②《真白き、君》by 有栖川有栖


えっとこのお話は、ドラマの始まる前(半年ほど)の設定になります。

いずれ有栖さんオチになりますので、よろしくお願いします。

管理人のエセ関西弁、広い心でお許し下さい(雰囲気です)







俺たちは、ある事件の被害者の娘を匿うことになったんや。

さてさて、俺らが彼女を連れてきたのは・・・・・・・・火村の下宿先だった。


「ホテルより目の届くここがいいだろう」
その火村の一言で、来たんやけど・・・・・・あの真っ白な壁に囲まれた部屋から、昔ながらの町屋造りの家に彼女は馴染むんかな?

堂々とした “ 和 ” の空間に、バリバリ洋風の彼女が馴染むんか、少し心配なんやけど。


しかも身の周りのことは執事の幸村さんに任せっきりやったって話やし、ま、まあ、俺もちょいちょい顔だしてフォローするしいいかっ!


・・・・・・・なっ、なんやったら俺のマンションに来てもいいしなっ!!

ほら、俺は推理小説家やし、基本パソコンあればできる仕事やし・・・・・そばに居れるやろ?

そう心の中で算段してたけど、彼女・・・・・真行寺かぐやちゃんは、タクシーを降りたとたん歓声をあげたんや。


「うわぁ〜〜素敵なお家ですね!」

フリルのぎょうさん付いたワンピースを着た、西洋のお人形さん・・・・・ほら、あれや、ビスクドール言うんか?
そんなんみたいに綺麗な彼女は、無邪気に笑うてんのや。

「中に入ろう」
「はい!」

ガラガラと引き戸を開けて中へと入れば、時絵さんが出迎えてくれて・・・・・・・かぐやちゃんを見て・・・・・・・・


「あらぁ〜〜〜お人形さんが来はった! えらい可愛い人やなぁ〜〜」

一目で気に入ったのか、彼女の手を引いてソファーに座らせてるし。

「私の若い頃みたいに、綺麗な子やねぇ〜〜」
ベタ褒めやな・・・・・・


火村と俺から簡単に事情を説明した後、かぐやちゃんは大真面目な顔して時絵さんに向き直ったんや。


「あの、お世話になってもよろしいでしょうか?」
「いいよ。 部屋もあるし、好きに使うていいんよ」

「あの、では・・・・・・これを」
そう言ってバックに手を入れた かぐやちゃんが取り出したのは分厚い白い封筒で・・・・・・それを時絵さんの前に置いたんや。

「なんですのぉ〜〜・・・・・・・あらま、お金と手紙ですね〜・・・」

つらつらと手紙を読んだ時絵さんが火村にその手紙を渡した。


「幸村さんからだな、何もできない彼女をよろしくお願いしますと丁寧に書かれている」
「それに帯の付いた万札が1束・・・・・・・迷惑料もかねてってことやろな」

「事情はよぉ〜く分かりましたえ。 気楽にここに住みなさい」

分厚い封筒は俺の手から時絵さんの手に・・・・・・

「これは私が預かっときますわ・・・・・さ、お茶にしましょ」
さっさと台所に消えてった時絵さん、やるわぁ〜〜〜

「さすが真行寺家、ポンっと100万出すなんてえらい豪気やな」
「有栖、幸村さんに連絡しといてくれ」

「ほいほい・・・・・メールでいいか?」
頷く火村に俺は教えてもろた幸村さんのメアドに連絡したんや。


「わぁ〜〜可愛い♡」
「にゃ〜・・・」

ソファーに座る彼女の足に擦り寄ってきたのは、ここの飼猫の『もも』やった。

そっと、ももを抱き上げた彼女がニコニコしながら膝に乗っけた。

「可愛いですね、犬」
「ガクッ!!! はあ? ももは猫やぞ」

「あ、猫!? 猫なんですね〜・・・・・本や写真でしか見てないからよく分からなかったです」
「マジかっ!!! 犬と猫の違いが分からんて・・・・・・」

「無理もないだろう、部屋から出なければ外部との接触はない。実際に見たことがなければ間違うこともある」
「さいでっか!」

彼女は猫を膝に乗せたけど、どうすればいいのか戸惑ってるみたいだ。
だから俺は、猫の撫でかたを教えたんや。

「優しく撫でてやってな? 頭や背中、喉とか喜んでゴロゴロいわすぞ」
「頭・・・・・背中・・・・・・」

ゆっくりと優しく撫でていく白い手に、ももも気持ちよさそうに目をつぶってるんや。

「うふふ・・・・・可愛い♡」


しっかし、こんな子も居るんやなぁ〜〜〜・・・・・・・

手もそうやけど、顔も真っ白いつるつるなゆで卵みたいな肌して、大きなクリックリな目に通った鼻すじ、紅くてぷるぷるってした唇は花に誘われる蝶みたいに俺を誘とるみたいに惹きつけるんや。

無邪気に猫と遊んでる様子は、幼い子供みたいで・・・・・・

俺は、彼女を守りたいという想いが、こんこんと泉のように胸の奥で湧いてくるのを自覚していた。


そうして彼女は、火村の下宿先でお世話になることに決まったんや。



次の日、朝からテレビは真行寺家の事件一色の報道になっていた。


《 狙われた財閥! 夫妻を刺した犯人は!?》
《警察の捜査で、狭まる包囲網! 犯人逮捕は時間の問題か!?》

なんて、事件のことを報道していたテレビが3日も経てば、今度は真行寺家の跡取り問題を報道し始めた。

そこでテレビの取材を受けたのは、かぐやちゃんの異母兄だった。

堂々とワイドショーのインタビューを受けた異母兄と母親は、もう自分達が真行寺家を継ぐと言わんばかりな勢いだった。


俺が火村の下宿先に顔を出した時も、テレビはその話題で盛り上がっていた。

「こんにちわーー」
「有栖さん、いらっしゃい」

出迎えてくれたのは話題の彼女で・・・・・・今日は淡い色のセーターにスカートという格好の彼女が、笑顔で寄ってきた。

あれから火村と警察の鍋島警部に協力して事件を調べているんやけど、そろそろ火村の頭の中には事件が見えてるみたいや。

そういえば鍋島さんがこんなこと言っとったな・・・・・

「ナイフから出た指紋の主人は早川いうんですが、コイツ、置き引き専門の窃盗犯でして・・・・・強盗殺人をする様な奴と違うんですわ」

何でも鍋島さんが逮捕した事のある、虫も殺せない様な気の弱い男なんだそう。

「・・・・・そうは言っても物証は確かに出ています。今、管内の警察署員を総動員して捜索しています」
「・・・・・・虫も殺せないほど気の弱い男・・・・・・鍋島さん、お願いがあります」

火村がなんか引っかかったんか、鍋島さんにその早川って男が最近何をしてたのか詳しく調べて欲しいとお願いしてたんや。

すぐに調べた鍋島さんが報告に来たんやけど。

「驚きました、さっすが火村先生や! 早川は最近あるスナックに足繁く通っていたと調べがつきました。そのスナックのママが、慎太郎氏の子供の母親でした」
「そうですか・・・・・・」


それから火村の中で、事件の全容が明らかになったみたいやった。。。



「鍋島さんに連絡してくれ、真行寺家に向かうと」
「分かった」

「かぐやも行こう・・・・・」
「・・・・・・はい」

きっと彼女も覚悟を決めたんやろう、その不安げな表情に俺も気を引き締めるんやけど・・・・・・

「ちょっ! ちょっと待て! いつから火村は彼女のこと呼び捨てにしとんねん!」
「同じ家に住む者同士、仲良くなるのにそれほど時間はかからないだろう? 親愛の証だ、気にするな」

「気になるわっ!!! ・・・・・・俺だって呼び捨てしてないのに」

ニヤニヤっと笑う火村の視線に気がついた俺は、慌ててタクシーを呼んだんや。

この天才に、俺の気持ちはどこまでバレてんのやろ?

「さ、行くぞ! いつまでニヤついてんねん!」
「いや、なんでもない」

「時絵さん、行ってまいります」
「気をつけて〜〜」


俺たちは、真行寺家に乗り込んだんや。。。






「お待ち申し上げておりました」
幸村さんが開けてくれた玄関のドアから入れば、鍋島さんも居て、テレビで見た異母兄と母親がソファーで踏ん反り返っていた。

「あんた達は? 警察?」
「この方達は警察に捜査協力していただいている先生方です」
鍋島さんの説明に「フン!」と鼻を鳴らした若い男は、チラッとこっちを見て・・・・・・かぐやちゃんにその目を留めた。

「可愛いなぁ〜〜・・・・・なあ、俺とデートせぇへん?」
「軽いなぁ〜〜! 父親が亡くなって数日でナンパかいっ!」

「なに? あんたこの子の彼氏? 年が離れてんじゃないの? 俺の方が年も近いし、俺にしなよ? ね?」
かぐやちゃんに纏わりついてくるその男から、彼女の前に出て背中に隠したんや。


「事件の始まりは、自分勝手な父親から始まります」

火村の低い声が話し始めたこの事件、その真実は・・・・・1人の男の欲深さからだった。。。


真行寺慎太郎・・・・・・世間知らずな真行寺家の跡取り娘と結婚した男は、自分の運の良さとこれから思うままに贅沢ができると野望に燃えていた。

しかし財閥の家は、そんな甘くはなかった。

健在だった蒔絵さんの父親は、男の本性を見抜いていたんだろう・・・・・結婚は認めたが彼に財産を使う自由は認めていなかった。

1人娘の蒔絵さんしか財産を継げない事を男に分からせ、蒔絵さんの次は生まれてくる子供にしか財産を継ぐ権利がないと諭した。

婿は婿、真行寺の直系を補佐することが勤めと当主から言われても・・・・・・・そんなこと、男の頭には何も残らなかった


真行寺家として管理する財産に少しでも手を出せば、すぐに監査が入ることになっていた。

つまり男は当主の管理するうちは1円も自由な金を使えないでいたんだ。

そのうち男の心には膨れ上がった不満と欲で、とんでもない事を考え始めたんだ。


他の女性に産ませた子供が男の子だったこともあり、蒔絵さんが産んだ子供を隔離し、教育も何も施さずに育てあげ、やがて・・・・・・社会不適合者としての烙印を押し、後継者から蹴落とすことを思いつき、実行に移したんだ。


蒔絵さんの娘、ここに居るかぐやちゃんは、幼い頃から美しく、男達に狙われることがしばしばあったため、母親として心配した蒔絵さんに男は、子供を隠そうと持ちかけ成功したんだ。

そうして13年が経ち、娘も19歳になった頃・・・・・・男はかねてからの計画を実行した。


男は、待つことに飽きた・・・・・・・・ 一思いに妻も娘もいなくなってしまえばいいと、考えたんだ。

「え? それはどういう事ですか先生!」
「慎太郎氏は、愛人と息子こう持ちかけたんでしょう・・・・・・・自分の言うとおりに蒔絵さんと娘を殺せばこの家の後継者にすると・・・・・・」

男は子供の母親がしているスナックの客から、前科のある男にナイフを握らせ、そのナイフを使って蒔絵さんと娘を殺害しようと計画を立てたんだ。

男はまず使用人達に用事を言いつけたり、休みを取らせて屋敷から引き離し、玄関からリビングまでの通り道を外部の犯行に見せかけるため、荒らした。

そして愛人と息子を屋敷に引き入れ、蒔絵さんを刺すように命じた。

「そして息子は、蒔絵さんを襲い・・・・・・ナイフで刺した」

次は、かぐやさんを刺す。

それを聞いた蒔絵さんは、刺されながらも男を止めようとして・・・・・・警察に電話をし、娘を、あの子を助けてと言葉を残したのです。


「え? でもおかしないか? その命令してた慎太郎氏は、刺されて亡くなったんやで? 誰が刺したんや?」
「慎太郎氏も知らない “ プランB ” があったんだ、有栖」

「プランB? なんやそれ?」
「父親殺しだ・・・・・・そこの親子がもののついでと慎太郎氏までも手にかけたんだ。だが、いかんせん娘の居場所を見つける前に慎太郎氏を殺害してしまい、探しているうちに蒔絵さんの呼んだパトカーが到着し慌てて逃げたんです」

「ナイフには前科のある早川の指紋を付けている、自分は疑われる事はない・・・・・そんな安易な安心感で凶刃をふるうこの男は、ただの卑怯者だ」
「・・・・・・・父親まで、手にかけたんか」

「・・・・・この犯罪は、美しくない」


鍋島さんと控えていた捜査員に逮捕された愛人と息子。


火村が事件を説明する間、じっと聞き入っていた彼女を俺はそっと、横目で見たんや。


なんて顔してるんや・・・・・・彼女の顔は哀しみと、諦めと、何か他にも混じった物を飲み下したうえに、それらを全て受け入れた・・・・・・そんな顔をしてるんや。


「馬鹿な人・・・・・・真行寺家の財産に目がくらみ、母を無理矢理レイプし写真を撮り、お祖父様と母を脅して婿に収まり、その挙句・・・・・・自分の息子に殺された」

「なんや・・・・て? レイプ? そんな事してまで財産に固執したんか?」
「・・・・・・・自分の欲のためなら手段を選ばない。 だからこそ母は私を守るため、言う事を聞いていたんです」

「なんて男や・・・・・」

「幸村、私を真行寺家の正式な後継者と、発表なさい」
「はい、お嬢様」

「お母様の元に行きます」
「ご案内いたします」

そうして、この事件は解決したんやけど・・・・・・・かぐやちゃんと向かった病院で、母親の蒔絵さんは・・・・・・

無事に事件が解決したと、かぐやちゃんが報告した次の日、眠るように息を引き取った。


ベットに寝てる蒔絵さんは、かぐやちゃんに似た綺麗な人やった。


・・・・・・・・これで彼女は、最愛の母親までも亡くしてしまったんや。。。






真行寺家の事件はチラッと無事に解決したとニュースに流れたが、すぐにどのテレビ局でもしなくなったんや。

「おっかし〜なぁ〜・・・・・・あんだけ事件のときは派手に報道しとったんに、今はさっぱりやな〜〜」
「真行寺家の圧力だろう・・・・・スポンサーに睨まれたいテレビ局はないからな」

「ほな全部のテレビ局に圧力かけられるんか? どこまで金持ちなんや真行寺家って」


面食らう俺やけど、あーあ、事件は解決・・・・・・財閥のお嬢様・・・・・いいや、お姫さんにはただの推理小説家はもう会えんのやろなぁ〜〜

ポケットに手を入れた指先に触れるのは、かぐやちゃんが『甘い』と言った飴ちゃん・・・・・・

あん時は偶然持ってた飴だけど、それから彼女に度々渡してたから・・・・・俺の上着のポケットは飴だらけになってたんや。

かぐやちゃん、俺にもらうまで飴も食べた事なかってんで!

そんな些細なことでも、彼女が喜んでくれるからって、持ち歩いとったんや。

指先に触れた飴を一粒、ポイッと口に放り込む。


「あま・・・・・・甘過ぎやん、これ」

甘いけど、なんか苦いわ・・・・・・・そんな事思うとったとき、火村の下宿先の戸がガラガラと開いて、ぴょこっと顔を出したのは。。。


「か、かぐやちゃん!!!」
「こんにちわ!」

ニコニコと入って来たのは彼女で、なんで? お姫さんが、こんなトコに何の用ですか?

「火村さんと有栖さん、それに時絵さんに御礼を言いたくて・・・・・」
「失礼したします」

幸村さんも連れてやって来た かぐやちゃん。


幸村さんが淹れたお茶を囲んで、時絵さんも入ってお茶会になった。

「本当にお嬢様がお世話になりまして・・・・・ありがとうございます」
深々と頭を下げて御礼を言われるのって、照れるやんな! な! 火村!


ひとしきり御礼を言われた後、幸村さんから言われたのは・・・・・


「え? ここに住むの?」
「住みたいと思っています。 ただ家と此方とで交互に行き来するという事になりますから、お願いに来たのです」

なんでも幸村さんが補足するには、世間知らずというよりは、初めて世間に出てきた かぐやちゃんは、自分がかなり世間とズレてる事が分かったんだと。

「そしたら かぐやちゃんは、世間一般の事が知りたくてここに住みたいってことか?」
「ダメでしょうか?」

時絵さんはお願いする かぐやちゃんの必死な瞳をジッと見て、急に彼女の頬を両手で挟んだんや。

「かぐやちゃんのお願いする顔、可愛い〜わぁ〜! 部屋空いてるし、住んだらええ! 」
「ありがとうございます! 時絵さん、大好き〜〜♡」

抱きついていく彼女と、受け止める時絵さん・・・・・・もう本物の家族みたいやな。


「それで火村先生、先生にご報告が・・・・・」
「なんでしょうか、幸村さん」

向こうで時絵さんと猫の『もも』と遊ぶ かぐやちゃんを見ながら、幸村さんは火村と話してるんや。

「実はお嬢様には大学にも通っていただきたいと思っておりまして、火村先生が居られる英都大学に編入が決まりました」
「は?」

「お嬢様におかれましては すでにアメリカの大学を卒業しておられるのですが、同年代の方々と一緒に過ごされた事がなく、私としましても良い刺激になればと快諾いたしました」
「はあ・・・・・・」

「ですから火村先生、有栖川先生、これからも お嬢様をよろしくお願い申し上げます」

深々と頭を下げる幸村さんに、俺たちは「はい」と言うしかなかった。


俺は嬉しいけどなっ!!!

だってここに来れば彼女に会えるんやろ? 前よりここに入り浸ってやる!


そうや、いっそのこと・・・・・・俺も引っ越して来たらええやん! な! 火村!

「勘弁してくれ・・・・・・」
「イケズやなぁ〜〜」

「・・・・・ま、かぐやはいいが」
「おい! その呼び捨て止めんか? せめて、かぐやちゃんとか・・・・・」

「お前もすればいいだけのことだろう?」
「ぐっ!!!(出来るんなら、とっくにしとるわ!!!)」


「では私はお食事の用意を致しましょうか」

幸村さんが台所に立って食事の用意をし始めた。


そうして1時間後、かぐやちゃんの豪華な夕食に、俺も火村も時絵さんもご馳走になったのでした。



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



夕食の片付けをしている幸村さんの横に立った僕は、小声で彼に問うたのだ。


「もしや幸村さんは、彼女の母親のことを好きだったのではないですか?」
「火村先生・・・・・」

「幸村一郎さん・・・・・あなたはかつて弁護士でしたね? しかも優秀な。 しかし13年前、あなたは唐突に弁護士事務所をたたみ、真行寺家の執事になった・・・・・・それは何故ですか?」

「あなたは かぐやの祖父・・・蒔絵さんの父親に恩があった。 孤児だったあなたの面倒をみて、大学にまで行かせてもらい弁護士になるまで援助してもらっていた」
「いやはや・・・・・火村先生には、お見通しですな」

「そしてあなたは、蒔絵さんに恋をしていた・・・・・・違いますか?」

ふぅ・・・1つ、溜め息をついた幸村さんが、話してくれたのは、僕が予想していた事だった。


蒔絵さんより10才以上離れた幸村さんは、最初、妹のように大切にしていたんだ。

でも純粋に兄の様に慕ってくれる美しい少女を、1人の女性として愛してしまった。

そして兄と慕っていた少女も、いつしか兄ではなく1人の男性として彼の事を愛していた。


恩のある家のお嬢様に自分が懸想するなどと悩んだすえ、幸村さんは蒔絵さんの父親に全てを話したそうだ。

そして、少女から1人の女性に成長した蒔絵さんも、幸村さんの事を想い、2人は初めて想いを通じ合えた。


「奥様が・・・・・いえ、蒔絵さんが今のお嬢様くらいの時でした。 私はもう弁護士として若いですが事務所も構え、彼女に結婚を申し込み・・・・・イエスと返事をもらったのです」

「そんな時でした、蒔絵さんの大学の先輩であるアイツが・・・・・彼女をレイプしたのは」

私が駆けつけたときには、彼女は乱暴された後で・・・・・・慌てて連れ帰りました、私の家に。

そのとき穢された身を恥じて自殺しようとした彼女を説得しながら、私は・・・・・彼女を抱きました。

無かった事にすればいい! 彼女を抱いたのは私だと言い聞かせながら、私は・・・・・彼女と結婚するつもりでした。


しかし慎太郎は、レイプの様子をビデオに撮り大旦那さまを脅してきたのです。

彼女は自分のせいで家名に泥を塗れないと、泣く泣く慎太郎と結婚しました・・・・・・・・情けない事に私は、決死の覚悟で家を守ろうとする彼女を・・・・・・見てはいられなかった。

大旦那さまの依頼で婿養子にしても財産は譲渡できないよう、手続きをする事しか出来なかった。


そして6年後・・・・・・彼女から連絡があり、自分の娘を守って欲しいと話をされたとき、私は全てを捨てお嬢様を守ろうと思ったのです。

「火村先生、私の夢を・・・・・聞いて下さいますか?」
「はい」

「かぐやお嬢様が、愛し愛された方と結婚する・・・・・・そのお姿を見ることが私の、夢なのです」
「・・・・・・・あなたと蒔絵さんが叶えられなかった代わりに、ですか?」

いいえ、そう首を振る幸村さんは、穏やかな笑顔を見せて僕に、こう言ったんだ。


「私と蒔絵は、心が繋がっていました。 愛し愛された相手として、互いを想いあえました。 それだけで満足です」

「お嬢様にも、そういう相手がいて欲しい・・・・・できれば私達の様な形ではなく、幸せに・・・・・幸せになっていただきたいのです」


台所から居間にいる彼女を見て、幸村さんは穏やかにあたたかく、見つめてるんだ。

まるで、そう・・・・・・・まるで、愛しい我が子を見つめる、父親のように。。。



そう有栖に聞かせると、コイツはソファーに深々と座り込み、ニッコリと笑った。

準備もあると一旦帰った幸村さんと かぐや。
2人がいない居間で俺たちは、話している。


「そうか・・・・・きっと幸村さんは、かぐやちゃんの父親のつもりなんやなぁ〜・・・・・俺もさ、幸村さんの かぐやちゃんを見る目が、ものすっごく優しいからあの2人、本物の親子みたいやって思っとったんや」


「本物の親子みたい・・・・・ではなく、本当の親子だったら、どうする?」
「へ? なんや、それ・・・・・」

「おそらく脅迫して結婚した慎太郎氏と蒔絵さんには、夫婦関係が無かったと思うんだ。 かぐやはレイプされたときの子供なんだろう」
「はあ??? 」

「有栖、気がついてないか? かぐやと幸村さん、あの2人何処となく似ているんだ。 逆に慎太郎氏には似ているとも思わない」
「そりゃ、俺も思っとったけど・・・・・・でも13年間も側に居てくれたんやし、たまーに顔出す父親より過ごす時間は長かったと思うぞ! そしたら似てくるのも有りやないか?」

「同じ日に蒔絵さんは2人の男性に抱かれた。 きっと蒔絵さん自身も迷ったんだ・・・・・お腹の子がどちらの子か」
「え? ほしたら・・・・・本当の?」

「DNA鑑定したら判るんちゃうか? かぐやちゃんに言って、鑑定してもろたら」
「有栖・・・・・かぐやはもう気がついてる」

「ほへっ???」

「聡い子だ、母親の視線1つから幸村さんをどう思っているかなど、とっくに気がついているだろう・・・・・」
「・・・・・・初めて会うたとき、火村みたいやったもんな」

「母親の想いも、幸村さんの想いも、かぐやは知っている。 そして2人が自分を慈しんでくれていることも・・・・・・幸村さんが父親なんじゃないかとも、きっと幼い頃にはもう気がついてたんだろう」

「・・・・・・・・なんや良かったわ。 正直、慎太郎みたいな男が父親なんて救いないなって思うとったし」
「幸村さんから頼まれたことがある」


・・・・・・もしお邪魔ではなければ、火村先生と有栖川先生が事件の捜査協力をなさるとき、お嬢様を連れて行ってはいただけないでしょうか?

「なぜです? 僕らが行く事件現場は殺人事件の現場です。 若いお嬢さんに見せていいものではありませんよ」
「お嬢様は長い間、 “ 人の思い ” というものを知らずに育ってしまいました。 人の思いとは決して綺麗なものばかりではございません。 いいえ、悪意や欲に固まった醜い思いの方が多かろうと思います」


「これはお嬢様の願いなのです。 いずれは大旦那さまのように人の機微を見抜く眼を持ち、慈愛を持って接する事ができるように・・・・・人の善意も悪意も全てを、見たいと」
「しかし・・・・・もし、悪意に引きずられたら? 彼女はどうなりますか?」

「そのときは私が、この命をもってお嬢様を止めます! ・・・・・それにお嬢様は決して弱い方ではありません。 奥様に似て芯の強い方です」
「・・・・・・幸村さんに似て、優しいですしね」

「ほっほっほ・・・・・我が事よりもお嬢様を褒められると嬉しゅうございますな」

「分かりました、捜査には彼女にも協力してもらいましょう」
「ありがとうございます」




「という事で、かぐやも捜査に協力してもらう事になった」
「えええ〜〜〜・・・・・大丈夫かいな!」

「幸村さんもいるし、有栖もいる。 大丈夫だろう」
「ま、まあ、なんかあったら俺が守っちゃる!!!」

「・・・・・・・分かりやすいヤツ」
「なんか言ったか?」

「なんも?」


それから俺と火村と、かぐやちゃんは事件の捜査をすることになったんや。


事件現場に高級車&執事付きで乗り付ける お嬢様の事は、京都府警でも話題になったらしい・・・・・・






次からはドラマの中で、私のツボったシーンを書いていきます。

かぐやちゃんも交えての、少しづつ有栖と近づけていけたらと思ってます!


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すー※さん

Author:すー※さん
私的妄想世界が広がっております。
イチオシは窪田正孝さんの役柄いろいろ妄想話です♡(その他にも相棒の神戸さん、スネイプ先生や善徳女王など色々でございます)

最近は更新ができてませんが、発作的に投下してます。
8月、9月の試験に受かれば時間ができるので、それまでは見守っていて下さいませ。

合言葉は『シリアスからエロまで』・・・・・楽しんでいただければ幸いです。。。

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