③《真白き、君》〜〜絶叫城〜〜

ここからはドラマの好きなシーンからの話になります。
ネタバレになりますので、嫌な方はスルーお願いします。

第1話、絶叫城からです!

最初は大学に通い始めた かぐやちゃんの様子からになります。







穏やかな日差しが降りそそぐ穏やかな午後。。。

ここは英都大学のキャンパス・・・・・・・そこに黒塗りの誰もが分かる高級車が駐車場に入ってきた。

「なになに? あんな高級車で乗りつけるなんて、教授? 理事長? 誰???」
「止まった! ねぇねぇ、降りてくるよ〜〜」

黒塗りの高級車が停まり、運転手が降りて後部座席のドアを開けた。
そのドアからスッと出てきたのは、女性の両足で・・・・・・地面に足をついた女性が、優雅な動作で車を降りてくる。

それに運転手が日傘を差しかけ、大学の構内まで付いて歩いてくる。


普段の自分たちの生活には全くない光景に、見ていた学生達はポカン!と口を開けてただ見送った。

その呆然と立ち尽くす学生達に向かって、まるでビスクドールの様な少女がニッコリと微笑む。

「御機嫌よう、皆さま・・・・」

透明な声でそう言われた学生達は、男も女も関係なく彼女に見惚れ、顔を赤くしている者も多かった。

運転手が日傘をしまい、少女と共に構内に入っていく。


「・・・・・・・お嬢様だよね」
「・・・・・・・そうだよね」
「・・・・・・・ここに通うのかな?」

彼女の美しい微笑みに、起きながら夢を見ている様な心持ちの学生達だが、次第に彼女が何者なのか、この大学に通うのかと疑問をもち騒ぎ始めたのだった。



「それでぇ〜? かぐやちゃんはどの学部に通うんや?」
火村の下宿の居間に、のんびりとした有栖の声が響いた。

「社会学部と心理学部です。 犯罪社会学で火村先生の講義を取りました。あとは犯罪心理学とか・・・・・あとから増やす予定です」
「へぇ〜〜・・・・でも真行寺家の跡取りとしてやったら、経済学部の方がええんちゃうん?」

「それはもうアメリカの大学で学びました」
「部屋の中から出てないのにか? 大学卒業したって、どうやって?」

「通信です。 あの部屋にいながらでも大学に入り、学び、卒業できました」
「かぐやお嬢様は2年で御卒業されたのですよ」

コトっとコーヒーカップを置きながら幸村さんが、嬉しそうに話してくれた。

「姫はほんまに優秀やなぁぁ〜〜・・・・・・」
「姫? それは私の事でしょうか?」

有栖が得意そうに「せや! かぐやと言えば『姫』やろ? アダ名つけてん!」などと言っている。


「姫だなんて、そんな仰々しい・・・・・・恥ずかしいです」
ポッと頬を染め照れている彼女に、有栖の動きが止まる。

「あ・・・・・あかん・・・・・あかんて、そないな照れた顔して可愛くて、俺いったいどうしたらええんや!」
「どうもしなくていい」
悶える有栖に火村の低い声が冷静に突っ込んでいた。

「火村先生、これからよろしくお願いします」
「・・・・・・・知り合いが講義を受けるとは、照れるな」
丁寧に頭を下げる美しい少女に、真面目にそういう火村がおかしいのか、かぐやはクスクスと笑っている。

「私は真面目な一生徒です。 大学では他の生徒と同じに扱って下さい」
「分かった・・・・・・・ああ、かぐや・・・・お茶を頼む」

「はぁーい、先生!」
「・・・・・ここは学校ではない」

パタタっと台所に行った姫は、楽しそうに日本茶を淹れはじめた。

「なに? なんで姫が火村のために茶〜淹れてんの?」
「自分でできる事を増やすんだそうだ・・・・・・その手始めが茶を淹れることだそうだ」

「俺もっ! 姫、俺にも茶〜淹れて!」

俺だって姫の茶が飲みたいっ!

クッソ〜〜〜・・・・・・俺が居らんとこで仲ようなるんは、勘弁やわ。

マジに引っ越してきたなるな・・・・・・・火村が呼び捨てにするから俺はアダ名つけたのに。


ソファーに沈みながらブツブツと繰り言をいう有栖の前に、お茶が置かれた。

「有栖さん、どうぞ」
「あ、ありがと」

「火村さん、時絵さん、どうぞ・・・・・幸村も飲んで?」
「これは・・・・・嬉しゅうございます」

3人にもお茶を出した姫が真剣な顔で俺らを見てる・・・・・・・・あっ! お茶の出来栄えを気にしてんのか。

ふぅーふぅー・・・・・俺は一口飲んで、濃すぎず薄すぎずな煎茶に「美味い!」と声を出した。

「美味しいですか? 有栖さん」
「ああ、美味いわぁ〜〜」

ホッとして息を吐く姫が、俺を見てニコォォ〜〜って笑ったのに、胸がドキンって音を立てた。
次に時絵さんが、最後に火村がそれぞれ美味いと感想を言うから、姫はニッコニコになったんや。



「・・・・・・ズルいわ、反則やわ、そんな顔されたら俺、本気になってまうやん」
俺はズルズルとソファーに沈みながら、聞こえんよう小声で呟いてもうた。。。

俺かて30やぞ? 10歳も下の子に心臓ごと持ってかれるような恋なんて、今までした事ないわ!!!

「違うわ・・・・・・もう、手遅れや・・・・・・」
俺はもう、姫のこと・・・・・・本気やわ。

ももを抱き上げ膝に乗せた姫が、ももに向かって照れくさそうに話してるんを見て、俺は目を細めてしまうんや。

「もも〜〜、私の淹れたお茶、美味しいって言ってもらえたよ〜〜 ・・・・嬉しいな」
「にゃ〜〜・・・・・」

ああ、ももと姫の2ショットなんて、癒されるわぁぁ〜〜・・・・・・・そんな風に日が過ぎて、姫が大学にも少し慣れたころ、俺たちはある事件に関わることになったんや。






俺たちは火村の下宿の居間で、けったいな連続殺人事件について話してたんやけど・・・・・・けどな、あんな、それはあんまりやないか?

「いやいやいやいや、カレーに醤油って! カレーにはソースやろ!!!」
「醤油だ」

「ほな、コロッケは?」
「醤油だ」

「アジフライは?」
「・・・・・・・醤油だ」
「・・・・・・・お醤油やろか」

時絵さんまで、アジフライは醤油やなんていうんかいっ!!!

「えええ〜〜〜、全部ソースやわ! 姫は? 姫はソースやな!」
「醤油だろう」


興奮した俺と、冷静な火村に同時に見つめられた姫は、なんて答えるんやろ?

ワクワクして姫の答えを待ってる俺に、彼女はコテン!と首を傾げたんや・・・・・・なんで?


「カレーって、何ですか?」
「そこからかぁ〜〜〜・・・・・・姫は食べたことないんやな〜〜〜」

「アジフライ?も、知りません」
「くわぁ〜〜・・・・庶民の味は姫には縁がないかぁ〜〜」

「でもコロッケは食べた事があります!」
「おっ! 何をつけて食べたんや?」

「幸村、なんだったかしら?」
姫が問えば後ろに控えていた初老の執事は、にこやかに答えるんや。

「確かあの時は・・・・・・ペリグーソースでしょうか? トリュフを使った大変香りの良いソースです」
「はあ? トリュフですか? どんなコロッケにつけるんですか?」

「フォアグラと松坂牛のクロケットは、うちのシェフの自慢料理の1つでございます。ちなみにクロケットとはコロッケの語源とも言われております」
「くわぁぁ〜〜〜・・・・・そんな豪勢なもん、コロッケって次元ちゃうやん!!!」

ガックリうなだれる俺は、ソースやわぁ〜〜と小さく呟いてたんや。

「有栖さんがいうコロッケやアジフライ、カレー・・・・・食べてみたいです」
ん?これって姫をデートに誘えるんじゃ・・・・

「行こか? 俺が美味いとこ案内するし・・・・・・」
「はいっ! 連れて行って下さいますか?」

「うん、なんぼでも連れてったるよ」
「嬉しい・・・・・」

両手を口に持っていって笑う姫の笑顔に、またドキドキしながら俺は頭の中で自分のスケジュールを確認してたんや。

・・・・・・・よっしゃ、さっそく明日でも行こか。

「あんな姫、明日は学校ある・・・・・・」
さっそく誘おうと口を開けたとき、居間に電話の音が鳴り響いたんや。


時絵さんが電話に出る前に俺と火村は視線をあわせた。

若い女性ばかりを狙い殺している連続殺人事件、さっきまで話していた内容が頭に蘇る。

『2週間ごとに犯行が行われている。 またあるとすれば、今日が危ない』
『火曜日の通り魔・・・・・・・』

火村の言うた通り電話は鍋島さんからで、俺たちは現場へと向かったんだ。

あ、姫はまだ現場には連れていかんって火村に言われて、お留守番なんや。

ただ姫はな、俺らから話を聞いて調べ物を請け負ってくれるんや!
得意のパソコンでな!

姫のパソコンは凄いんやで? キーボードを打つスピードも速いし、調べ物なんてどうやって知るんか分からんほど集めてくるからな〜〜


現場のあと俺らは警察署で捜査会議に混ぜてもらったんや。
そこで姫と合流・・・・・・・

鍋島さんは火村から姫も必要と聞いてるから、ちゃんと後ろに俺たちと並んで席を作ってくれてるんや。

・・・・・・パイプ椅子やけどな!


会議が終わったら小野さんが姫に自己紹介してたな。

「捜査一課の小野です」
「真行寺かぐやです。微力ながらお手伝いさせていただきます」

「・・・・・・・・火村さんはフィールドワークの一環として事件捜査に協力していただいていると聞いてますが、この様な若い女性まで加わっているとは・・・・・・」

呆れた様な小野さんの言葉に姫は、ニコッと笑って・・・・・・

「では鍋島警部に聞いていただいてもよろしいですか? 私が役立たずなのか、どうかを」
ニコニコしてる姫は嫌味で言うたんじゃなく、本心から聞いて欲しかったんや。

マジで聞きに行った小野さんは、鍋島さんから姫にも協力してもらいたいと話されたんやろう・・・・・・
不承不承の顔で、こっちに戻ってきた。


「あの子は優秀や・・・・・ネットの世界で自分だけの情報網を持っとって警察でも時間がかかるようなことでもサクッと調べてしまうし、警察でも入っていけん場所に入れてくれたりして協力してもらってるんや」
「は? 警察でも立ち入れない所に何故あんな若い娘のおかげで入れるんですか?」

「・・・・・・・あの子はな、日本でも・・・・いや、世界でも有数の財閥、真行寺家の当主や」
「・・・・・・・・・・・・・・・は??? あの娘がですか?」

「年齢もあって公式には発表されてないだけで、実際はすでに当主として跡を継いでるんや」
「・・・・・・・・・・あの娘が・・・・・・・・」

「来たばっかりの君には分からんかもしれんがな、あの3人が居なければ解決できんかった事件があるんよ」
「・・・・・・・・・」

「くれぐれも失礼のないようにな!」

そう言われた小野だが、彼女はまだ納得してはいなかった。
そもそも外部の人間を捜査に加えるということ自体、彼女は反対なのだから。。。


そこで、彼女は坂下を連れて3人の元へと戻ってきたのだった。

ある 【 捜査依頼 】を坂下に持たせて・・・・・・・



「恐縮ですが3人にお願いが・・・・・」
そう言って坂下が差し出したのはゲームのソフトと攻略本。

「我々には捜査がありますので」
火村達を現場から追い出したい小野が、空き部屋でゲームを攻略しろと言ってきたのだった。

「仕事だぞ、ワトソン君」
「え!? 俺っ???」

そうして俺たちは空き部屋で『絶叫城』というゲームを始めたんや。
俺がしてるんやけどな!

ホラーゲームやから画面からは気分を煽るBGMが流れ、暗い廊下を歩き回らせてるとフードを被った骸骨のナイトプローラーが出てきて・・・・・・・・ざっくりナイフで切りつけてきやがった。

その1撃であえなくキャラは死亡。

「わっ! 出たっ! 怖っ! これゲームの先どうなんのやろ?」
「攻略本によると4人全員が死ぬとゲームオーバー」

「で、クリアするには?」
「・・・・これを読め、あとはよろしく」

「ちょ、帰んの〜? おい、付きあえや〜・・・」
ドアを見ていた隙にテレビからは『きゃぁぁあ〜〜〜』と悲鳴があがって・・・・・・・

「あ、あかん・・・・・死んでもた」

「私がお付き合いしますね! どれどれ・・・・・」
「姫!? 姫は帰った方がいい、これクリアしようとしたら1晩徹夜しんなんよ? もしかしたらそれ以上続けんなんかもしれんし」

「だったら尚更、私が攻略本を読んで有栖さんに教えますから、有栖さんはゲームを進めて下さい」
「姫・・・・・帰らんかったら幸村さん心配するよ」

「大丈夫です、このゲームの最後が事件に関係あるのは明白ですから、私もお手伝いします」
「言い出したら頑固やなぁぁ〜〜〜」

一向に帰る気配のない姫やけど、あんな分かっとるんか?
いくら警察署の中とはいっても、1つの部屋で俺と2人っきりで1晩過ごすんやぞ?

ほんまに分かっとるん??? ・・・・・・俺だって、男なんやで?


「それとも有栖さんは私が居ない方が・・・・・・いいの?」
「うっ! そんな・・・哀しそうな、うるうるな目で見つめんといて!」

分かった! ほんなら俺の助手、よろしくなっ! 姫!

「はい!」
嬉しそうに張り切って攻略本を読み始めた姫に助けられながら、俺はゲームをクリアしていったんや。

「有栖さん、コーヒーです」
「ありがとう」

「なかなか終わらないですね〜・・・・・あ、その角を左です! 」
「よっしゃ、ここやな!」



結局2人がかりでも徹夜になった・・・・・・・ふぅああああ・・・・・・眠い。。。

「あふっ・・・・・眠いです」
「よう頑張ったもんな、姫は・・・・・」

ポンポンと姫の頭を撫でれば、眠気でトロンとした目で俺を見上げてくる。

「有栖さんの方が大変だったじゃないですか・・・・・・・」
「姫・・・・・・」

俺も眠いけど姫を先に寝かせてやりたくて部屋の中を見渡すけど、ベットなんかあるわけもなく・・・・・・俺はパイプ椅子を横に並べて姫を寝かせようかと思ったんや。

そしたらコンコンってドアをノックする音が。。。


なんや? そう思ったらドアが開いて数人が運んできたのは、2つに折られたベットで・・・・・・・幸村さんが続いて中に入っきて、ちゃっちゃと指示だしてるし。

あれよあれよという間に、そこにはベットが現れたんや。

しかも寝心地良さそうなマットの分厚いベットが・・・・・・・あかん、ベットが手招きして俺を呼んでるわぁぁ〜〜


「さ、こちらでお眠り下さい。あいにく用意できた簡易ベットが1つしかないですので、狭いでしょうが御二人でどうぞ」
「御二人でどうぞって幸村さん!!! 姫だけここで寝てもらって俺はパイプ椅子でいいですから」

「しっ! 有栖川先生、お嬢様が起きてしまいますぞ」
「あ・・・・・」

コテン!とすでに夢の中な姫は、俺にもたれて寝てるんや・・・・・・しかも俺のトレーナーをしっかりと握ったまま。

「どうぞ、有栖川先生・・・・・・そのままお嬢様とこちらで」
「・・・・・・も、俺も限界やしお言葉に甘えます」

眠すぎて判断できひん・・・・・・俺は姫をベットに寝かせてそのまま、一緒に横になったんや。

・・・・・・・ああ〜〜〜やっぱ寝心地いいわぁ〜〜・・・・・天国やわぁぁ〜〜・・・・・・

・・・・・・・姫・・・・・・いい香りや・・・・・・・・



くぅーくぅーと寝息を立てる2人に微笑んだ幸村が、照明を消しそっと部屋を出て行き、2人が目覚めたときに朝食を食べてもらおうと電話で手配していた。



ゲームの制作会社に聞き込みに来た鍋島、小野、坂下は、タバコをふかして待っていた火村に驚いていた。
鍋島は火村の協力を有り難く思い、小野は忌々しく思っているのだが・・・・・

「いやぁ〜火村先生に来てもらえたら100人力です」
「うちの有栖と かぐやは?」

「徹夜でゲームと格闘してて、今は署で撃沈してます」

そんなやり取りがあったなんて、気持ちよく寝てる俺には知らんことや。
俺は姫とぬくぬく、あったかいベットで寝てたんや〜〜〜・・・・・・



グッと寝れた俺はスッキリと目が覚めたんやけど、艶やかな黒髪と胸にくっついとる身体に、寝起きで頭の回らん俺は マジで焦った。

しかも俺はその身体に腕を回して抱き枕よろしく、抱いて寝てたみたいや。


「お目覚めですか? 熱いコーヒーとサンドイッチなどは、いかがでしょうか?」
「有り難いです・・・・・」

そっと姫を起こさんようベットから出た俺は、幸村さんが出してくれたコーヒーを飲んで目が覚めたんや。

サンドイッチも旨くて、パクパク食べてたら火村からメールが来た。

「見たい資料を持って来いやと? 俺はパシリかっ!!!」
そうは言いつつも俺は用意をして出て行こうとして、まだあるサンドイッチを1つ、口の中に放り込んだんや。

「幸村さん、寝床と食事ありがとうございます。 俺ちょっと出なあかんので・・・」
「お気をつけて、いってらっしゃいませ」

「姫、頑張ってました。 怖いのに一生懸命に攻略本読んで、俺を助けてくれました」
「さようでございますか・・・・・ではお嬢様の朝食は、フルーツいっぱいの甘いパンケーキにいたします。 お嬢様の大好物なのですよ」

「ほな、俺行きます」

嬉しそうに笑っている幸村さんと、まだ夢の国の姫を残して俺は、火村の元へと向かったんや。






「俺はお前のパシリちゃうからな!」
公園にいた火村にご所望の資料を渡した俺は、そのまま事件のことを話してたんや。

「で、ゲームはクリアできたのか?」
「さっきな・・・・・・ けったくそ悪いラストやった」

そう絶叫城の最後は、謎を解いたプレーヤーはナイトプローラーとなって、妄想と狂気の城を引き継ぐ・・・・・・・バットエンドや。

だが、このラストのように事件は展開していったんや。。。



雨が激しく降った夜、4人目の被害者が出た。

鍋島さんから連絡をもらった火村と俺はタクシーで現場へと向かったんや。


その4人目の被害者は火曜日の通り魔には、3日早く起こった。


「かぐや、調べてほしい・・・・」
「4人目の被害者さんのことですね? 分かりました。 範囲はどこまで広げますか?」

「交友関係、自身のブログ、家族のこともだ・・・・・・頼む」
「お任せください」

火村から頼まれた姫は、嬉しそうに自分の部屋にこもり始めた。

時絵さんが言うには姫の部屋には機械とベットしかないんやて!

「何台も大きさの違うテレビがあって、それが機械とつながってますのや。 お掃除しよう思たんですけど、壊したら思うとできへんのですわ」
「機械・・・・・・パソコンのことかな」

前に聞いたことあるんやけど、小学校に入ってすぐに部屋の中に閉じ込められた彼女は、幸村さんと母親がどうにか外の世界を知って欲しくて早くからパソコンを与えていたんやと。

部屋の中での生活にいつしか彼女は、パソコンを通じてあらゆる事を知ろうと、朝から晩までネットに入り浸りになったそうや。

そうしてHN(ハンドルネーム)という仮の姿で、ネットの世界を徘徊していた彼女。


つい最近まで、彼女にとってネットの世界だけが、唯一の “ 外の世界 ” やったんや。




「大和田 雪枝さん、25歳。 ご職業はフリーライター・・・・・通り魔に襲われたあと本人の携帯から警察に連絡あり、通報から8分後に救急隊が到着するも、死亡を確認・・・・・・・」

数年前にご両親が事故でお亡くなりになってるのね。
家族は弟さんがいて・・・・・あら、3日前に弟さんも事故にあったの・・・・・・・


私は雪枝さんが書いた記事を探し、幾つかピックアップして印刷しておく。

彼女自身のブログを探しそれも直近のものを印刷。


うふ、これくらいなら警察にもできるわね・・・・・・・私だけの調査を、開始しましょうか。


「皆さん、ごきげんよう」
『わぁ〜・・・お久しぶりです、真!』
『なに? 何か知りたいの? 協力OKです!』

「よろしくお願いします・・・・・・」

次々と上がってくる情報を読みながら、私はその真偽性を確かめ、確かなものだけをまとめていった。

性格、生活、仕事、悩み、ここ最近の出来事やハプニングなどなどを1冊のファイルにまとめた。
そして彼女の弟の事も同じように調べていたとき、私の頭にある考えが浮かぶ。

でもまとまらない・・・・・・・これは火村さんに相談しなきゃ。



「よく出来ている」
受け取ったファイルに目を通せば、僕は感嘆してしまうんだ。

警察の通り一辺倒の情報とは違う、かぐやが調べるとそこには “ 生きていた ” 生々しさがある。

彼女は冷静な視点でまとめているが、何にせよ文章というものにはその人の人となりが垣間見えるものだ。

彼女の文章は、そうだな・・・・・・・そう、色で例えると無色透明だ。

弟の情報もファイルしてあるが、これは・・・・・・かぐや? 僕に何か言いたい事は無いか。

読み終えたあと、そう聞けば彼女は・・・・・・・少し哀しそうに僕を見上げたんだ。

「実はご相談したい事が・・・・・・・・」




翌日、かぐやと有栖とともに捜査一課の小野さん、坂下君と被害者のアパートに行ったんだ。

かぐやの調査通り、生真面目で几帳面な性格が出ている部屋だった。

そこで有栖の「なんか臭う・・・・・小鳥の糞の匂いや」で、僕の頭の中でピースが嵌まったんだ。



「なんか臭う」って俺が言ったら姫もクンクン鼻を鳴らして嗅いでる様子はめちゃくちゃ可愛くて、俺は自然に目を細めた。

鳥籠が置いてあった跡を見つけた俺に、火村の様子が変わったんや。


そうして事件は、解決したけど・・・・・・・絶叫城のゲームみたいに後味の悪いもんやった。


病院に入院している雪枝さんの弟を連れてきた俺は、車椅子を火村のそばに止めた。


・・・・・・・・連続殺人犯は、実はこの弟やったんや。

突然の事故で入院した弟の部屋に入った雪枝さんは、驚いたやろうな・・・・・・まさか弟が連続殺人犯やなんて。

悩んで悩んで・・・・・・そしてお姉さんは自分を被害者に偽装して自殺する事で弟を、君を庇ったんや。
病院に入院している君には、絶対に容疑はかからない・・・・・・・事件は迷宮入りや。

「お姉さんが自分の未来の代わりに手に入れたんは、君の将来と、自分自身の苦悩からの解放や・・・」


「君の絶叫城は完成した。 お姉さんは君の謎を解いたためにナイトプローラーに変身し、破滅した・・・・・・・ゲームと同じ結末だ」

俺は知りたかった・・・・・いや、聞きたかったんや。

「なあ、なぜ君はナイトプローラーを演じたんや?」

俺の問いかけに彼は、知りたかったと言った。
バーチャルな世界と現実の世界の境目が分からなくなる・・・・・・それがどんな気分なのか知りたかった。


そんな事のために何の関係もない人を3人も殺したんか???
挙げ句の果てには、たった1人の家族の姉も・・・・・・死んだんや。

「お前ほんまにええ加減にしとけよっ!!! お前なぁ!!!」

車椅子の相手に掴みかかろうとした俺を、火村が正面から止めてくれて、つぎに上着を姫がツン!と引っ張ったんや。

「姫・・・・・」
「有栖さん」

小野さん達が来て彼は、逮捕された。。。




火村の下宿に俺もお邪魔して居間でソファーに沈んでる。

事件は解決したけど、後味の悪いもんが胸に残ってて・・・・・・・なんや、気分が堕ちるわ。

コトっと置かれたのはお茶菓子と、日本茶。


「かぐやちゃんが淹れてくれたんよ〜〜・・・ すはま団子もどうぞ」
時絵さんの声に姫を見ると、お盆を抱えて立ってたんや。

「姫、ここ座り」
手招きして隣に座らせた彼女。

「かぐやはいつから犯人だと気付いていた」
「え? 姫は弟が犯人て分かっとったん!?」

火村の言葉に驚いて彼女を見れば、困った顔してお盆を抱えてる。

「雪枝さんを調べたあと、弟の事も調べたのですが・・・・・お姉さんと違って極端に情報が少なかったんです。 大学生の割に親しい友達もいないし、まるで人との関わりを拒んでいるようにも感じられて・・・・」

「それで彼に注意するよう書いてあったのか」
「私の意見など参考にはならないと思ったのですが、一応・・・・・」

「いや、十分参考になった。 ありがとう、かぐや」
「いえ、そんな・・・・・・」

火村に褒められてみるみる真っ赤になる彼女に、俺はオモロない!!!


「そうや、なあ姫、事件も解決したし食べに行かへんか? コロッケ、アジフライ、カレー! まあ、いっぺんには腹にも入らんやろうし、コロッケからにしよう!」
「行きたいです!」

そうして俺は姫をデートに誘えたんやけど、あんな火村? お前も姫を狙っとんのか!?!?

「ならばカレーは僕が案内しよう。 学食のカレーだが、なかなかいけるからな」
「学食・・・・・そこも行きたいです!」

「ちょっ! ちょっと待て・・・・・・姫、学食で食べたことないんか?」
「・・・・・・・ないです」

えっと、首を傾げてる姫に大学のある日、昼食はどうしてるのか聞いてみたんやけど。。。


「幸村が迎えに来た車に乗って近くのホテルの部屋でお弁当を食べています。 時間があれば屋敷に戻ったり、ここに来たりしてます」
「かぐやちゃんのお弁当、豪華で美味しいんでっせ! 私までご馳走になってますんや〜〜」

時絵さん、いいなぁ〜〜・・・・・・っていうか、昼メシ食うだけに部屋を取るんですか???
俺は幸村さんを見たんやけど、ほっほっほっ・・・・・なんて笑うとるんや。

「そんなまさか、昼食のためだけに部屋を取ることなど致しません。 あのホテルは真行寺家の物ですから」
「はあああ???」

あ・・・・・・あかん、どエラい金持ちやって忘れとった。

あのホテルも真行寺家のなんかぁぁ〜〜〜・・・・・・・

「幸村、明日は私チャレンジしてみたいわ! 学食ってどんな所なのかしら?」
「また新しい体験がお出来になりますな。 ようございました、お嬢様」

ワクワクしてる姫は可愛いけど、俺と食べに行くんも忘れんといてや?

「はい! すごく楽しみです!」

カレーは火村と学食に譲るけど、コロッケとアジフライは俺が姫に教えてあげるんや!

楽しみですと答えてくれた彼女の笑顔に、俺も楽しみなんや・・・・・・・






第1話からの妄想話でした!

よければ感想などコメントいただけると嬉しいです!

では、次は第2話で♡

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すー※さん

Author:すー※さん
私的妄想世界が広がっております。
イチオシは窪田正孝さんの役柄いろいろ妄想話です♡(その他にも相棒の神戸さん、スネイプ先生や善徳女王など色々でございます)

最近は更新ができてませんが、発作的に投下してます。
8月、9月の試験に受かれば時間ができるので、それまでは見守っていて下さいませ。

合言葉は『シリアスからエロまで』・・・・・楽しんでいただければ幸いです。。。

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