13《麗☆花萌ゆる皇子たち》

ここから色々とお話は動いていきます。
うちの独自ルートなお話になるので、楽しんでいただける方だけお願いします。


恵宗(へジョン)=正胤が即位し皇帝になった名前。




ドラマでは正胤が皇帝になり2年後からはじまるけれど、この世界に居る私は・・・ ただ2年を過ごすわけにはいかない。

タイムスリップしている私は、なるべくこの世界の流れを変えないよう生きてきた。

歴史の歪みや何かで、大きな災厄が起こるといけないから・・・・・ただ、それと精一杯自分ができる事を、やらない事は違うと思うから、懸命に生きてきた。

結果、ミョン姉様は死なずにすんだ。
オ尚宮は助けられなかったけど、罪人として処刑されず、穏やかに逝かせられた。

陛下も、愛するオ尚宮を処刑せずにすんだけど・・・・・病のため亡くなった。


これから怒涛の展開になるドラマに、私は覚悟を決めた。

私は私のできる精一杯で、守ってみせる。

兄と慕う恵宗陛下と、愛するソ皇子様、ミョン姉様、大事な方を・・・・・・私は守りたい。


たとえその代償が、私の命だとしても・・・・・・



思いがけない事が起きたのは、恵宗陛下が即位して間も無くだった。。。


前陛下から賜った屋敷は、普段茶美園で仕事する私に代わって、ミョン姉様がみてくれているの。

「奥様、ミョン様がいらっしゃってます」
「ミョン姉様が?」

野菜売りのオジサンの病弱な奥さんだったチェさんは、元気になってうちに奉公にきてくれたの。
部屋はいっぱいあるから子供達も一緒に、住み込みで勤めてもらってます。

ウク様の屋敷で奉公してたオジサンも、うちに来るようミョン姉様が手配してくれて、一家で勤めてくれてます。

子供達には字を教えてあげたり、旦那様もぶっきらぼうに、不器用に可愛がってる様子は微笑ましいの。


私はミョン姉様の前に座ったけど、何かが起こったと分かったの。


「スや、私はウク様と離縁しようと思う」
「え?? 姉様、本気ですか?」
あれだけ想っておられたのに? 信じられない・・・・・・

「私はお前に命を助けられた。 今、生きているのはスよ、お前のおかげだ」
「姉様・・・」

「・・・ウク様は、お前を愛し変わられた。 他の男を愛すお前の心を欲し、焦がれ、昔の・・・あの方とは別人になってしまった」

「政略結婚とはいえ昔のウク様は、優しく、私に報いようとして下さっていた。 だから愛されなくとも幸せだったのだ」
寂しそうな微笑みを浮かべるミョン姉様・・・・

「だが今のあの方は、私を見てもいない。あまりに強い執着が、あの方に野心を芽生えさせ、蝕んでいるのだ」
「・・・何を見たのですか? 姉様」


姉様は正直に話してくれた・・・・・ ウク様とウォン皇子との密談を、聞いたのだ。

「ウク様はチェリョンを使い、陛下を毒殺するつもりなのだ」
「・・・やはり。 もしやチェリョンを茶美園に入れ私に近づかせ、陛下の湯に水銀を盛るのでは?」

「知っていたのか?」
驚くミョン姉様に、私も今まで黙っていた事を話した。

・・・・・・そう、私が死にかけたあの時に、元のヘスと魂が入れ替わったと。

そして、この世界の事を夢に見て知ってしまうという事も。。。


その事を話してもミョン姉様は、驚かなかった。

「くすくす、私を何だと思っている。 記憶を無くしたとはいえ、前のヘスと違いすぎる。何より書物を読んで理解していく速さは尋常ではなかった。別人だと思う方が自然だった」
「あはっ、バレてましたか」

「くすくす・・・知った上で私は、そなたを妹とも娘とも思うている」
「ミョン姉様・・・」

「私は二人の話を・・・いや、ウク様の策略を聞き背筋が凍った。 私が愛したウク様は、自分の野心のため人を殺めるなど考える事もしなかった方だ」

「・・・・・そして私の愛が、死んだのだ」
ポロポロと涙を流すミョン姉様に、寄り添った私は、そっと抱きしめた。



「ミョン?」
屋敷に戻った私を、いつも出迎えてくれていたミョンが、いない。

またヘスの所だろう・・・・・茶美園で陛下に仕えるヘスが、自分の屋敷まで手が回らない事に、ミョンは自分がみると言ったのだ。

それから屋敷にいないときは、向こうで過ごしている。


・・・・・・その方が都合がいい私は、離れの書庫でいつものように過ごした。

正胤が皇帝になった。

周りから煩いことを言われず、正々堂々、あの玉座に座るにはもう少し時がいる。

そう、ヘスが可愛がっているチェリョンを茶美園に入れれば、うまくいく。

チェリョンにはウォンから言い含めておいた・・・陛下の入る湯に、水銀を入れ毒殺させると。

チェリョンは元々ウォンの下女だった、ウォンの言うことは絶対なのだ、事はうまく運ぶだろう。

ただ、湯に入れた水銀は じわじわと身体を蝕む・・・・・時が かかる。


一年か二年はかかるだろう・・・ 私はその間に、陛下の良き臣下になっていよう。


誰も、私が陛下を毒殺した黒幕とは思わないよう。


そして犯人は、そう・・・ うってつけの者がいるではないか!



第四皇子、ソだ。 犯人は捕らえられ、処刑されるだろう・・・ そのとき私が皇帝になっていたなら、ヘスは、どうするだろう?


優しいヘスのこと、きっと私にソの命乞いをしてくるだろう・・・・・きっとな。

ふふふ・・・・・ヘスよ、その時に私は聞こう。


「私を愛すると、誓えるか?」と・・・・・・私はヘスを、手に入れる。。。


うまくやらなければ、私が皇帝になるためには、一手も間違う事は許されぬのだから。。。


ふふふ・・・・・・ふふふ・・・ 私は楽しみに、その時を待とう。。。







「ん? 今日もミョンはいないのか?」
「いくらなんでも行き過ぎでは? お義姉様を叱った方が良いですわ、家を守るのが妻の役目ですから」

遊びに来たヨナが文句を言っているが、私は彼女を叱ろうとは思わない。

「お兄様は優しすぎます」
「まあ、いいではないか」

いきり立つヨナをなだめていれば、不意に母であるファンボ皇后がやって来た。

何事かとヨナと共に席につけば、母は険しい顔をしたまま私に問いかけるのだ。

「ウクや、ミョンを見なくなりどれだけ経った?」
「・・・どれだけ、とは?」

何を言っているのかと母を見つめる私に、母は険しい顔で「答えられないのか?」とつめてくる。

「ミョンはヘスのため、向こうの屋敷に行ってるだけなのです」
「母上からも叱って下さい。ミョン義姉様はこの屋敷の奥方なのに、向こうに行き過ぎですわ!」

「・・・ウクよ、いいから答えよ」
「そうですね、ここ10日ほどでしょうか。 それが、何か?」

「はぁ〜〜」
深いため息を吐く母を見つめるが、母は重い口を開いた。


「ミョンの実家のヘ氏から、正式に申し出があった・・・・・ ウクと離縁したいと」
「はあ!? お義姉様が離縁ですって? 皇子との婚姻を何だと思っているのですか? ヘ氏など我がファンボ一族よりも格下のくせに、はっ! 離縁ですって? 許せないわ」

「ヨナ、黙りなさい。私はウクと話している」
「母上〜〜!」

「なぜです? なぜミョンは私と離縁したいのでしょうか?」
「それはお前自身が、よく知っているのではないか?」

?? 母の言葉に私は、戸惑うばかりだ。


「この様な事態になってもウクよ、分からないのか?」
「はい」

「ミョンはな、すでにこの屋敷を出て・・・・・・もう、一月も経っておる。 それに気づかない夫にミョンは、妻でいる意味を見失ったのだ」

一月? いや、そんなはずはない・・・ 最後にミョンを見たのは・・・ ん? 思い出せぬ。

「一月前、ミョンは私に会いに皇宮に来た。離縁したいと、はっきり言った・・・その時に約束したのだ。 屋敷を出た自分をウクが、気づくかどうかとな。 約束は一月、今日が期限だ」

「・・・・・・これではミョンとの約束を、果たさなければならない」

一月、私はミョンがいない事に、気がつかなかったのか? それほど私は、彼女に関心を向けていなかったのか?

愕然とする私に母が、じろりと、鋭い視線を向けている。

「・・・・・良いではないですか! 何年も婚姻しているのに、子供も作れない様な人に妻と居座られても、困るでしょう? もっと力のある外戚を得るには、離縁した方がよろしいのでは」
「ヨナ!!!」

ヨナの酷い言い方に制止をかけたのは、母だった。

「私達が流刑になったとき、力になってくれたのはヘ氏だ! こうやって皇宮に戻れたのも、ヘ氏が力添えしてくれたからだ! その恩を忘れてはならない!」

「・・・私もそう思い、ミョンを大事にしてきたつもりです。 一度ミョンと話をすれば、離縁などしないでしょう」
「・・・やってみるが良い。だが話し合いがうまくいかなければ、ミョンの望み通りにする」



私達・・・ 私とヨナ、母とヘスの屋敷を訪れた。

屋敷にはミョンはもちろん、ヘスも居た。


ふわり・・・ヘスが淹れた茶からは、花の香りがしてくる。
ヘスはミョンの隣に座り、茶を勧めた。

「ジャスミンティーです。 気分を落ち着かせる効果があります」
「おお、良い香りだ。いただこう」

母の言葉に私も、ヨナも、茶に口をつけた。

華やかで甘い香りだが、口に含めば爽やかな苦みが広がる・・・うまい。

「私はもう、ウク様には重荷となってしまいました。 病から子供も望めず、妻としての役割を果たせず心苦しいだけです」
「ミョン、私は今のままで良い」
そう・・・今のまま、ヘスと親戚としての繋がりを断ちたくはない。

「・・・私はこちらに世話になろうと思います。屋敷は私に任せ、ヘスには茶美園での勤めに専念してもらいたいと思います」
「決心は、固いのか?」


ミョンは、真正面から私を見つめ・・・微笑んだ。

「私の愛した方は、もうどこにもいらっしゃらないのです」
「・・・それは、どういう意味だ?」

私はここに居る、ミョンが愛したのは、私であろう? 母も不審に思ったのかミョンを見ている。

「私からは、これだけです。 長い間お世話になりました」
深々と頭を下げるミョンに、私達は何も言えず・・・・・・それはミョンとの離縁が、決まった瞬間だった。



「ミョンの言い分を認めよう。 離縁を受け入れると、へ氏に手紙を送る」
「これで良かったのです! もっと力のある外戚を探し、兄上と婚姻させましょう! 生意気なへ氏を、見返すのです」

憎々しげに話すヨナに、母が舌打ちをした。

「よさぬか! お前は何も見ていないな、ヨナ! へ氏の一族は、ヘスと婚姻しているソ皇子の外戚だ。ソ皇子は母の実家の中洲(チュンジュ)に養子先の信州(シンジュ)と力のある外戚を持つ身だ!」

「それにヘス自身はどうだ? 前皇帝にも、今の陛下にも可愛がられ茶美園の統括を任されておる。 対応を間違えれば私達ファンボ一族とて、どうなるか分からぬのだぞ?」
「・・・皇子達の中で、一番力を持っているのがソだ。 ヘスが離れれば、また違うが」

「ウクよ、ヘスの事は諦めよ。 ヘスがソ皇子から離れる事は、ないだろう」
「兄上、ヘスなどに構わないで下さい。 少しキレイなだけの、ただの生意気な小娘です」

諦める? ヘスのことを、私が?

「・・・・・・嫌です」
「兄上!?」

「・・・・・嫌です、嫌だ。 今まで一族のため私は何も望まなかった。 一族のため政略結婚もした、一族の望むよう真面目な皇子でいました。 学問も武芸も一族と、母上が望む通りに鍛錬し続けた・・・」

「・・・初めて、自らが望みました。 ・・・初めて心の底から、欲しいと思いました。・・・私は初めて望んだ、たった1つの事さえ、諦めなければならないのですか?」

「ウクよ・・・しかしヘスは、ソ皇子の妻だ」
「離縁すればいいのです、私のように」

「ウク・・・いや、今のお前に何を言っても無駄のようだな」

母は皇宮に戻っていった。

「どうしてこの様な事に・・・ 私はヘスを許しません!」
「・・・ヘスに何かしたら、ヨナ、私がそなたを許さない」

「兄上!? 兄上は妹の私とヘスと、どちらが大事なのですか!」
「どちらも大事だ・・・が、ヘスはお前に何もしないが、ヨナや・・・お前は平気で殺そうとするだろう?」

「ヘスの髪一筋でも傷つければ、私は何をするか分からぬぞ ヨナ」
「兄上・・・」


そう、お前は男より野心があり、策略を巡らす・・・・・・優しいヘスを陥れ、処刑させようと動いていたな?
知らないとでも? 兄を見くびるなよ。

慕っていたソの妻になったヘスが、憎いのだろう?
だがヘスを陥れ、殺せばソがそなたを殺すだろう。


私もだがな・・・くくくっ、ふふっ・・・・

ほぉ〜・・・・さすがのヨナも、顔色を変えたな。

「失礼します」
ヨナも去った・・・・・・これで私も静かに考える事ができる。


・・・・・私が欲しいのは、ヘスだ。 我が妻にと、望むのもヘスだ。 ミョンには悪いと、思っているが。。。

ヘス・・・・・いずれ、私を愛してくれ。。。






「・・・うゔゔ〜〜〜・・・ヘスは私の物だ! 私の人だ!」

?? お昼寝をしていた旦那様が、突然不快そうに唸りだしたと思えば、ガバッと身を起こしながら叫んでた。

「ヘス! どこだ、ヘス!」
「ここです」

機嫌最悪な顔で私を呼んだ旦那様・・・ソ皇子様は、怖い顔して振り返ってきた。

私の膝で子供の様に寝ていたこと、お忘れですか? あなたが起き上がるから、私は背後になったのですよ。

「ヘス・・・ここにいたのか」
私を抱きしめてくる旦那様は、怖い顔から不安な顔になってた。

「私はここにいます。 あなたの側から離れません」
「ヘス・・・ヘス・・・ 誰かがお前を、取ろうとしたのだ。 私から、そなたを・・・」

「大丈夫です。 私はどこにもいきませんから」
子供の様に怯えるソ皇子は、すごく可愛くて♡ 私は彼の背に手を回して、しっかりと抱きしめた。


・・・・・・ドラマより、私への依存度が高くなってるけど、いいのかな?

そう思っても、突き放すなんて考えられない私は、嬉しさに胸を高鳴らせるの。


今日はお休みな私は、昨日から屋敷に戻ってきてます。 うふっ、旦那様が迎えに来てくれたの♡

「ミョン殿は、無事ウクと離縁したのか?」
「はい、ファンボ皇后から手紙がへ氏に届き、離縁成立です」

「まだ、信じられぬ・・・ミョン殿が、ウクから離れるなど」
「・・・・・今でも、心の底では愛してらっしゃいます」

ソ皇子は、分からないと頭を振るけど、私は分かる気がします。

「気づいて欲しいのです。昔のウク様に、戻ってもらいたいのです。 ・・・自分が愛したウク様に、戻ってもらいたいのです」
「・・・確かに、変わったな。 今のウクは私の知っているウクとは、別人のようだ」

「・・・姉様には言えませんが、私はウク様の執着が、怖いです」
「ヘス・・・」

「いつか、あの執着に絡め取られてしまいそうで・・・・ 怖い」
「ヘス、怖がらなくていい。私がいる。お前を、離しはしない」

ぎゅっ!と抱きしめられて、あなたの力強い腕を感じて、安心できるわ。


『お前は私の人だ。 誰にも渡さぬ、誰にもやらぬ!』
ヘスの震える身体を抱きしめ、俺はウクを思う。

ヘスが怯えるのも無理はない、昔の穏やかな皇子っぷりは消え、冷酷な目で周りを見ている様子は、別人だ。

昔から頭の良い奴だった。 静かに、何を企んでいるのか・・・・・私が、新しい陛下をお守りせねば。

そしてヘスよ、お前を、守る!!!






「ヘス、チェリョンという下女を知っているか? ウクからぜひ茶美園へと勧められたが」
茶美園の中で、ゆっくりと半身浴をされている陛下が、私に聞いてきた。

「チェリョンは知っています、ウク様の屋敷でよく私の世話をしてくれていました」
「ほぉ〜・・・ならば茶美園に迎えるよう手配いたそう」

私は迷っていた。 ドラマではヒロインが妹のように可愛がり、信頼していたチェリョン。
だけどウク様やウォン皇子に命じられるまま、陛下の湯に水銀を入れ・・・毒殺する。


私は考えたの。。。

茶美園に来させないようにするのは、簡単! 陛下に断ればいいだけだから。
でも、チェリョンという傀儡がなくなれば、ウク様はきっと他で、都合よく命令を実行する女官を作るはず。

私の側にいる人間を使おうとするはず・・・・・きっと私が信頼するスジンを、使おうとする。

スジンの家族に害をなすとでも脅して、言う事をきかせるはず。

それならば、いっその事・・・ チェリョンを側に置いて、監視していた方が良いかも。

私はそう考えていたの。


「ヘスお嬢様! やっとお会いできた〜〜!」
「チェリョン、久しぶりね」

すぐに茶美園に女官としてやって来たチェリョン、ウク様の対応が素早いわ。

「チェリョン、言っておく事があるの」
「なんですか?」

これは予防線よ、チェリョン・・・・・いいえ、裏で手を引くウク様。


「私は茶美園を統括する薬師です。 公正な立場で、女官達に指示を出さなければならないの」
「お嬢様が薬師様ですか」

「だからチェリョン、あなたをベッタリと私の側に付かせる事はできません。新入りの女官として、一から茶美園の仕事を覚えてもらいます。それでもいいですか?」
「お嬢様のお側には、いられないんですか?」

「私の側に付かせるには、それ相応の知識と経験がいるのです。 早く覚えてね、チェリョン!」
「・・・・・がんばりまぁーす!」


ウク様、あなたは知らない・・・・・・前の陛下、ワン・ゴン様が私に遺してくれた物を。 そして、オ尚宮が託してくれたものを。。。

オ尚宮が亡くなった後、茶美園の尚宮達は私に信頼をよせてくれた。

前の陛下の言葉を書いた勅書は、尚宮達の信頼を、忠誠に変えてくれたの。

信じる者から疑わないと、陥れられ殺される皇宮で、それは奇跡だわ。


私は尚宮達にチェリョンを任せ、私の側には付けなかった。

そしてスジンと二人で陛下が茶美園にいる間は、目を離さずにいた。

陛下のアトピーは良くなり、以前のように狂ったように痒がりはしなくなった。

身体の病が心配いらぬものになれば、真面目な陛下は政治に全力で向かえるようになった。

ソ皇子は自分の実家や養子先、私の実家の豪族達を使い、他の豪族達を牽制している。


何事も、うまくいっていた。

怖いくらいに、全てが順調だった。




・・・・・・何もかも、上手くいかない。


もともと病がちだった陛下が、茶美園でヘスの世話を受けるたび、健やかになっていく。

毒を仕込んだ湯に浸からせようと、チェリョンを茶美園に送ったが、他の尚宮に使われヘスの元には近づけないまま時だけが過ぎた。


水銀で、じわじわと蝕まれ弱った陛下の太監(テガム)として政治に参加するという思惑は、健康な陛下の元では、采配を振るう事も出来ぬままだ。


一年以上がたち、思惑が外れた事を痛感した。


そして、変化はまだあった。

「茶を持て」
「かしこまりました」

ふぅ・・・ 茶の一つを飲むにしても、使用人に言いつけなければならない。
煩わしい・・・・・・ミョンがいたときは、こんな事はなかった。

そろそろ茶が飲みたいと思えば、ミョンが持ってきてくれた。
病で持ってこれないときは、使用人に持ってこさせた。


書庫の離れにいる時も、そうだ。 私が静かに過ごしたいのに、使用人がガヤガヤと入ってきたりする。

ミョンがいる時は、なかった事だ。


『旦那様、甘い物などいかがですか? お茶と一緒にお持ちしました』
「ああ、いただこう・・・」

・・・・・・幻か? 空耳か。

私は身勝手な男だ・・・ いまさら、ミョンが懐かしいだなど、あの人の心遣いが・・・恋しいだなど、身勝手なものだ。


「兄上、もっと使用人の躾をされないと! 気が利かないにも程があります!」
たまに来ては、ヨナは文句ばかりだ。

ヨナの文句を言う声が、癇にさわる。

「全く、ミョンは何をしていたのかしら! 離縁は言い出すくせに、使用人の躾はなってないわ」
「・・・ヨナ」

「兄上もご不自由でしょう? 今度から使用人を打てば、良い躾となりましょう」
「・・・ヨナ」

「兄上? どうしてそのような怖い顔を?」
「そなた今、ミョンの事を呼び捨てに?」

「ええ、すでに関係の無い者です。皇女の私が、縁の無くなった者を呼び捨てにしても、構わないでしょう?」

このとき我が妹ながら目の前のヨナに、嫌悪を覚えた。

女の身には持ちすぎるほどの野心を持つ、我が妹・・・ そのくせヨ兄上に望まれた時は、ソに妻にしろと迫ったとか。

・・・・・・自分の身を犠牲にはせず、私に皇帝になれと煽るだけ。


何だろう、この・・・・・・胸にわく、違和感は・・・・・・



ああ、ミョンの淹れた茶が、恋しい。。。





今回はウクとミョンさんの回でした。

ドラマではミョンさんのウクを慕う様子が切ないので、何とかしたかった私でした。



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すー※さん

Author:すー※さん
私的妄想世界が広がっております。
イチオシは窪田正孝さんの役柄いろいろ妄想話です♡(その他にも相棒の神戸さん、スネイプ先生や善徳女王など色々でございます)

最近は更新ができてませんが、発作的に投下してます。
8月、9月の試験に受かれば時間ができるので、それまでは見守っていて下さいませ。

合言葉は『シリアスからエロまで』・・・・・楽しんでいただければ幸いです。。。

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