ったままニヤニヤと眺めてるソ皇子の襟首を掴んで廊下に出た。

そのまま廊下を歩き、別の部屋に着くまで私は、ソ皇子の襟首を掴んで歩いたの。

「おい、ヘス! 離せっ! 歩きにくいだろ、離せ!」
「・・・あれだけ打ち合わせしたのに、勝手なことして!」

「離せっ!」
部屋の前で【 パッ!】と手を離した私に、勢いでたたらを踏んだソ皇子は、キッ!と私を睨んだ。

「お前は妻の分際で、夫の襟首を掴んで歩くとは、どういうつもりだ! 私はお前の夫である前に高麗の皇子だぞ! 皇子に対してなんて態度だ!」

「だいたいウクなど放っておけば良いのだ! それをお節介にも、しゃしゃり出て!」
「しゃしゃり出て?」

あーだ、こーだと文句を言いやがる旦那に、ぷちっ!と私の中で、キレた。

「そうですか、それは知りませんでした。 ミョン姉様とウク様が、素直に話し合いができればと、協力したのが【お節介】で、私は【しゃしゃり出て】、ついでにソ皇子様は私の夫の前に【皇子様】で、余計なことをする私がお嫌なのですね、よ〜〜く、分かりました!」

「へ、ヘス?」

「前日まで段取りを打ち合わせして、ペガ様と茶美園の女官を総動員しウク様を此方に来させ、同じタイミングでミョン姉様が茶美園に来るよう、屋敷のチェ夫人にも手伝ってもらい、さあ、役者が揃ったと思えば姉様を帰らせようとしたのは、あなたです!」

「それは・・・」
「うるさい駄犬」

「なんだと?」
「私がどんな思いで・・・ ここで2人が幸せになれば、後の事件が変わるから!」

はぁ、はぁ、うっ・・・・・呼吸が、しづらい・・・・ 胸が、苦しい・・・・・・

い、いけない・・・・・ここで倒れたら、旦那様が心配する・・・・


「ヘス? どうした? ヘス!!!」

私は急に視界が黒くなって・・・・・意識を失った。。。



私はただ、ウクにばかり構うヘスに面白くなかっただけなのだ。

ここ数日は、『ウク様を茶美園に誘導するには〜〜』とか、『ウク様と姉様が二人、幸せになってくれたら』など、ヘスの口から出る言葉は、ウク・ウク・ウク!

前の日までペガや茶美園の尚宮達、スジンなどと細々打ち合わせをしていて、私は放って置かれたのだ。

その意趣返しもあって、ほんの少し邪魔をしただけだ。

なのにヘスの奴、夫の襟首を掴んで歩くとは、なんたることだ!

文句を言えばキッと睨んでくるが、その顔も可愛らしい。

ヘスとの言い合いが楽しくて、あーだこーだと言い返していたときだ。急にヘスが苦しそうに胸を押さえ、息がしづらそうになって、私は驚愕した。

「ヘス!」
ぐらり・・・ヘスの身体がゆっくりと倒れていくのを、私は抱きとめた。

「誰か! 御典医を呼べ! 早くしろ〜〜」



さっきまで赤味のあった柔らかな頬は、血の気が失せ蒼白になっている。
閉じられた瞳、ぐったりとした身体に、私の中で恐怖が迫ってくる。

このままヘスに何事かあったら?

このままヘスが、目覚めなかったら?


このまま、ヘスが、死んでしまったら?


嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ、だめだだめだだめだだめだだめだだめだ、私を置いて逝くな!!!

私の許しなく逝くことなど、許さない! 許さない・・・・・・・・逝くな、お前が逝けば、私はまた一人だ・・・・・・


ヘスを寝台に寝かせ、御典医に診せ、スジンが看病するのを私は見ていた。
一言も言葉が出ず、ヘスの寝台の足元で座り込む私を、誰かが代わる代わる声をかけるが、私には届かない。

ただじっと、ヘスを見ていた。

苦しそうな息のときは手を握り、スジンが御典医に何か薬を渡すのを見ていた。

その薬をヘスに飲ませるとき水を吐き出してしまい、スジンを始め御典医も悩んでいたとき、俺は。

水と黒い粒の薬を口に含み、ヘスに飲ませた。
口移しで飲ませた、何か問題でも?

触れた唇が温かく、ホッとした俺は、またヘスの足元に座り込んだ。

愛用の剣を肩と床につけ、まるでつっかえ棒のようにしている俺を、スジンは不思議そうに見ていたな。

俺は昔、聞いたことがある話を思い出していた。

『いいかい? 死は足元から魂を奪いにくるんだ。 だから気をつけな』

迷信だろうと、子供を怖らがせる嘘だろうと、何でもいい! 俺が出来るのは剣で相手を斬ることだけだ。

だから、ヘスを連れて行こうとするモノを、俺は斬る!

人だろうと、魔だろうと、ヘスを俺から奪うものは、斬る!

誓いを込めて、剣を少し抜いたあと勢いをつけて鞘に納める。

《キィィィ〜〜〜ン・・・》と鳴る音は、忌まわしい物を祓うと、ヘスが言っていた。


ヘスは、俺が、守る。。。






「・・・・・・ 」
私はぽっかりと、目を覚ました。

ぼ〜〜〜っとする頭は、何も考えられない。。。


「あなたは、愚か者ですか?」
へ? いきなり降ってきた声と、言葉に、ポカンと見れば、ジモンさんがいた。

「人の事にばかり必死になって、無理をして倒れるなど、あなたは愚か者ですか?」
えっと、怒ってますか? ジモンさん。

「怒るというより、呆れてます」
「だって・・・仕方ないじゃないですか」

「私は星を見て、先を読みますが・・・ヘス様は夢を見るんでしたね。 今回の事も夢を見た結果ですか?」
「はい」

「ウク様とミョン様を元の夫婦にして、何が変わるのですか? 流れに逆らってはいけません」
「だって・・・仕方ないじゃないですか。 自分の大事な方を、みすみす水銀中毒になんかさせたくないです」

「それは陛下の、事ですか?」
「夢では湯に水銀を混ぜられた陛下が、二年をかけ毒殺されます。 安心して下さい、今のところ、そのような事はありません」

「あなたは、流れに逆らってはいけないと、あれほど言ったのに!」
「すでに逆らっています。 ミョン姉様はとっくに病で亡くなってますもの」

「・・・・・・」
「ウク様とミョン姉様が、本当に愛し合う夫婦になったら、きっとこれからが大きく変わります」

呆れてるジモンさんが、溜め息を吐く。

「・・・私が大事な方を守りたいから無茶をするのはね、事件の先には・・・私の愛しい方が、傷つくのを守りたいからなんです」

「ソ皇子なら傷ついても、その分成長なされますよ! 守るという事は、ある意味その成長を妨げる事になるでしょう」
「いいえ、ソ皇子様ならちゃんと皇帝になれます。 虐められるみたいに事件が起こらなくとも」

「それに私は、ミョン姉様に幸せになって欲しかったんです。愛した方に愛される・・・女として最高な幸せを手にして欲しかったんです」
「とにかく、あなたはソ皇子の愛しい妻ですぞ! あなたは余計な事はせず、一日でも皇子より長生きして下さい。それがあの方の最高の幸せなのですから」


無理よ、私は決めてるもの・・・・愛する方の足手纏いになるくらいなら、潔く散るわ。。。


ん? ジモンさんがしきりに顎で私の足元を指してる???

身を起こしながら足元を見れば、黒い塊?? あ!もしかして・・・・・

「ソ皇子様?」
声をかけたら、もぞっ!と・・・ 動いた。

「あなたが倒れてから、ずっとあそこに座ったまんまなんですよ! たまに剣を鳴らしてますが、何かの呪いですかね〜〜」
「私はどれだけ寝てましたか?」

「そうですね、丸々二日でしょうか?」
「そんなに?」

「その間、ソ皇子様は飲まず食わず! おまけに寝てもいませんでした」
「そんな・・・・・・」

私達の話が聞こえたのかソ皇子様が、ゆらりと立ち上がった。

「ソ皇子様・・・」

私は、それ以上言葉をかけれない・・・・・・いくら鍛えている皇子様でも、丸二日、寝る事も食べる事もせず私の側にいたなんて・・・・・

剣を鳴らすのは、私が教えた事ですね? 禍々しいモノを、追い払う事ができると言ったから・・・ 何年も前の、ちょっとした言葉をあなたは、覚えていたのですね?


涙ぐむヘス様を見ながら、ゆらりと立ち上がったソ皇子は、鬼気迫る迫力をまといながらヘス様の側に来られた。

食事はおろか飲み水さえ口になさってはいないと、聞いている。

「ソ皇子、ヘス様も目を覚まされました。食事の用意をしますから、食べて下さいよ」

私が声をかけても聞こえていないようだ・・・・・ただ一筋に、ヘス様を見つめている。

「ソ様・・・・・」
「ヘス・・・」

刀を持っていない方の手を伸ばした皇子と、それに応えるように両手を皇子に伸ばすヘス様は、半ば倒れるようにヘス様を抱きしめる皇子を、しっかりと受け止めていた。

「ヘス・・ ヘス・・・」
「ああ、ソ皇子様・・・ どうして? 御自分を虐めるようなこと・・・」

「ヘス・・・」

私はそっと部屋を出て、しばらくしたら食事を持っていくよう女官に命じた。


思えばソ皇子様に愛しい方ができたのなど、初めての事だろう。

幼子のとき、母から顔に傷を負わされ、疎まれ嫌われ、捨てるように信州(シンジュ)のカン氏に養子に行かされた。

母の愛を、あの方は感じる事なく成人された。
養子先のカン氏も、正気を失っているときは片時も離さぬが、正気になれば打ち据えたり、部屋に閉じ込め食事や水さえ与えられなかったと聞いた。

しかも、信州(シンジュ)の山で一番大きな狼の群れに放り込まれ、捨てられた。

養子先でも、愛されなかった方だ。 愛を望まれ、焦がれても、与えられなかった方だ。


その方が、ヘス様を得られた。 ヘス様の惜しみない愛を与えられ、変わられた。


だが、私はふと思うのだ・・・・・・もし、あの方がヘス様を失ったら、どうなるのだろうと。

いいや、私は傍観者。。。 その時も、私は見ていよう・・・・・・見ているしかない道を、私は選んだのだから。


ただし、ヘス様には今一度しっかりとお説教は、致しますがな!!!

あなたは、御一人の身体ではないと。
大きく気の荒い、狼のような皇子が、あなたにはついていると。

身体をいたわり末長くお幸せにと、今一度言わなければなりませんな。



「ヘス・・・」
俺が手を伸ばせば、お前は泣きながら両手を広げる。

実は足が痺れていた俺が、よたよたとお前の側によれば、お前は起き上がり迎えるように俺を抱きしめた。
ヘスを抱きしめながら膝をつく俺は、お前を見上げた。

お前は俺の頬に手をやり、俺の顔を見つめている。

「目の下にクマが・・・ 頬もこけてるし・・・どうして? 御自分を虐めるようなことして・・・」
「お前がいけないのだ! 倒れたりするから・・・俺はお前の側でしか生きたくない」

「いけません! 私がいなくても、ちゃんとご飯食べて下さい」
「・・・嫌だ」

今はそんな話など、どうでもいい! 気がついてよかった。 助かって、よかった。

「ヘス・・・俺をおいて逝くな・・・俺を、一人にするな・・・」

お前が、お前だけが、俺を俺のまま愛してくれるのだ。

皇子でも、狼犬でもない・・・ ただ一人の男として、お前はお前の全てで、惜しみなく愛してくれるのだ。

俺だとて、お前を愛している。 俺の全ては、お前のものだ。



ああ、そうか。 ヘスがあんなに一生懸命になっていたのが、やっと分かった。

大事な姉のミョン殿の、ウクへの想いを・・・ 実らせたかったのだな。

「はい。 私はソ皇子様を愛して幸せです。 あなたに愛されて、もっと幸せになりました。 もしウク様とミョン姉様が想いあっているのなら、その想いを通じあわせて欲しいのです」

「ヘス・・・ すまない、俺はお前の気持ちを、分かっていなかった」
「いいえ、私の方こそ・・・あなたを放って置いてしまってたから・・・・・あげくに倒れるだなんて」

「俺の方が悪いのだ! お前の気持ちを分かってやれず」
「いいえ、私の方こそ悪かったのです!」


二人で自分が悪いと言いあう俺たちは、顔を見合わせて吹き出した。

「ぷっ・・・・」
「うふふ」

これで、仲直りだな? な、ヘス!

「はい!」


ならば、いいな?


俺は立ち上がり、寝台の上に・・・・・・ヘスの上に覆いかぶさり、口付けた。




「あの〜〜ジモン様、お食事はいつお持ちしたらいいんでしょうか?」
食事の盆を持ち部屋の外で控えるスジンが、困って隣のジモンに聞くが・・・ジモンも首を振るだけだった。


「今、踏み込みますか?」
「いやいや、今はマズイでしょう?」

「そうですか? いつも通りなら早く部屋に踏み込まないと、始めちゃいますよ?」
「は? はじめる? 何をですか?」

窓の隙間から中を伺えば、ずっと唇を合わせているソとヘスに、呆れながらジモンが呟いた。

「やだ♡ 分かってらっしゃるくせに!」
「・・・・・は? ここで? 冗談でしょ? 病み上がりのヘス様は無理ですよ!」

「あ!!! ほら!始まりそうです!」
「嘘でしょ? ダメです、マズイでしょ!」

バタバタと駆け込んだジモンが、二人を引き離し食事を出したが・・・・・・


【 ひぃぃぃ〜〜〜〜!!! 睨まれてる、睨まれてます! 私、剣で斬り捨てられそうなほど睨まれてますぅ〜〜〜〜!!】

ジモンの内心の叫びは誰にも届かなかったが、良い事があった。



「ヘスや、私達・・・」
「ミョンと私は、もう一度夫婦になろうと思う」

ウクとミョンが揃ってヘスの前に現れ、こう話したときのヘスの喜びようはなかった。


それから直ぐに善き日を選んで婚姻した二人は、ヘスからの祝福を受けたのだった。





これでウクとミョンさんは相思相愛の夫婦へと相成りました!


何が重要って、ウクがヘスへの執着を捨てミョンと穏やかに生きていくことになったのが、重要なんです!

ウクって学者より頭いい設定なんで、策士なんですよね!
その策士がヘスとソ皇子の味方になったら、物語は180度変わります!

さてさて、これから私の妄想ワールドが全開します♡


しばらく《美女の誕生》って韓ドラを見てて、こちらは放置してましたから、巻き返します!

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すー※さん

Author:すー※さん
私的妄想世界が広がっております。
イチオシは窪田正孝さんの役柄いろいろ妄想話です♡(その他にも相棒の神戸さん、スネイプ先生や善徳女王など色々でございます)

最近は更新ができてませんが、発作的に投下してます。
8月、9月の試験に受かれば時間ができるので、それまでは見守っていて下さいませ。

合言葉は『シリアスからエロまで』・・・・・楽しんでいただければ幸いです。。。

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