あけおめ企画:【オフィスで……】

あけましておめでとうございます(^o^)/
短編でお遊び企画してみます!

題材は【社長(専務)と私(秘書)】
ベタですが(笑)……気軽に楽しんで頂ければ嬉しいです☆

※※※

ここは美室財団の秘書課

それぞれの役職方々に付いている秘書達が朝のミーティングをしていた

「ピダム社長の今日の予定は確認済みね」
秘書室長のミシルが確認をすれば担当のトンマンが頷いた

「はい、ミシル室長!」

「ポジョン専務はどう?」
「抜かりはありません」
担当のスンマンが微笑んだ

「他の役員達も大丈夫ですね!」
「「「はい!」」」
秘書室の中の役員付きの秘書達が頼もしく返事を返すのに満足気にミシルは頷いて返した

「いいですか?今夜は会社あげての創立記念パーティーが新しいうちのホテルであります」

「担当の役員達を時間通りにパーティーに連れてくるのですよ!!」
「「「はい!」」」

「会場となるホテルの準備は総務課と協力して行いますからね……さぁ、皆さん今日も一日頑張りましょう」

ミシルの号令のもとそれぞれの仕事に向かう秘書達だった


トンマンとスンマンが秘書室を出て、社長室と隣り合う専務室へ一緒に向かう為歩き出した。

「スンマンは今夜は専務とパーティーに出るの?」
「創立記念のパーティーだから出ないよ」
「そっか」
「トンマンは?」
「会場に着けば裏方しないと……ミシル室長に睨まれるから」
「そうだよね」
エレベーターに乗り込み最上階で降り目的地についた

「じゃ、今日もがんばろ」
「ええ」

其々が部屋に入っていった

※※※
【トンマン編】

コンコン!
部屋の奥の扉をノックし、入るとピダム社長は窓辺にたって外を眺めていた

すらりとした長身の後ろ姿にドキッと鼓動が高鳴る

……やっぱりこの人、カッコいい……

オールバックに撫で付けた髪と銀縁の眼鏡をかけたピダムが足音に振り返る

「おはようございますピダム社長」
「おはよう」
「今日の御予定です」
手にした手帳で一日の予定を読み上げれば社長は目を細目確認中……

「最後に創立記念パーティーに御出席されて終わります」
「パーティーの前に寄りたい場所があるから一時間空けてくれ」
「えっ、では役員定例会を後日に変更いたします」
「ああ、よろしく」
トンマンはパタパタと部屋を出ていき直ぐに戻ってきた

扉を閉めたトンマンの側に立っていたピダムが背後から抱きしめ、重厚な扉の鍵を閉めた

「社長?」
驚くトンマンを抱きしめたまま綺麗に纏めた髪から露になったうなじに唇が落ちる

「朝の会議まで時間は?」
耳朶を唇が掠めながら低く艶のある声がトンマンの耳から脳に染みていく

痺れる頭の中で先ほど確認したことを思い出す

「……はい、30分はあり……ます、社長」
「二人のときはピダム……だろ」
甘噛みした耳朶に細い華奢な体が震えている……獲物を見つけた獣のようにピダムの眼が鋭く捉えた

「いけません……社長」
「ピダム!」

スーツの上着の袷から入り込んだピダムの浅黒い手がブラウスの上から……もう片方の手がスカートの上を這い回る感触にトンマンの唇が戦慄いた

「ぴ……ピダム」
「そう……いい子だ」

不意に抱き上げられたトンマンは目を見張り驚きながらもピダムの首に手を回し掴まった

「くっくっくっ……」
「危ないじゃないですか」
口を尖らせ上目遣いで見上げて怒るトンマンが自身も知らずにピダムの心を鷲掴みしていた……

「ぐっ……」
急に真顔で自分を見下ろし……次いで頬や首筋を赤くしたピダムにトンマンが不思議そうに見入る

どんな商談でも飄々と薄く笑いながら進める社長ピダムの……こんな表情は初めて見たトンマンだった

「お前……そんな顔して卑怯だぞ」
「何がですか!……卑怯なんて聞き捨てならないです」
「その顔……他の男の前でするなよ」
「え?」

無意識なトンマンの様子にピダムは溜め息をつく

「そんな顔で誘われると弱いんだ……俺」

ますます尖らす唇と頬まで膨らましたトンマンが可愛くて……ピダムは社長の椅子にトンマンを降ろして跪ずいた

「社長!!」
「考えてくれた?」
「何を……言われているの……か」
俯くトンマンの顎を捉えて口付ける……

「俺と結婚してよ」
「しゃ……社長!! 恋人って話じゃなかったですか?」
「そうだよ!結婚を前提に付き合う恋人になって」
「……私は」

不意に銀縁の眼鏡を外したピダムの顔を見下ろして……ドキドキと高鳴る鼓動がトンマンの頬を赤く染める

「他の男に取られたくないんだ……俺だけのものになって」熱く潤んだピダムの黒曜石の瞳に星が散りばめられる……

この人のこの瞳に捕まってキスを重ねていた自分を思い出すトンマン

二人の仲はまだキスだけ……でもだんだんと体を触れて求めてくるピダムにトンマンも拒めなくなっていた

《でも……》
胸に過る不穏な噂……
社員なら知っている噂があった

《社長は秘書を食べちゃうんだって!》
《きゃ~嘘~~~でもピダム社長なら食べられたぁ~い》
《私も~カッコいいんだもの~~》
秘書室の奥の給湯室での噂話……

《でも飽きられたら捨てられるんでしょ?》
《秘書だもん簡単でしょ》
《それでも抱かれてみたいわ~~ピダム社長に》

かしましく騒ぐ噂雀の無責任な話がトンマンの胸に棘のように刺さっていた

自分は器用じゃない……遊びと分かっていて付き合えない

この前から申し込まれていた【恋人】の話もはぐらかしていた……

「私は器用ではありません」
「ああ……不器用だな」
「秘書なら秘書として社長にお仕えすることしかできません」
「それで?」
「……遊びと割り切っての恋人には……なれません」
「遊び?」
「先輩達が言われてました……社長は秘書を食べちゃうって」
「な!……なんだと」
「それでもいいって思ってます……でも飽きられたら側にも居られなくなるって聞いて……」
「トンマン……」

「私……変なんです!社長に何度もキスされてたら……体が熱くなって……ぞわぞわして……何か変な病気かもしれません」

「トンマン……」
「でも……社長が……社長のことが……わたし……」

真っ赤に俯くトンマンの体を抱きしめたピダムはゆっくりと話始めた

「俺は真面目だよ……生涯の伴侶は君しか考えられない」

胸に耳が当たったトンマンは低く艶やかな声を聞いていた

「秘書なんて抱いたことないよ……噂じゃなくて俺を信じて」

「結婚を前提に付き合って下さい」
いつにない真摯な瞳にトンマンは真っ赤になりながらも……頷いていた

※※※
【スンマン編】

「コーヒーをお持ちしました」
ノックの後、部屋に入り専務の机にコーヒーを置く……毎朝の日課になっていた

「ありがとう……いい香りだ」
「専務、今日の御予定ですが……パーティーの前にあった定例会が変更になりました」

先ほど連絡のあったことを付け加えて話終えたスンマンが一礼し下がろうとした

「待ってくれ」
穏やかなポジョン専務の声に何事かと振り向いたスンマンが……

「……んんっ……」
「……スンマン……」

抱きすくめられ口付けされ……角度を変え深まる口付けに舌を絡めあい……

「んっ……専務……いけません……」
「いつものように……私の名を呼んで……」
唇が離れる僅かな合間に囁きあう

「…んんっ…ポジョン……」
「スンマン……」

スーツの上着のボタンを外され脱がされ……スンマンはブラウスの前も開かれた

扉を背に立ったスンマンの唇から離れ……首筋…喉元…鎖骨から白い胸へとポジョンの唇が辿っていく

昨夜、自分が付けた花弁のような赤い痕を再び辿る唇にスンマンが身悶える

「あっ…やめ……だめ…です」
「何故?」
「会議まで……時間がありませんから……」
ぽっと頬を染めたスンマンが恥ずかしそうに続ける
「途中で…止まれない……」

常は秘書としてキリリとした切れ長の瞳が……潤んで揺れて頬が染まり艶やかで美しい……

「そんな貴女を見て離せると思う?」
「……駄目なものは駄目です……あっ!」
「キスなら……いい?」

深く舌を差し込み絡ませて……息があがり足から力が抜けるスンマンの腕を自分の首に回し、ポジョンの腕が腰に回り支えている

その力強い腕が頼もしくて……首に回した腕に力を込め厚い胸に躯を擦り寄せるスンマンにポジョンが苦笑した

「蛇の生殺しみたいだな……」
「え?」
うっとりと微睡むようなスンマンの額に口付けると、服を直してソファーに座らせた

「定例会が無くなったなら時間があくね」
「……はい」
「その時間、私に付き合ってね」
「……はい」
隣に座りきちんと纏めた髪を撫でると、こてん……と肩に頭を、胸に躯を預けてくるスンマンに微笑むポジョン……

ひとときの優しい時間が過ぎていく

※※※

パーティーの1時間半前に別方向から来た黒塗りの車が二台、とあるブティックのビルに止まった

車を降りたピダムとポジョンが見合わせて笑いあった

「お前もか?」
「兄上も?」

其々が相手を連れて店内に入っていく

「社長……」
「専務どういうことですか」

分けも分からないまま仕度をされ、ヘアメイクも完了したトンマンとスンマン

「さぁ~ピダム!ポジョン!美しい女神達の支度ができたわよ」
このブティックのデザイナーが満足そうにトンマンとスンマンを案内してきた

ソファーに座り待っていた二人が振り返り見れば……息を呑んで驚いている

「ふっふっふっ……素材がいいから腕の奮いようがあったわ」

トンマンは淡いブルーのシルクのドレス、スンマンは藤色のシルクのドレスだった

「ポジョン!あんたドレス着せるつもりなら痕なんて付けないのよ~……まぁ、ビーズとペイントで誤魔化したけどさ」

スンマンの露になった肩や背中には所々花びらをあしらったボディペイントが華やかさをプラスしていた

「専務……どういうことでしょうか」
スンマンの前で跪ずいたポジョンが指輪を差し出した

「私と結婚して下さい」
「!!!」
驚愕に瞠目したまま凍りついたスンマンの横で見守るトンマンの手を掴んだピダムが豪華なサファイヤの指輪を左手の薬指に嵌めた

「しゃ……社長!」
「今朝オッケーしただろ?婚約指輪は改めて見に行くことにして……これは婚約指輪のつなぎだ」
「ええ!!!」
「ポジョン!先に行くぞ」
トンマンの肩からコートをかけてピダムが優しく車に乗った

※※※

「返事を聞かせてほしい……」
「急すぎます……考えさせて下さい」
「私では不満?」
「……貴方に相応しくありません……私は今のままがいい……」

すっ……とポジョンを交わしてフィッテングルームに戻ろうとするスンマンの後を追ったポジョンが続いて入った個室の……その部屋の鍵をかけた

「ポジョンはピダムより頑固だからね~諦めなさいよ彼女~~~」

しばらくして出てきた二人の手がしっかりと繋がっていた

「愛してる……君だけを」
スンマンの左手の薬指に深い赤のルビーを嵌めたポジョンが抱きしめていた

「さ、パーティーに遅れるわよ~~~行った行った」

※※※

「このバカ息子ども!!……パーティーに遅刻するつもりだったの!!」

ミシルの怒号がピダムとポジョンに落ちた

「ま、上手く嫁を捕まえられたのなら許しましょう」

「ええ!!……ミシル室長が会長夫人」
心底驚いているトンマンとスンマンにミシルは口角を片方だけ上げて笑っている

「ほっほっほっ……実際は内部監査も兼ねてますがね~」


……その夜、パーティーでピダムとポジョンの婚約発表がなされ、トンマンとスンマンに注目されたが……

二人の美しさと幸せそうな様子に会場は祝福の拍手が鳴りやまなかった


※※※

本当はオフィスでラブラブさせようと思いましたが正月一発目にあまりエロも……何だかなぁ~ということで(笑)

ではこれにてゴメン!!(書き逃げします)

ε=ε=┏( ・_・)┛
     

あけおめ企画:【秘書な私…】

女の子してて切ないスンマンを書きたくて……

※※※

美室財団秘書室……専務秘書。

それが私の肩書き

秘書室の何十人の中から新人の私が……何故か抜擢され専務秘書として働いている

トンマン先輩の厳しい指導で仕事はできるようになれた……

「はぁ~……」
私は今、ホテルのバーでカクテルを前に溜め息をついてる

仕事はやりがいを見いだして充実している……だけど……

カクテルのグラスを眺め物思いに耽る……あの人のことを

「今頃……専務は……」

そう、秘書な私は何でも屋だ

ポジョン専務が恋人と会うホテルの部屋の手配もルームサービスで届けさすシャンパンや料理も……私が手配した。


いや、恋人の何とか言う女優を撮影現場からホテルの部屋まで届けたのも私……

部屋の奥から迎えでた専務の笑顔が頭にちらつく……

やるせなくて……そのまま夜景が自慢のこのホテルのバーに来ていた。

纏めた髪を解して、パンツスーツの上着を脱いでカウンターに陣取った

いつからかな……専務のことが気になったのは……

私はどうせ『論外な女』なのに……恋なんてしないって誓ってたのに、どうして……

繰りごとの愚痴が頭を回る

私の初恋は中学の頃……気になる男子が放課後、仲間と私の事を話していたときに言っていた。

「スンマン?……あんな武道して強いわ、背が俺よりデカい女なんて論外でしょ~~~」
「そうだよな~~」
「論外、論外~~~」
「ぎゃははははっ」

正直、ショックだったけど事実なんだし……世の中で一人くらい私を愛する人はいるだろうと必死で自分を慰めてた


そんな事もしてたけど……決定的だったのはアメリカに祖父の知人の家にホームステイしたときだった

「俺の取り巻きにもできない女だ……論外な女だよな」
金髪碧眼の王子様みたいに綺麗な人に言われたら……

認めるしかない……

「私は論外か……」
あれから何年経とうと心の奥の柔らかい襞の中で、硝子の破片を埋め込まれたみたいに不意に痛むときがある


くぃっとカクテルを飲み干すとお代わりを頼んだ

火照った頬に髪が当たって……煩くてかきあげる

「スンマン?」

直ぐ近くで声がした……聞き覚えのある声

「アルバート・フォレスト」
金髪碧眼の王子様みたいな綺麗な男が立っていた……女を連れて

「久しぶり!っていっても先週も会ったな」
「……」
「今夜はどうして此処に?」
「酒を飲みに……悪い?」
「悪かないけど……一人でか?」
「ええ……誘われる人もいないから」
「じゃ、俺と飲もうよ」

あっけらかんと笑って言うアルバートを睨み付けた

「いやだ!」
「なぜ?」
「彼女と来てるんだから彼女を構いなさい!……私は一人がいいの」

「彼女?違うよ~~~暇つぶしに誘っただけ」
「何よそれ~~~」
後ろにいた女性が金切り声で抗議するのに辟易で……アルバートを睨む

「女性を大事にしないといつか刺されるわよ」
仕事用のダテ眼鏡を外して、まだ続くキンキン声に頭が痛む

「彼女とあっちで飲んでよ」
「すぐ戻るから此処にいろよスンマン」
「さあ~…」

二人が店を出たのを確認してカクテルをゆっくり味わう

※※※

「スンマン!!」
「本当に来たの?」
「ああ、君を一人で飲ませるなんて僕にはできない」
「ふん!……騙されないわよ」
「何が?……いつも思ってたけど僕なんかした?」
「諸悪の根元はアンタよ」

首を傾げてまじまじと見るアルバートが憎らしくなる

さらさらな金髪が揺れて青い瞳が驚いている……そんな顔もカッコいいなんて美男は得だわ

「私は論外なんでしょ?……構わずにデートしてれば?」
「論外?」
「アンタの取り巻きにもできない《論外な女》って言ったんだから……あの時点で私はアンタに近づかない事に決めたの」

「……覚えてるよ……」
《ホームステイに来た日本の女の子……会うまで馬鹿にしてたが……あんまり綺麗で驚いた僕はわざと君に酷いことを言った》

《君はひどく傷付いた顔して青ざめて……僕は罪悪感で一杯になった》

「謝るよ! 跪ずいて謝るよ……だから許してほしい」
席を立つアルバートを押し戻した……そんな目立つことしてほしくない

「やめて……謝られても……事実なんだし……私は……私……1つも魅力なんて無いから……」

言ってる間に、不意に目頭が熱くなり鼻の奥がツンとした……酔ったのかな?

目に溢れそうな涙を隠したくてアルバートとは反対の方へ顔を向けたら……

ちょうど入口からポジョン専務と恋人が入ってきた。

肩を抱き優しくエスコートする専務に私は恋人の女優が羨ましくて……羨ましくて……瞬きすると涙が溢れた

《身の程知らずとは私のことか……》

専務に見つかりたくない……今更だけど顔を反対に向けたら真正面にアルバート……

「スン…マン……泣いて……」
おろおろと狼狽するアルバートが可笑しい……

昔から連れ歩く女には事欠かないし、見る度違う人を連れてるアルバートが震える指で私の涙をぬぐう

その指から顔を背けバーテンに会計を頼んだ……もう此処から出よう

「僕が払うよ」
「自分で払うからアンタはもう行って……」
「嫌だ……このまま別れたら君は俺に心をくれない」
「な……何言ってるの?」

不意に腕が体に絡み付き、頭の後ろに回された手が引き寄せられ……唇が重なる

「んんっ……やっ……」

ここはホテルのバーで、混んでいないとは言え他の客もチラホラいるのに!!!!

専務に見られたら恥ずかしい……そればかり頭に浮かんでる

「いや!!」

いくら武道をしていてもこんな展開に動転するだけの私は頭を振って腕を突っ張り、また近づく唇と身体を避けるだけ

それでもアルバートの細身だが鍛えた身体にはビクともしないのが悔しい

「止めて!……嫌だ……」

「止めないか……嫌がってるじゃないか」
聞き覚えのある声が……後ろから降ってきた

「専務……」
驚いた私は一瞬で力が抜けて……

※※※

呆然と見上げた私に専務が訝しげに見つめる

男にキスされて慌てふためくだけの自分が恥ずかしい……

たかがキスで……だけど初めてのキスで……24にもなって大人の女性として振る舞えない自分が恥ずかしい……

「大丈夫です。ありがとうございました」

頭を下げ荷物を持って店を飛び出した。

「あっ…会計!」
一旦戻りそろそろと入口で会計をしようと近づく私をアルバートが近づいた

「スンマンは真面目だから此処に居たら戻ると思った……払ってあるから大丈夫だよ」
「それ以上近づけば……今度は遠慮しない」
「へぇ~~どうするの」
構わずズンズン近づくアルバートの腹に拳を入れ、返す手で首に手刀を入れる寸前で止めた。

腹の一撃も加減したから少し痛がるくらいなアルバートを睨んだ

「私は遊びでああいう事をする男には虫酸が走る……今は手加減したけど今度は本気で打ち込むから」

言い終えて帰ろうと歩き出した私に……
「僕は本気だよスンマン……君が誰かに恋し始めた事を知らないとでも?」

左右の暗がりから黒ずくめの男達がばらばらと現れた

※※※

私を専務と呼んだあの女性……

入口の前で目を惹かれた艶やかな黒髪の女性が、私を見て涙を流した

理由が知りたくて見つめていたら隣の男にキスされて……嫌がってるのを見たら体が動いていた

慌てて去った彼女が気になり……連れを置いて店を出た。

金髪の男の後をつけてみれば……真面目な娘なんだな会計をしに戻ってきた

……スンマン…?…秘書の?……あんな綺麗な女性だったのか?

見ている間に両側のカーテンの暗がりからばらばらと男達が現れて彼女を囲む

「危ないな」

腕に自信はあるが人数が多いし……たぶんSPなんだろう、動きが訓練されたものだ……彼女だけでも助けたいと走り出した

※※※

「……もうおしまい?」

ぱんぱんっと手を打ち服を払うスンマンの回りには床に転がるSPがいた

「アルバート……友人ならば会うがそれ以外なら二度と私の前に現れるな」

「諦めないから」
微笑みながら悠然と去っていく後ろ姿を見送るとパンパンと拍手が響いた

「え?」
「強いんだね……」
振り返ると専務がいて、ニコニコ笑って床に放り出した私の荷物を持っている

「少し落ち着かないと……」

肩を優しく抱かれてエレベーターに乗せられ部屋に入った

ルームサービスでコーヒーを頼む専務の声を呆然と聞いていた私はハッと我に返る

いけない……専務のプライベートを邪魔しては!!

ダテ眼鏡をかけ、髪をクルクルと纏め上着をキチンと着た私は鞄を持ち部屋を出ようとして……止められた

「やはりスンマン君だったのか……その格好だと分かるよ」
「申し訳ございません……直ぐに失礼致します」
「焦って出なくていいよ」
「いえ、秘書が専務のプライベートを邪魔しては……あの……専務、恋人は?」
「ああ……忘れた」
背広の中で携帯が鳴って出た専務が掌を私に向け黙っているよう促した

「恋人はいなくなったよ」
「は?」
「置き去りにされて怒って別れると言われた」
ニコニコ笑ってる専務が分からない

「もう我儘に振り回されるのも飽きたし……本気じゃないからいいんだよ」


……専務って女の敵な人種だったのね……

「アルバートと一緒だ」
私の呟きに専務の目が鋭く細められた

アルバートの名で不意に唇に感触が蘇って……嫌悪感で手の甲でゴシゴシ擦っていた

ふかふかのソファーに座らされ、そのまま専務が横に座っても私はゴシゴシ擦っていた

「止めなさい、唇が腫れてしまう」
専務の手が私の手を掴んで外す

「もしかして……キスは初めてだったの?」
「……はい」
「スンマン君は幾つだった?」
「24です」
「今まで彼氏とかは?」

「……いません」
俯く私の顎に専務の指がかかり……上向かせて……チュッと唇が重なった

びっくりして目を見開いた私の眼鏡をとり、髪をほどいた専務の手が……髪を鋤くの感じて……

「消毒してあげようか?私で良ければ」
「え?」
近づく専務の顔が……唇が重なって……舌が口の中に入ってきて……

「……んんっ……」
嫌じゃない……むしろ信じられないくらい幸せで……躯から力が抜けてしまう

差し込まれた舌が口の中を思うまま……だけど優しく蠢き……私もおずおずと触れてみた

「……んっ……」
触れた途端、一気に絡め取られ息もできないほど吸われて……頭が真っ白になっていく……

どれだけ口付けていたのか……専務の唇が離れたのも気づかずにボーッとしてる私の髪を指に絡ませて笑っている

「消毒になっただろう」
「……はい」
「これが君のファーストキスだからね」
「‥‥‥はい」
「私と付き合わないか?」
「……はい……え゛っ!!!」
「ちゃんと返事したね。キャンセルは受け付けないよ」
「いえっ!あの!……私は専務のお相手などできないです」
「私だと不満かな」
「不満なんて!……違います!専務にはもっと綺麗で大人な女性がお似合いだから……」
語尾が小さくなる

「私は男性には《論外な女》ですから」
「《論外な女》って何?」

私はこれまでの事を話した

※※※

驚いたな……
自分の魅力に気がつかずに生きてきたのか……

中学の時も、ホームステイした時も、きっと相手は君を意識した照れ隠しで言っただけだろうに……

艶やかな黒髪に切れ長の大きな瞳が美しい……

面接のとき、たまたま見かけて気になり自分の専属にした

キチンとした仕事ぶりも細かな配慮も彼女を得たことに満足を得られた

どんどん予定を任せて今は彼女がいないと私は自分の予定が組めないほどだ

美しい……とは思っていたが、いつも控えめに目を伏せている彼女を間近で真正面で見たのは初めてだな……

手に入れたい……

「君は自分の美しさを知らないだけだよ」
「あの……」
「私が気づかせてあげるよ」
ニコニコ笑う専務……私でいいのかな

「お試し期間は1ヶ月」
「お試し?」
「そう、私が君の恋人にふさわしいかどうか、君が1ヶ月後に決めていいよ」
「1ヶ月・・・・・それまでは私が専務の恋人」
「もちろん、同意がなければキス以上はしないよ・・・どうかな」

夢のような専務の言葉に・・・・・私は頷いていた

1ヶ月の恋人・・・たとえそれ以上は付き合えなくても・・・専務に恋人として夢がみれれば私は・・・

「よろしくね、スンマン」
額にキスをされて私はまた真っ赤になって俯いた

*****
すいません!  どうしても書きたくて書いちゃいました!
でも、この1ヶ月の恋人って設定にまたハマりそう・・・
いやいや、次は現代版を書きますから!

今年もよろしくお願いします
     

専務と秘書企画:【1ヶ月の恋人】

自分に自信の無いスンマンと自信家なポジョン……いつもと反対ですね(笑)

※※※

「専務……いけません」
「どうして?君に似合うよ」
「こんな高価な物!頂けません」

あるファッションビルのブティックの中、スンマンを連れたポジョンが服を次々店員に指示していく

店員は大喜びの笑顔でスンマンは次第に青ざめていった

ワンピースやスーツ一着で自分の1ヶ月の給料が飛んでいく金額に、嬉しいよりも怖くなっていた

「私がしたいのだ……黙って受け取りなさい」
「……嫌です」
スンマンの声が固いものに変わった

ポジョンにとっては『あの服が欲しい、鞄が欲しい、指輪が欲しい~』とねだられる癖が付いていたからか買い与えて当然と思っていた

「必要なものは自分で買ってますし……正直こういう服を着て出掛ける所も知りません……」

ワンピースを指差し恥ずかしそうに俯く……

「ならこれから1ヶ月の間、私と出かける時に着てほしいな」
「ではお気持ちを頂いて少しだけ……専務選んで頂けますか?」
「可愛いい事を……私の趣味でいいのかな?」

「申し訳ございません……私、何が似合うのか分からなくて……」

《自分の魅力に気がつかず……というより無意識に避けているのかもしれん。女性らしさを……》

「分かった、選ぼう……君の美しさを引き立たせる服を」

あれと、それと……と手際よく選ぶポジョンに気づかれないようにスンマンは溜め息を一つ……ついた

《違いすぎるのよ……専務が付き合う女性と私は……》

不思議だった……

恋人が居ないとは言え、専務なら女性は選り取りみどりだろう……私なぞを構わなくてもいいのに

でも……憧れ、募らせていた想い人と少しの間でも付き合えるなら自分は幸運だと思った

アルバートと同じ人種と知っても……想いは変わらなかった

「アルバートと同じって……どういう意味かな」
場所が上品なレストランに変わり、ワインを飲みながら唐突に言われたスンマンは咄嗟には言葉が出なかった

「……モテる男性という意味です」
「ふぅ……ん、てっきり私は取っ替え引っ替え女性と付き合える男って意味かと思った」
「ん゛っ……ごほっ」
喉を詰まらせたスンマンを面白そうに見つめたポジョンの眼が確信していた

「その通りみたいだね……ま、いいけど」

二人は仕事終わりに毎晩夕食を共にしていた

女性の扱いも上手く、気さくで話題も豊富なポジョンにスンマンは惹き込まれていった

一週間が経つまでには緊張も解けたスンマンはポジョンの話しにコロコロと朗らかに笑うようになっていた

二週間が経つ頃にはポジョンのアドバイスに従い着せられていた感のある服も着こなし、それに併せて化粧も立ち居振舞いも変わっていった

おどおどと対していたスンマンは影を潜め……蛹から蝶が羽化するように新たなスンマンが生まれていた

ポジョンはそんなスンマンに満足した

当初の目的:スンマンを女性として花開かせる……ことに上手くいってポジョンは上機嫌だった

《足長おじさんもそろそろ終わっていいかな……》

もとよりポジョンはスンマンとベットを共にする様な付き合いをするつもりはなかった

それより男達を倒した凛々しきスンマンと、それ以外のおどおどと顔を伏せてばかりのスンマンとの溝を埋めたかった

《1ヶ月かからなかったな》

堂々と仕事するスンマンを見ていて……美しいと思った

凛々しく優雅な立ち居振舞いもトラウマが無ければ元々スンマンに備わっていたものだろうからな……満足そうに頷くポジョンはスンマンにコーヒーを頼んだ

※※※

「この頃スンマン君は綺麗になったよな……何があった?」

秘書課のコーヒーやお茶が無くなり総務課に取りに行ったスンマンに馴れ馴れしく話しかけた男がいた

総務課の木田 真司……取引先の息子で仕方なく採用した男だが、仕事せずに女性社員を追いかけ回しているから総務課の厄介者になっていた

「前と変わりませんが……ではこれだけ貰っていきますね」
両手にコーヒーやお茶っ葉を抱えてエレベーターに乗ると、木田まで乗ってきた

運ぶのを手伝うわけでもなくジロジロとスンマンの体を眺めていた木田がエレベーターの扉が閉まったとたんスンマンに抱きついてきた

「何をするんです」
「急に綺麗になったのって俺がこの前誘ったからだろ」
「違います!……断ったじゃないですか」
「本当のこと言えよ」
「勘違いしないで!!!」

落としそうなコーヒーを抱えて避けていたスンマンがエレベーターの扉が開いた時に飛び出して給湯室に逃げ込んだ

「びっくりした……何なのあれ」

気をとり直して棚にしまっていたとき……最後に背伸びして一番上の棚に置こうと台に登ったスンマンの無防備な体に手が伸びた

「きゃあ゛~」
「私だよ」
見ればポジョンが不安定なスンマンを支えていた

「あ・専務……」
「危ないじゃないか」
「何か御用でしたか?」
固く強張った体が自分だと分かった途端、体中の緊張が消えた……鋭いポジョンが掌から感じとっていた

コーヒーを頼むと違う秘書が煎れてきて……一口飲んで止めた後、スンマンに煎れて貰おうと聞けば総務課に取りに行ったと言うからエレベーターの前を見ていた

ガラス張りのエレベーターが到着したとき、中の光景にポジョンの拳が握られた

男がスンマンを触ろうと襲っていたからだが……ひらり、ひらりと交わすスンマンはさすがだった

飛び出して行ったスンマンの後を追う木田の前に立ち塞がると、すごすごと帰っていった

※※※

「明日は休みだろう……デートしよう」
夕食を共にしながら……今夜は料亭だった……ポジョンが言い出した

「何処に行きたいかな?」
「……何処でも良いですか?」
「ああ」
「遊園地に行きたいです」
真っ赤になったスンマンが箸を置いて言った

「遊園地? ……いいよ、行こう」
「私、行ったことなくて……小さな頃から行ってみたくて」
「小さな頃から?」
訝しげなポジョンだが無理に聞き出さずに明日の打ち合わせを二人で楽しんで食事を終わらせた

スンマンの家は昔ながらの日本家屋で大きく立派だった

送ってきたポジョンが車の中にスンマンの忘れ物を見つけ運転手に待つよう言い置いて玄関に立った

チャイムが付いていない玄関の扉を開けると……

バシッ!!!
スンマンが中年の女性に頬を叩かれていた

「スンマンさん、くれぐれも結城の名を汚さないように行動しなさい」
「はい……」
「毎日外で男性と食事するなんて!はしたない……貴女の母親そっくりね!」
「申し訳ございません……お義母様」

「ふん!今まで我慢して育ててやったんですから家の役に立つような所に嫁に行きなさいよ」
「分かっております」

呆然とするポジョンの側に誰かが立った
「此方へ」
ポジョンが呆気にとられていると着物を着た老婦人が手招きした

「みっともない所をお見せしました……私はスンマンの祖母です」
「私は……」
「【1ヶ月の恋人】の専務さんですね」
「御存じでしたか」
「あの娘は辛抱強い良い娘なんですよ」
スンマンの祖母の部屋で事情を聞いたポジョンはやっと自信の無さすぎる事を理解した

スンマンは父=結城 真充(ゆうき・まさみつ)が妻ではない女性を愛し成した子供だった

産後、母が死んでこの家に来たスンマンは当然のように歓迎されず祖父や祖母に育てられていた

大きくなり本妻の子供達より武芸の才に秀でたスンマンを疎ましく思った本妻が何かにつけて辛く当たること……我慢強いスンマンは誰にも言えずにいることを祖母から聞いた

「あの娘がね……貴方のことを頬を桜色に染めて報告したんですよ」
「何と?」
「憧れてた人と1ヶ月、恋人になれたって……そりゃ~嬉しそうに」
「憧れ?」
「貴方の仕事に打ち込む姿勢に前から憧れていたそうです」
「初耳です」

ポジョンに祖母が頭を下げた

「お願いがあります……この家に居たら今にあの娘は壊れてしまう……この家から出る勇気を与えてやって下さい」
「それでいいのですか?」
「私の望みは……あの娘が、あの娘らしく生きていくことなんです」
「わかりました」

スンマンの忘れ物を預けてポジョンは帰っていった

「貴方には戯れでも……スンマンには一度の恋でしょう……精一杯、燃やしてやりたいと願う愚かな婆の願いを……お頼み申します」
ポジョンが去った方向に頭を下げる祖母がいた

※※※

翌日の朝、ポジョンはスンマンの家の玄関まで迎えに来ていた

出てきた女中からスンマンを迎えに来たと聞き、義母が興奮してどんな男か見に出てきたのに対しポジョンは……

「朝早くから申し訳ありません。美室財団専務のポジョンと申します……」
「あの美室財団の……」
「スンマンさんをお借りします」

にっこりと笑い出てきたスンマンの肩を抱いて車に向かった

「あの!専務!……迎えに来てもらわなくても大丈夫ですから」
「余計なことだったかな?」
「あ……」
「大丈夫だから……今日を楽しもう」
「はい」

※※※

二人で遊園地での楽しい時間を過ごした帰りの車の中……

くぅーくぅーと寝息をたて始めたスンマンを抱き寄せ肩に頭を持たせかける

「無邪気な寝顔だな……」

思えば、毎日のように付き合っていてキスもせずに過ごした女性は彼女が初めてだな……

最初にして以来、触れずにきた唇に…… そっと指で触れてみれば柔らかく……髪から香る匂いにも刺激され……

【どくん!】と脈打つ鼓動の大きさに体が跳ねた

《触れたい……柔らかな唇を、胸を……匂いたつ肌を……私の肌と併せて……甘い声を出させたい……》

突然に沸き上がった欲望はポジョンを慌てさせるのに十分だった

それと同時に喉がひりつくほどの乾き……餓えが襲う……

抱くのは簡単だ……だが、と自問自答してしまう

純情な娘を自分が汚していいのだろうか……男を知らない彼女を……

無邪気に寄せられる信頼を裏切ってもいいのだろうか……

棚に置こうと不安定な姿勢のスンマンの腰を支えたとき……緊張の解けた体はポジョンへの信頼を示していた


だが、欲しい……

一度自覚してしまえば気づかぬふりなど……もう出来ない

彼女が欲しい……欲しくて堪らない……

身体中の血が彼女を欲して沸騰するような感覚など味わったことなど無かった。

「帰りに女を引っかけて抱くか……」
だが、そう考えた途端ポジョンの体は冷静な静けさに戻ってしまった

「はっ……なんてことだ」
彼女しか要らない、欲しくない……なんてことだ……


プレイボーイを自認していたのに……捕まってしまったか……

彼女しか欲しくない……ならば!!!

運転手にホテルに行くよう指示し、電話でスィートを取り、ルームサービスも頼み電話を切った

「眠り姫は……起きたら逃げてしまうかな……」

ちょうど三週間たった今日に賭けてみた

「逃げればいいかもな……私のような酷い男に捕まるよりも……」

言葉とは裏腹にスンマンを抱き寄せる腕に力を込めているポジョンの顔は……

本人も気がつかないほど真剣で哀しそうな顔だった

「スンマン……」
ホテルに着くまで額にそっと唇をつけて……何かを耐えるように、何かに怯えるように……

ポジョンは動かないままだった

※※※※※

一気にポジョンがその気に!!!

次回はパスワード付きな展開ですので(笑)
     

②☆専務と秘書企画:【1ヶ月の恋人】

前半はデート♪デート♪
後半はエロポジ全開MAXです☆

※※※

「あっはっはっ」

専務のこんな屈託のない笑顔が初めてで……私は歩みを止めて見入ってしまう

ここはキャラクターが有名なTDR

遊園地さえ行ったこと無い私はもちろん初めての場所で……

余りの人の多さに気後れしちゃった

すっ……と手を握られて堂々と歩いていく専務が頼もしくて、つい聞いてみた

「専務は来られた事あるんですか」
「ん?……初めてだよ」
「えっ?」
「HPで予習したよ必死に! まごついて恰好悪いとこ見せたくないからね……だから眠い」

う~~~んと両腕を上げて背伸びする専務が可笑しくて、少年みたいな笑顔が可愛くて……胸がキュンって締めつけられてしまう

今日はいつものスーツではない専務に、私の頬が熱くなっていく……

V首の柔らかなチャコールグレーのセーターに黒のGパン、上にはショート丈のダウン

髪もラフにされてて、専務が癖っ毛だって分かって……何だか得した気分

「あっちに行ってみよう」
私の手を包む大きな掌が暖かくて……握りあった手に力を込めて、この気持ちを少しでも伝えたい

アトラクションに乗るのも、その為に待つ時間の方が楽しくて……


女性には何処か冷めてる専務だけど、仕事ぶりは真面目そのもの……綿密に調べあげて社長の手助けとなるネタを提供したり

社員がてこずる案件も、相談は気さくに受けて他の役員達みたいに垣根を作らない

今だって初めて来たなんて思えない程、何もかも詳しくて……昨夜は眠る時間あったのかしら?


「おっと!」
ぼーっと専務を見てたら前から来る人とぶつかってしまった私……

///// どんくさいわ私

おまけに、よろけた私を専務が抱きしめてくれて……転ばずにすんだなんて~~~

///// 恥ずかしい……

抱きしめられて触れた鍛えてある感触に、つい……ダウンを開いて胸を触ってる私を専務がニヤニヤと見ている

「スンマン君も大胆だね」
「あ! ////// 良い筋肉だなって、つい……」
「まぁ、何があるか分からないから鍛えてはあるがね」

「武道を?」
「空手をかじってるよ」
「そうですか」

専務がベンチに私と座り、私はまだダウンの中に手をやり上腕を触っていた

※※※

「結城流は古武術の流れだったよね」
「はい、合気道や柔道を合わせたような流派です」

「楽しい?」
「無心に稽古してる時は楽しいです……でも」

「どうしたの?」
「最近は稽古を止められてて……残念です」

色々話していた二人はよく笑いあう

それからもアトラクションや待ち時間を楽しみ、パレードも楽しみ……あっという間に帰る時間になった二人は車に乗り込んだ

「今日は楽しかったです」
「私も楽しかったよ」

ゆらゆらと揺れる振動にスンマンの瞳が とろんと潤み始めた

「くっくっくっ……遠慮せずに眠りなさい」
「いえ!大丈夫です」

頑張って目を見開くも……また、うとうととし始め……ついには眠ってしまった

「くっくっくっ……無防備な……」
スンマンを抱き寄せ、頭を肩にもたせかけて……

ポジョンは自分が知らずにいた感情に初めて気がつき……その大きさに戸惑った

だが、自分の心に問う……
ただの欲望だけでスンマンを抱きたいのかと……

外の景色を見つめながら、静かに自分の心に向き合い、腕の中のスンマンを見つめる

……他の女など、もう興味もない自分を見つけてしまった

この三週間、自分はよく笑っていた

こんなに屈託無く笑っていられたのは……おそらく子供の頃以来だな……

ならば……と再び自分の心に問う……

彼女の躯だけが欲しいのかと……答えはすぐに出た

《否!!! 心が欲しい……私だけを愛して欲しい……》


「彼女次第だな……」

拒まれれば帰せばいい……無理強いなどしたいわけじゃない……心底嫌われたくなくて出来やしないさ

そうケリをつけたポジョンは腹をくくり運転手にホテルの名を告げた

携帯で連絡してスィートをおさえると、しっかりとスンマンを抱き寄せ……その額にそっと唇をつけて……

※※※

「う~ん」
手足を伸ばした気持ち良さに、うっとりとしたままスンマンは目覚めた

「やっと起きたんだね」
「ここは?」
「ホテルだよ」
「えっ?」
「お腹空いたろ?」

途端にスンマンの腹が『ぐぅ~~~』と鳴った

「やだっ /////」

「もうすぐ届くから」
ポジョンが笑いながら言った、その言葉が終わらないうちにチャイムが鳴り……ワゴンを押したボーイが現れた

「うまそうだ」

ボーイが下がると、ポジョンはベットに座ったスンマンの手を取り椅子に座らせた

「さ、食事をしよう」
「はい、専務」

今日の事を話ながら二人は笑いあい、食事を終えた

※※※

「スンマン君、君に選んでほしいことがある」

三人掛けのソファーに隣り合って座っているスンマンを見て、ポジョンはどこか恐る恐る話し出した

「何でしょうか専務」
「……1ヶ月の恋人を止めて、本当の恋人になるか」

「このまま別れるか……どちらか選んでくれないか」
「あの……」
「私は君とね……期限の無い恋人になりたいんだ」
「専務?」

「可笑しいよ……散々、女を抱いて捨てた私が……もう君しか見えないなんて……」

「せ・専務……」

突然の事にただ呆然としている私に、専務の寂しげな微笑みが見えて……初めてみる、そんな顔に私は何故だか泣きたくなってしまう


「……私でいいんでしょうか」
「君しか欲しくない……」
「私……ずっと専務のことが……」
「君が好きだ」

「あ……私も……好きです……」

その言葉にポジョンが泣きそうな笑顔になり、スンマンを抱きしめた

強く、強く腕に力を込めて肩口に顔を埋め首筋に唇を這わし……

「あっ!」
びくん! と跳ねる躯が愛しくて……震える瞼に唇を移し、口付けを落とす

スンマンの顔中に啄むようなキスを落とした後、唇に唇を重ねた

※※※

「君を抱きたい」

真剣で熱い瞳のポジョンが長い口付けのあと、夢見心地にうっとりとしているスンマンに囁く

耳朶を舐め、唇で挟み甘噛みするポジョンの腕の中で……目の眩むような陶酔に酔いしれるスンマンがいた

「わた…しも……せんむが……ほしい」
「嬉しいことを言ってくれる」

ちゅっ!と音をたてて頬に口付けるとスンマンを抱き上げ風呂場に向かうポジョン

「せ…せ…せんむ?……」
「どうしたの?」
「あの……どちらに?」

「風呂だよ……さっき入れておいた」
「あの!」

「二人で入ろう」
「え゛え゛え゛~!!!」

抱き上げた躯が驚きで硬直するのを楽しげに抱え直し風呂場の脱衣室についた

「そうか!スンマン君は知らないんだね」
優しい瞳のポジョンが優しく話す

「恋人達のルールを」
「え?……そういうルールがあるんですか?」

きょとんとポジョンを見るスンマンを下ろすとキスを落として……にっこりとポジョンが微笑んだ


「ゆっくり教えてあげるよ……私達は本当の恋人同士なんだから」
「よろしく御指導お願い致します」

ペコリと頭を下げて真剣に自分を見つめるスンマンに……ポジョンはいつしか、自分も真剣になっていた……

※※※

「早くおいで、スンマン君」
「でも専務……明るいですし……恥ずかしいです」

「ん? 風呂場が暗くちゃ危ないだろ?」
「それはそうですが……」

「私が目を瞑っているから……おいでスンマン……」
最後の方に……低く艶やかな声で名前を呼ばれスンマンの思考が止まってしまう

《どれだけ望んだだろう……専務のあのゾクッとする声で呼ばれることを……嬉しくて泣きたくなる……》

バスタオルで躯を巻いて入ってきたスンマンは、ポジョンが目を瞑っているのを確認してからバスタオルを外した

ジャグジーにはソープが落とされ泡がモコモコとあるから、中に入ってしまえば一先ず見えなくなる

ちゃぷん……

スィートの広いジャグジーバスの中、ポジョンの正面に離れて座ったスンマン

「……もう目を開けてもいいかな」
「あ! はい……」

ポジョンが一番遠くに座ってるスンマンを見て苦笑する

「くっくっくっ……」
「専務……」
「こっちにおいで」
「でも……」

ずっと俯いてポジョンを見ていなかったスンマンが顔を上げれば……真摯な熱い瞳が自分を見つめている……

「私の横においで」

抗えないその声に、想い人の微笑みに、スンマンはおずおずと近づきポジョンの横に座った

「いい子だ……」

風呂に入るため髪をアップにしたスンマンの項を指でなぞるだけで……少し震えたスンマンにポジョンの胸には愛しさが溢れてくる

「君が嫌なら離れていいんだよ」
「あの……?」

「無理はしなくていい……私は君に首ったけなんだ、無理強いして嫌われたくない」

「嫌うだなんて……ありえません」

「だけど覚えておくんだ、私は君に嫌われたくない……だから私が触れて、嫌だと思ったなら離れていいんだよ」
「はい……」

湯の中でポジョンの左手がスンマンの腰に伸びた

「あっ!」

力強い腕に引き寄せられて背後から抱きしめられたスンマンは湯の温かさだけではなく頬を染めている

「向き合うより恥ずかしくないかな?」
「はい、専務……」
「スンマン……」
「あ……」

自分の足の間にスンマンを抱え込んだポジョンの左手が腰を抱え、右手は項から肩を……首筋を……ゆっくりと優しく撫でている

「私はね、こんなに一人の女性を欲しく思ったことが無いんだ」
「なぜですか……」
「美室財団の後継者の一人として金目当ての人が幼い頃から群がっていた」


「兄も同じだろうが……いつしか二人で、財団の後継者の看板でゲームのように女を落とすことに慣れていったよ」

「女を落として、2、3度抱いて飽きて……別れる……これを繰り返していた」

「わたしも……」
「ん?」
「わたしにも……飽きたら……どう……」

「こっちを向いてスンマン……そんな不安な目をしなくていい」

「でも私は……専務に釣り合いません」

潤む瞳に溢れた雫が頬を濡らしていく……

「ああ……続きを聞いてスンマン……」
「……っすん……」
「その私が、君には首ったけなんだよ」
「……」

「愛してる……他の女になど、もう目がいかないよ」
「……」
「泣かないで……私は君を愛してる……ずっと、いつまでも……」
「……せんむ……」

涙を流しながら抱きついてきたスンマンを優しく抱きしめ……口付けを交わし、想いを伝えあう二人……

「愛してる……スンマン……君だけだ」
「うれしい……せんむ……」
「さあ……洗ってあげよう」

「きゃっ!…せんむ…どこに…きゃ…てが……やんっ……」
「恋人達のルールだよ……女性は男性に洗ってもらう間は大人しくするんだ……」

ポジョンの手がスンマンの躯中を撫で這い廻る……

スンマンは背後から回されているポジョンの腕に掴まって羞恥で真っ赤になっていた

「で…で…でも……恥ずかしいです専務!……あんっ……」

胸の頂の蕾に触れた手がスンマンの反応を逃すわけがない

「ここがいいのかな?」
指で挟み優しく弄ればスンマンの躯が跳ね、腰が浮く……

「んっ……はぁっ……やっ専務……あん……」
「可愛いい声だ……私だけのもの……」

両手で蕾を弄っていたが、左手が下腹に伸びていった

そっと割れ目をなぞる指にスンマンの手がポジョンの腕を強く掴んだ

「せ…せ…んむっ…んっ…」
「嫌か?……止めた方がいい?」

首筋に唇を這わしながら囁く声が熱をもち、ポジョンの昂る様子が感じられ……

「せんむ…の…こえ……あつい……」
《くぷり》と割れ目に差し込まれた指に翻弄され、喘ぐスンマンが…呟いている

「君に熱くなって……欲しくて……抱きたくて……こんなに夢中になるなど……初めてだ……」

スンマンはポジョンの本気を感じて嬉しさに震えた

※※※

パスワードは次回です(笑)
     

③☆専務と秘書企画:【1ヶ月の恋人】

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プロフィール

すー※さん

Author:すー※さん
私的妄想世界が広がっております。
イチオシは窪田正孝さんの役柄いろいろ妄想話です♡(その他にも相棒の神戸さん、スネイプ先生や善徳女王など色々でございます)

最近は更新ができてませんが、発作的に投下してます。
8月、9月の試験に受かれば時間ができるので、それまでは見守っていて下さいませ。

合言葉は『シリアスからエロまで』・・・・・楽しんでいただければ幸いです。。。

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