⑨《麗☆花萌ゆる皇子たち》

今回は、悲しいお別れが。。。

オ尚宮は、反胃・・・胃ガンなんです、しかも末期の。
ヒロインは一生懸命、看病します。

ネタバレですが、ドラマでは皇子暗殺の冤罪で処刑されるヘスを、彼女は助けます。
自分がやった事にして・・・処刑されます。

そうではなく、穏やかに逝かせてあげたかったんです。






「う・・・」
「オ尚宮、胃が痛むのですか?」
顔色の悪いオ尚宮を椅子に座らせた私は、煎じた茶をオ尚宮に出した。

気休めにしかならないけど、痛みをやわらげる効能のものを自分なりに数種類いれ、淹れてあるの。


茶美園でオ尚宮と出逢った最初の日から、ううん、ミョン姉様のため書物を読んでいたときから、私はこのことも考えていたの。


でも、でも・・・どうしても見つからない! ・・・胃ガンの治し方なんて。。。


現代なら外科手術とかもあるだろうけど、1000年前のここでは、ここでは・・・・・どうしようもない。

ウク皇子様の屋敷の書物に始まり、茶美園の書物、オ尚宮の書物、はては皇宮の御典医の書物。

御典医とは生薬などの事で話してるうちに、薬に関しては御典医より詳しいとお墨付きを頂いたの。
なので陛下から、施術師から【 薬師 】としての位をいただきました。

それでも何百冊、ううん、何千冊も読み勉強したけれど・・・・・私にできることは、胃に良く、吐き気を抑え、痛みをやわらげる薬茶しかできなかった。

オ尚宮からも反胃と告白された私は、どんどん薬茶を作り飲んでもらった。

でも・・・少しづつ、オ尚宮が痛みに苦しんでいるの。

今はまだ動けるけど、痛みが酷くなれば・・・オ尚宮は、弱っていく姿を見せたくなくて茶美園を出ていくわ。

私は、最後までオ尚宮を看たいけど、誇り高い方だから・・・嫌がられるだろうか。。。


「オ尚宮、お願いがあります」
「なんだ?」

「・・・私を娘として慈しんでくれた貴女を、母として最後まで一緒にいたいのです」
「ヘス・・・」

「私が作る薬茶で、少しでも痛みをなくしたいのです」
「有難いが、ヘスや・・・しばらくしたら私は故郷に戻ろうと思う・・・私は長くはないのだから」

「オ尚宮・・・お願いです!」
「ヘス・・・」
私は必死にお願いした。



こぽこぽこぽ・・・・・陛下にオ尚宮直伝のお茶を淹れて、横に控える私。

「スヨン(オ尚宮の名前)・・・いや、それでオ尚宮は何と?」
「まだ先だと、笑っておられました」

「・・・そうか」
陛下も心配そう・・・・・

「痛みをやわらげる薬茶を、オ尚宮に飲んでもらいます」
「・・・ヘスよ、頼む」

陛下の分も、頑張らなきゃ!!!





そんなとき、ソ皇子様が陛下からの命で後晋に使臣として行く事になったの。

偵察も兼ねてるから、私はついていけない・・・・・足手纏いにならないよう、高麗で待ってなきゃ。


明日、ソ皇子様は出立される。。。


「これは腹痛に、熱冷ましはこちらに入れてあります。煎じる事は難しいと思い、丸薬にしてありますから」
「分かった」

「こちらは怪我をされたら使って下さい。少しの水で揉んでいただければ使えますから」
「分かった」

「この箱には、お化粧の品が入っております」
「分かった」

「それに、それに」
「・・・・・ヘス」

忙しなく俺の荷物を用意するヘスの様子が、おかしく思い背後から抱きしめたが、お前・・・泣いてるのか?

「へ、陛下から任命された使臣という御役目です。 陛下が信頼され、皇子様に託された大事な御役目です」

ヘスの声が、震えている・・・・・俺を見ないのは、泣きそうだからか? 泣き顔を見られたくないのか?

「・・・わかって、います。 頭では分かっているんです・・・ でも、でも・・・あなたと離れるのが、寂しい・・・」

・・・・・ヘス

「御役目の妨げになるようなこと、妻としては言ってはいけないのに! 笑顔で、送り出さないといけないのに・・・・・私は、妻失格ですね」
「ヘス!」

お前が妻失格だと!? とんでもない、逆だぞヘス!
俺は腕に力をこめた・・・・・お前が、愛しい・・・・・永久(とこしえ)に、俺はお前を、愛する。

「俺はいつも、去る側だ。不幸を呼び込む獣よと、追い立てられる俺に、お前だけが寂しいと言ってくれるのだな」
「旦那様・・・」

「ソと、呼べ。2人のときは、名を呼んでほしい」
「・・・ソ様」

こちらを向かせたヘスをじっと見つめれば、ヘスも俺を見つめ・・・大きな目から涙をこぼしながらも、笑顔で俺を送り出そうとしている。

ぎこちない泣き笑いの顔のヘスに、口付けた俺は、抱き上げ寝台へと向かった。。。


・・・・・・その夜は、ヘスが俺を名で呼ぶ声に、朝まで求めた。

・・・・・・ 何度も、何度も、何度も。


そうして2人、溶け合う夜を過ごし、互いに互いが、愛し愛されていると確かめたのだ。



贈ってから、お前の髪を飾っていた簪を、お守りに借りていくぞ。

「ご無事で・・・お帰りを待っています」
「必ず、戻る」

高麗第4皇子ソは、少数の兵を連れ出立した。






〜〜〜〜〜〜 一年後 〜〜〜〜〜〜


あれから、一年が過ぎた。

こぽこぽこぽ・・・・・ 陛下にお茶と菓子を出しながら、側に控える私。

オ尚宮が出せなくなった代わりに、私が陛下のお茶を出しているの。

「スヨンと同じ茶だ」
懐かしむ陛下とオ尚宮を偲びながら、過ごす毎日。

あれからオ尚宮を茶美園で看取った私は、薬師として陛下にお仕えしています。

茶美園の中でも変化が・・・ オ尚宮を慕っていた女官達が、私に仕えたいと申し出てくれた。

「尚宮様をあんなに献身的に看取られるなど、実の娘でもできない事です」
「反胃は痛みが酷い事を知っています。でも尚宮様は、ヘス様の薬茶で最後まで穏やかでした」
「私達は、尚宮様の娘としてヘス様にお仕えしたいのです」

「ありがとうございます、こちらこそお願いします」
ああ、オ尚宮・・・・・これも、あなたのおかげですね。


オ尚宮が亡くなって、心に穴が開いたみたい。
そんな私を、ミョン姉様が茶美園に訪ねてきてくれます。


「ソ皇子様が後晋に行かれて一年か・・・・・早いものだな」
「もう、一年です。 いつ帰られるのかしら・・・」

「ミョン姉様、お身体は大丈夫ですか? 怠さや咳などあれば、すぐに私に言って下さい」
「私は大丈夫よ。 ヘスが届けてくれる薬を、毎日欠かさず飲んでいるから」

「良かった」
顔色も良くて、ミョン姉様が元気な様子に私もホッとしました。

「たまには屋敷に泊まりに来なさい。 つもる話もあるし、チェリョンが寂しがっているわ。ヘスったら茶美園に住んでいるんだもの」
「はい! では今度、休みを取りますね」

オ尚宮の看病をするには、茶美園に泊まり込む必要があったの。
亡くなってからも、1人の屋敷には帰りたくなくて・・・・・つい、こっちに住んじゃった。



オ尚宮・・・ 御典医の話では、一年前にはすでに、いつ倒れてもおかしくないほど胃ガンに蝕まれていた。

何か方法がないかと御典医に言うも、首を振るばかりな御典医に、私は痛みや吐き気を取る薬効のものや、胃に良いものなど混ぜ、薬茶を作り続けた。

オ尚宮は、いつも笑って飲んでくれた。

「ほほ、娘が一生懸命に作ったものだ、たとえ毒でも喜んで飲もう」
「毒も使いようでは良薬になりますよ・・・体調はいかがですか?」

身体が弱まり寝たきりになったオ尚宮は、不思議といつも微笑んでらした。

・・・・・・もう起き上がれなくなったとき、オ尚宮は私に化粧をしてくれと言われたの。

この世界の化粧品にも慣れた私は、輝くばかりに美しく化粧を施したオ尚宮を、陛下に会わせたの。


・・・・・・2人だけの時間を持ってもらったの。 最後の、時間。。。

「ヘス」
中から呼ばれ、外に控えていた私が部屋に入ると、陛下とオ尚宮が笑っていた。

「ヘスや」あたたかく呼んでくれるオ尚宮。
「ヘス」力強く呼ぶ、陛下。

「ヘス、お前のことは陛下に頼みました。私の死後、何かあれば陛下に相談なさい」
「死後だなんて、縁起が悪いです! 」

・・・・・その日は、よく笑っておられた。

「お茶をお持ちしますね」
そういって部屋を出た私だけど、なんだか変な感じがして戻ったの。


戻った私が見たのは、寝台で眠るオ尚宮と、起こそうとする陛下の姿だった。
「スヨン! スヨン・・・・」


午後のやわらかな日差しのなか、オ尚宮は眠っているだけのような、穏やかに微笑んで・・・・・逝かれました。


・・・・・まだ一月も経ってない。 陛下はすぐに公務に戻られたけど、私は・・・・・陛下に日に何度かお茶を出す以外は、何もできなくなってるの。


「ヘス様、気晴らしに皇宮をお散歩されたらいかがですか?」
私付きの女官スジンの提案で、天気もいいし、いつまでも凹んでいられない私は、散歩する事にしたの。

スジンは年上の明るくて、ちょっとドジだけど、皇宮には珍しく裏表のない人なの。
オ尚宮が、私と合うだろうと、付けてくれて・・・・・グスッ。。。

いつまでもメソメソしてちゃ、いけないわよね!
私はオ尚宮の代わりに、陛下が健やかに過ごされるように頑張らなきゃ!


「ヘス様、花が綺麗に咲いてますよ!」
「本当ね、もうすっかり春なのね・・・」

樹々が芽吹き、池の周りも花が咲いていて・・・・・ぼんやりと、物思いにふけっていた私は、しばらく此処にいるとスジンに言ったの。

「私は御菓子の用意をしに、戻りますね!」
「お願い、私もしばらくしたら戻るわ」

この池は、ソ皇子様が案内してくれた場所。

・・・・・ああ、ソ皇子様 あなたに逢いたいです。 ぽっかり空いた心の穴は、寂しい、寂しいと騒いでいるから。。。



「逢いたいなぁ〜・・・・・・」
ぼんやりと、池を見ていた私の背後で、かさり・・・と、足音がした。

「誰に、逢いたい?」 ・・・・・・・その声は。。。

背後から、逞ましい腕が私を包む・・・・・・

「答えよ! お前は、誰に逢いたいのだ? 俺以外の男の名を言えば、ただでは済まさんぞ!」・・・くすっ、少し嫉妬深い言い方も、懐かしいです。


「私の旦那様に、逢いたいのです」
「名を、言え」

「ワン・ソ様。 私の大事な旦那様です」
「ヘス・・・・・逢いたかった」

背後から抱きしめてる旦那様が、私の頬にチュッ♡って!

「逢いたかった・・・ ヘス」
「私も、逢いたかった・・・・・」



一年、俺は使臣の役目を果たし、戻ってきた。

戻ってきてすぐ、陛下に報告をすれば、陛下からも俺に知らせが。


・・・・・オ尚宮の死だった。

「穏やかな最期だった。 反胃は酷く苦しむと聞いていたが、ヘスの薬茶で穏やかに日を過ごし、微笑みを浮かべて逝った」
「ヘスはオ尚宮を母と慕っていましたから」

「スヨンも、亡くなった子が戻ってきてくれた様だと・・・・・」
「陛下・・」

「ヘスは茶美園に住み込み、スヨンを昼も夜も関係なく、看てくれた。 なかなか実子でも出来ることではない」

「スヨンも娘に想われる母の幸せを感じたろう。余にヘスを頼むと言った。 そこで、余はヘスに肥沃な領地と位を授ける」


「もし余に何かあっても、ヘスには今後、誰も手を出せぬよう勅命を渡す」
「待ってください! それはヘスが望むことですか?」

俺は陛下に待ったをかけた。 領地も位も、ヘスが望むとは思えなかったからだ。
本人の意思を、聞いてほしかった。



陛下が公務に戻られた間に、俺はヘスを探した。

高麗に戻って、一番に俺たちの屋敷に行ったが、ヘスはいなかった。

どこだ、どこだと歩けば、思い出したのは・・・・・あの池、だった。

お前を、一番最初に案内した池だ。 ・・・・・美しい池。



「ふん、やはりな」
見つけた! ・・・・・だが、ヘスの様子がおかしい。


「逢いたいなぁ〜・・・」
無意識にこぼれたヘスの言葉は、俺の胸を騒ぎ立てた。 切なく見つめるヘスが、誰を求めているのか・・・・・俺以外は認めぬ!

背後から抱きしめれば、ん!? 痩せた・・・。 華奢なヘスだが、一年前より細くなったように思えた。

「旦那様に逢いたいのです」
よしよし、俺に逢いたかったのか。。。 背後から抱きしめたまま「逢いたかった」と言えば、ヘスの手が俺の手に重なった。

「旦那様・・・ ソ皇子様・・・」
「ヘス・・・」
戻ってきたのだ、俺はお前の側に・・・・・この日を夢に見るほど、待ち焦がれた。


「どうした?」
腕の中で、静かにうつむいたままのヘスに聞きながら、顔を上げさせれば・・・・・


大きな瞳から、はらはらと涙をこぼす・・・・・どうしたのだ? なぜ泣く?

「逢いたかったのです・・・ あなたに、逢いたかった・・・・」

きっとお前は、弱音を吐かずオ尚宮の看病をし、オ尚宮の代わりに陛下の事も気づかい、気を張りつめていたのだろう?
日に日に弱るオ尚宮を看ながら、痛みに苦しまないよう看病していた。


大事な人を、助けたいのに出来ない自分を、お前はきっと責めていたろう。。。


「すまない、もっと早くお前の側に戻れたなら、慰める事もできたろうに。 許せよ」
「いいえ、ご無事で戻られた・・・それだけで私は神に感謝します」

ヘスが力いっぱい俺に抱きついてきた。 今度はどうした? ん? 俺が戻って嬉しくて、涙が止まらない?

か、か、可愛いことを!!!


「ヘス! ・・・・・むがっ!」・・・なんで俺の口を塞ぐ!?
「いけません、もうすぐスジンが呼びにきます。見られたら・・・」

「恥ずかしいのか? 我らは夫婦だ、誰にも何も言わせん! 少しくらい・・・・・な?」・・・むがっ!
「もう! 屋敷に着くまでは、我慢して下さい」

俺は口を塞ぐヘスの手をよけ、「少しだけ!な?」と言えば、くすくすとヘスが笑った。

その笑顔は、許した証だな? 俺はヘスを抱きしめ、その唇を・・・・・・


「ヘス様〜〜! お茶の用意ができました! ・・・・・ひいぃ〜〜〜!!!」



ヘスを迎えにきたスジンはその日、初めて狼犬と呼ばれた第4皇子と会った。

ヘスの唇に触れる前に邪魔されたソ皇子が、抜き身の刀を喉元に突きつける様な眼光でスジンを睨みつけ、彼女を震え上がらせるのだった。





今回のお話は、ドラマでは12話の前半ですね。

ここから史実からは外れちゃいますが、よろしくお願いします!

ドラマは私のお話より、もっと、もっと面白いですから、ぜひ見て下さい♡

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Author:すー※さん
私的妄想世界が広がっております。
イチオシは窪田正孝さんの役柄いろいろ妄想話です♡(その他にも相棒の神戸さん、スネイプ先生や善徳女王など色々でございます)

最近は更新ができてませんが、発作的に投下してます。
8月、9月の試験に受かれば時間ができるので、それまでは見守っていて下さいませ。

合言葉は『シリアスからエロまで』・・・・・楽しんでいただければ幸いです。。。

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