⑤《麗☆花萌ゆる皇子たち》

えっと、すでにドラマとは別物なストーリーとなりました。

エピソードは散りばめますが、この回から完全に分岐します。

あたたかい目で見ていただければ、幸いです。




ヘスが茶美園で陛下の施術師となり日が過ぎた。
最初は茶美園でも反発があったらしいが、それもオ尚宮や陛下に自分の娘のように可愛がられている様子に、しだいに周りが変わった。

本当にコロリと、変わるのだ。
ただヘスは、あのままだ・・・ 自分の出来ることを一生懸命に、誠実に、ミョンさんの様子も前と変わらず見ている。

ウクの話では、咳も出なくなり顔色も良く、御典医も回復に驚いているそうだ。

俺は茶美園のヘスに、行けるときは毎日でも訪れていた。 ・・・・・だがそこで、ヘスが・・・・・・やつれている?


「ヘス」
「あ、ソ皇子様・・・」

「ヘス顔色が悪いぞ、あまり無理をするな」
「平気です! へい・・・き・・・」

ヘスが、倒れた! 俺は床に倒れる前にヘスを抱き止めたが、目を瞑ったヘスに無様にもオロオロと狼狽えるばかりだ。

「誰か! オ尚宮を呼べ! オ尚宮を、呼べぇ〜〜〜〜!!!」
俺の叫びにオ尚宮が飛んで来た。

「ヘスが倒れた」
「ひとまず、あちらの部屋に運んでもらえますか?」

分かった! 俺はヘスを抱き上げ、オ尚宮の後を追う。
寝台に寝かせたヘスの顔色が真っ白で、目を覚まさないことに、俺は怯える。

ヘスの側に座り手を握る俺に、オ尚宮が「邪魔です」と言った。

未婚の娘だからとヘスを診たのは、オ尚宮だ。

「どうだ? ヘスはどうなのだ!」
「・・・今までの疲れが溜まったのでしょう。寝る間も惜しんで様々な本を読み勉強していたから・・・毎日、ミョン様の様子に気を配り、ここに通い陛下の御身体を気遣い、夜は勉強。 自分の事など二の次にして、頑張っていましたから」

「では治るのだな? よく休めば、治るのだな!」
・・・ホッとした。

「・・・あ、私・・・・・」
倒れちゃったんだ・・・ まだボォ〜〜っとする頭でオ尚宮を見れば、「メッ!」て顔してるし! 頑張りすぎるなって言われてたんだよね〜〜あはは。

オ尚宮が、チラッと横を見てから静かに部屋を出て行った。


あ、ソ皇子様もいたんだ・・・・・・あれ? なんで泣きそうな顔してんだろ?

「ヘス・・・・・ヘス・・・・・」
「ソ皇子様・・・」

俺は寝ているヘスに覆い被さり、抱きしめた。 お前がいなくなったら、そう考えるだけで俺は怯えてしまう。
冷酷で恐ろしく、情け容赦のない狼犬と、呼ばれる俺だが・・・・・お前がいなくなれば、俺はまた1人だ。


私より身体の大きなソ皇子様が、私の名を呼びながら、抱きしめてる腕や身体が震えてる。。。

あなたを、驚かせてしまいました。 ごめんなさい。 でも、震えるほど心配してもらえて、嬉しいです。

「心配させて、ごめんなさい。 文献に夢中になって寝不足が続いたのが原因です」
「・・・・・・」

「ソ皇子様?」
「・・・・・・」

怒っちゃったのかな?

「ヘス・・・」
「はい」

ソ皇子様が椅子に座り直して、私も起き上がったんだけど、皇子様どうしたの?
真剣な顔で、私を見ている貴方は、とても切ない目をしてる。

何かを決意し、何かに怯え、そして私を求めてる目で、見つめ続けてる。


「俺は、お前を、愛している。 ・・・・・だが俺は、お前に隠している事がある。・・・・・醜い俺を嫌になり、お前が離れてしまうのが怖い」

そう言った皇子が、仮面の紐をほどき、ゆっくりと仮面をとったの。

私は静かに皇子を見つめた。 皇子は直ぐに手で傷を隠し、怯える目で私を見つめ、やがて手をどけた。


私は、そっと皇子の傷に指で触れたの・・・・・「良かった」つい、無意識に呟いた私に、皇子が鋭く睨んだ。

「何が良かった? 俺はこの傷のおかげで、信州(シンジュ)に養子に出され、母にも・・・母にも嫌われた」
「誤解させて、ごめんなさい。 私は失明しなくて良かったと思ったんです」

失明? ヘスによれば目の際にも達している傷が、あと少し長ければ眼球を傷つけていた。
そうならなくて本当に良かったと、思ったのだと言う。

「それに膿んでもなくキレイな傷痕だから・・・・・」
「・・・きれい?」

ヘスの指先が、俺の顔の傷をなぞっていく・・・・・なんだろう、この胸の感情は?
今までこの傷のせいで、孤独だった。
母に嫌われ、養子先でも化け物よと忌み嫌われ、殺されそうにもなった。

この傷があるから、この傷のせいで、そう思い ずっと憎んできた。

だが、ヘスは最初から俺を恐れなかった。 嫌わなかった。 むしろ、ヘスは俺を俺のまま、見てくれた。

もしかしたら、この傷は・・・ お前と出会うためについたのかもしれぬな。

そんな事を考えながら、俺はヘスの指先を捉えた。


「こんな傷のある俺でも、言っていいか? お前を愛している。 俺と、夫婦(めおと)になろう」
「・・・・・・」

あ・・・ 嬉しい。 前のヘスではなく、今の私を愛してくれる、ソ皇子に、嬉しさで胸がいっぱいになった私は、何も言えなくなって・・・・・・

「ヘス・・・?」
「私も、愛しています。あなたを、あなただけを・・・ あなたと夫婦になりたいです」

私は皇子にギューッと抱きしめられ、そして・・・・・ 口付けられた。



「・・・ソとそういう仲だとは、知らなかった」
「どうなさるおつもりですか?」

「おいおい睨むな。 ちょうどヘ氏から縁談の申し出があったのだ。ソにヘスを嫁がせたいと。 契丹からの侵攻が危ぶまれる今、繋がりを強固にするためにもソとヘスの婚姻を許そう」

皇帝のその言葉に、オ尚宮はニッコリと微笑んだ。


その日のうちに皇帝に呼ばれたソは、ヘスとの婚姻を許された。


「夢見たい・・・」
陛下から賜った屋敷は、まだ建ててる途中なの。 新居を用意して下さる陛下の御心が嬉しくて、屋敷が出来上がってから婚姻しようと皇子と話したの。

「俺はすぐでもいいんだがな」
背後から抱きしめてくるソ皇子様に、「私も」と応える。

「なら陛下に言って明日にでも!」
くすくす・・・ おどけて見せる皇子の明るい表情に、私も笑顔になっちゃう。

だけど今、日照り続きで婚姻どころじゃないの。 茶美園も出入り禁止になってて、陛下は雨乞いの儀式を考えてらっしゃるの。



「ヨや、お前が言っていたヘスとやら、ソと婚姻が決まったようだの」
「陛下の覚えがめでたい女人と聞いて、我が妻の1人にでもして言う事を聞かせようかと思いましたが、はん!あんな小娘、妻になどゴメンですな」

「それより、雨乞いの儀式の事じゃ。陛下は自分の代わりに、皇子達から選び、させようとしている」
「正胤(世継ぎ)が盗賊退治に出掛けてますが、民は納得するでしょうか?」

くっくっくっ・・・ 母と息子は、この機会に長男のムを、正胤の座から引きずり下ろす謀策をねっていた。






壺の中の名札を皇帝が、選ぶ。 正胤が盗賊退治に時間がかかり、戻れないいま、誰が代わりに雨乞いをするのか?
皇帝が掴んだ名は・・・・・・


「第4皇子、ワン・ソに決まった!」
高々と宣言された名に、ソ皇子本人も驚いていた。


そして儀式は皇宮の外から青葉で壺の水を上下左右の四方に振りまきながら、皇宮まで歩いてくるものだ。
道端には雨を切実にこう民達が押し寄せ、ひしめいている。

だが、儀式の皇子が第4皇子だと気がついた民達は、仮面をつけたソ皇子に、石を浴びせた。

手に手に泥を持った者が、頷きあいソ皇子に向かって投げれば、真っ白な儀式の服が、茶色に汚れる。

なんとか皇宮の門をくぐった皇子だが、壺を捨て逃げ去った。


その様を楽しそうに、可笑しそうに見ている第3皇子とユ皇后。
彼らはその後、酒を飲みながら笑っていた。



「皇子様どこですか?」
私は話を聞き茶美園から走って皇子を探していたの。


2人で周った皇宮の中を、思い出しながら。。。

真っ先に案内してくれたのは、皇宮の中で一番先に朝日が昇る池のほとり。

「いいか、皇宮とは誰も信じてはいけない場所だ。身近なものほど疑え」
「友達、作れませんね。 ずっと1人でいるのですか?」

「そうだ!」
「そんなの耐えられませんし、もう信頼できる方は、いますから!」

「だ、だ、誰だ!(ヘスにそんな奴が!?)」
「ソ皇子様です! 皇子様は信頼できる方でしょ?」


そんなやり取りを思い出しながら、探すも見つからない。

「ここら辺だと思うんだけど・・・」
私は池の周りを回ってみることにして、てくてく歩き出した。

「あ、いた!」
小舟に乗って昼寝?してるのかしら・・・・・それとも、ふて寝?

「皇子様?」
小舟に移って様子を見てると、足元がぐらついて・・・・・きゃっ!落ちるっ!!!

「ヘス!」
ぐらついて船から落ちそうになった私を、皇子様が引っ張ってくれた。

気がつけば皇子の腕の中で、小舟で寄り添い倒れて・・・ちゅっ♡なんてされちゃった。

「俺を探しに来たのか?」
「はい」

「やはり俺では民が納得しないな」
「そんなことないです! あまり気にせず・・・なんて無理ですよね。でもこれは皇子様の御役目です」

「・・・民にも嫌われている、こんな俺はお前の側にいてもいいのだろうか」

んもぉ〜〜〜悩んだ顔もセクシーだけど。。。 私は両手で皇子の頬を、ぺちん!と叩いた。

「な、何をする!」
「私から離れるのですか?」

「皇子様は武芸も度胸も天下一品の御方です! 狼犬と呼ばれるほど猛々しいけど、優しい方だと知ってます! 何より私は、傷があろうがなかろうが・・・・・お慕いしてます・・・・・離れないで」
「ヘス!」

ああ、馬鹿だった。 俺が馬鹿だった。 この傷を、憎んでいたが、どうやら傷に囚われていたようだ。

そして雨乞いの儀式の再開が、明日となった。・・・・・正胤はまだ戻られない。

ジモンが焦れてるが、俺は、こんな俺でも正胤の代わりを務めると決めた。


「皇子様!」
そのときヘスが俺を呼んだ。

「皇子様、その仮面をお取りします!」
「?」

「こちらにいらして下さい」そう言ってヘスに腕をとられ、案内されたのは茶美園のヘスの部屋だった。

「お取りします」
そっとヘスの手で仮面を外された俺は、じっとヘスを見つめた。

忌まわしい傷に、優しい感触が・・・・・ ヘスの指先が触れていく。

「片手で隠れるのに、これのせいで皇子様が悔しい思いをするのって、私も悔しいです」
お前は俺の心に寄り添ってくれるのだな。

「好きにするがいい・・・ 俺はもう、お前の物だから・・・ 」


そう言われ目を閉じた皇子に、私は化粧をほどこす。
この時代の物を使い、BBクリームに近い物を作った私は、筆で丁寧に傷を隠していく。

額から鼻の横に伸びた傷と、その側の左目の下から頬の傷、それらを消していく。
クリームの上からは、おしろい粉を薄く馴染ませながらはたいていく。

「できた! どうですか」
「・・・・・」


渡された鏡を見た俺は、自分の目が信じられなかった。 それほど、あの傷が、なくなっていた。
しばし呆然としていた俺だが、儀式の開始を告げる鐘の音に立ち上がったヘスを、抱きしめた。

俺はお前に、どれだけ助けられたのだろうか。

「皇子様、お早く用意を! 儀式が始まってしまいます」
「俺はここに誓う。 お前を離しはしないと・・・」

「はい」
嬉しそうに微笑むヘスに、着替えた俺は「行ってくる」と声をかけ、お前からは「行ってらっしゃい」と返ってきた。

さあ、しっかりと務めよう! 何者かの邪魔が入ろうとも。。。






ふっふっふ、盗賊退治に手間取る正胤や、仮面で民に嫌われるソなど、この座に相応しくはない。
雨乞いの儀式に使うこの輿(こし)は、やはり俺が座るに相応しい。

ジモンは少しでも時間稼ぎをしようと、もたもたと儀式の壺を運んでいるが、ふふふ・・・・・いくら時間稼ぎしても正胤は間に合うまい。

その為に街道沿いに賊を潜ませていたのだからな。 それに、ソだ。 あいつは前の儀式で俺が仕込んでおいた者達から、石や泥を浴びせられている。

再度、儀式になど立たぬだろう。 ふふふ、武芸もでき、敵とみなさば容赦の無い狼犬のくせに、顔の傷に触れられると人が変わったように弱くなる。

面白い、実に面白いな。

さて、そろそろ刻限だ。 第3皇子の俺が、儀式をするのだ。そして、雨が降れば・・・・・正胤をその座から引きずり下ろしてやる。

はっはっはっ・・・・・俺が輿に乗ろうとしたとき、腕を掴む者が!?

「誰だ!・・・・・お前!」
「どいてもらおう、この輿に乗れるのは、正胤以外では俺だけだ」

何故きた? お前など、この座に相応しくない! その顔の傷をいくら仮面で隠しても、醜い者は醜いのだ!!

「離せ!」
掴まれた腕を振りほどくとき、ソの仮面に触れた・・・・・するり、と仮面が外れ地面に落ちて、乾いた音を立てた。

俯いたソが、その顔を上げれば・・・・・・・・お、お前、その顔は???

傷が無い! あの傷が、無い!? 何故だ?何故だ?何故だ!!!


呆然とした俺を置いて、お前が輿に乗った。 俺が慌ててソを降ろしに一歩踏み出せば、ジモンが激しい口調で止める。

「選ばれたのは、ソ皇子様です。貴方では、ない」
「ジモン!!!」


俺は、見送るしかなかった。 ジモンは、正胤ではなく・・・ソを待っていたと、気がついたから。。。



どうだろう? 私はドキドキしながら皇宮の外にいたの。
儀式の輿から降りたソ皇子様を見ながら、集まった人々の様子を伺ってると・・・第4皇子だと、ざわつき始めた。

でも仮面を外した皇子を初めてみた人々は、やがて雨を降らせたまえと口々に祈りを捧げるの。

始めに「また第4皇子だ! 狼犬だ!」と皆を煽動するように叫んだ男も、傷のない皇子にそれ以上なにも言えなくなってた。

もしや先の儀式で皆を煽ったのは、あの男? きっと誰かが仕込んだ者達ね。 ああ、ドラマ通りなら第3皇子と母のユ皇后ね。


・・・・・・でも今回は違う。 ソ皇子様が、民の反応に自信を持ち始め、堂々と道を進んでらっしゃるの。

ああ、良かった・・・・・・ホッとした私は、静かに列から離れた。

皇宮に戻り、茶美園の私の部屋にいると・・・・・雨が降ってきた。

雨乞いの儀式は、成功ね! これでソ皇子様は、認められる。 良かった・・・・・


「雨が降ってきたな」
「オ尚宮・・・良かった、雨が降って」

オ尚宮と久しぶりに2人で、ゆっくりとお茶を飲んで話をしたの。
その間にも雨は勢いを増し、ザァーザァーとシャワーみたいに降ってきた。

「また顔色が良くない、少し休んでから帰りなさい」
「昨日、徹夜で化粧を作ってたから・・・隣で休んでます」

「できるだけ人払いをしておこう。なんならここに泊まれば良い、屋敷には知らせておくぞ」
「はい、そうさせて貰います」

どうしたんだろ、私。 この頃ちょっと調子悪いなぁ〜〜・・・・・・

隣の部屋には寝台が置いてあって、いつでも休めるようになってるの。
この前、倒れたとき心配したオ尚宮が、部屋を改装してくれたんだ。

コッチの世界に来てから、睡眠時間を削って勉強してたツケが回ってきたのかな?
今は、少し休んで・・・ 元気になろう。


やがて、スヤスヤと寝息をたて始めたヘスを、オ尚宮が見つめていた。
布団を掛けなおし、静かに部屋を出たオ尚宮は、茶器を洗いにヘスの施術部屋を出て行った。


待ち望んだ雨が降り、人々は歓喜に沸いている。
雨を降らせた英雄のソ皇子は、輿に乗って町を周るが、民の喜びの声に、感謝の声に、生まれて初めて皆から望まれた事に、自分も喜びに満ちていた。






「ヘス?」
ヘスがいるかと思い施術部屋を訪ねたが、どうやら空振りだったようだ。

それにしてもソには驚いた。 仮面をとっていた変化もそうだが、傷が無くなっていたのだから。
私は妻のミョンが言っていたのを、思い出した。

ヘスは化粧が得意だと。

きっとソの傷もヘスが隠したのだろう・・・ 本当に得難い娘だ。。。

その素直な性格もそうだが、豊富な知識もそうだ。 とても書物を読んだだけで習得したとは思えないのだが。

ヘスが使っている道具を見ていたが、ヘスは戻らぬようだ。
私も屋敷に帰るか、そう思い部屋を出かけたとき、カタン!と隣から物音がした。

「誰か、いるのか?」
扉を開けると、そこには寝台があり探していたヘスが、スヤスヤと寝ていた。

「ヘスや・・・」

この頃ヘスの様子が心配だとミョンが言っていたが、改めて近くでその顔を見てみれば、確かに少し、やつれたか?

もともとそんなに丈夫な方でも無い子だ、ミョンの病の事や、陛下の身体の事、何でも一生懸命に頑張りすぎたのだ。

「ヘスや、大丈夫か?」
私は、そっとヘスの頬に触れた。 柔らかな頬に、可愛らしい寝顔に、いつまでも愛しみたくなる。


儀式の合間に妹のヨナが、言っていた・・・・・ソとヘスの婚姻が、決まったと。

・・・・・・目の前が、闇黒の世界になった。 陛下の御許しをいただいたと、聞いた。

・・・・・・何故、ソなのだ? お前の心を捧げる相手が、なぜ、ソなのだ?

・・・・・・私では、いけなかったのか? お前を愛する気持ちでは、誰にも負けはしないのに。


「ヘスや・・・ お前を手に入れるのは、誰だ?」

「私では、だめなのか?」
スヤスヤと寝入るヘスに、私は・・・・・・私を選んで欲しいと、囁いた。

頬から、柔らかな唇を指で触れる・・・・・そのまま私は、ヘスに覆いかぶさり・・・・・


「そこで何をしているのですか!」
オ尚宮の厳しい声が、私を打つ。

私は、私は一体何を・・・・・ 寝ている娘に、無抵抗の者に、私は何を・・・・・何をしようとしていた!

「ウク様、速やかに御屋敷にお戻り下さい」
「私は・・・その様なつもりでは・・・ あ、私は」

「分かっております。私は見ていません、ですからお早く」
「ヘス・・・」

いつもは冷静沈着な第8皇子だが、今は自分でも抑えられなかった衝動に慄く、1人の男だった。
それでも部屋を出て行くときは、皇子の顔で行ったウクを、オ尚宮は見送った。

だがオ尚宮は、第8皇子の様子が気がかりで、何事かを考えていた。



「オ尚宮、ヘスは?」
俺は上機嫌でヘスの部屋に訪れた。 雨も降り民の喜びに、俺も嬉しいが、陛下にあたたかな言葉をかけてもらえた。

生まれて初めて、陛下を『父上』と、呼べたのだ。これも全てヘス! お前のおかげだ!

改めて感謝を伝えたい! 何よりこの喜びを、分かち合いたいのだ!


「オ尚宮、ヘスは?」
「隣の部屋で寝ております。 少し無理をしたのでしょう」

「倒れたのか?」
「いえ違います。 皇子様、少しお話を、よろしいですか?」

改まったオ尚宮からは、しばらく茶美園でヘスを預かりたいという申し出だった。
何故だ? ヘスはミョンさんの看病のため、ウクの屋敷からは離れぬぞ?

「・・・注意が必要、なのです。ヘスは、この子はソ皇子様をとても深く愛しています。陛下が御許しになっている今、無事に皇子様に嫁がせてやりたいのです」
「・・・・・その口振りでは、ウクの屋敷にいれば無事に嫁げなくなる、とも聞こえるが」

「はぁ〜・・・恋愛事には疎いくせに、策略には聡いとは」
「おい、どういう事だ!」

俺が詰めよれば大抵の者は怯え、尻尾を出すが・・・さすがオ尚宮、俺を真っ向から見返してきた。

「ヘスを無事に妻にはしたくないのですか?」
「したい! ヘスは俺の人だ、誰にも渡さぬし、危険にさらさぬ!」

「ならば、私の言葉をお聞き下さい」
「・・・つまり、訳を聞かずに言うことをきけと? できるか!訳を話せ!」

「言えませぬ。ですが、私もヘスが心配なのです、万が一にも間違いのないよう考えての事です」

オ尚宮のこれほど必死な様子は見た事がない。 ヘスが母とも慕う人だ、俺もヘスのために受け入れよう。

「分かった」
「では皇子様、ヘスにはこう仰って下さいませ」



「・・・・・療養、ですか?」
「ああ、茶美園で今までの疲れを癒し、元気になるのだ」

「屋敷も出来上がったし、調度品も陛下が用意して下さった。 あとはお前が元気になるだけだ!」
「元気ですけど・・・」

私は皇子様が何か隠してる事がある気がして、ジッと見つめたの。
そうしたら、言い難そうに・・・・・・

「オ尚宮に頼まれたんだ、母の真似事をさせてほしいと」
「オ尚宮が?」

「ああ、お前を娘のように思うから、自分の手で嫁ぐ準備をさせたいと」
「あ・・・・ オ尚宮」

私も母のように思ってるから、嬉しい!
でもミョン姉様の身体は・・・・・それも手紙で報告するから、心配せずに準備しなさいとミョン姉様が言われたと。

「心配なら俺が連れて行ってやるから」
「はい・・・」


私は、幸せです。 色んな方に心配していただいて。
その恩に報いるためにも、スッキリと元気にならなきゃ!


・・・・・・だって、身体が弱るのは、まだ先のはずなんだから・・・・・・






オ尚宮は、万が一にもヘスが乱暴されたら?と考えたんです。
娘を持つ母なら、警戒して当たり前です。

たとえウクが逆さになっても、そんな事できない人だとしても。。。

ここでドラマ的には7話済んで、8話くらいになりますが、すでにドラマとはかけ離れました!

楽しんでいただければ、幸いです。

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すー※さん

Author:すー※さん
私的妄想世界が広がっております。
イチオシは窪田正孝さんの役柄いろいろ妄想話です♡(その他にも相棒の神戸さん、スネイプ先生や善徳女王など色々でございます)

最近は更新ができてませんが、発作的に投下してます。
8月、9月の試験に受かれば時間ができるので、それまでは見守っていて下さいませ。

合言葉は『シリアスからエロまで』・・・・・楽しんでいただければ幸いです。。。

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