《真白き、君》〜〜過去〜〜

今回は姫が “ 外 ” にでた話でございます。

私のオリジナルキャラの話です。




〜〜英都大学・図書室〜〜


日差しが差し込む図書室には、天井まである一面ガラス張りの壁がある。

その外が見えるガラスの壁にはカウンターと椅子があり、外の景色を見ながら本が読めるようになっていた。

最近のかぐやのお気に入りは、そこに座り、外を見て物思いにふける事だった。。。




・・・・・・・外の景色は、画面で見るのと違って見えるわ・・・・・・・

今まで私が居たのは、四方を壁に囲まれた部屋の中だったから・・・・・・青い空も、枯葉舞い散る道や木々も、日差しの色も、茜色の夕日も・・・・・・みんなキレイ・・・・・・・


私があの部屋に閉じ込められたのは、確か小学校に入学してからすぐだった・・・・・幾重にも外から鍵をかけられた私は、それから13年あまり外に出られなくなるとは思ってもいなかった。


そう、尊敬していたお祖父様が亡くなってすぐのこと。
お祖父様が恐かった父は、亡くなって初めて自分が財産を手にする事ができないと知ったの。

会社はお祖父様の弟である叔父様が継いだし、真行寺本家の一人娘の母はグループの顔として仕事をしていたの。

お祖父様が亡くなれば自分が社長になるものだと思い込んでいた父は、そこで自分の当てが外れた事を知り、焦ったのでしょうね。

ただ父は、お祖父様が生きていた頃から仕事もせずに母からお金をせびって遊び呆けていたと聞いたわ。

仕事を知りもしない人間が、どうやったら社長になれると思い込めるのかしら・・・・・・・私にはそれが不思議だったの。


そしてグループの弁護士から、お祖父様の財産は母と私が受け継ぐことを教えられた父は、絶望したんでしょうね。

だからこそ自分が外に産ませた息子を認知し、その子を使って財産を奪おうとなんて考えた。

母は目的のためなら、どんな卑怯なことでもする父の事を、身をもって分かっていたから・・・・・・大人しく従う振りをしていたと、話してくれた。



そう・・・・・私に教育を受けさせたくない父の目を誤魔化して、私に学ばせたくて・・・・・・幸村に頼んだのよね。

当時、弁護士として腕をふるっていた幸村は、母の頼みとはいえ弁護士を辞めて執事として屋敷に来る事に迷いはなかったのかしら?

小さな私は、疑問をそのまま幸村にぶつけた事があったわね。


「やり甲斐のある仕事ではございましたが、それよりも、何よりも、大事な方からの頼み事でしたからな。私に迷いはございませんでした」

・・・・・・・それは、お母様が大事ってことなの?

「蒔絵様も、かぐや様も、私には大事な方なのですよ・・・」

幸村はそう答えてくれた・・・・・・すごく穏やかに微笑んで。

私は幸村が大好きだから、嬉しくて何度も何度も「私とお母様のそばにいてね」と言っていたわ。



今思えば、子供心にも感じてたのね。

母が微笑みかけるのは、私と幸村にだと・・・・・・父に微笑みかけた顔など、見たことがなかったから。

私の部屋で幸村と母と過ごす一時は、幸せだったわ。

部屋から出られない私にとって、毎日顔を見せて、話してくれる母と幸村が、全てだった。。。


父は、年に1度か2度申し訳程度に来るぐらいで、幼い私でも父に可愛がられてないって分かったものよ。。。

まあ、それを良いことに部屋をどんどん改造できたのは、幸いだったわ。

父は遊びに出て、めったに屋敷に帰ってなかったから、壁を壊して部屋を大きくする工事も、気がつかなかったもの。

トレーニングルームを作り、筋力の成長を促すために運動もしたし、父に見つからないよう奥の部屋にパソコンを置いたし、けっこう色々したのよ!


それもこれも、幸村と母のおかげだった。

「とんでもございません、かぐや様はいずれ真行寺家の跡取りとしてグループを継がれる御方です。私はそのお手伝いを少し、させていただいただけです」

私はその部屋で、外にこそ出られはしなかったけど、母と幸村の愛情に包まれて過ごせたの。


そう、あの日までは。。。


不意に母も幸村も伴わず父が、私の部屋にやってきた。

「ごきげんよう、お父様」
「・・・・・・・ずいぶん綺麗に育ったな」

「お久しぶりね、何年ぶりかしら・・・・・お父様のお顔を見るのは」
「ふん! イヤミか? 学校にも行ってないくせに、イヤミを言えるくらいの頭はあるんだな」

「イヤミだなんて・・・ お父様に来ていただけて嬉しいだけよ?」
にっこりと微笑んだ私に父は、眩しそうに目を細めていました。


「くそっ! こんなに美しく育っちまったら、頭が弱くても男が味方に着いちまう! ・・・・・・俺と蒔絵の娘だから仕方ねぇーけど・・・・・・計画を見直さないとな」

ブツブツそう言って部屋を出ていった父は、何を計画しているのか・・・・・・私は幸村にその事を伝えた。


「私はここから出られないけど、幸村・・・・・母をお願いね」
「分かりました、お嬢様」

思慮深い幸村も、この時・・・予想だにしなかったでしょうね、まさか父が息子を使って屋敷に強盗に入り、母と私を殺そうとしてたなんて。


そして父も、まさか自分の息子に殺される事になるだなんて・・・・・・誰も分からなかった。。。



・・・・・・・・・・・・そして、あの夜が、きた。。。


「お母様、お夕食はここで食べるのに、遅いわね・・・・・」

父が急に帰ってきて使用人を追い出すみたいに外出させたなんて知らない私は、いつもの時間に運ばれる食事も、運んでくる幸村も、私と食事するのが好きな母が来ない事も疑問に思いつつ、待つ事しか出来なかったの。


屋敷の中には父が手引きした愛人とその息子、それに母しかいなくなっていた。


私はだんだん嫌な気持ちになって外で何が起こっているのか、不安だった。

次第に母がこの部屋に来ない訳に思い当たれば、必死に心の中でその考えを打ち消していた。

「お母様が怪我を負うなどして動けなくなるだなんて、だからここに来られないだなんて、そんなこと・・・・・・起こりっこないわ」

私は静かに、ドアが開くのを待ち続けた。


そのドアが開いて目を開けた私が、最初に見たのは・・・・・・・有栖さんだったっけ。


「わっ!!! 人形が目開けた!!!」
そんな風に言われてたと思うけど、お人形だなんて・・・・・少し失礼ですわよ。

そして幸村が現れ、その必死な顔に・・・・・・・私は自分の悪い予想が的中したと確信したのだった。






部屋を出た私は、13年ぶりに屋敷を歩き回ったわ。

「お嬢様、お元気そうで良かった・・・」
「あんな小さかったお嬢様が、こんなに綺麗な娘さんになられて・・・・・・」

次々と声をかけてくれる使用人達は、私が生まれる前から勤めてくれている者ばかりだと幸村は言ってた。


「皆、お嬢様の事を心配していたのですよ。 直接のお世話は私ですが、お食事の用意や洗濯、お部屋に飾る花など、用意してくれるのは皆でした」

「そう、心配かけてしまったわね・・・・・ごめんなさいね」
幸村の言葉に頷く者もいれば、涙を拭う者も多数いたわ。

「皆、大旦那様を慕っている者ばかりです。 そして、お嬢様を慈しむ者達ですよ」
「・・・・・・・お祖父様の本当の遺産は、彼等なのね」

ようやく分かったわ。

お祖父様が私に残してくれた大いなる遺産・・・・・・それを隠し財産だと思った父は暴走してしまったけど、本当は金品なんかじゃなかったのね。


亡くなったお祖父様を今でも慕い、その孫である私に忠誠を尽くしてくれる者達。

かけがえのない、大切な宝だわ・・・・・・・私がそう言えば、皆が嬉しそうに微笑んでいる。


・・・・・・・お祖父様、確かに受け取りましたわよ。


彼等という財産を・・・・・・・・



それからというもの私には、たくさんの家族ができたの。

前までは母と幸村だけだった私の世界は、 “ 外 ” に出て広がったの。







・・・・・・・・・母という何よりも大切な人を、犠牲にしてしまったけど。。。


「これを、お嬢様。 蒔絵様のお部屋から見つかりました」
「これは・・・・・お母様の筆跡だわ」

1通の手紙には、私の名前が書いてあった。



【愛しい かぐやへ。 この手紙があなたの手に渡るとき、もしかしたら私は生きていないかもしれません。 私は夫である慎太郎に殺される気がしてならないのです。】

「お母様・・・・・気がついてらっしゃったのね」
ならば何か対策を・・・・・・助かるような何かを求めて下されば良かったのに!!!

【愛しい かぐや。 慎太郎という男は自分の欲に忠実で、身勝手で、利己主義です。たとえ警察に頼んでも夫ですもの、手が出せないでしょう。 それに刺激をすれば私をレイプした時のビデオや写真をばら撒くなんて、平気でする男です】

「お母様・・・・・・」
どれほど悩んだのか、私は読み進めながら涙が溢れてくるのを止められませんでした。

【真行寺家のため、お腹に宿ったあなたのため結婚したものの・・・私はあの男に二度と触れさせる事はありませんでした。 そしてあなたには幸村を通じて真行寺家の跡取りにふさわしい教育を受けさせました。私はいませんが、どうか真行寺家の跡を継いで下さいね。 屋敷に勤める皆に助けてもらうのですよ・・・】

「お母様・・・・・お母様・・・・・・」

【愛しい 娘・・・・・私の かぐや。 お母様はあなただけは、守りますからね。 私の愛する人との娘ですもの。この命に代えて守りますよ】

「え? 愛しい人との娘? 私は父がお母様をレイプした時の子供ではないの?」
「・・・・・・・・・もしや!!!」

母の手紙の内容に血相を変えた幸村が、部屋を飛び出して行ってしまった。


手紙にはまだ、続きがあったの。


【かぐや、生まれた時から私はあなたが誰に似ているか、分かったの。 もちろん私を力づくで自分のモノにした男の子供ではありません。 あなたの髪の毛を使い調べました。 ただ、もしあなたが自分の娘ではないと知ったら、あの男が私にした事と同じ事を、あなたにする可能性があったの。だから今まで言えなかった・・・・・・】


【かぐや、ああ・・・・愛しい我が子。 あなたには恋をしてほしいの。 たとえ失恋したとしても、へこたれずに恋をしてね。 そして、ああ・・・・・願わくは、愛し愛される相手と幸せになってほしいの。 堂々とお式を挙げて、子供を授かる。そんな幸せを・・・・・お母様は願っています】


ああ・・・・・ああ・・・・・ 涙が溢れてきて、私・・・・・・私・・・・・・

お母様は死ぬ気で私を、守ると・・・・・・・決意してくれていたのね。

そして、その通り・・・・・・守ってくれた。


警察の事情聴取で犯人は、私の居場所を見つめられなかったため、虫の息だった母を責めたけど・・・・・・母は頑として答えなかったと・・・・・・・


「お母様・・・・・・お母様・・・・・いやぁあああああ〜〜〜・・・・・・・」

そばにいて欲しいの・・・・・・私のそばに・・・・・・・お母様ぁぁぁ〜〜〜・・・・・・



狂ったように泣き出した私を、抱きしめてくれた人がいた。

「・・・・・・・かぐや」
「・・・・・・幸村?」

「私の、娘・・・・・・・かぐや」
「・・・・・・やっぱり」


私は幸村に抱きしめられたまま、2人の事を聞いたの。


「アイツに穢された蒔絵は、私に申し訳なくて死のうとしたんだ。 だが私は、愛する彼女を死なせたくなどなかった!」


犬に噛まれた。
悪い夢を見たんだと、蒔絵に言っても彼女は興奮したままで・・・・・・・そのとき、私は彼女を・・・・・・


愛していた、小さな頃から知っている15も年下の少女を、いけないと思いつつ慕い、思い続けていた。

使用人の1人でしかない私を、見所がある!と、大旦那様も可愛がって下さり学費まで出して弁護士にさせて下さいました。

そんな大恩ある方の娘を、愛してしまった私に大旦那様は・・・・・・蒔絵が私に嫁ぎたいと言ったと、笑って許して下さったんです。


それからは夢のような日々でした・・・・・・愛しい少女が大人な女性へと変わっていく時を、恋人として一緒に過ごせたのだから。

大学の卒業と同時に式を挙げようとしていたあの頃 ・・・・・・あの悪夢が起こったのです。



男はビデオや写真を盾に脅し、真行寺家の婿に収まった。

私はそれでも彼女を支えたかったが、大旦那様から独立しろと事務所を開く事を勧められたのです。

蒔絵もその方がいいと言い、もう連絡しないとも言われました。


そのあと連絡があったのは、大旦那様がお亡くなりになって好き放題しだしたアイツが、かぐやを閉じ込めた時でした。


私はすぐに事務所を信頼できる者に託し、この屋敷に戻ったのです。

あなたは初めて私を見たときのこと、覚えていますか?


「覚えてるわ・・・・・お母様が嬉しそうに、愛しそうに幸村の話をしていたのですもの。まるで少女のように・・・・・だから私、あなたは信頼できると思ったの」
「さようでございましたか」

「幸村が私のお父様だったのね・・・・・・嬉しい」
「お嬢様・・・・・私も嬉しゅうございます」


私達はまた抱きしめあい、そして。。。






「お嬢様、お迎えにあがりました。 大使館のレセプションパーティーのご用意をするお時間でございます」
「幸村、顔を出さなきゃダメかしら? もう少し、ここに居たいわ」

「申し訳ございません、大叔父様から是非と言われておりまして・・・・・・」
「仕方がないわね・・・・・・」


お母様の部屋から見つかったDNA親子鑑定の報告書で、私と幸村は親子だと知ったけど・・・・・それは秘密なの。

だから表向きは今まで通りの執事とお嬢様として、接してるのよ。


小さな頃からそばに居てくれた幸村が、私の父と知って嬉しいし、母を亡くした孤独が少し薄れてもいるの。


あの部屋の中にいた時には、感じなかったし、分からなかった出来事に私は、戸惑いつつも立ち向かっていこうとも思っています。



これから私は、どんな事に出会い、どんな風に変わっていくんでしょうか?

火村先生と有栖さん、この2人にも関わっていきたいの。


人の感情は、決してキレイなものばかりじゃないけど・・・・・・・私は、知りたいから。





勢いで書いた姫の事情話しです。

本編だと書けないので、ここでガッツリと書いちゃいました。

さてさて、このお話を踏まえていよいよ次は・・・・・・有栖さんの恋話!!!

有栖さんの初恋の人に似た女性と、姫は・・・・・どうなるのかっ!!!


なんて(笑)

楽しんでいただけたら、嬉しいです。。。


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Author:すー※さん
私的妄想世界が広がっております。
イチオシは窪田正孝さんの役柄いろいろ妄想話です♡(その他にも相棒の神戸さん、スネイプ先生や善徳女王など色々でございます)

最近は更新ができてませんが、発作的に投下してます。
8月、9月の試験に受かれば時間ができるので、それまでは見守っていて下さいませ。

合言葉は『シリアスからエロまで』・・・・・楽しんでいただければ幸いです。。。

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