①X'mas企画【現代に続く新羅…パーティー編】

はい、まるっきりの【お遊び企画】っす(≧∇≦)

季節はX'mas……そして時は現代、とあるパーティーで!

さぁ~てどうなりますか
†トンマン×ピダム
†スンマン×ポジョンでお楽しみ下さい

花郎イケメン選手権☆は……そのうちに(汗)

※※※

ふと……黒塗りの専用車から降り立ったピダムがちらりと目をやると、暗闇の空から白い綿毛がフワフワと降りてきた。

「うっとおしいな……」
今から誰其が主宰するパーティーに参加する憂鬱がつのり独り言ともつかぬ呟きを吐いた。

老舗高級ホテルの前でグズグズするのも面倒とさっさと中に入る。

異父弟のポジョンにもタキシードを着せて連れてきたが……ま、俺の方が格好はいいな……

「兄上、会場はこのホテルの最上階です」
秘書として常に兄の側に仕えているポジョンがいつものように伝えるとピダムが『くっ』と口の端を上げ笑った。

その顔は弟のポジョンをして母ミシルに似ていると思わせる……

「お前も今夜は秘書ではなく美室財団の後継者の一人なんだ……仕事口調は忘れろ」
「はい、兄上」
「さて、あの古狸の母からの絶対命令だからな……新羅家の姫、三人のうち誰かは落とさなければ……」

あの女傑ミシルの夢のため……新羅家の血を、名誉を、権力を欲してここまでのしあがった母からの絶対命令。

「ふん!面倒な」

ロビーに入った所で上着を脱ぎポジョンがクロークに預けに行く間に、ふと……ガラス張りの中庭を見たピダムの眼が《ある光景》を見て細められた……

ベージュの膝上の毛皮のコートを着たまま雪を眺める若い女性と黒い毛皮のコートを着たタキシードの男の二人が楽しそうに笑いあっている。

娘の方は屈託無く鼻に皺を寄せて笑い、男の方は胸で組んだ腕の片方の拳を口元によせ肩を揺らして笑っている。

社長として下はヤクザや社員から上は皇族まで見てきたピダムの本能が点滅した

……あの二人、只者では無いな……

ピダムの視線を感じたのか眼だけを向けた男がニヤリと微笑んだ。

白い肌に紅い唇が皮肉に笑む様にピダムの胸が、ざわりと騒ぐ
「ちっ!……嫌な野郎だ」

二人が何か話し、男が腕を差し出すと娘が楽しそうに手を組んだ。
そのままロビーに向かった、その時……

「うわぁぁぁ~~~~~」
庭の植木の影から一人の男が短刀を手に襲いかかった。

「まずい!」

血走った眼で襲いかかる男に、娘と男は為す術も無いように見えた。

思わず駆け出したピダムの前で、腕を組んだ娘を庇いながらも足一本で短刀を蹴り飛ばし、次いで襲撃した男の腹を蹴り体を吹っ飛ばした男がいた。

「姉上、大丈夫でしたか」
「大事ない、スンマンの方こそ平気か?」
「ふふ……これくらい何という事もありませぬ、が!!」

すっ…と挙げた男の中指と親指がパチンと鳴ると黒服のSPがバラバラと駆けてきた。

「お前達……これはどういう事だ?……ん?」
静かな……囁くような声なのに玲瓏としたそれは耳元に迫る迫力があった。

「姉上達に何かあったらどうする?……ん?」
「申し訳ございません。スンマン様」
「この男の身元及び背後関係、動機を直ぐ様調べてくれ……警備の漏れが無いように!」
「ははっ!」
「それと女性警備を姉上達に今すぐ増やせ!……何かキナ臭いぞ」
「はっ!」

言い置くと娘とロビーに入ってきた男が優雅に毛皮を脱がせ、近付いてきた秘書に渡していた。

「ふふ……今日も美しいですよ」

ピダムの眼が娘に向けられた……
「確かに美しいな……」
すらりと伸びた細い手足がシフォンワンピースから覗いている……身長も高く見事なバランスでフワフワとした服の下のスタイルも良いと見た。

それよりも……とピダムの眼が釘付けになったのは娘の瞳だった。

丸い円らな瞳がくりくりと楽しそうに輝いている。
スッと通った鼻梁にふっくらとした紅い唇……顔は小振りで長い首が華奢な肩へと続いている。

まさにピダムにとって一目惚れに近い好感だ。
何ものをも置いて近付きたい衝動に苦笑する……無論、生まれて初めての気持だ。


「何者だ……あの娘」
「兄上、あの方が新羅家のトンマン姫です」
「なに!」
「側の男は分かりませんが……あの隙の無さは只者ではありませんね」
先程の光景を真っ正面で見たポジョンが言った。

《男が襲いかかる瞬間、あの眼に蒼い焔が立った……あの男が気になる……》
あの瞬間、ポジョンの胸の鼓動が『どくんっ!!』と跳ねていた……初めての経験だった。

二人が見つめる先の二人=トンマンとスンマンがエレベーターにと向かった。

それに惹かれる用にピダムとポジョンが近付いていった。

※※※

「チョンミョン姉上は?」
「先にチュンチュと着いてる筈です……チュンチュがエスコートすると張りきっていたから」
「スンマンはどうしてタキシードなのだ?」
「ふふ……私がドレスだと姉上達の警護がしにくいでしょう?」
「そうか?この前はドレスだったな」
「ああ……それは爺があまりに言うので仕方なく……姉上?見たいのですか私のドレス姿を」

くっくっくっ……と笑うスンマンに愛らしい笑顔を向けてトンマンが派手に頷いた。

「ああ!スンマンの女装なんて滅多に見れないからな……見たかったのだ」
「くっくっくっ……では後で着替えて参りましょう」
「そうか!」
にっこりと笑うトンマンは爺やの願いを叶えるための嘘をついていた。

『まるっきり嘘では無いぞ、スンマンのドレス姿は女の私もドキドキするからな見たいのは本心からだ』

「さ、もうじき着きますよ姉上」
「うむ」
「爺やが喜ぶでしょうな……私がドレスを纏うとなると」
「ぶっっ!」
「くっくっくっ……」

~~~チン!!~~~
エレベーターが最上階に着いた。

二人が降り立つと隣のエレベーターも開いてピダムとポジョンが降りた。

スンマンの眼がチラリと二人を見て少し頭を下げてからトンマンと会場へと向かった。

途中で女性警備を三人トンマンに着け離れたスンマンが、男性警備員と話している。

「では気を抜かずにな」
「はい」

ふぅ~……と息を吐いて窓際に目をやり眼下に広がる夜景を眺めた。

ふと鏡のようになった窓に自分を見つめる視線を見つけ……見た。
窓越しに目があう……

微笑んでみると相手が慌てて目を逸らす。

「くっくっくっ……今宵は退屈せずにすみそうだ」

スンマンがくつくつと笑いながら会場へと入っていった。

※※※

「スンマン!」
「チュンチュ……エスコートできたか?」
「勿論です」
会場で集まった新羅家の姫達に会場の客達は浮き足だった。
とはいってもスンマンがタキシード着用の為にチョンミョンとトンマンの警備の者と会場では思われている。

ピダムとポジョンも例外ではなくスンマンを男として見ていた。

チョンミョンとトンマンの双子に従姉妹に当たるスンマンとチュンチュ……会場の皆が麗しい四人の容姿に釘付けになっていた。


新羅家……それは世界有数の資産家で、ありとあらゆる物を取り扱い世界中に広がっている。

その地球規模の財閥の一族でも最も貴い血筋がこの四人だった。

現社長の娘のチョンミョンとトンマン。
社長の弟の娘のスンマン。
社長の妹の息子のチュンチュとなっている。

四人は皆、帝王学や経営学を修め既に新羅家の事業にも手を出している。

四人の絆は深く、屋敷で一緒に住んでいることからその屋敷が《新羅家の司令塔》と化していた。

頭の中の資料を思い出しつつピダムはトンマンを見続けていた。

屈託無く無邪気に笑う笑顔が可愛らしい……柄にもなく浮かんだ感情に苦笑いする。

《確か……チョンミョンとトンマンが25でスンマンが21、チュンチュが18だったか……》

さて、話をする糸口は……と考えあぐねているピダムに叔父のミセンが近づいた。
「ピダムどうです?新羅家の姫達は……生憎とスンマン姫は来てないようだが……」
「あの警備の者の素性が知りたいですね……二人の姫の内どちらかの恋人かもしれない」
「そうか……なら調べてくるか」
ミセンが馴染みの有閑マダムに聞きに行った隙にピダムは窓際に寄っていった。

じっ……と見つめる先にはトンマンが楽しそうに笑い話している。
「何故か目が離せないな……」

ピダムの視線は本人も知らず次第に熱を孕んでいった……

※※※

久しぶりに会った姉と可愛い従姉妹達(トンマンにはあくまでも二人は年下で可愛い……)に囲まれはしゃぐトンマンがふと……視線を感じる。

《……熱い……なんだろう、これは……》

眼で辿った先には一人の男が窓際に立っていた。

すらりとした長身の細身だが鍛えられていると分かる体つき……

此方を……いや、私を見る鋭い眼に力がある
端正な顔立ちでともすれば色気まで感じられそうな……男。

そこまで見ていたトンマンとピダムの視線が絡みついた。

ゆっくりと男が此方に来るのが見える。

私を視線で射抜いたまま……歩いてくる。

途中ボーイからグラスを受け取り、目の前に立った時に渡されたが……少し迷ってから受け取った。

「私は美室財団のピダムと申します、よろしければ少し話しませんか?」
《初めて聞く筈なのに低く落ち着いた声が心地よい……もっと聞きたくなる》

「……分かった」
二人が窓際に行くと女性警備達も邪魔にならないよう移動した。

「あら、トンマンたら珍しいわね……いつもなら人見知りするのに」
うふふっと微笑むチョンミョンにシャンパンのグラスを渡しながらスンマンも頷いた。

「ふふ……確かに」

その時……会場に居る楽団がワルツを奏で始めた。
「姉上、踊って頂けますか?」
差し出したスンマンの手に微笑むチョンミョンの手が重なる……
「喜んで……」

「次は僕と踊ってねチョンミョン」
ウィンクするチュンチュに頷くチョンミョンとスンマンがワルツを踊りだした。

※※※

「まぁ~素敵な方……」
「絵になる二人だな」
其処此処で溜め息や感嘆の声があがるほど二人は優雅に踊っている……

それを見やりながら……トンマンは目の前のピダムと話していた。
「貴女も踊りますか?」
「いや、私は苦手でな……リードが上手ければ大丈夫なのだが大抵は相手の足を踏んずけて終わるのだ」
アッケラカンと言うトンマンにピダムが笑う。

「面白いな……」
「そうか?」
「普段はどんな事を?」
「ん?…新羅家の業務をしているが?」
「ほぉ~」
「家の事業は多岐に渡っているからな、チェックしないと直ぐに不正や腐敗を生む……私は管理部門も統括しているのだ」
「それぞれが部門を?」
「ああ……処で貴方は何をするのだ」
「私は社長として全てに関わっているな……管理も業績のUPも何もかも……まぁ、最後は会長の母の決定を仰ぐがな」
「ふぅ~ん」
「経済についてはどうだ?」
「そうだな……」
トンマンが話そうとしたとき誰かが側に立った。


「男を喰い物にする母親の息子はやはり女を喰い物にするのか?」
下卑た笑いを浮かべながら初老の男がピダムをあからさまに嘲った。

「何ですか?藪から棒に」
冷たい眼で応えるピダムに男は怯んだが尚も言い募る
「そのままの言葉さ……儂に用が無くなれば捨てる母親そっくりだな」
「ふん!母の文句なら本人に言え!」
「なんだと~~」
殴りかかった男を軽く避けたピダムだが、男は横に居たトンマンに手を出そうとした。

「やめろ!」

ピダムが男を殴るより前にトンマンが手にしたグラスの中身を派手に男にぶちまけた。

「いくら腹を立てようと場所柄というものをわきまえなさい……しかも母親への怒りを息子ではらそうなど、みっともないと思わないのか?」

トンマンが堂々と説教するのを見てピダムは笑いを堪えていた。

……不思議な女だな……

誰にも感じたことのない感情が胸の奥から湧いてくるのを感じていた……

※※※

パーティー編です。
ピダムはオールバックに銀縁眼鏡もいいな(私の趣味です)
     

②:X'mas企画【現代に続く新羅…パーティー編】

楽しいので【お遊び企画】を続けます。

まぁ、X'mas間近だし(なんのこっちゃ)
好評なので続けます(笑)
コメント頂ければ励みになります☆

※※※※※

「すまない…私の事で貴女に迷惑をかけた」
「別に大丈夫だ」
「しかし……面白い人だ」
「ん?何故だ?」
「シャンパンを頭にご馳走するから」
「ああ! 勿体ないと思ったが仕方あるまい」
からからと朗らかに笑うトンマンをピダムが目を細めて見た。

「お詫びがしたいな……食事でもどうですか」
「別にいいさ、たいしたこともしてないしな」
「ぷーーー!はっはっはっ……」
吹き出したピダムをトンマンが『きょとん』と見つめると、一頻り笑ったピダムが微笑んだ。

その……黒曜石のような瞳に優しい光を宿した微笑みにトンマンの胸の奥が《とくん》と脈打つ……

……な、なんだコレは? 顔が暑い…じゃなく熱い……

「い!……いきなり笑うとは失礼だろ!」
「すまない……だが、ぷっっ」
「なんで笑うのだ……まさか顔に何かついたか?」
慌てて手に持っていた小さな鞄から鏡をだし覗いてみるが……何もついてない

その様子にピダムはまた、くつくつと喉を鳴らして静かに笑う。

「一応、口説こうと誘ったんだがな……貴女の答えが面白くて笑ってしまった」
「あ゛?口説く?」
「ええ……きっかけを作りたかったんだが……ぷっっ」
「もう笑うな!!」
「すまない……」
「ぷっーーー」
今度はトンマンが吹き出して笑いだした。

「そうか!……ああいうのが『男女の誘い文句』というものか!」
「今まで知らなかった?」
新しいグラスをトンマンに渡し自分の持つグラスと触れあわせた。

「乾杯」
「何にだ?」
「俺の運命の女性に」
「えっ?……運命とは?」
小首を傾げるトンマンに蕩けるほどに優しい微笑みを向けたピダムが片目を瞑りウィンクした。

「決めたから……俺は貴女を手に入れる」
「はぁ?」
すっとんきょうな声を出したものの……トンマンも『にかっ』と大きく口を開けて笑った。

「ははっ……ならば私をその気にさせてみろ」
「?」
「自慢ではないが男女の機微には疎いのだ……愛だの恋だのはよく解らん!」
若干、仁王立ちになって胸を張るトンマンにピダムが小さく笑う。

「くっくっくっ……なら今から俺と付き合おうよ」
「お!こういう時の台詞は知ってるぞ」
「なぁに?」
黒曜石の瞳が星を散りばめたように煌々と輝かせながら……トンマンの瞳を覗き込むピダム……

「『お友達から始めましょう』なんだろ?」
得意気に言い切るトンマンの《どうだ私だって知ってるぞ》な顔の前で今宵、何度目かのピダムの笑い声が響いた。

「あ~退屈しない人だな……」
「……違ったか?」
「んー…違うと言うか、それは断りの台詞だな」
「ええぇ?……断りの台詞か……」
「俺、断られたの?」
「い…いや!別段断ろうと思って言ったのではないのだが……」
「じゃ決まったな!」
「ん゛?」
「俺達は今から付き合う!……だろ」

にやにやと笑うピダムに、何か《してやられた感》があるトンマンは口を尖らせそっぽを向いた。
「別に!付き合うとも言ってないからな!」

それには聞こえないフリをしたピダムが……
「付き合うのに当たって注意事項があるよ」
「注意事項とは何だ?」
「浮気はダメだからね」
「そりゃ付き合っているなら浮気はいけない事だろう……それくらい私でも知っている!」
「毎晩、電話で話をする」
「電話で?」
「携帯……持ってるか?」
「馬鹿にするな……それくらい持ってるぞ!最近スンマンに渡されたのだ」
ゴソゴソと小さな鞄の中から取り出してピダムに見せたトンマンの手から携帯をするりと取り上げた。

「何をする」
「いいから」
にっこりと笑うピダムにトンマンの胸の奥がまた《とくん》と脈打つ……

『なんだコレは……もしかして病気なのか?……場所から言えば心臓か……一度医者にかかるか』
トンマンが考えている間に携帯の赤外線通信で互いの電話番号とメアドを交換したピダムは楽しんでいた。
ちょっとした細工も施して……

「これでよし!っと」
トンマンに携帯を返して試しにかけてみたピダムがニヤニヤと笑っている。

手の中で鳴った携帯を見れば……
「!?……なんだコレは?」
画面に浮かぶ文字にトンマンが慌てて携帯を隠した。

「ちゃんと出てよ」
「出れるか!」
「ぷーーーっ」
楽しげなピダムの笑い声が響いていた。
※※※

先程からピダムの口調が変わっているのに、そっと様子を窺いに近づいたポジョンが驚いていた。

《素の兄上になっている……》

元々、堅苦しいのが嫌いの兄だった。

父に連れられ初めて会ったときも樹の上から挨拶されたのをポジョンが懐かしく思い出しながら……兄を見ている。

二人から離れた私に先程の男が近付いてきた……また《どくん!》と鼓動が跳ねる

しかし……私は断じてそっちの趣味ではない……いくら月の化身の様な美貌でも、断じて違う!

「美室財団の方だな……ついて来てくれないか」
鋭い眼で射抜かれて何かあったと気を引き締めた。

連れていかれたのは最上階にあるスィートだった。

カッカッカッと靴音を響かせ歩く男に続いて豪華な部屋に入ると、中庭で二人を襲った男が両手と両足に手錠をかけられ座らされていた。
後ろには三人の屈強な男達が見張っている。

「この男を知っているか?」
じっと見ても初めて見る顔だった。
「いえ、初めて見ます」
「そうか……実はなコイツの目的は貴方の兄のピダムだと言うのだが……」
「兄を?」


「ちょっと待て!」
突然、部屋に入ってきた男が言った。
「アルチョン来てくれたか」
嬉しそうに出迎える様子に……何故か胸が痛い。

「その男の持っていた写真、お前だぞ」
「なんだと?」
「お前の写真をターゲットだと見せて襲わせたんだ」
「……もしや」
密やかに二人が顔を近づかせ話しているのを私は見ていた。

「おい、襲撃男!」
スンマンが跪ずいた男の前に椅子を置き座って問いかける

「お前の雇主はだれだ?」
「知らない……金を渡されただけだ」
「ふふ……では顔は覚えているな」
「ああ……」
「スジョン似顔絵の用意だ」
「はい、スンマン様」

スケッチブックを持った女性が男に特徴を聞き出そうとするが素直に言うわけもない……ちょっと待て、今なんて呼んでいた?……あの男のこと?……スンマン???

「素直に言わないか……じゃ、こうするか」
隣の部屋に行ったスンマンが生き物を従え出てきた。

真っ黒な豹が大人しく撫でられている
「ぐるぅ~~~」
猫が喉を鳴らし甘えている様な豹にポジョンも固まった。

「くすくす……さ、スジョンを手伝ってくれ……この男が変な素振りや協力しないならかじってもいいぞ」
満面の笑顔で豹に言い聞かせると、豹も嬉しそうに「がお!」と返事した。

「かじる時に気をつけろよ、最低限口が聞けたらいいからね……」
微笑むスンマンの顔に男は真っ青になりブルブルと震えていた。

「は……話します!何でも聞いてください~~~」
「では輪郭はどんな形ですか?」
すかさず聞いたスジョンの鉛筆が動いていく。

少しでも答えが遅れると……
「ぐるるる~~~」
「ひぇ~~」
「はい、さっさか答える!」

スジョンの手元が段々と人の顔に……ある程度の形になってきた。

ポジョンは何となく気配を消してその場にいた。

どんな事になるのか興味もあったし、あの男が【スンマン】なのか確かめたかった。

※※※

「がぅ~~~」
「ひぇ~~……目がもっと垂れてました」
「次は鼻よ!」

出来上がった顔に私は馴染みはないが……あの男にはあったみたいだ。

片眉を吊り上げ腕を組んでいる……

スンマンは思案したあとアルチョンに姉達の警護に会場に行かせた。

「スジョン……お前に頼みたいのだが」
「何なりとスンマン様」
「私が先程の襲撃で傷を負い入院したと本家に連絡を入れてくれ」
「はい、分かりました」
「演技達者なお前に期待している」

一礼して部屋を出ていった女性から私に視線が向けらる……

「貴方にも頼みがあるのだが……」
「何でしょうか?」
「少し待っててくれ」
つかつかと隣の部屋に行ったスンマンが……
「タンシム着替える用意してくれ」

「がお~」
ふと足元に先程の黒豹が来て、じっ……と私を見ている。

……不思議と怖くはなく、私もじっと見てしまった。

「くっくっくっ……見つめあって仲良しになったのだな」
後ろから声がして振り向くと……余りの衝撃に呆然としてしまう。

目の前の先程の男が……美しいドレス姿で立っている。

光の加減で淡いベージュか金に光る膝上のドレス……だが、両側に大胆なスリットが入っていて止まっているのは肩と胸と腰の辺りだけ……両側のスリットから真っ白な肌がチラリと見えて艶かしくて……何処を見ていいのか困ってしまう……

「どうした?……ドレスが珍しいか?」
にやにやと笑うスンマンにポジョンがどぎまぎと立ち上がり……スッと腕を組まれた。

「会場にエスコートしてくれないか?」
「……分かりました」
やっと出た声は掠れていて……みっともなくて顔が赤くなるのが分かった
「どうした?美室財団の後継者なら女には慣れている筈だろ」
にやりと笑う切れ長の美貌が近くで息を呑んだ……

「私は母の眼中には無いでしょう……普段は兄の秘書をしています……貴女のように美しい女性と縁などないですから……正直、戸惑います」
「美しいか、私が……ふふ……ありがとう」
「そのドレス……」
「ん?…なんだ」
「よく……お似合いですが、目のやり場に困ります」
「くっくっくっ……正直な男だな」
「本当のことです」
「さ、行こう」
「はい」

※※※

会場に着くと腕を離そうとするポジョンにスンマンが、ぐっ!と腕に捕まって離せなくする
「よければこのままエスコートしてくれ」
「私はいいですが……貴女の方こそ宜しいのですか?……私のような者で」
「気に入ったから良い」
「え?」
「名前は? 何と言う?」
「申し訳ございません、遅れましたポジョンと申します。」
「新羅家のスンマンだ……ポジョンは踊れるか?」
「一応は踊れます……」
「なら踊ろう」

ぐいぐいと腕を捕まれ引っ張られているポジョンは不思議だった

……私の何が気に入られたのか……まぁ、気まぐれなのだろうから分をわきまえて失礼の無いようにしなければな……

ポジョンの顔に寂しげな微笑みが浮かんだのをスンマンは見過ごさなかった。

ワルツを一曲踊った後、スッとグラスをくれたポジョンに微笑んだスンマン……その二人に近付く男がいた。

「ポジ~ョン……美女を連れているな」
厭らしい笑いを浮かべた男がポジョンの肩を叩いた。

「ハジョン兄上」
「はん!気安く呼ぶなポジョン!……母は同じだがお前と私は身分が違うのだ」
「……失礼致しました」
「行こうポジョン」
スンマンがポジョンの腕を引いて離れようとしたらハジョンがスンマンの前に出て通せんぼした。

「なんだ?」
「ポジョンこの女が気に入った……譲れ」
「できません」
舐めるようにスンマンの躯を見るハジョンの前に立ったポジョンは、その背でスンマンを隠していた。

「お前には勿体ない……私が可愛がってやる」
「ハジョン様、お戯れは止めてください。このお嬢様とは一曲踊っただけです……さ、貴女も行きなさい」
スンマンに行くように示し、素直に従ったスンマンが離れていった。

「馬鹿者!!あんな美女を手離しおって!この~」
ハジョンに無抵抗で顔を殴られたポジョンは一礼して会場から出ていった。

「全く使えない!!」
きーきー喚くハジョンに連れの女が宥めにかかるとケロッと笑っていた

スンマンがポジョンの後を追って会場を抜けて行ったのをチョンミョンとチュンチュが見て……にこり、と笑いあっていた。

※※※
また続きまぁ~す

ピダムの眼鏡ネタを頂きましたから盛り込みたいです
     

③:X'mas企画【現代に続く新羅…パーティー編】

ああ……楽しい(笑)
今回はスンマンとポジョンが多いです

お楽しみ下さいね☆

※※※

会場を出たポジョンは、非常階段に出ていた。

「……カッコ悪いな……私は…」
下の踊場に降りて壁に凭れて呟いた……頬が熱いのは殴られたからなのか、彼女に惨めな自分を見られたからなのか……

カツン…コツン…と音がする。
見やればスンマンがポジョンを探して降りてきていた……

「ポジョン……どこだ」
黙って壁から背を離し階段を降りようと思った……惨めな自分をこれ以上見せたくなくて……

「私はヒールに慣れてないんだ…ポジョンどこだ………居た!」
踊場から階段に踏み出そうとした私を見つけたのか、駆け降りてくる彼女の足音がする

逃げようかとも思ったが……慣れてないヒールでこの速さは危ないな……

踊場に戻り見上げれば、ふわり……と彼女が微笑んだ。

「見つけたぞ……あっ!」
足が縺れたように引っかかりバランスを崩して……宙に飛び出した
「危ない!!!」

瞬間、階段を三段跳びに駆け上がり宙に飛んだスンマンの躯を抱きしめる……

一瞬の事なのに何もかもがスローモーションのように遅く感じた。


《ずざざざざざざざ~~~~~~》


彼女を抱き締めたまま滑り踊場でやっと止まる
「ぐ……」
「ポジョン、ポジョン!」
「お怪我は……ありませんか?」
「私は大丈夫だ……お前のお陰だ」
「なら……もう行って下さい」

痛みに顔をしかめつつ立ち上がると、彼女が私を支えようと……私の体に腕を回し躯が密着する……布一枚で感じる彼女の躯と香りに目眩がするほど魅了され……

『お前は分をわきまえるのだぞ』
幼い頃、繰返し言われた父からの言葉が胸に刺さっている

胸の奥に湧いてくる感情を気付かないように消さなければ……

「さぁ、戻ってください」
「私のせいなのだ……せめて手当てさせろ」
「自分でできます……もう関わらないで下さい」
「嫌だ…お前を放っておけない」
「え?」
「私の為に要らぬ恥をかかせてしまった」
「……気にしなくて良いのです、いつもの事なのだから」

寂しげなポジョンの微笑みが……私の胸の奥に初めての感情を呼ぶ……

何故かこの男が気になった……

「新羅家の姫には関係ないこと……捨て置いて下さい」

ポジョンの言葉が私に怒りを沸かせる……本気で!!

ヤツを壁に追い詰めた。
「関係ないとは言わせない……」
「今宵初めて逢った……関係ないでしょう?」
バン!!と両手をポジョンの顔の横の壁に叩きつけた。

私の眼がカッ!と怒りで見開かれ……炎が昇るのが分かった

「あ……」
ポジョンの口から吐息が漏れる

次第に私を見つめるポジョンの眼が……うっとりと潤み、熱を孕んで見つめ続ける。

「その眼……」
「眼がどうした!!」
「中庭で私を魅了した……蒼い焔の眼……」

ヒールを履いた私がポジョンより少し背が高くなるな……

そんな事を思いつつ、唇をポジョンの其れに重ねた。

「これでキスをした仲だ……関係ある間になったな」
ニヤリと笑って呆けたポジョンの腕をとり階段を昇る。

やがて二人は先程のスィートに入って行った。

※※※

「お腹空かない?」
ピダムが楽しそうに隣に立つトンマンに尋ねる
「……空いたな」
「料理はどんなのが好み?」
「んー…好き嫌いは無いぞ」
「食べたいものは?」
「今か?」
「そう」
「腹に入れば何でもいいな」
「くっくっくっ……じゃ、取ってきてあげようか」
「ん?……ここのは嫌だ」
「パーティー料理は嫌い?」

愉しげなピダムが次のトンマンの言葉に真顔に変わった。

「毒でも入ってたら面倒だから食べたくない……家に戻るまで我慢する」
「毒を入れられた事が?」
「ある……だから外では食べない」
「何故だ?」
「新羅家の親族の中には私達が事業に携わることで不利益になるのがいるのだ」

「特に私は内部監査を担当するからな……」
困ったものだ……と吐息をつくトンマンをピダムが見つめる

「では、犯人は身内なのか?」
「ああ……先程の襲撃も報告によれば親族会の面子がスンマンを襲わせたんだ」
「スンマン?」
「タキシードを着ていたがアレはスンマンだ」

「あの娘も親族会から睨まれていてな……煩わしい家なのだ」
「貴女に害を為すなど許せないな……」
ピダムの眼が物騒に輝き始めた……

「だが、スンマンも護衛部の皆も命懸けで守ってくれるのだ……ありがたいことだ」

「私も守るよ……トンマン」
「あ゛……ありがとう」
……急に名前で呼ぶな!……焦るではないか!

「トンマンは俺の大事な恋人だ……守るから、俺の事はピダムでいいよ」

「こ……こいびとぉぉぉ~~~」

「うん、付き合う男女は恋人でしょ? カップルとかも言うけど軽薄だから恋人だな」
「そ……そうなのか、恋人でカップル……というのか」
その時……すっとピダムの腕がトンマンの細い腰に回り引き寄せた。

鋭い耳が近づいてくる足音を感じていたピダムが警戒し、トンマンを守ろうと引き寄せていた。

「ピダァ~ム」
「ちっ!この声は……」

ハジョンが居なくなったポジョンの代わりにピダムをからかいに近づいて来たのだった。

「可愛らしい美女を連れてるな」
へらへらと笑うハジョンに冷たい視線を投げつけたピダムは口の端を上げ《にやり》と笑った。

「ふん!お前は相変わらず安い女を連れてるな」
「なぁ~んだと!!」
ひきつる顔でピダムを殴ろうと手を上げるが軽く弾かれただけで痛いと大騒ぎだ

「ふんっ!……馬鹿が」
トンマンを連れてチョンミョンとチュンチュの前に歩いていくと、にこやかに挨拶を始めた。

「美室財団のピダムと申します。この度トンマン様と交際させて頂く事になりました……よろしくお願い致します」
「まぁ~電撃ね、トンマン」
チョンミョンがにっこりと微笑んで答えるとトンマンが少し頬を紅潮させながら朗らかに笑いだした。

「まあ、縁は異なもの味なものと言うからな……自分でも驚いた」
からからと笑うトンマンにピダムも微笑みを深めていた。

「ピダムさん、トンマンは爺やに教育を受けていたからか話すことが古臭いの……スンマンも同じに爺やに育てられたんだけど……この娘は強くでているのよ」

「このままの彼女に私が一目惚れしたんです……素晴らしい方です」
「だから交際宣言したんだ、ピダム殿は」
チュンチュが可笑しそうに含み笑いをしている

それに、さも好青年な微笑みを湛えたまま見たピダムが
「ええ、誰か他の人に拐われる前に私のだと宣言したんだ……」

「くすくす……トンマンも逃げれないように、だね!」
くすくすと尚も可笑しそうに笑うチュンチュがふと、一人居ないスンマンを気にした。

「ところでスンマンは何処だろう?」
「警備はあの娘の担当だから……任せましょう」
チョンミョンの一声で皆が頷きあい歓談に戻った。

※※※

その頃、スィートの寝室では……

「うっ……スンマン様、いけない」

男の呻き声とベッドが軋む音が先程から部屋に響いている。

「よいではないか」
「いけません……あっ……」
「ふふ……離さないぞポジョン……」
「ぐっ……貴女がする事では……ないのに」
「うるさい!……お前が大人しくしないからだろ!」
「うっ……ふっ……」
「くっくっくっ……観念したか?……」

「いくぞ!!」
「ぐぅ~~~」


上半身裸のポジョンをベッドに臥せに寝かせて背中にスンマンが乗っている。

ポジョンの両腕を脇に挟んだスンマンが「う~ん」と後ろに倒れると、丁度ポジョンは海老反りになった。

《こくん!》とポジョンの体から小さな音がしてスンマンは安心して微笑んだ。

「よし!これで関節も入ったし大丈夫だ……念のため冷すといいぞ」
「スンマン様……降りてください」
「ん?……なんだ?」

腕を離してもまだポジョンの腰の上に乗っているスンマンは、念のためと背中の筋肉を丹念にマッサージしていた。

しかし……ポジョンには直接スンマンの内股の滑らかな肌が当たり、たまに背中に覆い被さるスンマンの胸が当たるしで……意識を平静に保つのに努力していたのだった。

「……私をどう思う?」
「どう……とは」
「私は魅力的か?」
「はい……」
「好きか?……嫌いか?」
「……好きです」
先程の蒼い焔が立った貴女の眼を見てから……狂おしいほどに貴女に魅了され虜になった……

「なら……私と付き合え!……でなければ降りない」
がばっと覆い被さる貴女の胸の弾力としなやかな躯の重みで…………理性が飛びそうだ。

「……私は、母の私生児として生まれました。父に育てられましたが、父はいつも私に言ってました」
「なにを?」
「『お前は分をわきまえなければいけない』と……」
「だから?」
「ですから新羅家の姫と釣り合わないのです私は」
「別に身分で恋人を選びはしないし……どうせ新羅家以上の家柄などいないぞ?」
「それは……そうでしょうが」
「それに代々近親婚を繰り返していたからな……血が濃くて私達の代では新羅家以外の血が絶対条件なんだ……身分じゃない」
「ですが……」
「私の恋人になるか、服を破いてお前を暴行犯にして刑務所にぶち込まれるか……どっちか選べ」


「ん?どっちだ?」
覆い被さる貴女が耳元で囁く……ぞくり、と背筋を這うものは歓喜なのか戦慄なのか……

「早く言うのだ……」
ペロリと耳朶を舐められ……理性が飛んだ

くるりと反転しバランスを崩した貴女を抱き締め……口付けた
「んっ……」
「好きです……中庭で……最初に見たときから……好きです」
「……んっ……」
口付けの合間に囁き、また唇を合わせ……自然と離れた後、貴女が宣言した。

「ふふ……今から私達は恋人同士だな」

※※※

スンマンがポジョンと腕を組んで会場に戻った。

チュンチュが訝しげにポジョンを見ているがポジョンはチョンミョンと歓談するピダムに驚いていた。

「チョンミョン様、お久しぶりです」
スンマンがにこやかに話しかける様は友達の令嬢が話しているようだった……もちろん、そう振る舞いたいスンマンの意を汲んだチョンミョンが友人として受けていた。

「お久しぶりね……最近どうされてたの」
「嫌な男に付きまとわれて……身分があるから無下にもできず困ってましたの」
「それでどうなさったの?」
チョンミョンの優しい微笑みの中で眼が鋭く光った。

「病院で治療もしてるのよ……しばらくすれば彼の方が此方に来ると思うのだけど、仕方無いから会わないようにするわ」
「そう大変ね」

《スンマンは病院で治療中という設定なのね……で、スンマンの居ない間にのこのこ犯人がやってくるのだわ》

「チョンミョン様、以前お話ししたものです」
小さなバックからスンマンが出したのは淡いピンク色の石で造られたブレスレットだった。

「まぁ、素敵だわ」
チョンミョンの細い手首にスンマンが付け、何事か囁いていた。

「では、私はこれで……ダンスを楽しみますわ」
ポジョンと二人反対側に離れたスンマンをチョンミョンが微笑みながら見送った。

「あの娘は物造りの天才ね」
「姉上、なんなのだそれは?」
トンマンがチョンミョンの手首で揺れる石のブレスレットを眺めた

「小さなボタンがあるな」
繁々と眺めるトンマンに笑いながらチョンミョンはウィンクした。

「トンマン、種明かしは後でよ……貴女もピダム様と踊ってらっしゃいな」

「あ……あねうえ!私が踊れないって知ってるでしょう!」
「大丈夫、俺の足なら踏んでいいから……踊ってくださいトンマン」
ピダムがトンマンに微笑みながら手を差し出すと、おずおずとトンマンも手を重ねた。

「知らないからな」
「くっくっくっ……いいよ、踏んでも怒らないよ」

二人がゆっくりと踊りに行くと、チュンチュもチョンミョンに手を差し出した。

「踊ってください」
「くすくす……はい」

そうして美貌の三組の男女がダンスを踊り始めた……

※※※

まだまだ続くよ~
     

④:X'mas企画【現代に続く新羅…パーティー編】

じゃじゃ~ん!
④まで続きましたね(笑)

ネタも色々頂いたので……パーティー編が終わったら、さて何にしましょう(まだ終わりませんが(笑))

企む管理人でございます(^o^)/

※※※※※

「うまい、うまい」
「そうか?」
「躯を固くせずに……俺に任せてよ」
「ああ……お前、上手いな」

最初は固くなった体が動かずにピダムの足を踏んだトンマンも……今はピダムのリードのままに軽やかにステップを踏んでいた。

最初に足を踏んだとき、てっきり舌打ちでもされるかと思ったトンマンだったが……降ってきたのはピダムの優しい声と微笑みだった。

「トンマンは軽いから、俺の足の上に乗って踊ってもいいよ」
「馬鹿な事を言うな……」
足を気にして下ばかり見ていたトンマンが思わず見上げると……黒曜石にキラキラと星を散りばめたように煌めいた瞳のピダムが、優しく……優しく微笑んでいた。

《とくんっ!》
……まただ、ピダムのこの眼を見たら心臓が跳ねる……不整脈か?

医者に……と考えながらも、そのままピダムと躍り続けるトンマンだった。

一曲が終わりホッと息を吐いたトンマンに冷えたグラスを差し出すピダムのタイミングの良さにトンマンは驚いていた。

「さ、少し休もうか?」
「あ……ああ、そうしてもらえば有り難い」
「くっくっくっ……緊張した?踊れないって言うほどじゃなかったよ」

「ぴ…ぴ…ぴ……」
「ひよこの真似?」
「……お前のリードが上手かったから……楽しかった」
「よかった~……実は久しぶりに踊るから内心ヒヤヒヤしてたんだよ」
大袈裟に息を吐いて安堵するピダムに『ぷっ』と吹き出すトンマン

「全然わからなかったぞ」
「要は度胸だな」
「私だとて度胸はある!!」
鼻息荒くピダムに言うトンマンの、くるくると変わる愛らしい表情に……ピダムの笑みが深くなる

何故これほど心惹かれるのか……この愛くるしい顔に、目まぐるしく変わる表情に、魂を持っていかれたのか……

ほんの数時間前にはパーティーに出ることも煩わしかったのにな……

じっ……と見つめるピダムの表情に、トンマンの頬が熱くなる……自身に意味も解らずに。

「さ、あっちで話そう」
自然にピダムがトンマンの背中に手を置いて歩き出す。

二人はまた楽しそうに話をしていた。

※※※

トンマンとピダムが仲良さげに話す様を見つけた男が舌打ちをした。

「ちっ、スンマンを病院送りにしたらさっそく虫が付きやがった」

口汚く独り呟くのは先程会場に入ってきた若い男だった。

「親父~」
恰幅のいい……というより油ギッシュな60代と思われる男が息子に呼ばれて溜め息を吐いた。

「なんだ!真司」
「トンマンに虫がついてる」
「なら姉の方にしろ」
「嫌だよ~チョンミョンは苦手なんだ」

「全く、どっちだっていいだろう……仕掛けは持ったな?」
最後は小声で辺りを憚るように息子に声をかけた男は新羅家の親族会の一員だった。

とは言うものの端の端、末端に近い男は新羅家の中枢に入るのが夢だった。

新羅家の末裔の一人の娘と、金を積んで婿に入った男は娘が僅か二年で病死した後も新羅家の親族会に居続けていた。

後添いを貰い子供が生まれたが当然、新羅家の血が流れていない事に焦りを持っている。

だが、自分の息子達の誰かがチョンミョンとトンマンをモノに出来れば立場が変わる。

いつも邪魔をしていたスンマンを襲わせたのもその為だった。

鉄壁の守りを固めるスンマンを病院送りに出来たこの日、意気揚々とパーティー会場に現れたのだった。

そして……この卑劣な親子が考えたのは、チョンミョンかトンマンを薬で眠らせ我が物としようとするものだった。

《……ふん!息子に襲わせた後、写真をしこたま撮って脅せば言いなりになるだろう》
醜い妄想に気を良くした男は、ふと踊っている人々の中で一人の女に目を奪われた。

抜群のプロポーションを肌にピタリと沿ったドレスで踊る美しい女……両脇にスリットが入っているドレスから真っ白な肌がチラリと覗く。

膝上のドレスの裾から長い足が伸び軽やかにステップを踏んでいる……見ている男の喉が《ごくり》と鳴った。

女好きで度々問題を起こす初老のその男はドレス姿のスンマンを見続けていた……スンマンとはまるきり気がつかずに。

《相手の男は見たことあるな……確か美室財団の息子の一人だ!……秘書をやってた筈だが……》

どんよりと濁った目に欲望の色を湛えたまま物欲しげにスンマンを見続けていた。

※※※

「ははっ!ポジョンは踊りも上手いのだな!」
「貴女が上手いからつられました……さ、少し休憩致しましょう」

会場を回るボーイからグラスを取りスッと差し出す絶妙のタイミングは奇しくも兄のピダムと同じだった。

「……ポジョンは女性に慣れてるのだな、扱いがスマートだ……」
「パーティーも仕事ですからね、慣れていないと兄に恥をかかせてしまいます……特に家の仕事柄もありますから」
「……もう一曲踊らないか?」
「宜しいのですか?……あの初老の男を見られて貴女の体が固くなった。何かあるのでしょう?」

「ふふ……鋭いな」
ニヤリと笑うスンマンがポジョンの腕に躯を擦り寄せ腕を組むと……ポジョンが嬉しそうに微笑む。

「あっ!」
「どうされました?」
「ううん、何でもない……」
《初めてこんな笑い顔を見た……さっきまで寂しそうな笑い顔ばかりだったのに……》

何故か俯いたスンマンの頬をツン!とポジョンがつつくと、振り向いたスンマンの頬が赤く染まっていた……

「???」
ポジョンの不思議そうに問う表情にスンマンは慌ててそっぽを向いてボソッと呟いた。

「お前は寂しそうな笑い顔しかできないのかと思ってた……だから気になったのだ」
ぐっと腕に力を込めたスンマンが嬉しそうにポジョンに向け微笑む……

「さっきは素敵な笑顔だったぞ」

匂うような色気を含む艶然とした微笑みのスンマンだが、言葉はまだまだ幼い感じがポジョンには堪らなく可愛らしく写る

《ああ……もう駄目だ!この方に心どころか魂までも魅了されてしまう……》

「ポジョン……」
「どうされました?」
今までの頬を染めたスンマンの顔から一瞬で鋭い眼差しの厳しい顔になった彼女が、ポジョンの背後から近付く初老の男に警戒していた。

「後ろから近付く男が私を狙ったのだ……バレたか?」
「顔を伏せて私の後ろに……面識がありますから探ります」

1を言えば後を察して行動するポジョンの呼吸がスンマンには嬉しい誤算だった。

※※※

「やぁ~美室財団の……ポジョンだったかな?」
「これは木田様……お久しぶりです」

慇懃に挨拶する初老の男=木田はポジョンの背後に隠れたスンマンの体をジロジロと無礼なほど眺めている。

「後ろの美女は君の恋人かな?」
厭らしく舌嘗めずりしながらスンマンを舐めるように眺める木田にポジョンは怒りが湧くのを必死に我慢した。

「はい、大切な恋人です」
「ふぅ……ん、秘書の君には勿体ないゴージャスな美女じゃないか」
「木田様はいつも素敵な方をお連れではないですか……今日は?」
「はははっ!もちろん今日も女連れさ」
ぐいっと女の腰に回した腕を引き寄せると女が嬌声を上げる

「今宵は御子息もご一緒ですか?」
「ああ……息子達に新羅家の姫を紹介しようと思ってな~」
「それはX'masですし御子息も喜ばれるでしょうね」
「ん?……まぁ、なんだ私が教えた秘策もあるからな」

下卑た笑いをあげながらも目はスンマンを見ている木田にポジョンの拳が強く握られた……

「まぁ、女など一度抱いてしまえば後は言いなりだからな~」
ポケットから出したハンカチを開けば何か白い粉薬の入った小さなビニール袋が見えた。

「それは?」
「女を男狂いにさせる薬さ……これを盛れば一発さ」

「なぁ~ポジョン君。この女にも飽きてきてな……そちらの美女と取り替えてくれないか?」

まるでグラスでも取り替えるような軽い言い方にポジョンは反応が遅れた。
「……は?」

「こいつは中々具合が良いから君も楽しみなさい……私は君の連れている女を試すから……」
にやにやと下卑た笑いを浮かべたこの男にポジョンは怒りを押さえて必死に笑う。

《お前などにこの方を渡すか!!》

「申し訳ございません、何分まだネンネなもので木田様の御相手はつとまりません……では失礼致します」

一礼したポジョンはさっさとスンマンの腰を抱き歩き去る……その一連の動きに成す術もなく木田は見送った。

※※※

スンマンを連れて会場を出たポジョンはスンマンの肩から自分の上着を着せると溜め息をついた。

「貴女のドレスが木田を引き寄せたのでしょう」
「?……どういう事だ?」
「露出が多すぎます……此処など肌が見えています」

つっっ……とポジョンの指先がスンマンの腰から脇の肌を撫で上げた。

「……んっ……」
ぴくん!と震えた躯にポジョンは驚いた……余りに敏感な反応に……そして真っ赤になったポジョンはスンマンに着替えるよう話した。

何故か赤くなったポジョンに面白がりながらも素直に着替えに部屋に戻ったスンマンを見送ってポジョンは会場に戻る。

「兄上……そのままで聞いてください」

トンマンと談笑するピダムの背後から近付いたポジョンが、他の者に知られないよう背中合せに立ち囁いた。

「建設業の木田を知ってますよね」
「ああ……」
「その木田が襲撃の犯人です」
「何だと……」
「木田が息子二人とこの会場に来ました……たぶん警護の甘くなった今、何か仕掛けるとスンマン様はお考えです」
「トンマンは任せろ……俺が守る!」
「確か前に木田は薬を飲み物に溶かして眠らせて女を犯すと話してました」
「分かった、気をつける」
「では、また何か判ればお知らせします」

スッと離れたポジョンにピダムの口の端が上がり、うってかわって酷薄な笑顔が覗いた。

《守る……トンマンは俺が守る!……何をしてもな……》

「トンマン」
「なんだ?」
「もう一曲踊って頂けますか?」
「うん!」

嬉しそうなトンマンを連れてピダムは優雅に踊り始めた。

衆人環視の中なら下手な事もできまいと践んでいた。

「トンマン……」
「なんだ?」
「貴女は俺が守る」
「えっ?」

くるり……とトンマンを回して引き寄せたピダムは愛しそうにトンマンを眺めた

「貴女は、俺が、守るから……私の側から離れるなよ」
「分かった、よろしく頼む!」

「くっくっくっ……確かに頼まれました」
楽しそうなピダムだが眼は鋭く木田と息子二人を見張っていた

※※※

「スンマン様、せっかくお似合いだったのに~」
「すまぬタンシム……露出が多いと言われたのだ」
「恋人がお出来になったのなら……これは止めましょう」
「がる~」

黒豹の《クロ》も見ているなかスンマンはタンシムが用意した淡い藤色のシフォンドレスに手を通した。

ミニスカートにも見えるその下にはフリルが何段も着いたペチコートパンツで膝上三センチまでに露出を抑えていた。

「これなら暴れても見えません」
タンシムが自分のコーディネートに満足そうに呟いた

「がお~」
ポジョンの上着をクロが器用に持ち上げスンマンに渡した

スンマンが受け取り会場に向かう為、扉を開けたらポジョンが立っていた

「……これだとどうだ?」
「大変よくお似合いです……可愛らしい」
「ふふ……こういうのは姉上達が似合うのだが」
「貴女がお似合いです」

「木田の事は兄ピダムとアルチョン殿に伝えました……女を薬で眠らせて犯すのはあの男の常套手段ですから」

「……私は素晴らしい相手を掴まえたようだな」
「え?」
「ふふ……何でもない、行こう」

渡された上着を着たポジョンが腕を差し出した

「ふふ……」

楽しそうな二人が寄り添って会場に向かった

※※※※※

トンマンは恋の入口に立ち、ポジョンは既に恋い焦がれるほどになっていて……違いが面白いかと(ピダム~ガンバレよ)
     

⑤:X'mas企画【現代に続く新羅…パーティー編】

さて⑤話です……できれば油ギッシュな親子にはこの回で退場願いたい(書いてて面白いですがね)と思いつつ……

俳優の遠藤憲一さんや白竜さんなら私は付いていきたいです(どこに?何しに?)

では始まります(^o^)/

※※※

「そう、木田がね。本家を狙うには小者過ぎないかしら……」
チョンミョンがグラスを手にアルチョンに微笑みながら話している……が、眼が鋭く虚空を見つめていた。

報告にきたアルチョンだが、その凛とした美しさに胸が熱くなり忠誠心を燃やしていた。

「アルチョン、トンマンはピダム殿に任せるとして……尻尾を掴むためにも私が囮になるとスンマンに伝えてね」
「反対です」
チュンチュが待ったをかけた

「あら、貴方は賛成してくれると思ってたのに……」

「チョンミョン……薬で眠らされて何処かに運ばれれば貴女が危ない」
「うふふ……でもねチュンチュ、私は怒っているのよ」

にこやかに、淑やかに微笑むチョンミョンの目が……怒りに爛々と輝く

「うっ…その顔は…もう何を言っても無駄なのですね」
「ええ!」
「分かりました……ならばアルチョン」

チュンチュはアルチョンに色々指示を与えていく
「漏れることの無いようにな……」
「はい、チュンチュ様」

目立たないように会場から飛び出したアルチョンに目をやりながらチョンミョンはグラスを飲み干した……

「さ、貴方も他の女性と踊ってきて」
「まだです……スンマンが戻りアルチョンが調べた後でないと駄目です」
「そう……しばらくお預けね」
うふふ……と少女のようにあどけなく笑うチョンミョンは、その儚げな見かけとは違い実はトンマンら妹弟達にとっては一番怒らせると怖い相手だった。


「本家に……いえ、私達に仇為すことがどれほど危険か木田を使って知らしめてやりましょうね、黒幕に……うふふ」
「怖い方だ……」

艶やかに微笑みあう二人に何故か人々は近寄れなかった。

※※※

「何だと!!姉上が囮になると?」
会場の入口でアルチョンを見つけたスンマンがチョンミョンの伝言を聞いた。

「くそっ!……」
「私は木田が取ったホテルを調べに行きます」

その時……ポジョンが控え目にアルチョンに言葉をかけた

「……アルチョン殿、このホテルから捜して下さい」
「何故だ?」
細い目を鋭く見やったアルチョンが訳を問うた。

「誰にも見つからず運ぶには会場のホテルに部屋を取るのが一番リスクが少ない……しかも探すとなるとつい、人はホテルの中から外へと意識が働くものですから」
「なるほど!分かった、助言かたじけない」
飛び出していったアルチョンも見ずにスンマンはバックから翡翠のバングルを取り出した。

太くしっかりとした腕輪の一部を爪で触り蓋を開けると……

「スンマンだ」
腕輪に話しかけた

「……ピッ……ピー認証します」
電子音が聞こえると指を押しつけ赤い光でスキャンされた。

次いで蓋に目を当てたスンマンをポジョンは訳が分からないものの背中に隠しておく。

「ピー……認証されました……こんばんわスンマン」
「今から全てのシステムは私の支配下におく」
「イエス!」
「チョンミョン、トンマンの居場所をスキャンしろ」

三秒後、腕輪から会場の答えを聞いたスンマンは満足そうに頷いた

「いい子だ……これより私が解除するまでチョンミョン、トンマンの居場所を把握し続けなさい」
「イエス!」

「このホテルの図面はあるな」
「イエス!」
「では今いる会場から一歩でも離れたら追跡調査し、報告せよ」
「イエス!」

蓋を閉めて自分の上腕に嵌めたスンマンは訳が分からないながら背に隠してくれているポジョンに嬉しそうに抱きついた。

「スンマン様?」
「頼もしいな」
「え?」
「先程からお前がサポートしてくれるから動きやすくて有り難い」
「いえ、私は秘書をしていますから当然です」
「ううん……こんなに呼吸の合うサポートは初めてだ……」
「さ、姉上様達を警護しないと」
「うん!」
にっこりと子供の様な笑顔にポジョンはくらり……と目眩がする

二人が会場の中に入るとチュンチュとスンマンが頷きあう、チュンチュは他の令嬢と踊るためチョンミョンから離れスンマンはポジョンと二人さりげなくチョンミョンの後ろで歓談する

一人になったチョンミョンがグラスを手に踊っている人達を眺めて罠をはった

※※※

「お!一人になったぞ真司、宗司!行ってこい」
油ギッシュ男の木田が息子に命じても二人はシラ~っと目を血走らせている父親を見ていた

「真司!!」
真司と呼ばれたのは黒髪の短髪をツンツンにセットし皮じゃんにV首のシャツを着ていたが、パーティーには合わず浮いている

しかし本人はお気に入りの服で会場の中で一番カッコイイと思っている所が……痛かった。

「宗司!!」
次男の宗司は長髪の茶髪で白のマオカラーのタキシードを着込み嫌みなく似合ってはいた。

顔も真司より優しげで女性にはモテている。

「俺はトンマンがいいんだ」
「僕はあの娘がいい」
宗司が指差す先にはポジョンと笑いあうスンマンが居た。

「お前達は~~ワシの苦労がわからんのか!えええーーい!行け・行け・行け~い」

「血圧高いんだから倒れるよ」
宗司が先に動いていった……が、チョンミョンではなくポジョンと話しているスンマンに踊りを申し込んでいた。

「あ゛あ゛あ゛~」
頭を抱えた木田は真司に睨み付け行かせた……が、弟と違ってこういう場に慣れていないためトンマンとピダムの周りを回って……ピダムの殺気を孕む眼差しにスゴスゴと父親の元に戻ってくる。


「はぁ~~~情けない、本当にワシの息子か?」
肩を落とした木田だが、ここで引くわけにはいかなかった!

宗司はと見れば断られても、やんわりと構えて食い下がっていた。

「宗司!!相手が違う~~」
木田が焦れて叫んでいた。

※※※

真司が宗司を父親の元に引き摺るように連れてくる

「お前達!二人でチョンミョンに行け!……さっさと仕掛けて部屋に連れて行け」

父親の怒りに渋々真司と宗司はチョンミョンに近付いていった。

そして宗司が話す間に真司が薬入りのグラスをチョンミョンに渡し……飲ませた。

「うふふ……何だが眠くて……」
とろんと潤んだ瞳をしたと思えば瞼が閉じ体から力が無くなったチョンミョンを真司が抱き上げ会場から運び出した。

「ピー……チョンミョンが移動しました」
「そのまま追跡調査」
「イエス!」

スンマンとポジョンも静かに後をついていった。

※※※

どさり……と部屋のベットに寝かされたチョンミョンが、あどけない寝顔を見せている。

「兄貴、本当にするの?」
「仕方ないだろ親父の命令なんだから!」
「ふぅ~~ん」
寝ているチョンミョンの髪に触れ眺めている宗司……


「でもさ、こんなのバレたら新羅家から潰されそうだよね、僕達の家」
「だから、犯す最中の写真撮るんだろが」
「僕、この人趣味じゃないから兄貴抱いてね」

「仕方ねぇー」
上着を脱ぎ上半身裸の真司がチョンミョンの服に手をかけ……引き裂いた


《《《どごーん!!》》》

凄い音がドアから響いてきたかと思うとスンマンとポジョンが部屋に入ってきた

「会話を録音させてもらった。」
冷たい抑揚のないスンマンの声と瞳が真司を震え上がらせた。

「離れろ!!」
真司を殺気を含んだ視線でどかせればポジョンがバスタオルでチョンミョンを包み抱き上げた。

「アルチョン殿、お願いします」
外に居るアルチョンにチョンミョンを渡すと他の警護の物達が入ってきた。

「連れていけ……新羅家の姫を犯そうとしたのだ。罪は深いぞ」
「君は……スンマンなの?」
宗司がじっと彼女を見つめて聞いてきた……その、今から逮捕されるというにも関わらず余裕なのか無神経なのか分からない態度にスンマンも警戒した。

「ああ……私がスンマンだ」
「そう……最初から君を見ていたらチョンミョンなんか拐わないのに」
「何だと……」
「君なら……僕が欲しいよ」

すっと手をスンマンの髪にやり指を絡めた宗司が次の瞬間!スンマンの後頭部に手をやり力ずくで口付けた

「……んっ……」
物静かな優男と践んでいたスンマンの油断だった!

見かけよりも力がある宗司が強く抱き締めるとスンマンの力では抗えず……角度を変えて口付けは深くなるばかりだった

「んっ…ん゛ん゛…」
「スンマン様!!」
部屋に戻ったポジョンが宗司の腕の筋を掴むと痛さのため腕が緩みスンマンを取り戻す

「はっはっはっ」
愉快そうに高笑いしながら連行される宗司と真っ青で震える真司が警護の者に連れていかれた。

※※※

「木田社長……だね」
チュンチュが報告を受け行動に移り、警護の者と木田を確保したのはそれから間もなくだった。

新羅家の取り調べも行いたいからアルチョンを筆頭に何人かの者が警察のパトカーと共にホテルを後にしていた

チョンミョンも少ししか飲まなかった為、部屋で休むと直ぐに目を醒まして会場に戻っていた


トンマンが後から知って悔しがっている
「姉上が囮になど危ないではないですか!」
「仕方なかったのよ……短時間で尻尾を掴むにはこれしかなかったの」
「今度は私がします」
「駄目よ」
「駄目だよ」

チョンミョンとピダムの両方から言われてトンマンの頬が……ぷぅ~っと膨らんだ。

「くすくす……トンマンたら」
「ふふ……」

「ピダム様、今から家で夕飯でもいかがですか?」
チョンミョンが誘うとピダムが頷いて了承した事からトンマンを筆頭に会場を後にした。

「ポジョン様もどうぞご一緒にいらしてね」
「ありがとうございます。ですが私の事はお構いなしに……」
「くすくす……スンマンが見えませんの連れてきて下さいな」
「……お伝え致します」

一礼して会場を後にしたポジョンを見送ったチョンミョンはピダムとトンマンに振り返った。

「さて、行きましょうか」
「はい、姉上……ぴ…ぴ…」
「ひよこ?」

不思議そうに見るピダムに真っ赤になりながら、何故か下から睨み上げるトンマンが言った

「ピダム、行こう!!」
名前を呼びたいが気恥ずかしくて中々呼べなかったトンマンが、力みすぎてつい……呼び捨てにしていたことも気がつかなかった


下から上目遣いで見上げるトンマンの可愛さに頭が~くらくら~としたピダムは……

それでも嬉しくて顔を笑顔に崩しながらトンマンの肩を抱いてチョンミョンの後についていった。


一行は黒いリムジンに乗り込み和やかに新羅家の別館である屋敷に向かった。


……これで事件は終わった筈だった……

あとは警察で木田を取り調べ黒幕を吐かせれば一応は事件は終結する……筈だった。


……警察から取り調べ前に木田と真司が毒殺されたと連絡があったのはそれから間もなくのことで…………


そして木田には宗司という二人目の息子はいないことと…………


宗司が警察から忽然と消えたことも連絡があった


何かが新羅家の姫達を中心に動き始めていた…………


※※※※※

一応、次のエピローグでこれは終わります。

何かサスペンスタッチで終わりましたがエピローグの次はラブラブなのを考えています


さて……宗司とは何者でしょうか(笑)

次回からちょこちょこ出そうかと思ってます

プロフィール

すー※さん

Author:すー※さん
私的妄想世界が広がっております。
イチオシは窪田正孝さんの役柄いろいろ妄想話です♡(その他にも相棒の神戸さん、スネイプ先生や善徳女王など色々でございます)

最近は更新ができてませんが、発作的に投下してます。
8月、9月の試験に受かれば時間ができるので、それまでは見守っていて下さいませ。

合言葉は『シリアスからエロまで』・・・・・楽しんでいただければ幸いです。。。

最新記事

最新コメント

最新トラックバック

月別アーカイブ

カテゴリ

ブロとも一覧


Cat Home

暁の唄

ちび眼鏡日記

月が浮かぶ夜

まきまきまき

うみにふわりふわり

snowdrop

みやびのブログ

よみよみ

SweetBlackな世界

日々のこと

きみと手をつないで

shibushibuuu

ゆめの世界

井の中の蛙

月の舟 星の林

古いおもちゃ箱

検索フォーム

RSSリンクの表示

リンク

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード

QR