①《麗☆花萌ゆる皇子達》

しばらく遠ざかっていた韓ドラですが、この《 麗☆花萌ゆる8人の皇子たち》にどっぷりハマりました!

例によって例のごとく、妄想がわいたら書きたくなる私。

ドラマからは逸脱しますが、楽しく読んでいただければ幸いです。




「ぷはぁ〜〜〜〜」

ザバッと顔を出した私は止まりそうだった息をするため、はぁはぁと肩で荒い息を繰り返す。

頭の中は???でいっぱいだけど、今は、とりあえず、息っっ!! 酸素〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!



ぜぇ、はぁ、息をしながら顔の水を手で払い、辺りをキョロキョロ見てみれば・・・・・どこ、ここ??


白濁したお湯が膝まである広い、広い・・・・・露天風呂?
ん? なんか後ろでぶつかる・・・・・・


振り向けば、男のコ? え? 男〜〜〜〜〜〜

「ぎぃやぁぁぁ〜〜〜〜〜〜」
「わぁぁ〜〜〜〜〜〜」

目があった真後ろにいた男子と、同じように悲鳴をあげた私はもうパニック!


そのとき「お嬢様!!」と呼ばれた方に目をやれば、女子が手招きしてる・・・・・しかも、必死で。

「お前は誰だ!」
やばっ! 真後ろにいた男子1人かと思えば、奥にもお風呂があって、年代はバラバラの男子が、いる!!

逃げなきゃ!!

私は、私のことを必死で呼ぶ女子のもとへと湯をかき分け進んだ・・・・・


「お嬢様、此方です」
女子が私の手を掴んで逃げてくれたおかげで、捕まらずに逃げられたぁ〜〜〜!

洞窟を通って外に出た光景に、私は絶句した。

こ、こ、これは・・・・・・もしかして、私の大好きな韓ドラに出てきた場面!?

さっきのアレもヒロインがタイムスリップして高麗に来たワンシーンだし。。。

え? え? えええ〜〜??? あ、ダメだ、あまりな事に頭がついてかない・・・・・


「お嬢様ぁぁ〜〜」
私はその場で意識を失くしてしまいました。




・・・・・・私はドラマが好きな平凡なアラフォー主婦、だった。

旦那に女ができて離婚するまでは。。。

しっかり慰謝料を取った私だけど、落ち込むから1人傷心旅行へと出た・・・・・・。

韓国に来た私はコーディネーターの方に案内されて楽しんで・・・・・・あ、そうだ思い出した。

湖で子供が溺れて、無意識に助けようと飛び込んだんだった! そして、子供の父親が出したボートに子供を乗せて、私は・・・・・急に身体が動かなくなって、湖の底に沈んで・・・・・・って、そこまで大好きなドラマと一緒な事に驚いた。


う、嘘っ・・・・・・それじゃ、私は、私は・・・・・・・


「麗☆花萌ゆる皇子の世界にキターー♪───O(≧∇≦)O────♪ってこと!!!」

がばちょ☆と叫びながら起き上がった私は、自分がドラマの中のままの韓国の寝台に寝ているのに気がついた。

「気がついたのね、ヘ・スや」
「お嬢様、大丈夫ですか?」
声をかけてくれたのは、ドラマのままのミョン奥様と下女のチェリョン。

「あの・・・ここは何処ですか?」
「覚えていないのか? ここは高麗だ」

はい! タイムスリップ決定! しかもドラマの中へトリップしてる事も決定!

あまりな事に眩暈を感じ、ぐらついた私を2人が心配して支えてくれました。

「お前は頭を強く打っているのだ、横になりなさい」
「はい・・・・」

大人しく横になった私にミョンさんは、打ち所が悪くて何日も意識がなかったことで私は死んだと思ったと言われた。

「良かった、何はともあれ生きていた」
優しく抱きしめてくれるミョンさんは、ドラマの中ではヒロインを母のように慈しんでくれたっけ。。。

私は頭を打つ前のことを何も覚えていないと話したんだけど、そこではたと気がついた・・・・・・・ 私、韓国語、話せてる!

これは俗に言うトリップ特典なんだろうか? ありがたい!!!

でもさ、ドラマの中でヒロインがどうなるか知ってる身としましては、これから先の波乱万丈な人生を思って憂ちゃうわけですよ。

「はぁ〜〜・・・」
「そんなに心配するでない、記憶をなくしたお前を放りだすことなどしない」

ため息なんてついたから、不安がってると心配してくれたのね、ミョン姉様は。

「さ、食事にしよう。 ヘスや、お腹が空いたであろう?」
「はい!」

お腹減ったんだぁ〜〜・・・ま、腹が減っては戦はできぬって言うし、あとから考えよう!





「少し1人にしてほしいな」

ぴったり側にいるチェリョンにそう言って部屋の扉を閉めた。
って言っても本当にこれからの事を考えたかっただけな私は、床にペタンと座り込んだ。

えっと、えっと、整理しよう・・・・・何が原因かは分からないけど私は今、1000年前の韓国=高麗にきてる。
しかも《麗☆花萌ゆる8人の皇子たち》の世界にきてる・・・・・・


このヘスという娘はミョンさんの従姉妹で、彼女の看護や話し相手のためこの屋敷に来ている・・・オッケー、ドラマどうりだわ。

下女のチェリョンもドラマどうりだし、屋敷だってドラマの中のまま・・・オッケー。

ドラマどうりなら、ここは高麗の皇帝の8番目の皇子の邸なはず・・・・・ミョンさんは第8皇子の奥さんだもんね。


さて、それで私はどうすればいいんだろう・・・・・・側にあった鏡には不安そうな顔した若い時の私が写ってる。
そう、このコ・・・・・・16才なんだよね。

中身は40才過ぎのオバさんなんだよね〜〜〜・・・・・ん? いま思えば案内してくれてたコーディネーターの人、ジモンにそっくりだった!

やっぱりキーマンはジモンだったんだ・・・


色々考えたけどさ、来ちゃったもんは仕方ないじゃん!? 戻るすべもないし、ヒロインの人生を全うしないと・・・ここは開き直って私らしく生きますか!!!

「お嬢様ぁぁ〜〜・・・開けてください、お嬢様ぁぁ〜〜〜〜〜〜」
え? どうしたチェリョン? なんでそんな騒ぐの?

「そんなに悲しまないで下さい、出てきて下さいぃ〜〜〜」
ありゃりゃ、考え込んでる間にだいぶ時間がたってチェリョンが心配してるんだね。

「どうした、何を騒いでいる」
急に男の人の声が聞こえた・・・・・と思ったら、いきなり扉が倒れたぁーーー!


えーっと、もしもし? いくらなんでも扉をブチ破ってって・・・・・呆気にとられてる私の前に、部屋に入ってきたのはイケメン皇子のワン・ウクさん。 この屋敷の主人の第8皇子。

ミョンさんの大事な大事な旦那さま。。。
でもドラマだとヒロインとイイ雰囲気になるんだよね・・・・・だけど私は・・・・・ミョンさんを悲しませたくないよ。

決めた! 私は私! 誰かを悲しませたくなんかないし、ドラマでトキめいてた第4皇子一筋よ!!!

「大丈夫か? ヘスや・・・・ 皆そなたを心配している、部屋から出よう」
心配そうに差し出された皇子の手を掴んで立ち上がった私は、ニカッと笑って彼を見上げた。

「大丈夫です! たとえ記憶がなくても、不安や孤独に押し潰されそうでも、私は生きてますから! その時、その時を精いっぱい生きて行くことに決めましたから!」

拳を握った手をあげて【えい、えい、おーーー】としたら、横から「ぷっ!」と吹き出す声が・・・・・

「たくましいのだな、そなたは・・・ぷぷっ」
くつくつと笑いながら部屋を出て行く皇子について私も出れば、ミョンさんが心配そうに寄ってきてくれた。

同じことをミョンさんにも話せば、キョトンとした後にクスクスと笑ってくれました!

「これならば心配はいらぬな」
「ええ、良かったですわ」

そして翌日からミョンさんからこの世界の礼儀や挨拶など、様々な事を教えてもらったの。

毎日ミョン姉様の側にいた私は、彼女の病が気になった。

今はまだ無理をすると酷く疲れてしまう感じだけど、ドラマだとどんどん病が進行して・・・亡くなってしまう。

何か薬がないか・・・・・私は本がたくさん棚に並んでいる部屋にいき、探してみた。

ん? 私って字が読めるのかな?

ドラマだとヒロインは漢字が読めず一から覚えてたけど、私はどうなんだろ・・・・・・読めた、ラッキー!

じゃ、勉強しなきゃ! ミョン姉様が、少しでも楽に過ごせるように・・・・・病の苦しさを和らげてあげたい。

もちろん私は医者じゃないから彼女を治せるなんて思ってない。 けど、私にこんなに愛情もってくれる人に何かしたい!

書庫にこもって調べ物をしていると第8皇子が入ってきて、驚いてる。
私が事情を説明すると、茶美園(タミウォン)のオ尚宮(サングン)に聞いてみてくれると約束してくれた。

「それにしても驚いたな・・・ そなたが書庫に居るとは。 前ならばミョンの世話がないときは町へ遊びに行っていたと聞いた」
「記憶がない私を、姉や母のように親身になって支えようとしてくれる方に、私は少しでも何かしたいんです!」

「ありがとう、私も嬉しい」

イ、イケメンがふんわり笑って私を見てる・・・って、なんか雰囲気が甘い・・・ 甘すぎるぞ!!!

「で、では、こちらの御本お借りします。 失礼いたしました」
そそくさと退散した私は、知らなかった。

第8皇子が、私を切なく見送っていたなんて。。。


寝る間も惜しんで膨大な量の本を読み、参考になりそうな物は書き写していく・・・ そんな毎日が続けば私の知識量はどんどん増えていった。

様々な生薬はもとより野草をはじめとする植物、動物など薬に関しては医者に匹敵するくらいになっていた。

そして前の世界で漢方を学んでいた知識もあって、私独自に漢方薬を調合してミョンさんに煎じて飲ませられるほどになったの。


そんなときミョン姉様から「たまにも遊びに行ってはどう?」と言われた私は、チェリョンをお供に屋敷を散策してます。


屋敷の廻廊で、なにやら侍女を引き連れた女性が・・・・・ ってアレは、皇女ヨナ! これから散々ヒロインに嫌味言っちゃう人だわ。

目の前まで来た彼女に私は挨拶をした。

「久しぶりだな、そなた・・・ 記憶を無くしたと聞いたが、私の事も忘れたのか?」
「はい。 残念ながら忘れてしまいました・・・ 」
「ふん、忘れておるのに挨拶をするのは何故じゃ?」

私はここで、ニッコリと微笑んでヨナ皇女を見たんだけど、彼女は訝しげに眉を寄せている。

「遠くから歩いて来られる貴女様を見れば、さぞや高貴な方なのだろうと思いました」
頭を下げながら言えば、彼女の握られた拳がゆるんでいった。

「・・・・・・私はヨナ、この屋敷の主人である第8皇子の妹じゃ」
「ヘスです。記憶を無くし不作法なこともあるでしょうが、お許し下さい」

「よい、死にかけたのじゃ・・・多少は大目にみてやろう」
「美しくもお優しい皇女様、有り難き幸せです」

恭しくお辞儀した私にもう興味が無くなったのか、ヨナ皇女は去って行った。


「はぁ〜〜〜、緊張したわぁ〜〜〜」
「お嬢様、凄いじゃないですか! 皇女様が機嫌良くして行きましたよ」

良かった、良かった・・・ きっとぶつかる時は来るだろうけど、自分から余計なことはしないに限るよ。

ホッとしたのも束の間、私はミョン姉様に呼ばれてヨナ皇女とミョン姉様と一緒に灯篭作りを・・・・・不器用な私はヨナ皇女から糊作りを命じられました。

チェリョンからザッと造り方を聞いた私は、自分の背丈くらいある壺の中の糊をひたすら棒で混ぜていた。
台の下から火をかけてるから、焦げないよう混ぜ混ぜ・・・・・・

棒だって洗濯物干せますねってくらい長いから、重いよ〜〜〜!!!

ヘコタレながら、それでも混ぜてる私が煙で咳き込めばタイミング良く第8皇子が側を通って見てる。

「大丈夫か?」
「大丈夫です! 灯籠作りに糊は欠かせませんからね! もうじき完成します」

顔にも煤をつけながら明るく言う私を、第8皇子がジッと見つめる・・・・・ だから、そんな甘い空気出さないでよっ!

素知らぬフリで作業に戻る私、しばらくして第8皇子が去って行った。

「もう! フェロモンダダ漏れで見つめないでよ〜〜・・・焦ったぁ〜〜」

さて無事に糊も完成したし、下男に後のことを頼んだ私は、へたり込んでます。

何気なく見た先にジモンが!! 私は話がしたくて追いかけた。






ちぇっ、見失っちゃった・・・・・ チラリと見えたジモンを追いかけた私は、屋敷を飛び出し町までやって来たんだけど・・・・・ どこ、ここ?

仕方ない、帰るか・・・・・ ん〜〜っと、こっちから来たから戻ればお屋敷に着くよね?

ずっと屋敷にこもって本読んでたから、道が分かんないわ〜〜


大きな道で人が溢れてるけど、なんだろ? 遠くの方からざわざわしてる・・・ あれ? 人が、逃げてる???

分からなくてキョロキョロあっちや向こうを見ていた私に、木箱を背負ってたオジさんが急に横から目の前に・・・・・

そのオジさんは後ろが気になるのか振り返るから、オジさんの背中の木箱が勢い良く私にぶつかって、思わず私はバランスを崩して・・・・・


両手を振ってバランスを取ろうとする私。 だって後ろは結構な高さのある川だし! 落ちたらケガするし!! 落ちたくないし!!!

「うわっ! うわわっ!」 あ、もうダメ、落ちちゃうよぉぉ〜〜〜・・・




《 カッカッカッカッカッ・・・》

蹄の音がしたのは覚えてる。

グィッと身体を持ち上げられたのも、覚えてる。

左側の額から頬まで仮面で隠した人が、私の目の前にいた・・・・・ その澄んだ瞳に、私は魅せられてしまう。




私は今・・・・・・ 馬の背に乗ってる・・・・・・ 逞ましい腕に背中を支えられて・・・・・・


馬に乗ったことない私は、支えてくれる人に必死に掴まってて・・・・・・ でも、目はその人に釘づけで・・・・・


馬が止まった・・・ あ、御礼言わなきゃ!

「助けてくれて ありがとうございます」
「別に・・・ 降りろ」

グィッと押されて、そのまま落ちそうになった私は怖くてその人の首に抱きついた!

「怖いっ! う、う、馬に乗るの初めてなんです! 高さが怖いです!」
「チッ! 高麗の者が馬が怖いだと? ・・・・・(震えてる?)」

いかにも面倒くさそうに溜め息ついた後、その人は先に降りて私を降ろしてくれました。


「返す返すもお世話になりました」
「ふん!」

再び馬に乗ろうとしたその人の腕を掴んだ私。

「助けていただいたのは感謝しております。 ・・・ですが、1つ言いたい事があります」
「・・・・・・何だと?」

「このように人が大勢いる道で、馬を走らせるなど如何でございましょうか? 皆パニックになり私のようにケガをしそうになる者が出ます。 歩行者の安全をお考え下さいませ」

「(パニ?何だ?)・・・・・助けてやったのに文句か?」
「いいえ、忠告です。 ・・・・・ケガ人が出たら、きっと貴方は後悔されるから」

そう・・・ 孤独で猛々しく、敵を殺すことも厭わない冷酷な狼犬皇子・・・ だけど本当は優しい人、愛に焦がれる人

ドラマの中ではイ・ジュンギさんが演じてて、久しぶりに韓ドラ熱が再燃した人。

第4皇子のワン・ソ、後の四代皇帝となる光宗。

その人が、実際に目の前にいるなんて・・・ 私は胸が熱くなるのを感じてた・・・・・・


「ふんっ!」
鼻で笑ったその人は、馬に乗って行ってしまった。

でも、さっきみたいな走らせ方じゃない、歩行者を避けてる。


「やっぱり、優しい人・・・」
ふふっ、と笑いながら私も屋敷目指して歩きだしたんだ!


それから直ぐに第4皇子と再会したの! 第8皇子のお屋敷で! ・・・・・・しかも他の皇子達と一緒に。

ミョン姉様に書庫・・・ といっても幾つも部屋のある離れで、そこにお茶とお菓子を侍女達と運んで欲しいってことだったの。

何人もで持っていくんだから、お客様も何人もいるんだろうって思ってたけど、あちゃー! 私がこの世界に来たときに出てきた茶美園(タミウォン)の露天風呂に居た皇子達が勢揃いしてるし!

「・・・・・お前、どこかで会わなかったか?」
「気のせいです!」

「いいや、絶対どこかで見かけたぞ!」
人が顔を見せないように下を向いてても、覗き込んで見てくるし! だぁ〜! しつこい!


「あ〜〜〜思い出した! お前はあのときの、覗き見の女だ!」
「違います! 覗きなんかしてません!」

あちゃー・・・・・バレた!!! なんとか誤魔化さないと、覗き魔のレッテルが貼られちゃうよ〜〜!

ちなみにしつこく顔を覗き込んできた皇子は第10皇子。


「いいや、お前だ!」
「違います!」

しつこい!!! 腕を掴んでくるから振りほどこうとしたら、後ろにいたチェリョンにぶつかっちゃった。

お茶の乗るお盆をひっくり返しちゃったからチェリョンの服まで濡れてしまったわ。

「チェリョン、大丈夫? 火傷してない?」
「はい」

「お前!!」
もう、ホントしつこい! 私はたまらずに逃げ出したんだけど、やっぱり第10皇子は追いかけてきた。



まいたかなぁ〜〜・・・・・ あ、あんなとこに居た! ん? なに、あれ?

見つけた第10皇子は扉の障子紙が破れた所から、何だか中を覗いてる?

見てたら中からチェリョンの悲鳴が・・・ って、あの皇子チェリョンの着替えを覗いたのかぁぁ〜〜〜!!!


ここで私は、キレた。

焦って逃げてきた第10皇子を止め、ジッと睨みあげればバツが悪そうに頭をかいてるけどね・・・ オバさんは怒ってんだよ!!!

「いくら気になるお年頃でも、覗きはダメ! 絶対!」
「覗いてなんて、いないさ!」

・・・・・認めないんだな! 若い娘さんの肌を盗み見ておいて、認めないんだな!

おまけに出てきたチェリョンに、皇子という身分を振りかざして覗き自体を無かったことにしやがった!

「はっはっはっ、はっはっはっ」
私はさも可笑しくて仕方ないように笑いながら、皇子の耳を摘んで広い場所に移った。

「はっはっはっ! 皇帝の息子が、人の手本にならなければならない身分の皇子が! 若い娘さんの着替えを覗き、あまつさえその事実を、身分の高さで圧力をかけ、無かったことにするなんて!」

大声で叫んでたから他の皇子達が部屋から出てきた。

「どんだけ最低なんだよ、貴様は!!!」
「痛い、痛い〜〜〜〜〜〜・・・ 離せ!」

「いいか皇子様よぉ〜〜〜! 若い娘にとって肌を見られるなんてどんだけショックだと思ってんだ! しかも覗いた相手からそんな事実は無かったなんて言わせられて・・・ 心に傷ができるんだよ!幾ら身分が低くても、あんまりじゃないのか? なあ? なあ?」

「うるさい! 生意気な女め〜〜〜〜! こうしてやる!」

ドンッと押された私は地面に倒れたんだけど、ゆっくり第10皇子を睨みながら立ち上がった。

「言っとくけど、先に手を出したのは、あんただからな!」
「うるさい、うるさい、うるさいぃ〜〜!」

服の汚れを叩いている私に、第10皇子は掴みかかってきた。

それを交わしながら、拳を腹に、一発。。。

別に何か武道をしてた訳じゃないんだけど、昔から興味があって調べてたんだ。
か弱い女の拳でも、正確に鳩尾に入れるとね・・・・・・

「ぐへぇ〜〜〜!」

地べたにしゃがみこむくらいの威力は、あるんだよ〜〜ん!

第10皇子が涙目で蹲ってるのを、見下ろしながら仁王立ちした私は、目を剝きだすみたいに彼を見た。

「いい? 男わね、自分より弱い者を護ってナンボなんだわ! あんたみたいに高い身分を傘にきて女をどうこうしようなんて、最低だからな! 分かった!」
「・・・はい」

「それくらいにしておけ」
「・・・・・」

ニヤニヤ笑いながら第4皇子が入ってきて、このケンカは終了。

「それにしても・・・お前、武道をしてるのか?」
「いいえ! ただ、知識として知ってただけです」

「知識として?」
「はい、人には急所があります。どうしても鍛えられない場所とか幾つも。 か弱い私でも正確に決めれば、あんな風に出来るんです」

「・・・・・詳しく聞きたいな」
「いいですよ」

第4皇子が食いついたぁぁ〜〜〜〜〜〜! 他の皇子は呆れてるみたいだけど。

第4皇子に促されその場を離れた私・・・ えっと、いいのかな?

私達は書庫の離れの一部屋に来た。



「・・・・・という訳です」
「・・・脇の下も急所か」

サッと説明すれば何やら考え込む第4皇子様。。。

「もし背後から襲われたとき、お前はどうする?」
「え?」

第4皇子ってば言うや否や背後からガバって・・・・・ビックリするくらいの勢いで抱きついてきたから、もう条件反射だった。

背後の皇子の足の甲を思いっきり踏んづけた私は、痛みで緩んだ腕の中から脱出!
これって痴漢撃退講座で習ったの!

「〜〜〜〜!」

痛みで膝をついてる第4皇子に、やり過ぎた!

「ごめんなさい、急だったからビックリして加減できなくて・・・ あの、大丈夫ですか? どうしよう」

私は皇子の足の甲をさすって「痛いの痛いの、飛んでいけ〜〜!」って、やっちゃったの。

そう、まるで小さな子にするように・・・ あんまり痛がるから、 ちょっとパニックになってたのかな?

「くっくっくっ・・・」
「???」

痛みで俯いてた皇子の口から、笑い声???



「くっくっくっ・・・ 面白い奴だな」

初めてその娘を見たのは馬を走らせていたときだった。
川に落ちそうになっていたから、助けた・・・ ただ、それだけだった。

俺の腕の中でお礼を言う娘の瞳が、暖かで・・・ つい、見つめた。

そんな事なかったから、内心焦った俺は娘を荷物みたいに降ろそうとしたんだが、怖かったんだろう。

俺の首に必死に捕まってきたから、驚いた・・・ その、年頃の娘とそんなに近づいたことなかったからな。


・・・・・・醜い傷を隠すため仮面をつけている俺に、自分から近づく者など、誰もいなかった。

母でさえ、醜い傷を持つ俺を忌み嫌っているのに・・・・・


降ろしてやった娘は感謝していると言いながら、歩行者が危ないから気をつけろと小言を言った。

変な娘だ・・・ だが、それから俺は町を馬で通るとき、気をつけるようになった。


そして今日、第8皇子のウクの屋敷に来た俺の前に、あの娘が現れた。

ウクの奥方の従姉妹で名をヘスという・・・ 何故か先日、皇室の者しか利用できない茶美苑の湯に現れたという。

焦って逃げたヘスを第10皇子が追いかけたが、しばらくするとヘスの声が聞こえた。

他の兄弟達と駆けつければ、第10皇子に突き飛ばされ地面に倒れていた。

止めようと一歩踏み出すウクの腕を掴み止めた俺は、ヘスの顔を見ていたからだ・・・ あの娘、わざと先に第10皇子に手を出させたようだ。


掴みかかってきた第10皇子を交わして、ヘスの細い腕が腹に入り、呻いて蹲った第10皇子。

「見事だな・・・」

俺は素直に感心し、興味が出たからその場を娘と離れたんだ。


ウクの書斎の離れの一室、娘と話せばその可愛らしい顔がくるくると表情を変えるのに、見惚れた。

屈託なく話すヘスは、まるで俺の仮面など見えていないようだ。

それに少し話しただけだが、その知識量にも驚いた。

俺は武道を習ったが、その俺でさえ知らなかった事を知っているのだ。


ならば、背後から襲われたときはどうするのだ? 俺の悪戯心が騒ぎヘスを背後から抱きしめた。

・・・・・・女とはこの様に小さいのだな。 腕の中にすっぽり入ったヘスに、胸がざわめく。


そのとき足に衝撃が・・・ つい腕をゆるめた隙にヘスがスルリと逃げ出した。

急に腕の中からいなくなった暖かな存在に、寂しさを感じた俺は大袈裟に足を痛がってやった。

すると急にオロオロしだしたヘスが、「痛いの痛いの、飛んでいけ〜〜!」なんてやりだした。

幼い者にする様に俺の足を撫でながら何度も何度も・・・ 俯いてた顔をあげればオロオロしながら俺を心配してる。


あたたかい・・・・・・ 俺の胸の中が、じんわりとあたたかい・・・・・・


「くっくっくっ」
急に可笑しくなって、俺は笑ってしまった。

笑い声に顔をあげたヘスと間近で見つめあえば、キョトンとする様にまた笑いがこみ上げた。


騙されたと分かったら、お前は、どうするのだ? 怒るか? 俺はわくわくしながらお前の次を待った。


「第4皇子様? もしかして騙しました? ほんとは痛くないんですか?」
尋ねた私に皇子が頷いた。


その瞬間、私はホッと胸を撫で下ろした。

「良かったぁぁ〜〜〜! ケガが無くてほんとに良かったぁぁ〜〜〜!」
「・・・・・お前」

ホッとして床に座り込んだ私を見つめる第4皇子様。

「くっくっくっ・・・面白い奴だな」
差し出された手を掴んだ私を、皇子が立たせてくれて・・・ 片腕がするっと背中に・・・え?

グッと腕に力が入って私は皇子に、抱きしめられて、近づく皇子の顔に、その眼に、顔が真っ赤になるのが分かっちゃう!

「あ、あ、あの?」

目を反らせなくて見つめ合う私と皇子・・・・・やだ、皇子の眼に私はどう映ってるんだろ? 少しでもキレイに映ってたら、いいのに・・・


見つめ合っていた皇子の眼が、ふっと下を見た・・・・・もしかして、キス、されちゃうのかな?


皇子の顔が少し傾いて・・・ 皇子の顔が少し近づいて・・・ あ、あと数センチ・・・・・・





「・・・・・ここに居たのか」

キャァァァ〜〜〜〜〜〜!?!? なにナニ何〜〜〜〜〜〜〜〜!!!

突然、声が聞こえて慌てふためく私はワタワタと挙動不審になって・・・・ おまけに顔は真っ赤っか!

「落ち着け」
頭の上から低い声が優しく聞こえ、ふんわりと両腕で抱きしめられた。

「急に声をかけるからヘスが驚いてるだろ・・・ ウク」
え? ウクって事は第8皇子?

「・・・早く放してやってくれないか?」
放す? ・・・・・・あ! 私ったら第4皇子と抱き合ったままだ! ・・・嬉しいんだけど、他の人がいたら恥ずかしいぃ〜〜〜!

「いやだ! こいつ、抱き心地いいんだ」
「皇子様、放して下さいませんか?」

「・・・俺に抱かれるのは、嫌なのか」

なに? ナニ? なんでそんな哀しそうな顔をするんだろう・・・ 私は皇子の哀しい顔に慌てて首を振ったの。

「違います、あの、あの、恥ずかしいんです」


真っ赤な顔で見上げてくるヘスに、嫌がってはいない事に内心、安堵する。

恥ずかしい・・・ それだけか? 問えば、そうだと頷く様子も可愛らしいな。

うるうると瞳を潤ませ俺を見上げてくるヘスに、ますます放したくない俺は腕に少し力を込めた。



・・・・・だが、ウクは面白くなかったようだ。 つかつかと近づき俺の腕からヘスを取り上げやがった。

「未婚の娘にする振る舞いではない。 ヘスは我が妻の従姉妹、変な噂がたっては申し訳ないのだ」

仕方ない、今は退こう・・・・・


だがな、ウク。 いま解放するからといって、この娘を手放す気は俺にはない。


いや、絶対に手に入れる。 この娘の身も心も、俺が手に入れる。


・・・・・・少し気にかかるのが、いつも冷静なウクの敵意のある眼差しだった。

まさか、コイツ??? 俺は小さな疑念をウクに持ったのだった。



ヘスは何も知らず真っ赤な頬して俯いていた。。。





あはは、長くなるのでここで1話とさせていただきます。
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コメント

前のコメントで、間違えました!

ほっちさん! 前のコメントのタイトルに、ほっちさんへって書くの忘れてました!

申し訳ございません。

ああ、うっかり八兵衛な私です。

(>人<;)

Re: すーさんへ

☆ほっちさんへ☆

お久しぶりです、ほっちさん!
麗、見られたんですね〜〜、号泣、分かります.°(ಗдಗ。)°.←私もこんなんでした(笑)

私目線の話、楽しんでいただけて嬉しいです♡
そう! 16才のピッチピチなお肌♡ ああ、戻れるものなら戻りたいっ!

1話の皇子たちの入浴シーン、あれは眼福でしたね〜〜( ^∀^)
あの中にソ皇子様はいなくて残念でしたが、2話の1人の入浴シーン・・・ニヤニヤしながら見ました!

ほっちさんもソ皇子落ちですか? わーい、私と一緒ですね!
ソスカップルは、いいですね! 美男美女だし、スは可愛いから、ほのぼのします。

私も最後はジョンの一途さに、ほろりとしました。
最初は武芸バカの小学生みたいだったのに、成長したなぁ〜〜と、ウルウルしてました。

後半のカン・ハヌルさんのダーク・ウクもゾクゾクしました!
あの半眼と暗い目に色気もあって、良かったです。

何度でも見たくなりますよね! 私も話を書く前や途中など、ずっと流しっぱなしです。

そこでふと気がついたのですが、吹替えにすると、より演技の細かい表情がしっかり見えていいです!
字幕を追ってると、ついつい見ているようで見逃してる表情とかあって、ビックリです!

吹替え、オススメです♡


さて、私のお話も最後に近づいてきました・・・・・が、実は続きを現代に移して考えてます。
色々なパターンの出会いとハッピーエンドな話を、書きたいとウズウズしてます。

今は高麗の時代の最終回目指して、頑張ります!

また、遊びに来て下さい♡

( ^ω^ )v



すーさんへ

すーさん、こんばんは。お久しぶりです。
麗は昨日見終えました。めっちゃ号泣しました(´Д⊂ヽ)
すーさん目線のお話とても面白いです(*´▽`*)
私もピチピチ肌のへスになってみたいです。

最初は皇子様たちの入浴シーンで、いっきに皇子が出てきちゃって
誰が誰だかわからなかったです(笑)
それぞれの個性をつかんできたら、案の定ソ皇子に釘付け(/ω\)
ソスカップルをとても好きになりました。

最後ジョンにだいぶ心を持ってかれました( ノД`)
カンハヌルさんのゾクゾクするような演技もまた魅了されましたし、
伏線や内容をもう少し味わいたいのでもう一回観ようと思ってます。
またお邪魔しますね♪

ほっち
Secret

プロフィール

すー※さん

Author:すー※さん
私的妄想世界が広がっております。
イチオシは窪田正孝さんの役柄いろいろ妄想話です♡(その他にも相棒の神戸さん、スネイプ先生や善徳女王など色々でございます)

最近は更新ができてませんが、発作的に投下してます。
8月、9月の試験に受かれば時間ができるので、それまでは見守っていて下さいませ。

合言葉は『シリアスからエロまで』・・・・・楽しんでいただければ幸いです。。。

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