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⑨《真白き、君 》〜〜好奇心〜〜

今回はストーリーを離れたお話です。

かぐやちゃんの大学生活&過去のお話になります。

タイトルの好奇心は、誰のでしょう!

もちろん、あの方ですが(笑)







時絵さんの下宿屋に来たはいいけど、姫も火村も大学で留守やった・・・・・・おまけに時絵さんも出かけるって留守番まで命じられた俺は、持ってきてたパソコンで次回作を考えてたんやけど・・・・・・


「監禁されてる主人公はどうにかして部屋を抜け出した・・・・・・・ん?あれ?」

ふと、頭に浮かんだのは想い人の姫のことやった。
遊び歩いてた真行寺慎太郎氏(姫の父親ね)は、滅多に屋敷に立ち寄ることなかったって言っとったよな・・・・・・

それなら姫を監禁されてたアノ部屋から連れ出して、どこぞに匿うことも出来たんやないか?

13年余りも外界とは遮断された生活をおくること、なかったんやないか???


たまに帰ってくるその日だけ、部屋の中に居るみたいにしたら良かったんじゃね?

そう考えていたときタイミング良く幸村さんが、この下宿屋に来たんや! なんたる偶然!
そこで俺は思いきって聞いてみようって思ったんや。


「あの、幸村さん・・・・・聞いてもよろしいですか?」
「はい、なんでございましょう?」

「慎太郎氏はいつも遊び歩いてて、屋敷には滅多に帰って来んかったんですよね?」
「はい、その通りでございます」

「そしたら姫を逃がすことも出来たんとちゃいますか?」
「・・・・・・・それが・・・・・・」

今まで穏やかな微笑みで俺の疑問を聞いててくれた幸村さんが、顔を曇らせたんや。
それは、姫の身に何かが起こってたと俺は思ったんや。


いつも穏やかに答えてくれる幸村さんが、初めてや・・・・・苦しそうに言い淀んどるなんて・・・・・・


「あの・・・もしかして、姫になにか?」
「・・・・・・・有栖川先生は、お嬢様を好いておいでですね?」

「・・・・はい! 俺は姫に本気で惚れてます」
「ではお話いたしますが、多言は無用にお願いいたします」

そういった幸村さんは、ソファーに座ったんや。

「私がお屋敷に執事として勤める様になったのは、慎太郎さんがお嬢様を閉じ込めた3日後の事でございました・・・・・・蒔絵さんからの必死の頼みで参ったのです」


「初めて見たお嬢様はまだ年端もいかぬ少女で・・・・・・そして熱を出されて苦しんでおられました」
「熱を? 風邪かなんかですか?」

「・・・・・・・素人が無理やり少女の身体にICチップを埋め込んだため、傷口から菌に感染していたのです」
「・・・・・・・は?」

・・・・・・・う・・・・・嘘やろ? 姫が閉じ込められたんは小学校に入学して少ししてからや。

まだ6歳の少女に無理やり・・・・・・・ICチップを埋め込んだやと???

「私は大急ぎで病院へと少女を連れて行こうとしたのですが、部屋を出るとICチップに反応して慎太郎さんに連絡が行くようになっておりました」
「・・・・・・・そのため? 姫を部屋から出さんために、それだけのために子供の身体に傷までつけて・・・・・・なんやそれ、あんまりや・・・・・・」

「・・・・・・奥様から話を聞けば麻酔も何もせず、嫌がるお嬢様を押さえつけカッターで・・・・・・埋め込んだ後は気絶したお嬢様を放ったらかして出て行かれたそうです」
「・・・・・・・」

俺はあまりの事に何も言えんかったんや・・・・・・・頭の中には無邪気に笑う少女が信頼していた父親に押さえつけられ、悲鳴をあげて怖がっている様子がありありと浮かんだんや。


「そ・・・それで? それで姫は? 姫は・・・・・」
「仕方がありませんので、懇意にしていた先生をお呼びして診ていただきました。 傷口もなるべく綺麗にしていただきましたが、痕が残ると言われました」


「奥様の話では、それまで屈託のない無邪気なお嬢様が、父親に閉じ込められ、あろう事かその身を傷つけられて・・・・・・・様子が変わられたと後から聞きました」
「そ・・・・それはそうでしょう! まだ6歳ですよ? そんな年端もいかない子供を傷つけるなんて・・・・・・慎太郎氏は欲に目が眩んだ狂人です!!!」

「自由になられた今、優秀な整形外科の先生に診ていただいております」
「ほんでもまた手術するんでしょ? 姫がまた痛い思いをするんや・・・・・・」

「私もそれが一番心苦しいのですが、お嬢様は構わないと仰られています」


「構わないのです。 忌わしい傷から解放されるのであれば・・・・・・」
不意に聞こえてきたのは姫の涼やかな声で・・・・・・・・姫? 帰ってきたん?

「こちらへ・・・」
そう言って姫が俺の手を引くから、俺は立ち上がって引かれるままついてった。



姫に手を引かれて連れてこられたのは、2階にある姫の部屋で・・・・・・ドアを閉めた姫が俺に背後を向けて・・・・・・え?え?え?

ちょっ・・・・・ちょっ! 待って姫!!! そんないきなり服脱がんでも・・・・・・・

「姫っ!? ちょっ待って! 何するんや?」
「・・・・・・・・これが、私に付けられた【 印 】 です」

ブラウスをはだけて左肩を出した姫の、真っ白で艶やかな肌にソレはあった。

赤紫色したその傷は、肩から少し下に5センチほど斜めにあった。

真っ直ぐではなく妙に歪んでいるその傷は、他の艶やかでなめらかな肌に異彩を放っていて、存在感がありすぎた。

まるで・・・・・・

「まるであの男が威張って自分を主張しているようでしょう? 引き攣れて醜い傷痕は、あの男が残した・・・・・・私を支配する象徴なのです」
「・・・・・・姫」

俺が言った『姫』という言葉に振り返った彼女は、泣いていた。
自分の身体を自分で抱きしめて、静かにポロポロと涙をこぼす姫は、頼りなげなか細い声で「違います」というたんや。

「私は『姫』なんて美しいものではありません。 ある日突然、父親と信じていた人に閉じ込められ、支配するためにこんな醜い『印』をつけられ、見張られていた・・・・・『姫』なんてもう呼ばないで・・・・・・・私は・・・・・醜いのです・・・・・」


・・・・・・・なんでや? なんで? この子が何をしたんや? どんな悪い事したというんや?


100%信用していた・・・・・父親と信じていた慎太郎氏に、ある日いきなり部屋に閉じ込められ1歩も出られんようになった。

その部屋から出れば分かるようにICチップを埋め込まれ、その傷で熱を出して・・・・・痛みと熱で苦しんだ。

それからも閉じ込められ続けたこの子は、あの部屋の中で何を考えてたんやろうな?

財閥のお嬢様で、本来なら何不自由なく幸せに育ったはずなのに、なんで・・・・・なんでや?


俺は胸が苦しくなって・・・・・・気がついたら彼女を、かぐやを・・・・・・抱きしめてたんや。


「・・・・・・醜くなんてない! こんな傷で、かぐやは醜いなんてことないんや! 綺麗や・・・・かぐやはほんまに、めちゃめちゃ綺麗や・・・・・・・俺にとって姫は、特別な人は、かぐやなんや・・・・・」
「ほ・・・ほんと? 私・・・・私・・・・・」

腕の中の華奢な身体が震えてる。

「ほんまや! かぐやは綺麗や・・・ 」
「ふぇ・・・・・ぇぇん・・・・・」

子供みたいに泣き出した彼女を、泣き止むまで抱きしめてたんや。

しばらくして泣き止んだ姫の頬にあった涙を俺は、自分の指でそっと拭った。

睫毛が涙で濡れてるまま、俺を見上げる姫は、その黒い瞳がしっとりと煌めいてて、引きこまれそうなほど美しいんや。

俺は・・・・・俺は・・・・・この少女の哀しみや苦しみに寄り添って、支えたいんや。

熱く胸に湧き上がるその想いにかられて、俺は彼女の背中にある傷に唇を・・・・・・・背後から抱きしめるように腰に腕を回して、その傷にキスをした。


「・・・・・・・有栖さん」
「この傷も、姫の一部や思えばなんも醜くない・・・・・・愛しい思うくらいや」

・・・・・・・ちゅっ。 ちゅっ。 ちゅっ。

「有栖さん、あの・・・・・もう・・・・」
何度も傷にキスをする俺に、真っ赤になった姫が恥ずかしそうに声をかけてくるから気がついた。

姫はブラウスのボタンを外して肩を出してる状態やった!
しかも肌に他人の唇が触れるなんて初めてやろう・・・・・・ご、ごめんな、もう服着て?

慌てて姫から離れた俺に背中を向けたまま、ブラウスを戻してボタンを嵌めていく姫。


「・・・・・・この傷を消したいのです。 病院で麻酔をかけての手術ですので、大丈夫ですよ?」
「わかった・・・・・・でもな、これだけは覚えといて? 姫は傷が有ろうが無かろうが、そんなん関係ないほど綺麗なんやってこと」

「有栖さん・・・」
「俺が姫を綺麗や思うのは外見だけやないんやよ? 姫の心が綺麗や思うし、惹かれるんよ・・・・・こんなに好きになったん、姫が初めてなんや」

「・・・・・・・有栖さん」
ポッと頬染める姫が、可愛らしい。。。


「俺・・・ 姫が哀しむときも、苦しんでるときも、側にいたい・・・・・側にいて、守りたいんや」
「・・・・・・・有栖さん」

「なあ、俺に恋して? 俺と恋に堕ちてほしいんや・・・・・・俺はとっくに姫に堕ちとるんやで?」


ああ! 言ってもたぁぁ〜〜〜・・・・・・ゆっくり育てていこう思うとったんに、つい、言うてもたぁぁ〜〜〜



「・・・・・・・私も、有栖さんの側にいたいです・・・・・・一番側に・・・・・」
「姫・・・」

「あなたにだけは、私の全てを知っていて欲しい・・・・・そう思い全てをお話したのですが、この気持ちが恋なのかまだ分かりません・・・・・・ごめんなさい」
「ええんよ、俺が焦りすぎたんや・・・・・・でも、話してくれて嬉しい」

「あんな? その手術の日、俺も一緒にいてええか?」
「はい・・・・・心強いです、やっぱり少し怖くて」

俺は姫の手をギュッと握って、「俺がついとるよ」と声をかけたんや。

ニコッと笑う彼女の笑顔を、俺は心底・・・・・・守りたいんや。。。



後日、手術を受けた姫の肩からは、傷があったなんて思えないほど跡形もなくなってたんや。

ただ、薄っすらとピンク色になってはいるけど・・・・・・これも少しづつ消えていくんだと、彼女から聞いたんや。。。


「これでやっと、呪縛を消すことができました」
「良かったな!」

ほんまに、よかった。。。







「そうや、なあ姫! 姫は火村の講義をとっとるんやろ? その他には?」

穏やかな午後、姫が俺の部屋に遊びにきたんや。
午前中しか講義がないからって遊びにきてくれたんやけど、今日は火村の講義が無い日やて、アイツが話してたなぁ〜〜。

「そうですね、心理学などを中心に幾つか受けています。 私は通信とはいえ他の大学を卒業しておりますので、自分の受けたい講義を取らせていただいてます」
「そんなこと、できるんや・・・・・」

「はい、真行寺家から寄付金がたっぷりと出ていますから、卒業までの間 好きな分野を好きなだけ受けても良いこととなっております」
「ははは・・・・・・幾ら寄付したらそうなるんやろ」

「でも単位やレポートなどは普通に課せられます」
「え? ならいっぱい講義とったら大変やん!」

俺がそう言ったらコロコロと笑う姫は、サラリと・・・・・・・・

「独学である程度は学習しておりますので、火村先生の講義以外は全て楽勝でございます。 ・・・・・・というか、楽すぎて困っております、もっと学びたいのに・・・・・」
「へ? そ、そ、そうなんや・・・・・・姫は優秀なんやな」

「・・・・・・あの部屋の中で、 “ 学ぶ事 ” は私の全てでしたから。 他にする事が無いのです」
「・・・・・姫」

「ですから今は楽しくて仕方ないんですよ? こうやって、推理小説家の先生のお部屋に遊びにも来られるのですから」
「そうか、そうやな・・・・・・・あ、そや姫! お腹空いてないか? どこかに食べに行くか?」

お昼からは少しずれた時間やけど、俺も腹が減ったし・・・・・・どっか旨いとこに、行こか?




「で、なんで大学の学食なんや? 」
「私、最近こちらに来るのが楽しくて・・・・・・ダメでしたか?」

すまなそうに俺を見上げる彼女の上目遣いに、俺はドキッとしながら「大丈夫や!」と返事したんや。

ドキドキする鼓動に焦りながら、「ほな行こか」と彼女と、かつては俺も通った大学へと入って行ったんや。


食堂について何を食べようか・・・・・・・・カレーか? カツカレーか? アジフライ定食か? 俺も久しぶりやからワクワクしてきたなぁ〜〜。

「姫は? 何食べるん?」
「私はクラブハウスサンドセットです!」

「・・・・・・・・・そんなんあった?」

俺は壁に掲げてあるメニューを見上げてみるけど、クラブハウスどころか、サンドイッチの文字も無いんやけど???

「有栖さんも食べてみられます? では、注文して参りますね」
「あ、ああ・・・・頼むわ」

姫は食券も買わずに直接、食堂のおばちゃんの所に行って「いつもお世話様です。クラブハウスサンドセットを2つ、お願い致します」と丁寧に言うんや。

「あいよ! 2つって事はお嬢ちゃん、お友達と食べるん?」
「はい、そうなんです」

「良かったなぁ〜〜お友達できて! 待っとり、すぐに作ったげるさかいに!」
「ありがとうございます」

そう言って頭を下げる姫に、おばちゃんが「ええよ、頭下げんでええんよ!」とかやり取りしてるし。

他の学食とは違って今から作るんやろうな・・・・・・俺は姫を呼んで先に席に着こうと話したんや。

「ここでええか?」
そうして座って待っとったら、おばちゃんが手ぇふるから俺が取りに行ってん。

2人でパクついたクラブハウスサンドは、こんがり焼けたパンに卵焼きや野菜がたっぷり挟んであって、すごく美味かった。

ローストチキンが挟んであるのと2種類あるから、それぞれに舌鼓うって食べたんや。



「あ・・・・あなたは」
「火村先生のお友達の!」
「小綺麗なニート!」

「はい?」

食べてる最中に横を通った人に話しかけられたから、顔を見たんやけど・・・・・あ、火村の講義に出てた子や!
講義のときと同じ、3人組みの女の子が俺に話しかけてきたんやけど・・・・・・視線はすぐに姫へと注がれてる。




「なぁなぁ、知ってる? 学食でメニューにないもん食べとる子がいるって話!」
「私も聞いた! サンドイッチ食べとるんやろ?」

いつも一緒の3人組みの女子学生、渋谷 千尋、松野 貴子が教室で最近仕入れた噂話に盛り上がっているのを、貴島 朱美が聞いていた。

午前の授業が終わったばかりの開放感からか、それとも食べ物の話題だからか2人の盛り上がりは上がりっぱなしだ。


「それが食べとるのはいつも、あのお人形みたいに綺麗な子なんやて!」
「火村先生の講義に出てる、あの子? ほんといつ見ても綺麗やよね〜〜」

それが、かぐやの事なのだが・・・・・背筋を伸ばし、きちんと講義を聴いている姿を周りはチラチラと見てはいるのだが、あまりにも自分達と違いすぎる美しさに気後れし、いまだ誰も話しかけれる者がいなかったのだった。

そのため誰も彼女の名前を知る者は、いなかった。

かぐやの方も授業が終われば直ぐに気に入りの図書室に入り浸り、静かに本を読んで過ごすか、窓を眺めて思考に耽っているため、誰とも話したことが無いままだった。


かぐやの場合、『他の人に話しかける』という概念がないので、疑問にも思わず、屋敷の外での1人を思うままに楽しんで過ごしている。


「あの子が食べてると数量限定で出てるって話やから、そのうちうちらも食べられんやない?」
「それは置いといて、私・・・・・あの子と話がしてみたいわ」
「あ、私も・・・・・お話ししてみたい」

大人しい朱美が言ったことで、貴子も千尋も顔を見合わせていたのだが、「「うん」」と大きく頷いた2人は。

「朱美が自分から言い出すの、珍しいやん! それならその願い、叶えるしかないやん! な、貴子!」
「そうや! 朱美のためやしイッチョ、頑張るか!」


それから何度か、かぐやに話しかけようとしている3人だが・・・・・・叶えられずに終わっていたのだった。
それが今日、前にも火村と学食に食べに来て、講義まで聴いて行った有栖を一緒にいるのを見て、3人は最大のチャンスとまずは有栖に話しかけたのだった。



「あの・・・前もここで食べられてましたね」
「あ、俺? そうです、よく見てますね〜〜」

おずおずと朱美が話しかけ・・・・・・・

「あのっ! そっちの美人さんは私らと同じ火村先生の講義を受けてる人ですよね?」
「前から話したいって思ってたんです! 一緒に座ってもいいですか?」

2人の勢いに押された姫が、怖がりながら頷くのを俺は、笑ってしもうた。

「私、渋谷千尋! いやぁ〜〜近くで見るとますますお人形さんみたいに綺麗やわぁ〜〜」
「私は松野貴子、よろしくね」
「あっ、私は、貴島朱美です。よ、よろしくお願いします」

「私は真行寺かぐやと申します。 こちらこそ、よろしくお願い致します」

「自己紹介も終わったし、早速ねんけど聞いてもええ? そのサンドイッチ、いつも真行寺さんが注文してるの?」

「はい。 この前、私も学食で食べてみたいと思いつき、あちらの方達に軽く摘めるもの・・・サンドイッチはございませんかとお聞きしたのです。そうしたらメニューには無いのに作っていただけて・・・・・大変美味しいので、この頃はいつもこちらでお昼をいただいておりますの」

「えらい丁寧な子やなぁ〜〜・・・・・このおっとりしたテンポは、朱美と合うと思うわ〜〜」
「もしかして真行寺さんて、どこかのお嬢様なんじゃ?」
「・・・・・・・???」

あかん、姫がキョトンてしとる! 姫はいつも幸村さんから『お嬢様』と呼ばれとるけど、それが姫の普通のことやから他の人もそう呼ばれてると信じとんのやろうな。

普通と違ってると思ってないから、キョトンてしとるんや! それが可愛らしい。

「皆様がたも『お嬢様』なのではないのですか?」
「違う違う!!! うちでそんなん呼ばれたことないわ! 千尋〜〜!や、ひどいときなんてチーやで! 私はネコかっ!」
3人の中でも元気のいい千尋ちゃんが、関西のノリで身振り手振りも入って「ちゃうわぁぁーー」っていってるパワーに、姫の目が白黒しとる。

「私もそんな呼ばれ方されてないよ? ね、朱美もそうだよね」
「・・・・・・真行寺さんは、そう呼ばれているって事ですか?」

おっ! なかなか鋭いやないか、朱美ちゃん!

「はい、家では幸村ほか皆にそう呼ばれております」
「幸村さんて、誰? お父さんやお母さんは?」

あ・・・・・千尋ちゃん、その質問は・・・・・・

「あんな、この子・・・・・最近、両親を亡くしたばかりなんやわ。 そこらへんは触れんといて?」
「・・・・・・あなたは?」

おおおっっ!!! 3人が一斉に俺を見るって、迫力あんなぁ〜〜・・・・・・

「俺? 俺はな、姫を守るナイトやねん!」
「「「 姫〜〜!? 」」」

「そ、この子は俺の大事な大事なお姫様なんや! 他の男が寄ってこんよう見とってや?」
「つまりあなたは真行寺さんに恋してるって事ですよね!」

「千尋ちゃん、鋭いねぇ〜〜」
「でもニートに恋愛はキツいんちゃう?」

「俺ニートちゃうし! ちゃんと自分の稼ぎで暮らせてます!」

くすん、俺・・・・・ニートに見えるんや・・・・・ちょっとショック。。。

「有栖さんは、私が大好きな本の作家さんです」
「姫・・・・・・ありがとう」

さすが姫や! 俺のことちゃんと見てくれてるし、こういう時にちゃんと言ってくれるんや!


ま、こんな感じで3人の女子学生と姫が友達になったのは、間もなくで。

仲ようなってからも、純粋培養のお嬢様な姫とのカルチャーショックに驚きながらも、楽しんでるみたいやな双方とも。

俺はやっと友達ができた姫の大学生活に、少し安心したんや。

でもな・・・・・これは、いただけんで?


「有栖さん、私もパーティーに誘われました」
「嬉しそうやな、姫! そんでなんのパーティー?」

「合コンです!」
「ぶぅぅ〜〜〜!!!」

俺、思いっきりコーヒーふいてもたよ。

「なんでも人数が揃わないので、『一生のお願いやから来て』と言われました。 この場合は行った方がよろしいのですか?」
「よろしくないから! そんなもん行かんでいいから! 前に言うたやろ? 姫には?」

「有栖さんがいるから、行かなくていい・・・・・」
「そうや! その通りや!」

「でも千尋さん、それはすごく一生懸命に頼んでこられてて・・・・・・私、無下に断ることができません」
「え??? そいじゃ行くって返事してもうたん???」

「・・・・・・・・はい」
「はぁ〜〜〜・・・・・」

つまり俺が止めといたのに、あんまり頼みこまれて返事してもうた姫は、俺に悪い思って先に言ったということか。


シュンとする姫はチラチラ俺を見とるし、モジモジしとるし、はあぁぁ〜〜〜しゃーないな。

「分かった、行ってもええ・・・・・・・けど、条件がある」
「条件・・・・・ですか?」

「そ、条件や!」
俺は幾つか条件を出してOKしたんやけどな・・・・・・・やっぱダメ言うたら良かった!!!



居酒屋のグループで座れるテーブルには、20代のサラリーマンが姫をガン見してる。

俺はそれを面白くなく眺めながら、姫に悪さする奴がおらんか目配せしとるんや。

「ほう、居酒屋でも美味しいですなぁ〜」
「幸村さん、呑気ですって! 姫に何かあったらって思うたら、何も喉通りませんわ」

そう、俺の連れは幸村さんなんや。
隣・・・ではないけど姫が見える席に座った俺たちは、食べ物や飲み物を注文して届いたとこなんやけど、幸村さんが呑気に「最近の居酒屋でイタリアンが食べられるとは思いませんでしたな」なんて食べてるし。

「あ! アイツ! いま姫にメニュー見せて話しかけとる!!! 反対側の男も『コレがオススメですよ』なんて姫に言うとる!!!」
「・・・・・・よく聞こえになりますね。 私は歳のせいか、何も聞こえませんが・・・」

「愛の力です!!!」
椅子の背に噛り付いて眺めてる俺は、姫から一瞬も視線をそらさずに見てるんや!

姫になんぞ不埒な真似したら、すぐに助けに行こう!って意気込んどるんや!!!



意気込んで見てること1時間・・・・・・良かった、不埒な男はおらんみたいやな。

ホッとしながら見てる俺と、姫の視線がまたあった。

視線があうたび、ニコッと笑うてくれる姫に俺も笑顔になりながら、無事に合コンが終わりそうやなと思うたんや。


幾つか出した条件には、開始から1時間したら帰るってのもあるから、そろそろ姫が帰ると千尋ちゃんが言うてくれるはず・・・・・・・あ、何かワァーワァー言っとるから、言うてくれたんやな。



「え〜〜真行寺さんもう帰るの?」
「まだ1時間じゃん! まだ料理も出てくるし、もうちょっといなよ!」

「ごめんねぇ〜〜、この子には無理言って来てもろうたからさ、帰らせてやって〜〜」
「ごめんなさい。 このあと諸用がありますので、帰らせていただきます」

千尋さんが有栖さんとの約束を守って言い出してくれたので、私はホッとしました。

初めて合コンというものに出ましたが・・・・・・・初対面の男性と会うのは、こんなにも疲れるものなのですね。

最初は皆様がたもぎこちなく話しされてましたが、千尋さんがすぐに打ち解けられて場を盛り上げて下さいますし、貴子さんは仕切られてますし、すごいと感心いたしましたの。

それに近くにいる有栖さんが見守って下さっている・・・・もちろん、幸村もおりますから心強いのです。

「それでは失礼いたします」
私は席を立って帰ろうと、壁にかけてあった上着を手にしようとしたのですが、あらおかしいです・・・・・・私の上着がなくなっております。

「これ、真行寺さんの上着でしょ? まだ帰らせたくないからさ・・・・・こっちで預かっておくよ」
「・・・・・・・・返して下さいませんか?」

返していただこうと手を出したのですが、上着ではなく男性の手が私の手首を掴んで・・・・・・・

「こっちに座って? もっと話そうよ!」
グイグイと強引に手首を引っ張られて、私・・・・・痛いです。

「・・・・・・そもそも帰りたいと意思表示をしている私に、座れとは矛盾している事をお気づきですか?」
「真行寺かぐや・・・・・・俺さ、知ってるんだよねぇ〜〜・・・・・真行寺さんて、アノ真行寺さんなんだろ?」

「・・・・・・・会話が成立しておりません。 困りましたわ・・・・・・千尋さん、写メって下さいませ」
「え?あ、うん! 《パシャ》撮ったよ〜〜」

千尋さんが素早く携帯でいまの状況・・・・・・男性に手首を掴まれ、上着を返してもらえない様子を撮っていただきました。

「なになに? 記念写真でも撮りたいの? ・・・・・・・何ならさ」

ニヤニヤした男が私の耳に囁いたのは、おぞましい言葉でした。。。


「何ならさ、このままホテル行ってさ・・・・・・ベットで記念写真とってもいいぜ? そうしたら俺は真行寺家のお婿様だもんな〜〜」


・・・・・・・・・男とは、かくも愚かで、忌わしき生き物なのでしょうか!!!


私は全身の肌という肌が粟立ち、嫌悪感から胃がこみ上げてきました。


『お前は俺が、お前の母親をレイプしたときにデキた子供なんだよ! そんときのビデオや写真があるから、俺は婿に入れたんだ! お前がデキたから蒔絵は俺と泣く泣く結婚したんだ! お前は俺の幸運の象徴だよなぁーーー』


・・・・・・・・私の最も嫌う男と、同じ種類の男に怖気が走ります。


「ちょっと! 姫に何してんのよ! 離しなさいよ!」
「かぐや、大丈夫!? 顔が真っ青じゃない! 早く離しなさいよ!」

千尋さんと貴子さんが男に抗議してくれたけど、男の手は私の手首を離すつもりはありませんでした。


・・・・・・・・まるで、あの男が『金ヅル』にしがみつくように。。。


「姫っ!!!」
「お嬢様!」
その時でした、私の安心する声が聞こえたのは・・・・・・

有栖さんは私の横に並び男を威嚇する様に睨み、幸村は問答無用で男の片腕を捻り上げました。

「イテェ〜〜」
背中に捻り上げられた腕の痛みに私の手首を解放した男は、幸村に食ってかかっていましたが、私は嫌悪感に具合が悪くなり・・・・・・・・・・


意識が遠のいていきました。


「姫っ! もう大丈夫や・・・・・・俺がそばにいる」

あなたの声が、遠くなる意識のなかで、優しく聞こえました・・・・・・・・・




倒れた姫を俺は抱きしめた。

真っ青な顔して目を閉じてる姫の手首は鳥肌が立ってて、そないにビックリしたんやと驚いたんや。

済まながる千尋ちゃんや貴子ちゃんに「大丈夫、ほんでも姫は連れて帰るな?」と声かけて、車まで運んだんや。

幸村さんは男の名刺を手に入れ、ケガをしたと騒ぐ男に何事か囁いて黙らせた。


運転手さんが走らせる車は、ボックスのデカくて高級な車で、座席もしっとりとした皮でできてて座り心地は天国なんや。

けど今は、グッタリしてる姫を座らせて俺は隣から彼女の手を握っとるんや。

「幸村さん、姫はなんでこないにショック受けてるんですか?」
「・・・・・・お嬢様はきっと、手首を掴んでいた男と慎太郎さんを重ねたのでしょう・・・・・」


「『何ならさ、このままホテル行ってさ、ベットで記念写真とってもいいぜ? そうしたら俺は真行寺家のお婿様だもんな〜〜』・・・・・・あの男はそう、お嬢様に話していました」
「え? 聞こえてたんですか?」

「いえ、昔・・・読唇術を少々・・・・」
「・・・・・・幸村さんてものすごく優秀なんですね」


「・・・・・・お嬢様は慎太郎さんに自分の出生が母親の悲劇の果てに生まれたと、話された事があります。 自分は父親が母親をレイプしてデキた子供だと・・・・・・」
「なっ・・・・・・なんやて・・・・・・」

いつですか? 姫がいくつの時に、そんな酷いことを・・・・・・・


「10歳のお誕生日にでした。 珍しく屋敷にふらりと来た慎太郎さんが、誰もいないときに部屋にいって・・・・・・・」
「その後、姫は? どうなったんですか!」


「真っ赤に泣きはらした目で、私にこう尋ねられていました。『私がいたから、お母様は好きでもない人と結婚したの? 私がいたから』と・・・・・・私は胸が潰れるような思いでございました」
「そんな・・・・・」

「蒔絵様と私で必死にお嬢様が生まれてきてくれて嬉しいと、お話しいたしました。特に蒔絵様は、覚悟して最初から全てを話されたのです」
「え? 最初からって・・・・・・幸村さんのことも?」

コクリと頷く幸村さんは、こう話しを続けたんや。


「蒔絵様はお嬢様に御自分が慎太郎さんに乱暴され、その時のビデオや写真で脅されて結婚したと話されました。そして私の事を婚約者だったと・・・・・・聡いお嬢様の事です、きっとそれでなんとなくでも事情が分かったのでしょうね」

「ただ蒔絵様は、お嬢様がお腹に授かったとき嬉しかったと話されてました。『あの男との事は最初から今も悪夢の様だけど、かぐや・・・・・あなたの事は、それを補って余りあるほど私を幸せにしてくれるのよ』と」

「『愛しい娘、私の かぐや・・・・・・あなたがいなければ私はとっくにこの世から消えていたわ』 お嬢様は父親の愛情は受けられませんでしたが、母親の蒔絵様からは無償の愛で包まれておいででした」

「それと、幸村さん・・・・・・あなたからの愛を・・・・・姫が言うてました。 ずっと父親が幸村さんならいいのにと、小さな頃から考えていたと」
「・・・・・・・お嬢様」

DNA鑑定で初めて幸村さんは姫の父親やと分かった。
けどそれ以前からずっと、ずっと前から2人は父と娘の愛情で繋がっとったんや。

初老の紳士の瞳には、娘をおもう涙が浮かんでいた。


なあ、姫? 心配せんでええよ?

俺と幸村さん、それに火村や屋敷の人達・・・・・・皆、姫の味方やからな?

もう怖い思いなんか、せんでええんよ?



怖い思いなんか、もう・・・・・・・俺がさせへん!




「・・・・・・・姫・・・・・・・・姫、なあ・・・起きて?」

ゆらゆらと、揺れる意識のなかで私は・・・・・・優しい声を聞いたの。


思えば外の世界に出るときも、あなたが私を最初に見てくれてた・・・・・・

「なあ、姫? 起きて? 俺と話ししようや」


はい、私も話しがしたいです・・・・・・・有栖さん、あなたと。。。


最初から私はあなたを怖がったりは、しなかった。。。


それはあなたの優しい声と、相手を思いやる瞳に見つめられていたから。。。


物珍しいものを見るような目でも、財閥の娘だと欲望に血走った目でもない、ただ私を私のまま見て下さる。。。


私を、私のまま見て下さる目・・・・・・そして、熱く好きだと言って下さる目。。。



私の哀しみに、苦しみに寄りそっていたいと・・・・・・言って下さった真剣な目・・・・・・そのどれもが、好き・・・・・・


あ・・・・・ああ・・・・・・やっと、分かりました。


私はあなたの優しい声と、見つめて下さる目で護られていたのですね。


哀しいとき抱きしめて下さる暖かさで、私は護られていたのですね。


今も、私を心配そうに見つめる目が、嬉しいです。


「姫、気がついたんか? なんやボーっとしとるけど、そのまま寝とり? 今な、お屋敷に帰っとるんよ? 」
「・・・・・・・有栖さんのお部屋に、行きたいです」

私の気持ちを、あなたに話したいのです。


私は有栖さんと同じように見守ってくれている幸村を見ました、そうしたら察してくれたのでしょう・・・・・・運転手に行き先を、有栖さんのお部屋に変更してくれました。

穏やかに微笑んだまま、私に頷いてくれる幸村に、『ありがとう』と唇を動かしました。


「有栖川先生、よろしければお嬢様の我が儘をお聞き下さいませんか?」
「俺の方はいいんですけど、姫の身体が心配で・・・・・・」

「心拍も正常に戻りましたし、無理さえしなければ大丈夫でございましょう」
「ほなら・・・・家に行こか?」


俺がそういえば、姫が嬉しそうに微笑むから・・・・・・・今は俺の部屋で、あったかいココアを飲んでるんや。

俺は姫が落ち着くよう、パソコンの前で仕事しとるんやけど・・・・・・顔色も戻ったし、もう大丈夫か。



「・・・・・・・有栖さん、そのままで聞いて下さい」
「ん? なんや? 話あるんなら・・・・・」

俺は振り向いて話を聞こうとしたんやけど、ん?ん? イスを回されてパソコンの前に戻らされた。

「あのっ、恥ずかしいのでこっち向かないで下さい・・・・・・あのっ、あの・・・・・」
「わかったよ、そっち見ぃへんから・・・・・焦らんでええよ」

スー・・・ハー・・・・・姫が深呼吸してる音が聞こえるけど、なに緊張してんの?
俺は可笑しいやら、可愛らしいやらで、頬が緩んでくるんや。

きっと律儀な姫のことや、さっき倒れたことを俺に迷惑かけたとか思うとるんやろ?
せやから謝ろうとしとるんやろ?

それとも・・・・・俺が止めてたのに合コン行って、変な男に絡まれたの気に病んどるんか?
そんなん姫のせいちゃうやん! 気にせんでええよ・・・・・


ま、そんなとこやろうな・・・・・・・なんて思っとった俺は、イスの背もたれを掴んでる姫の手が震えてることに気がつかんかったんや。。。



「私、やっと気がつきました。 ・・・・・・私、有栖さんのことが・・・・・・好きです」
「気にせんでええ・・・・・・・・・ええええええ????????」

姫、姫? あんな姫? い、いまな? いまなんて言うたん???

「ひめ? ひっ、ひっ、姫? あ、あ、あ、あ、あ、あんな、いま・・・・・いまのセリフ、も1回言うて?」
「・・・・・・私は、有栖さんが・・・・・・好き、です」

ポポポォォォ〜〜〜・・・・・・・茹で蛸みたいに真っ赤になった姫を見て、俺は・・・・・・・


「・・・・・・・・ほんま? ほんまに俺のこと・・・・・・」
コクン・・・・・・真っ赤な頬に、潤んだ瞳で俺を見つめたまま、大きく頷いた姫に・・・・・・俺はズクン!と身体中の血が沸騰するみたいに感じたんや。


「ほしたら姫は・・・・・・かぐやは俺のもんやで? 恋人なんやから・・・・・・」
「はい・・・・・あ、でも!」

「なんや? キャンセルなんかさせへんよ?」
気が変わった〜〜なんて、言わせへんよ?


「そうじゃなくて・・・・・・あ・・・あ・・・」
「あ? あ?ってなんや?」

「あり・・・すさんも、私のですよ? ・・・きゃっ!」
「そない可愛いこと言わんといて! 俺、止まれんようなるわ」

俺がいうたことに返してくる姫が可愛らしゅうて、抱きしめてたんや。

なにが『有栖さんも、私のですよ?』や! 俺はとっくに姫のもんや!

「俺はもう、とっくに姫のもんや・・・・・・」
「有栖さん・・・・・・」

「くぅぅぅ〜〜〜・・・・・・なんやまだ信じられへんわ! 姫が俺のこと好きになってくれたやなんて」
「有栖さん?」

「こない天使みたいに綺麗で可愛らしい子が、俺の恋人やなんて・・・・・まさか夢とかじゃないやろなっ!!!」
俺は自分で自分の頬っぺたを思いっきりつねった!

「〜〜〜痛いっっ!!!」
「有栖さん!? どうして自分で自分の頬をつねるのですか???」

俺は驚いてる姫を見つめて、にかぁ〜〜っと笑うてまた抱きしめたんや。

「ほんまやぁ〜〜・・・・・頬っぺたも痛かったから、夢やない! 夢やないってことはやな、ほんまやって事や! ほんまに姫が俺の恋人なんやぁぁ〜〜〜」

姫を抱きしめたまま小躍りする俺は、腕の中の姫をぴょこん、ぴょこんと揺らしながら、大喜びしとった。

「・・・・・・くすくす」
「ん? なんや姫、なんか可笑しいか?」

「だって・・・私なんかを恋人にしたと、喜びすぎです有栖さん」
「・・・・・・『私なんか』なんて、言わんといて? 俺が好きな姫のこと、『なんか』なんて呼んだらあかん!」

「・・・・・・・有栖さん」
「俺はな、姫の事が好きで、好きでたまらんのやで? 大事な大事な、自分の命より大事な人なんや・・・・・『私なんか』ちゃうから! 」

姫は自己評価が低いんや・・・・・自分がどれだけ優しくて思いやりある、ええ子やって気がついてないんや。

だからすぐ『私なんか』なんて言うけど、前から言うとるやろ? 『私なんか』はもう止めよう! な?


「・・・・・・はい」
じわり・・・・涙が目の淵に溜まってきた姫が、嬉しそうに笑うんや。

その泣き笑いの顔して姫は、俺に抱きついてきたんや。


「好きです・・・・・・有栖さんが、大好き♡」
「俺も、大好きや・・・・・・」


胸にある姫の顔を上向かせて、俺は・・・・・・・そっと姫の唇に、自分のを重ねた・・・・・・・

想像してたよりも100倍も柔らかな唇は、俺を虜にした。


ずっと触れていたい・・・・・・・そう思いながら離れていくのは寂しいけど、顔を離し姫を見つめれば、あかん! ヤバいわぁぁ〜〜〜!!!


目を閉じたままの姫はキス顏で、ピンクの頬が花のようや・・・・・・あかん、またキスしたなった。

そのまま姫の唇に戻った俺は、それから何度も、何度も、姫とキスをかわしたんや。


・・・・・・・離さへんから。

俺の大事な大事な、姫。。。


「・・・・・・離さないで下さい、私・・・・・あなたと離れたくないです」

言わんといてっ!!! そんな男心グッと鷲掴みすること、言わんといてっ!!!

そんなん言われたら、歯止めきかんで? 理性もプッツンよ? いやいや、マズイやろ?

恋人になった初日に、あんな事やこんな事や、ピンク色な事なんかできまへん!!!


「・・・・・・・大好きな有栖さんなら、いいのに・・・・・・」
「・・・・・・・あかんて・・・・・・勘弁してや〜〜」


天使のようやと思うとった姫は、どうやら子悪魔ちゃんやったようです。

どっちも好きやけど !!!



そうして俺たちは、恋人になったんや。。。





番外編として書いてましたが、とうとう有栖さんとくっつきましたぁ〜〜

次回の《朱色の研究》からは、恋人で登場します。

初々しい恋人を、乞うご期待!?

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Author:すー※さん
私的妄想世界が広がっております。
イチオシは窪田正孝さんの役柄いろいろ妄想話です♡(その他にも相棒の神戸さん、スネイプ先生や善徳女王など色々でございます)

最近は更新ができてませんが、発作的に投下してます。
8月、9月の試験に受かれば時間ができるので、それまでは見守っていて下さいませ。

合言葉は『シリアスからエロまで』・・・・・楽しんでいただければ幸いです。。。

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